2019年02月16日

「世にも奇妙な物語」全部見て順位つけるぞ【11】 ~2003年

48c817cc.jpg


「世にも奇妙な物語」全部見て順位をつけるぞ
【1】1990年4-9月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52214819.html

【2】1990年10月-1991年3月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52217094.html

【3】1991年4-9月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52219169.html

【4】1991年10-12月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52220996.html

【5】1992年4-12月
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52222482.html

【6】1993-95年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52224548.html

【7】1996-98年4月、ほか
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52225576.html

【8】1990-96年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52226691.html

【9】1990-2000年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52228148.html

【10】1992-2001年
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52229619.html


のつづき。

http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/8295/title.htm
このデータベースを参考にして、古いのから順番にYouTubeなどで見ていく。
(動画のリンクを貼っておくけど、消えている場合があります)

記事の最後に、今回のベストを決めるから、最後まで見ていってくださいね。







世にも奇妙な物語 無視ゲーム
https://t.co/LFZKfdOME2

「無視ゲーム」見た。
──主人公(内山理名)は、ルームメイトを軽く扱っていて、彼を連れ込んで三人で住む。だが突然立場がかわる。彼がルームメイトと一緒になって、主人公を無視するようになる。大学でも存在感が薄くなっていると言われる。──

ルームメイトっていうのが今まで見られなかった設定。
コメント欄では不評だったが高評価600の低評価150くらいの割合。
まあ登場人物が似てるし、オチは途中でわかっちゃうし、階段ですべって死ぬのもアレだし、なんで無視されて相手にさわらないんだろうと思う。

誰にも見えなくなったら、さびしいかもしれないが、しばらくは気楽だろうなと思うよ。そういう立場になりたいと思っちゃった。

ここから2002年。2001年のぶんは「厭な子供」の動画だけどうしても見つけられなかった。





おかしなまち 世にも奇妙な物語
https://t.co/TXXrQfM1Qq

「おかしなまち」見た。
──主人公(柳葉敏郎)は、リストラの増えた職場で鼻をグズグズさせながら真面目に働いている。「岡科町(おかしなまち)」へ行き仕事をすることになる。そこでは誰もがシャレを言いギャグをかましている。主人公は徐々に馴染んでいく。──

コメント欄の「おかしいけどおもしろくはない」「受付の女くそわろた」に同意する。
おもしろそうだけど、おもしろくはないんだよね。楽しそうな町だけど、住むのはきつそう。
ギャグよりも、切符を犬の形にしてくれるみたいなことが心あたたまるなあ。





世にも奇妙な物語 トカゲのしっぽ
https://t.co/vcZvSuhJaz

「トカゲのしっぽ」見た。
──主人公(柏原崇)はピアニストで、事故で右腕を失った。教授が開発したトカゲの再生能力を利用した治療法を受け、右手が再生する。しかし右手はトカゲのようで、思うようにならない。教授のもとをたずねると、人間離れした何かの力により教授は死んでいた。──

ついこのあいだの「心臓の想い出」みたいな話だ。からだのパーツをつけかえるがうまくいかない話。医療ミスっていうのはこわいよ。

トカゲとショパンのワルツの取り合わせがふしぎだ。
楽譜のおたまじゃくしがトカゲになるところが怖いというかイヤだ。
しかしまあ、右手から体ののこり全部を再生させるとか、やばいな。その発想はなかった。





"夜汽車の男"
https://t.co/xRvFWiSYUM

「夜汽車の男」見た。
──主人公(大杉漣)は汽車で弁当を食べる。どんな順番で食べるか、それぞれの味はどうか、慎重に考えながら食べ進めてゆく。──

コメント欄を見たら、すごく好評でおどろいた。大杉漣さんの訃報を聞いてこの動画を見に来たという人がいた。

弁当のなかにもドラマがある。なるほどね。弁当にかぎらず、ドラマの種はいたるところにありそうだね。





"マンホール 世にも奇妙な物語"
https://t.co/GCQBLHi4uz

「マンホール」見た。
──主人公(香川照之)は妻とうまくいかず、会社でもリストラにあいそうだ。出社するとマンホールにはまってしまう。深くて出られない。なかには事務局長のネズミがいて、出るためには手続きが必要だという。そのあいだ、ネズミ人間が代わりに出社する。──

よりによってこれがサムネイルか。
おもしろいけど、終わってみると印象がないなあ。
ああそうだ。リストラを切り出せない部長がよかった。

ホテルの場面が強烈すぎてほかの印象がぶっとんだ。動物の行為を人間に置き換えるとあんなふうなのかなあ。

コミカルだけど、カフカ的な話なのかと思えてきた。入ったらなかなか出られなくなるところ、未知の手続きに振り回されるところ、動物の姿になってしまい家族に苦しめられるところ。





"採用試験 世にも奇妙な物語"
https://t.co/Cz7fMJu7JR

「採用試験」見た。
──主人公(深田恭子)ら五人が受けている採用試験は奇妙なものだった。「さいたさいたさくらがさいた」とひたすら紙に書かされる試験。手の上に皿と水の入ったグラスを置かれ一時間そのままでいる試験。そして最後の試験は、棄権者の続出する内容だった。──

へーなるほどと思った。終わってから考えてみると、たしかにそういうことを試す試験だったと納得する。

「ロンドンは作られていない」に近いアイデア。
不景気っていうのはこの番組にも及んでいて、リストラとか就職難が出てくる。深田恭子のロボットっぽさが存分に発揮されている。





知らなすぎた男
https://t.co/abIaWTO9TU

「知らなすぎた男」見た。
──消防士の主人公(佐藤浩市)は、妻との関係にうんざりしていて、別れたいと思っている。同僚は、自分が変わればものの見方も変わる、ポジティブシンキングだと励ます。それから、主人公には妻が別人のように美しく見える。主人公は妻とやりなおすことを決意する。──

叶姉妹みたいな巨乳の奥さんが気になってしょうがない話だった。なかなかの棒読みだけども。
妻との関係を取り戻そうとしたが、ザリガニを殺したことの復讐を受けたように思える。いや、ザリガニこそ真実を知っていて主人公を止めようとしたのか。
ホースで水をかけられながらも「良かったな」と言ってくれる同僚がいいね。





世にも奇妙な物語 連載小説
https://t.co/70M8iaEqhI

「連載小説」見た。
──小説家の主人公(木村佳乃)は、ネタがなくて困っている。飛び降り自殺を考えていると、むかいの部屋に飛び降り自殺しようとしている男がいる。そこから小説を考えつく。それからというもの、むかいの部屋を覗き見ながら連載が書かれる。──

途中までけっこう怖い。向かいの部屋に勝手に上がり込んでいくのがマイナス。地球滅亡までのカウントダウンが機能しなくてマイナス。部屋から死体が出てきてマイナス。小説の内容が露骨でマイナス。テロリストが世直しでバイクに発砲するか? マイナス。
テロリストとか、小説家のファンがいかにもそれっぽいのはプラス。





"世にも奇妙な物語 声を聞かせて" https://t.co/Rf9kpqcXA3

「声を聞かせて」見た。
──主人公(加藤晴彦)に、知らない女性から電話がかかってくる。合コンで一度会ったことがあるという。それからよく電話するようになるが、決してすがたはあらわさず、主人公のことがなにもかも見えている。──

「電気じかけの幽霊」に「テレフォンカード」と何かを足したような話。
林原めぐみの声がたまらない。気味の悪い役を見事に演じている。
思えば最初は控えめだったのになあ。地獄へのカーナビがこわい。





"昨日の君は別の君 明日の私は別の私 (世にも奇妙な物語)" https://t.co/wdlq6Zj7UJ

「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」見た。
──主人公(藤原紀香)は子育てに追われる毎日を過ごしている。夫は仕事で帰ってこない。そんなある日、パソコンの画面に自分があらわれる。プロポーズを断り雑誌編集の仕事を続けている、もうひとりの自分。──

スマホを新しくしたら、再生速度が変えられるようになったので1.5倍速で見た。台詞は聞き取れるし問題ない。

「幸福の選択」みたいな話だけど、子役がよく演技してるし、感動的だ。もう一人の旦那が現れるのがいい。最後もちょっと含みをもたせているし。
お互いにとってプラスになってるのがいいよね。親子の関係がよくなるし、雑誌編集の仕事も良い方向にいく。





"世にも奇妙な物語 顔を盗まれた"
https://t.co/hZ6UiJlpMT

「顔を盗まれた」見た。
──主人公(稲垣吾郎)は取り調べを受けている。暴行も盗みも主人公はかたくなに否定する。証拠の映像を見せられても主人公はちがうと言い張る。主人公は顔を盗まれたと話し出す。少し前からさまざまなあらぬ疑いをかけられるようになり、記憶が途切れるなどしていた。──

「急患」に似たところがある。悪の実体は見えず、緑色のなにかを通して描かれる。また、それは広がってゆく。

りんごをかじって放りだすのと、CDをばらまくのは同じように人間ばなれしている。

すぐに胸ぐらをつかむような取り調べのやりかたを見ていると、おいおいまたか……と思う。
電話がかかってきて出たけど、一言も発してなかったのもおかしい。

ここから2003年。





世にも奇妙な物語 『レンタル・ラブ』"
https://t.co/s4sjXrdWaA

「レンタル・ラブ」見た。
──家庭から父親がいなくなった時代の物語。母(飯島直子)の子供が、「お父さん」に興味をもち、父親ロボットを欲しがる。レンタルした父親のロボット(仲村トオル)は徐々に言葉を覚え、家族に馴染んでいく。海で溺れた子供を父は助けるが──

飯島直子いいなあ。前に「ザ・ニュースキャスター」で出てきたときは一人暮らしで男の影もなかったが、今度は家族の話だ。母と子でどうやって生計を立てているのかわからない。

レンタルで、しかもロボットでオンとオフができたら家族って気楽だろうなあ。飯島直子のロボットだったらほしい。置く場所があればなあ……。

顔をひらくのはどういう機能?
BGMがやすっぽい。

あ、そっか。ロボットだから働かなくていいんだ。
読み聞かせているのが「ピノキオ」、という伏線の張り方。





"追いかけたい 世にも奇妙な物語"
https://t.co/tfgkyO3Ibo

「追いかけたい」見た。
──主人公(京野ことみ)は追いかけて勝手に撮影してくる男に迷惑している。その一方で、一度接触したピザ屋の従業員に片想いして、電話したりメールしたりマフラーを編んだりしている。主人公は彼にマフラーをわたすために彼を追いかけて、部屋を突き止めるが……。──

京野ことみいいなあ。「飯島直子いいなあ」と書いたばかりだけども。
メガネの男がやるとストーカーになることが、京野ことみがやると嫌な感じがしない。最後、きれいに一周した。

「わたしメールやらないんだ」に時代を感じる。





"世にも奇妙な物語 超税金対策殺人事件"
https://t.co/Vow2Bq0gFo

「超税金対策殺人事件」見た。
──小説家の主人公(西村雅彦)は連載小説の締め切りに追われている。そこへ、多額の税金の知らせが届く。数々の贅沢をなんとか必要経費とするため、税理士である友と妻と協力し、小説のなかにむりやりハワイやスーツや骨董品を登場させる。──

旭川からハワイへの転換がじつに鮮やかだ。案の定……なオチも含めて、たのしい作品。
バタバタした奥さんだなあ。

最近見た「顔を盗まれた」も「連載小説」も作家が主人公だった。そりゃあ自分のことは描きやすいだろうねえ。





"世にも 影の国"
https://t.co/JmDJha0lyA

「影の国」見た。
──カウンセラーの主人公(桜井幸子)がパソコンのクライアントのデータを整理していると、記憶にない男のデータがある。再生してみると、男(大杉漣)は、影たちはそこに存在している、自分は影の国からきて影の国へ帰らなければいけない、等々と奇妙なことを語る。──

理解が追い付かないが、相当こわい話だ。
記憶から消えたり、居るのに見えなかったり、人が突然消えるのがこわい。156あるコメントを見たが、結局わからない。

カウンセラーが動揺することに批判的なコメントがある。病気を分類する几帳面さが、そこからあふれ出すものに過剰に反応するのか。

パソコンで動画を見てるのがあたらしかったな。だんだん携帯とかネットとかパソコンとかが頻繁に出てくるようになったな。

2003年の春のぶんが終わった。古いものがいくつか見つかったので明日からそれを見る。こういうのは、うかうかしてると消されるやつだから。





"世にも奇妙な物語 【人間国宝】"
https://t.co/XpuGP9EyqM

「人間国宝」見た。
──主人公(松村雄基)は幻の掘り師から背中に入れ墨を入れてもらう。まもなく掘り師が亡くなり、背中の入れ墨が国宝に認定される。作品の保護のため監視されるようになる。監視の目から逃れようとするが、懸賞金をかけられ、ついに捕まってしまう。──

1992年9月放送。結局入れ墨はどんなものかわかんないんだね。ぎりぎりで映らない。
背中に爪をたてたら捕まる場面は覚えてた。
おもしろい設定の話だ。





"世にも奇妙な物語 【ゲームセンターの奇跡】"
https://t.co/PiohWQHMkZ

「ゲームセンターの奇跡」見た。
──塾と家庭に疲れてゲームセンターに入り浸る少年が、10万点とると奇跡が起こるゲームをプレイする。10万点とったそのとき、少年はゲームセンターのおじさん(谷啓)と入れ替わる。いじめっこや親に仕返しをして再び元の姿に戻るが……。──

1990年8月の、かなり初期の作品。
いやーしかし古くさいゲーセンだ。ピンボールみたいなゲームだ。おじさんが声をかけてくるところも古い。
いきなりビンタしたりスカートめくりするところがおかしかった。おどるポンポコリンを口ずさんでいた。





"世にも奇妙な物語 【ど忘れ】"
https://t.co/pCvYSSKgw3
「ど忘れ」見た。
──主人公(坂上香織)は母のど忘れにあきれていたが、自分も円周率を忘れる。ど忘れはエスカレートしていき、人の名前も自分の家も名前も忘れていく。──

1991年3月。
ひたすらど忘れが進行していく話。治ったとみせかけて治ってない点だけがひねりがある。
こういう病気はありそう。奇妙というのとはちがう気がする。

「夢をあきらめないで」がケンタッキーで流れている場面があった。ヘアースタイルも古く感じる。





"世にも奇妙な物語 【あの世への伝言サービス】"
https://t.co/N50C36kCRZ

「あの世への伝言サービス」見た。
──主人公(吉村明宏)は亡くなった人へのメッセージを伝えるとして老人から金を巻き上げていた。そこへ若い女性があらわれ、亡くなった婚約者に指輪を返しメッセージを伝えたいという。婚約者は死ぬ間際に、彼女に手を出すやつは殺すと言い残した。──

91年6月。これちょっと覚えてた。
吉村明宏っていうとアッコにおまかせのイメージが強い。しかしなんだよあのメガネ。
デブの演技がいまいちだ。殺すといってもあまり怖くない。

詐欺師で、呪い殺されそうになって土下座して、そのうえでさらに女に近づこうとしてるわけでしょう。殺されてもあんまり同情できない。死ぬときの顔がちょっとインパクトあった。





