ようやく完成しました。

技術が無いので非常に原始的な作業でした(-_-;)

今回、この番組を通して少しでも一ノ瀬たけし君の事、高次脳機能障害の事を理解して頂けたらと思います・・・お時間のある方は「続き」から是非お願い致します。

スライドはPCだけ閲覧可能ですm(__)m
家族会 ぷらむ熊本
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

一ノ瀬たけしさん、30歳。
年間に70回以上のコンサートをこなすプロの歌手です。
彼は完全には回復しない脳の病、高次脳機能障害と向かい合っています。

父親「脳の障害を持って蘇った事が我々には理解出来なかった・・。」
両親も又たけしさんの障害に真正面から向かい合っています。

父親「何十回、何百回練習しても記憶に入らないんです・・だから、本当は覚えているまで歌っているけれども、歌詞を見せない!ということを言うと、非常に慌てます、心が緊張します、誰だってそうですけどね、今のたけしにはメロディ、リズム、歌を歌う、この3つの事を同時に行うのが困難で、これに感情までいれるとなると非常に難しい事ですけど、それに今チャレンジしています、リハビリの一つなんですね。今、私は懺悔のつもりでこんな活動をしております・・・。」

コンサートで毎回歌う曲のタイトルは「僕の道しるべ」
たけしくんのコメント(写真)
この曲ははたけしさんと家族が暗闇の中から見出した人生の応援歌でもあります。

タイトル
僕の道しるべ
〜歌手をめざす高次脳機能障害者〜



たけしさんは毎朝壁に貼られたスケジュール表を探します。
表に書かれている内容をチェックしないと何をやっていいのかわからないのです。
髭剃りの途中、テレビが気になるたけしさん、髭剃りを中断してテレビに見入ってしまいます。
母親のコメント(写真)

同時に二つの事を考えることが出来ないたけしさん。
昨日の晩ご飯の献立を聞かれて覚えておらず、今朝の朝食も食べたのかどうかもわからず。
新しいことを記憶する事が容易ではないため、すぐにメモを取る習慣が身についています。
気が付いたことは何でも書き留めます。
「小西真奈美、美人だろ?だけん書いとっとたい(笑)」



週に一度歌のレッスンに通っていますが、一曲仕上げるのに半年以上かかります。
栗崎先生「繰り返し繰り返し、すぐに忘れるから繰り返し繰り返し・・・。」
リズムに気を取られると歌詞を間違え、歌詞に意識が集中するとリズムが乱れます。
それでも先生は彼の歌に魅力を感じています・・・「純粋、素朴さ・・・我々には出来ない、彼にしか出来ない。」

歌手活動を始めて2年、CDを2枚発売。



コンサートの会場へはいつも親子3人で向かいます。
たけしさん「(車中)ちょっと静かにして!!」ぷぅぅぅぅぅ〜〜(屁をこくたけしさん)
「(カメラに向かって)これはなしですよぉ〜(笑)」
車のウィンドウを開ける両親(笑)
わきあい合いの家族、しかし数年前までは考えられない光景でした・・・。

彼が病に倒れたのは12年前、突然の心臓発作による12分間の心肺停止。
一命は取り止めたものの脳に大きなダメージを受けていました。
母親「朝に一度会っているのに、昼の二回目の面会の時に久しぶりってたけしが言うんです・・・。」
病名は“高次脳機能障害”(写真)
母親「トイレに行っても自分で始末が出来ない・・・18歳だけれどもする事なす事は赤ちゃん状態・・。」
徘徊、暴力、人格障害、そして自殺願望と症状は悪化するばかり。
母親「生き地獄・・・受け入れきれない・・・自分も鬱になる・・・彼の首に手をかけたことも・・・自分が負けたらいけないと思った・・・。」
24時間介護しても回復の兆しさえみえないたけしさん。
次第に家族に亀裂が・・・(写真)
母親「現実、綺麗ごとではない、綺麗ごとではすまされない・・・。」



唯一家族が安らげたのはたけしさんが散髪に出かけた時でした。
店長の濱本さんは両親がたけしさんを任せられる数少ない人でした。
濱本さん「昔は5分も座っていられずに違う動作に移る、それをなだめながら散髪をしていたことを覚えている・・・。」
事故から10年経ったある日、散髪中に歌手へのきっかけを掴みます。
濱本さん「何かをしたい、と言い出した。何が好きなのか問うとサッカーと歌うことが好きとたけし君が答えた・・。その後歌手活動を始めた後からは症状が多いに変化した。」

機能を回復させるために通ったカラオケがきっかけになったのでしょう、どん底だった家族に光が差し込んできました。
それまで仕事一筋だった父親は家族の命運をかけた決断をします・・・。

たけしさんが歌手になりたいと言った時、父親は5代続いた魚屋をたたむ決心をしました。
それまで仕事一筋だった父親は残りの人生をたけしさんの自立にかけたのです。
父親「二人でこのように外食をし始めたのは歌手活動をするようになってから、まだ一年半位・・・それまでは交代で食事を取るような生活が続いていた・・・。」



