労務ドットコム管理人の人事労務管理の「いま」

社会保険労務士法人名南経営 宮武貴美 公式ブログ

zu 昨日から臨時国会が始まりました。この国会では、継続審議となっている改正労働基準法等が議論されることになる予定であり、人事労務担当者は法案の行方に注目していく必要があります。そして、昨日、厚生労働省から老齢基礎年金等の受給期間の短縮等が盛り込まれた「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」(改正年金機能強化法案)が提出されました。

 現在の老齢基礎年金等については、原則として年金保険料を25年間納付した場合に受給資格が発生することになっていますが、逆に24年しか納付していない場合には、年金が全く支給されないことになっています。このため、25年未満の人については、無年金者となり場合によっては生活保護に頼るといった問題が発生しています。
 これに対し、平成24年の改正で、年金受給資格期間を25年から10年に短縮することが決定し、税制抜本改革の施行時期(消費税を10%に引上げた時点)施行されることになっていました。このため、消費税の引上げが先送りとなったため、施行も先送りとなっていました。
 今回のこの改正年金機能強化法案では、消費税の引上げ前に受給資格期間の短縮ができることが盛り込まれています。具体的には、消費税の引上げとは切り離し、平成29年8月1日からの施行となっています。これにより平成29年9月分の年金から受給期間が10年以上25年未満の人にも年金を支給されることが予定されています。この引上げにより40万人の人が対象となり、年間約650億円が所要額として必要になると見込まれています。無年金の問題は喫緊の課題として位置づけられていますので、成立に向かうのではないかと思います。

 人事労務に直結する問題ではありませんが、従業員の中には関心がある人もいるかと思いますので、こちらの法案の行方にも注目しておきたいところです。


参考リンク厚生労働省「第192回国会(臨時会)提出法律案」http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/192.html

60 現状の労働法では、定年を定める場合には60歳以上とし、定年を65歳未満に定めている場合には、65歳までの安定した雇用を確保を行う必要があります。具体的には、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を取ることになりますが、多くの企業では継続雇用制度の導入に留まっています。

 その理由としては、一旦、60歳で定年という線を引くことで、職務内容や賃金などの労働条件を見直したり、退職金を清算したり、もしくは60歳以降の継続雇用に適さない人の雇用を終了したりする目的があります。しかし、継続雇用を希望する定年に達した人を、多くの企業が65歳まで継続的に雇用しており、また、同一労働同一賃金の流れの強化から、60歳以降の職務内容と賃金等の関係性については慎重な対応が求められるようになってきました。また、今後、労働力人口の減少が到来することは間違いなく、女性と高齢者の活用については、連日のようにメディアでその重要性が伝えられているところです。

 そのような中、今日のメインブログでも取り上げたように「65歳超雇用推進助成金」が今後、新設される予定であり、パブリックコメントとして出された情報によると、65歳への定年引上げを実施した事業主に対し、100万円の助成金が支給される予定です。定年の引上げ等については、すでに「高年齢者雇用安定助成金」が設けられていますので、この助成金との違いがどうなるのか気になるところですが、高齢者の雇用について考える時期が到来しており、このような助成金を利用しながら、真剣な議論が必要になってきています。

zu 転職者が会社を辞めた理由は、労働条件(長時間労働)の問題があったり、人間関係に問題があったりと本当に様々です。私自身、転職を2回しているのですが、基本的にはキャリアアップ(キャリアチェンジ)をしたかったというものがあります。

 さて、そのような転職の際に問題になることが多くあるのが、転職後の給料です。「給料等収入が少なかった」ことが理由となり転職を選択する人が、男性で10.5%、女性で10.0%いるとのことです

 それでは、転職前後の給料はどうなっているのでしょうか。厚生労働省が公表した「平成27年雇用動向調査結果」では、平成27年1年間に転職入職した人の賃金変動について確認することができますが、その結果は以下の通りとなっています。

 [前職の給料に比べた割合]
  増加した 35.6%(1割以上の増加 25.1%)
  変わらない 28.6%
  減少した 33.4%(1割以上の減少 23.8%)

 特に19歳以下の50.3%、20~24歳の45.1%は増加した人が多く、若年層は給料が低額となっている企業が多く、転職により給料が増加することが少なくないことが想像できます。

 今では転職も珍しくない時代になりました。ただし、転職は、その理由と転職後の労働条件等をきちんと見極めて行いたいものです。

参考リンク
厚生労働省「平成27年雇用動向調査結果の概要」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/index.html

zu 私の後輩たち中心になって運営をしている「名古屋社労士探究会」という社労士の集まりがあります。この会は、中部の若手社労士が相互に刺激を受け、実践力を高めることを目的に立ち上げられたもので、すでに35回も勉強会が開催されました。

 その35回目の勉強会では、後輩から講師を依頼されたこともあり、「先輩社労士に聞く!顧問先からの相談対応と情報提供の秘訣」の情報提供編ということで、20分程度ですが、講師を務めました。

 普段、労務ドットコムブログ大熊社労士ブログ等を執筆し、メルマガで情報発信をしていることから、そもそも情報をどのように収集し、提供するかという観点からお話しました。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました!
終了後は大好きなビールをたくさん飲んで楽しく盛り上がりました。次回は9月15日に弊社の小山が「社労士業務の光と影 社労士キャリア35年目からの俯瞰」というテーマで講師を務めます。この機会でしか聞くことのできない内容になりますので、ぜひぜひ、ご参加ください!

hikaku 今年以降の最低賃金は毎年全国平均3%の引き上げがめど等ということで、10月の最低賃金見直しに向けて今後、議論が白熱するものと思われます。また、一億総活躍社会ということで、同一労働同一賃金もかなり話題になってきました。

 それでは、そもそも働く人の時給はどのようになっており、正社員とパートタイマー(短時間労働者)の時給あたりの賃金の差はどうなっているのでしょうか?その問いに対しては左のグラフが参考になります。

 左のグラフが一般労働者の時間当たりの賃金分布(愛知県)になります。1,000円当たりから増えてきて、約1,200円が最も多く、1,200円を超えている人も相当数います。分布の中心は1,000円から1,500円(1,500円以上はグラフ上省略)だということが分かります。一方、右のグラフの短時間労働者を確認すると、現在の愛知県の最低賃金である820円が最も多く、次が900円となっています。1,000円を超える人もいますが、分布の中心が820円から1,000円当たりまでとなっています。

 正社員は長期雇用で毎年昇給があるため、時間当たりの賃金額も上昇していく。パートタイマーは、短期間の人もおり昇給がなかったり、あったとしてもその幅が小さい。そのため、このような分布になっているということが容易に想像できます

 この資料は、厚生労働省の平成28年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会に出されているものです。職務の内容等は考えずに、このような資料のみを見ると、最低賃金の引き上げをし、賃金の底上げすると共に、同一の労働には同一の賃金を払うように推進することが必要だよね、と思いますね。ただ、実際には「同一価値の労働」というものをどのように判断し、長期雇用に基づくその人の将来を見据えた人材活用をどう考え、限りある賃金原資をどのように配分していくのか等、難しい問題であるため、慎重な検討が求められますね。

参考リンク
厚生労働省「平成28年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000130317.html

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