2016年07月25日

ちょっと気にしてる芸人「ケジタン」の動画

「ケジタン」という言葉をツイッターでよく見かける。
なんだよなんだよ……と思って、YouTubeでケジタンのお二人のネタ動画を見た。全部見た。

じわりとおもしろい。

全体的に、(ひらたく言って)「シュール」なフリップ芸。「ステレオ紙芝居」とも呼ばれている。
「お笑い」と思って見ると、ちょっと違うんだな。あんまり声を出して笑う感じではないが、好ましくて楽しい。いろんな不可解が解明されずに積み重ねられてゆく。



特によかったネタ。

"【ケジタン】犬と会話する旦那【ひょうたん大人買い】" https://t.co/mcFEPKHvfu

"【ケジタン】スポーツインナー大喜利【電脳マヴォ連載中】" https://t.co/VZ7tyKbLhb

この二本は、言葉のないところで勝負している。「犬と会話する旦那」はまだニュアンスで喜怒哀楽がわかるが、「スポーツインナー大喜利」は途中から声がなくなり、映しかた・画面の切り取りかたで何かを語ろうとしてくる。よくわからんものが訴えてくる。なにが起こってるんだ? と何回も見てしまう。



"【ケジタン】機械&動物ショーを観ながらディナーを食す大富豪【電脳マヴォ連載中】" https://t.co/RCzxzdzZDM

"【ケジタン】空洞こわい【ひょうたん大人買い】" https://t.co/TR6kPh4I4k

こちらはいろんなことをペラペラしゃべっているネタ。
奇妙なショーと奇妙な食べ物があってその評価が対照的な前者は、なにかを風刺しているようにも見えなくもない。あの食べ物なに?
「空洞こわい」は、軽妙なやりとりのなかに、恐怖が文字通りの空白、空洞をつくっている。




"【ケジタン】木魚ちゃんと紫キャベツくん【電脳マヴォ連載中】" https://youtu.be/WItVCBQCxKw
一番最初におもしろさを感じたのはこれ。二本くらい動画を見てよくわからなかったが、これを見たらちょっと面白いかもと感じられた。
カラオケのくだりが好き。普段はふつうにしゃべれてるのに、歌う時だけ木魚の音なのが。そしてそれでも野菜っぽいと仏具達に言われることが。話自体は借り物感が強いけど。



"【ケジタン】テニス道場【ひょうたん大人買い】"
https://youtu.be/x2CwrNrKfPo

テニスと道場、ピエロとハムスターとスクーター。合わなそうなものがくっついているのが面白いのか。
これは、二度目の門が閉まるところで笑った。門が閉じるときにオガワキヨシがあやしい感じになるところが好き。



思わず二回見た動画は以上です。


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mk7911 at 00:59|PermalinkComments(0)日常・日記 

2016年07月24日

「短歌研究」2016年7月号を読む  ~ねこじやらしの中を歩く猫、ほか

短歌研究 2016年7月号


野良猫はフェンスの穴をくぐりぬけ嘔吐してをり竹の根方に/渡英子「夜床朝床」


春の月は細くとがつてもう何も照らしはしないけれど(文字数/荻原裕幸「万緑迷宮篇」

→「(文字数」はツイッターでよく見られるもので、140字におさまらなくなったときに使われます。かといって続きがツイートされることはまずなくて、文字数がオーバーするくらいの思いの強さが読者に手渡されます。



どれくらい登れば海が見えるのとあなたの声、鳥の声、汽笛/千種創一「水文学(すいもんがく)」
→下の句でしめされる三つのものが印象的です。あなたの声、鳥の声、汽笛。徐々に言葉から音へと変わっていきます。6音5音3音と短くなります。「あなたの声」が意味を失い音になっていくような心細さを感じました。いずれにもK音とT音が含まれているのは偶然なのでしょうか。



冷蔵庫に石を冷やしているような男であろうしゃべりつづけて/奥田亡羊「男歌男ファイナル」


「短歌と音楽の素敵な関係」を読んで思ったのは、さまざまなかたちで音楽にたずさわっている歌人って多いんだなということです。そういう方を選んで依頼したのかもしれませんが、そうならば、「短歌研究」の編集部の方は歌人のみなさんの活動についてかなり深く把握しているのだと思います。


