2026年08月07日

ボカロ100選、続・ボカロ100選 曲目リスト

オレは2023年6月からボカロを好きになってYouTubeで聴くようになって、好きな曲が多すぎてリストに動画をまとめた。
好きな曲が余裕で100曲を超えるから「ボカロ100選」をまとめた。100ではとてもおさまらないくらい好きな曲があるので「続・ボカロ100選」をまとめた。好きな曲が変わったり増えたりするのでときどき更新している。
いまの時点での曲目リストを記録し、リンクを貼っておく。

ボカロ、ほんとに面白い。好きなボカロPはMIMIさん、一二三さん、Orangestarさん等です。
よかったらみなさんも聴いてみてください。


ボカロ100選
https://youtube.com/playlist?list=PLYGWjgFZ5s6ZelyZJVl3avTV6t8AW_PcH&si=Np7adP_Dhv3rEUnt




1 毒々
2 誰かの心臓になれたなら
3 養花天
4 アンビバレンスアンハート
5 各駅停車
6 ラグトレイン
7 くたばろうぜ
8 365月病
9 進捗ダメダメです
10 ネトゲ廃人シュプレヒコール
11 キライ!キライ!ジガヒダイ!
12 ポストずんだロックなのだ
13 アイロニ
14 適度なカンケイ
15 ハンコウ予告
16 からくりピエロ
17 Underfined
18 ルルージュ
19 くうになる
20 回る空うさぎ
21 なんとか鉄道の夕
22 ハロ/ハワユ
23 深海少女
24 鎖の少女 -Re Alive-
25 モザイクロール
26 のだ
27 モノクローム
28 Day&Night
29 遮二無二
30 それがあなたの幸せとしても
31 ダブルラリアット
32 アスノヨゾラ哨戒班
33 だんだん高くなる
34 すすめ!さいつよ堕天使
35 盗人シンデレラ
36 チーズ
37 ∞まわる∞
38 きょうもハレバレ
39 すろぉもぉしょん
40 マッシュルームマザー
41 はいはい
42 金曜日のおはよう
43 恋はきっと急上昇☆
44 メランコリック
45 ユビキリセツナ
46 不透明幸福論
47 堕落論
48 ルマ
49 アイ情劣等生
50 アンチジョーカー
51 いろは唄
52 おどりゃんせ
53 千本桜
54 いーあるふぁんくらぶ
55 マオ
56 悶々ふぁんもおらん
57 drop pop candy
58 花となれ
59 弱虫モンブラン
60 パラサイト
61 paranoia
62 頬が乾くまで
63 君の脈で踊りたかった
64 死んでしまったのだろうか
65 DAYBREAK FRONTLINE
66 リアライン
67 ツークフォーゲル
68 フローレミ
69 妄想哀歌
70 クモヒトデのうまる砂の上で
71 快晴
72 アイラ
73 ウミユリ海底譚
74 あの夏のいつかは
75 サマータイムレコード
76 炉心融解
77 あいたいあの子に、あわせてあげる。
78 撥条少女時計
79 鉄の処女と夢見がちなお姫さま
80 パイロキネシス
81 リコレクションエンドロウル
82 メルティランドナイトメア
83 ドリームレス・ドリームス
84 はぐ
85 セカイはまだ始まってすらいない
86 ニア
87 初音ミクの消失
88 Tell your world
89 ラストラス
90 スターナイトスノウ
91 ネバーマインド
92 グリーンライツ・セレナーデ
93 桜ノ雨
94 Blessing
95 ゆめのかたち
96 神のまにまに
97 あんたにあっかんべ
98 地球最後の告白を
99 陽だまりのセツナ
100 echo






続・ボカロ100選
https://youtube.com/playlist?list=PLYGWjgFZ5s6bGl0aXHG8s-S0mlAsqC3d5&si=jq4VlzS2uYYUjoJS






2023年6月時点でのリストはこちら。
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52314766.html


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mk7911 at 23:15|PermalinkComments(0)音楽雑記 

《歌集読む337》 阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

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歌集読む337

阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』
角川書店。第一歌集。2026年6月。



小学校の屋上よりみるわが街の表情いつもより明るくみゆる
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→なんかわかる。ものの見方に小学校のフィルターがかかっているのか。図画工作の時間にみんなに描かれる街、地域の大人が働いている街、クラスのみんなや先生が住んでいる街。



