寝たり起きたり

ぼーっと生きてます。

2009年02月

寝て、起きて。できるだけ、やれるだけ。でも呑気にいきたい。

猫にはプリン・17

……嘘だ、こんなの。
穴があったら入りたい。
ナナさんどうして教えてくれなかったんですか!
「ああ、実は絹屋市からプリンを預かって来たんです。多分使ってしまって食べられなかっただろうから、と」
……絹屋市?
「貴方に分かるように言うと、鍋屋さん、です」
鍋屋さん!
……あの方、き、絹屋市先生だったんですか。
脱力。
再起不能。
固まってしまった私の前で、いーなあ私もプリン食べたーい、ミルヒアイス様に送ってもらいたーい、等と黄色い声が飛び交っていたようだが、脳味噌が情報を拒絶した。
……ははは。
何処かで烏が鳴いているような気がした。



翌日の夜。
ネコバス超特急便で自宅に送られた私は、その日から3日間ほど寝込んでしまい、夢と現をさまよった。
緊急に家の手伝いに来てくれた紺ちゃん曰く、枕元には猫モドキと見舞いに来た本物の猫がちょこんと座っていたという。








(終わり)




特別出演:ナナ様、にゃあ助様、絹屋市惣助様、カール・フォン・ミルヒアイス様。

混沌魔王様、皆様、誠に申し訳ありませんでした。
伏してお詫び申し上げます。










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猫にはプリン・16

食器を片付けている側からお客に提供する為に食器が消えて行く。
だから、名前を呼ばれたことにも気づかなかった。
「ココロさんてば! ミルヒアイス様がいらしてるわよ!」
……ミルクアイス?
別のスタッフにがくがくと身体を揺さぶられて、名前を呼ばれたことに気がついたけれど。
知り合いにはいない、よなあ、ミルクアイス。
「ココロさんっ! しっかりしてっ! 霧のミルヒアイス様だってばっ!」
何だ、ミルクアイスじゃないのか。
ミルヒアイス。
ミルヒアイス?
……ミ、ミルヒアイスっ!?
確かその名前は、あの方の側近中の側近……!
ちょっと待てっ、私は何かしでかしたのかっ?! いや、何もしてないぞ?!
「ミルクアイスって言ったー」
……間違えたんだもん!
わざとじゃないもん!
「ええ、確かに聞こえました」
……え?
ふと横を見ると、長身で赤い髪の運転手さんがいた。
……運転手さん、どうして此処に?
「運転手っ?! ココロさんっ、貴方まさか霧のお方に送迎させてたのっ?!」
……え、だってこの人。

えええええっ?!

……ミルヒアイス、さん?
「はい」
血の気が引いた。
最早柔和な笑顔など視界に入れられず、私は台の上に突っ伏した。


猫にはプリン・15

最悪の事態を予測した時、足元のぬいぐるみがくるりとこちらを振り返った。
プラスチックの目がきらりと光る。
……ああっ、やっぱり!
にゃあ助がゆっくりと背後に回る。
逃げようにも、怪しげな集団がこちらに向かって来る。
動けない。
どうしよう、やられる!

「困った時にはプリンです」

そうだ、プリン!
くっそー、こんなにいいプリンなのにっ!
思い切って地獄極楽プリンを地面に放り投げると、2匹はプリンに食いついた。
その隙に、私は全速力でその場から逃げ出した。



……はあ。
ミルクホールのスタッフ用荷物置場でへたり込んでいると、別のスタッフが珈琲を持って来てくれた。
彼女は言った。
「外の騒ぎも沈静化したみたいですよ」
カップを持ったまま恐る恐る窓の外を見たら、至って普通の学園祭に戻っていた。
……いや、ただの学生に見えない人が沢山混じっているあたり、普通じゃないか。
私もだけど、と呟いて、空のカップを流しに持って行く。
サボっていた分を取り返さなくては。
洗い場やります!と宣言して襷をかけ、山と積まれた皿やカップと格闘を始めた。
洗って、すすいで、拭いて。


猫にはプリン・14

私は初日からずっと鍋を御馳走になっていたことの礼を言い、ミルクホールで分けて貰ったレオニダスのチョコレートを渡した。
いつもいない女性と男性、そして目の前のこの人の分。
「いやあ、どうもすみません」
男性は照れたように笑い、別れ際にこう言った。
「困った時にはプリンです」



建物を出ると、其処では戦闘が繰り広げられていた。
人が入り乱れ、色んなものが飛んでいる。
……さすがに此処からは出られないか。
私は別の出入口を探した。
隅の方に非常口を見つけて、周りを見回しながらそっと外に出る。
……こっち側は大丈夫。
戦闘を避けながら、ミルクホールに向かって走っていたら、ひゅん、と何かが横切った。
驚きのあまり、足が止まる。
……にゃあ助?
普段のにゃあ助ではない。
久し振り、と声をかけられるような感じではない。
何というか、とっても危険だ。
……やばい。
にゃあ助の足が地面を蹴るのを見た瞬間、私は一か八か横に飛んだ。
運よく攻撃を避けられたので、紙袋から急いでぬいぐるみを取り出した。
……反撃よ反撃!

みーみー。

にゃあにゃあ。

……へ?
不穏な空気。
もしかしてこいつら裏で繋がってる、とか?


猫にはプリン・13

……そういえば、あの女性とナントカ番長さんはどうしたんですか?
「あー、ちょっと用があって席を外してるんです」
……私がいる時はいつもいないんだよな。
嫌われてるのかなあ。
「いえいえ、たまたま貴方が来る時に用事があるってだけですよ」
……だといいけど。
それにしても。
鍋屋さんにはよく出くわすのに、『偏屈王』の公演がいつも見られないのは何故なんだろう。
「大丈夫です。僕も見たことないですから」
……あ、仲間ですね!
そうですね、と男性は微笑み、傍らにある包みを持ち上げた。
「宗家彗星舎の地獄極楽プリンを手に入れたんですが、召し上がりますか?」
……いいんですか?
「丁度2つありますから、ぬいぐるみと一緒にどうぞ」
遠慮なく頂いた。
……これはお土産にしよう。
明日の夜には帰るのだから。
忘れないように懐に入れた。



豆乳鍋を完食し、私はミルクホールに戻るべく炬燵を出た。
ぬいぐるみの入った紙袋を持ち上げると、男性が言った。
「あー、外は物騒ですから、色々気をつけて下さいね」
……大丈夫ですよ。鎧武者さんとか褌さんとか、一般の人には乱暴は働きませんから。
そう言ったのに、男性は尚も心配そうな顔をした。


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