2017年07月22日

「短歌研究」2017年8月号の短歌研究詠草で準特選をいただきました

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「短歌研究」2017年8月号の「短歌研究詠草」で準特選をいただきました。永田和宏さんから。
記念すべき短歌研究1000号の目次に名前が小さく載った。


これで、選者四人全員から準特選をいただいたことになる。五年かかっている。

今年は、
1月号が1首掲載、
2月号が1首掲載、
5月号が準特選、
8月号が準特選。
4回投稿して16点とっている。
毎月ちゃんとやればいいところまでいけるのかもしれないが、まあいいんです。自分のペースで。

短歌研究詠草、はじめのころは1首掲載ばっかりで、どうすればもっと載るのかわからなかった。
2013年におもしろくなくなってやめて、
2017年に再開した。
2015-16年は短歌研究を定期購読してマジになって毎月出してたが、それぞれ23点、27点で終わった。



あちこちで出してるけど、総合誌の投稿欄がいちばん安定して良い成績をもらえる。オレの作風はそういう作風なのか?



「表現への果敢なチャレンジ精神に溢れた一連」という永田さんのお言葉がうれしかった。オレが果敢なチャレンジ精神をもってるというよりは、短歌の形がオレを刺激してそんなふうになる感じかなあ。

今月はうれしいけど、来月の新人賞の誌面を見たときにオレの気持ちはどんなふうになっているのか、とても心配だ。




五首の短歌はあとで有料マガジンに出します。来月二十日までは全国の書店の『短歌研究』で読めますので興味ある方はどうぞ。
サイゼリヤでパスタを食べたという内容の五首です。




▼▼



#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました



短歌パトロール日誌【5】6/14-7/17|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n648c9e855c73

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌以外編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n68525cac4bfd

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2017年07月21日

『それでも、日本人は戦争を選んだ』、のらくろ【2017.7.21】

この一週間くらいの近況をまとめる。
短歌を読むのがいやになってきた話と、歴史の本のことが中心。








本を買ってきた。

永井均・内田かずひろ『子どものための哲学対話』
吉本隆明・糸井重里『悪人正機』
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
半藤一利『日本のいちばん長い日』
半藤一利『昭和史残日録』

ほかにも読みたい本が多数ある。昭和に興味がある。



短歌の本を読む気にならないので「未来」以外は今月末までしばらく止めてみる。禁止したら読みたくなるかなと思って。



▼のらくろ



いま読んでいる昭和史の本、半藤一利『昭和史残日録』に、「のらくろ」のことが出てきた。

そういえば、オレの小さい頃はテレビでのらくろのアニメがやってた。フジテレビ系の日曜夕方六時。いま「ちびまる子ちゃん」がやってる枠で。ひさしぶりに見たくなって探してみた。



"Norakuro - Volume of the Great Escape"
https://youtu.be/DjGOSnzwCNg
YouTubeで「のらくろ」見つけたが、1970年とあるし、オレが見てたやつとは違う。コミカルだけど、完全に戦争のアニメだ。
犬と猿が戦争していて、なるほど犬猿の仲というわけだ。軍人しか出てこないアニメだ。
のらくろの声が大山のぶ代だった。



のらくろクン(00:20:18) #sm5626707
http://nico.ms/sm5626707

ニコニコ動画で見つけた88年の「のらくろクン」。どうやらオレが子どものころに見てた「のらくろ」はこれらしい。80年代のアニメらしいドタバタぶりだ。ちょいエロ。戦争のおもかげがない。

この「のらくろクン」はのらくろの孫だという。舞台が80年代になってるし、完全に別作品。のらくろは存在感が薄くて、いてもいなくてもいいような役になってる。
これを見て「のらくろならアニメで知ってる」と思ってたわけだな。


1931年に漫画の連載が開始されたという「のらくろ」。1970年に戦争アニメだったものが、1988年に現代を舞台にしたギャグアニメにリメイクされている。1931年から1970までの39年と、1970年から1988年までの18年。



"のらくろ二等兵"
https://youtu.be/e1SoFKpZN1k
1935年のアニメだというが、動きがなめらか。あるくときの効果音がかわいらしい。文字は右から読む。弁士がひとりで何役も演じ分けている。



▼それでも、日本人は戦争を選んだ



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加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読みはじめた。授業の形式で書かれている。ときどき学生の声がはさまっている。

タイトルよりも冷静な本だ。序章ではさまざまな世界の歴史上の出来事を参照しながら、歴史から学ぶということについて説かれている。
悪い歴史を繰り返すまいとして歴史を参照して決断しても、広い視野で歴史を見ないと判断をミスしてさらに悪い歴史をつくってしまうことになる、という話もあった。
戦争は相手国の憲法を書きかえるものだとルソーが言ったという話もあった。



加藤陽子『それでも、日本人は戦争を選んだ』読みおわった。このぶあつい講義を五日で聞いた中高生たちはたいしたものだな。


『歴史をつかさどる女神クリオは、女神のうちで最も内気で控えめで、めったに人にその顔を見せなかったといいます』
『歴史とは、内気で控えめでちょうどよいのではないでしょうか』

加藤陽子『それでも、日本人は戦争を選んだ』








『食器と食パンとペン』をひさしぶりに読んだ。ページの隅のほうが変色しはじめていた。
覚えてなかった歌やイラストが多くて、あたらしく読むような気持ちで読んだ。




本屋に行ったら欲しい本がたくさんあった。


半藤一利『学び直し大平洋戦争』四冊。
ふりがながあるし字が大きい

半藤一利 加藤陽子『昭和史裁判』

加藤陽子『戦争まで』

山岡荘八『小説 大平洋戦争』

鳥居民『昭和二十年』というシリーズの文庫本13冊

半藤一利『昭和史』前半

半藤一利『B面 昭和史』

保阪正康『昭和天皇実録 その表と裏 大平洋戦争編』







また本を買っちゃったよ。
こないだ五冊買った本を三冊半読んだところだったが七冊買った。



1.五島美代子『そらなり』
短歌は今月は読まないつもりだったが、薄くてベストセレクションみたいな内容だったからつい買った。


2.松尾スズキ『現代、野蛮人入門』
新書。松尾さんはおもしろい。


3.齋藤孝『声に出して読みたい論語』
論語の入門書がほしかった。字が大きいのがいい。高校生のころに声に出して読んだ記憶がある。


4.橋本治『いま私たちが考えるべきこと』
タイトルが大きそうだったから。 しかし橋本さんってかならず前書きに「この本には役にたつことは書いてありません」って書くね。半歩引いてしまう。



5.爆笑問題『爆笑問題の戦争論』
田中が戦争の概要を語り、太田がボケていく漫才が書いてある。
たのしく復習するにはちょうどいい。



6.加藤陽子『とめられなかった戦争』
NHKの番組からできた本らしい。字が大きいのが良い。
これをきっかけに、加藤陽子さんの関係するYouTubeの動画を見た。



7.保阪正康『あの戦争は何だったのか』
新書。興味のある著者だが、読むのははじめて。




▼短歌への倦怠感



短歌への倦怠感があるし興味が他のことにあるため、今月は『未来』以外の短歌の本を読まない月にしようかな、って思っていたが、短歌の本をいただくと迷いがでる。オレが歌人だから短歌の本が届くのだ。読まないと申し訳ない。いつか読んで感想は書きます。

みんなおもしろい短歌ならいいんだけどな。
おもしろくない短歌を見たときに、自分で気づかないうちにMP(精神力)を削られるのかもしれないな。

おもしろければおもしろいで、嫉妬したり自分の無力を痛感するとやはりMPを削られる。
人は人、なんだがなあ。余計なことを考えずにもっと純粋に楽しみたいものだ。




短歌研究新人賞に落ちたのでがっかりした。次席にもなっていない。

落ち着くために散歩して短歌をつくった。そしたら15首できた。
短歌の世界のいろんなことが嫌になってきたし読むのがだるいが、短歌そのものは相変わらず好きなのがわかった。




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#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました



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2017年07月18日

半藤一利『昭和史残日録』を読んだ+ちょっと短歌のこと

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半藤一利『昭和史残日録』を読みおわった。おもしろかったな。ちくま文庫、2007年。
この著者の本は初めて。昭和のはじめの年から、昭和20年までの出来事が名言珍言でまとまっている。ひとつの事柄が1ページでコンパクトに書かれている。


昭和のほかに「上治」という年号も提案された、というところから始まる。
昭和三年には「清き一票」という言い回しがあったことを知った。
「位置について、ヨーイドン」というかけ声が昭和三年に決まった。それ以前は「支度して、用意」などと言われていたとか。
そういうことが書いてある本。

それがみるみる戦争の色が濃いものになっていく。
昭和五年生まれの著者の体験も書かれている。
文学関係の話題もある。愛国百人一首を暗記させられた体験が書かれている。「思い出せるもののいくつかを」と、三首を書いていて、ほんとに覚えさせられたんだなと思った。


