2019年04月26日
{短歌の本読む 128} 『つばさ』第16号 ~神様のいいなりになつたか、ほか

短歌の本読む 128
『つばさ』第16号。2019.2
この本をとりあげるのは二回目。
短歌雑誌『つばさ』は年刊で、編集発行人は喜多昭夫さん。64ページ。
短歌雑誌だけど詩や俳句もある。喜多さんはそのいずれでも作品を発表していて詩歌トライアスロン的になっている。
古書なべて売り払ひたる夕べよりダリの時計が回りはじめる
/佐野善雄
→「佐野善雄の世界」という特集が組まれている。はて知らない人だなと思っていたら、「つばさ」の会員のひとりだそうだ。三十首選や一首鑑賞がある。
はかなごと書きつらねたる日記帳机の奥の闇よりいでぬ
/国見朝子「またの日に」
大吉の占ひはづれ採血のへたな看護師が病室に来る
/竹中玲子「病室」
→看護師の腕前が運勢をきめる。病室という空間で起こることの少なさがあらわれている、と読んだ。
病窓ゆ折紙ほどの海が見ゆ幽かに冬の水色湛ふ
/浜本すみれ「栗の毬揚げ」
→これも病室の歌だ。「折紙ほど」は大きさだが、結句で色がつく。「冬の水色」いいなあ。
混迷の時代を感じる私ゆえ『混迷の時代を生きる君へ』を借りる
/𠮷川明彦「図書館」
ルービックキューブ6面みな真白 神様のいいなりになつたか
/喜多昭夫「ささめゆき」
→みんな真っ白になったら、動かしてもしょうがない。おしまいだ。謎はなくなった。「神様のいいなり」ってなんだろう。神様に背く道もあったのか。神がすべてを白く浄化したというのか。
あの世のものを見ている気分になった。
納豆のパック開ければいつもそこにある安心は黄(きい)の小袋
/喜多昭夫「ささめゆき」
頑張ればきっと輝く明日がある 明るいナショナル光る東芝
/宮城由利
水を吐き火を噴き電化製品がいつせいに狂ふ刻に立ち会ふ
/山下好美
→題詠〈電化製品〉の、隣り合う2首を引いた。
一首目はえらく古臭いが、一貫している。右肩上がりの時代とそれを支えた家電だ。
二首目はもっと後のことで、「火を噴き」までいくと現実離れした怖さがある。
家電はいいものだという歌と、家電はこわいものだという歌とが、偶然だろうけど隣り合っているのが印象的だった。
そんな感じです。この本おわり。
▼▼▼
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2019年04月24日
〈結社誌読む 146〉『合歓』83号 ~大木にすがって泣きたい、ほか

結社誌読む 146
『合歓』第83号。2019.1
『合歓』を取り上げるのは8回目。季刊で、発行人が久々湊盈子さんで、90ページ。
特徴は、久々湊さんによるインタビューが毎号あることでしょうか。今回は内野光子さんへのインタビュー。
古代人の棲みゐし洞と思ひきやわれら世代の防空壕(がう)の跡なり
/志垣澄幸「友」
朝(あした)より曇天のまま昏れそめぬ歯医者に行きしのみの一日
/志垣澄幸「友」
眼鏡はづせば見知らぬ目見(まみ)となりし友入院のいきさつ語りはじめつ
/志垣澄幸「友」
招待作品から三首引いた。志垣さんが合歓の会員というわけではない。
二首目は曇天から歯医者の白へと色彩のイメージがわずかにうつる。憂鬱な感じがよくでている。
三首目は見知らぬ顔の人が見知らぬ出来事を語っている。
扇風機のON・OFFは足の拇指に頼みてわれの夏ふかみゆく
/八城水明「夏から秋へ」
→うだうだと過ごしているのだろうか。それなのに「われの夏ふかみゆく」と、もっともらしく詠んでいるところがよかった。
胸板を冷気に打たせ目をつむる冷蔵庫のドア大きく開き
/八城水明「夏から秋へ」
→家族のいるところでこういうことをすると、閉めといてと注意されたりする。こちらもちょっとだけだらしないのがよかった。目をつむって涼しさを感じているのだろう。
わが顔を客観的に見てみればひと昔前の服に似合える
/池知さつき「朱の実」
ぽろぽろと涙をうまく流す女優わたしの涙はジトジト流れる
/池知さつき「朱の実」
→たしかにドラマ見てると、涙のこぼれかたが見事だと感じることがある。「ぽろぽろ」や「ジトジト」は涙の流れるさまであるとともに、悲しみや苦しみの有り様をあらわしているようだ。
マッサージ師つねより肩に力入れ10パーセントの消費税嘆く
/小田亜起子「落日早し」
→マッサージしながら・されながら世間話をしている。消費税を嘆く気持ちがマッサージ師の力を強くしている。
あるいは、増税ぶんの力が増しているとか。
息子の家族と同居の友は思い切り大木にすがって泣きたいと言う
/矢部慶子
→前号評から。友は、家族関係でうまくいかないらしい。「大木にすがって」がいい。
杖の名はロフストランドクラッチという「ロフ」と言うとき息多く出る
/なみの亜子
歌集評から。『合歓』は歌集評に多くのページを割いている。『「ロフ」と言うとき』という歌集から。
「ロフストランドクラッチ」はスマホの予測入力の候補にあった。
「愛読した漫画」という題詠がある。
26人のうち8人が「サザエさん」、5人が「のらくろ」を挙げている。また、手塚治虫作品を5人が挙げている。
オレの親かそれ以上の年齢の方が多いような気がしていたが、こういうときにそれがはっきり出てくる。
「サザエさん」を愛読した人がたくさんいるということを、想像したこともなかった。ちゃんと多くの読者がいるんだね。
これだけ偏るってことは、要するに昔はあんまり漫画の種類がなかったってことだし、昔の人はいまの漫画を読まないってことだ。
漫画はそもそも読まないという人もいた。
1人くらいは最近の漫画を挙げる人がいてほしかったなあ。
職退きてひねもす自由なその朝を背中まるめて足の爪切る
/長沼紀子
→歌会の高得点歌ということで載っていた歌。「背中まるめて」がいい。「自由」と両立しているのがうまい。忙しくて足の爪を切る暇もなかったのだろう。自由をもて余しているのか。
そんな感じです。この本おわり。
2019年04月22日
『短歌研究』2019年5月号に書評を書きました!