柏崎驍二さんの追悼特集から。
この世より滅びてゆかむ蜩(かなかな)が最後の〈かな〉を鳴くときあらむ/柏崎驍二

眠るときは愉しきことを思ふべしねこじやらしの中を歩く猫など/柏崎驍二

→なるほどたのしそうで、なおかつ眠れそうな気がします。


放課後の教室に来て空間を目に凝らし見つこれでおしまひ/柏崎驍二




作品季評では、鳥居さんに野菜の歌があるのを知りました。オクラ、かぼちゃ、大根の歌はとてもよくわかり、もしかしたらオレと同じ系列の店なのではないかと思ったりもしました。



さつきやみすべてをコントロールする欲を捨てよと雨降りやまず/中村幸一『あふれるひかり』


春らんまん学芸会でみな老婆それでも君はひとめでわかる/山崎公俊








オレの歌は、短歌研究詠草が一首で、うたうクラブが星無しの佳作でした。要するに、考えられるなかで最低の成績でありまして、ざんねんでした。

はじめは悔しいんですが、よくよく見ると、「こんな歌を作っていれば、そりゃあダメだわな」という気持ちになってきて納得がいきます。


先日発売された8月号では、短歌研究詠草で四年ぶりに準特選をいただきました。それについては8月号の記事で書きます。


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2016年07月22日

「羽根と根」4号を読む  ~小さな呪術、ほか

「羽根と根」4号。



60ページあるうちの3分の2が「企画 定形と文体」にあてられている。評論がいくつか載っている。

フラワーしげるさんの、短歌は小さな呪術で、それによってハンドメイドの虹や蜃気楼をつくることができるという話は、わくわくした。

千種創一さんの「定型空母論」は論の進め方が丁寧で、読みやすかった。

佐々木朔さんの、「交換可能に見えるがゆえの交換不可能性」もわかった。
評論に苦手意識があるんで、「なんとかついていけた」ってだけでなんかうれしい。




落ちている叩く揺さぶる開けてみる驚く笑う抱く抱きしめる/服部恵典「七月の手品師」
→まるで、文字でおこなうパントマイムだ。動きだけで表現されているのは、手品かもしれないし、あるいは恋人への贈り物かもしれない。



ぼくたちのするべきことはすでになく海に面した窓をひらいた/佐々木朔「橋と水/ペテルブルク」



ゆっくりと瞼をひらききるときの夕空、鳥を嘔吐している/坂井ユリ「藤」

→「むせかえるような」とでも言えばいいのか、匂いがしてきそうな連作だった。景色も物もみんな命をもって生きているみたいで、怖いくらいだ。


電柱と塀の間をくぐりぬけパワーを出そう次のそれまで/阿波野巧也「たくさんのココアと加加速度」
→電柱は道の隅のほうにあるから、電柱と塀の間は狭い。人がひとりやっと通れるかどうかだ。
そんな場所をわざわざ通るのは、一種の遊び、ゲーム感覚だろう。そこを通るとパワーが出るという自分だけの設定があり、そのパワーは次の電柱と塀まで持続されるのだ。

オレのころは、マンホールを踏むと減点で、草を踏むと回復するというルールだった。
ルールは違っても、とても懐かしい感覚だなと思って丸つけた歌。


工場の灯りを見てるつめたくて つめたいフライドポテトをかじる/阿波野巧也「たくさんのココアと加加速度」
→一字空けのあとの「つめたい」はフライドポテトにかかるとわかる。その前の「つめたくて」がどこへかかるのか、工場の灯りの印象なのかなんなのか、それが曖昧なところに広がりがあって良いと思った。



おわります。







宣伝
谷じゃこさんの、短歌で遊ぶフリーペーパー「バッテラ 05号」に、わたくし工藤吉生がゲストとして参加させていただいています。

テーマは「ゲーム」です。二人のいろいろなゲームの短歌が載っています。
また、ゲームと関係なしに連作もあります。


7/23の札幌文フリ(文学フリマ)、めためたドロップス(う-18)で配布するとのことです!
ほかにもいくつかのお店などで手に入ります。
どうぞよろしくお願いします。


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2016年07月21日

NHK短歌テキスト 2016年7月号を読む  ~枯葉の音を今も忘れず、ほか

NHK短歌テキスト 2016年7月号

これも一ヶ月遅れですがやっていきます。



せともののひびわれのごとくほそえだはさびしく白きそらをわかちぬ。/宮沢賢治
→さし絵のおかげもあって、とてもイメージしやすいです。
空も枝も、言ってしまえば世界が、こわれやすく傷ついたものに変わります。


