ネットのバカ、そのほかの話題【2017.6.14】保坂和志『明け方の猫』を読んだ

2017年06月15日

■工藤吉生(くどうよしお)の短歌【さらに100首】

工藤吉生(くどうよしお)の短歌【さらに100首】


ようこそおいでくださいました。
自選50首 http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52107166.html
以外にさらに工藤吉生の短歌をお読みくださるという、ありがたい方のために、近作を中心にどーんと!100首ご用意しました。

・短歌総合誌への投稿作品
・結社誌「塔」「未来」
・新聞歌壇
・ツイッターでの発表作
・ドラゴンクエスト3短歌
・第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」
などといった内容です。



2017/6/15に更新しました。半年か一年ごとに更新し歌を少しずつ入れ替えています。





工藤吉生の短歌【さらに100首】




連作「眠り男」10首
(「ハッピーマウンテン 6号」2013年)



問題に取り組むよりも問題を忘れることで生きのびてきた



欲望が背中で床を這ってきてこちらのオレをがっかりさせる



CGで作った顔は病的だしかし上手にサッカーをする



少年が繰り返す「イブ」みずからの名前を一人称にしていた



3個入りプリンを一人で食べきった強い気持ちが叶えた夢だ



出てきてはいけないものが出てくると思えばやはり出る夢の中



つぶやいている場合だが重要なことをしている場合ではない



夕焼けの赤紫っぽい方を日付の変わるころにとりだす



つかのまのドサクサがありあのひとと乾杯のカチンを交わせない



寝るほどに疲れるようだ 起き上がりぼんやりとしてもう一度寝る




連作「雨傘」6首
(「みずつき4」2015年)



一滴がひらたい石の床に落ちそれが聞こえるくらいに孤独



公園の池の中にも苦しみが映って雨粒など受け止める



水上に鳥は集まり話し合うこともないまま真昼をうごく



エサをやる男がいれば鳥たちは群がってゆき奪いつつ食う



雨傘を杖のつもりで使おうと試みやめた数秒の間に



離れると水の流れる便器から聴いた気がする舌打ちの音



連作「音だけになって雨は」抄
(「みずつき3」2014年)



雨模様ではあるけれど明るさは残ってオレが散歩している



すぐにやむお天気雨だそのような気持ちではない気持ちとかじゃない



晴れた日は見えてる山が雨の日はさぼってるんじゃないの? みたいな



カーテンを閉めれば雨は音だけになってどこかで泣きだすおんな





62ea6deb.jpg














短歌研究「うたう★クラブ」


太ってる女性の座っていた席に別の太った女性が座る



泣きながら叱ってくれる人は去り笑ってごまかす歯の真っ黄色



学校のチャイムが鳴った。そのことでやめた遊びの面白かろう





「短歌研究」 短歌研究詠草


現実をある一定の角度から揺さぶるさまを犯罪と呼ぶ



窓の外を見ている時は硝子見ず硝子を見ている時は外見ず



用のない者は中へと入れない門の向こうがオレの母校だ



メロディーをつけてあくびをした時の下降しようとするそのちから



「星野監督はこの表情」とうどん屋のテレビが言えば客の振り向く



右耳と左耳とが聴いている虫のそれぞれ愛かもしれず



コーヒーのつもりで飲んだ一口が紅茶だったし世の中おかしい




角川「短歌」 公募短歌館


座ってはならぬ規則のあるように男がオレを影として立つ



貧乏になりやすい者の特徴に合致ししかも貧乏である



自転車に乗ってるオレと目が合ってボール蹴るのをやめた少年



屋根の上にソーラーパネルを置いている家の子供の歯科矯正具



どうしても勝てない敵と戦ってドサと倒れる ではまた明日



かわいそう 窓全開の車から大ボリュームで流された歌



美しく映る鏡があるならばそれには映らないよう走る





「歌壇」読者歌壇


追い越していいよっていうスピードに落としてあげてもうだいぶ経つ




「現代短歌」特別作品



蹴飛ばした椅子に近づき立て直しまた蹴りたくなる前に立ち去る





結社誌「塔」


思い出すために振ってるサイコロの1の目、そんな国もあったね



被害者の知人女性が心情を吐露し画面はその胸映す



子供らの踊るテレビの棒立ちのひとりとオレの目が合っている



半袖にしてもずるずる降りてきて長袖になるオレの生活



醜さのバリエーションと思うまで総合百貨店の人ごみ



足払いネコにかけても転ばない 裸になれるデブはいいデブ



雨のたび水の溜まりやすい場所のようなくぼみを精神に持つ



足だけを鏡に映す 片寄った情報だから注意なさいよ



透明なガラスのせいで進めないふりが上手くて行かないで済む



オレん家(ち)にオレが入ってゆく夜の忍び込んだという心持





cadeb09a.jpg 






結社誌「未来」


かなたよりジグソーこぼれ現代の一兆ピースに生き埋めの君



鳴き声が省略形のこの犬を ゥ ゥ 真似したくなる ゥ ゥ



まっすぐな木とかたむいて生えた木がならんでオレにもの思わせる



ここまでは音のない川ここからは音のある川ひかり集めて



このシャツは薄くてちょっと透けるのだオレの乳首ようれしいだろう



自転車が徐々に大きくなりながらこちらにやってきていやらしい



すべり台を寝そべりながらずり落ちる君たちの無限の可能性



宮城県公安委員会指定奥羽自動車学校も朝



点滅の青信号に止まろうとするオレ、突っ走ろうとする君





「ダ・ヴィンチ」短歌ください 穂村弘選


女子バレー見慣れたころに男子バレー見ると驚く見慣れるまでは



ストローで飲み干した後しばらくはスースースースー吸う男性だ





大会・コンテスト


楽曲が人間ひとりの一生と感じられればその死まで聴く
(第20回与謝野晶子短歌文学賞 入選 伊藤一彦選)



