2011年02月11日
中島みゆきを聴き直す★33「月-WINGS」
月-WINGS
9曲入り。日-WINGSより1曲少ないが、「PAIN」が長いことでバランスをとっている。
今ごろ気づいたんだけど、収録順は夜会の順番になっている。最初の3曲は「2分の2」、次の3曲は「問う女」、最後の3曲は「海嘯」から。
ジャケットのみゆきさんは細い月を見てるみたいだ。
1.一人で生まれて来たのだから
一人で生まれて来たのだから一人でいるのが当たり前、淋しくない、と歌う。
MaybeやI Love himみたいな「それでも夢を見たい」という内容はない。わりと淡々としている。
リズムは打ち込んであるみたい。人間が叩いてる感じじゃない。
軽くて心地よい。
「ジャスミン」というのは劇中の主要人物のことだろう。
2.紅い河
「子守歌」みたいなテイストの民族的な音楽。
5拍子。カラオケだと歌いづらい。
紅い河がただ流れてゆく。その流れに「あの人」への想いをたくす。
3.LAST SCENE
歌詞の少ない歌。もともとは歌詞のないインストだったと解説に書いてある。
ジャズっぽい遅くて妖しい曲。都会の夜って感じだ。
みゆきさんは歌詞のないけだるいメロディーを妖しく歌う。
1コーラス目は歌詞がない。
3分過ぎてようやく歌詞が出てくる。
詞は5行だけだが、うまい俳句みたいに情景が浮かぶ。
4.女という商売
いかにもいかがわしい店みたいな雰囲気だ。
雰囲気はいかがわしいが、歌詞は深い。平易な言葉で奥行きのある表現をするのがうまい、なんてのは言い尽くされてるだろうけど、あらためてそう感じる。
5.SMILE,SMILE
オレがこのアルバムで一番好きな曲。邪悪なピエロのようなものが思い浮かぶ。
歌い方が邪悪だ。それが好きだ。
遊園地っぽい音楽。
「君」の笑顔は不思議な力を持っていると歌う。挨拶や声にも力がある。
オレもそういう能力欲しいなあ。
6.PAIN
オーケストラと同時にヴォーカルを収録したとか。
弦楽と木管などによるオーケストラのサウンド。
前曲とは対照的な真摯な内容だ。
詞の内容もスケールが大きい。
人間のもつ弱さや傷全てを包み込むような感じだ。
「心の中には淋しさの手紙が 宛名を書きかけてあふれている」
かける相手がなくてイタズラ電話をする「ローリング」を思い出した。
7.白菊
曲の雰囲気はパラダイス・カフェの「伝説」に近い。
月、水面、冬、雪、幻。出てくる単語がみな神秘で美しい。
8.時効
孤独な犯罪者が後ろめたさを抱えて走って逃げてゆくのが見えるようだ。
アップテンポでサックスが出てくる。
ささやくように歌われるが、誰も知らない重大なことを隠してるような、漏らしてるような、そんな感じだ。
9.愛から遠く離れて
以前、カラオケに行って中島みゆきの歌を曲名のアイウエオ順に歌う企画を一人でやったことがある。その時、アイウエオ順で一番最初にあるのがこの曲だった。
「愛から遠く離れて」→「相席」→「愛情物語」…と続いていた。
結局、その企画は「か行」が終わったところで飽きてやめた。か行の最後は「こんばんわ」だった。
「愛から遠く離れて」はしゃべるように自然に歌われる。「等身大」とはこういうことだろうか。
「愛から遥か遠く離れて生きる人」とはどんな人だろう。
「風にならないか」や「風の姿」に出てくるような、自分らしさを見失いかけてる人達だろうか、と想像した。「明日なき我等」の歌詞からも見えるように、「風」というのが自然な生き方の象徴みたいだ。この歌とは関係ないけど。
時計を海に捨てに行こうという。もちろん文字通りに時計を捨てるわけではないだろう。
過去に縛られるのをやめようとか、そういうことかな。
歌い方も自然なら、テンポも自然な感じがする。あっさりしてるけどホッと安心するような曲だ。
▽おわりに
日と月の2枚を聴いた。どちらが優れてるとか、そういうのはない。極端な違いはなく、片方が楽しめるならもう片方も楽しめると思う。
このアルバムでは5.6.7.が好きかな。日の方が好きだけど、月もほぼ互角に良い曲が揃っている。
かつて「慟哭」「バラ色の未来」「下町の上、山の手の下」に見られたような激しい歌い方はこの2枚には見られない。
いい感じで力が抜けている。双方のラストの曲を聞いて特にそう思う。
中島みゆきを聴き直す
★1「私の声が聞こえますか」
★2「みんな去ってしまった」
★3「あ・り・が・と・う」
★4「愛していると云ってくれ」
★5「親愛なる者へ」
★6「singles」(3枚組・3枚目)
★7「おかえりなさい」
★8「生きていてもいいですか」
★9「臨月」
★10「寒水魚」
★11「予感」
★12「singles」(3枚組・2枚目)
★13「はじめまして」
★14「御色なおし」
★15「miss M.」
★16「36.5℃」
★17「singles」(3枚組・1枚目)
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
