2016年12月02日

エクセルの歌とExcelの歌のこと

今回は歯切れの悪い内容ですよ。



接近の大き火星が窓にゐて淋しき読書よ「初歩のエクセル」/服部孝幸
という歌を角川「短歌」2016年11月号で見て、おもしろいと思ってツイートしました。水原紫苑さんが秀逸に選んでいます。坂井修一さん、三井修さんも佳作で選んでいます。

それからしばらくして
遠く山開かるる日やExcelの小技集とはさみしき読書/田村元「北二十二条西七丁目」
という歌があるのを知ったので、「ああ」と思いました。

前のオレなら、こんなことではいかんと言ってハガキを書いてるけど、今はもっとこの問題の複雑さを感じているのでそこまでしません。盗作だなんだと騒ぐことはしません。
これくらいの似方がアウトなのかセーフなのか、故意か偶然かは判断できないんですよ。
作者が口を開けば「知りませんでした」「意識してませんでした」って言うに決まっていて、そう言われたら誰にもそれをくつがえすことはできません。


なんで見つけたかというと自分のツイログ(ツイッターのログを記録するサイト)でたまたま見つけたのです。エクセルの歌に二回も丸つけてツイートしたわけです。





遠く山開かるる日やExcelの小技集とはさみしき読書/田村元「北二十二条西七丁目」
接近の大き火星が窓にゐて淋しき読書よ「初歩のエクセル」/服部孝幸

▼「Excel」が片仮名の「エクセル」になり、
▼「遠く」が「接近」になり、
▼「小技」が「初歩」になり、
▼「さみしき読書」が「淋しき読書」になっていて、
▼結句が四句へ移りました。
この動かし方がわざとらしいとも言えますし、こんなに違うんだから別の歌でしょ、とも言えます。


いろんな感じかたがあるかと思います。それぞれの違いを楽しむこともできましょう。山と火星では全く違いますからね。

気がついたのでここに記しておきます。
この作者の名前は覚えておきたいと思います。






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2016年12月01日

角川「短歌」2016年11月号を読む  ●第62回角川短歌賞発表

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一か月おくれの角川「短歌」2016年11月号をやっていきます。
角川短歌賞の発表号です。



あの影は若者だろうがらがらの電車の中で立っているから/穂村弘「熱い犬」

たぶんもう海に入れぬ岡井氏の歌が最高得票となる/穂村弘「熱い犬」

→若さとは・老いとは、ということで二首抜いてみました。電車の中の影を見ているのは、電車の外でなおかつある程度距離のある場所にいる人なのでしょう。人の少ない空間に立つ影のような若者。

後の歌では、票を競う歌会に、海に入れるかどうかという別の物差しがあてがわれる。
海に入れるのか入れないのか、それはある日突然入れなくなるのではなく、長い間入らないでいるうちにだんだんそうなっていく。
オレはいまは入れる側にいるつもりだけど実際には全然入らないし、もしかしたら入らないまま終わってしまう。そう思うと、海って遠い。

食べ物、歌人、海、蝉、いくつかのテーマがくりかえし出てくる。なにもかもがおわりへ向かって動いてゆくようなさびしさがある。たとえば、蝉の歌だけ追いかけるなどしてみたときに。



大きな襟のジャケットゆゑかいつまでも女性議員に共感できず/梅内美華子「山羊カフェ小鳥カフェ」







角川短歌賞。


木の床を君のなみだが濡らした日 六十センチ水槽を買う/佐佐木定綱「魚は机を濡らす」

食ったことないけど作ってみるもののできているのかわからぬロコモコ/佐佐木定綱「魚は机を濡らす」

まずはこういう歌に丸した。思ったより楽しめた。オレより絶対うまいというのが読んでいてわかったので良かった。
なんかばっちいんだけどさ。ばっちくても読ませるなあと。
涙のために買ったかのような水槽。響きからして得体のしれないロコモコ。オレは食べたけど思い出せない。



アンコールでみんな出てくるこれまでに出会ったコンビニ店員たちが/竹中優子「輪をつくる」

音楽室ひとりで歌う順番が回って小柴くんのうら声/竹中優子「輪をつくる」

→一首目、「人生は劇場」みたいなことか。コンビニ店員の顔ってどれだけ思い出せるだろう。思い浮かべると不思議な図だ。
二首目、こういう歌は前にもツイートしたけど、また丸したってことは好きなシチュエーションなんだな。

ひな鳥が餌を欲しがるようにして歌う湧井のデカい学ラン/武田穂佳「見切られた桃」



佳作から。
レクイエム(それもフォーレのコルボ盤)かけて無人の酒場はないか/滝本賢太郎「蛸を洗ふ」
→よくわかってらっしゃる、という気持ちで丸つけた。落ち着いてよく見ると、みるみる条件が厳しくなり不可能に近づいていくのがわかる。それを求める心境を思う。

美学学会会場案内図の看板あまり喋らぬ女と運ぶ/滝本賢太郎「蛸を洗ふ」
→漢字の多さ、それも「学」と「会」の重複のくどさが喋らぬ女と対照的だ。「美学学会」を初句とすればわりとすんなり読める。



恵比寿駅のトイレの鏡に肩並べ隣の子より赤くなるリップ/カン・ハンナ「雲の中スピード出して」

ニッポンの朝はやさしい新聞を畳んで電車に読んでいる人/カン・ハンナ「雲の中スピード出して」

→小さなところにあらわれる日本と他の国の違いをおもしろく読んだ。一首目は「恵比寿駅」がいい。二首目はそれを「やさしい」と言い切ったのが新鮮だった。



座談会で引いてあるだけの作品からは取り上げない。
どれも面白そうだった。面白い人たちのなかにいるのだから、オレのも面白いのだろうと明るく思えた。

○がひとつで座談会で歌が引用されただけのオレとしては、
短歌研究みたいに、抜粋であってもページを割いてくれたらいいのにという思いはある。







なんだかもう七十歳の気分なり六十八歳と三日のわれは/馬場昭徳「六十八歳」
→初句「なんだかもう」がいい味だしている。老いの歌でもこういうのがあると面白いんじゃないか。
七十歳の気分と六十八歳と三日の気分の違いは、想像してみるのもむずかしい。似たようなものだろ、と思うがそれは今だからなのかも。