流行歌や替え歌についても書いてある。そういうのも、この人はその時代を本当に生きてたんだなと思う。「ぜいたくは敵だ」の「敵」のうえに「素」と落書きされていた話とか。歴史年表に必ずしも出てこないような話がいい。


『敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花──本居宣長の歌より名づけられた敷島隊(五機)、大和隊(六機)、朝日隊(二機)、山桜隊(二機)が、史上はじめて編制された神風特別攻撃隊である。』
と書いてあった。これ知らなかった。こんなふうに短歌が使われうるっていうのを知った。

(「だるい隊」「せつない隊」とか考えていた)


しかしさ、全部暗唱させるとか、ばらばらにして何かの名前にくっつけるとかそういうのって、一首一首の歌を味わうことから遠いところにあるなあ。









本居宣長の歌の件をまだ考えていたんだけど、 どこを切り取ってもご立派な言葉が入ってるからバラバラにされるんだろうなと。
「だるい隊」「せつない隊」とネタみたいに書いたけど、どこを切り取っても日本的なご立派な言葉が出てこない名歌が穂村さんのあの歌だ。

サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい/穂村弘


現代の短歌は、バラバラにして特攻隊の名前にできるような短歌からは遠いんじゃないでしょうか。どんなもんでしょう? ずっと離れているものなのか、どこかで戻ってくるものなのか。ゆっくり戻るのか、掃除機のコードみたいにいくら伸ばしてもボタンひとつでシュルッと戻るのか。


歴史についてはよくわからないんだよ。わからないから知りたい。
いまが戦前だ、みたいなのが分かるときと信じられないときがある。テレビやネット見てるとわかる気がするが、仕事や家族の間にいるときは実感がない。画面越しにだけある。

いまに世界がダメになるぞ危ないぞっていうのは、宗教でもよく言う。あのときといまはアレが一致している、だから危ない。
言われると説得されるけどすぐ忘れて休日は二度寝する。


いまは戦前だ、みたいなことを短歌で言うと特に新聞歌壇でウケるから、ウケたさのあまり寄っていっちゃうんだけど、ちょっと考えなきゃなと思うよ。だってそれって、逆を書けばウケるようになったら逆を書くよってことだから。

ウケたい気持ちにやられないことだ。飲んでも飲まれないことだ。
っていうか他の人はマジで言ってるのにオレだけマジじゃなかったら色々悪い。言ってるうちにマジになることはあるかもしれないが。


いろんな意見や情報があるけども、その時その時のツイートも報道もいいけども、特に詳しい人や経験した人たちが何を言ってるかをなるべく広く読んでみたい、というのが最近の心境であります。



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2017年07月15日

永井均・内田かずひろ『子どものための哲学対話』を読んだ

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永井均・内田かずひろ『子どものための哲学対話』読んだ。講談社文庫。2009年。


哲学ってむずかしいね。

永井均さんの本は、ずいぶん前に『これがニーチェだ』とか『翔太と猫のインサイトの夏休み』を読んだことがあった。内田かずひろさんは初めて。

猫と少年が対話する本。




抜き出してみる。


『元気を出すためには、いやな気持ちになった原因を徹底的に考えてみるといいって。ということはつまり、いやな気持ちにひたりきることと、その原因を理解しようとすることは、逆のことなんだね?』



『人間は自分のことをわかってくれる人なんかいなくても生きていけるってことこそが、人間が学ぶべき、なによりたいせつなことなんだ』



『ちゃんとした人っていうのは、自分の未来のために自分の現在を犠牲にできる人のことなんだ。逆に、自分の現在のために自分の未来を犠牲にしちゃうのがどうしうもないやつさ。ついでにいえば、他人のために自分を犠牲にできるのが善人で、自分のために他人を犠牲にしちゃうのが悪人なんだけど、善人や悪人になれるのはね、ちゃんとした人だけなんだよ。どうしようもないやつは、ちゃんとした悪人にさえなれないんだよ!』







自分は元気の出しかたもあまり身についていないし、
どうしようもないやつだなあと思った。

子どもとか大人とかは哲学にあんまり関係ないかもと思った。あるいは、オレがまるで子どもだということか。




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2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌以外編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n68525cac4bfd
noteを更新しました。裏話です。


なりすましアカウント騒動|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/nddf9ca3db36c

すぐに消されたエアリプにこたえる|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n16ba35458c13

帰ってきた汚染歌人
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短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


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2017年07月14日

素晴らしき笹短歌の世界[後編]

2012年にまとめたが、公開してなかった記事の後編。








http://www.sasatanka.com/
このブログに寄せられた短歌の、特に好きなものを引く。


テーマ「神」から。



その神は贋物であるその神に人の嘆きが届いたのなら(松木 秀)





自由とはなんとかたくて融通のきかないものか自由の女神(松木 秀)





神様は時々とてもせっかちで一度にたくさん奪い去っていく(小野伊都子)

2010年の短歌だけど、去年の震災のことを考えた。




親権を神権として団地から子供の声が一つだけ止む(蜂谷希一)





ネットでは神と崇めし彼死んでニートの孤独死とのみ報じる(蜂谷希一)

迫力ある作品を作る人だなあ






工作の時間に田中が作ってた神棚今も図画室にあり(山田炬燵)





現世を仮想と語る少年のICチツプに神が宿りぬ (憂太郎)





雨の日の貯水タンクの背にきみもバモイドオキの神を見たのか (虫武一俊)




偶像の神様僕はヘタレですか、でも祈るしかないじゃないすか。(滝沢勇一)





神様の消えた世界で僕たちは正しさ以外の基準を作る(都季)




神の手か人の慾かとまよふ目にドナーカードの黄いろまぶしき (アスター)




主よ雪の道に行きなずむわれなれば蝋燭くはへし痩せ犬の飢ゑ(鶴太屋)




以上、笹短歌ドットコム「神」からすごいと思った短歌。お題によりばらつきがあるように思いますが、このお題はすごい短歌が多かったです。




きまぐれに自分に向けて発射したロケットパンチの痛み知る夜(富田林薫)




戯言を叫ぶマイクで殴りつけ場内に響くズコボコドカボコ(天国ななお)





未確認飛行物体「KANASIMI」よ飛んでけ第二宇宙速度で (佐々木優)





不採用通知がなんだ宇宙にはいま存亡の星もあるんだ (虫武一俊)




裏山にぎんいろのふね降りてくる わたしはわたしをやめられますか(虫武一俊)

この人の短歌好きかも





「UFOだ!」と言ったときにもUFOを見ないで私を見ていてほしい(谷川めぐむ)





秋葉原 ガス生物に乘つ取られ全端子から漏れる憎しみ(酒井景二朗)





以上、笹短歌ドットコムから「UFO・宇宙人」というお題の中から好きなものをご紹介しました。




木綿のハンカチーフをおくった後かかりはじめた電話は無言 (広瀬智深)




貴方には固定電話を教えましょう自営の父が出る番号を(あきえもん)




以上「電話」




樹海にて死にたる人の眼(まなこ)より雫のごとき蛆こぼれ落つ(魚虎)





デクレッシェンドマークを9月に書き込んで蝉の最終楽章を聴く(かんな)





ここまでの5首は笹短歌ドットコム「虫」からの抜粋でした。





肩ごしに先輩のぞく気配して夕日の色に染まる自画像(手乗り文鳥)





額縁のような窓もつ部室にはレンブラントの光ひとすじ(螢子)




部活動対抗リレーを駆け抜ける剣道部員の袴の藍よ (鯨井可菜子)




放たれて鳩も卒業奇術部のシルクハットが空を舞うとき(猫丘ひこ乃)




演劇部女子の告白昼休み渡り廊下に響きわたって(岡本雅哉)




アベ先輩の張り巡らした結界で陰陽道部に入部者はなし(かんな)




飴色の夕日に染まる校舎横モアイ部がまだじつとしてゐる(酒井景二朗)





笹短歌ドットコムから「部活動」短歌の中から好きなものをご紹介しました。青春を感じる素晴らしい短歌がたくさんありました。





続いて「鏡」の短歌




うらぶれた風俗街でキックオフ 潰れたディスコのミラーボールで (かんちゃん)




お前が裸足で望遠鏡を踏んだからとどめをさしてやる兄として(虫武一俊)




鏡では六四分けだが実際は四六分けではないかと思う(広瀬智深)





以上「鏡」の短歌からでした。そして震災をはさんで「花」の短歌になります





流されて棺に入れる花もないそれでもいつかここに花咲け(須田まどか)





振られても振られてもまた振られても久美子の庭に桃の花咲く(夏実麦太朗)




向日葵の咲いた植木鉢がマンションの十二階から飛降り自殺す (霧野烏紅)





うつむいて咲くのが菫 うつむいてゐてはならない我ら人類(酒井景二朗)




恋愛は狂ってなんぼと嘯いて曼珠沙華なお赤々と咲く (本荘ゆり)





以上5首、笹短歌ドットコムから「花」の短歌でした。 基本のようでいて地味に難しいお題と感じます。花はよく知らないので。






安全を枕詞にすることで意味は考えないようにした(カー・イーブン)




岩走る滝川クリステルの手にだらしなく崩れおちるエクレア(岡本雅哉)






以上笹短歌ドットコムから「枕詞」の短歌でした。味わうのが難しく感じました。




これで『笹公人の短歌プロジェクトBlog 笹短歌ドットコム』の全ての記事を読みました。そして特に気に入ったものをご紹介ました。素晴らしい名歌がたくさんありました。短歌の面白さを堪能しました!