「短歌研究」5月号の「最近刊歌集歌書評共選」を3ページ書いています。3月号4月号にも書いていまして、今回までの担当です。
このブログでやってるみたいなことを短歌研究さんの誌面でやらせていただいてます。
「かりん」の山口惠子さんと二人です。
今回オレがとりあげた本は
永田愛『アイのオト』青磁社
近内静子『山鳩』九曜書林
松井純代『明日香のそよ風』いりの舎
小木曽友『神の味噌汁』ブイツーソリューション
松澤俊二『プロレタリア短歌』笠間書院
であります。
これらの本に興味をもってくださる方が増えれば、筆者のオレとしてはうれしいわけです。
紹介する本は3ページで5-6冊ということになっていて、5冊の歌集歌書をとりあげました。
前回までのようには自分の文章が恥ずかしくはなかったです。すこしはこれまでの反省が踏まえられているのか、それほどまずい箇所はないように思います。
とりあえず短歌研究の書評はこれでおわりました。無事おわった、といっていいでしょう。自分に花まるをあげたい気分です。小学生のころはよく答案に花まるをもらったものです。
告知でした。
んじゃまた。
▼▼▼
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2019年04月19日
格付けチェック ~『未来』2019年4月号掲載

「格付けチェック」
元日になると思うが人間はこんなんじゃあたらしくならない
ついたちの朝見た夢を弟は初夢と言いオレも出たとか
クイズ王が司会のオレを待っている夢の中へともう戻れない
お雑煮のなかにおもちが眠ってるオレの苦手なおもちがひとつ
鼻くその味をかすかに覚えてるもう何年も食ってないねえ
眼が描いてある目隠しの下にあるGACKTの瞳が肉を見分ける
赤いドア開けるふりして青いドア浜田雅功たらこくちびる
映す価値なくなり消えた正月のタレントたのしそうに声だす
一流歌人、二流、三流、そっくりさん歌人、載せる価値なし歌人
一流の俳句を選びそこなっておとなしく読む『第二芸術』
2019年04月16日
{短歌の本読む 127} 『稀風社の経験』 ⚫️第二回石井僚一短歌賞

短歌の本読む127
『稀風社の経験』。第二回石井僚一短歌賞の特集です。
表紙に漫画があるんだけど、中身は短歌の本。
道、壁、「ママ」の服が同じような色をしていることにより、妙に赤っぽい漫画。ゲームをやっているときって、暇だろうか。オレが子供のころはゲームこそ生きることの中心だったけどな。
子供のゲームを持っている手の動きが丁寧だ。最後のコマでポケットに入れるところ。
「なんもないがある」がわかることに年月がかかるということだが、それは「ママ」のふくらんだお腹にも遠く響いているのだと思った。年月ということで。
第二回石井賞の概要を見ると、応募者の生年は1990年代生まれが半分以上を占める。応募作品総数184のうち、39名が性別を空欄にしている。
▼
能あるきりんは首を隠す んなわけねーだろ剥きだして生きていくんだ光の荒野
/上篠かける「エモーショナルきりん大全」
→一度ことわざっぽいことを言ってからひっくり返す。出来合いのものにはおさまらないエネルギーだ。
「光の荒野」は希望か絶望か何が待っているのかわからない。「光の」は良さそうで「荒野」はつらそう。未知のものが広がっている。
たくさん生きて一回死ぬのだ僕たちも 夏この成層圏の明るさ
/堀静香「やわらかい月」
→「この」が良いんじゃないでしょうか。「この成層圏」って、すごい高いところ、宇宙空間にいるみたいだ。そこからみた生や死だ。「夏」「明るさ」から前向きなものを受けとった。前の歌に出てくるのは、しがみついてくる蝉だ。
ほかの歌はコアラのマーチとかコメダとか地下鉄とかえのきとかが出てくるから、成層圏のは他の歌とはちょっと違いますかね。
でもそのー、身近なものと遠くてキラキラしたもののバランスが、ちょうどいい一連かなって思いました。
はいとしか答えてほしくない問いをあつめてあかいぬるい夕立
/二三川練「祝祭」
→「はいとしか答えてほしくない問い」とは、問う側に余裕がなくてつらいなあ。「あつめてあかいぬるい」ってリズム良くいっちゃうんだけど、「あかい」って。血でも降っているみたいだ。
水色の付箋を剥がす 生前にした約束を忘れるように
/能川遥「さびしい王国」
珈琲に死ぬ角砂糖 ねえ、ぐーぐる。プラネタリウムの廃墟ってある?
/能川遥「さびしい王国」
→溶けることがすなわち「死ぬ」と表現されている。
「ねえ、ぐーぐる」とひらがなにされることで、友達や親しい人に話しかけてるみたいで、そこから浮き上がる寂しさがある。
友達の指が光った中庭に下りる音楽ではないけれど
/能川遥「さびしい王国」
→はっきりとは読めないけど、夢とか、死後の感じかな。自分が音楽であるようでないみたいな曖昧な存在で、中庭に向かって動いていて、友達の指は自分とは直接関わりがなくてただの光なの。
全体的にきれいで、生きてる感じがしない連作で、その雰囲気をこの歌にもあてはめて読んでみたわけですね。
三首引いたけど、かなり好きな作品でした。
中学で人を刺したのいい経験 音楽とかあんま聴かなかったけど
/山田さとみ「家族」
→音楽の話に転じるけど、中学生にとっての音楽って、経験なんですね。
オレはいまだに人を刺したことないので、負けた気になる。こういう人が「いい経験」とか言いながら出てくると、やべえしこええな。
若者を馬鹿にするのが悪いなら俺はなんのために老いたんだ
/サラダビートル「俺おれ言ってて恥ずかしくないのか」
怒られたあとで詩を読むとき俺が中心みたい 情けなくなる
/サラダビートル「俺おれ言ってて恥ずかしくないのか」
→大人だなあ、恥じらいがあってちゃんとしてるなあと思ったね。
オレはあんまり「情けなく」ならないもん。「俺が中心みたい」な感覚が好きで恋しくてやってるから。
タイトルに「恥ずかしくないのか」があるし5首あとでも「情けない」って言ってる。
んだからどっちかっていうと「恥ずかしくないのか」と言われてる側なんだね、オレみたいなのは。
ごみ箱の溢れたごみをごみで押す潰れる音とはねかえる音
/椛沢知世「真水を流す」
→「溢」の字が違うんだけど出せなかったです。
「ごみで押す」の、直接触りたくなさ、強引さ。ごみ箱に入れられてしまえばみんな同じく「ごみ」なんだけども、音で違いが出てくる。
指先で触れた網戸はひっそりとたわむ景色を変えることなく
/椛沢知世「真水を流す」
みずみずしいだけではないなこの川は 若いボクサーの努力って感じ
/青松輝「七月の、希望的観測の」
→下の句の、下手なのか上手いのかわかんない変な比喩がたのしい。そもそも、川を「みずみずしい」って言ってるのからすでにちょっと面白いし「だけではないな」の考えこんでる風なのもいい。
