鳥の切手(字なし)01





















                                                        『鳥の切手』(字なし)

銀ちゃんのラブレター





















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『銀ちゃんのラブレター』

                                                            俵 万智 作詞

                                                         福田 和禾子 作曲



ぎんのじょうくんから ユリちゃんにおてがみ

でもぎんちゃんは じがかけません

だから はるには ふうとうに

さくらのはなを いれました



ぎんのじょうくんから ユリちゃんにおてがみ

でもぎんちゃんは じがかけません

だから なつには ふうとうに

ひろったかいを いれました



あかいポスト しろいふうとう とりのきって



ぎんのじょうくんから ユリちゃんにおてがみ

でもぎんちゃんは じがかけません

だから あきには ふうとうに

あかいおちばを いれました



ぎんのじょうくんから ユリちゃんにおてがみ

でもぎんちゃんは じがかけません

だから ふゆには ふうとうに

ゆきをすくって いれました



あかいポスト しろいふうとう とりのきって


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 前回、『この広い野原いっぱい』(http://blog.livedoor.jp/miyataatsushi-origami/archives/37550095.html)という歌をとりあげた際に、NPO法人『無派閥書道ネット』世話人でいらっしゃる『ふざん』さん(http://blog.goo.ne.jp/holms787)から、2014年WEB公募書道展(テーマ「夢」)(http://syo-do.net/2014/)への出品のお誘いを戴きました。今回の折紙は、同書道展への出品のために作ったものです。


 テーマが「夢」ということから、私は迷うことなくこの『銀ちゃんのラブレター』という歌に寄せた折紙を作ろうと決めました。

 この歌はNHKの『おかあさんといっしょ』という子供向け番組で流された歌であり、子供のみならず大人にとっても大いに感慨深い歌だと思います。今のところ、インターネットでもニコニコ動画のサイト(http://www.nicovideo.jp/watch/sm3149437)で聴くことができますので、ご存じない方はぜひ一度お聴きになってみてください(登録が必要な場合があります)。


 この歌に出てくる『銀ちゃん』とは、おそらくは「銀之丞(ぎんのじょう)」という名前の男の子だと思われ、まだ幼くて字が書けないので、四季折々の品々を送ってユリちゃんに気持ちを伝えようとしているのでしょう。私は最初、『ぎんのじょう』というのが名前だとは思っておらず、「銀野・丈」というような氏名なのかと思っておりましたが、歌詞をきちんと受け取ればやはりこれは「ぎんのじょう」という名前と考えるのが正しいのでしょう。

 銀ちゃんが選ぶ季節の品物といい、『あかいポスト しろいふうとう とりのきって』という節といい、非常に素朴な歌詞でありながら、そこはかとない趣きを醸し出すこの歌は、何とも夢にあふれた歌と感じずにはいられません。ここで

   「雪なんか入れたら溶けて封筒が濡れちゃうじゃないか」

などという無粋なツッコミを入れるような御仁は、爪亭八楼(つめてー・やろう)ならずとも座布団を取り上げて退場とするべきです。

 流石、歌人でもある俵万智(たわら・まち)ならではの歌詞と言えるでしょう。もちろん、福田和禾子(ふくだ・わかこ)作曲によるのどかな曲も、この歌の雰囲気を盛り上げるのにぴったりであり、決して悲しい内容ではないはずなのに、聴いていると思わず涙さえ出て来てしまいそうになるくらいです。


 この歌の詞は全てがとても気に入っているのですが、特に趣きがあると感じるのは、

   『あかいポスト しろいふうとう とりのきって』

というところです。俵万智はどのような気持ちでこの節を書いたのでしょうか? 『あかいポスト しろいふうとう』は当たり前にしても、『とりのきって』としたのには何かわけがあるに違いありません。私が感じるには、きっと

   切手の鳥が羽ばたいて手紙を届けてくれる

という想いが込められているのだと思います。そう言えば、切手に描かれる図柄に鳥が多いように感じるのも同じ理由からかも知れません。


 写真の折紙は、『銀ちゃんのラブレター』に寄せて作った「つなぎ折紙」であり、赤いポストに入れられた手紙の切手から鳥が羽根を広げて舞い上がる様子を表現しています。正方形の赤色の折紙用和紙1枚に切り込みを入れて折りました。白い封筒は、紙の裏面の白を使って表現しています。この「つなぎ折紙」は、以前紹介した『水辺の朝』(http://blog.livedoor.jp/miyataatsushi-origami/archives/36319482.html)や『春の息吹』(http://blog.livedoor.jp/miyataatsushi-origami/archives/36991568.html)と同様に、『秘伝千羽鶴折形』(秋里籬島(あきさと・りとう)著)の中の『鶺鴒(セキレイ)』という作品の技法を用いているのですが、これまでと違って、同技法を2回使っています。ですから、和紙でない紙では、ちぎれないように折り上げるのは困難と思われます。参考までに、真上から見た写真も載せておきましょう。

鳥の切手(字なし)02












































 『ふざん』さんにお誘い戴いた2014年WEB公募書道展(テーマ「夢」)は書道展ですから、当然、折紙だけではなく「書」がなくてはなりません。そこで、この『鳥の切手』の封筒に宛名を書き入れたものを出品することと致します。同書道展のサイト(http://syo-do.net/2014/)でも見ることができますが、ここでも掲載しておくこととしましょう。

鳥の切手(字あり)02
























鳥の切手(字あり)01







































                                                        『鳥の切手』(字あり)




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