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2017年07月12日

素晴らしき笹短歌の世界[前編]

2012年にまとめたが、公開してなかったものがあるので今公開する。

公開してなかった理由は「ほとんどコピペだから」で、いま公開する理由は「最近更新することがないから」。







http://www.sasatanka.com/




笹公人さんの笹短歌ドットコムの過去ログを読んだ。すごくレベル高い。
面白い短歌がいっぱいだ。ほどよい飛躍が心地よい。特に素晴らしい、発作的にテキストコピーしてしまった短歌をここにまとめる。
笹短歌ドットコムは更新されなくなったが、学研『ムー』の投稿欄や結社誌「未来」に場をうつして笹公人さんによる短歌の選は続いている。





再放送ドラマの女優の眉くらい存在感のある人でした(カー・イーブン)




つぼ八のネオン目指して歩くのだ失恋直前戦隊レッド (柴田 瞳)




シーマンが二匹そろって晩飯を食べてるような熟年夫婦(異能兄弟)




先生が眠れる僕に近づいてBGMはジョーズのテーマ(松本響)




この店の指名ナンバー1というかのワカメちゃんの例のあの技(やましろひでゆき)




メイド喫茶「竜宮」へ行く道すがら桃色サンゴが手をふっている(みうらしんじ)




グレゴール・ザムザは狭いアパートで山椒魚の泣き声を聞く(あきえもん)




この世にて最初に酒を飲んだのは死にたがってた人かもしれない(むぎ)




複雑なあやとりのようなキスをしてもうのび太さんの顔が見れない (スズキロク)




誰も見てないところで恥かけば キートン山田の声を聞きけり (矢野文乃)




熱き昭和の十六文のあしあともすみれのところで消えさりにける(鶴太屋)




刑務所に埋まったままの三億を狐目であった看守が掘る日 (稲荷辺長太)





けっこう笹短歌からの短歌をつぶやいたが、みんな別の投稿者だ。どんだけ人材豊富なんだ。みんな上手すぎだ





都庁着た幸子の歌声こだまする2100年トウキョウシティー(稲荷辺長太)
こういう想像力うらやましい




中華屋の油まみれの崩し字の誰かの色紙「まずい」と読めき(異能兄弟)




限りなく味よ狂えとラーメンのスープに手首投げ込んだ夜(魚虎)





You got a Aidsだなんて着ボイス設定してないはずなんだけど (そうがわさやこ)





この町にマッハばばあがいるとして回覧板は回り続ける (野田修平)





秘密基地第7号ついに崩壊す 故郷のソガ隊員からメール (やましろひでゆき)




コソボという小さき点に熱でなく光あつめるルーペはないか(魚虎)





アステカの奴隷市場でまばたきをしない少女の在庫が切れる(音無)




通過する特急の窓うめつくす[祝][合][併][南][セ]「ン」[ト][レ][ア][市] (中村成志)




どこからか廃油の匂い流れ来て夕ぐれはつげ義春の色(暮夜 宴)





ゆでたまごだからキン肉バスターで壊れない友情をえがけた (カー・イーブン)




いつだってこの日に帰ってこれるよう結婚指輪をメビウスの輪に(岡本雅哉)





地球儀に手と手と触手 この星と五年二組を忘れないでね (宮川邦恵)





書店にて『短歌ヴァーサス』百号を手に取る瞬間霧たちこめる (みうらしんじ)




春の日の人事異動の辞令後の転送装置の前の父さん(松本響)





我が儘な上司を持った部下たちでバー光秀は今日も満員 (小野伊都子)





警備員 二本の棒を振り回し車をさばく武蔵の如し (蜂谷希一)




ひとつでも折れない太い矢になれと少子化の世の毛利家家訓(松本響)





ポジティブになれる 温水洋一が俳優目指した日々を思えば(あきえもん)





オール漕ぐ音しかしない初デート暗い水面を見つめるばかり(かんな)






やってくと決めたの地蔵に笠ぜんぶ捧げてしまうようなあなたと(てこな)




きびだんごふたつで僕のお供らは買収されてしまったようだ(伊藤夏人)




母鬼の桃太郎語り凄まじく眠れぬ夜に桃は熟れゆく(渡口 航)




玉手箱あけた太郎が目にしたる<後期高齢者医療被保険者証> (異能兄弟)




銀色は永久に勝者にならざりてナイフショップに籠りゆく熱(虫武一俊)




ファミレスで頷きながらストローの空き袋をただ弄んでた(都季)




ショーウィンドー越しに必ず睨まれるトータルビューティファッションつかさ(あきえもん)




パチンコ屋マルゴのネオンの裏側で血の出るやうなキスをしないか(酒井景二朗)




安らかにお眠り下さい きんさんとぎんさんにメダルなんか要らない(笹井宏之)

これは悲しい





宇宙にもぼくの仲間はいなかった虚ろなまなこで呟くガチャピン(めぐみ)





ネッシーの大群ごめん元カノの話で俺らそれどこじゃない(範馬くまさん)




頑張っても3号までと知りながら買ってしまった『週刊 安土城をつくる』 (富田林薫)





信念と書かれた額が燃え上がる極真空手道場の夜(暮夜 宴)





頓挫せしリゾートホテル屋上の錆ゆく重機に鳥憩いけり (虫皮)




死ぬのなら昆蟲館と決めてゐるこの身全てを蛆にあづけて(酒井景二朗)




思い出せ 血みどろの校舎裏の俺 今よりたぶんマシだった俺(さや) 





午後9時の横浜駅の構内で違ふ制服着てゐたA子(憂太郎)




アカサカのアカサカサカスまえのサカ アカサカサカスサカで差す傘(わだたかし)




片割れの靴があちこち転がりて人待ち顔すシンデレラ城(たみ)





少年は太陽の塔の影の下、時限爆弾胸に抱えて(かんな)

芸術は爆発だ、ということか




マスターがなにも聞かずに差し出した力うどんを泣きながらすする(伊藤真也)




コンビニのキュウリサンドが床に落ちた何だか俺はもう疲れたよ(滝沢勇一)




牛丼か豚丼かすら悩むのにミホかアキかは決められないよ(わだたかし)




なぜだろう焼きそばだけは父ちゃんが作った方がうまかったなあ(船山登)




かなしみの土手は破れてあふれ出すもんじゃは固まらないまま焦げる(岡本雅哉)




納豆の容器を洗う 未練とはこんな形をしているのだろう(あきえもん)




今しがた倒したばかりの曙が仲間になりたそうに見ている(魚虎) 





鎧はない。裸になってふりだしはハローワークの大魔界村(岡本雅哉) 




ヨッシーの背中にゆられこんなにも大きくなった吉村作治(チェンジアッパー)

わかった瞬間笑いの波に襲われた





シムシティすぐ投げだした友人が知事選に出る夢かたりだす (みうらしんじ)





ゼビウスの轟音響く空の下農業はやりづらいみたいだ(酒井景二朗)





ゲーム短歌面白かった。現実と結びつけて作歌すると成功する、というのはドラえもん短歌にも共通する攻略法だな





最澄と空海の声色を変え夫が子らに読む偉人伝(てこな)




いづくより流れ来るか大量の医療廃棄物とひとりの女 (やましろひでゆき)



晩秋の海 晩秋の海の家 晩秋の海の家の静寂(蜂谷希一)




反対を押し切って産む勇気なく子猫のようなパン生地を練る(てこな)

同じテーマの他の作品も妊娠出産に関係していて読み応えある





全身に死ねと書かれし白猫を抱きて眠る白髪の祖母(かわら)





よろず屋の招き猫の眼光る朝ダム湖へ村は静かに沈む(かんな)






嗚呼華奢な肉人形に逢ふ爲の哀しい人の列につらなる(酒井景二朗)





とび色の瞳は静か アンティークドールはずっと泣こうとしている (空山くも太郎)





シルバニアの町に住んでる夢を見た先生にギュウしたら固かった(山口ヤスヨ)

わかる。あれは固いよなあ





嘘をつくたびに小さくなっていくマトリョーシカの中身のように(広瀬智深)




通夜のあとテレビつけるとぬいぐるみ振り回してる鳥居みゆきが(柴田菜摘子)




マネキンの両腕縛る春宵は自涜の花粉に渇きゐしわれ(鶴太屋)




携帯を手にしたことが無いだけで石器時代の人と呼ばれる (あげはた)





青春は深夜一時の暗闇とビタースイートサンバとともに(佐々木優)

今はあの番組のテーマは別の曲なんだよな。番組名も微妙に違ったりして





1度でも「ジャイアンシチュー」が喰いたいと思った俺は君と暮らせる (104hero)




