折紙随想

今まで私が感銘を受けた歌に寄せて、折紙を作りました。すべて、1枚の紙に切り込みを入れて折った「つなぎ折紙」になっています。

 なお、当ブログの内容は、社団法人武蔵野市医師会会報(第490~525号)に掲載した記事と一部重複するものであることをお断りしておきます。

平成29年(2017年)新年に寄せて

瑞鳥・光明-03





























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 皆さん、今年も新年明けましておめでとうございます。

 旧年は新年の挨拶もせずじまいで、記事の更新もほとんどできないで終わってしまいました。書きたいことはまだまだあるのですが、折紙の製作も記事の作成も進まないまま過ぎてしまい、誠に恥ずかしい限りです。これからも更新に努めますので、どうかおつきあい戴ければ幸いに存じます。


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爪亭八楼(つめてー・やろう):「何か、2年前にも同じこと書いてるような気がしやすがねぇ。 あっしなら・・・」

爪亭八面(つめてー・やつら):「おめぇが言うな」

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 旧年は、オリンピック・パラリンピックでの日本選手の目覚ましい活躍など、明るい話題もありましたが、どちらかと言えば、自然災害や政治変動などの、将来に不安をもたらすニュースが目立っていたように感じます。


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爪亭八空(つめてー・やから):「八楼、おめぇそんなに簡単に記事が書けるってぇんなら、平成28年に何があったか言ってみろ」

八楼:「うっ! えっ? えーーと・・・ うっ、ううっ

八空:「なに泣いてやがんでぇ」

八楼:「う、うわーん! 根津甚八は亡くなっちまうし、SMAP は解散しちまうし、もう夢も希望もあるものかぁ!! うおーんおんおん」

八空:「・・・」

八楼:「というわけでサヨウナラ」  =3

八空:「待てこの野郎!」

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 そこで、今回はこれからの将来に明るい希望をもたらしてくれるような折紙をご紹介致しましょう。

 今年は奇しくも干支が「丁酉(テイユウ、ひのととり)」ですので、まさに鳥をテーマにするのにうってつけの年です。そこで、輝かしい光を伴って飛んでくる鳥を表現する折紙を作り、『瑞鳥・光明(ずいちょう・こうみょう)』と名付けました。

 背景は赤色のフェルト生地なのですが、初日の出とともに太陽から飛んでくるイメージを表したかったので、画像を丸く加工しました。丁度、日本の国旗(日の丸)のようにも見えますが、これは日本の未来を明るくしてくれるように願う気持ちをも含めています。

 この折紙も、他の記事の折紙と同様に「つなぎ折紙」になっています。表が金色、裏が銀色の長方形の和紙1枚に切り込みを入れて折ってありますが、形を安定させるためには接着剤を使用する必要があります。

 かなり大きい紙を使いましたので、完成品の大きさは幅が約45cm になっています。私が勤めている病院の玄関受付近くに飾ってありますので、受診される方は実物をじかにご覧になれると思います。

 上の写真だけでは、実際にどうなっているのかわかりにくいと思いますので、斜め上から撮った写真も載せておきましょう。

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IMG_6122






































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 この折紙に使った用紙は、障子紙としても用いられる丈夫な和紙の両面に刷毛(はけ)で金銀に着色して作られているもので、御茶ノ水の『おりがみ会館』や埼玉県小川町(「和紙の町」として知られる)などで入手することができます。大きさは、大きいもので 90×60cm 以上あり、かなりの大作を作ることができます。「金色」・「銀色」と言っても通常は本物の金・銀が使われているわけではなく、金色は真鍮(しんちゅう)、銀色はアルミニウムの粉が主に使われています。糊で金属粉を練って塗っているため、分厚くなりますし、指でこすると少し金や銀の色がつきます。もっと薄くて、指に色がつかない金銀折紙用紙の開発が望まれるところです。

 今回使った紙は、それらの金銀折紙用紙の中でも一番銀色の輝きが優れているものだと思います。

 今年も、この『瑞鳥・光明』のように輝かしい年でありますようお祈り申し上げる次第です。





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平成27年(2015年)新年に寄せて

梵字「ア」・大日如来(胎蔵界)-1





















                                                         『瑞鳥・ア字観』

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 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 当ブログ開始後、3回目の新年となりました。旧年は後半、ほとんど記事の更新ができず、大変恐縮しております。書きたいことはまだ沢山ありますので、気長に更新をお待ち戴ければ幸いに存じます。


