2008年07月02日

サルバドールの朝

サルバドールの朝
 『もっと、生きたい。

 コチラの「サルバドールの朝」は、1970年代初頭フランコ独裁政権末期のスペインで完璧な自由を求め、25歳の若さで不当な判決により、バルセロナ・モデロ刑務所で1974年3月2日午前9時40分、鉄環絞首刑<ガローテ>という残虐な方法で処刑された実在のサルバドール・ブッチ・アンティックを描いた”真実”の物語です。

 主演は、「パリ、恋人たちの2日間」で短い出番ながら、強烈なインパクトを観るモノに残したヨーロッパを代表する若手演技派俳優ダニエル・ブリュール。小動物のような顔立ちのダニエルだけど、やがて世界を動かす魅力的なサルバドールを見事に体現していたように感じました。

 反政府組織MILに参加していたサルバドール(ダニエル・ブリュール)は、反体制活動に身を投じ、活動資金のために銀行強盗を繰り返していたので、清廉潔白だとは言えないのかもしれません。罪に問われた警官殺しもその場で発砲しているんですよね?結局、別の警官の撃った銃弾によってその警官が死んだのだとしても、結果論に過ぎないのかもしれません。

 だから、感情移入こそすれ、同情することは出来ません。だけど、その感情移入が半端なかったんです。特に後半、映画の中での時間経過でいうところの12時間の描き方は、もの凄いパワーでもって観るモノの心を揺さぶる凄まじさを持っていたように感じました。

 大袈裟な演出をしているワケではないのに、役者の演技と最小限の演出でコレ程感情を揺さぶるシーンを作り出すことに成功しているのですね。それまでに描いてきたやや単調ともとれるエピソード、彼自身の信念であったり、その貫き方であったり、他者との関わりだったりが、じわじわと効いてくるんですね〜。

 それは、看守のヘスス(レオナルド・スパラグリア)や弁護士のアラウ(トリスタン・ウヨア)との間に生まれた友情と呼ぶには切なすぎる信頼関係だったり、家族との絆だったりするのですが、特に印象に残るのが逮捕されてから1度も面会に来なかった父(セルソ・ブガーリョ)との関係ですね。

 若い頃、サルバドールと同じように活動家だった父。逮捕され死刑判決の後、恩赦されてから、変わってしまった父。そんな父親へ宛てた手紙から、サルバドールは本当の自由を知っていたように感じました。思想は違えど、相手を尊重することが出来たサルバドール。あの極限下では、並々ならない精神力でなければ難しいことでしょう。歴史ドラマとしても、人間ドラマとしても非常に見応えのある作品でした。

 公式サイトはコチラ

◆ title: SALVADOR(2006/スペイン・イギリス)
◆ date: 2008.06.16
◆ director: Manuel Huerga
◆ performer: Daniel Brühl/Leonor Watling/Leonardo Sbaraglia/Tristán Ulloa/Ingrid Rubio/Joel Joan/Celso Bugallo/Mercedes Sampietro/Olalla Escribano

