中島みゆきを聴き直す★38【最終回】 「転生」 - 『帰れない者たちへ』ほか▽カンニングのニュースの感想▽アカウントリサーチ▽眠々打破▽ほか [ツイートまとめ15]

2011年02月27日

中島みゆき 夜会vol.13 「24時着0時発」DVD 内容と感想

オレは中学生の頃から中島みゆきファンだった。途中でブランクがあったけど、また聴き始めた。そしてこのブログで「中島みゆきを聴きなおす」という連載を38回に渡って続け、家にあるCDを聴きつくした。

「夜会」というのを知らないんだけど、95年あたりからアルバムCDに夜会の曲が目立ち始めた。
中でも「転生」というアルバムに非常に魅力を感じた。
他のアルバムだと複数の夜会の曲が入ってるが、一つの夜会の楽曲で作られたアルバムとなると、楽曲間に関連性が出てきくる。それは物語の断片を読むようだった。その物語の全体像を知りたくなった。


DVDって高い。そこにも夜会の敷居の高さがある。7350円とかする。中古でも5000円以上する。
アマゾンのレビューで調べたり、店をあちこち回ったりして慎重に事を運んだ。高い買い物だし、夜会の第一印象が決まるわけだから、失敗したくない。


まず、アマゾンのレビューで一番レビューが多く評価も高い夜会DVDは、ぶっちぎりで「24時着0時発」だ。アルバム「転生」の曲が入ってる夜会でもある。買うのはこれに決まった。



以上が夜会を初めて見るに至ったいきさつとなる。




以下、楽曲ごとの内容や感想にふれ、最後に全体の感想を書く。


物語については解説書に書いてある。親切。





天の川のような星。電車の走る音、踏切の音。

1.サヨナラ・コンニチハ
真っ黒な衣装。
なかなかいい歌だ。かっこいい。電車の描写と時間の不思議が含まれた内容。



2.線路の外の風景

ミシンをしながらマイクを持ってるのが不思議だし、ミシンと無関係な歌を歌ってるのも不思議に感じるが、これは慣れる。
「夢の中思い出したんだ」のあたりで頭をかかえだし、倒れる。



3.分水嶺

幻想的でふわっとした歌。快適。シタールの音色も出てくる。

倒れるみゆきさん(あかりという役)に忍び寄る人は自分を「影」だという。身振りが大げさだが、これも慣れる。
二人でのあっけらかんとしたやりとりがある。
あなたが死んだらあたしも消えちゃう→新婚旅行にまだ行ってないから死ねない→シンガポール旅行があたる
という、よくできた流れ。

しかし旅行に応募した覚えはない。突然「当選しました」なんてくるのは詐欺だろ…。


4.フォーチュン・クッキー

浮かれて歌われる。
「あなたの手で選び出して」とあるが、自分の手で選んではいないシンガポール旅行だ。

ワインの飲み方がぎこちない様子がいい。



5.パーティー・ライツ

しみじみとした歌。「影」がワインを盗み飲むのが楽しい。

影だけが、何者かの悪だくみを知る。この悪だくみの声は、シンガポール旅行当選を告げる声と同じだ。



6.闇夜のテーブル

悪だくみの二人が歌う。「影だけが見てる」とはこの「影」のことか。

影が不安な様子でカードを並べる。高いカードの裏は白か黒だ。



7.情婦の証言

アルバムと同じアレンジに聴こえる。

あかりのダンナが二人の男に連れて行かれる。サイレン。舞台は法廷にうつる。

裁判長がいい声をしている。両脇で証言をする二人がどことなく人間らしくないから怖い。
法廷をインチキ呼ばわりして国外退去になるあかり。

ツッコミどころはあってもここは気にしないのが大人だ。


8.ティムを探して

電車の中。ホテルの鍵にtiMとある。Mだけ大文字なのがポイント。
1番はティムなんて知らないと歌い、2番は心細さを歌う。



9.廃線のお知らせ

お知らせの内容がそのまま歌詞になってるのが面白い。
お知らせを読む口調が、ラジオでハガキでも読んでるみたいで、いいなあ~と思う。



10.遺失物預かり所

男性のダミ声で歌われる。ここで三代目魚武濱田成夫登場。彼はホテルの人間。

この曲はさっきと逆に、歌われてから同じ文言の台詞がある。



11.水を点して火を汲んで

ホテルのフロントに連れて行かれるが、どこからどこへ行くのかわかりづらい道だ。カギをたくさんもらう。980tiMを裏返すと、ある英単語になる。カギは鏡を意味する?