きっといつか会えなくなるから渡されたCDの音量また上げる
/青松輝「七月の、希望的観測の」
→それって会えなくなることの埋め合わせになるのかっていうと厳しい。できることがそれくらいだとなると悲しいなあ。
よく考えたら「きっといつか会えなくなる」って、まだ会えるのか。
石井さんの選後評に「すごい速さで書いている」ってある。そうか。書く速さと文章ってのは関係あるのかも。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」とかいっぱい書いてある。
そんな感じです。この本おわり。
2019年04月12日
工藤吉生の短歌まとめ・第三十一期【2019年1-3月】15首
▼この時期の主な出来事
朝日新聞「あるきだす言葉たち」7首掲載
「現代短歌」2月号に作品13首掲載
ツイッターで「あたらしい短歌bot」@tankabot_1980 作成
〈1〉
オレの行くときだけ雨がやんでいる予報だったがもう過去のこと
〈2〉
TOKYOは外国人の多い街いずれにしてもみな他人だが
〈3〉
早過ぎと思っていたが遅刻する危機に気がつき心いれかわる
〈4〉
金屏風背負ってしゃべるオレが見る壁は遠くでぼやけるばかり
〈5〉
父ヒロシその生きざまのへらへらをオレの理想にかかげる高く
〈6〉
いま思うキートン山田のひとことは大人になったまる子の声と
〈7〉
目の前を歩く小さなおじさんの口笛のせいでむなしいと知る
〈8〉
投げやりな気分だったがパトカーとすれ違うときややふくらんだ
〈9〉
早く早くとドアを叩いてそののちに漏らして泣いた夜を忘れず
〈10〉
11の「いいね」集まる悪態にオレの短歌はほぼ当てはまる
〈11〉
「エモい」無理「つらみ」も苦手「萌え」をいま六割くらい受け入れたとこ
〈12〉
守りたい自分が別にいないので歌壇名簿に情報おくる
〈13〉
政権とハラスメントの絶望をフォローしすぎた切り捨ててゆく
〈14〉
年号が移るくらいじゃ変わらんよ、人は 奥から牛乳えらぶ
〈15〉
「か」と「め」と「は」と「め」と「は」に分けていたはずが無言で出すし指先で出す
〈1-6〉『未来』
〈7-9〉朝日新聞「あるきだす言葉たち」
〈10-13〉『現代短歌』二月号
〈14〉NHKラジオ第1「NHKジャーナル」ニュースで短歌
〈15〉短詩の風(ツイッター)
朝日新聞「あるきだす言葉たち」7首掲載
「現代短歌」2月号に作品13首掲載
ツイッターで「あたらしい短歌bot」@tankabot_1980 作成
〈1〉
オレの行くときだけ雨がやんでいる予報だったがもう過去のこと
〈2〉
TOKYOは外国人の多い街いずれにしてもみな他人だが
〈3〉
早過ぎと思っていたが遅刻する危機に気がつき心いれかわる
〈4〉
金屏風背負ってしゃべるオレが見る壁は遠くでぼやけるばかり
〈5〉
父ヒロシその生きざまのへらへらをオレの理想にかかげる高く
〈6〉
いま思うキートン山田のひとことは大人になったまる子の声と
〈7〉
目の前を歩く小さなおじさんの口笛のせいでむなしいと知る
〈8〉
投げやりな気分だったがパトカーとすれ違うときややふくらんだ
〈9〉
早く早くとドアを叩いてそののちに漏らして泣いた夜を忘れず
〈10〉
11の「いいね」集まる悪態にオレの短歌はほぼ当てはまる
〈11〉
「エモい」無理「つらみ」も苦手「萌え」をいま六割くらい受け入れたとこ
〈12〉
守りたい自分が別にいないので歌壇名簿に情報おくる
〈13〉
政権とハラスメントの絶望をフォローしすぎた切り捨ててゆく
〈14〉
年号が移るくらいじゃ変わらんよ、人は 奥から牛乳えらぶ
〈15〉
「か」と「め」と「は」と「め」と「は」に分けていたはずが無言で出すし指先で出す
〈1-6〉『未来』
〈7-9〉朝日新聞「あるきだす言葉たち」
〈10-13〉『現代短歌』二月号
〈14〉NHKラジオ第1「NHKジャーナル」ニュースで短歌
〈15〉短詩の風(ツイッター)
{短歌の本読む 126} 『羽根と根』8号 ~ないものを求めて、ほか

短歌の本読む126
『羽根と根』8号
2018年11月。
【『羽根と根』は、学生短歌会の会員を中心に結成された短歌同人誌です】
ということであります。
8号は32ページで、休載の人が多くて、最初に牛尾今日子さんの『演出家の顔』という評論があって、それが半分以上を占めています。
評論については、読みました、としかオレには言えません。〈私〉ということについてのものでした。
作品を少し引きます。
さよならの避けられなさはまたたいてへんな踊りを思いつかせる
/橋爪志保「サイダーの匂い」
→「またたいて」が星とか街の灯りみたい。どういう距離感だろう。避けられないからといってぶつかるっていうことでもないでしょう。またたいているのは別れそのものではなく、その「避けられなさ」なのだから。下の句も、思いつくことであって、踊ることとは距離がある。
さよならとまたたきと踊りが、それぞれちょっと離して置かれているんですね。
へんな踊りっていうのは、気持ちを維持しようとしてなされる、普段とちがう行いのもろもろ、なのかなあ。
真夜中のテレビしずかに煌々とモップをほめる 元気をもらう
/橋爪志保「サイダーの匂い」
→すぐ「あれだな」ってなりますね。テレビショッピングだなって。
真っ赤なケチャップかなんかをこぼして、マイケルが従来のもので床を拭いてもきれいにならずに困っているが、ルーシーが持ってきた新しいモップは、軽くなでるようにするだけでほらこの通り。なんてすごいんだワンダフル。これでパーティーをエンジョイできるわ。みたいなことだ。
そうやってモップがほめられているさまが、真夜中の心に響いてきたのだろう。心のなかの、商品の購買意欲ではないところに働きかけている。「元気をもらう」は、テレビのなかで感動した人が言いがちなコメントだ。
ないものを求めてやってきた人の肩のあたりにまごころ贈る
/中村美智「スフィンクスのポーズで夢の続きが見れる」
→店員をやっているとこういうことがある。肩といえば、がっかりするさまを「肩を落とす」って表現するけど、がっかりに対してのまごころなのだろう。「まごころ」って面白い言葉だ。優しいけど、ものを売ってる人以外はあまり言わない言葉。
でも歌のなかではべつに客とも店員とも言わないので、もっと枠は広くなる。「ないもの」だけではまったくわからない。哲学的なことにも見える。
ゆっくりと漁港をめぐる海光がからだに馴染むまでの時間を
/佐々木朔「まちあるき(全国版)」
→「安乗」と詞書がある。二句で切れてるんですね。「海光がからだに馴染むまでの時間」という、どれくらいだか数字にできないような時間のありかたが、旅らしくていいなあと思いました。
そんな感じで。この本おわり。