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この記事へのコメント

1. Posted by Kaz.   2008年07月02日 22:15
けっして感情的にならないサルバドールの姿が、これまた際立つんだよねぇ。 最期の瞬間まで目が離せない一作でした、これは。

ダニエル君の演技も見事でしたなぁ〜〜。(・ω・)bグッ
2. Posted by miyu   2008年07月02日 22:19
>Kaz.さん
そうなんですよね〜。
それまでにこやかだったからこそ、あの絶望の表情は
観るモノの胸に迫るんでしょうね〜。
クライマックスの展開なんて一級のサスペンスのようでもありましたね。
うんうん、ダニエル君見事でした!
3. Posted by sakurai   2008年07月02日 22:36
うーん、この映画は期待が大きかっただけに、見せ方に不満が残って、いまいちの印象の作品になってしまいました。
ダニエル・ブリュールのうまさは折り紙つきですが、それにぜんぶ頼ってしまったような・・・。
反体制運動にしちゃ、やってることにもろ手をあげて賛成できなかったし、覚悟が甘かったような。
でも、この映画のあとに『再会の街』を見て、こっちでやられてしまったので、いまちょっとの印象になったのかもです。
4. Posted by miyu   2008年07月02日 22:44
>sakuraiさん
う〜ん、その辺りって描き方の問題なのかなぁ。
よ〜分かりませんが、確かにサルバドールに対して
感情移入とか共感とかそういった類の感情とは
ちと違ったんだよね。
でも、クライマックスの描き方、揺さぶり方は
スゴイものがありましたよ〜。
それに彼の人柄って言うんかなぁ。
あ〜ゆう時代で反体制運動をしているのに、
それを覚悟がないと言うのかもしれないけど、
見通しのいいモノの見方をする方なんだと
あたしはこの映画を観た限り感じました。
5. Posted by ミチ   2008年07月03日 10:08
こんにちは♪
かなり重い作品ですよね。
スペインの近代史はあまり知らなかったのでこの映画で勉強させてもらったって感じです。
終盤への緊張感の盛り上がりは素晴らしかったです。
ダニエル君はこの手の役をやらせるとピカイチですよね。
ハリウッド男優にはない魅力があると思います。
6. Posted by miyu   2008年07月03日 10:32
>ミチさん
う〜ん確かに!ハリウッドにはいない雰囲気ですね!
あたしも最近ちょっと難しくてもこういった映画を
観ることでちょっとでも勉強させてもらってます。
うんうん、終盤の緊張感!ハンパなかったです。
7. Posted by マリー   2008年07月04日 14:34
こんにちは・・・

やはり見ごたえがありそうですね。
観たかったのですが、時間が合わずパスしちゃった作品です。
予告は何度も観てて、彼の静けさの中の闘志みたいなものが、とっても気になった作品です。

そんなに恐ろしい絞首刑。シーンはありましたか・・・?

8. Posted by miyu   2008年07月04日 14:53
>マリーさん
絞首刑そのもののシーンはあるにあるんだけど、
映画だし、まぁ観れるとは思いますよ。
だけど、その器具のおぞましさったらないですよ〜。
気になってるなら、何かあるのかもしれないよね。
9. Posted by アイマック   2008年07月06日 12:00
こんにちは!
主人公には私もあまり共感はできなかったけど、
みどころは後半だよね。
あの処刑シーンは強烈すぎる・・・・中世の拷問に近いし。。
家族や弁護士とのやりとりは泣けるものがありました。
ダニエル・ブリュール、ドイツの方だよね?
スペイン語もはなせて(もちろん英語も)国際的に活躍できる貴重な俳優さんですね。
10. Posted by miyu   2008年07月06日 13:43
>アイマックさん
うんうん、そうですよね〜。
中世の拷問器具みたいでしたよね〜。
アレはないわぁ〜。
それに、死刑執行が決まってからの奔走ぶり、
家族と過ごす時間、とても迫るものがありましたよね。
ダニエルは今後ますます活躍するんでしょうね。
11. Posted by scarecrow1970   2008年07月11日 21:47
この映画、昨年映画館で観ました(ブログが未だにアップしてないですが…)。

そして「パリ、恋人たちの2日間」も今年映画館で観ました(こちらもアップしてないですが…)。でも…あの強烈なチョイ役がダニエル・ブリュール(同一人物)だと気付いてませんでした…はっはっは。

あっ、この映画の話を書かなくっちゃ…(汗)

一番感動するはずの家族とのシーンよりも、なぜか看守さんとの短い友情にグッときてしまいました。結構友情モノに弱いかも…。


12. Posted by miyu   2008年07月11日 21:58
>scarecrow1970さん
あら〜そうなんですかぁ。
何でupされなかったのかしら?
あ「パリ、恋人たちの2日間」もご覧になられているんですね!
うんうん、あの強烈なチョイ役です(´▽`*)アハハ
ナイスな表現だわ。それ。
看守さんとちょっとずつ距離を縮めるナニゲない
エピソードの積み重ねはそれだけでも見応えありましたものね〜。

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