 今回ご紹介する折紙は、実は「つなぎ折紙」ではなく(「ですらない」と言うべきか)、1枚の正方形の紙に切り込みを入れずに折ったものです。しかも、折り方は普通の「折鶴」とほぼ同じで、それに少々細工を加えたものに過ぎません。

 旧年の元日にご紹介した『瑞鳥・吾唯足知』(http://blog.livedoor.jp/miyataatsushi-origami/archives/36036804.html)のときもそうでしたが、今回の題名も私が勝手に名付けたものであり、実際にこんな鳥がいるわけではありません。「ア字観」という言葉をご存じの方でしたら「ははあ」と察しがつくことかと存じますが、そうでない方にとっては今回の題名の方が余計へんてこなものに感じられるかも知れません。


 「ア字観」とは、仏教、特に密教(*1)で使われる言葉で、「ア字を観ずる」という意味です。ここで言う「ア字」とは、梵字(*2)の「ア」の文字のことで、こういう文字です。

ア























 仏教では、如来や菩薩といった仏を梵字1字で表すことがあり、その中でもこの「ア」字は特別であり、大日如来(だいにちにょらい)(*3)(胎蔵界(たいぞうかい)(*4))を初めとするあらゆる仏を表す万能の文字とされているのです。

 ですから、この「ア」字さえ書ければ仏教の全ての仏をこれ1字で示すことができるのです。それだけ、この「ア」字はありがたい文字であり、梵字の中で最も大事な文字と言えるのです。

 さらに、この「ア」字には梵字に用いるあらゆる書法が使われていて、この文字を完全に習得するには

   一生かかる

とさえ言われるほどの尊い文字でもあるのです。


 「ア字観」とは、このありがたい「ア」字を眺め、念じ、さらには自分自身を「ア」字に同化させることによって大日如来に象徴される全宇宙と一体になろうとする瞑想法なのです。


 今回、平成27年新年を迎えるに当たり、「ア」字に象徴される大日如来に功徳を祈願すべく、折鶴で「ア」字を模したものが、今回とりあげた『瑞鳥・ア字観』であったわけです。表が金、裏が赤になっている正方形の折紙用紙1枚で折りましたが、結果として裏面は出ていませんので、特に何色でも構わないことになります。自立させるためには、ある程度硬さと厚みのある紙で折った方がよいでしょう。


 日頃、仏教に親しんでいらっしゃらない方にとっては関係ない話に感じられるかも知れません。ですが、日本では法事・法要を営む習慣がありますので、ことによると皆さんも知らぬうちに梵字に接していらっしゃるかも知れないのです。

 例えば、真言宗(しんごんしゅう)(*5)でよく唱えられる光明真言(こうみょうしんごん)は

   帰命不空光明遍照大印相摩尼宝珠蓮華焰光転大誓願

   (おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだらまにはんどまぢんばらはらばりたやうん)

と言いますが、これにも「ア」字が入っています(「おんあ」の「あ」がそれに当たる)。

 また、お墓参りの際に墓石の後ろに卒塔婆(そとば)という細長い板を立てることがありますが、きっと皆さんも見たことがあるに違いありません。その卒塔婆には何か文字が書かれていたはずですが、どんな文字だかおわかりになりますか? 実はそれにも「ア」字が含まれているのです。

 卒塔婆の表面には通常、次のような5文字の梵字が書かれます。

キャカラバア


























 これは上から「キャ・カ・ラ・バ・ア」と読み、それぞれが「空・風・火・水・土」を表しています。つまり、ここでは「ア」字は「土」を表す文字として使われているわけです。

 因みに、卒塔婆の裏面はと言いますと、ほとんどの場合、こういうものが書かれています。

バン-2















 これは、一見3文字に見えますが、実は1つの梵字であり、「バン」という字
バン-1























です。これを卒塔婆の形に合わせて細長く書いたのが上の図になっているのです。この「バン」も実は大日如来を表す梵字なのですが、こちらが表すのは専ら金剛界(こんごうかい)(*6)の方の大日如来ですので、注意が必要です。


