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歩いても歩いても







監督・脚本 是枝裕和
出演 阿部寛 夏川結衣 YOU 高橋和也 田中祥平 樹木希林 原田芳雄
配給:シネカノン (2007/日本/114分/カラー)

是枝裕和監督の最新作。神奈川の海辺の近くに住む 
老夫婦と、その家を家族とともに訪ねてくる息子と娘の 
1日を描いた物語。 

ある夏の日、年老いた両親(原田芳雄、樹木希林)のもとに 
娘ちなみ(YOU)とその弟良多(阿部寛)が 
家族とともに訪ねてくる。 
ちなみはいずれ二世帯住宅を建てて 
親と同居しようと計画するなど、両親とは 
そこそこいい関係を築いているように見えるが、 
良多は親の家を訪ねるのが気が重い様子だ。 
失業中ということもあり、また 
妻ゆかり(夏川結衣)は前の夫と死別しての 
再婚なので、親もそれほど気にいっていない様子なのだ。 
連れ子のあつし(田中祥平)もいまひとつ 
自分になついてくれず、まだ「良ちゃん」と呼ばれている。 
しかし、その日は集まる理由があった。 
海でおぼれかけた子供を助けようとして 
命を失った長男、純平の命日だったのだ…。 

是枝監督は、一見何でもないような人々の 
何でもないような一日を淡々と描いていく。 
しかし、それぞれの胸の内には 
さまざまな思いが渦巻いている。 
引退しても家長ぶりを発揮したい父は 
何かにつけて純平と良多を比較し、 
ついには良多のしたことも純平の思い出として 
語ってしまったりする。 
ずっと専業主婦だった母は一見すると 
いいおっかさんに見えながら、 
蔭ではゆかりやあつしを悪く言ったりするし、
夫の若いころの浮気を根に持っていたりもする。 
良多は良多で、死んでしまった兄を 
ますます美化する父母に反発を覚える。 
しかし、親と子は決して思いあっていないわけではない。 
むしろ、思いあっているからこそ 
反発するのである。
しかし、父の後継ぎとして期待を一身に背負った 
長男純平の死は、15年たった今でも 
この家族にのしかかっている。 

樹木希林演じる母は良多の妻ゆかりを評してこういう。 
「生き別れならいいのよ、嫌いあって別れたんだから。 
死に分かれはだめよ」(セリフは正確ではないです) 
この言葉は後になって効いてくる。 
もし純平が生きていたら、本当は親の後を継がず 
親元を離れていたかもしれない。 
でも死んだからこそ「大事な跡取り息子」として 
伝説のように生き続けてしまうのである。 

「冬を越えた黄色いモンシロチョウ」が 
象徴的に表れる。 
墓参りの帰りに見かけたチョウが 
家に迷い込んできて母が錯乱するシーンが 
印象的だ。樹木希林の目が泳ぎ、 
カメラもともに揺れる。 
純平が亡くなったことによって基盤が失われた 
この家族の揺らぎを表しているかのようだった。 

純平が助けた子供(今はもう25歳だ)を 
毎年命日に呼ぶというエピソードも忘れ難い。 
母は彼に優しく振舞い「来年も必ず来てね」というが 
これは思いやりから出た言葉ではない。 
もちろん、純平の死について彼を責めることはできない。 
しかし、「一日くらいつらい思いをすればいいのよ」 
と言い捨てる母のセリフが衝撃的だ。 
突然愛するわが子を失った親の思いというのは 
おそらくこういうものなのだということに 
軽いショックを覚えた。 

ゆかりの連れ子あつしを演じる田中祥平もいい。 
冷めた演技をしながらも瞳はこの上なく 
澄んでいるのが非常に印象的だ。 
彼もまた、実の父を忘れられず、 
父の職業であったピアノ調律師になりたいと 
思っている。 
夜に星に向って父に語りかけるシーンも忘れ難い。 

母が何かの拍子に話に出た昔の相撲取りの名前が 
どうしても思い出せない。 
しかし、帰り道、バスの中で良多は 
急にその名を思い出す。 
「いつもちょっとだけ間に合わないんだ」 
そして、 
父とのサッカー観戦の約束も、 
母との「自分の車に乗せる」という約束も、 
結局間に合わないのである。 

一人一人の心のひだが非常に繊細に 
表現されているのが素晴らしい。 
日常の中の非日常を表現したら 
右に出るものがない是枝監督の 
真骨頂を表した作品だと言えよう。


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