"世にも奇妙な物語 【もう一人の花嫁】"
https://t.co/xerIdvylk9

「もう一人の花嫁」見た。
──二階から飛び降りた主人公(沢口靖子)はタイムスリップする。亡くなったはずの母が今まさに結婚しようとしていた。親が決めた相手と、自分が好きな相手のあいだで揺れる母。主人公は母を説得する。──

1991年4月。テンポが悪いような気がして1.5倍速で見た。
二階から飛ぶ意味がわからなかったが、タイムスリップのためなのだろう。昔の日本がでてくる話はわりと好き。古い結婚式だと思った。
親のしたことを忠実に子が受け継いでゆくという話で、こういうのはいまは流行らんだろうね。
親子の情の部分が、ちょっと感動的だった。死んだお母さんに会うとか、感動するよ。





"世にも奇妙な物語 【時間よ止まれ】"
https://t.co/CgXvOofcC5

「時間よ止まれ」見た。
──主人公(山本淳一)は、くしゃみをするとしばらく時間を止められることに気づいた。学校でくしゃみをして女性教師の胸をさわろうとすると、もう一人動ける女子生徒がいて止められる。二人は、宝くじの抽選会場に行き、時間を止めて結果を変えようと企む。──

男子のバカなところにとても共感する。
交通事故の多いドラマだと思ってたけど、二回でてくる。
BGMがうるさいのはなんだろう。動画編集のアレなんだろうか。
91年1月。

マネキンの使い方がおもしろい。
交差点でボール遊びなんかするかなあ。





"世にも奇妙な物語 【穴】" https://t.co/1QJCH5KBLL

「穴」見た。
──ゴミ処理場の建設をめぐり、主人公(いかりや長介)の会社と近隣住民は対立していた。建設予定地に大きな穴が見つかった。調査するが底がわからないほど深い。穴はゴミ処理に使われるようになり、あらゆるものが捨てられた。会社は発展したが、7年後のある日……。──

92年12月。ビデオに撮って見てたのを思い出した。星新一の作品。
いやあ、うまくできた話だなあ。
このシタールふうのBGM、何回か出てきている。

バケツをくくりつけた紐がどこで切れたのか気になる。
屋上から穴へ再び運ばなきゃいけないね。会社のビルの屋上なのが救いでしょう。死体とか、また隠せるから。





"パーフェクトカップル 世にも奇妙な物語" https://t.co/jAoqVR3tQY

「パーフェクトカップル」見た。
──主人公(矢田亜希子)のところに突然知らない男性から花束が届く。会いにいくと、相手の男性はすでに亡くなっていて、その母が送ったのだという。男性は主人公を電車で見かけて片想いしていたという。──

古いのを見終わったので2003年秋のつづきから。
なんとも皮肉なタイトルだ。まったく関わりのない二人を完璧なカップルだというのだから。
この調子だと、男性も母に殺られたんじゃないのか。

自分勝手で思い込みが激しいといえば、南果歩の出てた「ラブチェアー」を思い出したが、あれは恋人同士だった。知らない人の親というのは、それとはまた違った気味の悪さだな。
男がまったく出てこなくてどんな人かもわからないのが謎めいている。





"기묘한 이야기 2003 가을 특별편 #01"
https://t.co/A7wiC8gOeF

「遠すぎた男」見た。
──主人公(中村獅童)のまわりには、なぜか人が寄り付かない。医者にかかってもわからない。そのせいで夫婦の仲は悪くなり、会社はクビになってしまう。だが、彼に向いているあたらしい仕事がみつかった。──

意外なオチだったな。良かった。
それにしても不思議なことだ。もっともっと無理に近づくとどうなるんだろう。





"世にも奇妙な物語 迷路"
https://t.co/Vt05Imqeh1

「迷路」見た。
──主人公(谷原章介)ら三人は、廃墟と化したテーマパークの迷路に入る。かつて、迷路の中にある金塊を求めた14名の参加者たちはみんな行方不明になったという。主人公が道しるべのためにつかんでいた紐は、途中で切れていた。一人がパニック状態になる。──

古代の伝説を下敷きにした、厚みのある話。
「アイテム」という単語がゲームっぽくしているし、奇声を発する男がちょっとギャグみたいだ。
おもしろかった。薬液には驚いた。
GPSってこのころからあったんだな。
金塊ひとつで、ずいぶん殺伐とするものだ。





"기묘한 이야기 2003 가을 특별편 #02"
https://t.co/yihnP5sAJ2

「影が重なる時」見た。
─主人公(八嶋智人)の周囲で、自分の影を目撃する人が急増している。本人にしか見えず、みんな空を見ている。調べた結果、時間が影響していることがわかった。影のつけている時計はどれも4時39分をさしている。──

2003年の最後の話。
久しぶりに世界が滅んで終わる話を見た気がする。いつ以来かは思い出せないけど。
子役がかわいい。八嶋さんはトリビアの泉のイメージが強いなあ。
でも実際は世界が滅びることのほうが重要すぎて、幽霊どころじゃなくなるとおもう。
滅びるけどちょっとハッピーエンドみたいになってる。よくわからん幸せだ。







■今回おもしろかった話
1 穴
2 影の国
3 超税金対策殺人事件
4 迷路
5 夜汽車の男
6 昨日の君は別の君、明日の私は別の私
7 遠すぎた男
8 採用試験
9 パーフェクト・カップル
10 マンホール



■今回つまらなかった話
1 ど忘れ
2 連載小説
3 おかしなまち



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
mk7911 at 11:21|PermalinkComments(0)TV番組・DVD 