白鳥座は十二の星より成れるなり、その大きさに心ときめく
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→この素朴さ素直さに賛成、肯定したくなる。事実から入って気持ちへ抜けていく。白鳥座がいいのかもね。大きさにくわえて美しさ、優雅さが加わる。



人口の5%といふのは本当なの? 会議室5人 全員四十肩
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→内容もおもしろいけど数字が並ぶのも楽しい。5人のうち5人が同じ状態だからといって人口の100%にはならないが、5%だと少ない気がする。「会議室」が効いてるんじゃないですか。肩にくるような話し合いしてるのかなと。



ほれぼれと娘はわれに告げきたり「大きくなったら、馬になりたい」

人参も青菜も厭はず食べられると自信をみせる 四歳二ヶ月
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→「ほれぼれと」の使い方だが、これは、馬にほれぼれとあこがれる気持ちがうかがえるような様子だったのかな。
「自信をみせる」って、試合前のスポーツ選手に対して使うような言い回しで、子に対して使うのはおもしろい。



冬日ざし眼にまぶし一斉に烏いできて空に闘ふ
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→まぶしさと黒いカラスが対照的で、ものを見るのもままならない状態と飛びながら戦ってる状態もまた対照的だ。
「空に闘ふ」が印象的で、様子が見えるようだ。出てきたと思ったらもう戦っている。激しい生存競争だ。



保育所の ゆきゑせんせい をさな子と手つなぎ歌ふ 鍋なべ 底ぬけ
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→一字空けの多い歌集で、どのページをひらいても見開きで三箇所くらいは空いている。帯やあとがきなどで名前がでてくる岡野弘彦さんの影響があるか。
字空けによって断片的にあらわれるような、夢や遠い記憶みたいな感触がある。



丼のスープに揺らぐ水餃子掬ひ取りたり遅き昼食
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→遅いというけど特に急いでいる様子はない昼食。
揺らぐものをすくい取る動作に生活の、人の営みの悲喜こもごもがあるかのように感じられた。



池水のひたすらに冷ゆる鳥のこゑ 友の形見のボールペン失す
/阿部真太郎『うなぎのくわんづめ』

→上の句と下の句でくっきりわかれている。
さっきのカラスみたいに、鳥がきびしい印象をもった。ものをなくしたら探したくなるし残念になるが、この上の句には全く見つかる気配も同情の気配もない。水が冷たかろうと体ひとつで今を生きていく。喪失感が浮かび上がる。



以上です。
オレにはわからないテーマの歌が多かったけど、それらに縁のある人ならさらに面白いんだろうなと思いました。

ありがとうございました。

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mk7911 at 10:00|Permalink歌集読む 

2026年07月29日

《歌集読む336》梶山都『梅雨の一欠片』

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歌集読む336

梶山都『梅雨の一欠片』
2026年6月。典々堂。第一歌集。



蜂蜜を垂らせば滑(ぬめ)らかにほそくほそくとぎれぬ眠たさが来る
/梶山都『梅雨の一欠片』

→眠たさっていう、目に見えないものを巧みにビジュアル化したみたいな面白さがある。
二句から三句の「滑(ぬめ)ら/かにほそく」とか「ほそくほそく」が三句と四句にまたがっているのが、とろける蜂蜜っぽい?



浅くふかく呼吸(いき)するのみに見守(まも)り来し一幕のいま終はらむとする
/梶山都『梅雨の一欠片』

→終始何もせず見守るが、呼吸の「浅くふかく」に緊張感がある。
目の前で事件や出来事があっても大勢がすこしも関与せずに息だけをしているんだから、演劇は不思議な空間だね。



鼻先をそつとなでたき角度なりB767羽田に点る
/梶山都『梅雨の一欠片』

→飛行機はとても先端をさわれるようなものではないが、遠くから見てるのかな。動物のようだ。
「B767」で機械的・記号的になって、「点る」であたたかみを出して歌をとじている。ニュアンスに富んでいる。



ふみこむたび重心ゆらぐ玉砂利の参道はゆるやかなるなだり
/梶山都『梅雨の一欠片』

→さっき「ニュアンスに富む」とか慣れない言葉を書いたけど、こちらの歌は不安定と安定が混ざっていて、やはり「ニュアンスに富む」みたいなことを言いたくなる。
読みすぎかもしれないが「ゆる/やかなるなだり」のまたぎ方にもかすかな揺らぎを感じる。味わいがあるんじゃないですか。