のたれ死にしたことがある気がしてる照らされてオレンジの歩道橋
(現代歌人協会主催 第四十三回全国短歌大会 佳作)



おのおのの枝ひんまがる木の下で言われるままの愛であったな
(第3回河野裕子短歌賞 池田理代子選 入選)





日本経済新聞 日経歌壇 穂村弘選


このへんの人はどこまで買い物に行くのと母が二度言った道



ワンタンメン専門店の前を過ぎ唱えるわんたんめんせんもんてん



毎日新聞 毎日歌壇 加藤治郎選



レコードのなかでは雨が降っているこちらよりややしっとりとした



まっさらな心に石を投げ入れた波紋のひとつ、(ひとつ)、((ひとつ))



ちいさめの大人が乗ったブランコが前後する申し訳程度に





河北新報「河北歌壇」 佐藤通雅・花山多佳子選


薄型のテレビが毎朝映し出す日本列島なめらかな島



ぴかぴかなボールを壁に当ててる子壁は避けずに受け止めかえす



楽天の銀次が打席に立つ時の何かしでかしそうな真顔よ



だぶだぶのシャツは干されて一年中きみだけずっと休んでてよし



カップ麺を持ち運ぶとき手の中にほんの小さな波の音する





2e236bd0.jpg











ツイッターその他での発表作


精神科デイルームにて四十代男四人で語るフーゾク



雨男世界選手権最優秀鉄砲水賞受賞者溺死



1988年ファミコンで見た青空を今も愛する



愛の裏の裏の裏の裏の裏 君守るため握ったナイフ



ばれなけりゃいいさと風呂で小便をすればなぜだかいつもより濃い



ノイシュバンシュタイン城を取り囲む木々もあるいはまた城である



子を抱いた母親、男、警官のいずれも黒くして夜がくる



「どうでもいい男ばかりが言い寄ってくる」と聞こえてズタズタになる



歌壇賞ぽとりと落ちて掛からない箸と棒とで持ち上げろ寿司



ワ.タ.ク.シ.ハ.ア.ナ.タ.ヲ.オ.ッ.テ.ユ.ク.シ.カ.ナ.イ.ド.ン.ナ.ス.ガ.タ.ニ.ナ.リ.ハ.テ.ヨ.ウ.ト



「美味しんぼ」第一回で山岡が水三杯を飲み干すところ



おみこしになって元気な人達にかつがれたいな年に二回は



秋が来る 床屋の椅子に重大な秘密があってほしいと思う




「ドラゴンクエスト3短歌」から


となえればさまようよろい既に亡くホイミスライムやわらかいこえ



おうごんのカンダタこぶん 見てごらん夕陽が海にゆっくり沈む



あやしいと思えばあやしくせつないと思えばせつないかげのA、B、



みかわしのふくを吹き過ぐ春風にいのりのゆびわの破片が混じる



この世から悪を滅ぼし永遠にその名を刻む勇者ああああ





連作「仙台に雪が降る」抄
(「短歌研究」2014年)




目覚めてもゆるくみじめだ今積もり始めた雪のしとしとしとと



クイズショー不正解者の心地する顔面もろに雪風を受け



三人で歩いていれば前をゆく二人と後ろをゆくオレとなる



あわよくば世界を覆い尽くそうと上へ左右へ命は伸びる



   ・ ・ ・ ・
四拍のゲンパツイラナイ
   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七拍のキレイナミヤギヲトリモドソウ



仙台の町にウサギとサンタいて看板を持つ「原発NO」の



打ち出され釘に転がる銀玉の特にあっさり消えたものへの



震災にヤマザキ春のパン祭り景品皿に傷ひとつなし



近づけば夜のマンホールさざめいていつかは海になりたい汚泥





▼▼▼





以上です。
お読みいただきありがとうございました。お疲れさまでした。100首も読んでいただけるとは、ありがたいですね。
これからもあちこちで発表してまいりますのでよろしくお願いいたします。



この記事は近作が中心でしたが、初期作品を中心としたまとめはこちら。

工藤 吉生 短歌集【ブログ版】
http://blog.livedoor.jp/mk7911-kasyuu/
こちらは画像によって縦書きでも読めるようになってます。

ほかに、ツイッター @mk7911 もやってます。
短歌bot @mk7911_bot もあります。

noteやマストドンなど、あちこちでいろいろやってます。



ありがとうございました。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

この記事へのコメント

1. Posted by フニャ   2014年09月11日 19:44
5 工藤さん、お久しぶりです。
一年前にブログを閉鎖したフニャです。
覚えていらっしゃったら嬉しいのですが…。
この度、ブログを再開することにしました。
それで、ブログの先輩の工藤さんに一番にお伝えしたいと思って、失礼ながらコメントさせていただきました。

工藤さんの短歌は本当に素晴らしくて、ニヤッとしたり、ちょっと泣いてしまったりしながら、主な50首とおかわり100首を読みました。
太陽の黒点の短歌(?)がお気に入りです。何通りにも取れる、不思議な短歌だなあと思います。
他にもいっぱいお気に入りがあります。
またお邪魔させていただきます。
2. Posted by くどう   2014年09月11日 19:58
フニャさん、ほんとうにおひさしぶりです。
あれからいろいろあって、わたしは本名を使うようになり、短歌の世界の人になりました。新人賞の候補になったり投稿の常連になったりもしまして、そのへんではちょびっとだけ名前が知られるようになりました。
そちらはいかがだったのでしょう。
さっそくブログを拝見してコメントしました。またお邪魔しますので、よろしくお願いします。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
ネットのバカ、そのほかの話題【2017.6.14】保坂和志『明け方の猫』を読んだ