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ミヤザキケンスケ オフィシャルブログ

カテゴリ: OVER THE WALL

来週佐賀でウクライナ壁画プロジェクトの報告会を行います!
ぜひぜひお越し下さい!!

ウクライナ壁画プロジェクト報告会 in SAGA
日時 8月11日(金)10時〜12時 
場所 佐賀県国際交流プラザ
内容 ミヤザキケンスケによる活動報告会
   参加型ワークショップ
   ウクライナの子供たちの作品展示
   
Over the Wall 世界壁画プロジェクト×ミヤザキケンスケ作品展
日時 8月11日〜21日 最終日は17時まで
場所 佐賀玉屋 本館六階催事
内容 Over the Wallの活動報告展
   ミヤザキケンスケの作品展
   参加型壁画ワークショップ

※8月20日14時からはウクライナ出身のバンデューラ奏者、カテリーナさんの演奏とOver the Wallメンバーからの活動報告があります

ウクライナ壁画プロジェクト報告会
日時 9月30日(土)17時から
場所 中目黒ビオキッチンスタジオ
内容 ウクライナ壁画プロジェクトの報告
   ウクライナの子供たちの絵の展示
   プロジェクト写真の展示

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無事に成田に到着し、飛行機で書いていた文章をアップします。


ウクライナ壁画プロジェクトを振り返って

 強い日差しが差し込む荒れたグランドで、逃げ場もなく正面から太陽の光を浴びて立ち続ける。少しの変更をするために、10メートルもの足場をよじ上らなければならない。気づけば足は傷だらけ、勢いをつけて一気に最上階まで登ると、遠くにうっすらアゾフ海の港と、無数の煙突が見えた。この街のにおいは鉄のにおいだとタクシーの運転手がいっていた。ギリシャにルーツを持つこの港町には、ソビエト時代の製鉄所が異様な存在感を放っている。その労働者のために作られた団地群は老朽化が進み、さらに3年前の砲撃で大きな被害を受けていた。
 ウクライナ、マリウポリでの壁画制作は、これまでにない緊張感で行われた。ほんの数キロメートル先はいまも戦闘が行われている警戒地域でありながら、ドネツクなどから移動して来た4万人もの国内避難民を受け入れている。現地UNHCRの協力のもと、「City of Solidarity 」をテーマに一年に渡って準備を進めて来た。はじめてこの町に着いた日は大雨で、戦線のために封鎖されたゲートや、生々しい砲撃の痕に不安を感じたが、制作を進めるごとに近所の子供たちが遊びに来るようになり、言葉が通じないなりにコミュニケーションを取れるようになった。

「コンニチワ! アリガトウ!」 

「ドーブリディーニ!スパシーバ!」

お互いに知っている言葉はこれだけだが、このやり取りを続けるうちに徐々に町にとけ込んでいった。様々なメディアに取り上げられたこともあり、地元ではちょっとした有名人になっていた。
 壁画には平和を願う気持ちが込められている。ウクライナの童話「てぶくろ」をモチーフに、大きな手袋の中で様々な民族、宗教、職業の人たちが肩を寄せ合っている様子を描いた。手袋の上に描かれた大きなイースターエッグからは、人々の温かさでひよこが孵っている。そしてそのひよこは成長して大空を羽ばたき、今度は人々に幸せをもたらしている。
 日本とウクライナ国交25周年という節目の年に、日本とウクライナの架け橋となる壁画を残すことが出来たことを大変感謝している。この壁画がこの町の平和のシンボルとなり、この先も多くの人の心に温かい気持ちを与えてくれればと願う。
 
2017年8月1日 Over the Wall アーティスト
ミヤザキ ケンスケ

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 キエフに帰ってきました。懐かしいこの雰囲気、1ヶ月前はここにバブさん、福井君、齋藤先生がいました。毎日みんなで自炊して、大変だったけど充実した日々。キエフとマリウポリでは全く違う経験をしたような気がします。それらの日程も全て終わり、あとは明日日本に帰るのみです。
 日本大使館に報告へ上がり、その後カテリーナさん、イェゴールと別れました。特にイェゴールはこの一ヶ月ずっと一緒だったので、いなくなるととても寂しく思いました。

「ウーン、ソウデスネー」

「ソウトハ言エマセンガ」

「イエイエイエ」


 数々のイェゴールの口癖がみんなの頭に残っています。最後に行ったこれまでで一番のグルジアレストランもなぜかあまり盛り上がらず、この4人にはイェゴールが必要だったんだなと改めて思いました。明日の夜の便で日本へ帰ります。この一ヶ月、大変ではありましたが振り返ると大きな満足感があります。まずは無事に日本にたどり着き、少しずつ自分たちが行ったことをまとめていきたいなと思います。


