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幻の光






監督 是枝裕和
原作 宮本輝
出演 江角マキコ 内藤剛志 浅野忠信 木内みどり 柄本明 赤井秀和 市田ひろみ 大杉漣 柏山剛毅 渡辺奈臣
配給 シネカノン=テレビマンユニオン(1995/日本/110分/カラー)

宮本輝の同名小説を原作に、 
是枝裕和監督がデビューを飾った作品。 
第52回
ヴェネチア国際映画祭 金のオゼッラ賞受賞。

少女時代に、認知症の祖母が出て行くのを止められず、 
結局死に追いやったと思っているゆみ子(江角マキコ)は 
そのときトンネルから現れた郁夫(浅野忠信)と 
結婚し、尼崎のアパートでつつましい生活を始める。 
赤ちゃんもでき幸せな生活が始まったと思った 
そのとき、郁夫が謎の自殺を遂げる…。 

観ている間は、主役のゆみ子が 
江角マキコであることに違和感を感じていました。 
江角マキコは気丈で、大胆、豪傑というイメージがあり 
ゆみ子のような人生の大きな荷物を 
背負って生きている女性とはちょっと 
合わない気がしたからです。 
実際、再婚したゆみ子は 
影を背負いながらもとても幸せに見え、 
心の揺らぎはそれほど感じられない気がしました。 
しかし、最後まで観て、 
だからこそ江角マキコだったのだろうかと 
思わされました。 
ゆみ子は過去を乗り越えようとします。 
そして事実、再婚相手(内藤剛志)とも 
父親(柄本明)とも近所のおばさんたちとも 
うまくやっていきます。 
新天地での生活になじんでいこうという姿は
強さも感じられ、江角マキコの豪胆ぶりが効果的です。
しかし、実は彼女はずっと自分の中で 
問いかけていたのでした。 
「郁夫、なぜ自殺したの?」 
問いかけても問いかけても誰も答えてくれない 
その謎を打ち消そうとする彼女が 
ぽっきりと折れてしまった瞬間の表情を 
江角マキコは的確に演じていたと思います。
新しい夫が隠していた、ほんのちょっとの秘密。
故郷に帰り再び大きくなった問いかけが
彼女を支配していた時、それが彼女にのしかかります。
「あんた、うそつきや」 
それまでの彼女があまりにも気丈であったからこその 
表情だったと思います。 

終盤、見知らぬ人の葬列の後ろに 
ふらふらとついていく彼女の姿が 
遠景で映し出されるのがとても美しかったです。 
また、トンネルも処々に表れるのですが、 
暗いトンネルの向こうに見える明るい風景が 
「幻の光」を象徴しているようでもあります。 
日本海の激しい波音も印象的です。 

穏やかな中に秘めたエネルギーをもつ映像と演技が 
印象的な秀作だと思います。

幻の光 [DVD]幻の光 [DVD]
出演:江角マキコ
販売元:バンダイビジュアル
発売日:2003-04-25
おすすめ度:4.5
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