■工藤吉生(くどうよしお)の短歌【さらに100首】保坂和志『明け方の猫』を読んだ

2017年06月15日

■工藤吉生(くどうよしお)の短歌・自選50首 +プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)の短歌・自選50首+プロフィール



工藤吉生(くどうよしお)の短歌、自選50首をここにまとめます。






「枡野浩一と杉田協士の歌 歌のある短歌コンテスト」予選通過作〈枡野浩一選〉


ラララララ ラララララララ 字だけでは 伝わらないが すごい歌です



あの人を呪い苦しめ狂わせて後悔させる歌を教えて





ドラえもん短歌


もし君が
石ころぼうし
かぶっても
僕は見つける
君だけを見る
(枡野浩一選・ドラえもん短歌2011 入選)







一方で
ジャイ子はのび太を
あきらめて
漫画を描いた
ずっと一人で








教室の聞こえよがしの非難から逃げたトイレの壁は冷たい



学級会 トイレでズボンを脱がされた話にみんなで耳すます午後



憎しみを社会に向けて人に向け自分に向けてそこで落ち着く



戦いに行きはしないが深刻なポーズをしてるガンプラとオレ



安全を求めるうちに狭い方暗い方へと追われる獣




膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番素晴らしい俺







「こんにちは」「さようなら」という10文字の中から愛を探すしかない



あの人の中に私は太陽の黒点ほどの染みを残した




ダ・ヴィンチ「短歌ください」入選作〈穂村弘選〉


このオレの入浴シーンを謎として見る猫アリス牝7ヶ月



桜の木見上げて写真を撮るひとの片方曲げた足がよかった



精子以前、子のない頃の父の食う牛丼以前、牛や稲穂や




うたらばブログパーツ〈田中ましろ選〉


解答欄ずっとおんなじ文字並び不安だアイアイオエエエエエエ



眠れるか不安はないかと繰り返す親の手紙のような調査だ



ああ人は諭吉の下に一葉をつくり英世をその下とした




組み立てた線路に汽車を走らせる少年の背を陽が包み込む



短歌研究「うたう★クラブ」



歴史上すべてが大事教科書をキラキラさせる君のイエロー


ヒョウ柄の強そうな人を後ろから見ているオレの柄はチェックだ





角川「短歌」


眠ってる赤子に青いミニカーを握らせ思い直して奪う



針の穴を通った糸はそれまでの糸よりやる気を感じさせるぜ



小さな子小さな足をのせている小さな車いすはゆっくり
(角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首コンテスト」 吉川宏志選・大賞)



祈っても祈りきれない祈りありコップのふちに蝿うずくまる
(第4回角川全国短歌大賞 馬場あき子選・秀逸)



ごじゃごじゃにからまってるがはじめからこんなつもりでいたか巨木よ
(第7回角川全国短歌大賞 馬場あき子選・特選)








プロ野球選手のシールを集めるがG.G.佐藤ばっかり当たる



ブロッコリー並べるオレに歯の抜けた話始める少年がいる



シューティングゲームのうまいやつが来て雨粒全てよけて帰った



ぼくは汽車、汽車なんだぞー! と駆けてきた子供がオレにぶつかって泣く


殺人をしてしまったら殺人をしてない人に憧れそうだ



幸せなあちらのオレが今ここのこのオレを思いぞっとする夜
(第43回現代歌人協会主催 全国短歌大会 田村元選 佳作第一席)



人生をやってることにはなってるがあまりそういう感じではない



帰り道ぴったり揃う歌声がおうちに着いて終わるのがいや



戦場に細川たかしの笑い声ハッハッハッドカーンハッハッハッドカーン



匙なんぞ使わず直に飲みほしてなんぼのものだ煮え湯というのは
(2014.7.20放送 NHK短歌 永田和宏選「飲む」)



生命を恥じるとりわけ火に触れた指を即座に引っ込めるとき
(平成27年度 NHK短歌・年間大賞 佐佐木幸綱選「いのち」)



朝起きて「おやすみなさい」のメール見てそれに答える日本語がない



リセットを押しながら切る電源のように最後は目をつむりたい





新聞歌壇〈毎日・加藤治郎選、 読売・俵万智選、 日経・穂村弘選〉


Aだねと言われてBへ歩み出すオレの進路は危ういだろう
(毎日新聞 特選 2014.4.13)



ばらばらのブラスバンドの演奏のそのばらばらに聞き入って春
(毎日新聞 特選 2014.7.14)



ぱぴぷぺのポップコーンに固いのがあって口からいま出すところ
(読売新聞 三席 2014.10.6)