んじゃまた。
2019年04月10日
{短歌の本読む 125-2} 『短歌タイムカプセル』後編 ~もみじもみじ、ほか

『短歌タイムカプセル』後半。
かなしみにおぼれるやうにたしかめるやうにあなたの掌(て)に触れてゐる
/中山明
こののちの数億年を思ふときいちごの味の唾液湧き来る
/西田政史
→なんで? ってなるけどね。ピンとはこないけど、それはオレが数億年を思ってこなかったからかもしれないし。
いずれにしてもこの下の句は自分には出せないなと思った。味覚と大きな時の流れを繋げるなんて。
いまきみを濡らすひかりは二億年はしやいだことがない秋の月
/西田政史
→これも「億年」の歌。「二億年はしやいだことがない」におどろく。
中山さんとか西田さんっていうのは、短歌史のライトヴァースとかニューウェーブのところでよく名前が出てくるんだけど、そのわりには歌をあんまり読んだことがなかった。
キリンの絵さして「キリン」と教えれば「キイン」と応え素晴らしく笑む
/早川志織
聴きゐるは雨にうたれる物のおとあめは己れの音とふをもたず
/平井弘
犬はさきに死ぬ みじかい命のかわいい生き物 自分はいつか死ぬ みじかい命のかわいい生き物
/フラワーしげる
→犬が「みじかい命のかわいい生き物」っていうのは分かるかなって思っていると、自分も全く同じ扱いになる。自分のことを「みじかい命のかわいい生き物」ととらえる神みたいな存在が背後に感じられる。
そしてそれに言わせれば「犬」も「自分」も全く同じなんだね。一字も変わらない。何にとっての、何を基準にした「み
じかい」で「かわいい」なのかっていうところ。
この孤独隠さんとしてひたすらにもみじもみじと書き連ねたり
/干場しおり
→これって絵ではなくて、文字を書いているのか。それで孤独が隠れるのか。奇妙だ。葉っぱがたくさんでてきてそれによって隠れていくようなイメージはある。
冷たさがまくった腕に触れし時ふっきれたはずの想い動けり
/干場しおり
その窓は開かないのだと知らされて伸ばした指を小さく握る
/干場しおり
→開けようとしていた指、それを握る力。指の動きのことなのに、もっと大きなものに届いているようだ。開かない窓が暗示的。
盲目の犬はフェンスにつき当りしばし虚空を見据えていたり
/前田透
→開かない窓の歌にちょっと近いかな。こちらはフェンスを知らされてないからつき当たっている。
押しひらくちから蕾に秘められて万の桜はふるえつつ咲く
/松平盟子
読みかたのわからぬ町を書きうつす封のうらより封のおもてに
/光森裕樹
巨石(いわ)と雲 動かざるもの動くものふたつながらに輝きて在り
/村木道彦
→「在り」っていいな。まざまざと感じられる。ふたつしかなくて、どっちも輝いてるんで、すごく輝いている。
夜の向かうの海の濃くなりゆくにつれ透きとほりゆくわたしの右腕
/山崎郁子
満ちてゆく月をこはがるおとうとはあしたちひさなガラス玉になる
/山崎郁子
→おもしろいと思った2首を引いたら近い歌になった。濃くなってゆく海、満ちてゆく月。それがわたしだったりおとうとだったりに影響する。この世のものでないみたいでちょっとこわいな。
遮断機の向こうに立って生きてない人の顔して笑ってみせて
/山崎聡子
彫像の背を撫づるごとかなしみの輪郭のみをわれは知りしか
/横山未来子
ローソンの観察日記の牛乳のかたちがだんだんうまくなる君
/吉岡太朗
→観察日記って、日に日に成長し変化する動植物について書くものだが、ここではローソンの日記をつけている。ローソンのマークは牛乳の入れ物だけど、それがうまくなっていくという。ローソンのマークは変わってないのに、観察日記の絵はうまくなって変わっていく。
だから、観察日記をつけている「君」を、いわゆる主体が観察していると。
ローソンの観察日記、ってだけでインパクトがある。ページをめくってもめくってもあのマークが並んでいる日記帳を想像してみる。
とほりあめとほりすぎたり永遠にエチュードのまま過ぐる革命
/吉田隼人
しめりたる土にぷつぷつ刺す傘のなにひとつ大事なことはわからぬ
/渡辺松男
雨ふれど雨には濡れぬ白鳥の わかるだろ 俺たちはまぼろし
/渡辺松男
→おもしろいと思った2首を引いたら、どっちも三句に「の」が出てくる。片方は「わからぬ」片方は「わかるだろ」と言っている。
白鳥が雨に濡れないことからこれは幻だとわかる、かと思ったら幻は自分たちのほうだったと。
ってところで『短歌タイムカプセル』でした。
この本おわり。
2019年04月07日
{短歌の本読む 125-1} 『短歌タイムカプセル』前編 ~ずいずいと悲しみ来れば、ほか

歌書125-1
東直子・佐藤弓生・千葉聡編著『短歌タイムカプセル』書肆侃侃房。2018年1月。
もう一年経ったんですね。
どんな本なのかっていうのは画像の表紙でだいたいわかりますね。115人の歌人の作品がそれぞれ20首選ばれていて、一首鑑賞がついています。あいうえお順。
いつものように、おもしろかった歌を引いていきます。
ずいずいと悲しみ来れば一匹のとんぼのように本屋に入る
/安藤美保
→「ずいずい」ってどんなふうだろう。ほかの感情のあいだにわりこんできて無理やり場所をとってくる感じかな。「とんぼのように」ってどんなふうだろう。ふと突然に音もなく来るのかな。
この「ずいずい」と「とんぼのように」がかなり違う様子です。とんぼの飛び方って悲しいのかも、とか考えます。
あかね二歳いだけばわれの耳元につぼみのやうなかなしみをいふ
/池田はるみ
→似たところのある歌です。似てるからではなくて、次に丸をつけた歌を普通に順番に引いたらこうなりました。好みとか、読んでるときの調子とかが反映されているのでしょうが、こういうことはけっこうあるんです。
「あかね」に「つぼみ」のイメージ。
二歳のつかえる言葉って限られているわけですが、どんな言葉で言われたのだろう、どんな悲しみだったのだろう、と思うわけです。
釣り針といふものかこれが 飲み込めば身体から海、海の剝がるる
/石川美南
→人であるかぎり、海の中で釣り針を飲み込んでつり上げられることはないんです。ところがどうでしょう。「身体から海、海の剝がるる」って読んでると、釣られて海からザバッと空中へ躍り出たような感触があります。
「釣り針といふものかこれが」って、知ってたのに飲み込んでしまったんでしょうか、一字空けのあいだにパクッていってますねこれは。知っていることと避けることは違うわけです。魚の本能がエサをくわえさせてしまうのでしょうか。
通過電車の窓のはやさに人格のながれ溶けあうながき窓みゆ
/内山晶太
馬と屋根ひとつながらに回りゆくそのからくりは胸に満ちたり
/内山晶太
つんつくつんつんつくつんと揺れながら下駄の少女が橋渡りくる
/梅内美華子
