メメント

　コチラの「メメント」は、最初に結末を見せて徐々に物語の始めに戻るっていう、いわゆる遡り系のサスペンス映画です。起承転結でいう"起"―コトの起こりにこそ謎の答えがあるのですね。

　保険の調査員だったレナード（ガイ・ピアース）は、愛妻（ジョージャ・フォックス）を殺され、その犯人を追っているのですが、その事件以降、新たな記憶は10分しか保てない前向性健忘という記憶障害を患っていたんです。

　そして、そのレナードの物語をレナードの記憶が失われる毎に区切って、逆順に進行するよう再構築する事によって、記憶障害のあるレナードと同じ感覚を観るモノにも味あわせてくれます。

　特典映像には、この遡りを更にリヴァース・シーケンス―つまりは順序通りに見られるパターンってのも入っているのですが、順序通りに見ていけば、何てコトはないのに、逆順に進行されているだけで、こうもややこしく面白くなるのか！と不思議な気分を味わえちゃいました。

　そういう意味でも、「バットマン・ビギンズ」のクリストファー・ノーラン監督の確信犯的な作品ですね。確かコレは遡り系だったよな〜と分かっていて観始めたのですが、それでもこの映画のルールに馴染むまで、ちょっと時間を要しちゃいました。

　そもそも「博士の愛した数式」でも扱われていた前向性健忘ですが、自分が記憶障害だという記憶は何故憶えていられるんだろう？(´▽｀*)ｱﾊﾊ って、そんな野暮なツッコミを入れだしたら、結構キリがなくって、10分とは言ってもちょっとアヤフヤで、アレ？今回10分以上は確実に経ってるよね？とか、オチに関してもちょっと謎が残っちゃったりするんですね〜。

　でも、全体としては、かなり面白い楽しめる映画だと思いました。妻を殺した犯人を追うために、記憶の保てないレナードが、記憶ではなく記録を頼りに手掛かりを掴んで行く。出会う人、泊まるモーテル、自分の車をポラロイドで撮影し、そのポラロイドにはメモ、体にはタトゥーを刻んで、記録を残そうとするんだけど、その記録がどういう意図で残されたものなのか、レナードにも観ているものにも分からないのです。

　遡るコトでその状況は、徐々に明らかになっていくものの、"DON'T BELIVE HIS LIES"とポラロイドに書かれたテディ（ジョー・パントリアーノ）をはじめ、いかにも怪しげで一筋縄ではいかなそうな登場人物たち―誰を信じて誰を疑えばいいのかに関しては、お話が遡るにつれ、明らかになるどころか、どんどん謎は深まってしまうんですね。

　レナードの記憶障害を悪用して、自分の利を得ようとするヤツらばっかり(´▽｀*)ｱﾊﾊ 信じちゃダメよ〜！と観ている自分が、結局一番騙されてしまうのです。記憶は自分を騙す･･･だから記録を信じろ。でも、記録が嘘だったら？何を信じて生きていけばいいんだろう？(/ω＼)

◆ title: MEMENTO(2000/アメリカ)
◆ date: 2007.03.11
◆ director: Christopher Nolan
◆ performer: Guy Pearce/Carrie Anne Moss/Joe Pantoliano/Mark Boone Jr./Stephen Tobolowsky/Jorja Fox

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Comments

1. Posted by にゃむばなな   2007年03月16日 22:09

まるでパズルを完成させていくかのように、徐々に頭の中でストーリーがつながっていく様は見事でしたね。
なんてことのない話を編集ひとつでここまでおもしろく見せることができるのは、やっぱり映画だけの特性だと思います。

2. Posted by nigera   2007年03月16日 23:01

これはwowowでやってましたよ。
面白そうですね〜。
こんな内容だったら是非録画しとけばよかった。
記憶障害･･･うーん解る。
時々あるものね。
だからメモれって！！あはははは

3. Posted by あっしゅ   2007年03月17日 00:10

こんばんわ！

おぉ〜！結末から始まって最初に戻るっていう斬新な展開ですね！
ボクが見た中で結末から始まる映画は「アレックス」と「ふたりの５つの分かれ路」がそうでしたよ！
よーく把握しながら観ないとワケがわからなくなっちゃいますよねぇ〜！

記憶が無くなる人が記録で犯人を追いかけていくという設定も面白いですね！

4. Posted by Kaz.   2007年03月17日 01:14

これも傑作ですなぁ〜。
この監督の、この前作「フォロウィング」も面白いよ〜。

やっぱ時間軸を操ってるけどね。v(￣Д￣)v

5. Posted by miyu   2007年03月17日 21:23

＞にゃむばななさん
そうなんですよねぇ〜。
リバース・シーケンス・ヴァージョンで
観ると本当大したことのない
うっかりさんのお話なのですが、
コレを遡りで再構築しちゃうと
観ているモノも同じうっかりさんに
なれちゃうんだからスゴイですよね。

＞nigeraさん
そう！でも、そのメモがどうゆう状況で
どうゆう意図で書かれたものかを
思い出せないととんでもない勘違いを
産んじゃうことって実際にもありますよね(´▽｀*)ｱﾊﾊ
またWOWWOWで放送するかしら？
その時は是非〜♪

＞あっしゅさん
コレは結構面白いから引き込まれてしまいますよ〜♪
こうゆう遡り系って観ていて
疑問に思っちゃうところとかあるから、
自然と引き込まれてしまいますよね。

＞Kaz.さん
ほぉ〜。前作もですか。
今度チェックしてみますね♪

6. Posted by 間諜Ｘ７２   2013年06月20日 07:51

新しい記憶から辿っていく。
こう言う手法。昔、マンガで見た事があります。
公開当時、斬新な映画だったでしょうね。
ガイ・ピアースよりもジョー・パントリアーノの方が印象に残りました。
「彼の死が物語の始まりであると同時に結末でもある。」
そうなんですよね。