2005年05月20日

垂直方法の回遊性への挑戦〜PICASSO347〜

PICASSO347 PICASSO347 PICASSO347

 

 

 

 

 

 

最近の商業施設のテーマ:「回遊性」

〜見て回って楽しんで、ブラブラ歩くのが楽しい施設〜

→ある種のショッピングでは、モノ(商品)を買うことが目的なのでなく、ショッピングという行為そのものが目的化している傾向が強い。モノを買うのは副次的な目的にまでなっている場合も多い。

最近アウトレットモールが台頭してきておりますが、アウトレットモールにおいては「街歩きの楽しさ」が重要な要素とされています。アウトレットモールの建物は、ほとんどが2階建てで、2階建ての建物が広い敷地に横に伸びています。これは「水平方向の回遊性」と言えるでしょう。

 百貨店は、かつてはレジャー的消費の殿堂でしたが、今では「買い回りの楽しさ」は、アウトレットに比べれば小さなものに感じられます。理由は多々考えられますが、その中の一つが、物理的な要因として、百貨店は繁華街にあり、水平方向に伸びることができない「ビル」であるということが挙げられます。したがって、アウトレットのような回遊性もないということです。

 さて、ビル建築の非回遊性へ挑戦状を叩き付けたのが、東京渋谷1丁目に昨年10月にオープンした複合商業ビル「PICASSO347」です。このビルは、現代消費者が求める回遊性を、垂直方向に伸びるビル建築で実現しようと試みた例です。つまり、アウトレットモールの持つ水平方向の回遊性に対し、「垂直方向の回遊性」を実現させようとしたのでした。吹き抜けの空間とそれを利用して2階に上がるエスカレーターのほか、3階へ一気に上がるエスカレーターを設置。画一的な動線を強いられず、複数の回遊パターンを生み出しました。また、各テナント・エリアも天井が非常に高かったり、飲食店のテラスにプールや緑を多用したりといった仕掛けによって、ビルの閉鎖的な息苦しさがありません。こうしたことから、PICASSO347は、これまでの都会の商業ビルとは一線を画する垂直方向の回遊性を持ったビルの先駆けと位置づけることができるでしょう。

しかし、垂直方向の回遊性への挑戦はPICASSO347が完成形ではないと思います。やはり利便性に対して多少違和感も感じられますし、飲食店内のプールや緑地はフロアを回遊していて見られるものは限られています。垂直方向の回遊性を生み出したがゆえの犠牲をどのようにしてカバーするかが今後の課題となりそうです。しかし、今回の試みをきっかけとして試行錯誤を繰り返し、垂直方向の回遊性の高い都会のビル建築が生まれていけば、郊外のみでなく、人々は都会のビルでも回遊性を楽しむことができるようになるかもしれません。垂直方向の回遊性は水平方向の回遊性よりも明らかに難しいですが、生き残りに必死な百貨店にとっても非常に重要なテーマとなり得るでしょう。

PICASO347ホームページ http://www.picasso347.com/

  
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2005年05月10日

お詫びとお知らせ

いつも「MJダイジェスト!!」を見てくださっている皆様、本当に有難うございます。
最近多忙だったため、更新を怠ってしまっておりました。
その間こちらに遊びに来ていただいた方には深くお詫び申し上げます。
 
都合がつき次第、こちらのサイトを再開しようかと思ってはいるのですが、もう少し時間がかかってしまうかもしれません。また、今までの「MJダイジェスト!!」とは違ったことをやってみてもいいかなと思っているのですが、どのようなことをやろうかはまだ全くの白紙です。何か面白いアイディアを教えてくださる方、もしくは一緒に何かやってもいいよという方いらっしゃいましたら是非一言お声をお掛けください。
 
また、それ以外にも何かご意見やメッセージをいただけたらプロフィール下のメールアドレスにメールをくださるか、もしくはこちらのコメント欄に気軽に書き込んできださい。
 
これからも「MJダイジェスト!!」とハセガワをよろしくお願い致します。
  
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2005年03月27日

「pride glide」のシーズンレスMD、成功  (3月2日掲載)

pride glidepride glidepride glide

 

 

 

 

 

 

オンワード樫山が20代前半に向けて展開するブランド「pride glide」は、昨年910月に、通常なら時期外れとされる肌の露出が多めのワンピースを集中投入しました。そして、このシーズンを無視したかのようなMD(マーチャンダイジング)は大成功し、前年比2倍以上の売上高を達成しました。

 

この「シーズンレスMD」の成功要因としては、以下の二つが挙げられます。

 

ひとつは、最も積極的な理由として、オンワード樫山の読みが的中したことです。その読みとは、クリスマスを過ごす恋人を求めて合コンに集まる女性が増え、気温にかかわらず、異性の目を引く少し大胆な服が売れるとの読みです。

 

もうひとつは、「都市部は寒くなくなった」ということです。これは、地球温暖化やヒートアイランド現象を指しているのではなく、都市部での一日の生活において寒さに晒される場面が減ったということです。例えば、オフィスや駅ビル、デパートなどはもちろんのこと、地下鉄から直でビルに続く地下歩道が増えたりと、寒さに晒されるエリアと時間帯が少なくなり、分厚い服装をしなくても大抵の時間は過ごせるようになったということです。

 

今までは、季節の変化に合わせ、商品政策を行うのがアパレル業界の常識でした。しかし、暖かい暖房の効いた環境によって取り囲まれる生活によって、今の都市生活者は実際の季節の変化ほど季節の変化を感じていないというのが実情です。その実情に合わせようという試みのひとつが、今回の「pride glide」のMDだったのです。つまり、季節の変化という自然の原理をそのまま生活の変化へと当てはめていたこれまでのアパレル業界の常識から脱して、生活者の感覚で商品政策を行おうということです。別の言い方をすれば、「実質気温」から「体感気温」へと重点をシフトしたと言えるかもしれません。

 

さらに、その体感気温と、クリスマスやその前に盛り上がる合コンなどのシーズンイベントを考慮した結果、従来の画一的なMDを脱した、非常に思い切ったMDとなったわけです。

 

「業界の決まり」でまかり通っているものというのは世の中に多くあるかと思いますが、生活者のインサイトを無視した企業側の都合によるものや、大昔からの慣行といったものも多いはず。そこを、少し消費者の実情へと目を向けることで、新しい機会を手にすることが可能となることもあるのだとおうことを、今回のオンワードの例は教えてくれます。

 

また、自然の変化と人間の体感・行動の変化には誤差があり、その誤差を生み出しているのは建物やインフラなどの環境だということを今回に記事で認識しました。都市生活者にとっての季節・気温の体感の変化などを捉えるためには、消費者の行動を変化させるような外部環境の変化にも常に目を向けていることが必要かと思います。

写真:pride glide@伊勢丹新宿店

  
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ローソンの「ごはん亭」、好調 (2月9日掲載)

ローソン「ごはん亭」ローソン「ごはん亭」

 

 

 

 

 

 

ローソンが昨年11月末に売り出した500円弁当の新シリーズ「ごはん亭」の売れ行きが好調だそうです。男性客の購入が約7割を占めていた従来の弁当に比べて、同シリーズは女性の購入比率が平均より510ポイント高いそうです。

 

ヒットの要因としては、ワンコインの手軽さに加えて、野菜をふんだんに使った内容が女性客に支持されているとのことです。

 

そこで私が考えさせられたのは、男女の求めるモノの違いについてです。今回は、男性に比べて女性は野菜を好むという「好み」の違いに着目したわけでした。さて、好みに加えてもうひとつ挙げられる男女の違いがあります。それは、食べられる「量」の違いです。ファミレスのメニューなどを見てみても、同じ一つの品目なら男性も女性もどちらも同じ量をオーダーすることになります。しかし、男性と女性では明らかに摂取カロリーや食べられる量が違います。それでも、売る側としては「画一的なサイズのほうが面倒くさくない、手間暇コストもかからない」ということで画一的なサイズを押し付けてきます。

しかし、顧客志向の考えを持っていれば、男性と女性の食べる量の違いを考慮して一つのメニューに二つのボリュームを設定してもよいのでは?と思ってしまいます。

 