思い詰めた顔の少女の目の先は夜の電車の平凡の床
(日本経済新聞 一席 2016.2.21)



柔道の授業で早く負けようとやわらかく踏む畳のみどり
(日本経済新聞 二席 2016.3.20)



悲しげな声で鳴いてる犬がいた塀の向こうの昨日の夜に
(日本経済新聞 2016.6.19)







震災後二度目の夜にラジオから「こども音楽コンクール」 切る



濁流に飲まれた渡部から聞いたタオルのラクなしぼり方とか


祈りとは声も指先も届かない者にダメ元で伝える手段



泣いているある時点から悲しみを維持しようとする力まざまざ
「仙台に雪が降る」



そこここに空を見ている人がいて青さを喜び合っている夢
「仙台に雪が降る」









以上50首です。

この自選50首は半年か一年に一度更新しています。最新版は2017.6.15です。

もっと読んでみてもいいという方は
比較的初期のほうの作品を中心とした
工藤 吉生 短歌集【ブログ版】
http://blog.livedoor.jp/mk7911-kasyuu/archives/3129824.html

近作を中心とした
「工藤吉生(くどうよしお)の短歌【さらに100首】」 http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52107180.html
もどうぞ。



プロフィール
工藤吉生(くどう よしお)
1979年生まれ。仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」「歌壇」「現代短歌」の読者投稿欄、
新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」、
テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽2012年 角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテストで大賞を受賞しました。
▽2014年 連作「仙台に雪が降る」が第57回短歌研究新人賞の候補作となりました。
▽2016年 Eテレ「NHK短歌」年間大賞(佐佐木幸綱選)。
▽2016年 連作「ピンクの壁」が第62回角川短歌賞の予選通過作となりました。

ツイッター @mk7911
短歌bot @mk7911_bot




お楽しみいただけましたでしょうか。お付き合いいただきありがとうございました。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

この記事へのコメント

1. Posted by a   2014年08月30日 00:14
仙台に雪が降る、おめでとうございます。

蝿の歌が気に入りました。その次にすきな歌を見つけるために、次の100を見させていただきます。
2. Posted by 工藤吉生   2014年08月30日 00:27
ありがとうございます。
3. Posted by kainohidesan   2015年03月25日 15:30
はじめまして! 今日ブログを読ませていただきました。
私も地方紙ですが新聞投稿しています。ツイッター&ブログもです。 ブログは オヤジのダイアリー 趣味いろいろ と、検索すればすぐわかります。  最近は、サッカーVF甲府 の記事と、新聞投稿短歌の掲載の記事が主になっています。 よろしかったら覗いてみてください。
これからもよろしくお願いします。
4. Posted by 工藤吉生   2015年03月25日 15:32
当ブログへお越しいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
5. Posted by むむむ   2015年12月05日 21:16
歌広場さんのツイッターからやってきました。

個人的に胸をうった短歌は、

「こんにちは」「さようなら」という10文字の中から愛を探すしかない

でした。

ガンプラも好きです。

短歌初めてです。

素晴らしいですね。読めて良かった。知ることができてよかった。

心に残りました。
6. Posted by 工藤吉生   2015年12月05日 21:18
むむむさん、お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただけたならうれしいです!!
7. Posted by 安愚   2017年10月15日 09:46
きみは36だろ、歳のわりに歌が下手。歌の伸展を計れよ。ほんとのこと言ってすまん。

IPアドレス
118.111.185.186
8. Posted by 通りすがり   2017年10月15日 10:29
1979年生まれって書いてあるのに「36だろ」とかwww 腹痛いwww 小学生からやり直せよwwwwww 頭の中の伸展を計れよwww うぇwww うぇwww
9. Posted by 工藤吉生   2017年10月15日 11:01
コメントが増えてる……。まあ面白いからいいんですが。

たしかにわたしの歌はまだまだです。通りすがりさん、あんまり安愚さんを笑うのはやめてあげてくださいね。
それよりも安愚(小川)さんの問題点は「歳のわりには」という価値観だと思います。年をとればとるほど歌はうまくなるものなのでしょうか。歌とはそんなに単純なものでしょうか。そうは思いません。
それと、このなかには何年も前に作った歌がありますので、現在の年齢をもとにしてものを言われるのは間違っています。
作者の歳のことは後にして、まず目の前の歌と向き合うことがのぞましいとわたしは考えます。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
■工藤吉生(くどうよしお)の短歌【さらに100首】保坂和志『明け方の猫』を読んだ