中島みゆきを聴き直す★10「寒水魚」 - 『悪女』『歌姫』ほか中島みゆきを聴き直す★12「singles」(3枚組・2枚目) - 『あの娘』『誘惑』ほか

2010年12月12日

中島みゆきを聴き直す★11「予感」 - 『ファイト!』ほか

予感

83年、10枚目のアルバム

9曲入り。

意味深なタイトル。臨月もそうだけど、何かあらたなことが起こるかのような感じがする。


ジャケットは黄色。寝てるみゆきさん。枕元に受話器。彼の声を聞きながら眠った、という想像ができる。
壁紙は和風だ。日本の自然、という趣だけど、カゴに入った虫だけが他と違う感じがする。

前半4曲をみゆきさん自身が編曲してるのが珍しい。





1.この世に二人だけ

ユーミンのイメージがある。ユーミンぽい歌い方だと思う。オレはユーミンを熱心に聴いたことはないけど、きっと昔のユーミンはこういう歌をこういうふうに歌ってるんじゃないかと勝手に想像している。

淡々とした音楽に淡々とした歌唱。
彼に女がいてショック、みたいな内容。

この世に二人しかいないのに選ばれない。相当嫌われている。
「もしも無人島に○○さんと二人きりになったら」「無人島にひとつだけ持っていくとしたら」みたいな想像をするのが好きな人がいる。オレはあまり好きじゃない。





2.夏土産

いかにもさわやかな歌だけど、内容は浮気発見の心情を歌ったもの。
友だちと彼は同じ日に同じ場所にいたわけか。これはすごい偶然。






3.髪を洗う女

冒頭の歌は賛美歌か何かだと読んだことがある。「かみ」がひらがなだが、「髪」と「神」をかけた、なんてことはないよね? ね?


茶化すつもりはないんだけど、夜中に明かりをつけずに「流れない…流れない…」と髪を洗う女は、ほとんど妖怪みたいだ。

髪を洗うことで自分の中の不浄なものいっさい、悲しいこといっさいを流そうとしているようだ。





4.ばいばいどくおぶざべい

左手を痛めて歌をやめるロックシンガー。すぐに他のロックシンガーが現れて、忘れられてしまうだろう。
「どくおぶざべい」が歌の主人公をあらわし、「らいかろうりんすとうん」が新しいシンガーを表しているようだ。

いかれたギターは何を企んでいるのだろう。最後の演奏に不吉な予感がする。


ロックっぽいといえばロックっぽいけど、全く盛り上がってはいないし、静かで沈んでいる。





5.誰のせいでもない雨が


難解に感じていたけど、今なら丁寧に読めば少しはわかる。

月日は全てを平穏にしてゆく、しかしそうならないものもある、というのが大筋なんだろう。

不可抗力や慣れを歌った1番。

2番が難しい言葉で書かれている。
かつて戦ってた者も今は子供を育てている。かつて罪を追及した者も愛を語るようになる。しかし自分の中のわだかまりは変わらない。
そう訳した。

船が燃え、犠牲者が出る3番。

この曲の解釈や意味を調べたら、連合赤軍や学生運動と結びつける解釈が多いようだ。オレにはその辺はわからない。学生運動とか、そういうのはオレから見たら歴史上の出来事のひとつだ。

ひとつの特定の出来事に結びつける解釈はあまり好きではない。政治を語るならそれにふさわしい形式もあるだろう。

この歌についてはこのへんでやめる。他の人の解釈を見ると、それに影響されるから困る。独断で書きたい。

みゆきさんは自分だけのものだ。誰もがそう思いながら聞けばいい。





6.縁

低弦とティンパニで重々しく始まる。剥き出しの電子音も出てくる。音楽としては面白い。間奏は壮大で、「歴史のロマン」を思わせる。

言葉が古風でいい。
つい傷つけてしまう私。自分と彼に縁はあるのか、河に問いかける。

海に話したりかもめに話したりつばめに話したり。かっこいいからどんどん話しかけてほしい。





7.テキーラを飲みほして

テキーラといえば、海老蔵が灰皿に入ったテキーラを飲んだとか飲まないとか、そんな事件があったのを思い出す。



声は少し加工してあるのか、薄く聞こえる。「ファイト!」にもそれは言える。

男を「おまえ」と呼ぶ。
「おまえ」に好かれようといろいろするが、その甲斐なく彼は身を固める。
6年目だが、「あたし」にとっては短い幻の日々だった。

歌詞の中に突然英語が入ってくる最初期の例。





8.金魚

イントロが長い。マンドリンやカスタネットも出てくる。

金魚がすくえなかったが、飼えないからそれでもいい。
今回聴いて気づいたんだけど、この主人公は金魚を逃がしたと共に人生の幸せも逃がしてしまったのか。





中島みゆきに関係ないが、金魚すくい名人の女の子をテレビで見たことがある。限られた時間で何十匹もすくう。
自宅に金魚すくいの設備があり、いつも練習してるんだそうだ。変わった人もいるものだ。





9.ファイト!

人気のある曲。「空と君のあいだに」のカップリング曲のイメージの方が強い。

ラジオかファンレターか、送られてきた手紙を参考にしたような歌詞。そして、彼らみんなを応援する歌だ。

中卒で仕事をもらえない子、駅で見た出来事、田舎のトラブル、男の思うままになる女性。ラジオのハガキみたいな話だ。
一方、小さな魚たちは傷つきながらも力強く泳いでゆく。
その2つがサビで合流する。





オレが中学3年の時、当時のクラスだよりの隅にこの歌の歌詞が載った。先生が書き写したのだ。ファイト!は担任の先生からのメッセージでもあった。


オレはみゆきさんに長いファンレターを書いたことがある。今思うと痛い変な内容だったと思う。みゆきさんごめんなさい。





▽おわりに

ひとつひとつが良曲だが、派手な歌のない控えめなアルバムという印象。音が薄くあっさりしている。




中島みゆきを聴き直す
★1「私の声が聞こえますか」
★2「みんな去ってしまった」
★3「あ・り・が・と・う」
★4「愛していると云ってくれ」
★5「親愛なる者へ」
★6「singles」(3枚組・3枚目)
★7「おかえりなさい」
★8「生きていてもいいですか」
★9「臨月」
★10「寒水魚」




 


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