2019年02月14日

現代短歌bot @gendai_tanka 収録歌【2019.2】

短歌botについて
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52137591.html




戦争に失ひしもののひとつにてリボンの長き麦藁帽子  尾崎左永子
硝子戸の中に対称の世界ありそこにもわれは憂鬱に佇つ  尾崎左永子
百獣の矜持に似たる怒気ありて侮(あなど)る者を追い詰めんとす  尾崎左永子
女泣かせて甲斐性(かひしよ)なけれど直腸に坐薬沈めて眠らむとする  岡井隆
革命にむかふ青春のあをい花ほんとに咲いてゐたんだつてば  岡井隆
男の論かすか不可思議されどなほわがほほゑみもかすか不可思議  馬場あき子
心なし愛なし子なし人でなしなしといふこといへばさはやか  馬場あき子
ぼうたんは狂わねど百花乱るれば苦しきに似たり恋ぞかがやく  馬場あき子
なめらかに嘘がいへるといふことのたのしさも知りてもう若からず  蒔田さくら子
返り血を浴びて戻れる辻斬りの心かくやと手を洗ひ居つ  蒔田さくら子
消防車光り輝き歓びへ馳せゆくごとし遠き昼火事  蒔田さくら子
つくづくと見れば檻とは簡潔にしていささかの弛みもあらぬ  蒔田さくら子
簡潔につたふる若き通訳のことばは何を省(はぶ)きたりしか  篠弘
若者は語彙すくなくて刺(とげ)なせるもの言ひをする淋しきまでに  篠弘
ラッシュアワー終りし駅のホームにて黄なる丸薬踏まれずにある  奥村晃作
分身の如き思ひに近付きぬ夜の駅前われの自転車  奥村晃作
山間の小学校は休暇にて地球儀ひとつ教卓を占む  奥村晃作
さんざんに踏まれて平たき吸殻が路上に在りてわれも踏みたり  奥村晃作
運転手一人の判断でバスは今追越車線に入りて行くなり  奥村晃作
あお向けに寝ながら闇を愛しおり動けば淋し自慰終えし後  浜田康敬
この部屋から富士山見えおり干してあるストッキングを透かし見てみる  浜田康敬
職探すことに疲れてユダヤ人虐殺の映画見て憩いおり  浜田康敬
方形のガラスを運ぶ男いて透明をかくも重くかつげり  浜田康敬
雪降りの夜をはしゃげる如くして人間殴り合うぞ路上に  浜田康敬
折り返し地点をマラソン選手らが徒労の如く返り行くなり  浜田康敬
風呂場より走り出て来し二童子の二つちんぽこ端午の節句  佐佐木幸綱
寄せては返す〈時間の渚〉ああ父の戦中戦後花一匁(はないちもんめ)  佐佐木幸綱
直立せよ一行の詩 陽炎に揺れつつまさに大地さわげる  佐佐木幸綱
やはらかきふるき日本の言葉もて原発かぞふひい、ふう、みい、よ  高野公彦
いづこにも情報戦のふつふつと煮えたぎりつつなにも見えない  黒木三千代
てのひらにすくひては零す花びらはひかり いくたびもわれは失ふ  黒木三千代
秋の野のまぶしき時はルノアールの「少女」の金髪の流れを思う  佐藤通雅
陰茎は無為に疼きて草おぼろ少年の日の夏の長さよ  佐藤通雅
休日の鉄棒に来て少年が尻上がりに世界に入つて行けり  佐藤通雅
もの言わぬ卑怯について夜の厠出でたるのちも思い継ぎおり  伊藤一彦
月光の訛(なま)りて降るとわれ言へど誰も誰も信じてくれぬ  伊藤一彦
月光に一葉(ひとは)揺らさず叱られてゐる崖の木を見てしまひたり  伊藤一彦
われを知るもののごと吹く秋風よ来来世世(らいらいせせ)はわれも風なり  伊藤一彦
啄木をころしし東京いまもなほヘリオトロープの花よりくらき  伊藤一彦
己が子に重しをつけて沈めしと朝刊に読み自転車に乗る  大島史洋
だんだんにいやらしくなる考えのどうでもよけれど抑えがたしも  大島史洋
産み終えて仁王のごとき妻の顔うちのめされて吾はありたり  大島史洋
生きているだから逃げては卑怯とぞ幸福を追わぬも卑怯のひとつ  大島史洋
霊柩車が雨水はねて走りぬけしずかに水がもとにもどる間  沖ななも
卓の上に退屈そうな指があり灰皿がありときに近づく  沖ななも
父母(ちちはは)は梅をみておりわれひとり梅のむこうの空を見ている  沖ななも
一つずつ失いゆけば失うもの多く持ちいしことにおどろく  沖ななも
ガードレールをへし曲げてある力見つ急勾配のバスの窓から  沖ななも
夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聴きし日の君が血のおと  河野裕子
君は今小さき水たまりをまたぎしかわが磨く匙のふと暗みたり  河野裕子
一生に一度使ふことばは何だらう西日の中にうつ伏し眠る子に  河野裕子
汗のシャツ枝に吊してかへりきしわれにふたりの子がぶらさがる  時田則雄
離農せしおまへの家をくべながら冬越す窓に花咲かせをり  時田則雄
トレーラーに千個の南瓜と妻を積み霧に濡れつつ野をもどりきぬ  時田則雄
一片の雲ちぎれたる風景にまじわることも無きわれの傷  三枝浩樹
──、 聴き終えて雪崩のあとのしずかさのかえるいのちをしんと抱けり  三枝浩樹
家出でて帰らぬ二夜(ふたよ) 少年の部屋に中山美穂がほほえむ  三枝浩樹
なににとおくへだてられつつある午後か陽だまりに据えられしトルソー  三枝浩樹
人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター枡目の中の鬱の字ほどに  香川ヒサ
トーストが黒こげになるこのことはなかつたといふことにしませう  香川ヒサ
人あまた行く夕暮の地下街を無差別大量の精神過ぎる  香川ヒサ
棒切れをくはへて戻り尾を振りて犬として犬を在る犬がゐる  香川ヒサ
もの言わで笑止の螢 いきいきとなじりて日照雨(そばえ)のごとし女は  永田和宏
陽のかぎり誰か揺りにしブランコをぬばたまの夜はわれが揺するも  佐伯裕子
「母さん」と庭に呼ばれぬ青葉濃き頃はわたしも呼びたきものを  佐伯裕子
デパートにわれは迷ひぬ三匹の金魚のための沙(すな)を買はむとして  小池光
たはむれに懐中電灯呑(の)まむとぞする父おやを子がみて泣きぬ  小池光
雨の中をおみこし来たり四階(よんかい)の窓をひらけばわれは見てゐる  小池光
煙突に付帯せる鉄の梯子にてあるところより失はれたる  小池光
こみあげる悲しみあれば屋上に幾度も海を確かめに行く  道浦母都子
爆薬がわが手にあらば真昼この都市は静けく来たらんわれに  花山多佳子
何者かの夢に見られているごとく直に歩めり広らな道を  花山多佳子
探し当てたる吾子は異なる顔なれどゆめなればその手を引きて出づ  花山多佳子
音速のセナや おおおお 咲き盛るセナや おおおお 万乗のセナ…  池田はるみ
おほふねのたゆたふやうに小錦が敵をかかへていま運びをり  池田はるみ
唇をよせて言葉を放てどもわたしとあなたはわたしとあなた  阿木津英
卵巣を吊りて歩めるおんならよ風に竹群の竹は声あぐ  阿木津英
俺は俺を救出せねばならぬゆゑ委細かまはず冷や飯かつ込む  島田修三
巨きなる睾丸は垂れハスキー犬楚楚たる少女にしたがひ往くも  島田修三
犬といふ俗なるケモノは身を絞り月下の舗道に糞をぞひり出す  島田修三
システムにローンに飼はれこの上は明ルク生クルほか何がある  島田修三
新宿駅西口コインロッカーの中のひとつは海の音する  山田富士郎
死体なんか入つてゐないのが残念だあけたつていいようちの冷蔵庫  山田富士郎
街路樹の鈴掛に巣をつくりたる雉鳩よおまへは東京が好きか  山田富士郎
異星にも下着といふはあるらむかあるらめ文化の精髄なれば  山田富士郎
てのひらの骨のやうなる二分音符夜ごと春めくかぜが鳴らせり  永井陽子
夜は夜のあかりにまわるティーカップティーカップまわれまわるさびしさ  永井陽子
こんな眼をわれもしているヌイグルミ売場に千の虚無の眼ひかる  藤原龍一郎
林真理子のヌードのように容赦なく秋の没陽(いりひ)がわれを責めるよ  藤原龍一郎
ケイコウトウガキレカケテイルイエジュウノケイコウトウガキレカケテイル!  藤原龍一郎
ロール・プレイング・ゲームの中にのみ生きてされど吟遊詩人の無力  藤原龍一郎
プラタナス濡らして夜の雨が降る濡れたきものは濡らしてやれよ  藤原龍一郎
精神に文学的な傷痕のありてアクション仮面になれず  藤原龍一郎
だまし絵に騙されてゐるいつときが思ひのほかの今日のしあはせ  今野寿美
うくすつぬ童子唱(とな)へてえけせてね今日の終はりの湯の音のなか  今野寿美
追憶のもつとも明るきひとつにてま夏弟のドルフィンキック  今野寿美
ちちと娘(こ)と待ち合はせゆふべ帰るさまウィンドの続くかぎり映れる  松平盟子
遠くから飛び来て遠く去るものの一つか恋も首細き鶴も  松平盟子
水面を夫と子の首泳ぎゆくあやつるごとく我は手を振る  栗木京子
天敵をもたぬ妻たち昼下りの茶房に語る舌かわくまで  栗木京子
女らは中庭(パティオ)につどひ風に告ぐ鳥籠のなかの情事のことなど  栗木京子
子に送る母の声援グランドに谺(こだま)せり わが子だけが大切  栗木京子
ゆめに散る花ことごとく蒼くしてこの世かの世にことば伝えよ  井辻朱美
椰子の葉と象の耳ほどこの星の風が愛したかたちはなかった  井辻朱美
地球(テラ)を吹く秋風きたりキリンソウの黄の荒れしまま澄める口笛  井辻朱美
ハモニカをふぁんと鳴らしてよその子がわが子のやうなさびしさを見す  小島ゆかり
蔑(なみ)されてわれ鮮しき 捨てにゆくパインの缶の口のギザギザ  小島ゆかり
ファミコンソフトにマリオ眠らせチカチカとマリオの屋根に雪ふり積む  小島ゆかり
藍青(らんじやう)の天(そら)のふかみに昨夜(よべ)切りし爪の形の月浮かびをり  小島ゆかり
水族館(アカリウム)にタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器(うつは)  坂井修一
アルキメデス殺(ごろ)しの紅顔兵卒もわれも沈丁の香にまみれをり  坂井修一
科学者も科学も人をほろぼさぬ十九世紀をわが嘲笑す  坂井修一
目にせまる一山の雨直(すぐ)なれば父は王将を動かしはじむ  坂井修一
英雄の尿(いばり)のごとくかがやくは天網かはたインターネット  坂井修一
白鳥はおのれが白き墓ならむ空ゆく群れに生者死者あり  水原紫苑
殺してもしづかに堪ふる石たちの中へ中へと赤蜻蛉(あかあきつ) ゆけ  水原紫苑
まつぶさに眺めてかなし月こそは全(また)き裸身と思ひいたりぬ  水原紫苑
あめんぼの足つんつんと蹴る光ふるさと捨てたかちちはは捨てたか  川野里子
ふるさとは海峡のかなたさやさやと吾が想わねば消えてゆくべし  川野里子
ものおもふひとひらの湖(うみ)をたたへたる蔵王は千年なにもせぬなり  川野里子
桃の蜜手のひらの見えぬ傷に沁む若き日はいついかに終わらむ  米川千嘉子
たましひに着る服なくて醒めぎはに父は怯えぬ梅雨寒のいへ  米川千嘉子
かしの実を拾へばおもふ電極の帽子のなかをゆく白き旅  米川千嘉子
だからもしどこにもどれば こんなにも氷をとおりぬけた月光  加藤治郎
ほそき腕闇に沈んでゆっくりと「月光」の譜面を引きあげてくる  加藤治郎
十代の我(あ)に見えざりしものなべて優しからむか 闇洗ふ雨  大辻隆弘
秋の陽をあまねく容るる窓の辺に紙を揃ふる手かしろく見ゆ  大辻隆弘
北空は寒きかげりを帯びながらいざなふごとしわれと一羽を  大辻隆弘
東京をふたたび敵と思ひゆく飯田橋下酔後の罵声  大辻隆弘
指頭もて死者の瞼をとざす如く弾き終へて若きピアニスト去る  大塚寅彦
洗ひ髪冷えつつ十代果つる夜の碧空(あおぞら)色の瓦斯の焔を消す  大塚寅彦
生没年不詳の人のごとく坐しパン食みてをり海をながめて  大塚寅彦
仮想(ヴアーチヤル)の〈死〉に頬あかく照らされてゲームエリアに若者ら群る  大塚寅彦
ランドセル鮮紅の群そのなかのひとつに白き鳩ひそみゐむ  大塚寅彦
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」  穂村弘
錆びてゆく廃車の山のミラーたちいっせいに空映せ十月  穂村弘
惑星別重力一覧眺めつつ「このごろあなたのゆめばかりみる」  穂村弘
剝がされしマフィア映画のポスターの画鋲の星座けふも動かぬ  荻原裕幸
たはむれに美香と名づけし街路樹はガス工事ゆゑ殺されてゐた  荻原裕幸
それはだつて結局つまりうるさいな毎晩ちやんと抱いてるだらう  荻原裕幸
春の日はぶたぶたこぶたわれは今ぶたぶたこぶた睡るしかない  荻原裕幸
間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる  荻原裕幸
桃よりも梨の歯ざはり愛するを時代は桃にちかき歯ざはり  荻原裕幸
はなび花火そこに光を見る人と闇を見る人いて並びおり  俵万智
いくつかのやさしい記憶新宿に「英(ひで)」という店あってなくなる  俵万智
愛することが追いつめることになってゆくバスルームから星が見えるよ  俵万智
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす  俵万智
ゆめにあふひとのまなじりわたくしがゆめよりほかの何であらうか  紀野恵
台所嫌ひの女友達よスイス・ロマンド・カンゲン・ガクダン  紀野恵
不逢恋(あはぬこひ)逢恋(あふこひ)逢不逢恋(あふてあはぬこひ)ゆめゆめわれをゆめな忘れそ  紀野恵
橋桁にもんどりうてるこの水はくるしむみづと決めて見てゐる  辰巳泰子
男らは皆戦争に死ねよとて陣痛のきはみわれは憎みゐき  辰巳泰子
うたがはぬ力授かり生まれ来(こ)し君らに母といふ泥の床  辰巳泰子
どう夕焼けていいかわからない空のやう子を抱きどこまでも一人の私  辰巳泰子
いわし雲みな前を向きながれおり赤子を坂で抱き直すかな  吉川宏志
四十になっても抱くかと問われつつお好み焼にタレを塗る刷毛  吉川宏志
窓辺にはくちづけのとき外したる眼鏡がありて透ける夏空  吉川宏志
背を向けてサマーセーター着るきみが着痩せしてゆくまでを見ていつ  吉川宏志
画家が絵を手放すように春は暮れ林のなかの坂をのぼりぬ  吉川宏志
「今日は笑わないから」という友のいて昼のカレーにコロッケ落とす  梅内美華子
泡立てしシャボン溢るる手の平におぼれもせずに顔洗うひと  梅内美華子
大いなる空振りありてこれならばまだ好いていよう五月の男  梅内美華子
ティーパックのもめんの糸を引き上げてこそばゆくなるゆうぐれの耳  梅内美華子
愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人  俵万智
あいみてののちの心の夕まぐれ君だけがいる風景である  俵万智
わからないけれどたのしいならばいいともおもえないだあれあなたは  俵万智
「ゆたゆたと血のあふれてる昏い海ね」くちづけのあと母胎のこと語れり  河野裕子
まがなしくいのち二つとなりし身を泉のごとき夜の湯に浸す  河野裕子
夜の暗渠(あんきょ)みづおと涼しむらさきのあやめの記憶ある水の行く  高野公彦
ビルディングの入(はひ)りの扉うす青く人が押さぬとき死者凭(もた)れをり  高野公彦
ジャージーの汗滲むボール横抱きに吾駆けぬけよ吾の男よ  佐佐木幸綱
孤りとはわれのみなれやそれぞれに満ちたる壜が列なして立つ  篠弘
鳴りいづる電話待つ間(ま)のひとときか心はさやぐ朝のデスクに  篠弘
雪なだれ運ぶ川面のささめきか楽あらたまる春の茶房に  馬場あき子
氷割れて流るるは皆滝なりとふるさとや春の花みつるべし  馬場あき子
どの論理も〈戦後〉を生きて肉厚き故しずかなる党をあなどる  岡井隆
父よ その胸廓(きょうかく)ふかき処(ところ)にて梁(はり)からみ合うくらき家見ゆ  岡井隆
衰えし父を和室に訪(と)わんとしわが手のなかの乾かざる砂  岡井隆
シャンプーの香をほのぼのとたてながら微分積分子らは解きおり  俵万智
砂浜に二人で埋めた飛行機の折れた翼を忘れないでね  俵万智
目薬をこわがる妹のためにプラネタリウムに放て鳥たち  穂村弘
我を遠く離れし海でアザラシの睫毛は白く凍りつきたり  吉川宏志
ふかづめの手をポケットにづんといれ みづのしたたるやうなゆふぐれ  村木道彦
めをほそめみるものなべてあやうきか あやうし緋色の一脚の椅子  村木道彦
水浴ののちなる鳥がととのふる羽根のあはひにふと銀貨見ゆ  水原紫苑
春あさき郵便局に来てみれば液体糊がすきとおり立つ  大滝和子
元旦に母が犯されたる証し義姉は十月十日の生れ  浜田康敬
ここにいる疑いようのないことでろろおんろおん陽ざしあれここ  加藤治郎
まりあまりあ明日(あす)あめがふるどんなあめでも 窓に額をあてていようよ  加藤治郎
歯にあたるペコちゃんキャンディーからころとピアノの上でしようじゃないか  加藤治郎
「東京の積雪二十センチ」といふけれど東京のどこが二十センチか  奥村晃作
胸もとに水の反照うけて立つきみの四囲より啓(ひら)かるる夏  横山未来子
え、という癖は今でも直らない どんな雪でもあなたはこわい  東直子
何気なく顔上げしとき未知の人が凝視を外す瞬間に遭ふ  尾崎左永子
印鑑を押して力を抜くまでのつかの間散漫の心はあらず  尾崎左永子
永遠に不平屋としておれはゐる 濡れし鼻面を寄せる巨犬  岡井隆
ぐろうばりぜいしよん。ぐろうばりながら裡に蒼白く国家を胎む  岡井隆
ぱさと散る大きなる葉のよい香り柏の葉だよと犬に教ふる  馬場あき子
いつもそこで必ず狂ふレコードの瑕のごときを身に持てりけり  蒔田さくら子
透きとほる定規あてつつ名を呼びて除籍者の名に朱線を引けり  篠弘
Tシャツの胸尖らせてひたひたとをとめ五人が質問に来ぬ  篠弘
たちまちに喰ひたひらげて口紅を塗りなほしたる女おそろし  杜澤光一郎
「個人」といふ灯をともせるタクシーが驟雨のなかにまぎれゆく見つ  杜澤光一郎
転倒の瞬間ダメかと思ったが打つべき箇所を打って立ち上がる  奥村晃作
友の家に泊まり目覚めしその部屋にあまたの額の表彰状あり  浜田康敬
立春の日の夜空飛ぶネグリジェの大群明日の天気は晴  佐佐木幸綱
近づいてまた遠ざかるヘッドライトそのたびごとに顔面捨てる  江戸雪
オルゴール芯のいがいがの手触りを思ひつつ古き旋律(メロディー)聴けり  大塚寅彦
昭和というウオッカが壜に三センチ残ったままで捨てられている  大滝和子
こんなこともあるさと言つてゐるような 顔削られし聖人像は  香川ヒサ
静かなる沖と思うに網打ちて海に光を生む男あり  三枝昂之
姉は母にわたしは姉にそろそろと似てゆきいつか縫い合わされむ  道浦母都子
池尻のスターバックスのテラスにひとり・ひとりの小雨決行  斉藤斎藤
瓦礫道 そこに死体があるらしくぼかしをよけて兵士は歩む  吉川宏志
古馴染ふらんす国のぐうたら屋ぷるうすとには茶を差し上げて  紀野恵
充電をしてゐる電気剃刀をひとつの羽虫めぐりてやまず  小池光
古今亭志ん朝の死を新聞は告げ秋冷の便器の白さ  藤原龍一郎
校庭にゆるく鳴りたるオルガンのファの狂いしを生きて来しかも  佐伯裕子
吊るされし作業衣に顔なし手足なしされど膨れてゐるぞ肩肘  時田則雄
「死ぬときは一緒よ」と小さきこゑはして鍋に入りたり蜆一族  小島ゆかり
ゴキブリを紙に包めば触覚の二本がはみでて動くしばしば  吉岡生夫
ウルトラマンは裸なのかと子が問へり湯気うすくなるミルクの前に  坂井修一
耳掻きはたぶん黄泉にては不要ならむ生きをるもののためのこの形  佐藤通雅
唐突に空中へ出てとまどへる水あり瀧と呼ばれるまでの  林和清
一週間ひとと暮らしてまだ旅のはじまりのやうな朝の歯みがき  大口玲子
玄関に靴並びをりみどりごは抱かれくるゆゑまだ靴はなし  高野公彦
あれはどこへ行く舟ならむいつ見ても真つ新なるよ柩といふは  高野公彦
