めがね












監督・脚本 荻上直子
出演 小林聡美 市川実日子 加瀬亮 光石研 もたいまさこ 薬師丸ひろ子(「めがね」の友だち)
配給:日活 (2007/日本/106分/カラー)

観光名所も何もない、
やることといったら「たそがれる」しかない、
そんな南の島に集まった、
めがねをかけた5人の男女の物語。

春もまだ浅い日、初老の女性サクラ(もたいまさこ)が
島にやってきて深々と頭を下げる。
時を同じくして民宿ハマダにやってきたタエコ(小林聡美)。
携帯が届かないようなところに来たいと思っていた
タエコだったがそこでの生活になかなかなじめない。
朝早く起こしに来るサクラ、そして海辺で毎朝行われる
「メルシー体操」、食事はいつもみんなと一緒。
民宿の主人ユージもマイペースで
彼の書いた地図は限りなくファジー。

耐えられなくなったタエコは高校教師ハルナ(市川実日子)に
他のホテルに連れて行ってもらうが、そこでもなじめず、
自転車でやってきたサクラに拾ってもらって
二人乗りで民宿ハマダに帰ってくる。
タエコの知り合いらしいヨモギ(加瀬亮)も現れ、
5人の春はゆっくりと流れていくのだが…

永遠というものは一体あるのでしょうか。
この島に住んでいると、同じような生活が
永遠に続くような気がします。
でも、タエコとヨモギは旅人でしかありません。
旅は思い立った時に始められるけれど、
永遠ではない。そんなセリフと、生物教師ハルナの
プラナリアの話が重なって、心に残りました。
サクラは毎年春になるとやってきて、
雨が降り始めるといなくなってしまう。
でもそんな繰り返しが、
「永遠はない」といいながらも
「永遠」を信じている監督のメッセージを伝えているような
気がしました。

ユージの地図は本当にいいかげんで、
「道がないと不安になってから80メートルくらい行くと
右に曲がる道がある」・・・とか書いてあるので笑えます。
でも、そんな地図でもタエコは
民宿にすぐにたどり着くことができました。
ハルナが達成してから数年ぶりの偉業だそうで、
「ここにいる才能がある」とほめられます。
そのセリフが好きです。
初めは異分子にすぎなかったタエコが
少しずつ「たそがれる」ことを覚えていくのは、
必然だったのかもしれません。

サクラは海の家でかき氷を売っています。
「あのかき氷を食べてみると考え方が変わるよ」
そうユージに言われて食べてみたタエコ。
一口食べた瞬間、今まで見ていた海の風景が
全く変わったような、そんな表情をするのが
印象的でした。
あと、笑えるのはサクラが主導している
「メルシー体操」。
あまりのユルさに力が抜けます。

タエコがなぜ来たのか、
なぜヨモギに「先生」と呼ばれているのかが
はっきりと描かれていないところが
またいいですね。
そして、ハルナもまた
どこかからやってきたらしい。
ぶっきらぼうなハルナを市川実日子が好演していました。
そして、サクラはもちろんのこと
ユージでさえも過去に何をしていたのかは
描かれていません。
それなのに、5人とも
一本筋の通ったキャラクターをきちんとこなしていて
すばらしかったです。

特に大事件があるわけではなく、
島の生活はゆっくりと、ゆっくりと過ぎて行きます。
自然と、観客にも「たそがれる」ことを
覚えさせてくれるような
そんなゆったりとした気持ちにさせてくれる映画でした。

(DVDにて鑑賞)

http://www.megane-movie.com/

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販売元:VAP,INC(VAP)(D)
発売日:2008-03-19
おすすめ度:
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