→変わってるなと思って読みはじめて、でもなんだかしっくりくる。下駄の少女って普通にいるような気がして読んだけど、今いるのかなあ。普通にいないし、なんならほんとは見たことないかもしれないのに、それでも、よく知ってるみたいにしっくりくる。
きりわけしマンゴー皿にひしめきてわが体内に現れし手よ
/江戸雪
セロファンにつつまれていし一房を水にひたせば一粒うかぶ
/江戸雪
→くだものの歌2首。どちらも、ほんの少し不安になる。くだものって生きていて、その生きている=つまり死ぬ部分が歌われているんじゃないかな。あーっうまく言えない。
取材先で覚えたる合気道の技を試せどわれに勝てぬ夫よ
/大口玲子
帰れざりし三塁走者さまよえる砂漠あらむよこの春嵐
/大滝和子
石臼のずれてかさなりゐし不安よみがへりつつ遠きふるさと
/大西民子
オレの昔住んでたところかその近くに使われてない井戸があったような曖昧な記憶がよみがえってきた。
こういうのは歌の評ってわけじゃないんだろうけど、記憶の奥のほうに触れてくる歌だった。
しばしばを背比べしに来しひとりもう来ずわれを抜きさりてのち
/大松達知
てんてんとてんてんてんと川岸をころがりてゆく思考の兎
/岡井隆
→さっきは「つんつくつん」だった。こういうの好きなのかねえ。
思考は一ヶ所にとどまらない。そばを流れる川とはなんだろう。ころがるのが思考だとすれば、川はそれを止めるものかな。
洪水のはじまりとして一粒の雨が誰かをすでに打つたか
/香川ヒサ
→川の次は洪水の歌だ。せまっている危機を予感させる。さっきの兎のそばの川とつなげてみたくなる。
洗ふ手はしばしばもそこにあらはれたり眩しき冬の蛇口のもと
/葛原妙子
小さき指さまよひて小さき口腔にまだ着かぬなんと小さき旅だ
/黒瀬珂瀾
みづうみのみづをみにゆく空いろをそのままうつすみづをみにゆく
/小池純代
→こういうのはいいなあ。すっきりと透明で。それでいて反復が呪文のようで。一つだけ漢字になってるのが「空」だ。そら、であるとともに、くう、でもある文字だ。
なにゆゑに自販機となり夜の街に立つてゐるのか使徒十二人
/小島ゆかり
曇りよりまれに陽は差し白鳥とわたしとどちらかが夢の側
/小島ゆかり
黒い豆をあなたは立って食べているすさまじい眼で夢を見ながら
/小林久美子
→夢の歌が2首つづいた。どちらも、夢か現実かわかんないような歌だ。白鳥と黒い豆と、白黒はっきり分かれたのがおもしろい。
立ってすさまじい眼ってどういう状態なんだろう。普通の豆じゃないのかも。
こうやってさっきから、連続して短歌を挙げていくと、関係ないはずの歌が共通点でつながることがある。これがおもしろいんです。
そういえば、一度だけ「短歌DJ」と言われたことがある。
貴方がぼくを生まなかつたこの町でうすきみどりの沓にはきかへ
/笹原玉子
飛ぶ紙のように鳥たちわたしたちわすれつづけることが復讐
/佐藤弓生
→紙は軽くて風で飛ぶ。鳥は羽ばたいて飛ぶから紙とはちがうが、同じように見えたのか。わたしたちもそんなふうに飛ばされるように飛んでゆくというのか。記憶や思いもそのように軽くて飛ばされるように飛んでゆくと。
……っていうような意味よりは、「と」「たち」「わ」の音の連なりで丸をつけた、と思う。軽く転がっていって最後に「復讐」と強いのがくる。
人はすぐいなくなるから 話してよ 見たことのない海のはなしを
/佐藤弓生
スニーカーの親指のとこやぶれてて親指さわればおもしろい夏
/陣崎草子
→しょうもないことで笑い合っていたころは楽しかったねーっていう歌かな。
「親指さわればおもしろい」がいいな。普通に親指さわってもおもしろくないわけです。それをおもしろくした、やぶれたスニーカーと、夏。
ここまでを前半とします。後半に続く。
2019年04月05日
「世にも奇妙な物語」全部見て順位をつけるぞ【13】2004-2005年

「世にも奇妙な物語」全部見て順位をつけるぞ
【1】1990年4-9月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52214819.html
【2】1990年10月-1991年3月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52217094.html
【3】1991年4-9月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52219169.html
【4】1991年10-12月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52220996.html
【5】1992年4-12月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52222482.html
【6】1993-95年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52224548.html
【7】1996-98年4月、ほか
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52225576.html
【8】1990-96年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52226691.html
【9】1990-2000年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52228148.html
【10】1992-2001年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52229619.html
【11】~2003年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52231187.html
【12】1990-98年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archi
のつづき。
https://t.co/3g8FzoZGX6
このデータベースを参考にして、古いのから順番にYouTubeなどで見ていく。
(動画のリンクを貼っておくけど、消えている場合があります)
120字くらいで自分なりにあらすじを書いて、感想を書く。
記事の最後に、今回のベストを決めるから、最後まで見ていってくださいね。
▼▼▼
"殺し屋ですのよ 世にも奇妙な物語"
https://t.co/azHABnpaSm
「殺し屋ですのよ」見た。
