2007年06月01日

ピアニスト

ピアニスト
 コチラの「ピアニスト」は、2001年カンヌ映画祭でグランプリ(審査員特別賞)、主演女優賞(イザベル・ユペール)、主演男優賞(ブノワ・マジメル)の3冠に輝いたラブ・サスペンスです。ついにミヒャエル・ハネケ監督作品デビューを果たしてしまいました。

 厳格な母のモト厳しく育てられたエリカ(イザベル・ユペール)は、ウィーン国立音楽院のピアノ教授の中年女性、現在も母親(アニー・ジラルド)と2人暮らしで、常に監視され抑圧された生活を送っていました。

 そんなエリカの前に現れる若く情熱的で才能に溢れる青年ワルター(ブノワ・マジメル)、彼の演奏を初めて聴いた時の悦びを噛み殺すようなエリカの表情がとても印象的です。エリカは、自分の欲望を解放するコトを怖れているようにも、抑圧自体に快楽を感じているようにも見えました。

 抑圧からの解放、その瞬間にこそ快楽があるのだろうけど、抑圧し過ぎてしまうと解放出来なくなったり、とてつもない不快感に襲われるコトがあります。エリカは常にその不快感を感じているようで、とても観ていて辛くなるんですね。

 ワルターに言い寄られ、エリカは自分の欲望を手紙に綴るのですが、それを受け入れてもらえなかった時に、彼女の欲望は再び抑圧され、それを強いたワルターへ今度は執着心を持つようになります。

 で、実際にその時、嘔吐して初めて彼女は常に感じていた不快感から放たれるんだけど、今度は憧れにも似た愛情を抱いていた相手に変態的な欲望の対象とされ、不快感を募らせたワルターはエリカを傷つけ、そしてエリカは再びワルターを支配しようとするんだけど、彼の魔法が解けてしまっているのを感じ、その刃を自分自身に向けてしまうのですね。

 その時のエリカの表情が何とも言えない印象を強く残すのですが、他にも左下に目線を落として考えたりと、表情の演技の素晴らしさを感じられる作品でもありました。ちなみに、左下に目線を落として考える時って、自分自身と対話しているような状態なんだそうです。

 倒錯した欲望を秘め、屈折した愛情を抱く滑稽なまでに痛々しいエリカを見ていると、とてつもない不安感を感じて、胸が締め付けられるようでした。子供から大人になると、少なからず環境の変化があり、その反動が出るコトってあると思います。例えば、長子でガマンを強いられる環境だった場合、大人になりワガママになってしまったり、欲しいモノを全て与えられるような環境でなかった場合、"大人買い"に走るようになってしまったり。。。はい、あたしのコトです(´▽`*)アハハ

 そんな風に子供時代ってたくさんのものに守られている分、案外抑圧されていて、意外と不自由が多かったんですよね。ずっと子供でいられたらいいのに、なんて言いますが、ピーターパンって実在したら、エリカのようなのかもしれません。

◆ title: La Pianiste(2001/フランス・オーストリア)
◆ date: 2007.05.28
◆ director: Michael Haneke
◆ performer: Isabelle Huppert/Benoit Magimel/Annie Girardot/Anna Sigalevitch/Susanne Lothar/Udo Samel

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この記事へのコメント

1. Posted by にげら   2007年06月01日 23:39
すごいです、miyuさん。
深層心理の掘り下げ方。
アンポンタンの私は、そんな風には理解できませんでした。
とても主人公を理解できなかった。
う〜〜ん、こりゃあ、見直しが必要ですわね。
2. Posted by Kaz.   2007年06月02日 01:15
いやぁ〜〜、お見事です。(・ω・)bグッ

痛すぎる映画だけど、これは凄い映画だよね。もうその言葉しか出てきません〜〜。

・・・これでハネケ映画はOKだね。( ̄∀ ̄*)
3. Posted by あっしゅ   2007年06月02日 01:25
はぁ〜い!
ボクも大人買いしてますぅ〜!
小さい頃はあまり好きなもの買ってもらってなかったので、、、。
気持ちいいよね、衝動買いって、あはは(笑)!