 
 

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 今日はカテリーナさんの田舎でコンサートに参加することになっていました。朝寝台でキエフに到着して、そのまま車でラジルキ村へ向かいました。ラジルキ村はとてものどかな場所で、アヒルや鴨が列をなしてとことこ歩いていたり、牛などの家畜がそこら中で草を食べていたりします。
 夕方までゆっくりした後、コンサートは始まりました。僕はライブペインティングしていたのですが、カテリーナさんだけでなくたくさんの催し物が行われていてとてもカルチャーショックを受ける楽しい会でした。しかし今日記すべきことはコンサートよりもむしろその後でした。。。
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 コンサート後に歓迎会という形で近所のレストランにて村の人たちのごちそうしていただいたのですが、そこでとんでもないことが起こりました。始まりは静かな感じで乾杯をして飲んでいたのですが、飲み物はウォッカORコニャックという2択。地元の人たちはとんでもない勢いで杯を重ねていきます。
僕らはさほど酒が強いわけではなく、はじめはゆるゆる飲んでいたのですが、町長のサーシャに火がついて、気づけば巻き込まれる形でウォッカの一気飲み大会が始まってしまいました。。
 世界どこでも酒を飲めば飲むほど仲が良くなるわけで、結局は20杯ほど飲んだ時点で僕らは全員ぶっ飛んでしまい、最後には全員とハグをしながらウクライナの国歌を熱唱していました(笑)。帰りの田舎道は街頭がなく、とんでもない数の星を見ながらふらふらの千鳥足で家にたどり着きました。

 これまで誰よりもクールだったイェゴールが一番弾けて、「フオー!!」っとHGのような声を張り上げて徘徊していました。家にたどり着いても、トイレに行きたくてなぜか窓から外に出ようとガタガタ音を出して家族の方を起してしまうという壊れっぷり。天才の二面性があらわになった貴重な瞬間でした。
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※カメラマンもつぶれてしまったため、携帯写真しか載せられずすみません







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 今日はついに壁画のお披露目日でした。朝学校に着くとすでにたくさんの人が集まってくれていました。心配されていた雨も上がり、多くの人たちと一緒に完成を喜べること、とても嬉しく思いました。
 この1ヶ月で知り合った多くの人々、新しく来てくれた人たち、みな本当にこの壁画の完成を喜んでくれているのが分かり、心から感動しました。UNHCRウクライナ代表のパブロ、マリウポリ市長、日本大使館の筒井さん、第68学校の校長先生、皆様に素晴らしいメッセージをいただきました。
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 僕は皆様にお礼を伝えると共に、この一年間構想を練って制作した絵のテーマを伝えました。イェゴールが翻訳をしてくれたのですが、皆に僕たちのメッセージが届いた実感がありました。そして最後には日本から駆けつけてくださったバンドューラ奏者のカテリーナさんの演奏。彼女が歌った「上を向いて歩こう」はまさに僕が届けたいメッセージでもあり、マリウポリの人たちにこの壁画を時々見上げて元気を出して欲しいと思いました。
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 UNHCRマリウポリのディヌ、ローマン、イリーナには本当にお世話になりました。このお披露目のために駆けつけてくださったパブロと千田さん、強行スケジュールで来てくださった大使館の筒井さん、マリウポリ市の皆様、第68学校の皆様、本当にありがとうございました。名前を挙げるときりがないのですが、本当に多くの人に応援してもらいました。そして何より日本からサポートしてくれたプロジェクトメンバーには早く今回のプロジェクトのすばらしい成果を伝えたいと思っています。
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 最後に名残惜しかったのですが壁画に別れを告げました。ウクライナの日差しは強く、炎天下の中一人グランドから絵を眺めていたこと、大雨が降ってびしょぬれになったこと、学校の周りにはレストランがなく、毎日粗末な昼食を食べていたこと。。。今となればみんないい思い出です。苦しいことを避ける生き方もあります。しかし苦しさを乗り越えた経験は人を強くします。今回は環境的にはかなりハードな制作でした。しかし仲間とそれを楽しむ努力をし、どんなときもみんなポジティブに、力を合わせることが出来ました。最高の仲間と、最高の経験が出来て、最高の壁画まで残せる。改めてこのプロジェクトは最高だ!!っと思いました。
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 マリウポリを後にして、ザポリージャで一つトークイベントを行いました。現地ではすっかり有名になった僕たちのプロジェクト、ここでも大きな手応えを感じることが出来ました。その後寝台列車に飛び乗り、キエフへ移動しています。明日の朝キエフにつき、その後カテリーナさんの故郷へ向かいます。もう少しだけ僕たちの旅は続きます。
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 いよいよ明日は壁画のお披露目です。UNHCRウクライナ代表のパブロ、ウクライナ市長、日本大使館からも筒井二等書記官が来てくださいます。今日はその準備として子供たちの絵の展示を行いました。