 1月3日には、み魂よせが行われるお寺も多いと思いますので、皆さんも、もしお墓参りをされるならその際に卒塔婆の文字を見直してみるのもいいのではないでしょうか。

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*1:「密教(みっきょう)」とは、本来は「顕教(けんきょう、けんぎょう)」(公(おおやけ)にされた教え)に対して、「秘密にされた教え」という意味です。ですが、現在、日本では「密教」と言えば日本仏教十三宗の中の「天台宗(てんだいしゅう)」と「真言宗(しんごんしゅう)」の2つのことを指すことが多いようです。特に真言宗では密教を重視しているため、「密教と言えば真言宗」とさえ言ってよいくらいです。真言宗では、釈迦如来(しゃかにょらい)が公の場で広めた教えを「顕教」とし、滅多に現れない大日如来が密かに伝えた教えを「密教」として、「密教」の方がより尊いとしています。その「密教」において行われる行為の一つとして、「ア字観」があるわけです。

*2:「梵字(ぼんじ)」とは、インドのサンスクリット語を書き表すための文字の一つです。ただ、現在ではサンスクリット語は大部分の場合、「デーヴァナーガリー文字」と呼ばれる、ヒンディー語と同じ文字で書かれていて、他にはアルファベットや「グランタ文字」も使われますが、梵字は日本以外ではほとんど使われていません。ですから、梵字は今では言語を記述するための文字としてはほとんど使われず、経典や種子(しゅじ)(植物の種のことではない)でしか見られません。ここで言う「種子(しゅじ)」とは、仏教の仏を象徴する文字という意味です。代表的な種子(しゅじ)としては、次のようなものがあります。

 「ア」(大日如来(胎蔵界))
ア























 「バン」(大日如来(金剛界))
バン-1


























 「キリーク」(阿弥陀如来(あみだにょらい))
キリーク

























 「カーン」(不動明王(ふどうみょうおう))
カーン




























 「カンマーン」(不動明王をより強く表現する、「流れカンマーン」とも呼ぶ)
カンマーン

























 「シリー」(吉祥天(きっしょうてん))
シリー

























*3:「大日如来」とは、主に密教で本尊とされる仏です。密教では、大日如来は全宇宙そのもの、あらゆるものの根源と考えられていて、釈迦如来や他の仏たちも全て大日如来の化身であるとされています。つまり、釈迦如来は大日如来が人の姿となってこの世に現れ出でた存在と考えるわけです。大日如来こそが全ての源(みなもと)であり、最も尊い存在なのだと説いているのです。なお、如来として有名なのは釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来(やくしにょらい)、大日如来の4柱ですが、初めの3柱が両脇に菩薩を従えている(こういう形を「三尊形」と言う)のが普通なのに対して、大日如来だけは単独なのは、このように全てが大日如来から生じているとの考えから来ていると推定されるのです。なお、有名な奈良の東大寺の大仏は「毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)」とされていますが、これは大日如来の別名です。

*4:「胎蔵界(たいぞうかい)」とは、密教における重要な2つの経典である「大日経」と「金剛頂経」のうちの「大日経」で示されている世界を指します。この世界では、中心におわす大日如来から慈悲が周囲へあまねく広がっていく様を表すとされています。

*5:「真言宗(しんごんしゅう)」とは、空海(くうかい)を始祖とする密教です。「真言」を重視するから「真言宗」と呼ぶわけですが、この「真言」というのは「陀羅尼(だらに)」の一種です。「陀羅尼」とは、仏教経典の原典(サンスクリット語)の記述を訳さずに似た音の文字で置き換えて唱えたものを意味します。そのうち、「大悲咒(だいひしゅう)」(「千手千眼観自在菩薩廣大円満無礙大悲心陀羅尼(せんじゅせんげんかんじざいぼさつこうだいえんまんむげだいひしんだらに)」の略)のように長いものを(狭義の)「陀羅尼」と呼び、「光明真言(こうみょうしんごん)」のように短いものを「真言」と呼ぶのです。