9曲入り。日-WINGSより1曲少ないが、「PAIN」が長いことでバランスをとっている。
今ごろ気づいたんだけど、収録順は夜会の順番になっている。最初の3曲は「2分の2」、次の3曲は「問う女」、最後の3曲は「海嘯」から。
ジャケットのみゆきさんは細い月を見てるみたいだ。
1.一人で生まれて来たのだから
一人で生まれて来たのだから一人でいるのが当たり前、淋しくない、と歌う。
MaybeやI Love himみたいな「それでも夢を見たい」という内容はない。わりと淡々としている。
リズムは打ち込んであるみたい。人間が叩いてる感じじゃない。
軽くて心地よい。
「ジャスミン」というのは劇中の主要人物のことだろう。
2.紅い河
「子守歌」みたいなテイストの民族的な音楽。
5拍子。カラオケだと歌いづらい。
紅い河がただ流れてゆく。その流れに「あの人」への想いをたくす。
3.LAST SCENE
歌詞の少ない歌。もともとは歌詞のないインストだったと解説に書いてある。
ジャズっぽい遅くて妖しい曲。都会の夜って感じだ。
みゆきさんは歌詞のないけだるいメロディーを妖しく歌う。
1コーラス目は歌詞がない。
3分過ぎてようやく歌詞が出てくる。
詞は5行だけだが、うまい俳句みたいに情景が浮かぶ。
4.女という商売
いかにもいかがわしい店みたいな雰囲気だ。
雰囲気はいかがわしいが、歌詞は深い。平易な言葉で奥行きのある表現をするのがうまい、なんてのは言い尽くされてるだろうけど、あらためてそう感じる。
5.SMILE,SMILE
オレがこのアルバムで一番好きな曲。邪悪なピエロのようなものが思い浮かぶ。
歌い方が邪悪だ。それが好きだ。
遊園地っぽい音楽。
「君」の笑顔は不思議な力を持っていると歌う。挨拶や声にも力がある。
オレもそういう能力欲しいなあ。
6.PAIN
オーケストラと同時にヴォーカルを収録したとか。
弦楽と木管などによるオーケストラのサウンド。
前曲とは対照的な真摯な内容だ。
詞の内容もスケールが大きい。
人間のもつ弱さや傷全てを包み込むような感じだ。
「心の中には淋しさの手紙が 宛名を書きかけてあふれている」
かける相手がなくてイタズラ電話をする「ローリング」を思い出した。
7.白菊
曲の雰囲気はパラダイス・カフェの「伝説」に近い。
月、水面、冬、雪、幻。出てくる単語がみな神秘で美しい。
8.時効
孤独な犯罪者が後ろめたさを抱えて走って逃げてゆくのが見えるようだ。
アップテンポでサックスが出てくる。
ささやくように歌われるが、誰も知らない重大なことを隠してるような、漏らしてるような、そんな感じだ。
9.愛から遠く離れて
以前、カラオケに行って中島みゆきの歌を曲名のアイウエオ順に歌う企画を一人でやったことがある。その時、アイウエオ順で一番最初にあるのがこの曲だった。
「愛から遠く離れて」→「相席」→「愛情物語」…と続いていた。
結局、その企画は「か行」が終わったところで飽きてやめた。か行の最後は「こんばんわ」だった。
「愛から遠く離れて」はしゃべるように自然に歌われる。「等身大」とはこういうことだろうか。
「愛から遥か遠く離れて生きる人」とはどんな人だろう。
「風にならないか」や「風の姿」に出てくるような、自分らしさを見失いかけてる人達だろうか、と想像した。「明日なき我等」の歌詞からも見えるように、「風」というのが自然な生き方の象徴みたいだ。この歌とは関係ないけど。
時計を海に捨てに行こうという。もちろん文字通りに時計を捨てるわけではないだろう。
過去に縛られるのをやめようとか、そういうことかな。
歌い方も自然なら、テンポも自然な感じがする。あっさりしてるけどホッと安心するような曲だ。
▽おわりに
日と月の2枚を聴いた。どちらが優れてるとか、そういうのはない。極端な違いはなく、片方が楽しめるならもう片方も楽しめると思う。
このアルバムでは5.6.7.が好きかな。日の方が好きだけど、月もほぼ互角に良い曲が揃っている。
かつて「慟哭」「バラ色の未来」「下町の上、山の手の下」に見られたような激しい歌い方はこの2枚には見られない。
いい感じで力が抜けている。双方のラストの曲を聞いて特にそう思う。
中島みゆきを聴き直す
★1「私の声が聞こえますか」
★2「みんな去ってしまった」
★3「あ・り・が・と・う」
★4「愛していると云ってくれ」
★5「親愛なる者へ」
★6「singles」(3枚組・3枚目)
★7「おかえりなさい」
★8「生きていてもいいですか」
★9「臨月」
★10「寒水魚」
★11「予感」
★12「singles」(3枚組・2枚目)
★13「はじめまして」
★14「御色なおし」
★15「miss M.」
★16「36.5℃」
★17「singles」(3枚組・1枚目)
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」