記憶より消えたるわれと消えぬわれをりて消えざるわれのはづかし/馬場昭徳「六十八歳」



こんなにも涼しき九月肺活量少なきわれが吹くハーモニカ/花山周子

暴風雨を自転車にくぐりゆくときを後部座席の子が笑いやまず/花山周子



嬉しきことのふたつもありし夕暮れにのぞきたりけり土管の穴を/田上起一郎



元カレを見つけてしまった球場で2アウト3塁のチャンス来たり/田代春香

→題詠「恋」から。元カレも気になるが、試合も面白いところだ。チャンスってことは応援してるチームが攻撃している場面だろう。








以上。

そんなわけで、あらためて言うと、オレの連作「ピンクの壁」が角川短歌賞の予選を通り、東直子さんから○をいただき、選考座談会に取り上げられました。選考委員の方たちにいろいろ言われています。何度も読みました。
うれしいけど、まだまだだなという気持ちも大きいです。
また挑戦したいと思います。
んじゃまた。






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■短歌を楽しむ!!! リンク集■

短歌を楽しむブログ内リンク集
(2016.12.1更新)


2009年10月に開設されたこのブログには1800ほどの記事があります。また、ブログのほかにtogetterなども作成しています。
そのなかから短歌関係でなにかのお役にたてそうな記事、おすすめ記事などをまとめました。



【1】さまざまな短歌作品のまとめ


私の好きな短歌100・まとめ
【2013年版】 http://t.co/bQ97LV4YWA
【2016年版】 https://t.co/gmubYuY1jN
このブログを書いてる工藤吉生の好きな短歌100選です。歌人1人3首までという縛りで選びました。好評です。2013と2016では3分の1ほど入れ替わっています。
ぜひ短歌のおもしろさを味わってみてください。


工藤吉生選現代百人一首・仮 Togetterまとめ
https://t.co/OUCrvKYJFB
2016年11月末に、仮の百人一首をつくりました。仮というのは、他の方の百人一首の影響を濃く受けているからです。2010年以降の歌が中心です。



また、半年ごとに素晴らしい短歌を厳選し誉め称える「ぬらっと!短歌大賞」をツイッター @mk7911 で開催しています。
総合誌、歌集、結社誌、ツイッターで発表された短歌などさまざまな短歌が入り乱れる饗宴です。そのまとめがこちら。

第1回 #2014上半期短歌大賞 65首
http://togetter.com/li/687898

第2回 #2014下半期短歌大賞 60首
http://togetter.com/li/761480

第3回 #2015上半期短歌大賞 60首
http://togetter.com/li/842561

第4回 #2015下半期短歌大賞 50首
http://togetter.com/li/917329

第5回 #2016上半期短歌大賞 55首
https://t.co/X60WvjAcKc



まだまだありますよ。

★ベストふぁぼ短歌2015★  ツイッターでつぶやいたら反響の大きかった短歌26首
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52153621.html



【東日本大震災から五年】東日本大震災を詠んだ短歌・25首選
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52160992.html
これは震災を考えるすべての人に読んでいただきたいくらいの記事です。歌人たちは東日本大震災をどのように短歌に詠んできたのか。そのごく一部ではありますが、ぜひご覧ください。





【2】ネットで短歌を知る、参加する


#オレと短歌とハッシュタグの五年間を振り返る

https://t.co/2N2ilrKlfO

歌人による動画配信/インターネット生放送の五年間を振り返る
https://t.co/XGGxUTIzib
2011年の夏にオレが短歌を始めて、丸五年経ちました。その間のツイッターや動画配信サイトなどでの歌人たちの動きを一部まとめました。


おもしろい短歌のブログやホームページはどこにあるのだ/ネットの役割
https://t.co/M80LbjZmH6
さらにネットで短歌を楽しむためのご案内です。



ツイッターの短歌クラスタ、まず誰をフォローすればいいの? 2016
https://t.co/8DKKBHz1q4
ツイッターで短歌の人をフォローしたいけど、誰をフォローしたらいいのかわからないあなたへの提案です。



詩客 短歌時評「橘上の短歌放浪記」に応える/短歌の若手のいいやつって誰だろう
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52160336.html
今の短歌の若手といえば、誰なんでしょう。ネットで読める若手歌人の短歌の場の紹介など。


短歌の投稿サイトまとめ▼うたのわ▼うたよみん▼ちどり短歌会▼うたの日
https://t.co/7ctEoby1UX
ネットで気軽に短歌を発表できるのが投稿サイトです。




小高賢「現代短歌作法」内容と感想  『はやわかり短歌史』まとめ
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52001584.html
近代からの短歌の歴史をまとめた記事として好評です。Yahoo!知恵袋の回答としてURLを貼っていただいたこともあります。




【3】短歌を作り始めた方に

短歌を学ぶのに最初の一冊を選ぶとしたらどの本がよいか
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52092053.html
入門書の紹介です。まあ入門書はいろいろありますし、これを書いた後にも続々と出ています。気になるものはどんどん読むとよいですね。



tankafulのアンケート「短歌に関わるなかで不便に感じていること」に応える
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52119427.html
光森裕樹さんの運営する短歌のポータルサイト「tankaful」によせられたアンケート結果に反応した記事です。
「どこまでが未発表作なのか」「原稿用紙の使い方は」などなどについて書きました。



短歌の推敲について
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52128833.html
自分の短歌の推敲の仕方についてまとめてみました。参考になるかどうかはわかりません。





【4】短歌結社

「短歌年鑑」を見て、短歌結社の会員数とその増減をまとめた
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52115890.html

短歌研究の年鑑と角川短歌の年鑑では、結社・その他歌人団体の出詠者数の数字がけっこう違うという話
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52154742.html
どの結社に何人いるかを知りたくて短歌年鑑を追いかけました。





短歌結社の様子についてよく訊かれるので、結社についてのページを以下にまとめました。
といっても、オレに言えるのは「オレの場合はこうだった」ということに尽きると思います。

私は2012年夏に短歌結社「塔」に入りました。

短歌結社「塔」に入会した
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52002215.html

なぜ結社に入ったか、なぜ「塔」か、入ってみて良かったこと困ったこと
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52131314.html

「塔」の仙台歌会に参加しました
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52090897.html

結社の歌会に参加して、その感想や反省など。
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52102911.html

迷いながら楽しみながら、「三年はここにいよう」という気持ちで塔短歌会にいましたが、三年経った時に退会を決めました。そして未来短歌会 彗星集に入会しました。
その過程の記録が以下の記事です。