最近は、マス・カスタマイゼーションという考え方が浸透し(また、それを実行するためのテクノロジーが開発され)、マスな商品・サービスでも(マスな消費者を相手にしていても)個々人のニーズに合った商品・サービスを提供することが可能になってきました(例:デルコンピュータなど)。こうした観点から見ると、画一化されたメニューはまだまだ「企業側の都合」に合わせており、「顧客の都合」に合わせようと努力している他業種他業界から遅れているのでは…と感じてしまうことがあります。最近になって、ようやくあるファミレスが女性向けに少量メニューを実験的に開始しました。この取り組みが今後どのように波及していくのか注目です。

 

写真:ローソン「ごはん亭」

  
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2005年03月04日

ケータイ通販で売れるもの  (2月11日掲載)

ALPHA MA-1@Jalanaフレアースリーブ和柄×カットソー@LOVE-DAbercrombie&Fitch コーデュロイブーツカットパンツ

 

 

 

 

 

今回は、ケータイ通販で売れているものを通して、商品と小売形態の関係について考えてみたいと思います。

商品は、それが置かれる小売店の形態によって売れ行きが異なります。別の言い方をすれば、店舗と扱う商品には相性があると言えます。たとえば、フードプロセッサや筋力トレーニング用品はテレビ通販と相性がよく、家具やカーテンなどインテリア用品はカタログ誌と相性がよく、テレビは家電量販店や専門店と相性がよいといった具合です。

 

そこで、最近市場が著しく成長しているケータイ通販で売れる商品、別の言い方をすれば「ケータイ通販向けの商品」というのはどんな商品なのかを見てみたいと思います。

 

211日付けの日経MJに、ファッションというジャンルに限定されますがケータイ通販でどのようなものが売れているのかが掲載されていました。その記事を私なりに要約すると、以下の3点を挙げることが出来ます。

 

     希少性の高い商品 → 衝動買いを誘発する

     目立つデザインの商品 → 小さな画面でも違い(良さ)がわかる

     ブランド力の確立されている商品 → 詳細がわからない場合はブランドを信頼

 

 屮院璽織と燃敕兄埔譟廚痢屮ジュアル」部門で、112日〜25日間のランキングベスト10で第1位に輝いたのは、ネット店舗「jalana」で売られているアルファ社製「MA‐1 フライトジャケット」でした。MA-1は米空軍のパイロットが着用するナイロン製ジャンパーで、アルファ社は米軍指定のメーカーでブランド力が強い商品です。けれども、売れた最大の理由は、「最後の米国製」という希少性だといいます。アルファ社がアジアに生産拠点を移管した今、米国製アルファ社製品が国内でこれだけ販売されるのはめずらしく、「本物」を求める層が飛びついたと思われます。「希少性の高さが衝動買いを誘った。欲しいと思えばその場で買える携帯ショップ向けの商品」(店舗を運営するトランスグローバルの小林正吾取締役)

 

2位は、黒のベースカラーに鮮やかな色使いで日本画のような柄をあしらったカットソーでした。これを販売するネット店舗「LOVED」を運営するロキシーズの関秀美店長は、「目立つデザインの商品ほど、画面の小さな携帯では良く売れる」と話しています。画面の小さなケータイの欠点をよく捉えた発想です。

 

7搬咾任惑笋蠅砲いと言われていたパンツもランクインしました。ネット店舗「ドロップイン」が扱う1020代に人気の「アバクロ」こと「アバクロンビー・アンド・フィッチ」のコーデュロイパンツが第9位ランクイン。「ドロップイン」を運営するスーパーマジックの池田信一代表は「若い携帯利用者はブランドを知っていれば、ぱっと色や柄を見るだけで買う」と説明、携帯では特にブランド力の効用が高いと指摘しています。

 

以上、ネット通販で売れる商品とその理由を述べてきましたが、小売店舗形態と商品の相性についてもう少し深く考えてみたいと思います。ここではリアル店舗とバーチャル店舗(カタログ誌やネットなどによる通信販売)の比較で考えてみたいと思います。

 

商品を選ぶとき、リアル店舗とバーチャル店舗ではどちらが商品特性(使用価値)がわかりやすいのでしょうか。一見リアル店舗と思ってしまうのですが、これが必ずしもそうではないのです。

 

たとえば、なぜフードプロセッサがテレビ通販と相性がよいのかと言えば、リアル店舗の売り場にフードプロセッサがただ置かれている状況では、それによってどのような料理ができるのかが想像しにくいのに対し、テレビでは実演販売方式を取り入れることによってその商品が具体的にどのように使われるのかが非常にわかりやすいからです。後者のほうが商品の使用価値の「リアリティ」を感じることができます。

 

同様にして、家具やカーテンなどのインテリア用品がカタログ通販と相性がよいのは、家具屋のカーテン売り場にカーテンが雑然と並んでいるのと違い、家具やカーテンを実際の部屋にコーディネートした写真を掲載することによって、カーテンが使われた状況を「リアリティ」をもって想像できるからです。

 

つまり、(逆説的な表現になりますが)「リアルよりバーチャルのほうが『リアリティ』がある場合がある」ということです。

そしてお客さんがリアリティを感じたときに、購買に踏み切りやすくなるということです。

 

ではリアリティを感じてもらうためにはどうしたらよいのかといいますと、お客さんに「体験」もしくは「疑似体験」をしていただくことだと思います。フードプロセッサを実際に使ってミックスジュースを作るテレビの実演を見て「疑似体験」していただく、カーテンが実際の部屋に溶け込んでいる様子をカタログ誌の写真を見て「疑似体験」していただく、テレビの画質をリアル店舗で「体験」していただく…。このような「体験」もしくは「疑似体験」がお客さんに「リアリティ」をもたらすことができるのではないかと思います。

 

コロンビア大学ビジネススクール教授バーンド・シュミット氏の「経験価値マーケティング」という考え方は「経験」の概念を広げすぎている感がありますが、私は「経験価値マーケティング」とは「消費者にリアリティを感じてもらうための装置をつくること」だと考えます。「経験価値マーケティング」は、まず消費者にリアリティをもたらすことを第一目的とします。そして、消費者にリアリティをもたらすことが、ひいては購買へのアクションやブランドイメージのアップをもたらすのだと思います。

 

こうした「経験価値マーケティング」は、リアルとバーチャルの媒体を組み合わせることでより効果を発揮させることも可能となってきます。

 

クルマを「体験」という訴求方法によって売ろうとした場合を例にとって考えてみます。まずは、ショールームに来ていただいて実際に運転席に座っていただくという「体験」を提供することが出来ます。また、試乗会を開催して実際の運転を「体験」していただくことも可能です。さらに、試乗会ではディーラーの近くの混雑した道路しか走れなくても、ウェブにてそのクルマが実際に海辺の綺麗な景色の道を実際に走っていく映像を音声とともに提供し「疑似体験」していただくことが可能です。これは私のただの思いつきですが、ディーラーに大画面シアターとまではいかなくとも大画面テレビと迫力のある音響装置を設置すれば、展示してある車が実際に様々な環境を走る映像を迫力のある音とともに流すことができ、味気ないディーラーに足を運んでくるお客さんも少しは興奮したり、こころを動かされたりすることがあるのではと思います、さらにうまくいけば、車検で来て待たされているお客さんの中には、待合室での迫力のある映像による「疑似体験」がきっかけとなって買い替えを検討するなんていうこともあり得なくはないと思います。

 

このようにリアルとバーチャルのクロスメディアによる「体験」と「疑似体験」のミックスという手法は、ひとつの体験では提供することの出来なかった体験を補い、よりリアリティを感じてもらうことが可能となります。

  
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2005年02月21日

金沢21世紀美術館、快進撃  (2月13日掲載)

金沢21世紀美術館金沢21世紀美術館金沢21世紀美術館

 

 

 

 

 

 

 

石川県金沢市に昨年11月にオープンした市立「金沢21世紀美術館」がオープン以来好調を続けています。この美術館の特徴は、なんといっても21世紀の現代美術に展示作品を絞ったことです。いわゆる「巨匠」といわれる作家の作品はひとつもありません。今まで公立の美術館というのは、議会などで理解の得やすい評価の定まった名画を売り物にすることが多かったそうですが、この美術館は違います。まだ一般的には広く知られていない現代芸術家の作品がほとんどです。「名画がなくて人来るの?」という不安をよそに、来館者は1月末で45万人に達し、初年度目標の30万人を大きく超えました。

 

快進撃が続いている理由を以下の3つのポイントに整理して考えてみました。

 

ポイント А崛択と集中」

一つめのポイントは、21の現代美術に特化したということです。『美術手帖』編集長の押金純士氏も、「21世紀に絞っていなければ、これほど話題になっていなかっただろう」と述べています。これはいわゆる「選択と集中」ということでしょう。