──主人公(大倉孝二)は仕事で同期の男に差をつけられ、会社では格下げされる。愚痴りながらバーで飲んでいると美しい女(観月ありさ)があらわれる。女は殺し屋を名乗る。主人公は同期の男の殺害を依頼する。──
観月ありさの存在感が見どころ。すごい綺麗だけど、女言葉にちょっと無理がある。「ですのよ」って。
オチはまあまあ。
ここから2004年。進めていこう。
▼
"自分カウンセラー 世にも奇妙な物語"
https://t.co/ckDbvgcjfu
「自分カウンセラー」見た。
──主人公(井ノ原快彦)は役者になる夢をもっている。しかし周囲には理解されない。自分は役者になれるのか。主人公はシミュレータを使い、未来の自分を覗きこんだ。五年後の自分は月九のエキストラをやっていた。十年後の自分は……。──
井ノ原さんってすごくいいね。演技がうまい。老けた役も自然にできる。50代前半であんなに老けるかは謎だけども。
役者になりたいんだ・自分を信じるんだという気持ちの強さが伝わってきたし、逆に、夢を果たせなかった悔しさの表現もぐっとくるものがあった。
どうやって99%から残り1%を引き当てたんだろうな。自分を信じたから、かなあ。そこがもう少し欲しかったけど、いやいや、充分いい話だよ。
井ノ原さん、かっこいいなと思った。ほとんど惚れたといっていいくらい。
短歌研究新人賞は545通の応募で2人が受賞した。倍率272倍。0.36%。オレはそれを引き当てた。そういうことはある。1%って小さいけど、絶望的な数字ではないよ。
受賞しても本は出そうにないわけだし、生活もべつに豊かになるわけでもないんだけども(まあそれなりに楽しくやってるけども)。
▼
"世にも奇妙な物語 Be Silent" https://t.co/27d12AAIQm
「Be Silent」見た。
──作曲家の主人公(渡部篤郎)は、周りの音が気になり、なかなか集中して曲を書き進めることができない。防音設備をほどこした部屋も、録音のためのスタジオも、彼にはうるさすぎる。静かな場所を求め、ついに無音の部屋に入る。──
「聞こえる」っていう話がこういう内容だったと記憶している。むかし一度見ただけなので記憶に自信がないけども。
こちらは、挿入曲がうつくしいし、物音が鋭敏にとらえられていて、ひとつの雰囲気をもった作品だ。
あまり意識していないだけで、あらゆる場所に音があふれているんだなあ。
コメントでオチの意味が書かれていて、納得した。そうでなければ、気が狂ってああなったのかと思うところだった。
全体的に控えめなんだが、最後もかなり控えめに表現されている。
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"誘い水 世にも奇妙な物語"
https://t.co/IKOCZ1WSq0
「誘い水」見た。
──主人公(原田泰造)は水にこだわっていて「誘い水」という水だけを飲んでいる。ある時、水を注文しても届かなくなり、主人公は誘い水を求めるようになる。採水地まで出かけるが、そこには先客がいる。騙したり棒で殴ったりしてなんとか水のありかにたどりつく。──
とても美味しそうに水を飲んでいる。こっちも飲みたくなる。
水のためにここまでするようになると危ない。たしかに主人公は水に誘われたな。
こういう健康っぽい題材の話って、いままで意外と少なかったんじゃないかな。健康ブームがこのドラマにもやってきた、みたいな?
▼
"世にも サイゴノヒトトキ"
https://t.co/jpmFD6OXXy
「サイゴノヒトトキ」見た。
──主人公(永作博美)らの乗ったバスはカーブを曲がりきれず崖から転落する。だがバスは落ちずに空中で止まる。浄水器を売れなかった男が人生を嘆くと、主人公が買ってやろうと名乗り出る。険悪な老夫婦がよりを戻す。人間関係が動きはじめた。──
中居くんの出てた「不定期バスの客」を思い出した。密室のなかでおこる人間模様。
でも前にも書いたけど、オレは拍手で感動させるやりかたが嫌いだよ。
実際に密室でトラブルになったら、知らない人で結束できるんだろうか。できる気がしない。
刑事って手錠を持ち歩くものなのか。それがなんか気になった。
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世にも奇妙な物語 不幸せをあなたに
https://t.co/vES7a6kTV1
「不幸せをあなたに」見た。
──主人公(篠原涼子)は「不幸せ斡旋所」の看板を見てビルに入る。そこでは、小さな不幸せを経験することによって幸せになるチャンスを得られるのだった。パソコンのデータが消える不幸を乗り越えて、良い仕事を得た。それから主人公は不幸せに頼るようになる。──
なんか計算で出来ていて、面白さを感じられなかった。話が一直線で狭い。極楽が幸せって、なにそれ。BGMもいやだなあ。
ほかのことしながら見たせいもあるかもしれないけど。
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"世にも奇妙な物語 空白の人"
https://t.co/FqJo2NQB3f
「空白の人」見た。
──主人公(瀬戸朝香)が目を覚ますと、目覚まし時計の場所がちがうし、部屋の様子がおかしい。それを彼に相談する。彼には大事な話があるというが、また目が覚めて、それを思い出せない。部屋の様子がまたおかしい。──
意識と無意識がごちゃごちゃになる話が時々ある。友人のところで、後出しのトリックのせいで嘘っぽくなるけど、全体的にはなかなかおもしろい。
布団からガバッと起きれるのが、寝覚めいいなと思う。運動神経いいよ。オレはスマホ見たりして、なかなか起きれないよ。腰の負担にならないようにゆっくり起きるもん。
▼
2004秋 1 地獄人滿了津川雅彦 https://t.co/cPmc04vBnf
「地獄は満員」見た。
──反社会的組織の組長である主人公(津川雅彦)は、殺されたはずなのに死なない。同様の現象は日本中で起こっている。地獄が満員だから、悪人は死なないようになってしまったのだ。しかし募金活動をしている女の子に好意をもった主人公は、女の子に協力する。──
あーやだなあ。いろいろと無理だった。オレの嫌いな「拍手で感動させる」がまた出てくるし。
ベートーベンの運命の使われかたも嫌だなあ。
一番不自然なのは、警察がいないことだよ。治安が悪いのに。地獄が満員だとなぜわかったのか、拡張工事が終わったとなぜわかったのか。
マザー・テレサか誰かが言ってたけど、目の前に困ってる人がいるのに、遠い国の人を思いやっているのはおかしいよ。そういうのは、まず足元を最低限ちゃんとしてからやるもんじゃないかなあ。
▼
"世界奇妙物語 2004秋季 過去的日記 西島秀俊"
https://t.co/BAeCPFNhLU