*6:「金剛界(こんごうかい)」とは、密教の重要経典の「金剛頂経」で示される世界を指します。この世界では、修行者が悟りへ至る道筋と、また、悟りを得た者が衆生を救うために辿る道筋の両方を表すとされています。ほとんどの仏は胎蔵界でも金剛界でも同じ種子(しゅじ)で表されるのに対して、大日如来だけは厄介なことに胎蔵界と金剛界とで使う種子(しゅじ)が異なりますので要注意です。

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 ここは爪亭一門の行きつけの焼き鳥屋。


爪亭八面(つめてー・やつら):「へえぇ、師匠。今回の年越しは焼き鳥でやんすか。こりゃあったまりやすねぇ」

爪亭八爪(つめてー・やつめ)(師匠):「ぉおっ、そうけぇ。そりゃよかった。実はな、干支にちなんで北海道でジンギスカンっ!とも考えたんだが、さすがに寒いからここで行こうってぇことにしたんでぇ」

店主:「いやぁ、おかげさんで大繁盛でして。あいにく、塩を切らしてるんですが大丈夫ですかい?」

爪亭八空(つめてー・やから):「構わねぇ、構わねぇ。タレでいいからドンドン焼いてくれい」

店主:「へいっ」

八爪:「ところでお前たち、ここで新年の意気込みってぇのを聞かせてもらいてぇな。特に八楼(やろう)! おめぇだ」

爪亭八楼(つめてー・やろう):「へ? あ、あっしでやんすか? そ、そうでやんすねぇ。今年は何とか座布団に座りてぇとか」

八面:「つまらねぇ意気込みだな。もっとマシなことは言えねぇのか?」

店主:「そうですよ。ここはもっと派手なことを言わないと」

八楼:「へぇ、じゃあおめえはいってぇどんな意気込みがあるってぇんでぇ」

店主:「あたしゃあ、このままつつがなくやっていけりゃいいって思ってます」

八楼:「何でぇ、パッとしねぇな。おめぇにゃ、こう自負ってぇもんはねぇのかい」

店主:「ああ、ありますよ」


どんっ

ジフ














八楼:「馬鹿野郎! そのジフじゃねぇ!」

八爪:「はっはっは! うめぇじゃねぇか! 八楼のネタなんかより数段おもしれぇや」

八楼:「し、師匠、そりゃねぇでやんすよ」

八面:「ほう、じゃあ八楼、そう言うんなら何かもっと面白いこと言ってみろ」

八楼:「じゃ、じゃあ行きやすよ! このタレ焼きは焼き鳥だけにトリニクいなぁ」


シーン


八空:「バーロー、新年早々パクってんじゃねぇぞ!」

※以前(1996年)フジテレビ系で放映されていた『天才!ヒポカンパス』というクイズ番組の『芸能界なりきりシミュレーター』というコーナーで、「林家ぺーの弟子になる」というのがあり、そこで出たギャグ。他に「アジの開きの焼き立てはアジーッ」というのもあった。

八面:「そうでぇそうでぇ。そんなこっだからいつまで経ってもうだつが上がらねぇんでえ」

八爪:「さあ、自力でやってみな! ほれっ」

八楼:「こ、こうなったら奥の手でぇ!! それっ!」


※八楼はポーズを取った。

梵字「ア」・大日如来(胎蔵界)-2



















八爪:「? 何だ? 何のマネだ」

八楼:「ここはいっちょ、『ア』(大日如来)様にあやかってお智恵を授かろうと・・・」

八爪:「バーロー! おめぇが大日如来のマネするなど千年万年、いや、不可説不可説転年早ええわっ!」


※「不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)」とは、「1」の後に「0」を37218383881977644441306597687849648128個つなげた数のこと。仏教で「とてつもなく大きい数」を表したもの。