わが帰省待ちわぶる母の居るごとくふる里へのバスに瞑(めつむ)りてゐる/開道彰
→「ごとく」で母の不在があきらかになります。バスのなかで目を閉じて、「母」のことを思っているのでしょう。



一度だけ行きしあなたのふるさとの枯れ葉の音を今も忘れず/熊谷純
→なんでもないものが、特別なシチュエーションにより特別なものに変わります。枯葉の音の聞こえるところで、なにか特別なことがあったのだろうと想像します。



木曜の午後の一限幾何学は春夏秋冬いつでも眠い/川崎和明
→時間、時期をあらわす言葉がとても多い歌です。それでいてわずらわしくないのはひとつの技だと思います。
「木曜の午後の一限」でせばまってゆき、「春夏秋冬いつでも」でひろがっていきます。



ひとり泣き暮れて ロボット掃除機がゆっくり帰ってくる夕まぐれ/雀來豆「夏の生活」
→ジセダイタンカから。
ルンバが家出したというのでしょう。しかし帰ってきます。泣いていますが、いったい何があったのでしょう。そこにドラマがあります。









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mk7911 at 09:40|PermalinkComments(0)

2016年07月20日

「塔」2016年6月号を読む  ~深く愛せたほうが勝ち、ほか

「塔」2016年6月号。

一ヶ月遅れですがやっていきます。

基本的には結社誌について紹介するときは月詠中心で取り上げています。そこは頑固にやっていきたいと思います。
賞とか、若い会員の特集に目を奪われがちですが、結社誌なら中心は月詠だろうというこだわりがあります。




ゆらめける水とおもいて近づけば激しく塗りし筆跡(ふであと)に遭う/吉川宏志「モネの絵に」
→筆づかいを見るというのは絵を見るときの一つの楽しみ方ですね。画像や印刷物ではなかなかわからないところです。


生きてゐる父がゆつくり起ち居する石棺のやうな真白き小部屋/岡部史「父」


午後二時に身づくろいして泣きに行く石垣続く竹藪の道/木村陽子


黒板に「卒業式」の白い文字もう日直の名前はなくて/垣野俊一郎

→日直の名前が書かれていないというささやかなところに、卒業式が特別な日である実感があります。


第四レースヒメタチバナは勝ち馬にならず花言葉は「おもいで」/宮地しもん
→花言葉でこんな味わいが出せるのかと、新鮮に思いました。


黙祷の間にひとつしわぶきの低く聞こえて黙祷終わる/関野裕之
→一つの咳が黙祷の沈黙を破ります。たくさんの黙祷のなかに咳は低く響いたことでしょう。


十分に編集された生い立ちのビデオ映像ながれつづける/岡本幸緒
→こういう場所、ありますね。オレの知ってるところだと文学館とか美術館でこういう映像が流れっぱなしになっています。
死んだらまた同じ人生をやりなおす、永久に短い生を繰り返すというひとつの死生観といいますか、思想、宗教を感じます。


だとしたら深く愛せたほうが勝ち勝ちってことですこしだけ泣く/宇梶晶子
→愛を勝ち負けではかることのむなしさ。「だとしたら」の前にあるものを想像してみたりしました。


教室の窓閉めるのみの訓練もありけり原発の町に育ちて/大坂瑞貴


五種類の薬それぞれ束ねたる小さき輪ゴムで五輪を作る/宗形光

→五輪というとオリンピックです。四年に一度の祭典、色あざやかな輪、鍛えぬかれたアスリートの肉体。
そういったものと、輪ゴムだとか毎日の薬の服用が必要な体とにギャップがありまして、なんともわびしさがあります。


蘊蓄を意外な人から聞いてゐると思ひつつ聞く重力波のこと/北島邦夫


マリオネットが右肩あがりに吊るされる妥協とはこんな形だと思ふ/北島邦夫




以上です。







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2016年07月18日

ネットプリント毎月歌壇2016年7月号に短歌が掲載されました

「ネットプリント毎月歌壇」2016年7月号に短歌が採用されました。二回続けてです。ありがたいことです。



石井僚一さんの選

ああオレもナナコカードを勧められ断ってああ人間してる/工藤吉生


長い丁寧な評をいただきました。ありがとうございました。

けっこう「勘」みたいなところで歌をつくっているので、分析されると発見があります。オレはこういうことを考えていたんだなと。うん確かに考えていたぞ、とか、そこまで考えてたかな? という具合に。