『週刊バベル』ふろくの塔の完成の一歩手前で廃刊となる(魚虎)  




第一志望「血みどろ臓物ハイスクール」の少女吐瀉して時じくの胃痛(鶴太屋)

さっぱりわからないがなんだかすごい。





<一見様大歓迎>と墓石に刻んで祖父は永久(とわ)に眠れり(異能兄弟)





上の句5・7・5で情景(場面)を描いて下の句7・7で思い(内面)を述べる。これが短歌の代表的な「型」です。『笹短歌ドットコム』より




僕たちはどこでもドアを手に入れてついにどこへも行けなくなった (ミボツダマ)





【続きます】


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2017年07月09日

作家を志す人はSNSのアカウントを削除せよ! そのほかの話題【2017.7.9】

六月末ごろから今までに、自分のなかで話題になったことをまとめる。



▼羽田圭介さんの言葉



羽田圭介さんが公募ガイド8月号で「作家を志す人はSNSのアカウントを削除せよ!」というのを書いている。それについて考えたり、羽田さんのツイッターを見に行ったりした。


オレはもうたくさんのアカウントがあるし無理だけど、こういうの読んでほんとに消しちゃうような人はうまくいくような気がする。ひとつのことのためにほかのことを犠牲にできるほどの気持ちがあって行動もできるんだから、そのひとつのことはうまくいきやすいだろうなと。

そんなことをツイートしてたら、

@mk7911 突然失礼します、たくさんのアカウントのうちの1つマストドンアカウントのおかげで工藤さんの短歌に出会えました。いろんな場所で発信してくださったおかげで素晴らしい言葉の数々を目にする機会に恵まれました。

というリプライをいただいた。うれしいな。



羽田さんの文章を読んで思うのは、短歌と小説は違うってことだ。短歌はやさしい。

新人賞へ出す作品をつくるのには半年かかって発表まで半年かかる、99%以上の作品は日の目を見ない、
ってことを羽田さんは書いていた。
でも短歌では、五日で新人賞の連作を組んだという受賞者もいたし、新人賞の締め切りから発表までは早ければ三ヶ月だ。5%は作者とタイトルが載るし、1%以上の作品は掲載される。
発見ひとつでも一首つくれるのが短歌だ。



アカウント消すのとひきかえに新人賞をやるとまで言われたらどうだろうかと考えたが、……そんな想像はまったく時間の無駄というものだ。

「無理だけど」って書いたけど、なぜ無理かというと、アカウントを消そうにもログインできないアカウントがあるから。本当にどうあがいてもすべてを消去するのは無理なんですよ。たしかに消す気もないんだけど。ちなみにオレのSNSのアカウントは50かそれ以上ある。








その「公募ガイド」は今月もすべてボツだった。
プロにかなわないのはしょうがないけど、わんさかいる公募愛好家たちにも全くかなわないのだから、いやになる。そんなオレでもかろうじて良い成績を残せる可能性がぽつぽつあるのが短歌なのだから、短歌の存在はありがたく、やさしい。



▼短歌年鑑のアンケート


短歌雑誌のアンケートといえば、先日、短歌研究年鑑のためのアンケートに答えた。「次の時代に残したい現代短歌の新しい古典」というアンケートだった。分かりにくい。

後世に残りそう、残したい現代短歌(戦後から現在くらいが目安らしい)を一首書くアンケートだった。

年鑑のアンケートには何回か答えてるんだけど、誌面に反映されたことがない。多数の票が集まった歌だけがいつも掲載されている。変なことを書いてるつもりはないんだけど。

「寒いね」「この味がいいね」とか「象のうんこ」とか「日本脱出したし」とか「マッチ擦る」とかが上位にくるんだろうなと何となく予想する。


上位50首ぐらいをオレがまるごと予想して何首当たるかやってみようかと思った。



……ってツイートしても反応は薄かった。

そりゃ、有名作品50を選ぶなんて、オレじゃなくてもできそうだな。オレがやる意味あるのか。

そこまでするほどのことじゃないかー。M1グランプリを当てるようなのと比べたらな。短歌研究年鑑のアンケートページに光を当てたい気持ちもないからな。

みんなが興味もつようなことだったら一枚噛んでみる価値もあるんだがな。




▼君とは何か



短歌時評 第128回 短歌にとって君とは何か 吉岡太朗 http://blog.goo.ne.jp/sikyakutammka/e/43b4de08638ea324519400f9842215dd

おもしろかった。喫茶店のたとえ、六面体のたとえなど、たとえがおもしろい。橋本治さんはやっぱりおもしろいこと言う。現代短歌=聖画(イコン)という話。
数式みたいなのが出てくると飛ばしてしまう。



▼見た動画



見た動画。

"【ゆっくり解説】しくじり企業 Chapter01 ~エンロン~"
https://youtu.be/KyS0Ae7L_ik

しくじり企業シリーズ、とてもおもしろい。楽しませようというエネルギーがある。企業が崩れてゆくさまがテンポよく語られる。




"古代生物【海編】ゆっくり解説"
https://youtu.be/t3cjB0iyzP0
「世界ゆっくり紀行」というシリーズを見ていった。これはその最初の動画。


だが「世界ゆっくり紀行」は変化する。声も変わるし内容も変わる。世界のおもしろいものを紹介する動画だったはずが、科学哲学オカルト陰謀論へ傾いていく。まったりした雰囲気もなくなった。それでだんだん苦手な感じになっていった。

そのなかでもおもしろい動画はある。

"悪魔の手術について"
https://youtu.be/TWtSHN55I58

ロボトミー手術について。知らなかったので他のロボトミーの動画も見た。脳を切られるなんてこわい。



"その時歴史が動いた 与謝野晶子"
https://youtu.be/7sUbCewVGj4
見た。与謝野晶子の「そのとき」ってそこなんだ、という感想。知らないことが多い。


歴史に興味をもったのが最近だからこの番組は見たことなかったんだけど、なかなかいいですね。長すぎず短すぎず。VTRがよくできているし。YouTubeにやたらたくさんアップされている。見れるときに少しずつ見たい。
でも司会のアナウンサーが苦手で、映ると目をそむけてしまう。

「よくできている」ってなんか嫌な言い方になっちゃったけど、つまり退屈せず見れる。再現の部分で興ざめすることが少ない。「その時」という一点を置くことによって時間のながれが意識できる。


▼読んだ本


爆笑問題『日本史原論』読んだ。
歴史の本でわかりやすいおもしろそうなのを見つけると時々読む。
歴史をネタにした漫才の本だ。太田っておもしろいな。

鎌倉幕府のところの
「それまでは人間は頭にしか毛が生えなかったのが、この頃初めて陰毛が生え出した、それが二毛作。」
っていうのが好き。

浅香光代をつかったボケが三回も出てきて、そっちにも歴史を感じた。



小田嶋隆『ポエムに万歳!』読んだ。感想を言いづらい本だ。
世の中の困ったことについて多く書かれている。読んでるときはおもしろいが、読み終わったあとは、「世の中困ったことだらけだな、世の中は悪いほうに傾いてるのかな」と思う。



橋本治『負けない力』読んだ。負けない力とは知性のことで、これは知性についての本。
線引いたところをちょっと引いてみます。

『「みんなと一緒じゃいやだ。自分は個性的でありたい」と思う人だって、それと同じような「みんなと一緒じゃいやだ。自分は個性的でありたい」と思う人達と一緒に、自分の所属する「幻想のみんな」を作ります』


『「みんな」というのは「人間の集まり」であるはずですが、それが一人一人の顔が見えない抽象的な概念のようなものになり、「そこに属している」と思う人達のあり方を守り、同時に、そこから出て行くことを妨げる「壁」のようなものにもなっているのです。』


『「行き詰まった世界」をなんとかするための方向は「世界は行き詰まっていない」と考えることによってしか生まれないでしょう。そのために重要なことは「なぜ自分は“世界が行き詰まっている”と思っているのだろう?」と考えることです。』


そんな感じです。



短歌の本があってもあんまり読まないで他の本を買ってきて読んでいる。

ほとんどいつも「短歌ができない読めない」と思っている。たまにできる読める時があって、できる時に集中的にやる。やったということは意識の遠くにいってしまい、「できない読めない」という気持ちがいつも手前のほうにある。




徒然草 二百十八段
狐は人に食ひつくものなり。堀川殿にて、舎人が寝たる足を狐に食はる。仁和寺にて、夜、本寺の前を通る下法師に、狐三つ飛びかかりて食ひつきければ、刀を抜きてこれをふせぐ間、狐二疋を突く。一つは尽き殺しぬ。二つは逃げぬ。法師はあまた所食はれながら、ことゆゑなかりけり。



徒然草をネットで毎朝十段ずつ読み、読み終わった。
徒然草はいろんなことが書いてある。当時の礼儀作法の話やためになる話や思い出話などが、分類もせず長さもバラバラなままに入っている。
こういう、キツネが人に噛みつくみたいな話が好きだな。








