コンピュータ将棋ブログ

Twitter(@mizumon_)ではまとめにくいことを記しました。 基本的には更新はなく、倉庫のようなものだと思います。

1局目終了後に記していたものがどうやら消えてしまったようです。
時系列順に簡単なポイントと感想を記します。

今回の電王戦で人間側の事前準備に携わりました。人間側のサポートは私含む2名です。
私が行ったことは、対局者の方針に基づいたkifファイル制作です。手順や8時間での対応を調べてまとめることが主な内容です。
2月が少し経った頃から大本のファイルを2週間ほどで制作・提出し、それから少しずつ手順を加えてアップデートしました。第1局が始まる1か月ほど前に個人での作業を終え、先手用後手用ともに最終の更新と口頭での確認を行いました。
私から見た事前段階はこのような感じでした。

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第1局。
いきなり76歩26歩32金以外のハズレを引く確率が20%あった。3手目以降に変化される可能性も高く、特定の有力な局面に誘導することは難しい。そのため、後手番は比較的実現しやすい局面に絞る+外れたら仕方ないというところだった。以下、対局のポイントを記す。

a.15手目に58玉と指す確率は50%未満だった。確か34飛が60%以上だったと思う。
b.16手目84飛が疑問手で、評価値0→+150になった。
c.20手目23歩は同飛成~84角で+200になるようだ。
d.22手目52飛は人間的には自然なのだが、疑問手の可能性がある。かえて62飛で、36歩64歩77桂23歩34飛33銀35飛42玉38銀のような展開のほうが良いと出た。(※ソフトで見解が分かれる)
e.30手目に55歩と突いたが、ponanzaは22歩を推奨していたようだ。(感想戦より)この22歩は控室にいた私と阿部光瑠六段が「まあ、こうですよね」と第一感で示していた。22歩と低く受ける形はときどき現れる。なお、22歩以下は85飛55歩27歩44銀48玉74歩38玉33桂59銀31玉48銀左が一例。+230±50というところか。(局面が進めば少し上がることが多かった)
f.34手目25飛は悪手ではない。おそらくponanza最善か次善。44歩は+300ないくらい。25飛もそれほどは変わらなかったように思う。(+300±50?)
g.36手目同金が評価値を大きく下げた手で敗着。82歩成~65桂が好手で+700ほどになった。以下はponanzaが押し切った。

小さいミスは複数あったかもしれないが、差がつくまでに100点以上下がるミスは84飛と33同金の2つのみだった。

第2局。
先手番に関しては、貸し出し以前の知識から、『理論上はこうなる』という手順(※途中図から)を発見していた。
なお、この手順は「26歩84歩25歩85歩,24歩同歩76歩34歩24飛88角成同銀33角28飛,27歩or26歩。以下・・・」というものだった。24歩同歩76歩の局面では、84飛と32金と34歩があるのだが、「84飛(+100以上),32金0, 34歩マイナス評価」なので、ponanzaは一定の時間をかけると後手良しの34歩を選ぶ。
9手目24飛の局面でマイナス評価を示すことを知っていれば、この手順で誘導できることが分かる。
ちなみに、2手目32金だと9手目24飛の局面にならないので少し困るのだが、これが出る確率は大体2割。勿論32金に対してもある程度の指し方は入っている。

このような事情があったのだが、実戦は初手『▲76歩』。
それを見た私は頭を抱えるポーズをとる。「研究手順は使わない」ということは当日に伝え聞いていた。

将棋は、13手目57銀、33手目55歩などが疑問手でponanzaは後手側プラスの評価になったのではないかと思う。ponanzaの評価値は、封じ手局面ではマイナス400ないくらい、70手目同玉の局面ではマイナス600くらいとのこと。71手目15香だとチャンスがあったのではと言われているが、15香以下のponanzaの手順を聞いて他ソフトと照らし合わせて検討した結果、後手玉が逃げ出せる形になるため、チャンスとは言えないようだった。71手目に短い考慮で指した65歩で一気に評価値が下がり、その後棋士も劣勢~敗勢を認識し大勢が決した。
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山崎叡王は、45手目に22角成と踏み込むべきだった、帰宅してから検討すると話していました。
私からは、「ponanzaが手元にあるのであれば、複数の途中図からShogiGUIで連続対局で多く指させるのがよい」と推奨しました。

序盤のファイルを使わなかったのは、おそらく以下の点が主な理由だと思います。
・悪手ではないものの、棋士として指しにくい手が入っている(突き捨ての必要性)
・ファイルを使った後の局面の認識のズレ+ファイルを使っても勝つことが少なかった

事前準備に携わった一人としてのまとめ・記録としてはこのようなところでしょうか。
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追記:電王戦第2局の直前にponanzaを返却したため、今は私は第1期電王戦のponanzaを持っていません。
(よく勘違いされるので記しておきます)

すごい大会でした。

Qhapaq-たこっと戦は大熱戦で、開発者のボヤキや高すぎる評価値、256手ルールも相まって非常に白熱した勝負でした。ああいう光景や熱気は現地でしか伝わらないものがありますね。映像を中継できればもっと楽しめると思うのですが、これは現地での特権ですかね。(CSA会員になってください)
ponanzaと技巧の独走、一次予選・二次予選どのチームが落ちてしまうのか、いろいろありますがなかなか上手く言葉では表せません。
ponanza-技巧戦はあっという間に時間が過ぎたようです。「ジェットコースターに乗っているかのような」という例えでいいのでしょうか。