闇の彼方に観覧車青く光りをり死ののちも人間に遊園地あり  佐藤通雅
踊る人伏して泣く人孕む人 市場あふれて朝鮮は冬  福島泰樹
われはなぜわれに生れたる 中年の男の問ふは滑稽ならむ  伊藤一彦
表現に類型はあり人生に類型はなし と言えるかどうか  大島史洋
木を伐れば切り株残り切り株を掘れば掘ったで穴が残りぬ  沖ななも
一滴の雫をたらすこともなく月はめぐりぬ軌道のうえを  沖ななも
さびしさよこの世のほかの世を知らず夜の駅舎に雪を見てをり  河野裕子
一粒ずつぞくりぞくりと歯にあたる泣きながらひとり昼飯を食ふ  河野裕子
褐色の顔をいちまい洗ひ終へ今日といふ日を抹消したり  時田則雄
きらきらときらきらと降る さらさらとさらさらと散る 葉のあたたかさ  三枝浩樹
いつも笑む人といはれてほほゑみぬ白髪ふえゆく頭なでつつ  安田純生
ぎくぎくと床鳴るところをいくたびも踏みつつ楽し独りの夜に  安田純生
門の扉は閉ざされてをり這入らむとするものにのみ閉ざされてをり  香川ヒサ
これはそれそれはあれなりいつさいは問はれなければわかつてゐるが  香川ヒサ
ふところに月を盗んできたようにひとり笑いがこみあげてくる  永田和宏
がんばっていたねなんて不意に言うからたまごごはんに落ちているなみだ  永田和宏
蛍光灯のカヴァーの底を死場所としたるこの世の虫のかずかず  小池光
プリクラのシールになって落ちてゐる娘を見たり風吹く畳に  花山多佳子
そのむかし刀を帯びる集団と丸腰の人がすれ違ひけむ  池田はるみ
雪の吹くひと日は過ぎて外壁に螢光灯のさだまりにけり  阿木津英
叱られて涙出づるはなにゆゑといとけなきは問ふ優しかれよ科学  島田修三
日本のパンまづければアフリカの餓死者の魂はさんで食べる  山田富士郎
ぼくはきみをしばし照らして消えるんだ裸電球みたいにパチリ  山田富士郎
それはこんな顔だったかいとふりむきし女のやうな茹卵むく  吉岡生夫
愛愛愛愛愛愛と八月の波打ちぎはを走るカニたち  吉岡生夫
チエホフに疲れて昼を眠るかな「小役人の死」をかほに被せて  吉岡生夫
くつしたの形てぶくろの形みな洗はれてなほ人間くさし  永井陽子
ひとの死の後片付けをした部屋にホチキスの針などが残らむ  永井陽子
一瞬を絶対的な夏と決めソノノチナガキナガキヒキシホ  藤原龍一郎
吠える犬それは私だ 廃園が廃園と呼ばれる前の私だ  藤原龍一郎
まつむしがまことちんちろりんと鳴くもう一度聴くためのクリック  今野寿美
おぼえてぬっ好きではぬっ時間がぬっ ぬっ ぬっ ぬっと子は会話する  今野寿美
透明な袋に分かつ にんげんが採りて棄てたる樹木と石油  内藤明
はじめより持たざるひとつを喪ひしもののごとくに胸に秘め置く  内藤明
大粒の雨降り出して気付きたり空間はああ隙間だらけと  栗木京子
さす傘に子を引き入れて叱るとき地上に母と子のみになりぬ  中川佐和子
熱帯魚少しずつ減る水槽の中の一匹太りてゆくも  中川佐和子
ラ・トゥールの蝋燭の灯り見て帰り泥鰌のような眠りに入る  中川佐和子
ほんとうにもう行ってしまう子に言いぬ今年の桜が一番きれい  中川佐和子
駐車場となりたる友の家を過ぎわたくしの影また一つ消ゆ  尾崎まゆみ
野獣派のマチスの「ダンス」手を繋ぐときあらはれる人間の檻  尾崎まゆみ
一本の樹が瞑想を開始して倒さるるまで立ちておりたり  渡辺松男
憂鬱なるわれは欅の巨人となり来るクルマ来るクルマひっくりかえす  渡辺松男
夢にわれ妊娠をしてパンなればふっくらとしたパンの子を産む  渡辺松男
まふたつに割れたるわれはずれ始め高さの違う涙をながす  中津昌子
口まで砂のつまりしわれか笑はむとしてひとすぢの砂こぼしたり  中津昌子
この町を愛しすぎたる人ならんバス停として今日も立ちをり  小島ゆかり
大夕焼ばらんばらんと泣くからに奇人変人ほろぼしてはならず  坂井修一
無限から無限をひきて生じたるゼロあり手のひらに輝く  大滝和子
地球儀に唇(くち)あてているこのあたり白鯨はひと知れず死にしか  大滝和子
アンパンマンを怖がりし息子みづからを食はせてしまふ技を見てより  川野里子
鳩のやうな新人銀行員の来て青葉の新興住宅地に迷ふ  米川千嘉子
お軽、小春、お初、お半と呼んでみる ちひさいちひさい顔の白梅  米川千嘉子
受話器まだてのひらに重かりしころその漆黒は声に曇りき  大辻隆弘
ぬばたまのクローン人間いづくにか密かに生るるごとき春寒  大塚寅彦
パンの耳食みつつ聴くは鳥のこゑ天上天下唯我独貧  大塚寅彦
水の底の寺院へ行つて来たよまだ時が睫毛にしづくしてゐる  林和清
参道に玉砂利を踏むこの石のいくつかはかつて誰かの眼球  林和清
見えてゐる世界はつねに連弾のひとりを欠いたピアノと思へ  荻原裕幸
靴を捨つる。スウプのやうな夜の底に。石のぬくみを歩いて渡る  紀野恵
どこまでも嘔吐してふるさくらばな うそでないからこそ罪ぶかい  辰巳泰子
いじめには原因はないと友が言うのの字のロールケーキわけつつ  江戸雪
子を産みし日まで怒りはさかのぼりあなたはなにもしなかったと言う  吉川宏志
秋の雲「ふわ」と数えることにする 一ふわ二ふわ三ふわの雲  吉川宏志
記されし祈りの言葉呟きて祈りに似たることをわがしつ  大口玲子
手を出せば水の出てくる水道に僕らは何を失うだろう  松村正直
声だけでいいからパパも遊ぼうと背中に軽く触れて子が言う  松村正直
だから言わんこっちゃないとの口ぶりの社説を読みてパン二枚食う  松村正直
極刑を求める声の清しさに揺れつつ昼のうどんを啜る  松村正直
満員のスタジアムにてわれは思ふ三万といふ自殺者の数  大松達知
車中にて親指メールする人よ人を思ふとき人はうつくし  大松達知
あふむけに運ばれてゆくあかるさの瞼の外に遠き雲あり  横山未来子
ひとはかつてわが身めぐりを指さして全てのものを名づけたりけり  横山未来子
君の落としたハンカチを君に手渡してぼくはもとの背景に戻った  斉藤斎藤
前肢が崩折れて顔から倒れねじれて牛肉になってゆく  斉藤斎藤
ああ君が遠いよ月夜 下敷きを挟んだままのノート硬くて  永田紅
水打ちて水ほとばしる午過ぎのあわれきりもむごとき性欲  永田和宏
非はわれにあれどもわれに譲れざる立場はありてまず水を飲む  永田和宏
死ぬことを考えながら人は死ぬ茄子の花咲くしずかな日照り  吉川宏志
もし俺が矢であるならば! 矢印の指すことの孤独へ行く日暮なり  佐佐木幸綱
生きているだから逃げては卑怯とぞ幸福を追わぬも卑怯のひとつ  大島史洋
反戦映画見し夕暮は敷石の一つ一つを踏みて帰りき  佐藤通雅
蟹二匹鍋に入れつつ「これレノン、これ由紀夫」と前世判ず  仙波龍英
ごうまんなにんげんどもは小さくなれ谷川岳をゆくごはんつぶ  渡辺松男
言いつのる時ぬれぬれと口腔みえ指令といえど服し難きかも 岡井隆
青林檎与へしことを唯一の積極として別れ来にけり  河野裕子
死にも死はあるのだらうかとつぷんと湯に浸りつつあると思へり  河野裕子
美しく齢を取りたいと言ふ人をアホかと思ひ寝るまへも思ふ  河野裕子
〈花束〉は太平洋を漂へり一つ一つの〈花〉に分かれて  高野公彦
のぼり坂のペダル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」そうだ、どんどんのぼれ  佐佐木幸綱
中年の思想のうえで死んでいるタンポポ詩人、君のことだよ  岡井隆
おばあちゃんお寺なんてみな嘘ですねミトコンドリア・イブのおばあちゃん  渡辺松男
生きて咲く桜むざむざ見上げゐき愚かに受胎し若く捨てにき  河野裕子
みづからの髪と身体を疎み言ひて泣くむすめをばひとり生みにし  花山多佳子
腹が減っては絶望できぬぼくのためサバの小骨を抜くベトナム人  斉藤斎藤
うめぼしのたねおかれたるみずいろのベンチがあれば しずかなる夏  村木道彦
歌は愁ひの器にあらず武器にあらずさくら咲き自づからことばみちくる  尾崎左永子
冬の苺匙に圧(お)しをり別離よりつづきて永きわが弧りの喪  尾崎左永子
世界まだ昏れゆかぬころ膝の上にのせたる顎を涙走りき  岡井隆
母の齢(よわい)はるかに越えて結う髪や流離に向かう朝のごときか  馬場あき子
あね姦す鳩のくくもる声きこえ朝からのおとなたちの汗かき  平井弘
対岸をつまずきながらゆく君の遠い片手に触りたかった  永田紅
うつむいて並。 とつぶやいた男は激しい素顔になった  斉藤斎藤
予備校のポスターに〈本土国立大学進学〉とあり沖縄一九九七年  大松達知
力まかせに布団をたたく音がする、いや布団ではないかもしれぬ  松村正直
日本へ行けばさらに差別をされるかと朝鮮族の学生問ひ来  大口玲子
特急券を落としたのです(お荷物は?)ブリキで焼いたカステイラです  東直子
ブランコの下の大きな水たまり しいんとくらき口を開けいる  中津昌子
地に立てる吹き出物なりにんげんはヒメベニテングタケのむくむく  渡辺松男
おめんとか\n具体的には日焼け止め\nへやをでることはなにかつけること  今橋愛
「水菜買いにきた」\n三時間高速をとばしてこのへやに\nみずな\nかいに。  今橋愛
かみくだくこと解釈はゆっくりと唾液まみれにされていくんだ  中澤系
空くじはないでもたぶん景品は少し多めのティッシュだけだよ  中澤系
糖衣がけだった飲み込むべきだった口に含んでいたばっかりに  中澤系
出口なし それに気づける才能と気づかずにいる才能をくれ  中澤系
カップ焼きそばにてお湯を切るときにへこむ流しのかなしきしらべ  松木秀
核発射ボタンをだれも見たことはないが誰しも赤色と思う  松木秀
偶像の破壊のあとの空洞がたぶん僕らの偶像だろう  松木秀
輪になってみんな仲良くせよただし円周率は約3とする  松木秀
ああ闇はここにしかないコンビニのペットボトルの棚の隙間に  松木秀
シャツに触れる乳首が痛く、男子として男子として泣いてしまいそうだ  しんくわ
我々は並んで帰る (エロ本の立ち読みであれ五人並んでだ)  しんくわ
おにぎりをソフトクリームで飲みこんで可能性とはあなたのことだ  雪舟えま
人類へある朝傘が降ってきてみんなとっても似合っているわ  雪舟えま
憧れの山田先輩念写して微笑(ほほえ)む春の妹無垢(むく)なり  笹公人
中央線に揺られる少女の精神外傷(トラウマ)をバターのように溶かせ夕焼け  笹公人
三億円の話をすると目をそらす国分寺「喫茶BON」のマスター  笹公人
体などくれてやるから君の持つ愛と名の付く全てをよこせ  岡崎裕美子
人形が川を流れていきました約束だからみたいな顔で  兵庫ユカ
でもこれはわたしの喉だ赤いけど痛いかどうかはじぶんで決める  兵庫ユカ
ひよこ鑑定士という選択肢ひらめきて夜の国道を考えあるく  内山晶太
ショートケーキを箸もて食し生誕というささやかなエラーを祝う  内山晶太
わがために塔を、天を突く塔を、白き光の降る廃園を  黒瀬珂瀾
日本はアニメ、ゲームとパソコンと、あとの少しが平山郁夫  黒瀬珂瀾
一斉に都庁のガラス砕け散れ、つまりその、あれだ、天使の羽根が舞ふイメージで  黒瀬珂瀾
サラリーマン向きではないと思ひをりみーんな思ひをり赤い月見て  田村元
封筒に書類を詰めてかなしみを詰めないやうに封をなしたり  田村元
俺は詩人だバカヤローと怒鳴って社を出でて行くことを夢想す  田村元
六面のうち三面を吾にみせバスは過ぎたり粉雪のなか  光森裕樹
あかねさすGoogle Earthに一切の夜なき世界を巡りて飽かず  光森裕樹
ひも状のものが剥けたりするでせうバナナのあれも食べてゐる祖母  廣西昌也
本当に愛されてゐるかもしれず浅ければ夏の川輝けり  佐々木実之
きみが十一月だったのか、そういうと、十一月は少しわらった  フラワーしげる
ねじをゆるめるすれすれにゆるめるとねじはほとんどねじでなくなる  小林久美子
きっときみがぼくのまぶたであったのだ 海岸線に降りだす小雨  正岡豊
雪まみれの頭をふってきみはもう絶対泣かない機械となりぬ  飯田有子
女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて  飯田有子
産めと言ひ殺せと言ひまた死ねと言ふ国家の声ありきまたあるごとし  大口玲子
指からめあふとき風の谿(たに)は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ  大辻隆弘
中年のハゲの男が立ち上がり大太鼓打つ体力で打つ  奥村晃作
鋭い声にすこし驚く きみが上になるとき風にもまれゆく楡  加藤治郎
何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない  河野裕子
わたくしはどちらも好きよミカエルの右の翼と左の翼  紀野恵
退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都  栗木京子
普段着で人を殺すなバスジャックせし少年のひらひらのシャツ  栗木京子
放射能の落とし方説く料理本並びて午後の丸善しづか  栗木京子
The world is mine とひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に  黒瀬珂瀾
かゆいとこありまひぇんか、といひながら猫の頭を撫でてをりたり  小池光
ぼくはただあなたになりたいだけなのにふたりならんで映画を見てる  斉藤斎藤
こういうひとも長渕剛を聴くのかと勉強になるすごい音漏れ  斉藤斎藤
三階を流されてゆく足首をつかみそこねてわたしを責める  斉藤斎藤
撮ってたらそこまで来てあっという間で死ぬかと思ってほんとうに死ぬ  斉藤斎藤
シャンプーの髪をアトムにする弟 十万馬力で宿題は明日  笹公人
さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない  杉崎恒夫
バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ  俵万智
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ  俵万智
フォルテとは遠く離れてゆく友に「またね」と叫ぶくらいの強さ  千葉聡
日盛りを歩める黒衣グレゴール・メンデル一八六六年モラヴィアの夏  永田和宏
ねむいねむい廊下がねむい風がねむい ねむいねむいと肺がつぶやく  永田和宏
人はみな慣れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天  永田紅
「十二階かんむり売り場でございます」月のあかりの屋上に出る  穂村弘
夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう  穂村弘
みずいろのつばさのうらをみせていたむしりとられるとはおもわずに  正岡豊
だめだったプランひとつをいまきみが入れた真水のコップに話す  正岡豊
殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である  枡野浩一
手荷物の重みを命綱にして通過電車を見送っている  枡野浩一
だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け  枡野浩一
さよならをあなたの声で聞きたくてあなたと出会う必要がある  枡野浩一
忘れ物しても取りには戻らない言い残した言葉も言いに行かない  松村正直
脱原発デモに行ったと「ミクシィ」に書けば誰かを傷つけたようだ  三原由起子
花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった  吉川宏志
夕雲は蛇行しており原子炉技師ワレリー・ホデムチュク遺体なし  吉川宏志
綾蝶(あやはべる)くるくるすつとしまふ口ながき琉球処分は終はらず  米川千嘉子
風を浴びきりきり舞いの曼珠沙華 抱きたさはときに逢いたさを越ゆ  吉川宏志
〈女は大地〉かかる矜持のつまらなさ昼さくら湯はさやさやと澄み  米川千嘉子
目がさめるだけでうれしい 人間がつくったものでは空港がすき  雪舟えま
髪の毛をしきりにいじり空を見る 生まれたらもう傷ついていた  嵯峨直樹
3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって  中澤系
シースルーエレベーターを借り切って心ゆくまで土下座がしたい  斉藤斎藤
落ちてきた雨を見上げてそのままの形でふいに、唇が欲し  俵万智
戦争が(どの戦争が?)終つたら紫陽花を見にゆくつもりです  荻原裕幸
ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ  中澤系
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は  穂村弘
しろがねの洗眼蛇口を全開にして夏の空あらふ少年  光森裕樹
たすけて枝毛姉さんたすけて西川毛布のタグたすけて夜中になで回す顔  飯田有子
大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋  俵万智
SMAPと6Pするより校庭で君と小指でフォークダンスを  柳澤真実
こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう  枡野浩一
恋人と棲むよろこびもかなしみもぽぽぽぽぽぽとしか思はれず  荻原裕幸
ぼくたちは勝手に育ったさ 制服にセメントの粉すりつけながら  加藤治郎
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、きらきらとラインマーカーまみれの聖書  穂村弘
小さめにきざんでおいてくれないか口を大きく開ける気はない  中澤系
恋人はいてもいなくてもいいけれどあなたはここにいたほうがいい  伊勢谷小枝子
生き物をかなしと言いてこのわれに寄りかかるなよ 君は男だ  梅内美華子
目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき  穂村弘
明治屋に初めて二人で行きし日の苺のジャムの一瓶終わる  俵万智
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの  俵万智
ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。  穂村弘 
たぶんゆめのレプリカだから水滴のいっぱいついた刺草を抱く  加藤治郎
愛人でいいのとうたう歌手がいて言ってくれるじゃないのと思う  俵万智
天皇が原発をやめよと言い給う日を思いおり思いて恥じぬ  吉川宏志
ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり  穂村弘
廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て  東直子
恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死  穂村弘
紐育空爆之図の壮快よ われらかく長くながく待ちゐき  大辻隆弘
空爆の映像はててひつそりと〈戦争鑑賞人〉は立ちたり  米川千嘉子
雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁  斉藤斎藤
サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい    穂村弘