企業は自社の事業において、どの事業に資源を注いでその事業から撤退するかを常に考えなければなりません。ときには思いきって自信のある分野に資源を絞り込み集中投下し、他の分野からは撤退することもあります。本当にその分野で強力なプレーヤーとなれるのなら、それは正しい選択となります。

中途半端な総合力よりも、高い専門能力のほうがよいということです。「中途半端なゼネラルから高度なスペシャルへ」という考え方です。

今回、金沢21世紀美術館は、21世紀美術に特化することで、21世紀現代美術の魅力を存分に伝えるだけの展示量を確保しました。もし、中途半端な名画の寄せ集めになっていたらこれだけの魅力的な美術館にはなっていたかったでしょう。「21世紀の現代美術といったら金沢」という時代もそう遠くはないかもしれません。

 

ポイント◆А崑慮魁廖峽亳魁廣「驚き」

この美術館には「名画」はありませんが、「驚き」があります。インスタレーション作品の多い現代美術は、額縁の中に納まった絵画を眺めるのとはまるで違います。この美術館はなんといっても「体験型」であることがウケていると思われます。絵画美術館において「鑑賞者」だったお客さんも、この美術館では「参加者」となります。みずからインスタレーション作品の中に入り、部屋に散りばめられたふわふわしたなんだかよくわからない物体と戯れる。この感覚はなんだろう…?そんな「体験型」の美術館です。これには子供たちも大喜びです。そんな子供たちに特に人気なのがレアンドロ・エルリッヒの作品「スイミング・プール」。上から水面を眺めるとどう見てもプール。でも水の中には人がたくさんいる…。なんだこれは…。それを確かめるには水の中に入らなければなりません。でも、水の中に入ると実は空間になっていて…。そんな疑似体験のできる作品です。

さて、この美術館は現代美術に特化することによって、「体験」を売りにしています。見るだけでは飽き足らない。体験して始めて感じる快感、感動、そしてわいてくる疑問。以前1227日の記事でも触れましたが、マーケティングの世界でも「体験」「経験」が重視されるようになってきました。生活者は眺めるだけでは心は動かされません。他人に解説されたり説得されたりするだけではなかなか心は動かされません。やはり、自らの「体験」「経験」があって、はじめて大きく心を動かされます。そうしたことがこの美術館にも見ることができます。

 

ポイント:街との一体化

3つ目のポイントは、外部との一体化による街への波及効果です。

従来の絵画美術館建築の場合、外光をシャットアウトした展示室で構成されなければなりませんでした。しかし、「展示」の概念そのものが変化・崩壊した現代美術は必ずしも外光をシャットアウトする必要もない場合もあります。建築様式との共同作業でその建築様式に合わせたインスタレーションが行われることがしばしばあるので、外光もひとつの作品の要素になり得るわけです。今回建築の設計を担当したのは昨年ベネチアビエンナーレで金獅子賞を受賞したSANNA(妹島和世+西沢立衛)。彼らは最近では表参道にあるクリスチャンディオールの旗艦店「ディオール表参道」の設計も手掛けています。外側の壁一面にガラスを使用し、内部と外部をボーダレスに近づけたこの美術館建築は話題になりました。さらに、外の通りと美術館の敷地との境には門がなく、建物との敷地にも段差はありません。通りがかった人が気軽に足を運べるようになっています。アンケート調査では、45%が市内からの来訪で、リピーターも多いとのことです。そうしたボーダレス建築と美術館の姿勢のおかげで、「アートの街・金沢」の魅力を高めようという動きが市民レベルでも高まっているそうです。作家が市内の小売店や飲食店で個展を開き、鑑賞の場が美術館のみでなく、町全体に広がりつつあります。一つの核となる要素(=21世紀美術館)を投入することで、周囲全体を巻き込んで変革していくという現象が起きています。美術館がきっかけとなってアートを核とした街おこしにつながっていく。これは、ボーダレスな美術館をデザインしたSANNAはおそらくとても望んでいたことでしょう。

また、商店街とも連携した取り組みも行われているようで、商店街の活性化にもつながっているとのことです。

 

写真:金沢21世紀美術館 『JA』WINTER,2005(新建築社)掲載

  

2005年02月15日

ファミリーマートの都心向け業態「ファミマ」始動!  (2月9日掲載)

ファミマファミマファミマ 

 

 

 

 

 

ファミマ

ファミマ

ファミマ

 

 

 

 

ファミリーマートは今年3月以降、都心向け業態「ファミマ」を本格的に出店させるそうです。8日、東京都内に標準モデルとなる店舗を出店しました。今後、年間10店舗程度の出店を続け、20092月をメドに約50店の店舗網を築くそうです。従来の「ファミリーマート」には置いていない「ファミマ」独自の商品も400アイテム程度そろえ、ビルやホテルなどファミリーマート業態では出店しにくい施設内を中心に出店するとのことです。

 

ファミマでは、専門店で扱う輸入文具(写真参照)やミネラルウォーター、少し高めのサンドイッチなど独自商品が全体の2割を占めることになります。さらに今後、観葉植物など趣味性の高い商品をそろえていくとのこと。ハセガワは東京汐留ビルディングに入っているファミマ4号店に行ってきました。入れたてコーヒーやスープも出しているとのことだったので、クラムチャウダーをオーダーしてみました(写真右上)。店舗面積に余裕のある店には飲食コーナーも併設するそうですが、汐留店にもあったので(写真右下)こちらでクラムチャウダーを食しました。都心のオフィスビルにがメインテテナントとなるだけあって、OL好みのメニューを揃えているようで、クラムチャウダーもそう感じました。店舗デザインも、緑と黒を基調にした看板と木目調の床といった、従来とはまったく違ったデザインに変更しました。さらに証明も明るさを抑えたハロゲンランプを使用し、ビル内の証明との調和を意識しています。従来の白系タイルの床材・蛍光灯の照明とくらべるとかなり落ち着きのある雰囲気でした。

 

コンビニというのは統一されたチェーン・オペレーションによる効率的管理が要であるため、今までは店舗業態も基本的にほぼ一本でした(ローソンの「ナチュラル・ローソン」など例外はありますが…)。今回のファミリーマートの戦略は、「日本全国どこでも同じ店舗、同じサービス」という従来のコンビニの考えから脱した画期的な出来事かもしれません。今回「ファミマ」業態に踏み切ったのは、ファストフード業界を筆頭に他業界での「プラス化(高級志向化)」が成功しつつあることなども、背景としてあるかもしれません。ファミリーマートの「ファミマ」とは、ファストフード業界におけるロッテリアの「ロッテリアプラス」のようなものに近いと考えられます。しかし、それとは決定的に違うことがあります。それは、店を出店する場所柄(出店環境)によってファミリーマートとファミマを使い分けるということです。ロッテリアプラスは今のところ、都心のビルの中に入るからロッテリアプラスになるわけではありません。それに対しファミマは、ビルやホテルなどファミリーマート業態では出店しにくい施設内を中心に出店するといいます。

 

コンビニは今まで画一的な店舗を全国的に作ってきましたが、ファミリーマートはこれまでの常識を打ち破り、出店する場所によってお店のタイプを使い分けようとしています。言ってみれば、空間を「均質」と見る視点から、空間はそれぞれ「特質」があるという見方へシフトしたということです。これは、建築デザインの分野などではごく当たり前な考え方でありながら、しかし非常に重視されていることだと思います。建築をデザインするとき、設計する建物が建つ場所が、街のなかでどのような関係・ポジションにあるのかということをまず事前に考えます。つまり、「場の文脈を読む」という作業です。都市の中で、その場所・建築はどのような位置関係にあるのかということです。そうして考えてみると、「均質な場所」など世界にどこにもなく、すべてその場その場独自の「場所性」を持っていることがわかります。チェーンストアやファストフード、コンビニなどは、人々が全国どこでも均質なサービスを受けられることを可能としました。しかし、そのプラスのメリットばかりが強調され、マイナスの面は眠ってきたかのようです。チェーン・オペレーションによる効率的経営管理がかなりのレベルに達した今、従来とは異なる次元の次なるステップへ進むべき時が来たのかもしれません。人間に一人として同じ人がいないように、「場」というのも一つとして同じ場所はないと思います。それを意識しないのとちょっと意識するのとでは違うのではないかなと思います。

 

写真:ファミマ東京汐留ビルディング店。ハセガワ撮影

  
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2005年02月12日

ミネラルウォーターでオシャレ&健康ライフ  (2月9日掲載)

ミネラルウォーターたち@ソニープラザ汐留店R gath @恵比寿ガーデンプレイス R gath @恵比寿ガーデンプレイス

 

 

 

 

 

 

飲料市場が伸び悩むなか、ミネラルウォーターの市場が伸びています。日本ミネラルウォーター協会によると、98年から2003年までの5年間で消費量は倍増したそうです。業界推定では、国内のミネラルウォーター出荷量は前年比7%増となる見通しだそうです。

ソニープラザでも、店頭で扱うミネラルウォーターの種類をここ3年ほどで7銘柄から20銘柄へと、約3倍に増やしました。

 

ミネラルウォーターを飲む人たちは、それをどのように楽しんでいるのでしょうか?