結社のことで迷っている
http://blog.livedoor.jp/mk7911-akogare/archives/51916924.html

未来の見本誌がきた
http://blog.livedoor.jp/mk7911-akogare/archives/51917634.html

小さな決断
http://blog.livedoor.jp/mk7911-akogare/archives/51923955.html

初めて「未来」に短歌が掲載されました
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52156028.html

二つの結社の特徴について、結社とは何か、ここからわかる部分があろうかと思います。
オレは今も迷いながら考えながら続けています。

塔と未来はどちらも若い方に人気のある結社です。もちろんほかにもいろいろあります。



【5】工藤吉生の短歌


最後にオレの作品のページを貼っておきます。

【主な50首】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52107166.html
まず主な歌をご紹介している、はじめましての方向けのページです。

【さらに100首】
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52107180.html
主な50首を読んだうえで、もう少し付き合ってやってもいいというありがたーい方へのページです。


そのほかの作品
https://note.mu/mk7911
noteに作品をまとめています。
投げ銭はこちらで受け付けていますので、役に立ったぞ、楽しんだぞという方は応援していただけるとありがたいです。



以上です。興味のあるページはありましたか?
このブログは頻繁に更新していますので、またどうぞよろしくお願いいたします。


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2016年11月30日

現代百人一首をつくったぞ!!!!!

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名古屋の歌人たちによる短歌の同人誌「短歌ホリック」に「推し短歌」として一首の短歌についてみじかく書いています。その縁で一冊いただきました。

「短歌ホリック」の特集に「廣野翔一選現代百人一首」というのがあるのです。

これに興奮しました。オレも100首選ならばやったことがあって、それで口を出したくてたまらなくなったのかもしれません。


工藤吉生の「#わたしの好きな短歌100」 【2016年版】 - Togetterまとめ https://t.co/gmubYuY1jN
オレが以前つくった百首選はこちら。
ただし一人最大三首まで選んでよいことにしたので、「百人一首」ではないんです。


オレと廣野さんで一首くらい重なるかと思ったら、全く重なりませんでした。でもオレが取り上げたことのある歌が100首のなかに8首ありました。
5.23.28.35.46.90.94.100。

なんの順番で百首が並んでいるのかわからないけど、100が角川「短歌」2016年11月号の歌であるところをみると、発表順、刊行順かもしれません。


2010年代の歌に限定したのも廣野選の特徴ですね。



百人の顔ぶれを見ると、歌壇歌壇しています。現代最高の歌人を集めようとしたら、短歌の総合誌の「新春大競詠」みたいな顔ぶれになってしまうものなんでしょうか。
それに『桜前線開架宣言』(山田航著)を足したような感じです。『桜前線~』の40人のうち28人がこの百人一首に選ばれています。
一部は驚くような人もいるけど、おおむね総合誌でいつも作品を発表してるような人たちが選ばれています。

廣野さんなのだから「塔」とか学生短歌会に片寄るのかなと思っていたら、かなり公平というか傾きのすくない選び方をしていることに驚きました。バランスということで考えれば、すごいバランスの良さなのではないでしょうか。

塚本邦雄が『新撰小倉百人一首』という本で、作者はそのままで歌をほとんど選び直して違う百人一首をつくってたというのを立ち読みで見ました。
そういうふうに、(川北さんとか他に選べないような人は別にして)作者をそのままにして歌を選び直してオレの百人一首を作ってみたくなる、そういう幅広い人選です。


「この選がしっくりこないという人はぜひ自分たちで百人一首を編纂してほしい。」と廣野さんは書いています。
しっくりはきません。でもそれは決して選が良くないという意味ではありません。おもしろかったです。

で、
言われた通り自分でさっそく百首選びました。
オレはすばやく実行に移すのです。作者をほぼそのままにして歌を取りかえました。


これです。
工藤吉生選現代百人一首・仮  【同人誌『短歌ホリック』特集「廣野翔一選百人一首」による】 - Togetterまとめ https://t.co/OUCrvKYJFB


▼基本的に2010年以降で
▼出典省略
▼選んだ歌にコメント等をしない
▼作者の順序は同じにする

の四点を引き継ぎます。


変更点。
知ってる歌が一首以下で歌が変えられない作者については別の作者の歌に変更しました。
▼11・川北天華さんの歌は例の歌しか知りません。これは別のネットで有名な歌にしました。
▼9・長谷川櫂さんの歌は、立ち読みしたことはありますがよく知りません。別の震災詠を入れました。
▼65・川野芽生さんの歌は、たぶん読んだことあると思うんですが記憶にありません。ここは廣野翔一さんの歌に変えました。型をまるごと真似しているので、それくらいはさせてもらわないとバチが当たりそうです。



ですがオレがほんとに本気で百人一首えらぶなら、この百人はかなり外しますね。かんたん短歌の周辺とか、なんたる星とか、うたらばうたつかい周辺からもっと入れたいですね。投稿で見かけた歌、古い歌や亡くなっている人の歌も入れたい。「現代百人一首」ではなくなりますが。
片寄りたいんです。

なので今回はあくまで形をお借りした「仮」の百人一首です。
片寄りたいオレがあえてバランス良く作るとどうなるか、2010年代という縛りを入れて選ぶとどうなるのか試してみたわけです。

しっくりこないと言いましたが、オレの選で誰かがしっくりくるとは全然思いません。短歌をたくさん読んだ方であれば、それぞれ心の中にある名歌はちがうのではないでしょうか。



「こういうのは長く短歌をやってる人が選ぶもので、2020年までオレが短歌をやってたらその時にやろう」
と思ってましたが、とうとうこらえられませんでした。

選んで思ったのは、言い訳したくなるってことです。
「これはこういう理由で選んだんだよ」とか、
「ほかにもすごい歌がいっぱいあってとっても迷ったんだぞ」とか。
多くを語らずに100首を提示する難しさを思いました。

「仮」にしたのは、人のふんどしでやってるという「借り」でもありますね。
誰を入れて誰を外すかが難しくて、それがあらかじめできていれば半分は出来上がってるようなものです。ですから短時間でできました。


ここに出てこなかった歌人を、
岩田、篠、奥村、三枝、蒔田、秋葉、福島、香川、道浦、花山(多)、阿木津、藤原、東、雪舟……などと数えていったとき、特に印象的なのは斉藤斎藤さんの不在です。不在が印象的というのもへんな話ですが。
この方の歌を一首抜き出す難しさはわかります。