コノ映画の主人公はすごく演技派のようですね!内容的にはちょっとエロティック???
4. Posted by miyu   2007年06月02日 21:36
>にげらさん
いやいや(ノ´∀`*)ハズカシー
スゴくなんかないですよ。
あたしも1度しか観てないので、
次に観たらまた感じ方が変わるかもしれませんが、
観終わって色んなコトを考えたり、
改めて感じたりする映画でした。

>Kaz.さん
OKでしょうか?
Kaz.さんの後をついでハネケ祭しちゃおうかしら(´∀`*)ウフフ
ご紹介ありがとうございました!

>あっしゅさん
そうですね。エロティックです。
あっしゅさんはあんまり好きなタイプの
映画ではないかなぁ〜?
大人買いって楽しいよね。
でも、ここのお店では1個だけって決めて
自分で縛りをつけて買い物するのも意外と楽しい!(´▽`*)アハハ
5. Posted by メル   2009年06月04日 08:12
ほぉ〜、左下に目線を落として・・ってときは自分自身と話してるような時なんですね〜。
意識してなかったけど、自分もそうしてるのかな?

miyuさんが記事の途中で書いてらっしゃる、長子で・・から以下の文、まさしく私だったりもします(^_^;)

エリカはこの40を過ぎるまで、抑制から逃れられてなかったんですよね〜・・
彼女を見ると苦しくもなり、哀しくもなり、可哀想にもなり・・でしたが、やはりお母さんの責任は重大だと思いました。

ハネケ監督の新作、私も楽しみです♪
ちょっと怖いような気もするけど(^_^;)
6. Posted by miyu   2009年06月04日 09:29
>メルさん
左下にってのは、本で読んだのですが、
確か右上は記憶を辿るだったかな?なんか
脳にもなんとか中枢みたいに場所によって働きがありますよね?
それの影響だと思うのですが、そうゆうことみたいです。
ハネケ監督の新作やっぱり怖いですよね〜。
怖いもの見たさかなぁ。
7. Posted by latifa   2009年08月05日 14:09
miyuさん〜す、すごい!!
今この映画を見終わったばかりなんだけれど、ここまでちゃんと順を追って2人の深層心理を把握してるなんて〜〜!!!
miyuさんって若いのに、すごくなんていうか大人な所があるよね。学生時代から、ちょっとそういう処あったの?精神年齢が高いというか・・。

で、
>長子でガマンを強いられる〜〜欲しいモノを全て与えられるような環境でなかった〜〜あたしのコトです(´▽`*)アハハ
 って書かれてるのを見て、ギクッ。私もだよ・・・(+_+)

感想書きにくい映画だけど、もし書いたらTBさせてね♪

PS きっとmiyuさんのダーリンは、miyuさんの事をぜ〜〜んぶ受け止めてくれるめっさ優しい人な予感☆

8. Posted by miyu   2009年08月05日 14:54
>latifaさん
うん、この映画ってあたしにオススメって言われて観たもんだから、
結構気負いがあったのかもね。
だから、きっと必死に理解しようとしたんだろうなぁ。
でも、おかげですごくハマったんだよね。
精神年齢はすごく低いです(´▽`*)アハハ
でも心理的考察とかって好きなんだよね。
そうそうダンナちゃんはそんな精神年齢の低い理屈こねこねのあたしを
受け止めてくれてると思います( ´艸`)
9. Posted by ミカ   2010年01月07日 16:32
あけましておめでとうございます。
この作品、全然意味が分からなくて
miyuさんのレビューを読んで
なるほど・・・と、理解できたような気がします^^;
殆どTBのみのお付き合いですが
今年もどうぞよろしくお願いします。
10. Posted by miyu   2010年01月07日 16:35
>ミカさん
あけましておめでとうございます〜♪
旧年中はたいへんお世話になりありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願いしますね。
いやぁ〜あたしもちゃんと理解しているわけではないのですが、
なんかそんな感じがしたような気がしただけかもですW

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