PontaカードとTカードはあるんですが、ナナコカードは作ってないんですよねえ。




「ネットプリント毎月歌壇」さんのアカウントからの告知をコピペしておきます。

本日より配信開始いたします。
【ネットプリント毎月歌壇〈七月号〉】

セブンイレブン
→プリント予約番号【32227679】

サンクス、セイコーマート、ファミリーマート、ローソン
→ユーザー番号【XAWDJ4K35G】

A4/白黒/1枚/20円/7月24日 23:59まで



どうぞお読みください。








最近、こんなやり方で連作をつくりました|mk7911|note(ノート)
https://t.co/cKtQZ5cZv6
工藤の有料マガジン【500円】を更新。

連作をつくりたいけどいまいちテーマがない、という時の自分なりの連作のつくり方を書きました。

記事がマガジン内に50近くあるので、1つの記事が10円かそこらです。500円とは、われながらずいぶん安く設定したもんだなあと思います。

でも買わない人は買わないので、これでよいのでしょう。
「サッカーのゴールの広さは攻撃側にとっては狭く、キーパーにとっては広い」と聞いたことがあります。
売る側からは安く見えて、買う側からは高く見える、noteのマガジンの500円はそういう価格です。



んじゃまた。


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2016年07月16日

心にクる夏の名作短歌10首+α

数日前だけど、ツイッターで#心にクる夏の名作短歌を私に教えてくださいというタグがあった。過去にツイートした短歌のなかから10首の夏の短歌を選んでツイートしたので、それをここにまとめておく。





塩の柱となるべき我らおだやかな夏のひと日にすだちを絞る/服部真里子『行け広野へと』



殺人の快楽(けらく)求むるをとめはや夏の氷室に切りいだすまりあ/水原紫苑「ゴキブリの世紀」



ほんとうの恋をしたから夏蒲団陽に当てるだけの日常でいい/田中雅子『青いコスモス』



夏のうしろ、夕日のうしろ、悲しみのうしろにきつと天使ゐるらむ/栗木京子『夏のうしろ』



間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる/荻原裕幸『世紀末くん!』



本当に愛されてゐるかもしれず浅ければ夏の川輝けり/佐々木実之



庭先でゆっくり死んでゆくシロがちょっと笑った夏休みです/佐々木あらら



追憶のもつとも明るきひとつにてま夏弟のドルフィンキック/今野寿美『花絆(はなづな)』



陰茎は無為に疼きて草おぼろ少年の日の夏の長さよ/佐藤通雅『アドレッセンス挽歌』



冷奴、のちに稲妻 数Bの答えを右から左へうつす/松尾唯花「夏、凪いでいる」





オレが選んだのは以上の10首。

それ以外に、あえてはずした歌もある。あまのじゃくなもんで、誰でも思いつきそうだなと思うと外したくなってしまうんだな。

そんな歌はこの2首。




あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ/小野茂樹『羊雲離散』

「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」 /穂村弘『シンジケート』



前者はほんとに人気があるようだったな。
今回はそんなところで。


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2016年07月15日

「現代短歌」2016年8月号の読者歌壇で特選をいただきました/これまでの掲載歌まとめ

「現代短歌」2016年8月号の「読者歌壇」で三枝浩樹さんから特選をいただきました。


うれしいっ。


抱き上げてしまいたくなる体勢を猫がしていて負けてしまった/工藤吉生



長い評をいただいた。

工藤吉生氏 猫が好きな人でないとこうは詠めないのではないか。猫は犬と違って独立自尊の風があって、ひとり旅もよくする。親しみて狎れず、は猫のためにあるような言葉ともいえる。とはいえ、馴れてくれば甘えることも覚える。この歌の猫もそうで、抱き上げてもらいたいのだな、と飼い主にわかるような体勢でこちらを見つめているのだろう。「負けてしまった」という結句の面白さ。ここは口語でないと、肉声に近づけまい。可愛くて堪らない気持ちが窺える。

