寝たり起きたり

ぼーっと生きてます。

2009年05月

寝て、起きて。できるだけ、やれるだけ。でも呑気にいきたい。

駒と猫・16

でも。
「若奥様をこきつかったら、怒られるかなあ」
そう言うと、紺ちゃんはクスッと笑い、奴も尻尾をぱたりと振った。


にゃあ。


本物の三毛猫も、縁側から顔を出した。
ほんの数日、家をあけただけなのだが、何だか暫く会っていないような気がした。
久し振りだね、と言うと、座敷に上がり込み、枕元にちょこんと座る。



爽やかな風が部屋を吹き抜けて行った。





(終わり)







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駒と猫・15

そんな、或る日。
朝御飯を食べて横になっていると、紺ちゃんが助けに――いや、遊びに来てくれた。
私の顔を見るなり、彼女は言った。
「あの……何だか門の外に立ってた男性が御見舞いだと言って……」
……へ?
赤毛で背が高かったと言う。
……ミルヒアイスさんだ。
でも、何で中に入って来なかったんだろう?
「ぬいぐるみが怖いから入れないって言ってましたけど……」
……あんた、何かしたの?!
思わず奴を凝視してしまったが、猫モドキは知らん顔をして、あの方の御見舞いだという紙袋を覗き込んでいる。
「あら、中身はプリンみたいですよ」
……地獄極楽プリンだな。
プリンを奴に1つ分けてやると、私も1つ自分の分を手に取った。
「それにしても、随分体調悪そうですけど……」
……それはもう。多分寿命が縮んだんじゃないかと。
気力も体力も限界越えて使い果たしましたからね。
かいつまんで話をすると、紺ちゃんはいたく同情してくれて、また暫く体調が良くなるまで家に手伝いに来てくれることになった。
困った時の御近所である。



(続く)

駒と猫・14

だから。
その直後、ぬいぐるみが机の上に飛び乗って霧の御方を睨みつけ、彼が肩を竦めて教室を出て行ったことなど知る由もなく、眠り続けたのだった。



結局、閉会式はバックレてしまい、日が傾いた頃、ようやく目が覚めた。
逢魔ヶ刻。
学院に現れる黒い影。
黒百合を求めて止まない怪王は『彼女』を拐いにやって来た。
――予定通り。
あの方が怪王の相手をしている間、我々はまたもや山程いる手下の相手をした。
訳の分からぬ液体のお陰で、疲労が綺麗に消え、魔法は絶好調。
あの手の液体を飲まされた人は私だけではなかったのだろう。
皆、体力・気力共に驚異的に回復している。
そんな訳で次々と合わせ技が決まり、多少、あの方のお手を煩わせたものの、我々は相手方を完膚なきまでに叩きのめした。
これで今回の任務は完了となった。




私はその日のうちに元の外見と元の能力を取り戻し、備品返却の後に魔女生活を終えて帰宅したのだが。
……何かもう、色々疲れた。
身体はあちこち軋むし、ゴハンだけ作って後は横になってばかりである。
疲労感は半端でなく、さすがのぬいぐるみも噛んだり引っ掻いたりは自粛しているようだった。



(続く)

駒と猫・13

ぬいぐるみに引っ掻かれて目が覚めると、目の前には八魔将筆頭の御方が立っていた。
「差し入れです」
そう言って差し出されたコップの中身はオレンジジュースのようだった。
……?
疲れているからか疑心暗鬼になっている私がコップを持ったままじっと中身を見つめていると、彼は言った。
「疲れがとれます」
……。
「注射がよかったですか?」
……飲みます。
甘いんだか苦いんだかよく分からない液体を飲み干すと、彼はコップを受け取りながら言った。
「これで疲れがとれる筈です」
……ありがとう、なのだ。
一応御礼は言ったけど、何だかまた眠くなったような。
「肉体改造と脳内改造を行った際にちょっと付加したものがありましてね」
……オマエ、なに、した。
「大したことではありません。ちょっと魔力をつけて頂いたのですが、何せ混沌仕様なものですから普通の人間には強大過ぎるのですよ。そこで貴方が持て余しそうな部分には一応封印を施して調整してた訳なんですが、そろそろ限界だろうと思いまして」
急激な睡魔に襲われ、私は再び机に突っ伏した。



(続く)

駒と猫・12

けれど、誰も退却を望んでなどいない。
前進あるのみ。
そう。そうでなくては面白くない。
私も含めて馬鹿ばかりだ、と苦笑いして足元を見れば、猫モドキが尻尾をパタリと振った。
この程度の炎では、目の前の緑色したバケモノには全く効果はないだろう。
我々が戦っていること自体が時間稼ぎなのだろう、と自嘲しつつ、次に予想される攻撃に備える。
バケモノが前進を始めた途端。
……氷の輪。
あの方だ、と思う間もなく、バケモノは氷に包まれて動きが止まり、完全に凍りついた。
足元にいた猫モドキがすかさず飛び出して猫パンチを繰り出せば、バケモノは氷もろとも砕け散る。
「組体操、始まりますよ」
誰かの声に、出場者は慌てて体育祭に戻って行ったが、ヘタレな私はその場に座り込んでしまった。
もう、杖はあまりもたないだろう、と何となく思う。
みー、と奴が心配そうに鳴いた。
……戻ろう。
私はゆっくりと立ち上がり、猫モドキと共にその場を離れた。
閉会式まではパトロールをしなければならないけれど、誰もいない教室でこっそり居眠りをするくらいは許して貰えるだろう、と思いながら。



(続く)

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