意味のわからない歌。夏目漱石のペンネームの由来「流れに枕し、石に口漱ぐ」を思い出した。



12.13.ミラージュ・ホテル

歌い方は2回目の方はややおとなしい。「恋文」に収録されたバージョンに近いものが使われている。

暗い状態では舞台転換が行われているようだ。

あかりは電話するためフロントに行こうとするがたどり着けない。降りるためには登ればいいとフロントは言う。さらに、電話しても話は噛み合わない。




14.メビウスの帯はねじれる

あかりは部屋に戻ろうとするが、これもうまくいかない。自分の部屋に誰かがいた。それは自分自身だとフロントは言う。そういえば今はみゆきさんは影のような黒い衣装だ。

あかりが迷ってる間、フロントはカードゲームをしているように見える。




15.DOORS TO DOORS

帰れずに迷う様子を歌う。わらべうたのようなメロディーだ。

ドアを開けると中は赤い。それはカードを裏返したかのようだ。




16.リゾート・ラッシュ

かつてあったものを壊してリゾート地を開発するも、計画が途中で放置されて残骸だけ残る、という内容。政治的な意味にも取れる。
芝居のための歌ばかり歌うのかと思ってると、こういうのもある。



17.水の線路

ほふく前進で何人かの人が現れる。足早に何かを探す人達。ゆっくりになり、やがて止まる。

これは鮭を表しているのか。祖国とは鮭のふるさとか。ほふく前進は軍人の意味の他に、泳ぎの描写でもあるのか?



18.我が祖国は風の彼方

止まってた人達は落ち着いて歩き出す。みんなホテルのカギを持っている。

この歌の後半はハーモニーが非常にいい。アルバムで聴くよりもずっと感動的だ。




19.三日月の湖(うみ)

ソミレドの音型がたくさん出てきて、ブルクミュラー「25の練習曲」の1番を思い出した。なつかしい気がする歌。

気がつくとあかりが影のように台詞を繰り返している。

手紙には「そんなに田舎が嫌いなら二度と帰ってくるな」とあった。



20.帰れない者たちへ
間奏で歌詞を朗読する部分がある。
オレは字幕ありで見てるからいいけど、お客さんは字幕がないわけだ。



21.月夜同舟

アルバムと同じに聴こえる。



22.命のリレー

難解な台詞。しかしここが大事なのだろう。細かいところはわからないが、不条理を正すためにポイントを切り替えようと言っている。


三代目魚武濱田成夫さんのがなるような台詞まわし、みゆきさんの「鎖錠」「鉄道員でした」はちょっと恥ずかしい。芝居のセリフはうまくない。歌を多くしてるのは正解だ。



22.サーモン・ダンス
2人でポイントを切り替えるためのテコを探す。時計の針がテコになると気づく。ホテルのカギは時計を開けるカギだった。

ここではサビの部分は歌われない。代わりにセリフがはいる。



24.二隻の舟

テコが動いた重要な場面で短く歌われる。歌詞4行ぶん。



25.無限軌道

裁判の場面に戻る。男は無罪になるが、あかりとは他人になっている。

ここでウルッときた。泣きそうになった。

フロントみたいな保険調査員は名前を「ティム」と名乗る。暗転。ただでは終わらない。
この世界ではあのホテルは無いか、あるいは980ティムホテルになってるんだろうか。こっちの世界も、ひとつのミラージュ(幻)なのか。



26.ミラージュ・ホテル
画面まっくら。音はすぐフェードアウトしていく。



元の部屋。ミシンはない。あかりは黒い服。ピンクの衣装の「影」は黙って手を振り、去る。



27.サーモン・ダンス

色っぽい衣装だ。
はじめは動きはないが、だんだんステップを踏んだりして踊りだす。

この場面のみゆきさんは最高にかっこいい。
ステージ下で演奏する皆さんの様子があるのもいい。




画面が止まって終わる。アマゾンのレビューによると、みゆきさんが転んでしまったからこういう編集になっているとか。


28.命のリレー(インストゥルメンタル)

ピアノとストリングスのみ。スタッフロールが真っ暗な画面を流れる。




これが終わるとメニュー画面になる。メニュー画面があったのか。





▼全体

他の夜会に比べたらわかりやすいらしいけど、これだって明快とは言えない。難解とまでは言わないけど、奥の深い作品という印象を受けた。少ない説明から、見た人それぞれが想像したり解釈したりするものなのだろう。

何度も見て、また考えてみたい。「銀河鉄道の夜」も読み直したい。

主役は音楽で、音楽を物語でつないでる感じがした。

動いてるみゆきさんがたくさん見れただけでも嬉しい。歌うみゆきさん、しゃべるみゆきさん、踊るみゆきさん。いろんなみゆきさんが見れて大満足の一枚だった。

月に一枚くらいずつDVDも買って集めていきたい。





中島みゆきを聴き直す
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」

 


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