子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」  穂村弘
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日  俵万智
わけもなく家出したくてたまらない 一人暮らしの部屋にいるのに  枡野浩一
形容詞過去教へむとルーシーに「さびしかつた」と二度言はせたり  大口玲子
今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて  佐藤真由美
カーテンのすきまから射す光線を手紙かとおもって拾おうとした  早坂類
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ  俵万智
「やさしい鮫」と「こわい鮫」とに区別して子の言うやさしい鮫とはイルカ  松村正直
もうゆりの花びんをもとにもどしてるあんな表情を見せたくせに  加藤治郎
電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、って言って言って言ってよ  東直子
「ドラえもんがどこかにいる!」と子供らのさざめく車内に大山のぶ代  笹公人
体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ  穂村弘
この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね  佐藤真由美
たくさんのおんなのひとがいるなかで\nわたしをみつけてくれてありがとう  今橋愛
痩せようとふるいたたせるわけでもなく微妙だから言うなポッチャリって  脇川飛鳥
こんなにも風があかるくあるために調子つぱづれのぼくのくちぶえ  山崎郁子
終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて  穂村弘
ねえ会議ねえまだ会議トナカイのことばでも研究してるのか?  荻原裕幸
▼▼▼▼▼ココガ戦場?▼▼▼▼▼抗議シテヤル▼▼▼▼▼BOMB!  荻原裕幸
春の鶴の首打ちかはす鈍き音こころ死ねよとひたすらに聴く  米川千嘉子
ひとしきりノルウェーの樹の香りあれベッドに足を垂れて ぼくたち  加藤治郎
砂浜のランチついに手つかずの卵サンドが気になっている  俵万智
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら  俵万智
きのうの夜の君があまりにかっこよすぎて私は嫁に行きたくてたまらん  脇川飛鳥
ドアに鍵強くさしこむこの深さ人ならば死に至るふかさか  光森裕樹
アメリカのイラク攻撃に賛成です。こころのじゅんびが今、できました  斉藤斎藤
画家が絵を手放すように春は暮れ林のなかの坂をのぼりぬ  吉川宏志
おれか、おれはおまえの存在しない弟だ、ルルとパブロンでできた獣だ  フラワーしげる
まだ何もしていないのに時代といふ牙が優しくわれ噛み殺す  荻原裕幸
好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君  枡野浩一
「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士  穂村弘
呼吸する色の不思議を見ていたら「火よ」と貴方は教えてくれる  穂村弘
校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け  穂村弘
われらかつて魚なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる  水原紫苑
きらきらと冬木伸びゆく夢にして太陽はひとり泪こぼしぬ  水原紫苑
「また電話しろよ」「待ってろ」いつもいつも命令形で愛を言う君  俵万智
子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え  俵万智
アトミック・ボムの爆心地点にてはだかで石鹸剥いている夜  穂村弘
まつぶさに眺めてかなし月こそは全(また)き裸身と思ひいたりぬ  水原紫苑
名を呼ばれしもののごとくにやはらかく朴の大樹も星も動きぬ  米川千嘉子
にぎやかに釜飯の鶏ゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった  加藤治郎
好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ  東直子
かへりみちひとりラーメン食ふことをたのしみとして君とわかれき  大松達知
誤植あり。中野駅前徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど  大松達知
NO WAR とさけぶ人々過ぎゆけりそれさえアメリカを模倣して  吉川宏志
ひとしきり母の叫びが風に添う 雲のぷあぷあ草のれれっぽ  加藤治郎
言葉ではない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ラン!  加藤治郎
1001二人のふ10る0010い恐怖をかた101100り0  加藤治郎
荷車に春のたまねぎ弾みつつ アメリカを見たいって感じの目だね  加藤治郎
卵産む海亀の背に飛び乗って手榴弾のピン抜けば朝焼け  穂村弘
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった  柳澤真実
生理中のFUCKは熱し\n血の海をふたりつくづく眺めてしまう  林あまり
マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股で鳴らして  加藤治郎
ぼくはただ口語のかおる部屋で待つ遅れて喩からあがってくるまで  加藤治郎
あけがたは耳さむく聴く雨だれのポル・ポトといふ名を持つをとこ  大辻隆弘
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ  俵万智
ばくぜんとおまえが好きだ僕がまだ針葉樹林だったころから  東直子
かたむいているような気がする国道をしんしんとひとりひとりで歩く  早坂類
それなりに心苦しい 君からの電話をとらず変える体位は  佐々木あらら
外に出すのが愛なのか中で出すのが愛なのか迷って出した  佐々木あらら
ママンあれはぼくの鳥だねママンママンぼくの落とした砂じゃないよね  東直子
したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ  岡崎裕美子
逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛に友だちはいない  雪舟えま
牛乳のパックの口を開けたもう死んでもいいというくらい完璧に  中澤系
たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり  河野裕子
いちまいのガーゼのごとき風たちてつつまれやすし傷待つ胸は  小池光
なぜ銃で兵士が人を撃つのかと子が問う何が起こるのか見よ  中川佐和子
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり  永田和宏
サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい  大滝和子
次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く  奥村晃作
サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず  佐佐木幸綱
男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる  平井弘
いずこより凍れる雷のラムララムだむだむララムラムララムラム  岡井隆
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)  栗木京子
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか  河野裕子
二日酔いの無念極まるぼくのためもっと電車よ まじめに走れ  福島泰樹
するだろう ぼくをすてたるものがたりマシュマロくちにほおばりながら  村木道彦
さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり  馬場あき子
青春はみづきの下をかよふ風あるいは遠い線路のかがやき  高野公彦
雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ  小池光
豚の交尾終わるまで見て戻り来し我に成人通知来ている  浜田康敬
ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く  奥村晃作
べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊  永井陽子
キシヲタオ・・シその後(のち)来んもの思(も)えば夏曙の erectio penis  岡井隆
蒼穹(おほぞら)は蜜(みつ)かたむけてゐたりけり時こそはわがしづけき伴侶  岡井隆
夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん  馬場あき子
みどりごは泣きつつ目ざむひえびえと北半球にあさがほひらき  高野公彦
ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり  永井陽子
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が  河野裕子
たつたこれだけの家族であるよ子を二人あひだにおきて山道のぼる  河野裕子
あはれしづかな東洋の春ガリレオの望遠鏡にはなびらながれ  永井陽子
ホメロスを読まばや春の潮騒のとどろく窓ゆ光あつめて  岡井隆
産むならば世界を産めよものの芽の湧き立つ森のさみどりのなか  阿木津英
ねむる鳥その胃の中に溶けてゆく羽蟻もあらむ雷ひかる夜  高野公彦
あの胸が岬のように遠かった。畜生! いつまでおれの少年  永田和宏 
飛ぶ雪の礁氷(うすひ)をすぎて昏(くら)みゆくいま紛れなき男のこころ  岡井隆
あかるさの雪ながれよりひとりとてなし終の敵、終なる味方  三枝昴之
スバルしずかに梢を渡りつつありと、はろばろと美し古典力学  永田和宏
廃駅をくさあぢさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり  小池光
催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり  道浦母都子
梨を剥くペティ・ナイフしろし沈黙のちがひたのしく夫(つま)とわれゐる  松平盟子
目にせまる一山の雨直(すぐ)なれば父は王将を動かしはじむ  坂井修一
ブラウスの中まで明るき初夏の陽にけぶれるごときわが乳房あり  河野裕子
真に偉大であった者なく三月の花西行を忘れつつ咲く  三枝昴之
しんしんとひとすぢ続く蝉のこゑ産みたる後の薄明に聴こゆ  河野裕子
君のこと想いて過ぎし独房のひと日をわれの青春とする  道浦母都子
しかたなく洗面器に水をはりている今日もむごたらしき青天なれば  花山多佳子
ゆふぐれに櫛をひろへりゆふぐれの櫛はわたしにひろはれしのみ  永井陽子
水族館(アカリウム)にタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器  坂井修一
ヘイ龍(ドラゴン)カム・ヒアといふ声がする(まつ暗だぜつていふ声が添ふ)  岡井隆
白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり  高野公彦
母の内に暗くひろがる原野(げんや)ありてそこ行くときのわれ鉛の兵  岡井隆
眠られぬ母のためわが誦(よ)む童話母の寝入りし後王子死す  岡井隆
侵攻はレイプに似つつ八月の涸谷(ワジ)越えてきし砂にまみるる  黒木三千代
大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり  花山多佳子
どこまでが空かと思い結局は地上スレスレまで空である  奥村晃作
都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ  馬場あき子
これなにかこれサラダ巻面妖なりサラダ巻パス河童巻来よ  小池光
庭先でゆっくり死んでゆくシロがちょっと笑った夏休みです  佐々木あらら
ひとりでに落ちてくる水 れん びん れん びん たぶんひとりでほろんでゆくの  蒼井杏
午後ずっと猫がふざけて引きずった魚のまなこが見上げる世界  ユキノ進
容疑者にかぶされているブルゾンの色違いならたぶん、持ってる  鈴木美紀子
宛先も差出人もわからない叫びをひとつ預かっている  奥田亡羊
アトミックボム、ごめんなさいとアメリカの少年が言うほほえみながら  加藤治郎
とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ  雪舟えま
ペガサスは私にはきっと優しくてあなたのことは殺してくれる  冬野きりん
こんとんにこんとんの鬱こんとんの怒りありいとかなし渾沌  馬場あき子
みちしほの松川浦や数千の人のまぼろしみな陸を向く  秋葉四郎
住みながらこの国だんだん遠くなるてんじんさまのほそみちのやう  馬場あき子
遠見よし遠見よし春は 野への道ひとり行きつつ招かれてをり  伊藤一彦
思川(おもひがは)の岸辺を歩く夕べあり幸うすかりしきみをおもひて  小池光
一日が過ぎれば一日減つてゆくきみとの時間 もうすぐ夏至だ  永田和宏
鳥の見しものは見えねばただ青き海のひかりを胸に入れたり  吉川宏志
瞬間を永遠とするこころざし無月(むげつ)の夜も月明(あ)かき夜も  岡井隆
眼前に落ちて来たりし青柿はひとたび撥ねてふたたび撥ねず  小池光
婦人用トイレ表示がきらいきらいあたしはケンカ強い強い  飯田有子
電車のなかでもセックスをせよ戦争へゆくのはきっときみたちだから  穂村弘
だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし  宇都宮敦
牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコをふつうに好きだ  宇都宮敦
鎌倉で猫と誰かと暮らしたい 誰かでいいしあなたでもいい  佐藤真由美
毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである  枡野浩一
無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分  枡野浩一
気づくとは傷つくことだ 刺青のごとく言葉を胸に刻んで  枡野浩一
夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで  仙波龍英
ひら仮名は凄(すさま)じきかなはははははははははははは母死んだ  仙波龍英
ぼくのサングラスの上で樹や雲が動いてるって うん、いい夏だ  加藤治郎
白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる  俵万智
桃太郎と金太郎と勝負することなしされどああ少し金太郎好き  馬場あき子
ほんとうはあなたは無呼吸症候群おしえないまま隣でねむる  鈴木美紀子
年下も外国人も知らないでこのまま朽ちてゆくのか、からだ  岡崎裕美子
もちあげたりもどされたりするふとももがみえる\nせんぷうき\n強でまわってる  今橋愛
全存在として抱かれいたるあかときのわれを天上の花と思わむ  道浦母都子
夜道ゆく君と手と手が触れ合ふたび我は清くも醜くもなる   栗木京子
焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き   俵万智
もろもろの愛憎はもうどうでもよし小さくなりたる母ふたりあり  小島ゆかり
死ぬまへに孔雀を食はむと言ひ出でし大雪の夜の父を怖るる  小池光
鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云(い)ふでもこれでいいよねと云ふ  光森裕樹
たはむれに釦(ぼたん)をはづす妹よ悪意はひとをうつくしくする  荻原裕幸
犬はいつもはつらつとしてよろこびにからだふるはす凄き生きもの  奥村晃作
蚊に食われし皮膚もりあがりたるゆうべ蚊の力量にこころしずけし  内山晶太
急行を待つ行列のうしろでは「オランウータン食べられますか」  大滝和子
めざめればまたもや大滝和子にてハーブの鉢に水ふかくやる  大滝和子
然(さ)ういへば今年はぶどうを食はなんだくだものを食ふひまはなかつた  奥村晃作
アラン・ドロンの眉間の皺はうつくしく眉間の皺のアラン・ドロンよ  加藤治郎
ふらんす野武蔵野つは野紫野あしたのゆめのゆふぐれのあめ  紀野恵
きがくるうまえにからだをつかってね かよっていたよあてねふらんせ  穂村弘
メルトダウンに最も近いパチンコ屋で浜崎あゆみを2千円打つ  斉藤斎藤
ゆるきやらの群るるをみれば暗き世の百鬼夜行のあはれ滲める  馬場あき子
ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける  雪舟えま
ふたりだと職務質問されないね危険なつがいかもしれないのに  雪舟えま
膝くらくたっている今あとなにを失えばいい ゆりの木を抱く  江戸雪
朝庭に空き瓶を積むひびきして陽ざし触れあふごときその音   大辻隆弘
子を乗せて木馬しづかに沈むときこの子さへ死ぬのかと思ひき  大辻隆弘
角砂糖ガラスの壜に詰めゆくにいかに詰めても隙間が残る  香川ヒサ
修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ   笹公人
むかし野に帰した犬と再会す噛まれてもなお愛しいおまえ  笹公人
眼鏡屋は夕ぐれのため千枚のレンズをみがく(わたしはここだ)  佐藤弓生
ピザパイの中にときどきG♯7があり噛みくだけない  西田政史
水槽にグッピーの屍のうかぶ朝もう空虚にも飽きてしまつた  西田政史
おねがいねって渡されているこの鍵をわたしは失くしてしまう気がする  東直子
そうですかきれいでしたかわたくしは小鳥を売ってくらしています  東直子
おれをみろおれをわらえすっきりしろおれはレスラーだ技はあまり知らない  フラワーしげる
あなたが月とよんでいるものはここでは少年とよばれている  フラワーしげる
きみが十一月だったのか、そういうと、十一月は少しわらった  フラワーしげる
きみが生まれた町の隣の駅の不動産屋の看板の裏に愛の印を書いておいた 見てくれ   フラワーしげる
へたなピアノがきこえてきたらもうぼくが夕焼けをあきらめたとおもえ  正岡豊
きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある  正岡豊
ハンバーガーショップの席を立ち上がるように男を捨ててしまおう  俵万智
一度だけ「好き」と思った一度だけ「死ね」と思った 非常階段  東直子



