……お店に損害出したら駄目でしょう。もしレジ係さんが任意弁償なんてことになったら困るじゃない。
みー。
……開店前に入れとけば、レジの中をチェックした時に出て来るから、ちょっとはマシかと思ったの。
みー。
紺ちゃんにお金になってもらうのは、もうやめようと思った。
妙に罪悪感が残るし、後が厄介だから。
落語のようにうまくはいかない。
……狸じゃないからこうなるのかな。
内心、そんなことを考えた。



夕方。
雨が止み、地面も少し乾いたところで。
柴犬そっくりな紺ちゃんを送りがてら、猫達と御隠居のお宅に伺った。
「紺、おかえりぃ~。このオバチャンにこき使われたり苛められたりせえへんかったか?」
……失礼な。
飼い犬、じゃなかった、飼い狐が戻るなり、デレデレな御隠居である。
……御隠居様。紺ちゃん、独りでお留守番出来るのに、何でうちに預けたんです?
「こない可愛いのが誘拐されたらと思うと心配でなあ」
……いつも家の中にいるんだからいいじゃないですか。
「紺は寂しがりやし」


(続く)