最後にもう一回貼っておきましょう。
工藤吉生選現代百人一首・仮  【同人誌『短歌ホリック』特集「廣野翔一選百人一首」による】 - Togetterまとめ https://t.co/OUCrvKYJFB
こちらにまとめました。

ツイッターでつぶやいて、それをまとめサイト「トゥギャッター」にまとめました。こうすると外部の方に読まれやすくなるためです。



廣野さんの百人一首とオレのを並べて読んでみましたが、性質の似たところもあれば違うところもあって、おもしろかったです。



オレはかなり楽しみましたが、読者のみなさんも楽しんでいただければ幸いです。そして、しつこいようですが同人誌『短歌ホリック』を機会がありましたらぜひご覧ください。


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2016年11月29日

「塔」2016年9月号を読む  ~架空の人はおとずれて、ほか

塔 2016年9月号。
「塔」は読むのがだいぶ遅れている。10月号までは読んである。


愛するものなければ静かに散(ばら)けゆく雲を見ており音楽室から/福西直美
→雲の様子「静かに」と「音楽室」はひそやかにつながっている。
このルビはおもしろい。「ちる」と「ばらける」の味わいの違いを思う。
ばらける雲は、愛するもののない心理状態のあらわれか。


どこまでが本当なのかとたずねたら私を残して切符は消えた/多田なの
→夢かなあ。夢を夢だと気づくと目が覚めるということがある。疑ってしまったばかりに、行けなくなる場所がある。「私を残して」が孤独だ。


寝そべったわれの頭上でカーテンはふくらんだりしぼんだりしておりぬ/逢坂みずき
→あるあるーとただちに共感した。カーテンが呼吸して生きてるみたい。「われ」が寝そべっていることでカーテンがより生き生きして見える。


ザリガニだ そのひと声にわらわらと子ら集まりて橋が塞がる/ぱいんぐりん
ザリガニと橋といえば、思い出す歌がある。

不気味な夜の みえない空の断絶音 アメリカザリガニいま橋の上いそぐ/加藤克己『球体』
よく見れば似てもいない歌だ。
ザリガニといえばアメリカ、橋といえば何かと何かをつなげるもの、といったイメージで追いかけていくと、無邪気なばかりの歌でもなくなってくるが、この場合はどんなものかちょっと判断がつかずにいる。


錦織圭ファイナルセットを見届けてテレビを消せば部屋に声なし/宮地しもん
→会場の観衆の一人になった思いで、熱く試合を観戦していたのだろう。たくさんの声のすべてが画面の中のものだったと気づく瞬間。


子とわれに架空の人はおとずれて太き声出す雨の夜の道/花山周子
→「架空の人」が気になってたまらない歌。架空とはいうけど「太き声」に現実っぽさがある。おとずれるってことは偶然会ったわけではないってことだよな。「雨の夜の道」なのがちょっとこわい。

風つよき日に子が拾いたる木片が白いタオルに包まれてあり/花山周子
→オレは松ぼっくりを拾い集めたことがあるけど、子供って外でなにか拾ってきたりする。木片が強かった風の記憶を呼びさます。
タオルのよくわからなさ。表面がとげとげしてる木片なのかなあ。


よく切れる鋏のやうな重たさで雨がふるなり窓越しに聞く/河野美砂子
→刃の鋭さが重さになり、重さは雨になり、雨を隔てる窓があらわれ、鋭さも重さも雨も窓越しの音となる。

夜の辻マンホール下に広ごれる闇に底あり水音ひびく/河野美砂子
→これももしかしたら似た歌で、空間や暗さが音へとつながってゆく。感覚と感覚の行き交うおもしろさ。


帽を振ることが即ち永遠の別れを意味する時代がありき/三井修


バカボンのママのやさしさわれになく右に左に家族を叱る/栗木京子

→みずからをバカボンのママになぞらえているということは、家族をバカボンやバカボンのパパだと言ってるようなもので、そこに面白味がある。「右に左に」も漫画っぽい動きで楽しい。左右に吹き出しが出ていそう。



おわります。


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2016年11月28日

穂村弘さんの講座に行ってきた/「未来」のそれぞれの欄の人数をかぞえた【2016.11.28】


衝動的に、未来のそれぞれの欄の人数を知りたくなった。
最新の2016年11月号と、持っているなかで一番古い2012年8月号でしらべた。片方にしかない欄は字を青くした。


2016年11月号
月集 64
新集 43
ニューアトランティス 40
ニューアトランティスopera 23
みらいプラザ 14

銀河集(桜井登世子) 46
聲のさざなみ(道浦母都子)31
月と鏡集(佐伯裕子)39
無可有の郷(山田富士郎)21
彗星集(加藤治郎)42
かやの実集(さいとうなおこ)25
かつて門(池田はるみ)16
夏韻集(大辻隆弘)44
抒情の奇妙な冒険(笹公人)31
陸から海へ(黒瀬珂瀾)41
花かがり集(中川佐和子)31

青羅集(大島史洋)59
曲れる谿の雅歌(岡井隆)91
合計 701人




2012年8月号
月集 73
新集 45
ニューアトランティス 32
みらいプラザ 7

夕麗(稲葉峯子) 31
銀河集 44
聲のさざなみ 34
月と鏡集 28
無可有の郷 26
彗星集 52
かやの実集 17
かつて門 15
夏韻集 13
露禽集(米田律子) 13
青羅集 72
曲れる谿の雅歌 115
合計 617人



さて、ここからわかることはなんだろう。10人以上の差がついているところを見てみる。

2012年8月から2016年11月までの4年3ヶ月のあいだに、
「月と鏡集」は11人増えている。
「夏韻集」は31人も増えている。
「青羅集」は13人減っている。
「曲れる谿の雅歌」は24人減っている。
合計では84人増えている。

「彗星集」は10人減っているかのように見えるが、「ニューアトランティスopera」は彗星集から昇欄した会員の集まった欄であり、合計すれば13人増えていることになる。
同じことは「ニューアトランティス」にも言える。ただ、この欄の誰がどの欄の出身なのかが全員ぶん分からないのでこれ以上のことは明らかにできない。「夏韻集」からは4人が「ニューアトランティス」に移ったと聞く。

「青羅集」「曲れる谿の雅歌」の人数の減少は、高齢の会員が多いことによるのか、それとも新たにできた欄へと移っていったかという、二つが考えられる。

会員はもっといるものと思っていたので、出詠者の少なさに驚いた。短歌年鑑では800という数字がでている。
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52154742.html






