監督 スティーブン・フリアーズ
脚本 ピーター・モーガン
出演 ヘレン・ミレン マイケル・シーン ジェイムズ・クロムウェル
配給:エイベックス・エンタテイメント(2006/英仏伊合作/104分/カラー)
【第79回アカデミー賞】主演女優賞受賞
【ゴールデングローブ賞】主演女優賞、脚本賞受賞
【英国アカデミー賞】作品賞、主演女優賞
国民に愛されていたダイアナ元皇太子妃の突然の死。
すでに民間人となっていたダイアナについては、
英国王室は何もコメントをする立場にあるわけではなかった。
しかし、このスキャンダラスな事故死に際し、
エリザベス女王(ヘレン・ミレン)と
ダイアナの不仲説がクローズアップされ、
そしてダイアナの死に対して半旗も出さず
追悼の意も表わさない王室への
民間人からの反感が高まっていく。
その溝を埋めようと、就任したばかりの
ブレア首相(マイケル・シーン)は
心を砕くのだが…。
まず、アカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンの
気品あふれた、また毅然とした女王ぶりを称賛したい。
苦悩しながらも決して誇りを失わない彼女が
森の中で美しい鹿を見て涙を流すシーンが印象的だ。
また、ブレア首相の描き方もいい。
初めは自分の立場を守ろうとしていた彼が、
エリザベスに母親のような情を感じ始め、
エリザベスが必死で守ってきた王室の誇りを
称える気持ちになる過程が見どころだ。
ダイアナに同情し、エリザベスをはじめとした
王室の冷たさを強調する声が多い中、
この映画を観ると、エリザベスは決して
冷たいだけの人間ではないということが感じられる。
むしろ、民間人となったダイアナの死に言及することは
正しいことだったのか?という気持ちにまでさせられる。
彼女は女王であると同時に、一人の人間である。
そして、一人の人間であると同時に女王である。
それが彼女の苦悩を深めるのである。
しかし、彼女が恥辱を受けたのはほんの1週間であった、
というブレア首相のセリフがまたいい。
この事件を通じて生まれたエリザベスとブレアの
絆は美しく、またこの映画をさらに深いものにしている。
ダイアナの死後、鹿狩りに行っていたロイヤルファミリーが
帰ってきたとき、民衆の前に現れる。
ダイアナに手向けられた花束には王室を責めるメッセージも
多々書き込まれていた。その中で、小さな女の子が
「This is for you」といってエリザベスに花束を渡すシーンは
エリザベスも観ている者も救われた気持ちになる
すがすがしいシーンであった。
様々な賞を総なめにしたのが納得できる秀作。
(スカパー!にて視聴)
http://queen-movie.jp/
クィーン<スペシャルエディション> [DVD]
出演:ヘレン・ミレン
販売元:エイベックス・エンタテインメント
発売日:2007-10-24
おすすめ度:
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