たとえば、銀座のフレンチレストラン「オザミ・デ・ヴァン」では、「ヴィッテル」「ペリエ」「サン・ペリグリーノ」の3銘柄を揃え、料理に最もマッチする水を選んで提供しているそうです。しかし、最近ではお客さんのほうから銘柄を指定してくることがかなり多いそうです。

また、体調に合わせてミネラルの違いを考慮して水を選ぶという人がいたり、「レストランではハリウッド・セレブが飲んでいる銘柄など、なかなか買えないブランドを飲んでみる」(26歳女性)という人もいたりと様々ですが、消費者のミネラルウォーター知識は確実に増しているようです。消費量がもっと拡大し、販売店や取り扱い銘柄ももっと増えれば、「ファッションのように楽しむ感覚で水を選ぶ」(ソニープラザ)時代が来るかもしれません。

 

国内飲料メーカーもミネラルウォーターに力を入れ始めました。サントリーは、血糖値を下げる特定保健用食品では初めての試みとなるミネラルウォーターを発売します。商品名は「水々(みずみず)しあ」。食事と一緒に飲めば、含有する食物繊維が糖の吸収をおだやかにし、海洋深層水がマグネシウムを補充するといいます。

 

ところで、最近お酒を飲む場所として、外のお店ではなく自宅・友人宅・恋人宅を選ぶ人が増えているそうです。電通はこの自宅回帰の傾向を「新おうち消費」と名づけています。恋人同士の「週末二人暮らし」も新おうち消費を後押ししているようです。また、新おうち消費や週末二人暮らしは「おうちシアター」といった形でくつろぎモードで自宅で映画を見たり(これはホームシアターの消費を後押ししていると考えられます)、「二人でお料理&おうちカフェ」「カップルリラクゼーション」といった新しいライフスタイル・生活価値観を生み出しているようです。飲むお酒についても、お酒を買ってくるだけでなく、自分たちでオリジナルカクテルを作って飲むという人たちもかなり増えてきているようです。ワインのうんちくやカクテルの合わせ方などの話題が、家族・友人・恋人との楽しいコミュニケーションとなっているようです。

 

ミネラルウォーターも、レストランでの消費のみでなく、この新おうち消費にうまく食い込むことができれば、可能性はさらに広がりそうです。この新おうち消費の流れに入っていくためには、やはり飲食店で積極的に取り扱われることが一つのきっかけとなり得るとは思いますが、さらに、それを経験した先駆的な人たちが今度は自宅でも飲んでみたいと思って店頭販売へと流れ、それに応えるべく店頭販売での品揃えが豊富になっていくことが選ぶ楽しみにつながっていくという一連の流れが生まれることが必要なのかなと思います。

 

写真:左   ミネラルウォーター@ソニープラザ

   中・右 ウォーター&ワインバー R gath@恵比寿ガーデンプレイス      

  

2005年01月31日

伝えるコトはシンプルに、使うメディアは複雑に  (1月14日掲載)

新生ラックス

最近、日本リーバの「ラックス」が好調のようです。昨年夏に花王の「アジエンス」とシェアのトップ争い繰り広げ、11月に商品をリニューアル。それ以降は首位の座を堅持し、順調に売上を伸ばしています。

 

その好調の要因のひとつが、広告で伝える情報の選択と集中です。売り場でも、「明日の髪のダメージまで防ぐ」というメッセージのみを前面に出し、他の多数の改良点の説明は控えました。そのかわり、コアターゲットである1629歳の女性と接触きるあらゆるコンタクトポイントを駆使したメディア・ミックスを行いました。具体的には、ネットや新聞以外に、駅ホームのポスター、改札口の脇などに置かれた無料氏の表紙、横浜市内のバス停など、利用した媒体は十種類近くになりました。

 

最近のヘアケア製品は様々な効果をたくさんうたったものが多く、消費者の情報負荷が過多になり、消費者はそれらの情報を消化しきれない情況があったようです。そこをうまくついたのが今回のラックスのプロモーションの方針でした。「情報量を絞ることで他社と差別化し、逆に注目度を高める」(日本リーバ)ことを狙いました。

 

社会が豊かになりモノがあふれ、モノが複雑化すると、消費者は多大な情報処理を迫られます。そのような複雑化社会・情報過多社会のなかでは、「単純」というものが差別化要因として働くということだと思います。当たり前ですが、ただ「単純」であればよいのではなく、そもそも商品自体にそれなりの魅力があることが前提で、さらにその魅力を「単純」なキーワードで表現することがうまくできれば消費者は情報処理をしやすいのでしょう。しかし、製品コンセプト自体が魅力的かつ単純明快な場合は、さらに現代の消費者に理解されウケる場合があるかと思います。

 

マーケティング・コンサルタントのライズ&トラウトは、彼らの著書『マーケティング22の法則』の中で、次のような「集中の法則」というものを説明しています。「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである。」例として彼らは、ボルボ=「安全性」、メルセデス=「技術」、ペプシコーラ=「若者」などを挙げています。このような法則は、情報負荷がますます大きくなるこれからの時代にはより受け入れられる可能性が高い考え方かもしれません。

 

しかし、ラックスの「ダメージケア」というコンセプトは、上に挙げた3つの例ほど確固たる突出した地位を築くに至っていないような気もします。むしろ、抽象的ではありますがアジエンスの「アジアン・ビューティー」という、今までになかったまったく新しいコンセプトは画期的でしかも独自のポジショニングを確立しつつある気もしますが、皆さんのヘアケア・ブランドに対する印象はいかがでしょうか。


  
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2005年01月28日

ワールドが家具販売へ  (1月14日掲載)

クラスティーナクラスティーナクラスティーナ

 

 

 

 

アパレル大手のワールドが、家具・インテリア小売りに進出するそうです。3月末に松坂屋銀座店に1号店を出店し、関西の商業施設内にも年内に出店する予定です。

 

店舗名は「FINE REFINE(ファイン リファイン)」。核となるターゲットは30代の女性で、茶色や白、ベージュといった飽きの来ない上質の感のある商品を揃えます。

 

同社は国内メーカーではいち早く衣料品の生産から販売までを一貫して手がけるSPA(製造小売業)の体制を構築してきました。直営店の販売動向に合わせて商品構成を毎週見直しています。こうしたノウハウを家具販売にも応用できると考え、今回の進出となったようです。

 

商品構成は同社が企画し国内で委託販売した家具類と、他メーカーから買い付けた商材を50%ずつそろえるとのことですが、将来は大半を自社企画のオリジナル商品にする計画だそうです。ワールドは家具でもSPA化を目指す方針です。

 

アパレル業界においてSPA化がひとつの大きな潮流となっていることは1月20日の記事で指摘しましたが、最近は家具・インテリアの業界でもSPA化が進んでいるようです。

「SPA型住生活総合提案店」と自らを称する「ニトリ」や「120%満足する家具を50%安く買う」と謳う「クラスティーナ」(http://www.crastina.co.jp/)を例に挙げることができます。

 

アパレルメーカーが家具に進出するというのは、同じファッション(流行)を取り込む商品を扱うということでシナジー効果を得られるかもしれません。特に最近は、商品を単体で売るよりも、その商品をライフスタイルの中でどのように消化させるのかといったことを提案する(「モノ」を売るだけでなく「コト」の提案力)努力が求められますので、そういった意味では、衣類と家具をトータルでライフスタイルとして提案するといったことも可能だと思います。

 