次に調べたいのは、オレが今まで紹介してきた短歌の数だ。これをしらべるには時間がかかりそうだ。
ブログをさかのぼってやってみたが、一日ではできないくらい多い。

2016年
11月は27日現在までで 59首をとりあげた。
10月 67首
9月 147首
8月 80首
7月 74首
6月 144首
5月 151首
4月 141首
3月 76首
2月 119首
1月 183首

今年に入ってからツイッターで流れてきた歌をリツイートしたものが144首。




ここまでしらべたら飽きてしまった。ここまでで1385首。
このペースだと五年で7000首ということになりそうだが、以前はもっとたくさん取り上げていたから、一万数千首あると思っている。数えてみたらほんとに7000首しかないこともありそうだし、正確な数字が知りたい。コツコツ数えるしかないな。






先日「せんだい文学塾」として穂村弘さんに会いに行った。


その日は朝から落ち着かず、部屋にいられなかった。

教えていただいたばかりのブックカフェ「火星の庭」にさっそく行った。すごく雰囲気がよい。
ただ、短歌の本はあんまりない。気になる全集、作品集があった。いずれも厚い本。コーヒーを飲みながら読むような本を見つけられず、すぐ帰った。

それからメディアテークに行った。川柳の本を少し見たりした。サラリーマン川柳、シルバー川柳以外の本はほんとに少ない。広瀬ちえみさんの本を見た。
座れる場所は多いが机の競争率が激しく、書き写しながら読みたいオレには向いていない。

昼はパスタ食べた。三時間も余った。歩きながら作歌した。あまり作れなかった。

一時間早く文学館に行った。待ってたら穂村さんっぽい黒い人がいたけど話しかけられない。誰も反応しないけど、誰も穂村弘の顔を知らないのか? オレにしかこの人の姿が見えていないのか? と思った。

そのあとの講座やその周辺のことについては有料マガジンに書いた。




▼▼▼


23時帰宅。お会いできた方、持っていったフリーペーパーをもらってくださった方、ありがとうございました。

「あんた有名人じゃん」
「知ってます」
「ブログ読んでます」
という言葉を初対面の三人の方からそれぞれいただいた。これがうれしい。

サインもらった。歌人から著書にサインしてもらうのは四人目。欲しい人のはだいたい出揃った。サインをもらうための列に並んだのは初めて。けっこううれしい自分に気づいた。




くわしいことはnoteの有料マガジンで。

仙台文学館の穂村弘さんの講座に参加しました|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/nc121e90d1976
有料記事を週に二回のペースで書いてます。500円ですべての記事が読めます。50くらい記事があるので、1記事あたり10円相当です。実質タダみたいなものだと思っています。

講座を聞きながら書いたメモの画像をあげたので、どうしても無料で講座の内容を知りたい人はがんばって読んでください。ひひひ。

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んじゃまた。


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2016年11月25日

斎藤茂吉全集 第二十五巻を読む ●アララギ編輯所便、ほか

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岩波書店の「斎藤茂吉全集」第25巻を読んだのでそれについて書いていきます。「雑纂一」という巻。

840ページあるうちの400ページから550ページまでの「アララギ編輯所便」を目当てに読んだ。

これは編集後記みたいなものだ、と言ってしまっていいんだろう。結社誌「アララギ」に関して、報告や注意や雑談めいたことがさまざま書いてある。

オレはこういうの好きなんだよ。最近の本でこれに近いのは永田和宏さんの「新樹滴滴」かなと思ったけど、それよりもっとゴチャゴチャしている。



茂吉の「アララギ編輯所便」は明治43年3月号から始まり、昭和9年11月号で終わっている。途中で空いている期間もある。
はじめは「編輯所より」だったのが「編輯所便り」になり「編輯所便」になって落ち着く。


明治43年の最初の一文に迫力がある。
『アララギには廃刊と申す事実は到底あり得べかざる事実に候。若し寸毫にてもアララギを疑はむものは正に無間地獄に堕すべし。』
「無間地獄」ってじつはよく知らないなと思って調べると、いろいろおもしろい。いくつかある地獄のなかでも特にすごい地獄で、絶え間なく苦しみを受けるのだそうだ。

『百本の巻煙草を恋しがつてアララギに百銭の寄附をためらふ者は餓ゑ死んでしまふべし。』
と寄附をよびかけている。

かなり強気だが、数行すすむと態度が変わる。
『アララギには遅刊など申す事実は到底あり得べからざる筈の処、世の中には変な事もあればあるものにて到々遅刊してしまひ候。何卒御勘弁願上候。』

翌月。
『一処に声あり。小生等を目して生意気なりと申候。有り難い仕合せに候。小生等は、意気の『生(ナマ)』なるをこそ尊しと存じ候へ。意気の生なるを発するこそ、真のおのれと存じ候へ。煮たり炙つたりした意気とは如何なるものなるべき、聞きまほしく候。』
生意気だと言われて、ユーモアを交えて反撃している。
こうした文章は始めのほうに多くて、後のほうになるとだんだん毎月の報告が増えていく。

語尾の「候」がいつまで使われているかを見ると、大正二年から普通の文章と「候」が混ざりはじめ、昭和二年を最後に「候」が消える。



アララギは資金に困っているらしく、そのため廃刊まで考えている。明治43年にはあんなに強気だったのだが、これは大正元年9月。
『何も彼も小生の腑甲斐なきために候へども、アララギは本月限り廃刊しようとの議も有之候ひき。世の中が段々忙がしくなり米も高く、一見呑気な短歌雑誌などに目を呉れる暇が無くなつた様にも考へられ候へば。』
一転して弱気、大ピンチだ。
『併し一方柿の村人を中心とせる信濃の同人は、今雑誌を出すのは決して無意義では無い。餓ゑても出費すると迄言ひ越し申候。』
という力ある言葉で危機が回避される。「柿の村人」ってなんのあだ名かと思っていたら、島木赤彦のことだ。あだ名や愛称ではなく、ほんとにこう名乗っていたと見える。

はじめのほうこそ威勢よく生意気と言われていたものの、その後の茂吉は謙虚だ。協力者に感謝し、校正の不備や遅れにお詫びを繰り返し、誰かが本を出せばみんなで読もうと呼びかけている。