八楼:「そんなに時間が経ったら、地球どころか宇宙だってなくなっちまうでやんすよ」

八爪:「馬鹿言え。宇宙すなわち大日如来は永遠に不生不滅、不増不減なんだぞ。おめぇ、般若心経も知らねぇのか」

八楼:「とにかく、それくらいの意気込みってぇことで」

八面:「ほうっ、じゃあ今度はパクリじゃなく自力でやってみな!」

八楼:「へ、へいっ。じゃ、じゃあ、おい、おやっさん。塩を一本焼いてくんねぇかな」

店主:「そ、それが・・・前も言いましたように、塩はもうなくなってしまって・・・」

八楼:「なにぃ? 塩がない? シオがねぇな」


シーン


八楼:「あっ、あれぇ?」

店主:「は・・・はは・・・。で、でも旦那。塩がお好きとはなかなか通ですねぇ」

八楼:「そ、そうでぇ! 正月なだけに『シオガツゥ』なんてね」


シーン


八面:「いい加減にしろぃ! いくら冬だからって寒すぎだぞ」

八空:「そうでぇ! いくらスキーシーズンだからってスベりすぎだぞ!」

八爪:「やっぱりおめぇにゃ、大日如来は恐れ多すぎる」

八面:「おめぇには、『シリー(吉祥天)』がお似合いだ! くらえっ!」

八楼:「ひええ」


ドン

シリーに敷かれた八楼-2



















八空:「題して、『シリーに敷かれた八楼』。へへへっ、傑作だぜ」

八楼:「ど、どうせ敷かれるなら、もっと柔らかいシリーの方が・・・」

八面:「ふん、エッチ野郎め! おめぇのような煩悩のかたまりには『カーン(不動明王)』がふさわしいわ!」

カーン














八楼:「ひぇぇっ! か、『カーン』べんしておくんなせぇ!」


シーーン


八空:「おのれっ、貴様のような奴は『流れカンマーン』の業火に焼かれるがよいっ!」

カンマーン


























八楼:「うぎゃああ」


※八楼は灰になった。


八爪・八面・八空:「・・・というわけで、本年もどうぞごひいきのほどを・・・」


m(__)m  m(__)m  m(__)m


八楼:「し、死んでねぇーー」




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平成26年(2014年)新年に寄せて

瑞鳥・吾唯足知





















                                                        『瑞鳥・吾唯足知』

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 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 当ブログもこれで2度目の新年を迎えることとなりました。このところ更新頻度が不規則になってきておりますが、これを機に改善して参る所存です。


 今回紹介する「つなぎ折紙」は、実は平成23年(2011年)の新年に、東京都武蔵野市医師会の会報に掲載したものです。新年に向けての心構えを表すつもりで作ったものですが、今回の新年もまた、同様の気持ちで臨みたいと考え、再掲することと致しました。

 『瑞鳥・吾唯足知』と名付けてはおりますが、もちろんこんな鳥は実在しません。なぜこのような名前になっているのかは、

   「吾唯足知」

の由来をお知り戴ければおわかりになることでしょう。


 「吾唯足知」とは禅の格言の一つであり、

   (われ)、(ただ)(た)るをる」

と読みます。これは「多くを求めることなく、現状で満足する心構え」を表し、その大切さを教える格言であると解釈されます。なお、漢文の文法上、「吾唯足知」ではなく「吾唯知足」であるべきだとの説もあります。


 この言葉は、京都の龍安寺(りょうあんじ)の石庭にある蹲踞(つくばい)に刻まれていることで有名です。ただ、「刻まれている」と言ってもこの「吾唯足知」の文字がそのまま刻まれているわけではなく、実際には

吾唯足知03











のようになっていて、中央の□(正方形の部分で、ここに水が溜まっている)を漢字の「口(くち)」に見立てて、それを上下左右の字が共有していると見ると

吾唯足知01






















のようになって、「吾唯足知」と読めるという仕掛けになっているのです。実物の写真は龍安寺のウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%9C%E5%AE%89%E5%AF%BA)で見ることができます。

 誰が考えたか不明ですが、何ともうまい仕掛けを思い付いたものだと思います。


 写真の折紙は、新年の初めに「吾唯足知」の心構えを持ちたいという願いから作った「つなぎ折紙」です。表裏が金銀の2色になっている1枚の長方形の和紙に切り込みを入れて折りました。

 頭に5羽の鶴を戴いていて、これが「五」を表し、足で立っているところが「足」を表しています。そして、左右の翼には雉(きじ)を1羽ずつ載せているのですが、これらは実は雌雄の1番(つがい)になっています。この1番を「雉」という1文字と見て、それを左右に「矢」と「隹」とに分けて配すと