また、アパレル業界のトレンド傾向の情報と、家具のトレンド情報を相互に利用し合うこともできるでしょう。ファッション・トレンドの変化は、家庭の中の家具のデザインに影響を与えるかもしれませんし、また、その逆もまたしかりだと言えます。

さらに、顧客の情報といったものも連動できる可能性も出てきますし、ワールドの今回の多角化はSPAノウハウもさることながら、そのほかの面でも大きなシナジーを得られる可能性を秘めたものだと言えそうです。

 

写真:クラスティーナ。ハセガワ撮影

  
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2005年01月23日

TVゲームも媒体に  (12月8日掲載)

カロリーメイト on メタルギアソリッド3カロリーメイト on メタルギアソリッド3大塚製薬カロリーメイト 

 

 

 

 

 

sabraのグラビアに気をとられる敵兵士

sabra on メタルギアソリッド3

小学館『sabra』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コナミは1217日に発売された新作ゲームで、タイアップ企業の商品をPRしています。主人公が大塚製薬の「カロリーメイト」や小学館の雑誌「sabra」を、体力回復や敵を欺く道具として使います。

 

PR商品を盛り込むのはプレイステーション2PS2)用のアクションゲーム「メタルギア・ソリッド3 スネークイーター」です。ゲーム内で主人公がカロリーメイトを食べると、キャラが体力回復をするそうです。sabraは、敵キャラクターの注意をそらす道具に使われます。sabraを床に置くと、敵の兵士はグラビアに没頭し、自分の操るキャラが敵に近づいても気づかれなくなるという効果をもつとのことです。

 

これに合わせてさらに、大塚製薬はカロリーメイトの宣伝ポスターにゲームの主人公を登場させ、小学館は雑誌でコナミの新作ゲームの特集を組みます。ポスターや雑誌とゲームという異なった媒体でPRの相乗効果を狙います。

 

サッカーなどのスポーツゲームで、背景の看板に企業ロゴを入れるなどの手法はありましたが、今回のようにゲームのコンテンツに商品を組み込むのは珍しい手法です。

 

近年は、マスコミ4媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)中心のマス広告偏重の広告出稿スタイルから、よりターゲットの絞られたメディアを横断的に用いたり、車内広告とウェブを連携させたりといったクロス・メディア型の広告手法の多用、核となる広告と他のセールスプロモーションとの連動など、広告・プロモーション手法が複雑になってきていますが(統合型マーケティング・コミュニケーション=IMC)、新たな媒体を開発するといった例はあまり多くないように思えます。また新たな媒体を見出してもあまり大きな効果が見込める例は少ないように思えます。そんな中、今回のタイアップは実際的な効果もそれなりに期待できるのではないかと思います。ただ、ターゲットの幅が狭いと言う意味から、製品のさらなる普及には大幅な影響を与えることはできないかもしれません。しかし、高いレスポンス率(反応率=広告を見て実際に購買行動に移る率)を獲得できる効率的なコミュニケーションといえるのではないかと思います。

 

実はこのゲーム、さらに「ゴジラ」も登場するそうです。まさにコラボに次ぐコラボです。

  
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2005年01月20日

中高年もオシャレに  (日経MJ 1月15日)(繊研新聞1月1日)

ユナイテッドアローズ for MENユナイテッドアローズ for WOMENユナイテッドアローズ BLUE RABEL STORE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セレクトショップのユナイテッドアローズ(以下UA)は今春、45歳以上をターゲットとする新ブランド「ダージリンデイズ」の展開を始めます。このお店、セレクト編集という従来のショップ形態と異なり、完全オリジナル商品で構成されるそうです。UAの重松理会長は、セレクト編集のみでは競争優位を保てないといいます。新しいブランドを発掘しても半年もすれば競合他社にも同じブランドが並んでしまう。こうした状況で差別化を図るには、独自(オリジナル)商品が必要だといいます。

 

UAはセレクトだけに頼らず、企画から製造を自社に「内部化」してSPA(製造小売業)を志向しており、こうした方向性は最近のアパレル小売業でひとつの大きな流れとなっているようです。

また、企画能力の弱い大手専門店ではアパレル卸や商社と組んで自社の売り場だけで販売するブランドや商品を開発し、差別化と仕入れコストを削減するという「取り組み型」も増加してきています。

 

ダージリンデイズは、まず首都圏の百貨店に200万平米程度の店を3店オープンさせる予定だそうです。若者には強い指示を得ているユナイテッドアローズですが、45歳以上の中高年層からするとまだまだ知名度の低い新興企業。知っていたとしても、「どうせ若者のブランド」というレッテルを貼られ、近寄ってきてくれない可能性もあります。そこで、UAは中高年から「信頼」という面で支持される百貨店という形態に目を付けたものと思われます。中高年からの信頼を得ている百貨店という場所に出店することにより、中高年層に対するUAのブランドとしての「信頼」を得ようという狙いがあるのでしょう。

 

このところ衰退が懸念される百貨店業界ですが、中高年からの「信頼」という面ではブランド力を発揮できそうです。前回のデザイナーズフラワーに関する記事で、デザイナーズブランドのデザイナー名の「信用」の役割について言及しましたが、UAが中高年層からの「信頼」を百貨店のブランド力に求めていることが伺えることからも、ブランドというのは「信頼」とか「信用」といった要素がブランドの本質だということが確認できるのではないでしょうか。

 

ファッション業界ではこのところ20代中心の若者市場は飽和状態なってきており、各社はオシャレで感度の高い商品やブランドが少なく「空白地帯」とされる中高年市場を新たな収益源とすべく、業態開発に本腰を入れ始めているようで、今後ファッションやインテリア雑貨の分野では40代以上の中高年層をターゲットとするブランドが増えそうです。

 

インテリア雑貨業界では、ロフトが従来の20代のOL層を中心にしたロフト業態とは一線を画し、30代から40代の独身女性を取り込む新業態を開発中だそうです。

従来のロフトが品数の豊富さと楽しさをアピールしてきたのに対し、新業態はデザイン性と品質の高さを前面に出すようです。

これは、可処分所得も高く、自分なりの生活スタイルにこだわりを持つ3040代女性を囲い込む考えです。

 

十数年後には40代の4人に一人が独身という時代になるといいます。家族を持たない独身者は、自分のライフスタイルへのこだわりと投資額が高いので、今後ますます中高年層への新たなアプローチの必要性が生じてくるでしょう。ディスカウントストアでかったポロシャツじゃいやだというおじさんは確実に増えるでしょう。増えていくと思われるファッションに敏感な中高年層を捉えるのもこれからの重要な戦略として考えていかなければならない時代なのですね。こうした変化には、人口と家族・世帯構成というデモグラフィック(人口動態的)な要素の変化(=40代の単身者の増加など)、サイコグラフィック(心理的)な要素に影響を与える(=こだわり派が増える。など)という連鎖関係というのが垣間見えます。従来、デモグラフィックスとサイコグラフィックスというのは別々の要素として取り扱われることが多かったように思えますが、長いスパンで見たときにはこうした両者の連鎖的関係を考慮することも大切かと思います。

 

写真:左 ユナイテッドアローズ for MEN

   中 ユナイテッドアローズ for WOMEN

   右 ユナイテッドアローズ ブルーレーベルストア

   

   (ハセガワ撮影)

  
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2005年01月18日

花束もデザイナー指名! デザイナーズフラワー (12月17日掲載)

バーニーズNY銀座生花売り場FLOREAL@OPAQUE丸の内FLOREAL@OPAQUE丸の内 

 

 

 

 

 

FLOREAL@OPAQUE丸の内

JANE PACKER @ロイヤルパーク汐留タワー

FLOREAL@OPAQUE丸の内

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前からデザイナーズマンションが話題になり、最近ではデザイナーズ携帯がヒットしましたが、今度はデザイナーズフラワーが躍進してきています。

 

生花販売の老舗、日比谷花壇では、ギフト花のカタログで同社の代表的な花デザイナーの名前と顔写真を入れた「デザイナーズフラワー」を売り出しているそうです。掲載するデザイナーも当初の2人から今は5人に増えました。母の日にも2万円以上のデザイナーズアレンジの花が200セット完売したそうです。

 

同社は「バーニーズニューヨーク」銀座店内の花売り場もバーニーズと共同で運営しています。そこではカタログにも名を連ねるデザイナーも売り場に立ち、手掛ける「オートクチュール花」の売れ行きも好調とのこと。中心価格帯は1万−5万円。ギフトのみでなく、自宅用としての注文も多いそうです。