昭和3年7月。
『アララギの発行所にゐる者といふ名で、ポトナム社へ宛てて悪口の手紙が行つたといふことを聞いたが、これは誰かのいたづらであらう。併しさういふことは神明の巨眼が照覧してゐるものである。』
「神明の巨眼が照覧してゐるものである。」使ったことない熟語ばっかりだ。
自分への悪口を見たら思い出したい。



だんだん同じ内容が繰り返されるようになる。
▽締切を守ること
▽投稿規定を守ること
▽かなづかいは辞書で確認
▽丁寧に書くこと
▽誤記の訂正
▽寄付のお願い/寄付への感謝
▽誰それが亡くなった
▽投稿用の原稿用紙があるから必要な者は買うように

こうした内容はいまの結社誌でもよく見る。



逆に見慣れないものだったのは
▽創刊の知らせがたびたびあること。あらたな結社が続々と生まれている。
▽歌会に関してほとんど書かれていない。
▽「発行所面会日」というのがあり、選者と会える日が月に二日ほど設けられその日付が明記される。
▽歌集が出ると「批評号」として大きく特集する。



短冊に歌を書くのを求められるらしい。
『短冊色紙などに歌かくこと恥をさらすに等しきことゆゑ、書かぬ。また返送もせぬ。これも予め御承知をねがふ。或る高等女学校の校長、勝手に短冊おくり、時経たるに、短冊の返送を迫り来る。われ等にはそんな無駄な暇は一秒たりとも無し。』
昭和6年1月。

こうした要望は当時多かったようだ。時期は前後するが大正4年には「アララギ短冊会広告」という記事がある。上等の短冊に数量を限定して歌を書き、それを有料とした。




「アララギ編輯所便」からは以上。






その後は「雑篇」としてその他アララギなどに載った文章が載っている。長さも内容もまちまちだ。なかには挿し絵がないのに挿し絵の説明があったりもする。


『歌稿を速達便で送られるのは罷めていただきたい。夜分おそくなつてから届くことがあるので困る。それから一たん投稿した歌を改めるといふ通知も選者は難儀するから罷められたい。さういふ歌に限つて大体選に入らないのが多いやうである。』
昭和14年。「山房私信」。古く感じない。



昭和19年。「切語」
『ブチノメスべき時が近づいた。タタキコロスべき時が近づいた。昼夜をわかたぬ一億動員は、このブチノメスときの大歓喜、大踊躍を体験せんがために他ならぬ。奮へ奮へ奮へである。進め進め進めである。不退転である。不休息である。常攻撃である。』
そうか、「フレーフレー」っていう応援があるけどあれは「奮え奮え」なのかな。と思って調べたら違った。
カタカナの使い方が独特だ。力強さ、なのか。野蛮な印象を受ける。


昭和19年12月。「緊急!!切望!!」という文章。
『ねがはくはアララギの会員諸君。所持の銀品を大小問はず悉くさし出してお売りください。さうして一人から一人に必ず所持の銀品をお売りになるやうお頼みください。歌の問答を始むる前に先づこの問題の実行を解決してください。』
今と変わらない、と思っているとこういうものも出てくる。変貌ぶりにおそろしくなる。



最後に、最近オレが感じたこととそっくりなことを茂吉が書いてるのでそれを紹介して終わる。
「埋草」という文章。いかにも、全集でなければ収録されないようなタイトルの文章だ。タイトルから察するに、ページに余白ができたからという理由で書いたのだろう。
大正5年1月。
『歌の解釈をするに当つて、その解釈を一つの可なり長い文章(美文的の文章)にすることがある。これも一つの気の利いた方法には相違ないが、ややともすると主である『歌』から飛び離れた、交渉の少ないものになることがあるかも知れない。『歌』に少しも現れてゐない余計な事を言つたり、又は歌の心持を誤り伝へて筆のすべることがあるかも知れない。さうなると解釈の本分を逸することになる。』
『第三句がどうだとか、この助動詞がどうだとかよく言ふ。さうすると読んで呉れる人々が注意をそれに向けることが出来、それによつて自由に一首全体を味ひ得るに至ることがある。己の経験によるとかういふ釈なり評なりの為方が、自他ともに一番ためになるやうに思ふ。』




以上です。

冒頭の画像はなかのページから。いつもは表紙を撮っているんだが、この本は表紙に何も書かれていないのでこのようにした。


んじゃまた。


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2016年11月24日

歌壇賞/コウモリの寓話/富士山大賞【2016.11.24】

十日ぶんのツイートや日記からハイライトをまとめる。




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「富士山大賞」で佳作になったんだけど、その記念品が届いた。手にすると重い。
https://t.co/QGfxcT6bms



てっきり入選作品集が来たんだと思っていたら、「賞牌」だけだった。

ホームページはまだ受賞式の案内が書いてある状態で、更新されていない。
Facebookで作品集の写真をアップしていた人がいたからどんなふうに載ったかは画像で確認している。

メダルなんてもらうのはいつ以来だろうか。幼稚園の運動会でアンパンマンの軽いメダルをもらって以来じゃないか。

オレが尊敬したくなるほどの偉い人達は、こういう記念品をあまり大事にしない。オレもあんまり大事にしちゃいけないような気がしてしまう。


第 1 回 短歌 富士山大賞 ( H - 28 - 16 )
http://hnasake.blog60.fc2.com/blog-entry-670.html

富士山大賞についてしらべているときに見つけたブログ。
応募が1000首以上で佳作が125人だったのか。そうした情報がオレは欲しい。知らないコンテストで佳作をとって、どれくらい喜んでいいかわからなかったから。125人は多いなあ。喜びがだいぶ薄い。
メダルが立派で帝国ホテルが立派なのはほかのひとの書き込みからも伝わってくる。


佳作はそれほどうれしくないが、記念品は物珍しい。思ってたより重いし。
「角川短歌ライブラリ刊行記念わたしの一首コンテスト 大賞」の楯のとなりに置くことにする。



メダルや楯よりトロフィーがいいよな、でかいし。

持ったら重いからちょっとありがたいとか、でっかいからもらってみたいとか、オレはそういう考えでできているんだなあ。








現代短歌12月号が発売された。「読者歌壇」は秀作と佳作だった。佳作だったら立ち読みで終わらせることもあるんだけど、一行でもコメントをいただいたら買う。


雑誌の感じが変わった。紙は白くなったし表紙は厚くなった。「短歌ヴァーサス」もこんなんじゃなかったか。紙質だけは。

ずいぶん鳥居さんを推してる雑誌だ。「岡井隆 鳥居」じゃなくて「鳥居 岡井隆」だもんな。
吉川さんと三井さんの意見のぶつかりも印象的。


今回のオレの歌はずいぶん歌壇歌壇してるなと思った。自分に正直でいることが大事だな。目の前の募集に対して、自分を曲げて採られようとして半端な結果に終わるようなことがあると、ちょっと考えちゃうよね。今回のはそう悪い歌とは思わないし気に入ってはいるんだけれども。