ありがとうございました。







この欄には2年くらい投稿している。いい機会だから、今まで「現代短歌」の読者歌壇に載った歌をここでまとめてみよう。


投稿したきっかけは、2014年2月号が送られてきたこと。
ここは締め切りの一ヶ月半後に掲載されるので、ほかの総合誌よりかなり早い。

しばらくは佳作にも入らなかった。



2014年9月号
問題は手をつけられず立っていて逃れつつ見る隠れつつ見る/工藤吉生
(栗木京子選 佳作)

2014年10月号
うっかりと入っていくと晩飯がふるまわれそうな灯りの家だ/工藤吉生
(栗木京子選 佳作)



2015年5月号
夕闇に吊り包帯の三角の腕の白さが近づいてくる/工藤吉生
(秋葉四郎選 佳作)

2015年11月号
古書店はバイクショップになっていて古書の匂いももうしてこない/工藤吉生
(阿木津英選 佳作)



2016年1月号
空を飛ぶ車が走り回ってる未来だなんてなつかしいねえ/工藤吉生
(阿木津英選 佳作)

2016年2月号
途中まで作ったカップ焼きそばをいきなり捨ててやったざまみろ/工藤吉生
(阿木津英選 佳作)

2016年3月号
シロナガスクジラのようなかたちして夕暮れをゆくゆったりの雲/工藤吉生
(三枝浩樹選 秀作)

2016年4月号
自販機がペッと吐き出すつり銭があったか~いと感じる温度/工藤吉生
(三枝浩樹選 佳作)

2016年5月号
透明に一瞬見える紐なので一瞬自由な犬の散歩だ/工藤吉生
(三枝浩樹選 佳作)

2016年6月号
認めたくないがどうやら平凡な自分だと知る夏の岸辺に/工藤吉生
(三枝浩樹選 佳作)



だんだん載るのが頻繁になっているのがわかる。選者との相性もあるだろう。

しかし自分の歌を見てると不満が出てくるね。もっとどうにかなる気がしてくる。今回の特選歌も「猫がしていて」はスムーズではない不器用な言い回しに見える。
自分でも満足いく一首を目指したい。



んじゃまた。


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2016年07月14日

読売新聞「読売歌壇」(2016.7.13)に短歌が掲載されました

読売歌壇に、とてもひさしぶりに短歌が掲載された。一年四ヶ月ぶり。しばらくブランクがあったので、一年四ヶ月ずっとボツになっていたわけではない。
曜日がおかしいけど、選挙の関係で水曜の掲載になった。


いただいたピンクのパンツは履くことはできないけれどたまに眺める/工藤吉生
(俵万智選)



載ったのを見たとき、ほんとうにうれしかった。胸のなかが満たされた。投稿でこんな気持ちになるのはどれくらいぶりかというくらい。
久しぶりだったからだろう。



それからしばらくすると、助詞の「は」が気になってきたり、散文的なんじゃないかと反省の気持ちが湧いてきた。
自分でも満足いく一首を目指したい。







新聞に載った短歌のまとめを更新した。
NAVER まとめ https://t.co/HGIHUKNZ1i

今年になってこれが21首目かな。
河北歌壇12首、
日経歌壇5首、
毎日歌壇3首、
そして読売歌壇1首。

新聞に投稿しはじめた2014年からの通算だと79首。
河北歌壇37首
日経歌壇12首
毎日歌壇21首
読売歌壇4首
よみうり文芸 宮城県版 5首。

自分では多いとも少ないとも思ってない。100になると桁が上がって気持ちいいだろうなと思いながら続けている。このペースだと100首に届くのは来年になりそうだな。


んじゃまた。


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mk7911 at 19:36|PermalinkComments(1)新聞歌壇 

2016年07月13日

「未来」2016年6月号を読む  ~五人囃子は前衛となる、ほか

未来 2016年6月号

もう7月号が出ていて古いんだけど、6月号の印象に残った歌を引いていきます。



自分から「居(ゐ)ない」と言へよしからずば数(かず)に入れられちまふ 晩春だ/岡井隆「夢の岸べに」


爬虫類を飼いたいという職員がリハビリの身を支えてくれる/伊吹純

→ある程度親しくなった職員にならば、安心してリハビリできるでしょうね。職員の人間性が見えてきます。


葬儀場予約したれば前通るたびに眺むるバスの窓より/中村八洲夫
→予約すると死がいっそう近くなるのではないでしょうか。想像ですけど。
直接ではなくバスの窓越しに見ている距離感がいいですね。