オレの短歌まとめ・第二十四期【2017年4-6月】20首 - NAVER まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2149889565644841401
三ヶ月を一期と数えて、オレの短歌の第二十四期が終わった。

二十四期に起こったこと。
「マストドン」で短歌の発表を開始。「山形歌会」参加。「現代短歌」への投稿を中止。小説雑誌「野性時代」で始まった「野性歌壇」第1回で特選。「みずつき」三度目の参加。オレの名前を詠み込んだ短歌を短期間に三首見た。



▼▼



#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました



2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3
noteを更新しました。裏話です。


なりすましアカウント騒動|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/nddf9ca3db36c

すぐに消されたエアリプにこたえる|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n16ba35458c13

帰ってきた汚染歌人
https://note.mu/mk7911/n/n3b3bdf5e932c

短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


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2017年07月08日

ツイッター短歌史【2017年6月】

ツイッター短歌史

短歌関係で話題になっているツイートを見つけたらURLと本文を控えておくようにしている。そのまとめを「ツイッター短歌史」と名付けている。



今回は2017年6月ぶん。




【2017.6.6】

小林通天閣さん @kobashowww が「不自由律ったー」を発表。



https://shindanmaker.com/728883

照屋沙流堂さん発案の不自由律短歌を練習するための診断メーカー作りました。
句数は3~6です。
各句の音数の出やすさは「5,7>4,6,8>2,3>1,9」となるように傾斜をかけてあります。

#不自由律ったー

https://twitter.com/kobashowww/status/871960277000101896








【2017.6.7】
中村成志さん @nakam8 が「よめる題詠」を開始。


#よめる題詠

新企画。
新古今和歌集とかにありますよね、「海辺郭公といふことをよみ侍りける」「無風散花といふことをよめる」なんて、やたらに状況を細かく設定した題詠。
それをやりたいと思います。
お題を十個出しますので、それぞれの状況に合わせて短歌を一首詠んでください。
https://twitter.com/nakam8/status/872414114965934080


詠めたら、返信の形でそれぞれのお題ツイートに返してください。
その際、
#よめる題詠
のタグも付けてくださいね。
細かい設定は自由。
多少シチュエーションが離れてもO.K.です。
https://twitter.com/nakam8/status/872414210659045377


また、新規にお題を作っていただくのも大歓迎!
その際も #よめる題詠 のタグを付けてください。

ご参加をお待ちしてます!

https://twitter.com/nakam8/status/872414261103820800







【2017.6.17】
#NHK短歌の選者になったら呼びたいゲスト
というタグが流行った。さかのぼると大橋春人さん @hachidx が最初のようだ。


荒木飛呂彦さま #NHK短歌の選者になったら呼びたいゲスト
https://twitter.com/hachidx/status/876072843301093377








【2017.6.18】
双葉屋ほいるとイヤイヤ期のこほーにゃさん @hioiru_utayomi によるハッシュタグ #ビストロみそひともじ が起こる。

#短歌でレシピ あらため #ビストロみそひともじ、叙情もなにもないので短歌ではないかもしれないんだけど、31文字で美味しい気分になれるのでぜひいろんな方のみそひともじレシピをお聞きしたいです
https://twitter.com/hoiru_utayomi/status/876255267935010816



https://twitter.com/hoiru_utayomi/status/876288054599663617







【2017.6.19】
taliさん @taliul という方のツイートが大きく拡散された。
2000RT5000いいねを超えた。


ぼけーっとダヴィンチ読んでたら「短歌ください」にゴッツイの来てるぞ https://t.co/RcFrqkWgK8

https://twitter.com/taliul/status/876433655173795840




その後、このようにツイートしている。

@_pnk_mm 今後は百合に興奮してもすぐ写メらない 覚えました
https://twitter.com/taliul/status/876443030995193857










【2017.6】
「歌会怖い」問題が起きた。
いつごろからある問題かははっきりしない。「歌会 怖い」でツイート検索すると、6/11あたりからツイートが増えてきて6/25くらいまで続いている。



主なものだけ。

6/18
堂那灼風
「歌会とそこにおける選歌について」
https://note.mu/shakufu/n/n8c6f68bffa12

6/20
うにがわえりも
「寿司とハンバーガー (歌会とその評のあり方について)」
https://blogs.yahoo.co.jp/eriuni_tanka/64858686.html
6/21に「追加ペーパー」あり


それ以外だと、さっき書いたように「歌会 怖い」でのツイート検索結果が参照できるものとなる。
10人以上がリツイートしてるツイートがあれば紹介するつもりだったが、該当なし。


歌会を怖いとしている意見のなかでは、
イシカワユウカさんが #歌会怖いのハッシュタグをつけて投稿したいくつかのツイートが重要だと思われたが、本人が消すと言っているからここに貼りつけはしない。







【2017.6.23】

文月郁葉さんが、ハッシュタグ「殺伐としたTLに即詠が」をつくり、たちまち多くの歌人がこれを使ってツイートした。



怖いとはたとへば茅花がよるべなく光る白さを見てしまふこと(文月郁葉)
#殺伐としたTLに即詠が

タグを作りました。よかったらご活用ください。

https://twitter.com/ikuhahuduki/status/878213200394690560








【2017.6.23】
ハッシュタグ「はじめての歌会の思い出」。
一番最初のツイートはこれのようだ。文月郁葉さん。


#はじめての歌会の思い出
山梨県の短歌結社のみぎわの歌会を見学させていただいたのがはじめての歌会です。
皆様活発に意見を述べられてるんだなぁと思った後、案内してくださった斉藤真伸さんが「見学者がいたからか積極的に発言する方もいました。」と教えてくださいました。

https://twitter.com/ikuhahuduki/status/878227428975419392








【2017.6.28】
貝澤駿一さんのツイートが伸びていた。66リツイート100いいね。


結局この将棋ブームで短歌が見習うべきは、将棋を指す人=将棋ファンという垣根を取り払うことに成功した点なんだよな。賛否両論ある新鋭短歌シリーズについて、僕が期待しているのはまさにそれ。短歌を詠む人=短歌を読む人という現実に一石を投じたい。今は木下龍也や岡野大嗣や笹公人がいる時代だ。
https://twitter.com/y_xy11/status/879834134591320064









以上。

それぞれ簡単にまとめたけど、それぞれの件にオレなりの感想がある。
たとえば今回でもっとも大きかった「歌会怖い」問題についてのオレの感想はこれ。
http://livedoor-mk791122ch.blog.jp/archives/52003603.html

ほかにも「くどうのぬらっ日記」内にはオレの日常や本音が書いてあるので興味ある方は探してみてください。もっとも深い本音は有料マガジンに書いています(最後にリンクを貼っておきます)。



ツイッター短歌史について情報などありましたらコメントをお寄せください。オレに拾いきれていない話題もいろいろあるかと思います。
ブログでのツイート引用の仕方は、もっといい方法がありそうだがよくわからないなあ。






これまでのツイッター短歌史


【2016年11月・12月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52182719.html

【2017年1月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52184755.html

【2017年2月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52186348.html

【2017年3月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52188765.html

【2017年4月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52190583.html

【2017年5月】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52192755.html




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#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました



2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3
noteを更新しました。裏話です。


なりすましアカウント騒動|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/nddf9ca3db36c

すぐに消されたエアリプにこたえる|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n16ba35458c13

帰ってきた汚染歌人
https://note.mu/mk7911/n/n3b3bdf5e932c

短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


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2017年07月05日

工藤吉生が選ぶ #2017上半期短歌大賞【後編】歌集部門、その他部門

第七回ぬらっと!短歌大賞 ( #2017上半期短歌大賞 )を発表いたします、の後半です。今年の1月から6月にオレが読んだ
す べ て の 短 歌
のなかから、特に心を動かされた50首を選びました。


第七回ぬらっと!短歌大賞は、総合誌/結社誌/歌集/その他、の4部門に分けます。

50首の内訳は総合誌7、結社誌17、歌集17、その他9となります。今回は後半26首を出していきます。

あと、大事な気がするので毎回言いますが、これは「上半期に発表された歌」ではなく、あくまでも「上半期にオレが知った歌」です。特に、歌集は古いものを多く読みました。



前回までのまとめ
第1回 #2014上半期短歌大賞 65首
http://togetter.com/li/687898

第2回 #2014下半期短歌大賞 60首
https://t.co/8E5EIBgp2H

第3回 #2015上半期短歌大賞 60首
https://t.co/9lFvZa8HF5

第4回 #2015下半期短歌大賞 50首
http://togetter.com/li/917329

第5回 #2016上半期短歌大賞 55首
https://t.co/X60WvjAcKc

第6回 #2016下半期短歌大賞 45首
https://t.co/AkEk4Ct7Vi


今回のまとめもあります。

第7回 #2017上半期短歌大賞 50首 https://togetter.com/li/1126231







この記事では評を交えて書いていきます。だいたい、過去に書いたもの以上のことは書けないのでそれをもう一度載せて、付け加えることがあれば付け加えるようにします。




つづいて歌集部門。この半年はけっこう歌集を見た。



晝床にほのりほのりとゐる我の出で入る息のおとの幽(かそ)けさ/斎藤茂吉『あらたま』
25/50   

→こういう歌を見ると、ただものじゃないなって感じる。
静かだなーっていう短歌はいろいろあってオレは好きなんだけど、ここで聞いてるのは自分の呼吸の音だ。あまりにも身近すぎて気づかないようなところだ。「ほのりほのり」は布団のなかで半分起きてて半分寝ているような気持ちいい状態なのだろう。



