2004年10月27日

電子マネー、「Suica(スイカ)」対「Edy(エディ)」  (2004.10.22掲載)

a0e920da.jpg今、電子マネーの覇権をめぐる競争が流通業界の注目を浴びています。「スイカ」対「エディ」。前者はJR東日本がはじめ乗車券・定期券からスタートさせたもので、後者はソニー系のビットワレットが展開するもので、カードのほか携帯電話を利用してサービスを受けることもできます。これは“お財布ケータイ”のキャッチフレーズでも有名だと思います。今現在、携帯電話でのエディの各種サービスは、NTTドコモのiモード FeliCa対応携帯電話でのみ利用可能ですが、KDDIとビットワレットは、2005年秋を目途にKDDIが発売予定のモバイルFeliCa対応au携帯電話において、電子マネー "エディ" のサービスを提供することで合意したそうです。電子マネーとしては、現段階では先行のエディが一歩リードしています。というのも、(電子マネー機能つき)スイカの発行枚数410枚に対し、エディはそれを上回る560枚です。それだけではありません。スイカの電子マネー機能対応店舗数はわずか607店なのに対し、エディの対応店舗数は1万店にもなります。月間利用件数をみてみると、スイカの210万件に対し、エディは470万件です。

JR東日本は、この格差を大企業との提携で縮める作戦です。ファミリーマートやJALとの提携に相次いで成功し、JR西日本との鉄道での相互乗り入れを開始し、関西でも利用できるメドも立てました。それに対し、エディはすでにam-pmや全日空と提携、ほかに「甘太郎」「一嵯」「三間堂」などの居酒屋やイタメシヤ「La Pausa(ラパウザ)」などを運営するコロワイドとも提携しています。

電子マネー導入について、サービス業や小売業の大部分の企業は、手数料などのコスト負担がネックと感じており、スイカとエディのすう勢が決まっててからどちらを導入するかを決める、といった慎重論が多いようです。業界では両陣営の勝敗はここ2,3年で決着がつくとの見方があるそうです。ネットワーク産業の電子マネーでは一定規模のネットワーク(クリティカル・マス)を築いた方に利用者が流れ込み、一段と事業が拡大する好循環に入る可能性があるからです。
 
これはしばしば「ネットワーク効果」と言われているもので、ビジネスの世界では過去にも歴史的な戦いが繰り広げられてきました。かつてのビクターのVHSとソニーのベータのビデオの方式をめぐる競争は、ほんの少しシェアの高かったVHSの映像ソフトが充実したことによって追随的にVHSのハードが普及したと言われていますし、マイクロソフトのOSウィンドウズも必ずしも機能的に優れていたわけではなく、ある程度シェアの高かったウィンドウズのアプリケーションソフトの開発が進み、ソフトが充実して、それがハードであるOSの選択へと人々を導いたと言われています。そして業界内で協定したわけでもなく、事実上の標準(デファクト・スタンダード)の獲得へと至ったのでした。 これをひとことで言うならば、「早期のソフトの充実がハードの勝敗を決める」と言えると思います。現在のスイカとエディの競争も、ソフトとしての利用可能店舗を増やすことが電子マネーのデファクトス・タンダードを獲得する決め手となるため、両者はともに今後さらに活発な提携先獲得競争を繰り広げるものと思われます。



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