「過去からの日記」見た。
──主人公(西島秀俊)は小説を書いているがそれでは食べていけず、ほかの仕事をしている。古本屋で自分の本を見つけて買うと、日記帳が混ざっていた。そこには「今日も何もいいことがなかった」と書かれている。「俺も」と書くと「誰ですか?」と返事が書かれる。──
感動した。物書きで食べるって難しいよねえ。35で迷っている主人公。そこで感情移入した。
お互いに励ましあって、困難を乗り越えていくわけで、ほんとによかったねえ。理想的だなあ。
こういうのを夢見て、それから実際の掲示板やSNSを考えると、なんだかねえ。
なんでこの二人は感動的なのに実際のSNSはこうなのかって考えると、日記帳っていうのがポイントかなと。返事を期待してないから本当のことを書くし、2人だけだから余計な思惑が入り込まない。紙っていうのもポイントで、涙がにじむ場面がある。ほんとの涙なんだよ。その真剣さがいい。
▼
"世にも奇妙な物語 あけてくれ"
https://t.co/PQXjMQDOWe
「あけてくれ」見た。
──主人公(優香)と彼と友人2人が別荘にあそびに行くことになる。彼は遅れていくという。別荘で主人公は、彼が事故で亡くなったことを聞かされる。別荘のドアが叩かれる。「あけてくれ」と彼の声がする。開けてはいけない。開けたら連れていかれる。──
怖いよこれ。手がスーッて伸びてくるところがやばい。最後の分かんなくなるところもやばい。
二階に注意を向けて主人公を一人にしたり、好きなところを七つあげるあたり、本当に誘惑って感じだ。
これで2004年が終わり。
▼
倦怠期特効薬 世にも奇妙な物語
https://t.co/qqHTMuPV9a
「倦怠期特効薬」見た。
─倦怠期の主人公(ユースケ・サンタマリア)は「倦怠期特効薬」を買って使用する。すると妻の姿が、好きなグラビアアイドル(井上和香)にかわる。倦怠期は脱するものの、こんどは妻を騙している罪悪感にさいなまれる。──
長いけど中身の薄い話だなあ。かなり早い段階でオチがわかってしまった。
井上和香を出したいだけじゃないの。イチャイチャした場面が多い。いい薬だなーとは思う。
妻が美人に変わるといえば「知らなすぎた男」というのがあったけど、それはちょっとかわいそうな結末だった。だまされて殺されるんだから。それに比べればこっちはぬるい。
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"幻の少年 世にも奇妙な物語"
https://t.co/JblfWbrel2
「幻の少年」見た。
──主人公(黒木瞳)は仕事がうまくいっている。今度創刊する雑誌の編集長に抜擢された。時を同じくして妊娠していることがわかる。仕事をしたい主人公は産むかどうか迷う。同じころに、主人公にしか姿が見えない男の子があらわれる。──
9分ぐらいでネタがわかっちゃって、再生速度を上げた。こういう話、あったよなあ。「遅すぎた恋人」とか「わたしの赤ちゃん」とか。
コメント欄を見ると、感動している人が多いようだった。そのひとの境遇によるよね。出産や育児に関して思いがある人が見れば、心に響くだろう。
▼
"世界奇妙物語2005春 你的故事"
https://t.co/4Xpx9htDVL
「あなたの物語」見た。
──主人公(小西真奈美)はレンタルビデオ店で「あなたの物語」というビデオを見つける。噂によれば、自分の過去や未来が映っている。借りて見てみると、ほんとうに自分の幼い頃が映っている。夢中になって借りて見ていき、未来を見る。未来の自分は刑務所にいた。──
これおもしろい。ビデオって好きなんだよ。ちょっと懐かしいし。「プリズナー」も大好きだった。
結婚式で邪魔が入るのと「タイパニック」が雰囲気に合ってないけど、それでもおもしろい。
ほかの女を妊娠させててまだ交際もしてるのにプロポーズできる神経がよくわからない。それで何をどうするつもりなのか。で、式の最中にあっさり「君とは結婚できない」って言っちゃうんでしょ。
刑務所ってずっと正座してるものかね。それも気になる。映像としては印象的だったけど。
噂ではじまり噂でおわる。そのあたり、いいね。
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"美女缶 世にも奇妙な物語" https://t.co/0Bc619smt7
「美女缶」見た。
──主人公(妻夫木聡)のとなりに引っ越してきたおじさんの部屋には若い女性が大勢住んでいるようだ。気になって仕方がない主人公はとなりの部屋に入り缶を持ち出す。缶から美女が生まれると知り、さっそく使う。主人公と美女との生活がはじまった。──
オレがこの番組で嫌なのは「拍手で感動させる」と「他人の部屋に安易に侵入する」なんだけど、後者をやってしまっている。ここがマイナスポイント。
人がレンタルされる話も過去にはあった。一方が特殊だと思っていたらもう一方も特殊だとわかる、というパターンもよくある。
でもそれらをひっくり返すくらいラストシーンがよく描けているんだよ。
「実はもう片方もそうだった」パターンとしては「倦怠期特効薬」もある。それと同じように夢があるんだけど、「美女缶」はもう一歩踏み込んでいる。
同居していた彼女がひとり残されるわけだけど、どんな心だろうね。どんなに孤独だろうか。
美男缶でつくった彼が美女缶を使って彼女をつくり二人で消えてしまうとしてさ。いや、期限がきたら消えるのかどうなるのかわかんないんだけども。
やっぱ、隣のおじさんみたいにどんちゃん騒ぎに使うのが楽しそうだなあ。後腐れもない。正しい使い方な気がする。
「レンタル・ラブ」とか「友達登録」も近い話だな。前者は父親母親を、後者は友達をかんたんに作れるという話だった。彼氏彼女をかんたんにつくるのが「美女缶」。
短期間にこういう話が重なってるのは、時代なのかなあ。便利でお手軽で、でも人と人の心がかよわない時代。
赤い液体からはじまったんだから、期限がきたら赤い液体に戻るんじゃなかろうか。美女のほうは自分を美女缶だと知っているけど、男のほうは知らないというのが気になる。
最後に海にいたのは、海が好きだからだね。
▼
"世にも奇妙な物語 「密告ネット」"
https://t.co/lkNEYgfCTT
「密告ネット」見た。
──主人公(鈴木杏)は噂話が大好き。ネットで掲示板を見ていて「密告ネット」へのリンクを見つける。チクればポイントが貯まり、貯まったポイントでチクリを閲覧できる。熱中してチクってポイントを貯める主人公。嫌いな教師を通り魔の犯人として密告する。──
これ面白かった。女の子もかわいいし。サイトのシステムが興味深い。
