永岡瑞季の毎日映画館!

映画館はびっくり箱です。 日常生活でいらいらしたことがあっても、 映画館に入ってチケットを買って、席について、もらったチラシを見ているうちに真っ暗になって予告編が始まる。 そうしたら、もう何もかも忘れてしまいます。映画館にはそんな魔力があります。 映画をこよなく愛する永岡瑞季の映画レビューを書いていきます☆DVDやスカパー!で観たものも入ったり、たまにはもう一つの趣味のドラマのことも書くかもしれません! よろしくお願いします。

「その日のまえに」5

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その日のまえに





監督 大林宣彦 
出演 永作博美、南原清隆、筧利夫、宝生舞、柴田理恵、風間杜夫
配給:角川映画(2008/日本/140分/カラー)

重松清原作の7編の短編群を
大林宣彦監督が1編の長編に紡ぎあげています。

死を目前にしたとし子(永作博美)と
その夫健大(南原清隆)の物語を縦糸にしながら、
死に直面した様々な人々の物語が 横糸のように絡み合います。
そして、現在と過去が交錯する構成は
まさに大林監督の真骨頂だと思いました。

なぜか、始まって5分くらいで すでに涙腺がゆるんでいました。
まだそんなに悲しくないシーンなのに、
一つ一つのセリフが心にしみこんできてしまって。
「かわいそう」という陳腐な涙じゃないんです。
映画の初めのほうで、 病院からおそらく最後になるであろう
外出を許されたとし子は 健大とともに、結婚してから2年間住んでいた
浜風という街を訪れます。
外出から帰ったら新しい療法を試してみようと いうことになっているので、
「思い出をたどるため」ではなく「これから始める」 という気持ちで。
でもやはりどこかで思い出をたどってしまうのですね。
まだ映画の初めで、登場人物たちに それほど思い入れがないはずなのに、
不思議と観ている者にまで その思い出を共有させてしまう。
すごいと思いました。

健大はイラストレーターなのですが、
とし子の病気が発覚する直前に 鉛筆をころころころがしてしまい
足で拾おうとするんですね。
「俺が鉛筆を転がしたから、
足で拾おうとしたから罰が当たったんだ」
というセリフぐっときました。
その鉛筆は映画を通じて何度も登場します。

チェロの弾き語りをしている 「くらむぼん」。
宮沢賢治の「永訣の朝」という有名な詩の
「あめゆじゅとてちてけんじゃ」 というフレーズが繰り返し歌われます。
賢治の妹は奇しくもとし子という名前です。
二人の「とし子」の死が交錯していくのも
まさに大林監督の宇宙ですね。

途中からは涙が止まらなくなってしまいました。

大ラスはすこし長いかなと思いましたが、
あれがあったから大林ワールドから現実に
戻れたかもしれません。
それが計算ずくだったとしたら、
大林監督ますますすごいと思いました。

原作を読んでからもう一度観にいきたくなりました。



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「誰も知らない」5

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監督 是枝 裕和 出演 柳楽優弥 韓英恵 YOU 北浦愛 木村飛影 清水萌々子  

大人になりきれないまま親になってしまった母に育てられ、 人よりもほんの少し早く大人にならなければならなかった12歳の少年。 

子供は、演技します。父親の前で、母親の前で、演技をします。 それは、演技をしたら甘やかしてくれるとわかっているからです。 泣きながら「ゴメンナサイ」を言ったら許してくれるとわかっているからです。 にっこり笑って「クダサイ」を言えばくれることがわかっているからです。 子供は、甘えることを本能のように身につけていくのです。 

しかし、「誰も知らない」の明は、演技をしません。演技の仕方を知りません。 万引きの虚偽を受けてコンビニの店長に責められても、 母親に「あんたのお父さんが一番勝手よ」と言い放たれても、 淡々と受け答えをするだけです。お金がなくなって、 妹の父親かもしれない男たちに金をもらいにいくときも、 決して「クダサイ」をしません。ただ、表情一つ変えず 「あのさ、お金ないんだけど」 というだけです。 

そして、是枝監督は明役の柳楽優弥に決して演技をさせません。 だからこそ、カメラの前に立つ柳楽優弥は、 明になりえたのだと思います。 さらに、監督は観客に「感動してください」とは言いません。 「泣いてください」とも言いません。 そして何の説明もしません。 訴えようという気持ちの真逆にいるのです。 それでこそ、観客は子供たちの心情にふれることができるのです。 

子供たちの生活は、非日常です。 しかし、ちゃんとクリスマスが来て、お正月が来て、さくらが咲いて、 夕立が降って、ミンミンゼミが鳴きます。 季節は巡っていきます。 監督のカメラの前では、子供たちの生活は日常です。 

明の心情は、時にはぎゅっと握り締めるこぶしだったり、 震える指だったり、そんなものからしか伝わりません。 明は決して何も語りません。 そして、何も語らないモノがどんどん観客の胸の中に積もっていき、 限界値に達したまさにその瞬間、いきなり何かがつきつけられます。 

そんな物語でした。 あえてあらすじは書きません。 ぜひ観てください。 

http://www.kore-eda.com/daremoshiranai/

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出演:柳楽優弥
販売元:バンダイビジュアル
発売日:2005-03-11
おすすめ度:4.5
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