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 明日マリウポリからキエフへ向かいます。3週間という長い期間を過ごしたマリウポリ。非常に実りの多い滞在期間でした。実はこの街はロシアに近く、現在もロシアをサポートしている人たちが過半数を超えると言われています。日本での報道は西側からの報道が多く、なぜロシアに傾くのか分からない部分もありますが、ソビエト時代を知る人に話を聞いた時に納得する部分もありました。
 社会主義とは平等な世の中を作る思想で、実際にソビエト時代は教育や医療は無償で提供され、特に労働階級の人たちにとっては安定した生活が送れた時代だったといいます。流通するモノは限られますが、格差が広がってしまった今よりはずいぶんとマシだったという人がいました。そしてウクライナという国が出来て25年が経つが、母国愛を感じるか?と聞くと、「まったくない」と回答をする人もいました。
 ウクライナは第二次世界大戦を東西に別れて戦った歴史があります。ゆえに東側と西側で大きな溝があり、考え方にも差があります。マリウポリの人はほぼ100%がロシア語を話し、ウクライナ語はほとんど話されていません。同じウクライナでも西側のキエフとは全く違った考え方があることも今回初めて実感できたことでした。

 僕が描いた壁画はただの理想かもしれません。しかしアーティストは理想を表現するものだと思います。考え方の違う人たちがこの世界でいかに共存していくか、ウクライナに限ったことではなく、今世界中に突きつけられたテーマだと思います。考え方の違いに国境を引くという考え方もあります。しかし僕たちは常にそこに出来る壁を越えるような活動を行っていきたいと思います。アートだからこそ出来ること、きっと今の時代にはたくさんある気がしています。
 明日はいよいよ最終日、最後までしっかりと努めようと思います。

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 壁画の完成の様子を大公開です!!

 まずは今回の壁画のテーマである「てぶくろ」についてです。てぶくろはウクライナの童話で、日本でもよく知られています。おじいさんが落とした手袋にいろんな動物達が入って温め合うというお話なのですが、UNHCRがマリウポリ市で掲げる「City of Solidarity」のコンセプトにマッチしていると思い、手袋の中にいろんなウクライナの民族衣装を着た人たちを描きました。マリウポリ市は現在たくさんのIDPs(国内避難民)の人たちを抱えています。そうした新しく移って来た人たちとの共存を表現したくて多種多様な人たちを描き込みました。この作業が一番大変でした。。。
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 次にメインとなるのがウクライナ発祥のイースターエッグです。地方によって模様が違うようですが、細かい装飾まで描き込みました。この作業の大部分はミヌクが担当してくれました。彼はこれまで絵を描いた事がなかったのですが、本当に我慢強く丁寧にがんばってくれました!この大きなイースターエッグは、てぶくろの温かさでヒナに孵ります。人々の温かさが新しい生命を育むというイメージです。
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 そしてヒナはいつか大空を飛び、世界を明るくするというイメージです。花が咲き、虹がかかり、曇りから青空へと変わっていく様子を表しています。イメージ画と比べれば一目瞭然ですが、全体的にものすごく明るくなっています。最初寒いウクライナの冬をイメージしていたのですが、実際に僕らがいた期間はとても熱く、冬に合わせた絵を描く気にはなれませんでした(笑)。またイメージ図よりてぶくろを大きく描いたのは、一人でも多くの人をてぶくろの中に描き入れたいという気持ちの表れでした。
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 このコンセプトはウクライナの人に理解してもらえたようで、毎日いろんな人が声をかけてくれます。言葉は分からないけど喜んでくれていることは分かり、僕も嬉しくなります。言葉は通じないけど、絵で伝えられることはきっと言葉以上にあったと思います。
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 最後にこのプロジェクトを行うにあたってご協力いただいた皆様の名前を記しました。助成していただいた国際交流基金様、東京倶楽部様、この絵を描くためにペンキを提供いただいた関西ペイント様、ワークショップの絵の具をご提供いただいたサクラクレパス様。素晴らしい場所を用意してくれ、サポートいただいたUNHCRの皆様大変お世話になりました。そして今回は多くの企業、個人サポーターからも支えていただきました。
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日本で応援してくれている方々、メンバーのみんな本当にありがとう。悔いなく筆を置くことが出来ました。とにかく、、、ありがとう!!