一方的に密告していたから、やり返されて終わるのは予想してたけど、やられ方が実に鮮やかでゾッとするものだったし、通り魔のやつは予想してない展開だった。傑作。
この番組が時代を反映しているというのは昨日も書いたけど、ネットの匿名掲示板がこのころ流行ってきてたんだね。
コメント欄、本名で登録するのがまずいという指摘はもっともだ。なんで密告された側に連絡できるのかとか、ツッコミどころもあるけど。
Aカップは悪くないというコメントもあった。そこかい。
自分のことが写真つきでネットで密告されるのは、ゾッとするものがある。なかなか経験できないやつだよ。匿名のこわさを感じるだろうね。
明るいBGMが良いっていうコメントもあって、納得。明るくて健康的だよね。
主人公はわりと活発だけど、密告ってもっと陰湿な人がやりそうなことだ。
オチは怖いけど勧善懲悪でもあり、いい気持ちもする。匿名で悪口書くやつはこうしてみんな暴かれればいいんだ。
▼
"8分間 世にも奇妙な物語"
https://t.co/Lk28wlARo8
「8分間」見た。
──主人公(坂口憲二)は、妻が亡くなってから不思議な現象に悩まされていた。午後3時になると無意識のうちに死のうとするのだ。8分たつと正気にもどる。主人公は3時になるとあらゆる手段
で自殺をこころみる。いつか本当に死ぬんじゃないかと医師に相談する。──
むずかしい話だったなあ。言われてみると理屈はわかるけど、最後まで気を抜けなかった。ハッピーエンドらしいBGMをちょっとでもつけてくれると安心するんだけど。
奥さんがきれいだったが、山田優なのか。
前にも「トカゲのしっぽ」とかであったけど、未完成の研究段階の薬を患者に投与するかね。
夢と現実、意識と無意識が入れ替わるっていう話はいくら見ても怖いよ。現実が信じられなくなるようで。
4/13になると、この「世にも奇妙な物語を一日一話見る」企画をはじめて一周年になる。忘れそうなのでいま言っておく。
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"世にも奇妙な物語 過去が届く午後"
https://t.co/Mm5YfBov4G
「過去が届く午後」見た。
──主人公(松田聖子)はデザインの仕事がうまくいき、大きな賞をとる。かつての同僚も遠くから祝いにかけつける。それからその元同僚から物が届くようになる。借りたものを返すということだが、何度も届くので主人公は気味が悪くなる。──
途中までおもしろかったのに、オチが完全に「半分こ」と同じで、ひどくがっかりした。松田聖子をつかって撮影するような内容か。運びこむときにぶつけたから血が漏れたのかなあ。
女性の人生が仕事か家庭かの二択で大きく変わるっていう話はときどきあるね。「幸福の選択」とか「昨日の私は別の私~」とか。元同僚の女は仕事を捨てたのに夫もアレでってことで、悲しい人だ。
ものを送るのはなんだったのかなあ。嫌がらせなんだろうか。ものすごく几帳面ってことだろうか。歪んだ愛情なんだろうか。嫉妬? 執着? そのあたりが他の話にない奇妙さだと思う。
ずいぶんものを貸してたんだねえ。
アルチンボルドはなんだったのかなあ。意味ありげだったけど。
記憶力がすごいこととか、夫のあとをつけてきてることとか、いろいろとやばいキャラクターだなあ。「パーフェクト・カップル」に出てくるおばさんを思い出した。
▼
世にも奇妙な物語 影武者
https://t.co/tT3cTx4fV5
「影武者」見た。
──農民である主人公(原田泰造)はとつぜん城に連れて行かれる。そして殿の影武者に仕立てあげられる。主人公は隙をみて殿を殺す。祝言の相手の女性に殺されかけるが、この女性も影であった。──
けっこう面白いけど結末は雑だ。時間切れ、ってところか。ここから切れ者をどうやって騙すのかっていうのがひとつのヤマになりうるところだ。
影武者の家族を皆殺しにするのはなぜだろう。家族を通じて秘密が漏れるのを嫌ったんだろう。が、それによって影武者の恨みをかって本物が危険にさらされるのなら、一長一短だ。
▼
"ネカマな男 世にも奇妙な物語"
https://t.co/yp2AmK6BCs
「ネカマな男」見た。
──主人公(椎名桔平)は妻の名前でネカマをやって女子大生とメル友になり、楽しくやりとりしている。だがこちらが会いたいと言ったとたんに男であることを白状し、ストーカーめいたメールを大量を送ってくるようになる。──
ネカマとともにネットの株もでてきて、時代を反映している。インターネットが広く普及し、さまざまなサービスが出てきた。
椎名桔平は「扉の先」の好演が印象深い。ついた嘘がほんとうになる系の話だった。ここでも自分の嘘に苦しめられている。
しかしこんなことまでやる妻がいるだろうか。いない。女子大生のふりもうまいし、それより変質者のふりがうますぎる。そこが奇妙な世界だ。
主人公がクズなのが、いやがられそうだけど、ホントっぽいところでもある。
本当のプロフィールを書いてもネットで相手にされないの、わかるなあ。その感じ。
動画は200万再生を超えている。
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"越境 (世にも奇妙な物語)"
https://t.co/FGhN4havj3
「越境」見た。
──男(佐々木蔵之介)の買ったカメラに入っていたフィルムには女優(木村佳乃)が写っていた。話をきくと、女優はもうひとつの日本の話を語りはじめた。独裁者がいて軍事国家で経済的に貧しい日本。カメラはそちらの日本のもので、自分はそこからきたというのだ。──
ぞくぞくした。骨太な話だ。北朝鮮がモデルになっていそうだ。しかしやはり同じひとが二人いるというのがポイントだ。
殺そうとしたら自殺したっていうのはコントみたいだけども。カメラの買い取りにフィルムの確認しないのかとか、疑問はあるけどそのくらいはしょうがない。
あの暗い穴に入るのは勇気のいることだ。普通に死んだとしてもおかしくないし、そうだとすればブローカーって儲かる。
ジャガイモの取り合いがつらい。
コメントで木村佳乃の演技がほめられていたが、たしかに、厳しい国でたくましく生きぬいてきたすごみ、みたいなのが出ている。
エンディングが入ってるのがよかった。
これで2005年は終了。未見の古いものがアップされていないか確認してから2006年に進む。
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今回おもしろかった話
1 過去からの日記
2 自分カウンセラー
3 密告ネット
4 越境
5 あなたの物語
6 誘い水
7 あけてくれ
8 美女缶
今回つまらなかった話
1 不幸せをあなたに
2 地獄は満員
3 過去がとどく午後
んじゃまた。