 

JANE PACKER  @ロイヤルパーク汐留タワーJANE PACKER @ロイヤルパーク汐留タワー同じく銀座の「アフタヌーンティー・ザ・ジェネラルストア」と「ロイヤルパーク汐留タワー」内に出店している「ジェーン・パッカー」は、ロンドンの有名花デザイナー、ジェーン・パッカー氏の東京店。ファッションブランドのようにデザイナー名を冠した花店です。同店の売上げは、昨年12月の時点で前年比50%増の見込みとのことでした。ロンドン発のデザインを、同社の日本のデザイナーが日本風にアレンジして商品開発を行うこともあるそうです。

 

ESTNATION有楽町六本木ヒルズや有楽町に店舗を構える「ESTNATION」内の花売り場「ニコライ・バーグマン」は、デンマーク出身のバーグマン氏のフラワーアレンジを専門にする「花のブランドショップ」。普通の生花店のように花材を表に出すことは控え、花のアレンジをまるで洋服や化粧品のように並べたディスプレーが特徴的です。生花やドライフラワーをボックスに詰めた箱詰めがとても綺麗です。

 

ギフトは自分のセンスを問われるもの。冠婚葬祭用の花であれば、特に個性的なものは必要なく、無難なものの方がかえって良い面もあったかもしれません。しかし、先日の記事でも申し上げました通り、今は冠婚葬祭向けギフトからパーソナルギフトへとシフトしてきている時代と見てよいでしょう。そうなると、花のデザインでもやはり個性的でビックリするほど美しいものが求められるようになるのは必然的かもしれません。あげる方も自分のセンスを問われますし、もらう方も部屋に置けないようなダサいものはあまり欲しくないかもしれません。デザイナーの名前というのは、ある意味の「クレジット」=「信用」の意味を持っているのかもしれません。「あのデザイナーのお店に行けば、今度のギフトでも素敵なアレンジをしてもらえる」と思って固定客となる人が増えるということです。また、デザイナーが有名になれば、「どこそこのデザイナーズショップで買った花だ」ということ自体がバリューとなる時代が来るかもしれません。いずれにしても、これからデザイナーズフラワーは伸びる要素が大いにあると見てよいかと思われます。

 

参考:日比谷花壇 http://www.hibiya.co.jp/

   JANE PACKER http://www.janepacker-tokyo.com/index2.html

   ESTNATION http://www.estnation.co.jp/

 

写真:バーニーズニューヨーク銀座店 生花売り場

    JANE PACKER ロイヤルパーク汐留タワー店

    ESTNATION銀座店

    FLOREAL OPAQUE丸の内店

     

        (ハセガワ撮影)

 

  
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2005年01月16日

シンプルデザインの系譜  (1月15日に関連記事)

Electrolux by TOSHIBA トースター

フランフラン丸の内店

デザイン電卓@ザ・コンランショップ 

 

 

 

 

 

 

 

最近の製品デザインはシンプルなものがウケているようですね。

 

たとえば、シャープの液晶テレビAQUOSとそのCM。シンプルなデザイン建築の中にAQUOSが置かれたおなじみのCMの光景からは、デコラティブな装飾のイメージは一切ありません。

 

また、東芝がスウェーデンの家電大手エレクトロラックスと共同開発した家電シリーズ「Electrolux by TOSHIBA」も、クローム調の調理用品、カラフルな色使いだけどシンプルなデザインの掃除機など、こちらもシンプル&スマートのデザインです。

 

携帯電話でも、シンプルデザインが評判を呼びました。深澤直人氏デザインのauの「INFOBAR」は、一時在庫切れが相次ぐ状況も出るほどでしたが、深澤氏は、デザインはシンプルなものが一番だというようなことを述べておりました。シンプルでデザインのよいものは長く愛されるが、やたら装飾的なものは一時的な興味の対象にしかならない場合が多いとのことです。今、auでは新たなデザイン携帯「talby」を発売しておりますが、それもまたシンプルデザインです。

 

なぜ電化製品でシンプルなものがウケるのでしょうか。電化製品以外の分野ではどうなのでしょうか。そこで、手掛かりとしてトレンドに敏感なインテリア雑貨とファッションの分野に目を向けてみたいと思います。

 

インテリア雑貨の分野に目を向けてみると、シンプルが売りの無印良品が、家電でシンプルデザインが流行るずっと以前から成功をおさめてきました。無印良品は、雑貨のみでなく、文具から食品、そしてファッションの分野まで、人々にシンプルスタイルを啓蒙した立役者の一人(一企業)と言ってよいでしょう。

 

また、最近では、価格帯が安めの設定で、シンプルなデザインものを集めたイ

ンテリア雑貨店「フランフラン」の伸びも見逃せません。

また、日本に進出している「ザ・コンランショップ」や、その母体であるテレンス・コンラン氏のデザイン会社「コンラン&パートナーズ」の活躍も目に留まります。

 

ファッションの分野では、アメリカのGAP、スペインのZARAといった外資系SPA(製造小売業)の躍進と成功をまず挙げることが出来るでしょう。その追随者として、日本のユニクロがある程度の成功を収めていることは周知の通りだと思います。これらのSPA企業は、どれもシンプルで飽きのこないデザインを売りにしており、単なるマス・マーケット市場としてではなく、こだわり派の消費者からも、コーディネートの一要素としてうまく利用されているようです。これらの企業の躍進は、人々にファッション分野でのシンプルスタイルの魅力を啓蒙したと言えると思いますが、その影響はファッション分野を超えて人々の生活全般へとシンプルスタイルに対する意識を植え付けたかもしれません。

GAPモザイク阪急銀座店

無印良品外苑前店

GAPモザイク阪急銀座店 

 

 

 

 

 

 

 

こうして見ると、インテリアやファッションといった身を包むもの、身の回りのものといったレベルでまずシンプルなものの需要が開拓されたと見ることができるかもしれません。

そして、次に家電に対する生活者の意識の変化が挙げられます。「クオリティ・オブ・ライフ」を求める最近の生活者にとって、家電はもはや単なる機械ではありません。料理をしている時から洗濯や掃除をしている時まで、それぞれの瞬間・瞬間が楽しくオシャレな時間でありたいと思う生活者にとって、そのための道具は単なる「機械」ではダメなのです。単なる機械ではなく、家電もひとつの「インテリア」とならなくては新世代の生活者に受け入れられないのです。そのためのデザインとして、インテリアやファッションで成功していたシンプルなデザインが家電でも受け入れられつつあるということかもしれません。

 

携帯電話については、こちらも単なる機械ではなく、身につける「アクセサリー」的な感覚が強くなってきているように思えます。そうであれば、やはりオシャレなものがよいと誰もが思うでしょう。しかし、人々の服装の好みはそれぞれですから、ケータイがあまりにもデコラティブになりすぎてしまうと、ファッションのスタイルとマッチしないという人が多く出てきてしまいます。しかし、シンプルでオシャレなものなら、多くの人が自分のファッションのスタイルと反発し合うことなく使えるのかもしれません。

 

今回は、電化製品のシンプルスタイルについて、それを他の分野のトレンドを見ることでデザインのひとつの流れ、消費者の感覚の系譜を見てみようと思いました。

事態はおそらくこんなに単純化できないものだとは思いますし、後付け的な説明ではありますが、おおまかな流れとしては上で申し上げたようなことがあったと言えるのではないかと思います。

 

そしてこのシンプルデザインの流れは今年も続きそうです。

たとえば、メンズファッションでもデコラディブな装飾よりも、シルエットのデザインを綺麗に見せるような手法が多く行われようとしています。

 

ある分野でのトレンドが、他の分野のトレンドと影響しあい、さらにまたほかの分野に影響していくという連鎖反応。今回は、シンプルデザインについて、事後的な解釈を試みたわけですが、単なる後付け的な解釈と言われればその通りです。しかし、こうした試みは未来への予測へとつながる可能性を秘めているものだと思っております。これからもこのような連鎖反応は見ていきたいと思っております。

 

写真:<上段>

   左 Electrolux by TOSHIBA トースター

   中 フランフラン丸の内店  (ハセガワ撮影)

   左 デザイン電卓@ザ・コンランショップ丸ビル店 (ハセガワ撮影)

   <中段>

   左・右 GAPモザイク銀座阪急店 (ハセガワ撮影)

   中   無印良品外苑前店 (ハセガワ撮影)

 