子供の頃に、鳥と獣の戦争の寓話を聞いたことがある。すべての鳥とすべての獣が戦争をするんだけど、そのなかでコウモリが鳥側についたり獣側についたりする。何度も寝返って勝てそうな側につこうとする。でもおしまいには両方の敵になってしまうのだ。
たしかそんなあらすじだ。あとでちゃんと調べるけど、うろ覚えで書きたいからそうした。
「かんたん短歌」なのか「歌壇、結社」なのか、オレは半端な歌人だ。コウモリのことを思うときもある。

でもまあ、いまさらそんな単純な二項対立ではないよね!
……ないよね?

コウモリの寓話をあらためてウィキペディアで調べたら、いくつか説があって教訓がみんな違っている。ひとつの物語が、ちょっとした操作でどうにでも変化する。








歌壇賞は大平千賀さんと佐佐木頼綱さんに決まったそうだ。
発表された経緯がわからなくて不気味だった。「歌壇」のほうからはなんのアナウンスもない。気がついたら祝福ムードになっていて、ツイート検索してもGoogleを使っても決定的な第一報がない。

ツイート検索した結果、この件について一番早かったツイートはこれ。

11月21日17時47分
今回の歌壇賞は頼綱くんか。佐佐木兄弟ワンツーフィニッシュ。
https://twitter.com/tadayoshi_k/status/800621710613434368

これも他のどこかから聞いたふうなツイートだ。




今までにこのお二方についてどんなツイートをしてきたか、ツイログを探した。

久しぶりに会う夏の母ブラウスに記憶よりうすく花を咲かせて/大平千賀「すずしい音」

「しんだことある?」って問いを曳きながら子供らが漕ぐ風のぶらんこ/大平千賀

手にとれば魚のように跳ねている紙コップ夢からの糸電話/大平千賀「木槿、暮れる」


大平さんはこの三首。過去にも歌壇賞の候補になっている方だ。



佐佐木頼綱さんについては、

「佐佐木頼綱結婚」で検索してうちのブログに来た人がいる

と2015年5月にツイートしたことがある。こちらのかたの歌は引いたことがなかった。







「塔」の佐藤南壬子さんが亡くなったと聞いた。
今まで二回歌を取り上げたことがあった。

風つよき夜は瓦が浮き上がりごとりと戻るそれが恐ろし/佐藤南壬子

四肢投げて冷たくなりぬわが犬の四十キロがすべてつめたい/佐藤南壬子


さびしいことです。

佐藤さんはたしか塔事典に載ってたよなと思って、ひさしぶりに塔事典をひらいた。

塔の歌人が亡くなったら塔事典に没年を書き込む、っていう歌があったな。

いとけなき哀しみなれば受け入れて塔事典開き没年書けり/栗山繁
いとけなき哀しみ、を考えながら寝る。








有料記事を書いた。noteで、ほかのすべての記事も込みで500円で売ってます。
生煮えポンデリング|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n6da1950918b1

ほむほむの三日前|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n559083ee54f6


時間をかけて、なかなかよく書けたので満足感がある。




オレの短歌の情報はこちらから。
クリックだけでもしていってもらえるとありがたいです。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&redir_esc=&client=ms-android-kddi-jp&source=android-launcher-search&v=141400000&qsubts=1479718471564&q=%E5%B7%A5%E8%97%A4%E5%90%89%E7%94%9F+%E7%9F%AD%E6%AD%8C


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2016年11月23日

「塔」2016年8月号を読む  ~廊下だけの家が欲しいな、ほか

11月18日、時間があったので文学館に「塔」を読みにいった。7月号まで読んでそれっきりになっていたのだ。
8.9.10月号と三冊読めるといいなと思っていた。

出かける前から戦略を練っていた。制限時間をつければ一日で三冊いけるんじゃないかと。一冊読むたびに休憩を10分いれるとして、一冊80分にしようか、どうしようかと。

そのために読む順番を考えた。


「塔」80分チャレンジ
【1】まず選歌欄と選歌欄のあいだの気軽なページや評論に目を通す。おもしろそうならちゃんと読む。
【2】特集
【3】新樹集→百葉集→風炎集→特別作品に気になるものがあれば→各欄一席
【4】気になる作者や知ってる人達の歌。
制限時間になったら切り上げる。


なかなかわるくないと思っている。塔が推すものとオレが好むものがあるとして、前者を優先させた読み方。


で、これを実際にやってみたら、途中で切り上げるなんてできなくて上の順番で最後まで読んだ。一冊90分くらい。そうやって8月号を読んで、9月号を読んだ。
そしたら目が疲れたし時間もなくなったから10月号はまた今度読むことにした。

三冊読む目標は達成できなかったが、二冊読んだだけでも満足した。二冊読むと「短歌はもう充分!」って気分になる。

懐かしい、「塔」の香りがした。みなさんが活動している様子を見てうれしくなった。



今回はそのうちの「塔」8月号から書き抜いたのを十数首紹介します。

特集は「マンガと短歌」。塚本邦雄のがきデカ好きのエピソードはすごいなと思っていたら、翌月の誌面時評でも触れられていた。




水のいきもののように雨の窓に寄るまがらぬ足も足のかたちをして居る

言いにくそうにしてくれている医師の声機能は戻らぬことへ行きつきぬ/丸本ふみ



避難所に母を見つけて喜びき その後ケータイ持たぬを責めき/垣野俊一郎

→八月号には熊本地震の歌が多く寄せられている。ここでは人の欲のあり方が浮き彫りにされている。


画家は終わりをみていただろう絵の青の奥へ奥へと鳥のはばたく/中田明子


イースターおめでとうございます。戦争が終わりますように。始まりませんように/千種創一

→戦争が終わったと思ったらまた始まる、そうしたなかを生きてきた方の祈りなのかなと受け止めた。日本はあまりイースターを祝わないけど、そこに深い祈りをこめる人々がいることをこの歌は告げている。

