河北新報の「河北歌壇」(2015.12.27)に短歌が掲載されました第4回ぬらっと!短歌大賞 #2015下半期短歌大賞 まとめ【3】その他歌集・歌書部門、ツイッター部門

2015年12月28日

第4回ぬらっと!短歌大賞 #2015下半期短歌大賞 まとめ【2】結社誌部門

第4回 ぬらっと!短歌大賞 #2015下半期短歌大賞 50首。

今年の7月はじめから今までツイッターでツイートした短歌(たぶん1500首くらい)のなかから特に印象に残った歌をふたたびツイートしていく企画。ここではツイッターに書いたものをまとめていきます。

ここでは、なぜこの歌を選んだのか、の説明みたいなものを入れていますが、歌だけ読みたいという方のために、歌だけまとめたものも用意しました。

第4回
#2015下半期短歌大賞 50首
http://togetter.com/li/917329


ちなみに前回までのまとめはこちらです。

第1回
#2014上半期短歌大賞 65首
http://togetter.com/li/687898


第2回
#2014下半期短歌大賞 60首
http://togetter.com/li/761480

第3回
#2015上半期短歌大賞 60首
http://togetter.com/li/842561



総合誌、結社、その他歌集歌書、ツイッター、の四つの部門に分けてお送りします。





今回は結社部門です。塔、未来、なんたる星の順でいきます。



夕べに花いくつ束ねても束ねてもひとつの覚悟と未だなり得ず/島田瞳
塔 2015年7月号
15/50 #2015下半期短歌大賞
→花束って、別れの時に渡したりしますね。この覚悟は、別れの覚悟なのではないんでしょうかねえ。覚悟できない気持ちがせつないです。



「大ニセモノ展」に人魚のミイラがあると言う其を確めに行かねばならぬ/久保田和子
塔 2015年8月号
16/50 #2015下半期短歌大賞
→「大」がつくほどたくさん集められたニセモノ、堂々と展示されたニセモノ、それを見に行こうと意気込む人。
ニセモノにそんな力があるとは。



あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の/千種創一「認めることの雪について」
塔 2015年8月号
17/50 #2015下半期短歌大賞
→この歌はオレが今までにツイートした一万首以上の短歌のなかで、もっとも「いいね」が多くついた歌です。その記念で残しました。



「ON」押して灯すちひさき電卓にすでに答のごとくゼロある/朝井さとる
塔 2015年9月号
18/50 #2015下半期短歌大賞
→こんなこと感じたことなかったので驚きました。そう言われてみると「ゼロ」とは、なんと「答え」を感じさせる数字でしょう。



いふことを聞かないからと言ふだらうなビニール傘四百円+消費税/久保茂樹
塔 2015年10月号
19/50 #2015下半期短歌大賞
→こういう歌のおもしろさをなんと言ったらいいものか。選んだけど選んだ理由を説明するのがむずかしい。
ビニール傘は詩のアイテムとしてうまい感じだな。
そこからふくらんでいきそうなストーリーと、消費税の現実感。



墓原(はかはら)をかなかなの声渡りおり辿(たど)りきて母の墓を探せず/永田和宏『華氏』
塔 2015年10月号
20/50 #2015下半期短歌大賞
→永田和宏さんの母の歌について、三井修さんが書いた評論から。
A音がとにかく多い。これがかなかなの声を強く印象づけるとともに、母の残像のようなものを感じさせる。たとえば「かなかな kanakana」には「母 haha」の断片がある。

「墓原 hakahara」にも「墓 haka」にも母の断片がある。このへんのどこにでも母はいるようで、しかし、いない。断片というか残像というか、それが見つけ出せない悲しみを強める。



つなげればつながるままに仄明るあなたの堕落のことをおしえて/氏橋奈津子
未来 2015年10月号
21/50 #2015下半期短歌大賞
→オレは冊数としては「未来」はそんなに読んでないんです。だから、たくさん読んで厳選したというわけではないんですが、氏橋さんという方の歌はすごい。引き続き注目したい方の一人です。



流れ来る運命に身を任せればいなり寿司ばかり並ぶレーン/蜂谷希一
未来 2015年11月号
22/50 #2015下半期短歌大賞
→オレ自身、人生をあんまり自主的にやってなかったり、回転寿司が好きだったりするんで、そういう意味で身近に思える歌でした。



おかあさんに泣きながら「おかあさんわたし、わたしを忘れたい」と言ったときのわたしはどちらかというとおかあさんだった/加賀田優子「すぐくる」
なんたる星 2015年7月号
23/50 #2015下半期短歌大賞
→一人一首ということにしてたので、良い歌が多い人はオレを迷わせました。特に悩ませたのは「なんたる星」の方々でした。
定型の破れっぷりと悲痛さでこの歌にしました。

「おかあさん」とか出てくるとダメなんですよオレは。お母さんの歌に弱い。
さっきツイートした、北山さんの歌も佐伯さんの歌も日高さんの歌も母親の歌でしょう。



指をさせ ここで育った少年にあなたを見せろご迷惑をおかけして/恋をしている「海までの」
なんたる星 2015年8月号
24/50 #2015下半期短歌大賞
→混乱しているようですが、なんだか閉鎖的な社会と異分子の存在がありそうです。どこで生まれ育ったかが大事で、何かあると指をさされるし、礼をつくす。このゴタゴタのむこうにドラマがありそうです。



「おまえだ」と叫ぶパターンの怪談を練習すれば外は初雪/まるやま「行事には出ない」
なんたる星 2015年8月号
25/50 #2015下半期短歌大賞
→8月号は「なんたる星大賞」がありまして、入選作がいろいろと載っています。
突然のうるさいものと、さりげないしずかなものの対比なんですが、あざやかです。
オレも小学校の先生にそういう怪談をやられたことがありますが、あの先生も練習したのかなあ。



大陸の裏側にそっと貼っている一番良い時の神様のプリクラ/まな!「知らない事情」
なんたる星 2015年8月号
26/50 #2015下半期短歌大賞
→神様もプリクラ撮るんですね。目をおっきく加工したりするんでしょうか。
一番いい時っていつでしょうね。天地創造してるところ?
神様が手のとどく存在になってくる楽しい歌です。



これで結社部門はおわりです。約半分ってところですね。
次回は「その他歌集歌書部門」からです。


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河北新報の「河北歌壇」(2015.12.27)に短歌が掲載されました第4回ぬらっと!短歌大賞 #2015下半期短歌大賞 まとめ【3】その他歌集・歌書部門、ツイッター部門