吾唯足知02
























のようになり、これが「吾唯足知」を表しているというわけです。

 非常に安定性が悪いため、見栄えよく立てるためには針金などによる補強・固定が不可欠です。



 また、新年と直接の関係はありませんが、最近「和の雰囲気」を感じたくなって作った「つなぎ折鶴」がありますので、ここで併せて紹介したいと思います。

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菊花の調-05





















菊花の調-06





















                                                      『菊花の調(しらべ)』

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 これは、秋里籬島(あきさと・りとう)『秘伝千羽鶴折形』の中の『竜胆車(りんどうぐるま)』という作品を応用して作った(鶴を4羽から16羽に増やしたもの)『菊花』という「つなぎ折鶴」を大・中・小と3つ作り、組み合わせたものです。それぞれ正方形の和紙1枚に切り込みを入れて折っています。もっと段数を増やすと、さらに見栄えのある作品になることでしょう。




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’13WEB公募書道展に寄せて

ある折鶴の悲劇

























































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 突然ではありますが、当ブログをお読みになった「ふざん=fuzan」さんから「’13WEB公募書道展」(http://syo-do.net/2013/)への出品のお誘いを戴きましたので、今回はその出品作品をこのブログで同時公開致したいと思います。


 この書道展には単なる書作品だけではなく、写真との合成やデジタル加工をしたものも出品可能とのことでしたので、私は折紙と書を複合させた次の作品を出品することに致しました。


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『失意体前くツル』(しついたいぜんくツル)

失意体前くツル


























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 これは、

   「orz(オルズ)」

というAA(アスキー・アート)に着想を得て作ったものです。

 「orz」は別名として

   「失意体前屈(しついたいぜんくつ)」

とも呼ばれ、人が左側を向いて、両膝を地面についてくずおれている様子を表現したものです。「o」がうなだれた頭、「r」が地面についた手、「z」が脚をそれぞれ表しているわけです。

 よくインターネットの掲示板などで、

   「また企画がボツになったorz」

というように、主に「落胆」や「絶望」を表す目的で文の末尾に付けて使われます。

 この折紙は、「orz」を折鶴で表現しようとして作ったものです。上下とも普通の折鶴であり、ただ折り方を多少変えているだけです。

 『’13WEB公募書道展』(http://syo-do.net/2013/)には、すでに様々な愉快な作品が展示されていますので、皆さんもぜひご覧になってください。


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爪亭八楼(つめてー・やろう):「つまりは、『おりづる』が『オルズる』になっちまったってぇこってすな」

客席:「シーン」

八楼:「うぐっ! orz」



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平成25年(2013年)新年に寄せて

地平天成25-01
                                                          『地平天成25』

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 ブログのご覧の皆さん、明けましておめでとうございます。

 今回は歌の紹介をお休みにして、平成25年新年に寄せた折紙を掲載しようと思います。


 写真の折紙は、『地平天成(ちへいてんせい)25』と名付けた「つなぎ折紙」です。

 平成25年を迎えるに当たり、「平成」の名前の由来の一つとされる

   「地平天成(地平かに天成る)」(『書経』大禹謨)

に寄せて考案したもので、大鶴1羽、中鶴4羽、小鶴20羽の計25羽から成っています。

 下部に輪状に並んだ小鶴20羽は「地」を表しており、平らに広がった「地平」を示しています。そして、上部の5羽は「天」を表し、大きく翼を広げて「天成」を表現しています。

 この折紙も1枚の正方形の紙に切り込みを入れて折ったものです。用紙は、表裏が金銀2色になっている障子用和紙を用いています。

 「つなぎ折紙」の中ではあまり難しい方ではありませんが、ちぎれやすい所が沢山ありますので、和紙のようにちぎれにくい紙を使わないと失敗しやすいでしょう。


 一方向だけでは構造がわかりにくいかと存じますので、別方向からの写真も載せておきましょう。

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地平天成25-00

地平天成25-02

地平天成25-03

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 なお、以前に平成22年(2010年)を迎えた際にも、同様の意味合いで『地平天成22』という「つなぎ折鶴」を作ったことがありますので、その写真も併せてご紹介致します。

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地平天成22
                                                          『地平天成22』

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 これは、下部に小鶴20羽がある点では『地平天成25』と同じですが、上部が大鶴と中鶴の2段重ねになっており、難易度としては『地平天成25』よりも高度なものとなっています。



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折紙が大好きで、1枚の紙に切り込みを入れて折る「つなぎ折紙」に凝っています。
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