ビル群を背景として驟雨きぬ鈍色に濃淡がなみうつ
/梶山都『梅雨の一欠片』

→雨が窓ガラスを打ち、視界がさえぎられぼやけているのだろう。絵画的だが、そこにとどまらず「なみうつ」がなおも降る雨をあらわしている。



同僚によばれ窓辺にみる雪はビルを横切りにするごとくとぶ
/梶山都『梅雨の一欠片』

→呼ばれて見るときの雪って「あ〜、ほんとだ、初雪だね」みたいなやさしい雪をイメージしやすいが、思いのほか激しい雪だ。
やはり窓からビルが見えていて、さっきの歌と同じ窓かな。



角(かど)とけてからんと瞬時くみかはるグラスの氷 なにを願はむ
/梶山都『梅雨の一欠片』

→願いが叶う・運命がうごく様子を、目に見える形に落とし込んでいる。
初句「角とけて」はゆきとどいた表現だ。「くみかはる」もいいなあ。語の選択に、うなる。



そんなわけで、いい感じの歌集でした。「匠の技」みたいなうまさを感じてうれしくなった一冊。

(まったく本質的なことではないけど)紙と紙の端っこがくっついてページが捲りにくいのだけ気になった。

ありがとうございました。

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mk7911 at 13:42|Permalink歌集読む 

2026年07月21日

《歌集読む335》 加藤治郎『ハレアカラ』

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歌集読む335

加藤治郎『ハレアカラ』
1994年の第3歌集。
『加藤治郎アンソロジー1』で読む。

2019年に一度読んでいてそのときも感想をまとめた。アンソロジーを手にしたこの機会にふたたび読む。7年ぶりに読んだらほとんど違う歌に印がついた。



進藤部長とカウンターに居る壮絶な形に揚がる海老の天麩羅
/加藤治郎『ハレアカラ』

→「壮絶な形」がおもしろい。海老にとっては本当に壮絶な目に合わされている。「壮絶」は2人のなんらかの心理が形になったようでもあるが、カウンターの2人にそんな気配はなく、だからこそ人間心理の奥深さ……みたいな。



くりかえし波がうみへとかえりゆくうまれてこない言葉のために
/加藤治郎『ハレアカラ』

→波とはくりかえし寄せてくるものととらえがちだが、くりかえし引いていくものでもある。うまれてこない言葉が気になる。
漢字になりそうな言葉がひらがなにひらかれていることで、漢字とひらがなが交互になって波のよう。



はりつめたゼブラの尻に縞はありひかりではないかげりではない
/加藤治郎『ハレアカラ』

→動物の尻の歌。尻を凝視するかのごとき歌だがたるんだところがなく、自然の法則の神秘すら感じる。
「ゼブラ」もキリッとしてる。「シマウマ」じゃこうはいかない。
白黒が光や影のように見えたり見えなかったりする。



のぞきこむ兄のひきだし左手の血管右の毛細血管
/加藤治郎『ハレアカラ』

→この両手はいったいどこから来ているのか。ひきだしを開けている自分の手と考えるのが自然だが。ひきだしの中身が気になるが血管にクローズアップしていく。



さっきまでしっぽの気配 暗がりに臭う砂場をぼくは怖れて
/加藤治郎『ハレアカラ』

→犬猫がいるようでいないし、暗いし、なにか臭っているし、不確定で怖い。砂場ってせいぜいシャベルが刺さっているくらいで何もないことになっているが、不特定多数の手がかきまわす場所だと思うとこれも怖い。



運動会テントに母と教師居てあゝ野戦病院の鋸
/加藤治郎『ハレアカラ』

→運動会のテントが野戦病院に似て見えるだけならわかりやすい歌だが。
この「鋸」に塚本邦雄を感じる。不穏な意味にも受けとれそうなものが置かれている。「あゝ」に込められた感情はなんだろう。

野戦病院を建てるための木材などを切るノコギリかとも思ったが、
「親と教師が子を助けるようなそぶりをして実は共謀して子をノコギリで真っ二つにするのだ」
みたいな謎の最悪ストーリーも思い浮かぶ。



失ったジョブ俺のジョブジョブ水に浮いてた皿がななめに沈む
/加藤治郎『ハレアカラ』

→「ジョブ」が擬音語としても機能している。3回でてくる「ジョブ」の位置と五七五七七の句切れのズレみたいなのがおもしろいが、こういうのはなんと言えばいいのか……。
かたむいて沈んだ皿に心理がかさなる。