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

2019年02月13日

あたらしい短歌bot @tanka_1980 を作成しました

いくつかの短歌botについて
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52137591.html
の記事の関連です。








2013年から短歌botをつくっています。

近代短歌bot @kindaitanka
近現代短歌bot @tankanobot
現代短歌bot @gendai_tanka

といった時代別の短歌botをつくってきましたが、あたらしい仲間が増えました。



2019年2月11日

「あたらしい短歌bot」 @tankabot_1980
を作成いたしました。1980年以降に生まれた歌人の作品を中心に収録したbotです。

山田航『桜前線開架宣言』
佐藤弓生、千葉聡、東直子『短歌タイムカプセル』
のほかに歌集や総合誌や新人賞作品を参照して歌を選びました。

よろしくお願いいたします。







さて、もう少しくわしくまとめます。
これらは作者の生年によって分けられています。

1861-1902年生まれ
◆近代短歌bot
(主に明治・大正から戦後に活動した歌人たち)


1903-1945年生まれ
◆近現代短歌bot
(主に昭和のはじめから平成に活動した歌人たち)


1946-1979年生まれ (+昭和生まれの存命の歌人)
◆現代短歌bot
(主に昭和後期・平成のはじめから活動していて、これからもしばらくは活動していくであろう歌人たち)


1980年以降の生まれ
◆あたらしい短歌bot
(主に平成の後半から活動していて、これからまだまだ活動していくであろう歌人たち)



生年に注目しますと、だいたい40年刻みになります。

1902年生まれまでが近代というのは小高賢さんの本にしたがいました。それ以外はこちらで線を引きました。







さらに、主な歌人でまとめてみましょうか。

◆近代短歌bot
→与謝野晶子、石川啄木、北原白秋、斎藤茂吉、土屋文明など


◆近現代短歌bot
→佐藤佐太郎、塚本邦雄、寺山修司、葛原妙子など


◆現代短歌bot
→佐佐木幸綱、永田和宏、穂村弘、俵万智など


◆あたらしい短歌bot
→笹井宏之、木下龍也、大森静佳、永井祐など



だいたいイメージがついてきたでしょうか。
まあ、実際にフォローしてみれば作品を通して見えてくるかとおもいます。


「botで見る短歌史」といったものを漠然と考えています。
短歌に興味ある人たちがツイッターで気軽にいろんな世代の歌人の短歌を読めるようなったら楽しいかなーということで、まずは整備をすすめています。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

2019年02月11日

「現代短歌bot」などいくつかの短歌botについて

Screenshot_2018-05-31-20-15-22-1






オレ・工藤吉生はTwitterの短歌botを複数管理している。



▼有名な短歌 @tankabot1

銀の卵アイコン。2013.6.13作成。

このような経緯で作成した。
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52215414.html?ref=popular_article&id=3393699-293148

とにかく有名な歌を集めた。ただし新しい歌を入れることには慎重。

よく見かける歌を収録した。
また、岡井隆・永田和宏・馬場あき子・穂村弘『新・百人一首 近現代短歌ベスト100』を参考にした。
近世以前の歌については井上宗雄・武川忠一編『和歌の解釈と鑑賞事典』を参考にした。
古典、近代、現代、すべての時代にわたって収録。

2015.8.7
古典を中心に歌を追加。

2018.5
何度かに分けて歌を入れ替えた。誤字を直した。

2019.2
「名歌を集めた短歌BOT」から「有名な短歌」に名前を変更

収録歌一覧
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52215320.html




▼近現代短歌bot @tankanobot

赤っぽい色の卵アイコン。2013.6.9作成

小高賢編著『現代の歌人140』を中心に現代短歌を収録したbot。近代は有名な歌を数十首入れていた程度。

2015.8.8
近代短歌を追加。その際、井上宗雄・武川忠一編『和歌の解釈と鑑賞事典』を参考にした。
「名歌を集めた短歌BOT(有名な短歌)」との重複を避けた。そのため有名な歌は少なく、やや渋い内容。

2017.11.14
「戦後短歌bot」消失にともない、データをこちらに移した。ツイートの頻度が上がり、歌が増えた。

2018.5,31
「現代短歌bot」のなかの比較的古い歌をこちらに移した。
また、比較的新しい歌をここから「現代短歌bot」に移した。

2018.6.1
「近代短歌bot」と重複する歌を削除。
対象が明治36年~昭和二十年代生まれの歌人となった。

2018.6.5
「現代短歌bot」と重複する歌を削除。
対象が明治36~大正生まれの歌人+昭和1-20年生まれで亡くなっている歌人
というふうになった。




▼現代短歌bot @gendai_tanka

水色の卵アイコン。2014.1.29作成

小高賢編著『現代短歌の鑑賞101』を中心に現代短歌を収録した。

2015.8.10
井上宗雄・武川忠一編『和歌の解釈と鑑賞事典』から現代短歌を追加。
こちらも「名歌を集めた短歌BOT」との重複は避けた。

2018.5,31
「近現代短歌bot」のなかの比較的新しい歌をこちらに移した。
また、比較的古い歌(戦前生まれで亡くなっている歌人、大正以前の生まれの歌人の作品)をここから「近現代短歌bot」に移した。

山田航編著『桜前線開架宣言』を参考に、1970年以後に生まれた歌人の作品を追加した。
千葉聡・東直子・佐藤弓生編著『短歌タイムカプセル』を参考に、歌を追加した。

対象は戦後生まれの歌人+存命の歌人となった。

2018.6.3
「名歌を集めた短歌BOT(有名な短歌)」との歌の重複を避けると有名な歌がなくなって不自然だと思い直し、有名歌を追加した。

2019.2.11
「あたらしい短歌bot」作成にともない、1980年以降に生まれた歌人の作品は削除。



収録歌一覧
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52215983.html



▼近代短歌bot @kindaitanka

黄色い卵アイコン。2014.8.14作成

小高賢編著『近代短歌の鑑賞77』から近代の短歌を収録。




▼戦後短歌bot @sengotanka

赤茶色の卵アイコン。2015.7.29作成

篠弘『現代短歌史Ⅰ 戦後短歌の運動』から昭和20-25年ごろの歌を収録。

2017年に凍結。データを「近現代短歌bot」に移した。



▼あたらしい短歌bot @tankabot_1980

1980年以降に生まれた歌人の作品を収めた。
みどりの卵アイコン。2019.2.11作成。



▼▼▼



【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。

2018年4月のオレの短歌とその余談 https://note.mu/mk7911/n/n312ada1a7ec2


未来賞をいただいて、いま書きたいこと
https://note.mu/mk7911/n/n0b1f389aea2f



などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

短歌bot「有名な短歌」について

b7717b07.jpg
















2013年の6月くらいにいくつか短歌のbotをつくりました。botのつくりかたを覚えたからもっと作ってみたくなったのもあるし、短歌botというものの現状に満足してなかったんです。

それまでは、個人の短歌bot以外(いわゆるアンソロジーの短歌bot)だと、
パンダの人形のアイコンの「短歌のbot」
「夜空の短歌bot」
「短歌の勉強」
っていうのがツイッター上の主な短歌のbotだったんですよ。
で、それらが拾いきれてないものが大きいんじゃないかとオレは思ったんです。


もっとも単純な「有名な短歌をツイートするbot」がどこにも無いということが、どうにも気になってきたんです。そこで、自分で作ることにしたんです。

そこでできたのが「有名な短歌」@tankabot1 です(はじめは「名歌を集めた短歌BOT」という名前でした)。


有名な歌をかき集めるのはけっこう大変でした。当時が歌歴2年弱で(今だってたった7年ですけど)資料も知識もそんなにないわけです。作るぞという気持ちだけはありました。





参考にしたのが、
岡井隆・永田和宏・馬場あき子・穂村弘『新・百人一首 近現代短歌ベスト100』

井上宗雄・武川忠一編『和歌の解釈と鑑賞事典』

小高賢さんの三冊『近代短歌の鑑賞77』『現代短歌の鑑賞101』『現代の歌人140』





どうやら、短歌にちょっと興味がある、というくらいの人がフォローしてくださるようです。このbotが短歌への入り口になっているんですね。



短歌botというのは「わたしの好きな歌」を入れるのが普通なんですよ。それなのにオレはそうしていない。「有名かどうか」が基準になっている。そこが変わっているんです。

「有名であること」が「わたしの好きなこと」なのかもしれないと、ふと考えたりもします。



有名な短歌かどうかをはかる基準をどうするか、というのが難しいんです。

一つは「自分にとって馴染み深いか」、

二つは「名歌を紹介している本に掲載されているか」

三つ目は
「Googleに途中まで入力すると続きがでてくるか」です。
https://t.co/tlBNcnUyB6



そういう思いで作っているアカウントなので、ツイッターをやっている方はどうぞ @tankabot1 をフォローしてみてくださいね。


んじゃまた。





▼▼▼



【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。

2018年4月のオレの短歌とその余談 https://note.mu/mk7911/n/n312ada1a7ec2


未来賞をいただいて、いま書きたいこと
https://note.mu/mk7911/n/n0b1f389aea2f



などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

2019年02月10日

[歌集読む 191] 北山順子『マトリョーシカの涙』

IMG_20190210_190231



歌集読む 191冊目。


北山順子さんの『マトリョーシカの涙』を読みました。ふらんす堂。第二歌集。2018年12月。 https://t.co/n4WusDZEKE



歌評には人生評も含まれて雨音ぽつぽつ窓の外見ゆ/北山順子『マトリョーシカの涙』
→雨ではなく雨音を見ているというところにひとつ工夫がある。ひょっとすると、このぽつぽつとした雨には涙が重なっているのかもしれない。歌会の席で、歌を通して人生にまで口を出されるのは、時にはつらいことだ。



何もかも忘れて眠りなそうやって誰かを寝かせることはあるのか/北山順子『マトリョーシカの涙』
→中島みゆきの「アザミ孃のララバイ」みたいな世界だ。創作には出てくるけど実際に経験しないものってけっこうある。バナナの皮ですべるとか、取調べ室でカツ丼食うとか。そんななかでもこれは悲しみの重さがある。



73ページに「とう」と「という」が両方でてくる。これは気になる。
「生きてるだけでいいとう人に」「好きだという人たしかいたっけ」
字数合わせに見えると損する。口語に寄っているので「という」のほうが自然かなあ。



「消えたい」も一つの欲であることに気づいてしまう氷点下の朝/北山順子『マトリョーシカの涙』



「ステキな恋の忘れ方」を訊くように上手な開き直り方を訊く/北山順子『マトリョーシカの涙』

→下手な開き直りと、上手な開き直りって何が違うんだろう。下手だと醜く見えるとか? 人の悩みは変化してゆく。忘れたり開き直ったりしながら。



神のみぞ知ると言うけど誰か一人ぐらいは知ってるような気がする/北山順子『マトリョーシカの涙』



心だけ旅に出ている母の背にメダカの餌はやったかと訊く/北山順子『マトリョーシカの涙』

→具体がきいてると歌が良くなるもので、この「メダカの餌はやったか」が面白い。遠くへの旅から、身近のちっちゃいものへ引き戻される。



死ぬまでにやりたいことのひとつには摑み合いの喧嘩ってのがある/北山順子『マトリョーシカの涙』
→「ってのがある」がちょっと喧嘩っぽい口調なのがたのしい。
子供のころにはやったことあるけど、言葉がでないから手がでてしまうわけで、楽しいものではなかったなあ。



世の中が凍っていると思うのは電信柱と私だけかい
「この世からポストが消えても覚えていて」直立のままポストは言えり
/北山順子『マトリョーシカの涙』

→電信柱であったり、郵便ポストであるとかと通じあっている。
二首目の「直立のまま」。当たり前のことをあえて言うことで、違う姿勢もあるような気がしてくる。
この電信柱とかポストとの関係というのは、歌集名になっている歌
悲しいと悲しいことしか見えなくてマトリョーシカと私の涙/北山順子『マトリョーシカの涙』
のなかでマトリョーシカの目に涙を見ることと共通している。
通じあっていると書いたけど、「私」の感じていることがモノにもあらわれている。私が思ったことを電信柱も思い、私が泣けばマトリョーシカも泣く。そういう関係。

帯の歌とか、解説の前田さんの引いた歌とほとんど重ならなかったんだなあ。電信柱の歌だけ共通していた。編年体になっていて、歌が少しずつ変化していく。

以上です。この本おわり。





▼▼▼

【こっちもおすすめ】

noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




一枚の年賀状を見て考えた
https://note.mu/mk7911/n/n5e11b36a2ce8

依頼こなし日記 2018.12/24-12/29
https://note.mu/mk7911/n/n4f9df883d21c

2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。








このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
mk7911 at 19:03|PermalinkComments(0)歌集読む 

2019年02月08日

{短歌の本読む 122-2}新世紀青春歌人アンソロジー『太陽の舟』を読む【後編】

IMG_20181203_214406





新世紀青春歌人アンソロジー『太陽の舟』つづき。


21/42(収録歌人42人のうち21人目)
携帯に出られなかったことでもうきみを失いはじめてしまう
/笹岡理絵「ナチュラル・ヴォイス」


二十一人目。
こういう感覚はわかる。すぐにもだめになってしまいそうな、不安のある関係。性行為の歌も多いけど、こういう歌が響いた。



22/42
豆腐屋は我が脳よりもやはらかききぬごし豆腐を水より掬ふ

やはらかく結びしゆゑに君の手の甲にほどけて来たる包帯

白夜といふどうしようもなき明るさのごとき思ひに人を恋ひをり
/佐々木実之「日想」


22人目。
一首目、脳を比較の対象にしたことで、脳をすくわれたような錯覚がうまれる。二首目はほんとうの優しさを問いかけてくるようだ。



23/42
愛よりもたしかに伝わるコンピュターウィルスしずかにわが部屋に来る

ビックバード菜の花畑に隠れよう評価の視線などふりきって
/佐藤晶「この星の水位」


23人目。
「コンピュター」とか「ビック」の表記が気になるが、こう書いてある。
二首目、子供番組に出てくるビッグバードは真っ黄色だから菜の花畑にいるとうまく隠れられる。評価の視線、から逃げている。エルモやクッキーモンスター達も逃げているのか。



24/42
海の街発ちて何処へ帰りゆく回送電車の窓くらきまま
/鹿野氷「次からはちがう波」


24人目。
しずかでさびしいところがいい。



25/42
完成も間近きビルのエレベーター二基が並んで交はす約束

天体を敬称つけて呼ばふことあはれ湯船に毛が浮いてゐる
/清水寿子「無認可水族館・ピラミッド型」


25人目。
一首目、かけっこの前に女子が「一緒に走ろう」みたいなことを言うのを想像した。
二首目、太陽や月には敬称がつけられるけど、よく見えるからかな。天体から毛、という変化の大きさよ。「あはれ」は前半にも後半にもかかってるのか。



26/42
26人目
高山雪恵「出奔」は、好きになってから別れるまでを60首で描いている。遅刻ぐせとかギャンブルで愛想をつかしたのがわかる。引きたい歌はない。



27/42
ひとつずつ脱がされながら目を閉じてなくしたものを数えてみてた

ダメになる予感はいつも突然でしゃがんだままで空を見ている
/田中美咲希「夜の屋上」


27人目。
加藤千恵さんっぽいなあと感じながら読んだが、加藤千恵さんぽさとはなんなのかっていうのはつかみきれていない。

近況欄と略歴に、なぜか同じ文章が載っている。でもよく見ると一ヶ所ちがう。「中城ふみ子賞の入選を頂く」と「中城ふみ子賞の佳作となる」のところ。



28/42
老いたれば溜め息長くなることも数学者より聞きて初雪

秋逝きぬ光の速さの測定にガリレオが失敗し続けた季節

暖かく如月すでに過ぎんとしずるい感じの雨が降りだす
/棚木恒寿「ぎんがみ色に昇る月」


28人目。
季節のわかる歌ばかりになった。
一首目、それって数学の分野なのか。略歴からは作者が数学教師とわかる。老いと初雪の組み合わせ。
二首目。ガリレオが測定しようとしたのは、秋の光だったのか。これ好きだなあ。