いきものをつひにあやめしか子どもらは炎昼の街鋭(と)き声に去る/佐藤通雅『水の涯』
26/50   

→子供のもつ残酷な部分をよく描いている。しかも、声だけでだ。いじめるだけいじめて、死んでしまえばもう用は無いというわけだ。「炎昼」もいい。



つきあたりを曲って上に出てみれば焼野原かもしれないけれど/東直子『十階』
27/50   

→上に出れば焼野原ってことは、地下を歩いているのだと読んだ。たしかに地下にいるあいだには地上のことはわからない。なにごともない前提でいるけど、地上が一変している可能性もなくはない。目を離しているあいだに世界が変わってしまう危うい予感の歌。

上に出る前に「つきあたりを曲って」いる。このつきあたりが世界を変えている気がする。マジックでいうと、三つ数えて指を鳴らすような役割がこの「つきあたり」にあるんじゃないか。
つきあたりで人とぶつかってその後の運命が変わるなんて話もある。



ブランコの板をかかえて目をとじて(嵐の海で船はこわれて)/やすたけまり『ミドリツキノワ』
28/50   

→ブランコの板が、こわれた木造の船の一枚の板になる。目をとじることで公園が嵐の海に変わる。豊かな想像力だ。「て」止めの連続は賛否あるかもしれないが、オレはいい方向に動いてると思う。



ひらひらのガラスの鉢におよいでる嫉妬は「上から見る」が正しい/やすたけまり『ミドリツキノワ』
29/50   

→嫉妬が金魚みたいになる歌だ。何が何に変わるか、予測もつかないような変化を起こす。
「ひらひら」は鉢の形であるとともに金魚の泳ぐさまでもあろう。あるいは嫉妬もそう動くのか。

嫉妬が入ることで、鉢が人間の心であるかのようだ。
「上から見る」もおもしろい。普段横から見る金魚とかメダカとかを、上から見たらちょっと違って見えるという感覚は子供のころにあった気がする。
嫉妬は目と同じ高さで見るものじゃないんだな。



切り落とす間際にふいに抵抗はよわまりてのち切り落とされつ/松村正直『やさしい鮫』
30/50   

→これ、ものすごく気になる歌だった。なにか生きているものを切り落としたということ以上のことはわからない。魚などをさばいていると読めなくもない。
香田証生さんのことが頭をよぎった。2004年当時に首を切断される動画を見たけど、こんな感じだった。この歌集は2006年。ありうる。
魚などをさばくって書いたけど、人間が魚みたいにされるのがあのような事態だ。
人間が人間としてあることのできる社会を望む。



呼吸器をはずしたような静けさにときはなたれて海は金色/あまねそう『2月31日の空』
31/50   

→危うい比喩で、とてもいい。死へ向かっていくような静けさであり、命がとけだしたような海の金色だ。
映画「ヴェニスに死す」のことを思い出したりした。



盛大にカウントダウンして終わる地球最期の日のワイドショー/松木秀『RERA』
32/50   

→最期の最期にやることが、盛大なカウントダウンなのか。なんのための盛大さなのか。テンション高く滅亡したいのか。
松木さんの作品では、テレビやら新聞やらの愚かな部分が明るみに出される。地球最期の日のテレビなんてまだわからないしこれは仮定の歌だけども、充分ありうる。最後の最後までテレビはテレビらしくあり続ける。



人間になりたくなくて泣いている赤ん坊十人に一人は/松木秀『RERA』
33/50   

→妙にNの多い上の句だ。赤ん坊の泣き方ってそうかも。んなこたあないか。
十人に一人というのは、ほんとかうそかわからないがとても気になる数字。うちの子は違うし関係ない、と誰もが思っていられるくらいの数字だ。



余震待つ机の下の家族五人大きキャベツを剥がしては食ふ/亀谷たま江『雨上がり』
34/50   

→歌集の中盤に阪神大震災の歌がある。
余震を望んではいないが、待っていると言えば言える。机のしたでキャベツをはがして食べる様子は、まるで人間ではない別の生き物、たとえば青虫になってしまったかのようだ。震災に大きく暮らしを変えられたところをすくいとった。



車窓より見ゆる白肌(しらき)の校舎にもきつと手首を切る少女ゐる/梶原さい子『ざらめ』
35/50   

→白肌と書いて「しらき」と読む言葉が目をひく。校舎について言っているのだが、少女にもかかっていく言葉だろう。
見えない少女が見えている。



ラジコンの電池のなくなりしこと子は言わずただ手に車体押しおり/永田淳『1/125秒』
36/50   

→言いたいことを言えずにあきらめてしまう子なのかな。その胸中を思うとわびしくなる。こんなんじゃないと思いながら、あきらめの気持ちで遊んでるんだろう。オレも似たところがあるからひいきしたくなる。
三句が「しこと子は」となるのがやや気になるといえば気になるけども。



どろみずの泥と水とを選りわけるすきま まばゆい いのち 治癒 ゆめ/笹井宏之『てんとろり』
37/50   

→しりとりが面白い。しりとりとは言っても、りんごゴリラらっぱパンダみたいなやつじゃなくて、なにか崇高な言葉がならんでいる。清と濁の中からなにか溢れだしてくる。新しい命でも生まれてきそうだ。
「ゆめ」で終わっているが、治癒したことがゆめであるように見えてせつない。病で亡くなった歌人であることがオレの読みに影響した。



蟷螂の食べている蛾を蟷螂の視界へと飛び込ませた力/五島諭『緑の祠』
38/50   

→食べている場面から、飛び込む場面に時間が逆戻りしている。「飛び込ませた力」はさらに過去にはたらいたのだろう。
蛾が蟷螂の視界に飛び込んで食べられてしまったのは偶然ではなく、ある「力」がそうさせたのだという。

カマキリって漢字にするとむずかしい。カタカナだと虫っぽさが増すが、そうしていない。虫の生態系の話ではないのだ。



昔見たすばらしい猫、草むらで古いグラブをなめていた猫/五島諭『緑の祠』
39/50   

→猫のすばらしさはグラブをなめていたことなのか、または歌の外側にあるのかもしれないな。
草むらのグラブは野球で遊んだ少年が忘れていったのだろう。グラブはおいしくないし食べられない。食べ物としてなめているのではなく、毛づくろいみたいな感覚ではめてるのかな。
グラブに「古い」がつくから、過去をいつくしんでいるみたい。そもそもこれが「昔」のことだ。古さが猫をすばらしくしているのか。



何人が見ているだろうCAは「ふー」と声出し救命具を吹く/佐藤涼子『Midnight Sun』
40/50   

→東日本大震災の一連で注目されるであろう歌集から、これ一首を選ぶのは変だと思われるのかもしれない。

震災は起こってしまった災いだが、ここでの飛行機事故はまだ起こっていない災いだ。起こっていない災いに対する人の関心のなさ、冷たさがよく表現されている。
そして、その重要性を伝えることの難しさも表現されている。息を入れていることを示すには「ふー」と声を出す必要があるが、声を出したことにより本番ではないということも示されてしまうのだ。








ここまでが歌集部門。歌集で読んだものから選んだ。数年~十数年前の歌集が多かった。

最後の10首は「その他部門」。同人誌、投稿作品でまとめられた本、ツイッターなどで知った歌から。




はじまりの合図が鳴って走り出す止まったままの君を残して/水澤賢人
野性時代 2017年6月号「野性歌壇」
41/50   

→徒競走でそんな生徒は見たことないし、これは例えなのかなと思う。
なんで「君」は止まったままなのか、とても気になる。気になるが、「君」とそれ以外のみんなは一秒ごとに離れていってしまう。
重い障害でみんなと同じようにできないのか、そのほかの事情があるのか、そもそも生まれてこれているのかも、なんにもわからない「君」だ。とても心配になる。放っておけない歌。



百人がよせと言ひたるスマホ買ひつひに真(まこと)の人となりたり/河合正秀
平成28年度NHK全国短歌大会入選作品集
42/50   

→「百人」を文字通りにとる必要はないのかもしれないが、まあ大勢の人から止められて、それでも反対をおしきってスマホを買ったと。

「真の人」がマジで言ってるのか皮肉なのか、読みきれないところに怖さがあった。本気でスマホをもつことが「真の人」になることだと言ってるならあぶない。現代にまったく飲まれてしまって自分を失っている。皮肉だとしたら、それでも大勢の反対をおしきって買ったのはなんだったのか。