まよなかのみずうみにふる雪あればピアノの蓋のちいさな指紋
/加藤治郎『ハレアカラ』

→上の句も下の句も、人に知られてないささやかなものだ。何かをしようとしてるような、できてないような。
小さな子がピアノを弾く手、何者かが雪を降らせる手の2つの手を想像する。



そんな感じでした。ありがとうございました。

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mk7911 at 11:31|Permalink歌集読む 

2026年06月28日

《歌集読む334》 川口あだむ『ペットボトルに花束を』

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歌集読む334
川口あだむ『ペットボトルに花束を』
こぎつね書房。第一歌集。2026年5月。



こんなにもゼリーのフタを慎重に開けて貴女は別れを告げた
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』

→ゼリーによってはフタを開けたときに汁がこぼれるので、慎重になるのはわかる。そんな慎重さがよそよそしさとか信頼のなさにもつながっているのかもしれない。「こんなにも」ってことは目の前にそのゼリーがあるようにとれる。



富士山が小さく見えるこの部屋でダブルベッドが解体される
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』

→富士山とダブルベッドの組み合わせだ。小さく見える距離と「この部屋」の近さ。小さく見えても日本一の山と、大きいようでも用をなさないダブルベッド。遠近の立体感のある歌。



いま食べたサンドイッチは朝食かテレビの中で人が歌った
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』

→上の句が歌の歌詞とは考えにくいので、三句で完全に切れているのだろう。
楽しみに見ている番組ではなさそうだ。曖昧な食事となんとなく見てるテレビに、空虚さがある。



石鹸を指の隙間に擦りこめば誰かが褒めてくれるだろうか
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』

→大人がそんなことで褒められるはずは決してないんだが、こんなことを考えるほどに追い込まれているんだなと思えば、味のする歌だ。



丸のついた歌は以上。
解説に(過去の話としてだが)「情報をならべただけ」「実態とずれたイメージ寄りの表現」「極めて詩性に乏しかった」とある。たしかに全体的にはそんな傾向があるが、歌集の最初のほうを見るとそれには当てはまらないと感じる。

さっき引いた歌の「貴女」とか「馬鹿と小さく呟いてみた」「愛を伝えた港」などから年上だと思ってたら、オレの一回りも年下だった。
「AIのようにおはようだけを言う」って、いつのなんのAIの話? そういうつまずきポイントが多い。



AIのようにおはようだけを言う奥歯をギュッと噛み締めながら
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』

→AIもおかしいけど、奥歯を噛み締めてたらしゃべれないのでは。奥歯を噛み締めながら無理にしゃべるとAIのボイスっぽいってこと? わかりにくい。

最期まで優しいところはそのままで馬鹿と小さく呟いてみた
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』


首都高をひとりで飛ばす我の目に愛を伝えた港が映る
/川口あだむ『ペットボトルに花束を』





プロフィールにイラスト添えるの良いですね。

そんな感じでした。ありがとうございました。

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mk7911 at 12:46|Permalink歌集読む 

2026年06月22日

《歌集読む333》 千葉優作『anchorage』

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歌集読む333

千葉優作『anchorage』
第二歌集。青磁社。2026年5月。



かがやきてみづのながるる時間ありわれの渡らぬ橋の下にも
/千葉優作『anchorage』

→80ページまでにちくわの歌が三首あって、この人はちくわの歌人だなと思いかけたけど、水面の光る歌が続々と出てきてイメージが更新された。



本心を語らなくなりたるひとが窓のやうなる相槌を打つ
/千葉優作『anchorage』

→考えさせられる比喩。窓のようって? ぽっかり空いていてなんでも行き来させる感じか。



風がただとほり抜けてくだけなのに身をよぢりつづける鯉のぼり
/千葉優作『anchorage』

→こう言われると鯉のぼりの動きが生き生きと感じられる。
身をよじるのってどんな時かな。苦しい時? 気持ちよくて身をよじることもあるか。
いずれにしても風の感じ方が人とは違ってそうね。風だけに生きると言っていいくらい。



さつくりとしやもじに米を切るときに脳のやはらかさを思ひたり
/千葉優作『anchorage』

→脳のやわらかさ、どんな脳にも感じたことがない。でもまあ、固いものではないのだろう。
こういう歌を読むと、しゃもじを持ったときに脳のことを思い出しそう。



まなかひをかすめてツバメ去りゆけばこの世にて逢ふおほかたは影
/千葉優作『anchorage』

→一羽のツバメがこの世のおおかたにまで大胆に飛躍する。
考えると「そうかな?」って思うことでも、こんなに見事に言われると納得してしまう。おおかたは影なんだよなと。



