以前に記した、「戦法について」 (http://blog.livedoor.jp/mizumon_/archives/1597464.html)の2017年バージョン。

相居飛車


矢倉 (0~40)
対矢倉左美濃急戦をはじめとする急戦策によって、矢倉は様変わりしています。
「矢倉は終わった」という言葉が有名ですが,実際のところはどうなのでしょうか。
https://book.mynavi.jp/shogi/detail/id=73003 (驚愕必至!増田康宏四段インタビュー)

・実は矢倉は終わっていない?
https://twitter.com/yasuhiro297/status/927874746657550336
https://twitter.com/mizumon_/status/864638648293011456

矢倉を目指す駒組みの、▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀の局面の評価値は、プラスに出ます。(やねうら王4.79 + apery_sdt5を使用) この局面でのプラス評価は,以前のソフトでも同様だと思います。
では、5手目▲6六歩から矢倉を目指した場合はどうでしょうか.
▲6六歩の時点の評価値はほぼ0ですが、6手目△8五歩に▲7七銀と上がった局面ではマイナス評価(-50程度?)に変わります。これは、対矢倉左美濃急戦で▲6六歩が争点にされてしまうためですね。

左美濃が有力であるため、▲6六歩から矢倉を目指すことは得策ではありません。現在は、矢倉を志向するプレイヤーの多くが5手目▲7七銀を選択するようになっています。この変化によって、「5手目▲7七銀は矢倉志向、▲6六歩は雁木志向」と、5手目の選択で採用する戦法が明確に分かれるようになりました。5手目▲6六歩から矢倉に組む時代は終わった、とは言えるかもしれません。
また、早期に▲6六歩を突いて矢倉に組むことが難しくなったため、飛車先不突き矢倉も少なくなりました。後手からの急戦策があることもあって、▲6六歩~▲6七金右に変わる手待ちがないんですね。
矢倉戦法での個人的なおすすめは、とっとと▲2五歩まで決める指し方です。後手からの急戦を封じる効果があり、指し方を限定することができます。以後の指し方は、急戦矢倉・藤井矢倉・脇システムなど、それぞれの好みで良いでしょう。▲6七金左~▲7八玉という新しい指し方もあります。(完成した形は、土居矢倉と呼ばれるようです。相矢倉のときに使われるのかは知らないですが)

・ソフトはなぜ矢倉に組まないのか
プラス評価である矢倉を選ばないということは、矢倉よりも評価値が高く出る戦法があることになります。矢倉を選ばない理由には、角換わりの存在がありました。角換わりは全体的に高めの評価値を示します。WCSC27~第5回電王トーナメントのソフトの場合、腰掛け銀系統は時間を掛ければ評価値が0に近いものになるのですが、早繰り銀+▲6八玉は高い評価が出やすかったです。https://twitter.com/mizumon_/status/927904419848454144
SDT5以後の、やねうら王+apery_sdt5はそれほどでもないですが。

角換わり (?)
△6二金型の出現で大きく変わりました。プロ・アマチュア問わず多くのプレイヤーが採用し、メジャーな形になったので、この形についての説明は不要でしょう。
先手からは、早繰り銀も有力です。後手も早繰り銀で追随するしかないのかもしれません。SDT5以前のソフトでは過大評価が多く、当時は参考にするのが難しそうだという印象を受けました。今のソフトは分かりません。

角換わり拒否からの雁木 (0~50)
雁木の時代です。こんなに指されるとは思ってなかったです。矢倉vs雁木は増えると思ったのですが、互いに雁木を選ぶ指し方が増えるとは。予想が外れました。なぜ雁木が増えたのかはよく分かりませんが、プレイヤーは新しいもの好きなのかなと思います。ソフトが指すから、とは言えなくもないですが、それにしては序盤が適当なケースがそれなりにありますし。(以下の内容参照)
現在では、4手目△4四歩から雁木を目指すという、個人的にはちょっと理解できない指し方も。▲3七銀から急戦策できますし、そうでなくても角の動きで▲6八角の一手が権利になるので先手得なのですが・・・
角換わり拒否からの雁木ですが、先手には▲8八銀と▲6八銀のふたつの選択肢があります。▲6八銀でうまく攻めることが容易ではないため、▲8八銀のほうが良いと思うのですが、これは好みだと思います。▲6八銀に対して、後手が△3一玉まで囲って潰されるのは不思議です(筆者もくらった)。潰されるケースが現れているのであれば、後手が違う指し方を選びそうなものですが。

相掛かり (0~20)
ハチャメチャです。ちなみに、ハチャメチャという言葉の由来は、将棋関係のようです。
https://twitter.com/mtmtlife/status/728548651727880192
パターンが多すぎて、捉えきれません。はちゃはちゃです。

横歩取り (0~70 →+100)
コンピュータ将棋の場合、先手勝率が結構高いらしいです。青野流で評価値+100は見込めると思うのですが、終盤で転落するケースが潜んでいるので何とも言えないところです。
勇気流はどうなんでしょうね。後手がミスをするとすぐに先手が優勢になる変化が多いのが良いところだと思います。ただ、序盤をクリアされると互角くらいになるような気がします。この辺りは、佐々木勇気六段が執筆中らしいので、本の発売を待ちましょう。

振り飛車

石田流(-100くらい?)
評価値は低い。ただ、居飛車も不慣れな展開になりやすそう。

先手中飛車 (-20~-50くらい?)
居飛車が咎めるのは簡単ではないので、おすすめ。

先手ノーマル四間飛車(-50~-100くらい?)
後手ノーマル四間飛車(120~160くらい?)
いずれも、振り飛車側がうまく駒組みを行っている場合、居飛車穴熊を目指すと評価値が居飛車側から見て少し下がる。とはいえ、急戦形は実戦的に勝ちにくいところがある。振り飛車党におすすめの戦法。

三間飛車
四間飛車より少し居飛車側に高く出るような気がする。穴熊に組まれやすい面がある。

向かい飛車
四間飛車より、僅かに振り飛車側に高く出るような気がする。穴熊には組まれにくそう。

ゴキゲン中飛車(150~250くらい?)
後手から見ると、桂は使えず金は離れる形で駒の進出が遅れる状態になっている。相手は5五の歩を狙うだけで
負担なく駒を活用できるため、負けるときは何をやっているのか分からない感じに。
5筋の位を取る,よくある指し方の評価値は先手に高く出る。5筋の位を取らなければ+150くらいに収まるものの、それではあまり指す気にならないのではないかなあ。


その他の振り飛車
変わり種のものの評価値はあまり良くはない。いずれも、少なくとも居飛車側が+120くらい見込めるかと。

・序盤戦について
ミスが大きくなるのは中盤以降なので、序盤の評価値を気にしすぎることなく、自身がミスをしにくい形を選べばよいかと思います。相手が不慣れであればなお良し。