29/42
私がだんだん強くなるみたい 先頭車両でレールを見つめる

雨の日が好きになってるはなせないこいをしているこのごろなれば
/千坂麻緒「指先にとまる鳥」


29人目。
「未来」で活躍している方ですね。
自分のちょっとした変化をすくいとった二首。二首目の「はなせない」は「話せない」「離せない」どちらなのか、両方なのか。



30/42
両替機を出で来し硬貨てのひらのうへに冷たきこのゆふべかも
/月岡道晴「ゆきあかり」

30人目。
以前この方の歌集『とりよろへ山河』をこのブログでとりあげたことがあった。このころはまだ歌集が出ていない。



31/42
パレットにしつこくこびりついている絵の具でむりやり描く自画像

□ シルバニアファミリーかわいがったけど飼育当番さぼりたかった
/當麻智子「二〇〇六年の作品」


31人目。
直接は書かれてないけど学校を舞台にした作品なんだね。
後半の「りんごのマーク」はチェックリストになっている。チェックするための「□」が各歌の最初についている、工夫ある作品。



32/42
奪われた想い出たちが浮かぶ夜 禅寺・かぼちゃ・水玉・ピカソ
/中川佳南「ひと恋う水」


32人目。
「吉原ソープ嬢歌人」だそうだ。バニーガールの写真におどろく。
検索したら一番上にでてきた黒田英雄さんのブログ記事を貼っておく。
https://t.co/NRcYd6tSm6

元オウム信者の夫とか、虐待とか、とにかくセンセーショナルなことが、歌の外側には次々出てくる。
オレが引ける歌はこの一首。脈絡ないような羅列が、この人にとっては「奪われた想い出」なのだ。



33/42
真夜中に目が覚めたとき僕にだけどこかで水の湧く音がする
/縄田知子「アプリコット・ジャム」


33人目。
いろんなことを書いてて、おもしろそうで、でもなんか深いところまで届いてこないというか、そういう印象の歌がならぶ。



34/42
解体が終わった中央病院に広がるひどく濃い水溜まり

喉元に雲湧き上がる感覚を思い出そうとして夕迷い
/本多忠義「柔らかすぎる雪のことなど」


34人目。
今も「かばん」にいる方ですね。一首目、「ひどく濃い」のは水溜まりに何が含まれているのか、もしかして血じゃないかと、「病院」から想像してしまう。



35/42
師の顔を踏みつけるのが恩返しプロレスラーの業のかなしさ
/宮坂亨「辺野古を守る、それから」


35人目。
タイトル通りの内容の歌ばかりだったら一首も引けなかったと思う。



36/42
その昔シチリアの星だったかもしれない梅干口に転がる
/三宅勇介「黄色いコブザーリ」


36人目。
サルトルとかベケットがでてくる。ベケット、けっこう読んだんだけどなあ。



37/42
七歳は時計の見方をまづ学びこのうつし世に組み込まるるか
/矢島るみ子「ゆぶゆぶぷっくり」

37人目。



38/42
日だまりの中で聞きいるオルゴール寂しき音で午後を奏でり

大粒の濃い紫の巨峰食(は)む冥王星が惑星ではなくなった夜
/横尾湖衣「歌の小箱」


38人目。
二首目、内容よりも強引な字余りがよかった。「巨峰」と大粒の濃い紫の葡萄は同じものなんだから余計といえば余計だけども。



39/42
絶望は見飽きた 失望も――魚は雨が降ることを知っているのだろうか
/渡邊啓介「四月の歌」


39人目。
写真の顔に似合う作風だと思った。「――」と「……」と一字あけが多い。



40/42
後輪を外す自転車友と乗り速度涼しき夏駆け抜ける
/渡邊琴永「玉響(たまゆら)」


40人目。
「歌がかつんと固い殻を持っていて、なじむまでに少し時間がかかる」と解説に書いてあり、同感。
どうしても57577にしっかり確実に収めようとした結果、分かりにくい言い回しになってるんじゃないだろうか。漢字にできるものすべて漢字にしているのも硬い印象につながる。



41/42
41人目は渡辺理紗「kafu ―花譜―」。
すべての歌に花がでてくる。引きたい歌はない。



42/42
ひざの上(へ)につつみをのせてこしかるく少女はかかとをうかせてをりぬ
/由季調「千屡果」

最後、42人目。
今度はひらがなが多い人だ。
少女の少女っぽさが出てるなあと思って丸つけた。







あとは巻末に解説がある。それぞれ何首か引いてコメントがつけられている。参加者の今後に期待する言葉が多く見られた。

ただ、こちらは2007年に今後の活躍を期待された彼らの「今後」が少しわかってるわけです。2011年に短歌を始めたオレには42人中30人が名前も聞いたことない歌人だったわけです。知らない面白い人もいたけども。知らないからワクワクできたっていう面がある。
ともかくいろんな人がいて、福袋みたいな本だった。


子供ならともかく、すでに何年もやってる歌人がこれから右肩上がりに成長・発展・進化していくって考えるのはちょっと厳しい。生きて短歌を続けていくだけでもたいしたことよ。若いから今後がどうこうじゃなくて、目の前の歌だよって、いつも思う。

三首以上引いたのはおもしろかった方です。振り返ってみると10人目の大橋麻衣子さんが抜きん出て良かったです。

以上です。んじゃまた。




▼▼▼

【こっちもおすすめ】

noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




一枚の年賀状を見て考えた
https://note.mu/mk7911/n/n5e11b36a2ce8

依頼こなし日記 2018.12/24-12/29
https://note.mu/mk7911/n/n4f9df883d21c

2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

2019年02月06日

{短歌の本読む 122-1} 新世紀青春歌人アンソロジー『太陽の舟』を読む【前編】

IMG_20181203_214406



『新世紀青春歌人アンソロジー 太陽の舟』を読みました。

『新世紀青春歌人アンソロジー 太陽の舟』は2007年に北溟社からでた本。
42人の歌人(1968~1984年生まれ)による自選60首が載っている。作者名アイウエオ順。解説が山下雅人、さいかち真。

とても大胆で、わくわくする本だった。おおいに楽しんだが、大胆であることは、失敗も多いということだなと思った。


『太陽の舟』の収録歌人42人のうち、オレが名前を知っていたのは12人だけだった。

帯の「これでも短歌か!」はべつに大げさではなくて、そう思っちゃうようなものも含まれている。
「1970年以降に生まれた」と帯にあるけどそれは間違いで、1968年生まれの歌人が複数人いる。もっとも若いのは1984年生まれ。







1/42(42人のなかの1人目)
来た道を振り返ってみればわたしなど通らなかったと手を振るススキ

ほっぺたの小さいキズは今はもう治っているんだろう、とか思う
/朝倉美樹「ひとり」


自選60首にはそれぞれタイトルがついていて、短い文章と略歴もある。

ススキが手を振るけど、別れの挨拶ではなく、否定の意味で手を振っているんだろう。



2/42
水溜り飛び越すことに失敗しそのまま消えていった少年
/天野慶「手紙に咲く花/最初の花火」

二人目が天野慶さん。見たことある歌がけっこうある。
略歴がたくさん書いてある。ほかの人は数行だけど、16行ある。路上で歌集を販売とか、Flashアニメーションと短歌のコラボレーションユニットとか、広く活動しているのがわかる。



3/42
ぎこちなく玄関の壁にもたれてる雪を蹴とばしたりしたブーツ

隣室の雛人形とわたしだけふくらむ花の音を聴く夜

子は母に母はコートに包まれて陽が立ち止まる駅のベンチに
/天野陽子「袋小路の図書館」


三人目。北海道の方だそうだ。
一首目、雪を蹴とばしていたブーツも、脱がれてしまえばもたれているのがやっとだ。
二首目、隣室にありながら雛人形に存在感がある。
三首目、こういう歌を見るとやさしい気持ちになってくる。



4/42
お気に入りのフォークは根まで飲みこまれ腐葉土のようなガトー・ショコラに

乙女座、けんこううんぜっこうちょう 山羊座、はやくしんでください

ペットボトルのフタになっちまえオレなんか! 世界はもう腕の長さだけしか
/今村章生「流星塵(作品群 二〇〇四─二〇〇六)」


四人目。
もしかしてと思って調べたら、この方は山羊座だ。予想通りで、ほくそ笑んでしまった。
三首目、よくわからない自分への怒りだ。お前なんかブタになれ! という悪口ならば童話で見たことあるけど、ブタじゃなくてフタだ。



5/42
スーパーでトマトを選ぶ真剣に最も私に似ているものを
/上原康子「無憂樹の下」


五人目。
自選60首は四つの部分に分かれている。仏教、生活、プロレス、生活、といった内容。
60首をどのように構成するか、というところにも注目できる本だ。それは自選ならではのポイントだ。



6/42
夭逝といばらのごとき悲運とをあくがれやまぬ少女でありき

悲し哀しかなかな愛し尖りゆくわが乳吸ひつつ母恋ふる君
/内田彩弓「曼珠沙華」


六人目。
美意識、ってこういうときに言えばいいのか。そういうのを感じる。なんて言ったらいいんだ、この雰囲気。
終盤には亡くなった犬についての歌が並んでいる。



7/42
愛された記憶がないと言う人に背中合わせに愛を告げにき
/大石聡美「おまえと俺が一人なら」


七人目。
鍵括弧やパーレンの多い一連。
「自分自身が、血が流れるように思った体験を基にした恋の歌や恋の詩、それしか歌えない」と書いている。



8/42
時折にはづむ会話に嫁ぎゆきし姉の名前をわれに呼ぶ母
/大木恵理子「コンパス」


八人目。
「塔」の方だ。知ってる。



9/42
手巾をいつも持てるは男らしくあらぬと言う女ありけり

アンテナの三本立たぬを理由とし溢るる君の声を失ふ
/大隈信勝「といふことの」


九人目。
「本人の希望により、写真、近況、略歴なし」とある。
手巾=ハンカチ。直接関係ないけど、涙をティッシュで拭くのは男らしくないと言われたことがあるのを思い出した。



10/42
はかなさがいいらしい線香花火たいした主張もせず燃え尽きる

理解されていない虚しさ自らのためなら男の腰はよく動く

ある程度の我慢とはどの程度ならん皿洗いつつ今日も思えり

寝不足で痙攣している瞼の動き見たくて手鏡をとる

あほですわグミのおまけのベジータのカードもらって夫は喜ぶ

厚切りのトーストの上に載っているアイスおかしな人生もある

今回はわたしでなかっただけのこと近所の主婦の自殺知らされる
/大橋麻衣子「女王蜂 クイーン・ビー」


十人目。
たくさん丸のついた歌があり、たくさん引いた。もっともっと引ける。「自らのためなら男の腰はよく動く」なんて、忘れられない。



11/42
歌人だかなんだか知らないが/下らぬ歌集を出版し/賞取りばかり考えて/売れぬものゆえ謹呈し/読まれもせずに捨てられる/そんな短歌に価値はなし/百万円の五百部が/部屋の隅から眺めおる/一つページを破り取り/尻を拭くには痛すぎる (略)

/小田何歩


十一人目。
引けそうな歌がない。塚本邦雄の歌とそのパロディのみで60首が構成されている。短歌よりも、近況の欄に書かれているこっちの方がうまくできている。



12/42
表裏もたない人がメビウスのわっかのようにねじれているよ
/神尾風碧「先生へ」


十二人目。
言葉遊びが目立つ。急用と休養、漸くと要約、感情と勘定、といった具合。



13/42
月面の静寂は見ゆ癒ゆることと残らぬこととは違ふけれども

信号の真紅のなかにもうもはやじたばたしたりせぬ人は見ゆ

われは今何者なのか灰皿に水をそそぎてひとつ滅ぼす
/岸野亜紗子「目を凝らしつつ」


十三人目。
月面からこころの傷へ、信号の赤から覚悟へ、灰皿の水から自分自身へ。寄物陳思、ってこういうことかな。



14/42
タンポポの綿毛とびつくしお坊さんの頭皮のようなものあらわれつ

風呂上がり 風呂からあがれば風呂上がりなのかからだをふいてからなのか

てのひらに乗せたる水の逃げてゆかざりし分にて顔を洗いぬ
/北川色糸「戻り来にけり」


十四人目。
面白い。三首引いたら、面白かったということにしていいな。
一首目のお坊さんの頭皮なんてすごい発想だし、二首目の風呂上がりのこまかい定義もたのしい。



15/42
明け方の団地の暗き階段をヒールの堅き母帰宅する
/木戸孝宣「知恵の輪」


十五人目。
さまざまな創作を試みてきた人で「現代短歌を始める」で年譜は終わる。短歌でどんな活動をした人なのか。ぎこちない。収録を見送ってもよかったのではないかと思ってしまった。
引いた歌は、音が聞こえてくるのがよい。



16/42
同じやうな顔に一日を滲ませるディズニーランド帰りの家族
/栗原寛「カムパネルラがさうしたやうに」


十六人目。
特に書くことがない。



17/42
しばらくは交接のない淋しさを雨の雫で濡らしおぎなう

下腹部を潤す雨は背後から虚(うつ)ろな我が身を優しく包む
/小玉春歌「あなたと過ごす日々」

十七人目。
引いたのは自選60首の1、2首目。ここがピーク。「不器用な心の内をお互いに見せあうことで愛着が湧く」などの後半の味気ない歌が気になる。
自己、模索、日常性、意図、自立、成長、尊重、……こうした言葉が歌をカクカクさせる。そのカクカクが、ここでは内容に合わない。



18/42
冷房に床の紙屑揺れ動く地下鉄を待つ時間のなかを
/小林幹也「死後の音域」


十八人目。
特に書くことがない。



19/42
山の音 蟬の聲きき 風そよぎ 光降りたる 夏の訪づれ
/近藤武史「光迪簡理」

十九人目。
丸つけた歌はなかったが、こういう感じですよということで1首目を引いてみた。
近況欄の文章が、ものすごく礼儀ただしい。こういうのは作品と繋がっているんじゃないか。



20/42
襖閉ぢて外(と)に降る雪の音のみをこの冬聞きしものかとぞ思ふ
/鷺沢朱里「四曲一隻屏風「濃姫」」

二十人目。
むずかしいんだけど、信長の時代の屏風絵に関する連作だというのはわかる。屏風をひたすらに情熱的に塗っている場面。情熱的なんだけども、静けさがある。




のこりは次回。


▼▼▼

【こっちもおすすめ】

noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




一枚の年賀状を見て考えた
https://note.mu/mk7911/n/n5e11b36a2ce8

依頼こなし日記 2018.12/24-12/29
https://note.mu/mk7911/n/n4f9df883d21c

2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

2019年02月03日

▼歌集出版のお話▼初めて見たAV▼ほか  ~2019.1

2019年1月に書いた断片。
短歌関係のことを前の方にして、そのほかのことは後ろにまわす。



▼文学館、ポートレート



文学館でいくつか結社誌を見ました。『群山』11月号の東根ただしさんの「あゝ師よ、過去そして現在」がよかったです。

扇畑忠雄が宮城刑務所で短歌の指導をしていたというのは知っていました。この文章は、そこで指導を受けた囚人の立場から書かれています。

指導は月に一回一時間半だったこと、扇畑忠雄は広島カープの話になると夢中になっていたこと、囚人の生活はいつも同じで短歌がマンネリ化して苦しんだことなどが書かれていました。