きしきしと流氷鳴らす海もまたさびしい氷まくらとおもふ
/千葉優作『anchorage』

→流氷って、マックブックのホーム画面やテレビでしか見たことないけどそんな音がするのか。氷枕って何年も使ってないけどそんな感じだったかも。海もまた氷まくらっていう、大きさのバグる感覚がたのしい。



死者もまた死者の時間をこぼしつつ砂時計のどちら側がこの世?
/千葉優作『anchorage』

→砂時計、どっちが上なのかわかりにくいな確かに。あの世とこの世の砂時計とか死者の時間とか、わからないなりに面白く感じる。
「?」で疑問をさしだすことで歌の不可思議がこちらへ突き破ってくる。



霞みつつヨットは沖を過ぎゆけりまぼろしにあらざる速さにて
/千葉優作『anchorage』

→霞んでいても、速さでまぼろしじゃないことがわかると。まぼろしの速度というものを考えさせる。
この世のはやさとあの世のはやさ? ああ、これはさっきの死者の砂時計につながりそうだぞ。



この世へと捨ててゆくものあといくつ波しづかなるみづうみを過ぎ
/千葉優作『anchorage』

→生と死をしずかにむすぶ、美しい歌。
死ぬことはこの世にあれこれを捨てていくことなんだなと。「波しづかなるみづうみ」から、水にあらゆるものが沈んでいくのをイメージした。死をも飲み込むしずけさ。



そんな感じです。

装丁もいいんですよ。ページが白になったりグレーになったりするし。

ありがとうございました。

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mk7911 at 15:07|Permalink歌集読む 

2026年06月15日

《歌集読む332》三田三郎『精神はもっと猫背』

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歌集読む332

三田三郎『精神はもっと猫背』
2026年5月。堀之内出版。第三歌集。



切腹でもしているのかというくらい試着室から苦しげな声
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→サイズがきついのを無理やり着ているんだろうか。っていうか切腹している声はやばい。聞いたことないけど。あきらめたらいいものを……よほど着たい服なのか。無事ならいいが。



「朝ドラは見てますか?」「いえ、見てません。見てるんですか?」「いえ、見てません」
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→なんかこういう会話ってあるね。話すことがないのに話そうとしている。投げたボールを誰も拾わない。
朝ドラを見てると言ったらどう展開するんだろ。それをしゃべらせて間を埋めるのか。



そういえばテレビのゴルフ中継でまだ乱闘を見たことがない
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→ゴルフは紳士のスポーツとよく言われる。これまではそうだった。未来はわからないけど、乱闘って未来っぽくない。
なんかちょっとワクワクする言葉だな、乱闘。
想像してみると、なぜか遠目からの画角で想像される。プレーヤーが広い場所に散ってて揉み合いになりにくそう。



すごいものではなくくだらないものをできればすごくくだらないものを
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→偉いコピーライターが言ってそうな言わなそうな。
オレはこの歌集がそんなにくだらないとは思わない。くだらなく読むこともできそうだとは思う。



内臓の命名権を売ったのでここはSONY臓、ここはZOZO臓
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→球場の名前に企業名が入ってたりして、それがなんか違和感があったりする。「アキレス腱」みたいに人体の一部に人名が入ったりすることはあるね。

「SONY臓」は体の一部が機械になったみたいだし「ZOZO臓」はゾンビになったみたい。いやだなあ。



マンションというにはタワーすぎるけどタワーというにはマンションすぎる
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→それがタワーマンションってわけですね。帯に短し襷に長し。
モノのあとに「すぎる」をつけると生じる効果ってあるね。



難しいとかではなくてガチガチに溶接された知恵の輪ばかり
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→玩具から遊びが奪われている。遊べなさを実感させるモノが残る。
仕切りがあることで横になって眠れないようになっているベンチがあるけど、そういうのを延長していった果てなのかなと。そもそもは何かを守りたくて起きた変化だったのかも。



衝撃映像100連発の2発目で飽きて素面の夜の長さよ
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→調子に乗ったら水中に落ちる映像とかトラックにぶつかりそうになるけど間一髪で助かる映像とかを次から次に流す番組がある。100連発の2発目は早い。衝撃が飽和しているんだ。
衝撃映像で今夜も酒がうまい、みたいなのがあるのかは知らない。