学校に行きたくないという子の前でアイスコーヒー薄くなりゆく/吉岡嘉浩
短歌生活 8号 角川全国短歌大賞作品集
43/50   

→氷がとけて薄くなるアイスコーヒーが、時間の経過をしめしている。口をつけられることもないようで、それが子の閉じた心をものがたっている。場面がよくわからないが、朝の食卓だと思って読んだ。あるいは面談でもしているのか。
氷はとけても子の心は溶けていかない。



蝋のいろに変わりてしまいたる吾子よ棺を閉ずるまでを抱きいて/原佳子
短歌生活 8号 角川全国短歌大賞作品集
44/50   

→こういう歌の前では一瞬言葉を失ってしまう。「蝋のいろ」は子が人間ではなくなりつつあるようで辛い。下の句には離れがたい気持ちがあらわれている。



指のさき魚鱗のように揺らしつつ橋を渡れり 橋が重たい/山内頌子「旗艦店」
フワクタンカ1
45/50   

→橋を渡る人に、うろこを揺らしながら泳ぐ魚が重なる。人は橋の上だが魚は水の中であり、ふしぎな重なりだ。さらに「橋が重たい」という、人でも魚でもないものの感覚が加わる。自分が人でも魚でもあり橋を支えるものでもあるような、ふしぎな歌だ。



姉さん 私はずっと寂しくてあなたの吹いたしゃぼん玉想う/鈴木智子「解雇通知」
かばん 2016年12月号
46/50   

→こういう初句に弱い。字足らずに、一字空けに、家族への呼びかけ。ぐっとつかまれる。
こわれやすいしゃぼん玉を「ずっと」想っている。寂しさとしゃぼん玉が響き合う。



単純でいて単純でいてそばにいて単純でいてそばにいて/嵯峨直樹
47/50   

→これは「短歌ホリック」の「推し短歌」で知った一首。
繰り返しが印象に残る。短歌は57577という形なので、この繰り返しはそのメッセージとはうらはらに変化してしまう。「単純でいて」が「いて単純に」になってしまう。
あるいは57577のほうを77575に変化させると見ることもできるけども、いずれにしても短歌の形とこの願いは相容れずぶつかってしまう。



全日本ピンポンダッシュ選手権は予定の通り中止とします/山本左足
48/50   

→ツイッターで全く反応がなかったので、まずい歌を選んだのかもしれない。いや、でもオレはまずいと思ってない。

ピンポンダッシュに全日本の選手権があるなんておもしろい。下の句は人を食っている。
ピンポンダッシュは、家に誰か来たと思ったら誰もいなかったといういたずらだ。開催しないと思ったらやっぱり中止だったというフェイントのフェイントが、ピンポンダッシュの一枚上をゆく。



一冊の歌集に編みて配るなど金輪際の恥さらしかも/奥村晃作『ピシリと決まる』
49/50   

→たくさん歌集を出してる作者が言ってるからおもしろい。しかもこの後も歌集を出している。この歌も歌集のなかの歌だ。でかいブーメランだ。
「金輪際の恥さらし」という強い表現も楽しい。



わたしにはわたしのワット・ア・ワンダフル・ワールドがあり根に持っている/脇川飛鳥
50/50   

→よく見ると頭が「わ」で続いている。そういうのがオレにとっては楽しいし、加点になる。「よく見ると」が重要だ。よく見なくても分かるような露骨なのはダメだ。この歌は露骨の一歩手前で踏みとどまっている。

ワンダフルワールドと根に持つという気持ちが共存できるのが人の心の複雑さだ。ワンダフルじゃないものを排除していくのがワンダフルワールドなのかもしれない。

同名の歌があるらしいが、そっちは知らない。それを踏まえての作品だったら、読めてない。
ちょっとディズニーランドっぽく見えて、その夢っぽさも結句とギャップがあっていいなと思った。




以上50首ひとつひとつへのコメントでした。



第七回ぬらっと!短歌大賞を終わります。次は今年の年末か来年の年始にやります。



んじゃまた。



▼▼



#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました


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「マストドン歌人」がいるとすれば、それはオレだ|mk7911|note(ノート) https://t.co/bGdq5DVb2T

すぐに消されたエアリプにこたえる|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n16ba35458c13

帰ってきた汚染歌人
https://note.mu/mk7911/n/n3b3bdf5e932c

短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


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2017年07月04日

工藤吉生が選ぶ #2017上半期短歌大賞【前編】総合誌部門、結社誌部門

第七回ぬらっと!短歌大賞 ( #2017上半期短歌大賞 )を発表いたします。今年の1月から6月にオレが読んだ
す べ て の 短 歌
のなかから、特に心を動かされた50首を選びました。


第七回では、総合誌/結社誌/歌集/その他、の4部門に分けます。
前回は「歌集・歌書その他部門」と「ツイッター部門」がありましたが、「歌集部門」と「その他部門」に変更しました。

オレの観測範囲が変化してきまして、前回よりも総合誌とツイッターの比率が低くなり、結社誌と歌集の比率が上がりました。

50首の内訳は総合誌7、結社誌17、歌集17、その他9となります。今日は前半24首を出していきます。

あと、大事な気がするので毎回言いますが、これは「上半期に発表された歌」ではなく、あくまでも「上半期にオレが知った歌」です。特に、歌集は古いものを多く読みました。



前回までのまとめ
第1回 #2014上半期短歌大賞 65首
http://togetter.com/li/687898

第2回 #2014下半期短歌大賞 60首
https://t.co/8E5EIBgp2H

第3回 #2015上半期短歌大賞 60首
https://t.co/9lFvZa8HF5

第4回 #2015下半期短歌大賞 50首
http://togetter.com/li/917329

第5回 #2016上半期短歌大賞 55首
https://t.co/X60WvjAcKc

第6回 #2016下半期短歌大賞 45首
https://t.co/AkEk4Ct7Vi


今回のまとめもあります。

第7回 #2017上半期短歌大賞 50首 https://togetter.com/li/1126231







この記事では評を交えて書いていきます。だいたい、過去に書いたもの以上のことは書けないのでそれをもう一度載せて、付け加えることがあれば付け加えるようにします。




木枯が子を生むならばほほゑみとわれは名づけむ女男(めを)のいづれも/水原紫苑「初雪」
現代短歌 2017年2月号
1/50

→命名とは、願いみたいなものだ。木枯らしに微笑みがありますように、という心か。
木枯らしの親子があったらさみしいな。小さな木枯らしのなかにぼんやりと微笑みが見えてくるようだ。



路に触れ消えゆく雪と見ていしが白き厚みをもちはじめたり/吉川宏志「雪とアレント」
現代短歌 2017年3月号
2/50

→雪が積もりはじめる瞬間という、じつに細かい瞬間をとらえている。
作者の名前を見ると、これが政治的な問題のことのようにも見えてくる。無駄と思えるような行為の積み重ねが世の中をつくってゆく。良くも悪くも。



サッカー部二人のまわりを外周し幸せでしょうこのままずっと/武田穂佳「もつ鍋の煮える頃」
短歌研究 2017年2月号
3/50

→こういう、気になる人に近づけずにいる歌がいいなあ。彼が一人になるのを待ってたりする? でも、この下の句からすると、これ以上距離がちぢまることを望んでいるわけでもなくて、この外周してる時間が幸せなんだろうなあ。
「まわりを外周し」は言い回しとしてちょっと変わっている。固い。この言い方だと、移動する点Pみたいだ。あるいは天体みたいだ。そう考えると「ずっと」が途方もない時間にも思えてくる。



再配達指定といっても
 二日後の自分はいまはどこにいるのか
/林あまり「花柄の首」
短歌研究 2017年2月号
4/50

→この歌の時間のとらえかたはおもしろい。
現在の行動の仕方や選択によって二日後の自分の居場所も変化する。というようなことかなあ?? とても気になる表現。



生きているだけで三万五千ポイント!!!!!!!!!笑うと倍!!!!!!!!!!/石井僚一「瞬間最大風速!!!!!!!!!!!!!」
短歌研究 2017年5月号
5/50

この歌はほかのひとも引いてたけど、自分で打ち込んでみたかった。「!」がまず9個あって、次に10個あって、タイトルに13個あることがわかった。
三万五千ポイントとかその倍の七万ポイントになにか意味があるわけじゃなくて、とにかくたくさんなんだという、そういう数字なんだと思う。かぞえてはみたけど「!」の数もそうで、これはテンションの高さであって、数に意味はないし、もし考え抜かれていたらオレのなかでポイントが減る。

生きているというそのまんまのことですでにたくさんのポイントがついてて、笑っただけでそのたくさんあるポイントがさらにたくさん増えるというのが、素晴らしい。肯定されてる。

今は知らないけど昔のクイズ番組って終盤にポイントが倍になるんだよ。ポイント倍っていうのは負けかけていた勝負をひっくりかえす可能性を秘めていて、わくわくすることだ。

記号があると、あるいは一字空けでもそうだけど、そこから意味を読み取ろうとするんだよな。「解読」を試みる。
でも石井さんのこの歌に関しては、数字や「!」の数に意味があってほしくない、勢いだけであってほしいという願望をもった。そういうことってなかなかない。