Electrolux by TOSHIBA ホームページ

ザ・コンランショップ ホームページ

  
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2005年01月15日

今、駅ナカが熱い! (12月15日掲載)

黒塀横丁 キッチンストリート ヒロ・プリモ

 

 

 

 

 

 

今、駅構内の店舗を増やしたり活性化させたりする動きが活発化しています。そのような動きを象徴するような大規模駅ナカ施設がこのほど東京駅にできました。「キッチンストリート」と「黒塀横丁」という名の二つの飲食店街が、八重洲北口にオープンしました。1階が「キッチンストリート」で、地下1階が「黒塀横丁」となっています。

 

運営するのは東京駅名店街や大丸が入居するビルなどを運営するJR東日本グループのディベロッパー、鉄道会館。「時間のないお客様が多い駅構内の飲食店街は、似たようなメニューのチェーン店中心で、味へのこだわりもいまひとつ。そんなイメージを覆そう」と、ニューヨークのグランドセントラル駅にヒントを得て出来たのがこのほどオープンした新施設。

 

単純に本格有名店を誘致するだけでは、他の駅ビルや新築オフィスビルと差別化が出来ない上に、ビジネスマン・ビジネスウーマンが短時間で利用できるという本来の性格とも矛盾してしまいます。そこで、「有名店や有名シェフに、小さめの店で、絞り込んだメニューを能率良く提供してもらってはどうか」というアイディアが生まれ、交渉に乗り出し、これが成功して現在のテナントミックスとなったそうです。

 

たとえば、青山の超人気店「リストランテ・ヒロ」のオーナーシェフ山田宏巳氏はパスタを中心とした手軽なイタリアンの「ヒロ・プリモ」をオープン。ここにハセガワは行ってみたのですが、駅ナカとはいえ店内デザインはかっこよく、料理もさすが有名店と思わせる味でした。

オススメは、看板メニューの「手長エビのスパゲティ」だそうです。ハセガワはそれを知らず違うものをオーダーしてしまったのですが、周りの人がそれを食べているのを見て自分も食べたくなり、帰り際に「あのフライパンごと出てくるパスタは何ですか?」と店員さんに聞いてしいました。

「手長エビのスパゲティ」を頼んだお客さんのテーブルには、まずフィンガーボールが出てきまして、次にフライパンごとスパゲティが出てきてそれを店員さんがお皿にも盛ってくれます。ボリュームはけっこう多めです。フィンガーボールが出てくるくらいですから多少食べづらいかもしれませが、しかしあれを見たら一度食べたくなります。ハセガワが行ったのは金曜の8時代でしたが、ヒロをはじめ、外までお客さんが並んでいるお店が多くてびっくりしました。

 

ターゲットとしては、キッチンストリートは女性OL向け、黒塀横丁は男性サラリーマン向けとのことですが、黒壁横丁にも女性の姿は思いのほか多く、また、キッチンストリートにも男性のお客さんは少なくないようです。

 

今、この「駅ナカ」という場所がささやかな注目を集めています。無印良品は駅ナカ向け小型店舗として「MUJI.com」に力を入れておりますし、ファミレスやカフェなどが小型店舗のファストカジュアル業態に力を入れ始めたことからも、今まで面積的に中途半端と思われた「駅ナカ」という場所の利用可能性がこれからますます高まっていくかもしれません。飲食店の場合、お客さんが食べ終わってからオーダーなしに長居するようなことが少なく、回転率がよいため、有名店の本家より価格帯が安くても、お客さんが途切れなければ高収益を得られると思われます。

 

チェーン店のファストカジュアルのみでなく、有名店がコンパクトな店舗で気軽に(ファストで)食べられるというのは、生活者としては選択肢の幅が広がって嬉しいことです。

今後は、有名店の看板(のれん)を巻き込んで、ますますファストカジュアルのようなコンパクト店舗が増えていくものと思われます。

 

(写真 左:黒塀横丁 中:キッチンストリート 右:ヒロ・プリモ。 

  ハセガワ撮影)

 

  

2005年01月14日

パソナ、エステで人材獲得攻勢

パソナパソナパソナ

 

 

 

 

 

 

材派遣会社パソナは東京と大阪に登録者向け福利厚生施設「PASONA GRACE(パソナグレイス)」を開きました。エステやネイルサロンなどをそろえ、登録者は市場価格の半額以下で利用できます。人材派遣会社各社では登録者の獲得競争が続いており、パソナでは福利厚生の充実によって、月間400500人の登録者を4倍に伸ばしたい考えです。施設は11月に移転した東京・大手町の新社屋の地下1階と大阪本社の11階に開きました。東京の施設には、メイクのアドバイスコーナーやアロマオイルによるボディトリートメントコーナーもあります。独立開業を希望するエステティシャンらに場所を提供するかたちをとります。同社は大手町の本社1階で、すでに登録者がカフェや健康管理サービスを無料で受けられるようにしているそうです。

 

基本的機能・サービスで差のつきにくい製品・サービスは、付加的機能で差別化するという戦術がありますが、今回のパソナもその類の例と見てよいでしょう。仕事紹介という基本的機能で差があまり見られなかったり、または差はあるけれども利用者に見えにくかったりするのなら、女性登録者にとって有用なエステやネイルといったサービスを加えることで差別化できる可能性はありそうです。地下1階のカウンターやカフェは外からも見えますが、非常に清潔感のあるつくりで、良い意味で人材派遣会社のイメージとはかけ離れたものでした。男性のカフェ利用客も見られました。

 

(写真:パソナ@大手町野村ビル。ハセガワ撮影)

  
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2005年01月11日

これからはパーソナルギフトが伸びる?  (12月20日掲載)

Della&James銀座 Della&James銀座 Della&James銀座

 

 

 

 

 

 

近年、中元・歳暮などの儀礼的なやりとりが減少しています。その変化は、ギフト業界にも大きく影響を与えているようです。ギフト業界は、今まで長く、冠婚葬祭や中元・歳暮といった需要に支えられてきました。ところが、時代とともにこれらの需要が減少し、逆に人々は自分自身への投資を増やす傾向になってきました。

 

こうした状況を鑑みて、ギフト用品卸のシャディは、主力の冠婚葬祭向け贈答品からの脱却を図っています。現在、冠婚葬祭および中元・歳暮の贈答品は売上高の8割。しかし、「これからは自分や大切な人のために贈る、パーソナルギフトにシフトしていく」(シャディの太平社長)と見て、流行を取り入れたこだわりの商品を提供することで、活性化するパーソナルギフト市場へ本格参入し、再び成長路線に乗ろうと試みています。

 

その第一弾として、直営店「デラ・アンド・ジェイムズ銀座」をオープンさせました。このお店は冠婚葬祭、中元・歳暮需要からの脱却を図るシャディの“業態改革”の考えを可視化したようなお店です。ビルの1階〜5階までが店舗で、各フロアごとに異なったコンセプトでギフトをセレクトしてあります。2階にはワインセラーにたくさんのワインを取り揃え、ソムリエと相談してワインをセレクトすることが出来ます。

 

こうした業態改革は、新たな競合関係を生み出したり、自社の事業システム上の問題なども絡んでくるので一筋縄にはいかない可能性もありますが、時代の流れやライフスタイルの変化を的確に捉えた変革として評価されるものだと思います。

 

前回の記事でシャンパンの売上げが伸びていることを指摘しましたが、連動してパーティーやホームパーティーの需要も増えるということは十分考えられます。シャンパンが売れるというのは、それが単独で売れることもありえますが、他の多くの需要・トレンドを巻き込む可能性を考えることが重要だと思います。また、シャンパンの需要も周辺の需要・トレンドに多く依存すると考えるべきでしょう。そう考えると、パーティーの機会が増えるかもしれませんし、たとえばドレスの売上げも上がるかもしれません。ファッションのトレンドもゴージャスなものが流行るかもしれません。もし、ホームパーティーの需要が増えれば、パーソナルギフトの需要も増えるでしょう。ホームパーティーではやはりセンスのいいものを持って行きたいものです。センスのいいギフトが集約されたお店があれば便利だと思う人はたくさんいるでしょう。

 

今回のシャディの変革は、冠婚葬祭&中元・歳暮離れというマクロ的な時代の流れと、ギフト市場の周辺領域のミクロ的なトレンドとの両方の変化とにうまくマッチしたものと言えるのではないでしょうか。

 