暗闇をひとつ想像してごらん その三倍は暗い暗闇
/三田三郎『精神はもっと猫背』

→短歌ってちゃんと言わなくても成立するところがある。その暗闇がなんなのか、どこにあるのかいつあるのか、怖がらせたいのか、わからないけどとにかく暗い。
「ひとつ」から「三倍」への増幅、「想像してごらん」の口調が闇に引き込んでくる。



という感じでした。
お酒の歌が多いんだけど、オレは一滴も飲まないし目が素通りしてしまった。

おもしろい歌がいっぱいでした。
ありがとうございました。

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2026年06月09日

《歌集読む331》 𠮷野裕之『空耳の町』

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歌集読む331
𠮷野裕之『空耳の町』
六花書林。2026年6月。



なつくれと読むのだろうかひっそりと置かれていたるきみのノートに
/𠮷野裕之『空耳の町』

→「夏暮」という表記かなあ。見せるために置かれたものではなさそうな他人のノートを見る行為と美しそうな言葉の組み合わせ。
この歌で1冊が始まっていて、とてもいい。これをめくると未知でいて懐かしいところに行けそう。



心さびしくあるのだろうか音が続いている夕まぐれ
/𠮷野裕之『空耳の町』

→三句が無い形の短歌がしばしば見られる。まったくなんの音かわからないが、三句にあたる部分に書かれている予感がする。さびしさや夕まぐれはどんな持続した音を連れてくるだろう。



この眼つきこそ正しくて空間は受け入れているこの青年を
/𠮷野裕之『空耳の町』

→「こそ」からすると、ぱっと一見しただけでは正しくなさそうな目つきだったのだろうか。どんな眼つきで何が彼をこうしているのか、空間って? そうした隙間、余地の大きさが𠮷野さんの歌の魅力と思う。



海に眠る心地といって黙したるかたわらにいてしばらく過ごす
/𠮷野裕之『空耳の町』

→この「心地」は経験としてはないので、想像してみることになる。近くに人がいる感じ、沈黙や「しばらく」の時間も想像にくわわる。



鎌倉に向かっていると思うけれど風景のなかにわからなさがある
/𠮷野裕之『空耳の町』

→風景のなかのわからなさ。乗り物に乗ってて気がつくと知ってるような知らないような場所を通過していて、どこなのかわからずにいる感じ、かなあ。



それは小さな間違いであり屋上に集ったひとが困りはじめる
/𠮷野裕之『空耳の町』

→どんな間違いか気になる。UFOでも呼び出しているのかなあ。そんなわけないか。どんな状況で屋上に人が集うだろう。
「困りはじめる」はなんか楽しい。ここからもっと困っていくんだろう。



大量にコピーを取っている人の背景として桜咲き継ぐ
/𠮷野裕之『空耳の町』

→コンビニでコピーしたいときにこういう人がいると困る。コピーの紙が散る花びらのイメージと重なっているのか。



ほんとうのことをいいたり目の前の人に見つめられたり
/𠮷野裕之『空耳の町』

→これも、存在しない三句に何かありそうな気がしちゃうな。「ほんとうのこと」の内容があるとか、心理であるとか。
緊張感のある場面。



届かないことがひとつの回答とあなたはいって口をとざした
/𠮷野裕之『空耳の町』

→もうなにもかも離れてしまって取り返しがつかない、ひんやりしたものを感じる歌だ。もう何も言ってもらえないだろう。



あとがきに「若い韻律も紛れ込んでいる」という言葉があった。韻律に若さがあるんだ。あるのだろう。考えたことなかった。



そんな感じでおもしろかったです。
ありがとうございました。

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2026年05月31日

《歌集読む330》千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

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歌集読む330
千坂麻緒『はるはるぐるぐる』
2026年5月。第一歌集。典々堂。



シャッターを押すたびにその指先が時間の中にうつ句読点
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→写真は、シャッターを押した時間を記録する。特にこれが記念写真だったら、撮った写真が人生の節目と重なる。文章だったら句読点というわけだ。
残った写真からではなく、撮影する指先のほうから言ってるのがポイントじゃないかなと。



まだ明けぬ暗い時間に目を覚ます寒がりながらにんげんになる
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→動物みたいに眠っていた、あるいは自分を何とも思わず眠っていた。朝の支度をしているうちに人間の暮らしが今日もはじまる。