行き先は百も承知と音たててがらがらと海に入りゆく錨/前川明人
→考えてみれば、錨(いかり)って、海中に沈んでるのが仕事なんですよね。はりきって入ってゆく様子がユーモラスです。


出来なくて追いつめられてゆく心父に見ていま春の子に見る/佐伯裕子



満開の下でみているテニスコート二面それぞれラリー続かぬ/さいとうなおこ

→続かないラリーに、長きにわたって咲いて散ってを繰り返してきた桜が対比されています。
というふうにまで読まなくても、春に下手なテニスを見ているのどかなひととき、くらいに捉えておいてよいのかもしれません。


ラーメン、つけ麺、図太い面も見せつける謎の木彫りの目立ちたる冬/笹公人「SMAPと狩野英孝」
→狩野英孝の顔が木彫りの像に思えてきました。


木曜は燃えるゴミの日半透明のビニール袋に日記を入れる/嶺野恵
→袋に入れているわけですが、もうすでに燃えている日記帳が見えてきそうです。「木曜」の「木」のイメージなのか、よく燃えそうに思えます。半透明なので、袋に入れただけではまだ日記が見えているわけです。


雛段をバリアフリーにしてみたら五人囃子は前衛となる/松原未知子
→バリアフリーは、本来からだの不自由な人に優しいものですが、ここでは戦いの陣形のような不穏なイメージにつながっています。段をなくして平等になるどころか、より残酷な形になりました。


ひつこしの荷解きの時ウクレレをまづ探してるやうな人です/秋月祐一
→「やうな人です」で終わる歌による一連です。それぞれ変わった人物のスケッチです。ウクレレってところがおもしろいです。そんなに弾きたかったのか。


うちにいるだけの休日めずらしくめずらしがっているうち終わる/山科基
→わかります。



なにゆえにパジャマに柄はあるのかと思うようなる大いなる問い/小川佳世子『ゆきふる』


満杯のダストボックス駅に見ゆ報復はいつなさるるべきか/三輪晃

→ゴミ箱からゴミがあふれている光景を目にする機会があります。それは虐げられているように見えなくもありません。ゴミ箱が報復の時をうかがっているようにも読めます。



かくれんぼ ひとりぼっちになるための場所で最後はみつけてほしい/東こころ
→かくれんぼする子の心理をうまく言い当てています。
また、大人になってもこんな心理でいることがあります。たとえば恋愛の一つの場面、一つの心理であると読めます。



権力の小指あたりに我はゐてひねもす朱肉の朱に汚れをり/門脇篤史
→末端に居る者ばかりが汚れて中心にいる者たちは汚れないのが権力というわけです。
朱肉を血に重ねることは容易ですが、朱肉のままでも、その消えにくさや証として残っていくところなどから感じられるものがあります。


恐竜に触れたい、みたいな欲求がいつしかヒトを滅ぼすのだろう/本条恵
→一見無邪気で夢のあることのようだが、実は大事なものを破壊する行為……ってことかと考えました。


おしゃべりな気象予報士嫌いなり荒野に埋もるる青銅の打楽器/佐々木漕
→下の句で急に全然違うものが出てくるのがよいです。静けさのひとつの理想でしょうか。楽器であるけれども、鳴らされる気配がなくて静けさがあります。はるか遠い時代からこの楽器の素朴な音がしてくるようです。


その石を「待つた」にすれば生き返るそのやさしさに動けずにをり/長尾宏
→殺されたものが、一声かければ生き返るわけですからね。やさしいといえばこんなやさしいことはないですね。







歌は以上。



『未来』に載ったオレの短歌のまとめはこちら。
http://matome.naver.jp/m/odai/2145087691179204501


木下こうさんから評をいただいて、うれしい月でした。








最近の更新。


短歌結社誌「コスモス」2003年4月号を読んでみた : ▼存在しない何かへの憧れ https://t.co/oNuJBQHi95

欄ごとの人数や結社誌の構成について注目して書きました。


ふるわなかった歌【2】  ~原阿佐緒賞 https://t.co/UfhQfmI15M

noteの有料マガジンを更新しました。「工藤の有料マガジン」は500円でさまざまな記事が読めます。


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