諦めてからが本番みたいなところあるよねと言う ないかなと言う/辻聡之
角川短歌 2017年3月号
6/50

→特集「青春の短歌」で、青春の短歌として大井学さんが引いていた歌。
大胆なことを言いたいけど、相手の同意がほしいし否定されたくもないんだな。わかる。「あるよね」から「ないかな」へのやわらかい変化。変化しやすくて「本番」についての考えを突き詰めきれてない感じが青春だな。



地球にそそぐひかりをぜんぶあつめても生きかへらざるたつたひとりが/渡辺松男「夕枯野」
角川短歌 2017年3月号
7/50

→なんというまばゆさだろう。たった一人に集められた大きな光を思う。そして、それが届かない死を思う。なんと、死とは重い暗いものだろう。




ここまでが総合誌部門7首。ここから結社誌17首。
今回結社誌が多いんだけど、文学館にある結社誌を片っ端から読んでみたからです。







流星群。死のようにそれを待ちわびてフェンスの向こうへ指をひらいた/鈴木美紀子
未来 2016年12月号
8/50

→「それ」とは流星群だと読んだが、ここに出てこないものかもしれない。流星群が、ましてや死がフェンスを越えられないことはないが、フェンスはさえぎるものとして立ち、指は求めるときにひらく。
死を待ちわびる暗さに流星群の輝き。あやしい力をもった、ただならぬ歌だ。



このカーテンレール私の体重をまるごと支へられるだらうか/山木礼子
未来 2017年1月号
9/50

→カーテンレールに何をしようというのか。いや、何にもするつもりがなくても、ふと頭をよぎることがあるのだろう。
このような、何をしたいのかわからないような歌に惹かれる。それでいて、自分をまるごと何かに委ねたい気持ちが潜んでいるようでもある。



この鍵はだれかの指の味がする。わたしいつでもひざまずけるよ/蒼井杏「星ふる」
未来 2017年2月号
10/50

→指の味と鍵の金属の味ってどこかで交わるような気がして、よく思い返してみると、おそらく、鍵を握ったあとの指が金属くさかったというオレの記憶だ。誰かの指、ってことは他人が使ってきた鍵なのか。他人の指の味がわかるってやばいし、鍵をなめてるのもやばい。
それで、上の句と下の句がどう関係するのかはよくわからない。誰かの指の味を感じることや、ひざまずいたりすることには、屈辱的とはいわないまでも気分のいいことではないはずで、背負ってるものがありそうだ。
いつでもひざまづけるのは思いきりがよい。逆に強い。




かほをよせははの名よべばいのちあるははの髪よりははのにほひす/守中章子
未来 2017年3月号
11/50

→評のページから引いてるから、厳密にはもっと前の歌だ。
三回でてくる「はは」、ひらがなへのひらき、「いのちある」。母は呼ばれたが答えてはいない。返すのは髪の匂いだ。母が生きている、そのことが強く出てうつくしい。




おばさんでごめんねというほんとうはごめんとかないむしろ敬え/岡崎裕美子
未来 2017年4月号
12/50

→たしかにおばさんってこういうことを言う。どんな状況かはよくわからないが、若い人のほうがいいという価値観のほうに寄せている。
「ごめんとかない」がそんな価値観を破壊し、そのなかから唯一の漢字を含んだ「敬え」があらわれる。「ごめんね」が突き破られる強さがこわくておもしろい。



夢であることに気づいてしまうまで自分を抱いていてかまわない/鷹山菜摘
未来 2017年5月号
13/50

→岡井欄のなかで、鷹山さんの歌がすごくよい。えっ? と驚くような歌だ。
夢だとわかる前と後のふるまい方を言っている。夢だとわかって、なおも自分を抱いているとどうだろう。「わたしは夢のなかで自分を抱いている」と知ることには恥があるということか。
夢であることに気づかない、ほんとの夢中のところで自分を抱いている。夢中のところに「かまわない」という判断がでてくるから妙だ。






呼び出し音ふいに途切れて黄昏はひとが見えなくなつてゆくとき/澄田広枝
塔 2016年11月号
14/50

→こちらから電話をかけているときの呼び出し音かとも思ったが、そうではなくて着信音のほうだと読んだ。自分が出られない着信。一定時間すると鳴りやむものだが、変なタイミングで鳴りやむと「どうした?」と思う。
三句以降は失踪や拉致を思わせる。電話をかけてるときに消えてしまった人もあるだろう……。



針穴ははずみで通すものと言うスカートを縫う母が顔上げる/杉山太郎
塔 2016年11月号
15/50

→はずみで通す針穴に、ドキリとするものがある。「顔上げる」は、「母」が手を止めて読者のほうを向いたみたいで、これまたドキリとする。
スカートを縫うというのは二重に女性的で、母のなかにある女性性が浮き出てくる。「女性」を意識すると、はずみで通された針穴に、なにかの意味も出てこよう。人生そのものが、はずみのようなもので動くこともあろう。



雨の夜 被害者になる未来しか想像できないから 雨の夜/上澄眠
塔 2016年12月号
16/50

→閉塞感がよくでている。「雨の夜」ではじまり「雨の夜」でおわる。「雨の夜」ではさまれて、閉じ込められている。暗い夜に、すぐれない天候。未来もまた閉じている。




大好きとふつうのあいださまよって今日もふたりで階段そうじ/井出明日佳
塔 2017年1月号
17/50

→若い作者なんだろうと想像する。ひらがなが多いが、「掃除」と漢字にするだけで壊れるものがある。
大好きとふつうの間にもまた階段がある。「大好き」と「ふつう」の間だったら「好き」かな。好きにもいろんな段階があり、さまようように心が動いている。



機上より富士山見えて怖かりき置かれたるもののように影曳き/朝井さとる
塔 2017年2月号
18/50

→山が置かれたもののように見えたという。物のあり方というか捉え方というか、状態を変えることで日常を踏み外したような感覚がうまれる。
世界を創造した者の視点があるとして、人間がそこからものを見ることがあるとしたら、怖いだろうな。



エアホッケーあるでしょ 打ち返してくれる人がいないとああなっちゃうよ/はだし「いま宗教きたら」
なんたる星 2016年12月号
19/50

→相手のいないエアホッケーは、簡単に得点できてしまい、全く一方的な試合になる。
「あるでしょ」は例え話としてエアホッケーを出してきたと読める(離れた場所にエアホッケーの台があってそれを指してるようにも見えるが)。例え話だとすると、ひどく一方的な何か(エアホッケーではない)がそこで起こっている。



ひ ひ ひ ひとをころした夜に飲むホットミルクのゆげのしつこさ/加賀田優子「すきなひといないの」
なんたる星 2017年4月号
20/50

→「ひ ひ ひ」だけでもうおもしろい。「ひとをころした」を導いている「ひ」だ。殺された者や発見者の声か、それとも殺してしまった者の驚愕の「ひ」なのか。笑い声にも見える。縦書きにしたときに、湯気の形に見えなくもない。

ミルクから命を導くような読み方は、言うとアレなのでまあいいとする。

「ゆげのしつこさ」。殺人者って、なにもかもに追われているような感覚でいるんだろうな。ゆげからもしつこくされたくない。
ひらがなへのひらきかたもいいんじゃないでしょうか。



本能をよみがへらせて幼きが電車の手すりぺろりなめたり/中地俊夫「大きな便器」
短歌人 2017年1月号
21/50

→おもしろいけど、ちょっとこわいとも思った。人間のなかにある「本能」っていうのは、電車のなかとかで突然よみがえっちゃったりするかなと。手すりなめるくらいの本能ならばいいけれども、でも手すりなんておいしそうに見えるわけがない。そんな不可思議なものが本能ならば、本能とは得体がしれない不気味なものだ。
「手すり」「ぺろり」「なめたり」の「り」にも効果がある。




優しさは傷つきやすさでもあると気付いて、ずっと水の聖歌隊/笹川諒
短歌人 2017年1月号
22/50

→理屈っぽい歌なのかと思っているとあざやかに詩へと飛躍する。これはちょっとすごいな。
「水の聖歌隊」っていうものは無いんでしょう。水と聖歌隊のイメージを重ね合わせることで反応が起こる。かたちも色もない透き通った調和した綺麗なものだろう。それが優しさや傷つきやすさとも反応を起こす。



落ちてゆく夕日に染まるわが家に小さくそっと母を呼びたり/伊藤優子
天象 2017年1月号
23/50

→さっきも母を呼ぶ歌が出てきたけど、そういう歌に弱いのかなあ。夕日にも弱い。
ひそやかなささやかな家庭の歌だ。



坂を下る君のからだが半分まで消えて巷の灯が点き初めぬ/渡辺タミエ「一汁ゼロ菜」
合歓 2017年1月号
24/50

→23の歌に似た歌かもしれないな。結句からすると夕暮れ時だ。別れの場面だ。見送る自分の気持ちに反応するかのように灯が点る。
「からだが半分まで消えて」は見えた通りでもあるが、半透明になるようでもあり、別れにせつなさが増す。





つづく。



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