不揃ひな雨垂れのやう文末のた。 た。 た。 た。 遠い昔は
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→遠い昔に書いた文章を読んでいるのだろう。文末の「た。」の連続に注目している。内容がわからないながらもおぼろげに察せられる。
「。」が雨粒に重ねられ「た」が雨粒の落ちてぶつかる音を思わせる。



ひつそりと昼間のひかりを避けてゐたベッドの下に長く寝そべり
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→「わたしの猫」という一連から。十五歳のおばあちゃん猫が出てくるんだが、うちの猫も十五歳のメスなので親近感。気温が上がると、こんなふうに涼んで寝ている。



九階の窓から眺める降る雪はまだ天のもの空のひとひら
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→「眺める降る雪」とか「空のひとひら」とか、言葉の運びがぎこちないように感じるが、表現しようとしていることはわかる気がする。
高いところで見た雪が地面に近い雪とは違って見えたのでしょう。



チャンネルをぽちぽち変へて変へて変へてバルセロナに棲む猫を見る夜
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→積極的に見るものではなくても、なかなか良さげな番組。
さっきの「九階」も効いてたけど、この「バルセロナ」も効いてる。具体。



樹 樹 樹 試し書きして滲みゆくみどりのインク新緑の萌ゆ
/千坂麻緒『はるはるぐるぐる』

→試し書きに何を書くか。「樹」は、いい文字かも。緑のインクで書かれた「樹」に新緑を感じると。良さそうなペン。



そんな感じでおもしろかったです。
ありがとうございました。

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2026年05月25日

《歌集読む329》 加藤治郎アンソロジー1 『マイ・ロマンサー』

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歌集読む329
加藤治郎アンソロジー1
『マイ・ロマンサー』

加藤治郎アンソロジー1は第一歌集から第三歌集を収めた本。2025年10月、書肆侃侃房。
『マイ・ロマンサー』は1991年刊行の第二歌集。



通過したプラットホームがひと粒のひかりとなるころ 開けてみるドア
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→乗っている電車が動いていて、自分も移動している。去った場所は一粒の小ささで、これからの場所はドアの向こうでまだ見えないが、その両方が歌に出てきて、時空を飛び越えているみたいな感覚になる。



テレフォンのコードを足にからませてねっころがっているんだろ だろっ
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→電話のことを「テレフォン」って言ってるけど、そういうのがとても多い歌集。今は電話にコードもない。コードがあるのは公衆電話くらい?
家には黒電話が1台って時代もオレは経験したけど、誰の目も気にせず寝ながら電話するのが自由を謳歌してる感じだったのかもね。口調が軽い。



冬の樹のかなたに虹の折れる音ききわけている頬をかたむけて
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→虹の折れる音なんてわからないが、「冬の樹」に引っ張られてミシミシバキバキとした音を想像する。
「ききわけている」ってことはほかの音もしている。風の音、鳥の鳴く声もあるかな。空気は冷え冷えとしてるだろう。
「頬をかたむけて」は、耳をかたむけるとも首をかしげるとも違って独特。



まだ地上にとどいていない幾億の雨滴をおもう鞄をあけて
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→これもなんだか引っ張られて、鞄のなかが雨に関わっているように思う。鞄に雨滴が集まるのか、鞄から雨が降るのか。
幾億ってことは地球を覆う雲が含む雨滴全部かもしれない。大きなスケールと一つの鞄の対比。



霧のなかの吐息のようにさみしくてわたしの岸にたどりついた子
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→「霧のなかの吐息」って、まぎれてしまってまるで見えない・感じられない吐息なのだろうか。霧の湖でボートを漕いでいるさまを想像した。



動物の脂を鍋にまわし居りあわれおのずとまわりだすかも
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→かき混ぜているとそういうふうになるね。「動物の脂」の動物がかつては生きていたと考えると、死んでからも操られて動いている・従うかのようにおのずから回る様子が「あわれ」だ。



黒いコートが霧の中からあらわれてニュース・ペーパー広げだしたり
/加藤治郎『マイ・ロマンサー』

→さっきの「テレフォン」みたいに新聞は「ニュース・ペーパー」になる。中黒「・」に、さらに雰囲気がある。英字新聞っぽい。「新聞紙」では出ない空気がある。
コートだけで実体がないのかもしれないような、謎の人物だ。



そんな感じでおもしろかったです。
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