私の予想は、優勝がponanza。技巧がその次に強いというものでした。
以降はNDF・Apery・AWAKE辺りが入って、floodgateで高い点を出していた大合神クジラちゃんが割って入るかなと。決勝進出の当落線上はAperyチルドレン(またはTwig)に勝てるかどうかだと思っていました。読み太が6コアなら決勝進出だろう、というところですかね。

AWAKEや大将軍・激指などのfloodgateに現れていないソフトに関しては分からないことが多いので、判断できない部分が多かったです。(※もっとも、クラスタでfloodgateに現れるものは多くない)
これらの事情があるだけに、大将軍の勝ちっぷりが印象に残りました。

今回の3位-6位は拮抗していて、3400以上なのかなと思います。(※floodgateのレートはApery関連を入れる人が多すぎて、正しいのか分かりにくくなっている)

次回の一次予選は、習甦・ひまわり・nozomiに、技巧チルドレン(未定)+Aperyチルドレンですか。来年の1次も見逃せませんね。さすがに大合神クジラちゃんはシード権を放棄しないでしょう。

※追記 今回は一次予選組から4チームが決勝リーグ入りしているんですね。(シード権放棄含む)

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ponanza  序盤から強かった。他のソフトと違う箇所が多い気がする。 消費時間をponanza-ponanzaの手数から調整しているのかは分からないが、他のソフトと比べるとあまり持ち時間を使わない。

技巧  安全度の見切りが凄いように思う。ただし、自玉付近の金銀をはがされることをあまり気にしないところがあり、それがいい傾向なのかは微妙なところ。実利重視でやや守勢。序中盤はいい勝負をすることが多いのではないか。枝刈りが多いのか、他ソフトよりも深さが出ている気がする。(魔女ほどではないか)


大将軍 受けが強く、逆転勝ちが多かった。他のソフトが見えていないところが見えているのかもしれない。序盤で少し悪くなってしまうことが多い。以前はApery相手に受けが難しい体勢から受けに回っていた印象があったが、今回はそのような展開は少なかったのではないか。レートは100点くらい上がったそうだ。

Apery (WCSC26):弱点・傾向自体は残っているものの、WCSC25やTwigと比べて粗が明らかに少なくなっている。また、自前のApery_Twigと強豪ソフトとの将棋をWCSC26版で検討させると、所々で変化が見られる。

大合神クジラちゃん 一時はR3500を示していたソフト。Apery_Twigと比べると、玉が広さや受けの上手さがあったように見えた。※攻めも強い ★スレーブはSILENT_MAJORITY

NineDayFever 今回は右玉のような展開が多く現れ、駒を自玉に密集させる展開や上部に玉を逃がす展開が少なかった。

読み太 やねうら王ライブラリ使用のソフト。定跡整備が上手い。バランスの取れた棋風のように思うが、決勝リーグでは攻勢をとることが多かった。やねうら王では現れにくい展開が見られたと思う。

うさぴょん2 悪い定跡を選んでしまうこと以外で序中盤で悪くなることは比較的少なく、堅実な指し方が多いように思う。ただ、互角の局面から攻勢をとったところで不利~劣勢を招く展開が現れていた印象がある。
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激指 強化学習を用いていたそうだ。玉の広さが表れていて、棋風の変化と棋力の向上を感じた。

YSS 軽く捌くような将棋は少なく、差を少しづつ詰めたり付けたりしている将棋が多かった。ただ、上位相手には一度ついた差が縮まりにくく、差を広げられてしまった。

たぬきのもり 負けている将棋は少し攻めすぎているきらいがあるか。勝っている将棋は、やや守勢の展開から相手の攻めの威力を下げ、徐々に攻勢に出ていたような気がする。

なのは 上位相手にもなかなか崩れない指し回しだったが、少しずつ差を広げられてしまう展開が続いた印象を持った。レートは3000ほどか。

Qhapaq 序中盤にリードすることが多かった印象。良くならなくても、不利になることは少なかった気がする。中終盤でミスをしたり抜けが現れることがあった。

AWAKE やや攻勢の将棋が増えていたかもしれない。GPSやYSSの持ち味を発揮させてしまう展開や、45桂と跳ねやすくなる点が現れてしまった。

GPS将棋 攻めあって負けの変化になっていることが多かったか。互角で続いた中終盤でミスが現れて差がついてしまう将棋が見られた。たぬきのもり戦は快勝譜。

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★Apery系列の特徴
狭い玉の軽視、頓死、玉が3段目以上に上がったときに評価がおかしくなりやすい(特に金駒がはがれている場合)、入玉の評価、攻めすぎる場合がある(攻め込んで成り駒を作っても、配置・効率が悪い展開が現れやすい)

やねうら王 振り飛車が現れやすい、相手が変な形のときに高い評価が付きやすい
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棋譜や詳細については後日Dropboxのほうにまとめますので、そちらをご覧ください。

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