戦争について千種さんが最近ツイートした言葉がある。Twitterの言葉はすぐに時間の彼方へ消えていくが、それを拾い上げてここに置いておこう。

……と思って探したら、もう削除されていた。
オレの記憶で書くと、
戦争や内戦というのはヨーイドンで始まるものではなく静かに近づいてくるもので、だから防ぐのが難しいのだと、
そういう内容のツイートだった。ご紹介したかったんだけど、記憶からで失礼しました。



まるめたる鼻紙のごとき睡蓮よいらいらとしてモネ展に来つ/篠野京
→一連の前半には仕事でつらい目にあった歌があり、後半にこの歌がある。
オレの部屋にもモネの睡蓮があるけど、あらためて見て、なるほどと思った。


帽子あさくかぶり直せり霊園に風が似ている薔薇園に来て/朝井さとる
→霊園の風、にぞくっとする。薔薇園だとことわられても霊園しか感じないくらい強い。帽子とともに魂を連れ去られるような感覚かと想像した。


廊下だけの家が欲しいな休日のこころに黄色い雲ながれ来る/朝井さとる
→さっぱりわからないが、迷わずすぐに書き写した歌。
生活空間として成り立たない住居、現実から少しはなれた色の雲。からっぽがある。見るときの気分によって、不気味にも見えるし、のほほんとしたものにも見えそうだ。


このひとは無理だなとおもうおもいつつ本家第一旭たかばし本店のラーメン/荻原伸
→「このひと」も、無理だという中身もぼやけている。だがラーメン屋にだけピントがしっかり合っていて、四句を大幅に字余りさせて正確に言っている。
しらべると京都ラーメンの老舗だというし、京都ではおなじみの場所なのかもしれない。


脱力のさまに流れて山ひとつ道をふさぎぬ旧街道を/なみの亜子
なみのさんの歌をえらく久しぶりに見る思いがした。毎月総合誌で顔写真を見かけるからすごく馴染み深いような気がするが、塔以外の場所ではめったに歌を目にできない。ツイッターで流れてるのもネットで何か言われてるのも見たことない。
大阪弁のメールで短歌のアドバイスをしてるイメージの強い、不思議なポジションのかただ。


見せてやると言つてゐるのにイヤアーとか言ひてこの頃の女学生つたら/永田和宏「手術ふたつ」
→血管を取り出すというような手術だったらしい。ビジュアルが思い描けないなあ。でも、見せてやると言われたらイヤアーってなる。


ほつそりとボールをつく子夕がたのチヤイムが鳴りて少し怯える/花山多佳子
→「ほつそり」がいい。まさかボールをついている様子とは。夕方の心細さがつたわる。



8月号おわり。


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2016年11月22日

「短歌研究」2017短歌年鑑  ~アンケートハガキとともに

「短歌研究」2016年12月号は2017短歌年鑑ということで分厚くなっている。
2016年を振り返るのが2017短歌年鑑なので少々ややこしいが、毎度のことだ。

昨日はその短歌研究年鑑の発売日だった。いつも置いてる本屋になくて四件もまわってしまった。
「こういう面倒を避けるためにこのあいだまでは定期購読してたんだよな」と思い出した。


2012年の暮れに短歌研究詠草で準特選になった。それからしばらくした2013年に短歌研究年鑑の名簿に載せてもいいかという郵便がきて、それから載せてもらっている。



▼年刊綜合歌集

年鑑のなかの「年刊綜合歌集」というのに毎年三首載っている。毎回「短歌研究」に載ったものから選ばれている。
今回は、新人賞予選通過の二首に、短歌研究詠草の準特選(四年ぶり)のときの一首がくっついて三首掲載となっている。こんな混ぜかたがあるかい、と思った。
何人がこのギッチギチに詰め込まれた一万首のなかのオレの短歌を読むのか。以前企画ですべて読んだことはあるけど、今はちょっと……。


▽2013年は短歌研究詠草の準特選の五首から抜粋された三首が載った。
▽2014年は短歌研究新人賞の候補作「仙台に雪が降る」からの三首。
▽2015年は特集「新進気鋭の歌人たち」の時の連作「魂の転落」十首からの三首。
▽そして2016年は短歌研究新人賞予選通過の二首と短歌研究詠草の準特選の五首からの一首の合わせて三首。

だからおそらくここに載る歌の優先順位は、
依頼作品・新人賞作品→
短歌研究詠草、
ということになっていると推測できる。他の本でしか作品を発表してなかったりすれば違ってくるんだろう。



▼短歌研究詠草

今年の短歌研究詠草は合計27点で、自己ベストを記録した。結果発表に小さく載った。総目次にも一ヶ所オレの名前があった。
さっき言ったように年刊綜合歌集と名簿にも載った。
合わせると、オレの名前はこの本に四回出ている。目立たない場所ばかりに。



▼歌人アンケート「今年度の短歌活動」

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事前に来ていた歌壇名簿のためのアンケートの「今年度の短歌活動」の項目の「賞を受賞」に丸をつけた。
この一年で受けた賞を書くところに「NHK短歌年間大賞」と書いたら、それが「NHK年間賞」と略されて載っていた。

以前、「うたう★クラブ賞」と半分冗談で書いた時には載らなかった。これだって賞だろうよ、と半分真面目に思っていた。



▼アンケート「愛誦される歌」

ところで、今回の年鑑のアンケートは「愛誦される歌」だった。
アンケートには毎回答えているんだが、回答が誌面に反映されたことが一度もない。今回も反映されなかった。少数意見だからだ。他の人が書きそうなことを書かないとこういうことになる。

愛誦される歌としてオレがアンケートに書いたのは

さようなら さよなら さらば そうならば そうしなければならないならば/枡野浩一『歌 ロングロングショートソングロング』

という歌。口をついて出る歌、ということでこれにした。三票以上にならなかったので誌面には載らなかった。もしこれが載ったら、より良い年鑑になったのに。



▼変更事項

ハガキの変更事項に「変更なし」と書いてから、変更したことがあるのを思い出して修正した。
塔から未来に移ったのだ。
オレにとって2016年は「未来」の歌人として過ごした最初の年でもあった。


https://t.co/iaytpeDy3I
郵便物は送る前に撮影することがある。何を書いたか忘れると不安になるから。


来年も何か賞がもらえる、そしておもしろい年だといいなあ。まだ今年も一ヶ月以上あるけどさ。


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