そのように考えると、シャディのみではなく、これからはパーソナルギフト市場全体が活性化する可能性があると言えそうです。

 

皆さんの周りでのギフト話、ありましたらぜひ教えてください

 

参考:Della&James http://dellaandjames.com

      お店は、銀座7丁目。メインストリートの中央通り沿いです。

 

(写真:Della&James銀座。ハセガワ撮影)

 

  
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2005年01月07日

シャンパン消費、拡大中  (12月15日掲載)

ヴーヴ・クリコヴーヴ・クリコ

 

 

 

 

 

 

シャンパン、スパークリングワインの消費が拡大しています。

ワインの中で3気圧以上のガス圧を持ったものは一般的にスパークリングワインと呼ばれますが、そのなかでもシャンパンと呼ばれるものは仏シャンパーニュ地方で法律に基づいて製造されたものだけ。そのシャンパンの世界最大シェアを誇るのは、かのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンです。仏ルイ・ヴィトンは'87年に酒造メーカーのモエヘネシーと合併、LVMHとなりました「ヴーヴ・クリコ」「クリュッグ」「モエ・エ・シャンドン」「ドン・ペリニョン」これらの有名銘柄はすべてLVMHの所有だそうです。日本では、前者2銘柄をヴーヴ・クリコ ジャパン(VCJ後者の2銘柄をMHDディアジオモエヘネシーが輸入しています。

「ヴーヴ・クリコ」2003年の日本出荷量は前年比20%増(国内シェア3位)だったそうです。通好みで知られる「クリュッグ」も前年比25%増と、どちらもものすごい勢いで伸びています。2004年のVCJの売り上げは2ケタ増の見通しだそうです。

一方のMDHは、日本に正規輸入されて40年以上もの歴史をもつ「モエ・エ・シャンドン」「ドン・ぺリニョン」とを合わせた出荷数は国内シェアの約半分を占めています。取扱店も多く、後発のヴーヴ・クリコとは流通量が一ケタ違います。ブランド維持(価格維持)のため、VCJは問屋を通さずに百貨店や酒販店へ直販していますが、MDHは流通量の多さから直販はせず、問屋を通す日本の流通慣行で販売しています。そんなMDHも、「今後5年間で出荷倍増を目指す」そうです。

正規の輸入が増える一方、最近では並行輸入も増えているようです。ヴーヴ・クリコ「イエローラベル」3千円台で出す店も出てきており、流通量が拡大する一方でVJCMHDは価格を掌握することが難しくなっていきそうです。

好調なのは、高級な「シャンパン」だけではないようです。より手頃なスパークリングワインの消費も拡大しているようです。スパークリングワイン国内最大手のサントリーは、「フレシネ」を販促の中心に据え、市場全体の伸びをも大きく上回る前年比40%増を目指しているそうです。CMでは浜崎あゆみさんを起用しているほか、コンビニにもベビーサイズの3本セットを積極的に売り込みます。

メルシャンは主力ワイン「ピア・ドール」のスパークリング版を新たに導入し、アサヒビールもイタリアの有力ブランド「ガンチア」の販売権を取得、その品目の拡大と、各社ともスパークリングワインにかなり注力してきている様子です。また、「居酒屋チェーンのグランドメニューに採用されるなど販売シーンも確実に広がっている」(メルシャン)とのことです。

ワイン全体の国内販売量は1998年をピークに減少が続き、2004年も6年連続の前年割れが確実な情勢だそうです。

しかし、スパークリングワインはシャンパンも含めて好調で、今年は2割以上の増加が見込まれるそうです。

そうしたことから、来年以降も各社ともブランド強化や商品ラインアップの拡充に動くのは確実と見られます。「近い将来、市場規模は2倍にまで伸びる」と予想する人も多いそうです。

赤ワインブームもあっという間に焼酎ブームに取って代わられたように、一時のブームとして終わらせないで、拡大した消費量を定着させるようなマーケティング努力が求められるところでしょう。ブランドの価値を低下させるようなやみくもな販売拡大は一度落ちたブランドの価値を修復するのはたいへんなので避けるべきですし、あまりにも急激な流通の増大などは、バブルとなって必ず反動が来ると考えたほうが良いでしょう。ブランドを維持しつつ、シャンパンやスパークリングワインを新たな価値のライフスタイルとして定着させることができるかどうかが鍵となってくるのではないかと思われます。消費者の価値観の啓蒙を上手にできるかどうかということでしょう。ですから、「モノ」としてのシャンパンを売るだけでなく、シャンパンをどうライフスタイルに取り入れるか、シャンパンの楽しみ方、といった「コト」を同時に売っていかなければ、いつもシャンパンが身近にあるというライフスタイルの確立(=シャンパンの消費の増大→定着)は難しいでしょう。


 最近は「モノ」の消費から、「コト」の消費へとシフトされたといわれたりしますが、それが単に商品経済からサービス経済へとシフトしたというのであれば深い話ではありません。しかしマーケティングの視点からはやはり、「モノ」(=商品)を売る場合でも、それを「コト」(無形的なもの。体験やイメージなど)として売るべき時代だという認識を持つことのほうがより重要だと思われます。
 
ここで「モノ」を「コト」として売るというのは2通り考えられます。
 
まず一つは、商品を売るときに、売り場を単なる売買(取引)の場とするのではなく、舞台ととらえ、消費者に購買という体験を「出来事(=コト)」として演出をするということです。そうすることで、商品を買うという行為は、単なる取引から、お店に入ってからお店を出るまでが消費者自身が主人公の劇となるのです。
 
もう一つは、商品を買ったあとにそれを実際に使用(消費)する際(シャンパンならそれを飲む際)の状況をセッティングしたり、新しいスタイルを消費者に啓蒙したりすることです。モノと一緒にコトを持ち帰っていただくのです。先に述べた「コト」を「第一のコト」とすれば、こちらは「第二のコト」です。お店で「第一のコト」を経験し、買って帰った後に「第二のコト」を経験する。「第一のコト」は言い換えれば「購買時点のコト」(シャンパンを買う時点)で、「第二のコト」は「消費時点のコト」(シャンパンを飲む時点)といえるでしょう。
 
モノという目に見えるものだけが差別化できる要因ではなく、消費者の頭の中、心の中のイメージや感情といったものが決定的な差別化要因となりうる場合もありますし、そういったものを一度消費者に植え付け定着させることができたブランドは非常に強力なブランドになりえます。
 
また、商品(モノ)というのは決して単体で存在しているのではなく、ライフスタイルなどの「コト」を構成する一つの要素だという認識が重要かと思われます。つまり、「モノ」を単体で捉えるのではなく、「関係」として捉えることが必要だということです。そして、売ろうとしている商品(モノ)を、どのような「コト」とどのような関係を持たせるのかがマーケティングの手腕となります。
 
こうしたことは用意周到に計画され、時間をかけて長期的に行わなければならない場合が多く、短期的利益ばかりに目をとられている近視眼的な経営のもとでは実行・達成は難しいと思われます。
 
(写真:ヴーヴ・クリコ。ハセガワ撮影)
  

2005年01月01日

謹賀新年

東京駅皆様、明けましておめでとうございます。昨日、昨年最終記事をアップしたかったのですが体調の回復が思わしくなく、残念ながらそのまま年を越してしまいました。

昨年MJを見ていただいた皆様にはいつも非常に感謝しております。また、コメントをくださった皆様、かけがえのない貴重なご意見は、私の狭い視野を広げてくださり、他では得られないとても貴重なものとなりました。力不足ながら今年もできる範囲のことをやっておこうと思っております。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

尚、体調の回復が思わしくないため、新年は少しゆっくりめの再開を考えておりますが、どうぞまたよろしくお願いいたします。

皆様のご健康とご活躍を祈って。  
長谷川理  元旦

(写真:東京駅。ハセガワ撮影)  

2004年12月30日

お詫び

日経ノティオMJダイジェストを見てくださっている皆様、本日を含めてここ3日、更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした。
その間サイトにいらしていただいた方には心からお詫び申し上げます。
実は、3日前あたりから高熱が出てしまい、写真を撮りに行ったり物を書いたりすることができない状態になってしまいました。
ようやく回復してまいりましたので、明日には今年最後の記事を掲載できればと思っております。

更新できないことを皆様にお伝えできず、放置してしまったことを重ねてお詫び申し上げます。

(写真:日経ノティオ@丸の内オアゾ。ハセガワ撮影)
http://nikkei-notio.com/