〜4月〜
この日のコンサートは山鹿市や八千代座で開かれました。
到着すると父親はすぐにCDを販売するための準備を始めます。
父親「自称マネージャー業、本人は嫌がるもんですから、なるべく隠れて、見えない所で作業をやっています(笑)」
ボランティアで歌手活動を支える応援隊も出来ました。
ボランティア「聴いていてあったか〜い感じがしてですねぇ、とってもいい歌声です!」

母親「(たけしさんに)一番目の曲は何ですか!?」
たけしさん「????・・。」
母親「オリジナル曲。」
母親・たけしさん「僕の道しるべ!!」

合唱団とのコラボ(千の風になって)
この日たけしさんのために作られた新曲がプレゼントされることになっていました。
作曲したのは全国的に活躍する歌手の大庭照子さん、タイトルは“僕の気持ち”です。
くまにちコム
くまにちコム

周りの人たちに支えられて3年目に入った歌手活動は順風満帆のようにも見えます、でも両親にはたけしさんへの将来への不安が常に付きまとっています。



4年前、父親は高次脳機能障害を持つ家族に呼びかけて、家族会を立ち上げました、現在会員は50家族、およそ180人です。
二ヶ月に一回集まって情報を交換しています。
家族会のメンバー「凄くすっきりして帰ります(笑)(写真)」
たけしさんの存在は他の会員達の支えにもなっています。
家族会のメンバー「たけしくんを知った時はまだこの子は入院していて意識があるか無いかのときだったんです。(写真)」
たけしさんのようなケースはごく稀です、障害に対する周りの理解はまだまだ十分ではありません。
佐々木さんもつい最近まで夫の障害を隠していました。
佐々木さん「コメント(写真)」
調理師免許を持っている佐々木さんの就職口は比較的簡単に見つかります。
ところがすぐに辞めざるをえなくなってしまうのです。
佐々木さん「コメント(写真)」
10回目の就職先になる老人保健施設でも初めは障害を隠していました。
しかし、周囲の人たちが佐々木さんの行動に疑問をい抱き始めます。
職場の先輩「関係の無い仕事に集中したり、大股で調理場をバタバタと歩き回ったり、これはおかしいなと思ったけども・・・・。」
佐々木さん「周りからこんな風に思われているとか、痛い程にわかるんです、でも、そうしなければしなければと頑張るんですけど、それが又違う方向に全速力で行ってるんで・・・結果は又、遅くなったぁ・・・相当みんなに迷惑をかけましたけども・・・・。」
佐々木さんはクビを覚悟で自分の障害を打ち明けました。
職場の先輩「一度に色んな事を考えると訳がわからなくなる、と。それで、あ!そうか!!と・・。」
ようやく職場の理解を得た佐々木さん、簡単な作業を中心に嘱託として職場に残ることができました。



大庭さんからプレゼントされた新曲の練習が始まりました。
指導をかって出たのは八千代座で共演した合唱団の指導者、角田陽子さん。
これまで一曲覚えるのに半年以上かかっていましたが今回は違います。
母親「今回はとにかく早いです、覚えるのが。僕の道しるべや他の曲は何年がかりで今ようやくCDが出せたんですけど、二回目にしてこんな風にすぐスッと入るのは回復の兆しだろうと思います。」

半年前からたけしさんは毎日職業訓練施設に通っています。
作っているのはビーズのストラップ、手に職を付けるのが目的です。
父親「自分が元気なうちに最低限の社会生活ができるまでに回復させたい、見た目や表面のわかった部分ではなく、本当のわかった部分にもって行きたいという思いがあります。」



〜5月〜
今年5月、家族会に朗報が舞い込みました。
高次脳機能障害センターが熊大病院に設置される事が内定したのです。
この病が広く認知されていけば周囲の理解も得られるようになるはずです。
池田先生「高次脳機能障害というのは今まで比較的に研究が遅れていた分野の障害なんですね、しかも一見分かりにくい、だから当事者の方もご家族の方も大変なご苦労だったと思います。」

母親「現在は親子3人、歌手活動と高次脳機能障害のことも多くの人に知って頂けるように頑張っています。そしていつの日か長男がお母さん、僕は生きていて良かったよ、と言ってくれる日が来ることを願っています。」

この日、たけしさんは新曲「僕の気持ち」を初めて人前で披露しました。
歌いながら涙を見せたたけしさんは両親にとっも初めてのことです。

父親「やっぱり親育てですよ、ほんっとにこっちが教えられますね・・。」



たけしさん「お父さん、お母さんば喜ばすっ為に頑張りよっちゃにゃ〜けん、自分のためたい。普通はもう結婚しとってね、もう仕事でん何でん一生懸命頑張りよっとが普通て思う、ばってん、結婚もできとらんし、仕事も他ににゃ〜たい。だけん仕事ば、歌ていうのば選んだていう事は一つ、一歩前進したと思うけん、うん、うん。」

コンサートの依頼は着実に増えています。
歌によって築かれた人生の道しるべ、たけしさん、そして両親の道しるべを辿る旅は始まったばかりです。

終わり



(ALL)