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 その時が来ました。これまでで最大の壁面を前に、最後の一筆を入れました。永遠に思われる作業に終止符を打ち、遠いウクライナの日本人が一人もいない街での3週間に渡る壁画制作が終わりました。描き終えて思った事は、「絵が好きだ」ということでした。

 僕は子供の頃から絵が好きでした。絵は僕にとって自分の想像を形に出来るとても楽しい遊びでした。しかし中学生ぐらいになると、上手に描くことが絵の優劣だと教え込まれ、次第に絵を描くのが楽しくなくなってしまいました。大学で絵の勉強をして描く技術はついたものの、子供の頃のように楽しくは描けていなかったと思います。
 卒業後ロンドンへ渡り、帰国してからも国内外で活動を行ってきました。2年前に起したOver the Wallではケニアと東ティモールに壁画も残しました。それらの活動全てに全力で取り組んできましたが、果たして絵を楽しんでいたかというと、必ずしもそうではなかったかもしれません。楽しむ以前に必死だったように思います。

 今回はたくさんのスタッフが支えてくれたおかげで、毎日ただ絵を描く事だけを考えればよい日々でした。「明日はああしてみよう、こうしてみよう」いつも寝る前に考えては、朝一番でそれを実践していました。自分が考えたアイデアを毎日毎日形にして、すこしずつすこしずつ絵にしていく、それは本当に幸せな時間でした。もちろん体力的に大変な部分はありましたが、それ以上に想像を形にする楽しさが何倍も勝っていました。壁画を描いている時の僕は、きっと絵が大好きだった子供の頃と同じ顔をしていたに違いありません。

 明日足場を解体し、最後のサインを入れます。長かったマリウポリでの生活も終わろうとしています。明日壁画の全容を公開しますね!
 
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 ついに「Ukraine Mural Project」という文字を壁画に記しました。その瞬間、フラッシュバックのようにこの一年間の思いがよみがえってきました。この話を持ってきてくれたUNHCRの千田さん、サポートしてくださった全ての方々、マリウポリ市というまだ見ぬ戦線からほど近い町にいくという事で、覚悟を持ってプロジェクトに望んできました。いろんな思いが交錯する中、いまそのタイトルを壁に記す事が出来ました。3人のウクライナ人のワーカー、先に帰ったバブさんと福井君、駆けつけた慶輔、ずっと時間を共にしたイェゴール、チャンハン、ミヌク、みんなの力でこの大きな壁面をいま描き終えようとしています。
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 とりあえず言える事は、今まで生きてきた38年間で自分が表現したかったことを、今出来る全ての力を使って表現できたと思います。明日壁画は完成します。その瞬間自分自身がどう感じるか今はまだ分かりません。しかし全ての力を使い果たして日本に帰ることが出来そうです。

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 気がつけばウクライナ滞在もあと一週間になりました。壁画完成まであと3日。今日は一番時間をかけていた手袋の中の人々を描き終えました。この手袋の中には様々な人たちが入っています。ウクライナの様々な地方の人たち、ギリシャ人、ロシア人、日本人、韓国人、アフリカ人、相撲レスラーもいれば侍もいます。そしてマリウポリの製鉄所で働く人たち、漁師、先生、生徒、実際に遊びに来ていた子供たちの似顔絵。。。
 人の存在には力があります。それが絵であろうとも、人々が集結するとエネルギーを感じる事ができます。様々な人種が共存する世界、それぞれの個性はそれぞれの魅力として発信できる世界、これはマリウポリに関わらずいま世界中で求められている事。この絵に込めたのはまさにこの町でUNHCRが掲げている「City of Solidiarity」の精神です。

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 実際にこの壁画を描くにあたり、想像以上の体力と精神力を使いました。ゴールを決めず描きながら考えるという無謀なプロセス、100平米に面相筆でひたすら描き込んでいくという気の遠くなるような作業。もう一度やれといわれても絶対に嫌だ!っといいたいです(笑)。でもこの作業が出来てしまうのはやはり壁画だからだと思います。壁画にはやはりそれだけの魅力があり、やりがいがあります。人生であと何枚こんな作品が描けるか分かりませんが、少なくともこれまで描いてきた中で一番力を入れた作品になりそうです。

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