「塔」もさらっと見ました。ほんとはじっくり見たいけども難しくなってきました。十代二十代特集の充実ぶりがすごい。めくってもめくっても続いている。また、写真がそれぞれ良い写真でセンスを感じました。うらやましい。

「今年の塔の十代二十代は34人いるということで、多いなあと思ってたんですが、数えたら一昨年は31人、その前は29人なので、増え方はゆっくりです。ですが着実に伸びています。」
https://t.co/B19CePgxSY
と2016年に書きましたが、今回45人だそうです
29→31→34→45なので、増えかたがゆっくりではなくなってるんです。



短歌がうまくてエッセイがうまくて写真にセンスある、みたいなのを続けざまに見るとオレのなかで「こじれ」が生じて読みたくなくなっちゃうんだけど、こういうのがアレなんだろうな。

恥ずかしいことに、塔の十代二十代の人たちのポートレートのセンスにビビっちゃったんだよね。変わった場所、変わったポーズ、距離や角度、そもそも一人で写ってない、みたいな工夫ある写真が多くみられた。それで、全体的に楽しそうなんだよ。楽しそうっていうのが一番だよ。


ちょっと飛ぶけど2007年のアンソロジー『太陽の舟』だと、当時の若い歌人の約半分が、真正面・無表情・背景なしの証明写真みたいな写真で出ている。
今おなじことをやったら証明写真系の人は減ると思う。
カメラつき携帯とか画像投稿SNSの発展がその原因になると踏んでいる。

ポートレートが多様になって、歌人の人となりをより感じさせるものになるんでしょうね。
それが歌にどう関係するかはわかんないけど、写真が歌の邪魔にならないようにだけは気をつけたい。

以上、裸の人でした https://t.co/roECW3AwnN



▼私の第一歌集



『私の第一歌集』下巻の巻末を読んだ。
昭和一桁生まれで昭和51から平成2年に歌集をだした人たちのアンソロジー。つまりみんな40歳以上で第一歌集をだしている。

アンケートに初刷部数が書いてある。最低で300、最高が吉村睦人さんの3000、次が篠弘さんの2000とつづく。500から600くらいが多いようだ。

歌集の価格は30年前と今とで変わらない。ということは実質値下がりしてるってことか。

みんな結社に入っている。



▼活躍する受賞者たち



自分は最近の受賞者たちのなかでどれくらいの活躍なのか、表をつくった。2011年からの新人賞受賞者を書き出して一覧にして、どこかで活動を見かけたら升目を埋めていく。歌集は二マス。

自分だけ遅れているような気がしたときにこの表を見て冷静になりたい。
抜きん出るのは無理だろうから、せめてあまり離されないようにしたい。



角川短歌2月号をちょろっと読む。
最近は、新人賞の人たちの動向が気になる。
11月号で受賞して12月号で受賞第一作を発表していた山川さんが、2月号でもう4ページの文章を載せていた。

新人による5首+作歌信条というページもあった。連作に星をつけるコーナーが無いから、代わりなのか。ってことは連載なのか。
作歌信条とか、いまから考えておいたほうがいいかな。考えると声がかからないんだよ。
新鋭14首がなくなったのなら、
オール★☆☆☆☆をくらって赤っ恥をかく危険もなくなった。どんなもんかやってみたかった気もするけど。



なんか角川って、自分のところの受賞者を積極的に起用するというか、かなり仕事させてる印象がある。実際どうかと思って最近の目次を見てたんだけど、1月号2月号は多く出てくるけどそれ以前はそうでもなかった。
気のせい。



埋もれる恐怖がある。埋もれたら、掘り起こしてくれた人たちに申し訳がたたない。



新人賞の歌人を2001年までさかのぼると、知らない歌人が、
短歌研究新人賞には二人いて、
歌壇賞には七人いて、
角川には0。
発掘した新人を埋もれさせない角川、という印象。

言い方を変えれば、
短歌研究新人賞を2001年以降に受賞した人たちはだいたい今も残っている。
角川短歌賞の場合は誰もがよく活躍している。
歌壇賞の場合は3割くらいが見かけない人になる。オレが気づいてないだけで頑張っているのだとしたら本当に申し訳ないけども。


だいたい残る……とはいっても、オレだけは残れない気がしてしまう。それは、誰のせいでもなく自分のせいでそうなる気がする。依頼を怖くて断るとか、やってもうまくいかなくて心が折れるとかで。

オレの2019年の目標は、「来た仕事をこなして、経験を積む」だった。難しいことだ。



▼歌集出版



質問箱に来た質問。

「歌集出版のお話は来ていますか?」

「お話」の「お」の辺りが、いい人そう。こういうのが答えるときの気持ちに影響する。



きてません。それで某誌の某賞に出して今回落選でした



気持ちが中途半端なので、ここだ!! 今だ!! ということがなければずっと出ないかなーと思います。紙にならないからネットにまとめてるわけで。
2018年は向かうところ敵なしの無敵スター状態な気がしていたからいろいろやりましたが、下半期に出したものはほぼダメでした。角川、石井賞、笹井賞とダメでした。笹井賞次第では歌集が出たと思います。



短歌研究新人賞に限りますと、
田口綾子さんの場合は2008年の受賞で10年後に歌集ですよね。
八木博信さんは2002年の受賞作を最近になって歌集に収めています。
そういうのもあるということがわかったので、勢いでやらなくてもいいかなって。

勢いに乗れなかったからそういう考えになったということです。
なにか一発あれば別のことを言い出すかもしれません。
以上回答でした。



▼人間失格など



FFⅦ 片翼の天使 ピアノ Final Fantasy 7 One Winged Angel PIANO セフィロス"
https://t.co/9EzDKHOBye
最近YouTubeでチャンネル登録した人。ゲーム音楽をすごいクオリティで演奏している。



「BLUK - Physics Adventure」
https://t.co/5PbEPDIBVe
最近やってるゲーム。足場から足場へ飛び移るだけのゲーム。



文庫本を1日15ページずつ読んで、太宰治『人間失格』を再読した。

1998年に読んだときと感想は同じ。モテてうらやましい。
それと、男しかいない病院に入れられたらいやだなっていうのと、悲劇名詞喜劇名詞の話。生死不明で終わるのは忘れていた。
ギャグ漫画家でありながら偉い絵描きになりたがっているところに、なんとも言えないものを感じる。



▼機種変更


スマホをあたらしいやつに変えた。lgl21から、AQUOSsense2に。

すごいぞっていうのと、わからんぞっていうのがあって、プラマイ0。
替えたらかえってお得になった。端末代を入れても得。それでプラスになった。



一番おどろいたのは、古いスマホもWi-Fiがあればわりと動くこと。二つを有効に使い分けるっていうのは、それはそれで難しいことだけども。



順番に書いてみよう。
前のスマホは2012年から使っていて、じわじわ不便だった。インスタグラムがどうしても動かないところから始まって、徐々につかえるアプリが減っていった。
普通のブラウザではヤフーにアクセスできなくなり、FC2ブログに入れなくなり、行けないところが増えた。PC表示とかChromeとかFirefoxとかをそのたび使い分けていた。
入れられないアプリが増えてきた。YouTubeのアプリが使えなくなった。

自分が入っているオンラインサロンでSlackやDiscordの話が出てきて、どっちも入れられなくて、いよいよまずいぞということになった。



まず心配だったのがデータのことで、せっかくの画像や動画はどうなってしまうのか不安だった。ブックマークとか電話帳とかも。
そのへんを調べるところから始まった。GoogleフォトとかGoogleドライブを入れた。

ブックマークに関しては、URLをすべて抜き出したものを非公開ブログに入れた。短歌のメモも入れた。非公開ブログを物置にしている。
最悪の場合に備えて、何が消えてもいいぞという状態にした。



機種は、ひきつづきauのAndroidにする方向で考えていた。最新の機種というと4種類くらいしかないので選びやすかった。高いXperiaを考えていたけど、安いAQUOSも良いらしいのでそっちにした。



機種が決まったら受け取りについて考えた。前もってWebで予約しておくとショップでスムーズに手続きできると書いてあったからやってみたけど、結論からいうと、いらなかった。

オンラインショップで機種変更の予約をしたら、「入荷次第連絡します」のメールがくる。
で、いつ入荷するのか。待ちきれない。それについて調べてみると、最短でも翌日までかかるし、場合によっては連絡に何日もかかったり、最悪の場合は放置されてしまうそうだ。
なので、予約はキャンセルして直接店に行くことにした。ショップの混み具合をネットでみたら 0人になっていたので。

ほんとに待ち人数0人なのかなあ。携帯の店ってやたら待たされるイメージがある。
と、疑いながら行ってみたら、ほんとに0人で、すぐ受け付けてもらった。話はすすみ、一度予約しようとしてた機種が店の奥から普通に出てきた。30分で手続きが済んだ。

アドレス帳をあたらしいスマホに移してもらえた。正月のグッズが余っているということで、いただいた。タオルとか文房具だけど。

料金プランを見直したら、安くなってそのうえ使い放題になった。



帰っていろいろ設定した。古いスマホにそのままデータが残るし動かせるということで、あんまり心配するほどのことはなかった。なにも消えやしない。

アプリを取り直した。それぞれのアプリでログインした。幸い、ログインできないアプリはなかった。

Eメールが「auメール」という名前になっていた。でも内容は同じ。
一番わからないのは画像や動画の扱いだ。前は「ギャラリー」で管理してたけどこっちは「Googleドライブ 」「コンテンツマネージャー」でやるようだ。説明書を見ると「アルバム」でやるみたいだけど。



2012年のスマホよりどれだけすごいかというと、たしかに綺麗でスムーズで新しいものに対応してるけど、まだピンとこないかな。オレがまだすごさまで到達できてないというか。そんなところです。



▼au WALLET


スマホの機種変更にともなうサービスで、au WALLETを一万円ぶんいただいた。チャージして買い物に使えるカード。今日カードが届いたので、さっそく手続きした。ためしにマクドナルドで使って食べた。

そんで、会計のときにカードを自分でシュッと機械に通すんだけど、角度や速さが合わないと読み取れないみたいで、何回もシュッてした。それがなんか嫌で、使いづらいカードのように感じられた。

しかも、サラダに胡麻ドレッシングを頼んだのに玉ねぎドレッシングできた。黙ってそれで食べた。おいしくなくはない。

マクドナルドにくる客なんか見たくないので、窓に近い席で外のほうを向いて食べた。

最近、サイドメニューはサラダに変えてるんです。
でもチーズは好きで、新メニューに弱くて「白星ダブダブチ」という変な名前のものを頼んだ。面白くしなくていいから、頼みやすい名前にしてもらえると助かる。ボリュームあって美味しかった。

で、勇気をもって変な名前の新メニューを頼むと、向こうは言いやすい略称で反復してくるんだよ。
ここにからくりを感じる。

オレの次の人は年のいった男性で、言われてることが理解できないらしく、ついに「年寄りだからわかんないんだよ」と言った。店員さんは「すみません」を一言ごとに挟みながら接客していた。

しかしまあ、カードに一万円入っているというのは気分がいいものだ。他人のカードを使ってるみたいにワクワクする。
サイトで確認したら、使ったぶんが減っていた。しっかりしてやがる。



▼憧れ遊び



初めて見たAVを探した。タイトルは覚えていたけど女優さんの名前はうろ覚えだった。でも見つかった。
木下絵里花「憧れ遊び」。動画はなかったけど外側だけでも見つかってうれしかった。リンク貼らない。

「なつかしのアダルトビデオデータベース」っていうサイトで見つけたんですよ。
木下絵里花は1966年生まれと書いてあった。1987年のビデオだから、まだ昭和だ。93年ごろに見た記憶なんだけどなあ。
昔のAVって30分で13800円とかするんだね。

父がビデオ屋で借りてきたのをこっそり見たんだけど、見つかるのがこわくて、最初のほうしか見れなかった。ビデオって巻き戻すのに時間がかかるから、それも考慮しなくてはならなかった。そんな思い出。


「性器が腰を抜かします」というおかしなコピーが書いてあった。

同じ女優さんのほかのビデオには
「森の静寂にこだまする激しい息づかい……そして嗚咽── それは時として肉体にやどす欲望をうつしだす…」
と書いてあるが、わかりそうでわからない。雰囲気だけで書かれている文だよ。



▼▼▼

【こっちもおすすめ】

noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




一枚の年賀状を見て考えた
https://note.mu/mk7911/n/n5e11b36a2ce8

依頼こなし日記 2018.12/24-12/29
https://note.mu/mk7911/n/n4f9df883d21c

2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
mk7911 at 22:18|PermalinkComments(0)日常・日記 

2019年02月01日

「日々のクオリア」で短歌をご紹介いただきました!

聞いてください。

なんと三回にわたって「日々のクオリア」に書いていただきました。花山周子さんありがとうございました。
https://t.co/xAgg9gTWSg
https://t.co/6HFQ2Q1kYn
https://t.co/dUFaBgmyoN



『群像』の「現代短歌ノート」とか「日々のクオリア」で取り上げられてみたかったんですが、1月のうちに両方叶いました。
あとはネットだと、載ってみたいのは詩客とか東郷雄二さんのところくらいかなあ。




それよりまず花山さんなんですけど、うれしいんですが、正直受け止めきれてないところもあります。時間をかけて受け止めていく感じになろうかと思います。



花山周子さんには(梶原さい子さんの歌集批評会で)一度お会いしたことがあって、そのときはお子さまが小さかったように記憶しています。それから数年たって、玉置浩二の歌詞に突っ込んだりしてるところをみると、大きくなっているんだなーと思いました。



"玉置浩二 田園"
https://t.co/VBdSczOZS5
初めてちゃんと最初から最後まで「田園」を聴きました。
作詞に須藤晃さんの名前があるじゃないですか。橘いずみさんのプロデュースしてた人ですよね。そう思いながら聴くと、似ている気がする。

「僕」と「君」がいるのはわかるとして、「あいつ」と「あの娘」もでてくる。ひとつの曲にしては登場人物が多い。
橘いずみさんの「十字架とコイン」みたいだと思ってたら、それと同じように、見上げて祈る描写と、ミルクの瓶に花を入れてる描写がでてくる。
「田園」ではそれがタンポポだと言ってるけど「十字架とコイン」だとあくまでも「花」だった。そっちのミルク瓶に入ってるのもタンポポのような気がしてくる。



だいぶすれ違っているけども、オレがこのタイミングでこの場所でできるリアクションというと、こんな感じになります。
自分に見えない自分っていうのがあると思うんですが、そこを指差されているわけで、そうですとかそうじゃないですとかは簡単には言えないです。



こちらもどうぞ。
「かりん」2018年11月号の時評で短歌をご紹介いただきました : ▼存在しない何かへの憧れ
https://t.co/sKcK9AWhQd




んじゃまた。




▼▼▼

【こっちもおすすめ】

noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




一枚の年賀状を見て考えた
https://note.mu/mk7911/n/n5e11b36a2ce8

依頼こなし日記 2018.12/24-12/29
https://note.mu/mk7911/n/n4f9df883d21c

2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote