〈結社誌読む 153〉『未来』2019年6月号  ~ビーバーが震えているよ、ほか{そのほか短歌読む 136} ネットプリント「第三滑走路 8号」  ~いちまいいちまい大切に、ほか

2019年09月02日

中島みゆきbotを終了します

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bot作成サービス「makebot」のサービス終了にともない、中島みゆきbot @bot_miyuki をひとまず終了といたします。ありがとうございました。

千数百パターンのツイートを収録できる無料のbot作成サービスがあれば再開する可能性もありますが、いまのところ再開は予定していません。
有料サービスを使えば続けられますが、利益のあがらないものに対してそこまでできないという判断です。(利益があるならそのほうが問題ですが)

新曲の歌詞を入れられなかったり、至らないところもあったかと思います。

botであるにもかかわらず、たくさんのリプライをいただきました。みゆきさんがどんなに愛された歌手か、どんなにすぐれた歌詞であるかをあらためて感じました。ひとつひとつがみゆきさんへの想いにあふれていました。

2013年2月に作成したので、六年半つづけてきました。やりきったので満足です。
ずっと著作権的にみゆきさんに対して後ろめたい気持ちがあったので、その点は気が楽になりました。

アカウントがダメになって急に終わることが多いんですが、今回は感謝して終われるのでよかったです。

ほかにもみゆきさんのbotはあるようなので、あとはそちらにお任せしたいと思います。さようなら。









以下はbotに入力したデータです。一部しか拾えませんでした。もし全体を復元するのであれば、ツイログか過去のツイートからひとつひとつコピペしていくという、とても面倒なことになります。
サービスが終了したことよりも、バックアップをとっていなかったデータが消失したことのほうが決定的です。
520ツイートぶんのデータが残っていました。これは全体の4割くらいに相当します。



遠いふるさとは おちぶれた男の名を
呼んでなどいないのが ここからは見える

「あぶな坂」
今日も坂は だれかの痛みで
紅く染まっている
紅い花に魅かれて だれかが
今日も ころげ落ちる

「あぶな坂」
遠いかなたから あたしの黒い喪服を
目印にしてたのが ここからは見える

「あぶな坂」
あたしの やさしい人
あんたは やさしすぎる

「あたしのやさしい人」
あたしは あんたの
胸の中じゃ
夢も 見られないわ

「あたしのやさしい人」
何も悪くは ないの
そんな頃だった だけなのよ

「信じられない頃に」
なんて不幸なあなた
そして不幸な私
裏切り続けるのは
言うほど楽じゃない ことなのよ

「信じられない頃に」
忘れられない 悲しみなんて
すぐに覚えて しまうものなのよ

「信じられない頃に」
捨てただろう 捨てただろう
枯れてしまったから
ボギーボビーは砂時計
いつかこぼれて 影もなし

「ボギーボビーの赤いバラ」
海よ おまえが 泣いてる夜は
遠い 故郷の 歌を歌おう

「海よ」
海よ わたしが 泣いてる夜は
遠い 故郷へ 舟を運べよ

「海よ」
海よ おまえは 覚えているか
若い 船乗りの 夢の行方を
海よ おまえは 覚えているか
そして 帰らない 小舟の数を

「海よ」   
海よ わたしを 愛するならば
今宵 故郷へ 舟を運べよ

「海よ」
ララバイ ひとりで 泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜は どこからかけてるの

「アザミ嬢のララバイ」    
春は菜の花 秋には桔梗
そしてあたしは いつも夜咲く アザミ

「アザミ嬢のララバイ」
さあ 踊り明かせ 今夜は
気の狂うまで 死ねるまで
賭けてもいいよ あの人は
二度と迎えになんか来ない

「踊り明かそう」
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ

「ひとり遊び」
もう長い影 果てないひとり遊び
声は自分の 泣き声ばかり
日も暮れ果てて あたしは追いかけるよ
影踏み鬼は 悲しい遊び

「ひとり遊び」
願いごとが 叶わなかったり
願いごとが 叶いすぎたり
だれも悪くは ないのに
悲しい事は いつもある

「悲しいことはいつもある」
歌おう 謳おう 心の限り
愛をこめて あなたのために

「歌をあなたに」
何ンにも言わないで この手を握ってよ
声にならない歌声が 伝わってゆくでしょう

「歌をあなたに」
あんまり淋しくて 死にたくなるような日は
この手の中の歌声を 受け取って歩くのよ

「歌をあなたに」
サヨナラは 砂の色
私の手を はなれ
キラキラキラと光の中で 
輝いているわ

「渚便り」   
風に吹かれて 渚にいれば
みんな きれいに 見えてくる
悲しいはずの 思い出も
やさしい出来事に 見えてくる

「渚便り」
そんな時代も あったねと
いつか話せる 日が来るわ
あんな時代も あったねと
きっと笑って 話せるわ

「時代」   
まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた  恋人たちも
生まれ変わって めぐり逢うよ

「時代」 
めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出逢いを くり返し
今日は倒れた 旅人たちも
生まれ変わって歩きだすよ

「時代」  
空は風色 ため息模
様人待ち顔の 店じまい

「雨が空を捨てる日は」
雨が空を捨てる日は
直しあきらめる 首飾り

「雨が空を捨てる日は」
酒とくすりで 体はズタズタ
忘れたいことが 多すぎる

「彼女の生き方」
思い通りには 動かない
世の中なんて 何もかも
だけど あたしだって 世の中の
思い通りなんか 動かない

「彼女の生き方」
そうさあたしは タンポポの花
風に吹かれて 飛んでゆく
行きたい町へ 行きたい空へ
落ちると思えば 飛びあがる

「彼女の生き方」
どこか 曲がる所を探して
はやく 角を曲がってしまおうよ
だって バックミラーがちらちら揺れて
街の灯りがついて来るのよ だから

「トラックに乗せて」  
おじさん トラックに乗せて
おじさん トラックに乗せて
次の町まで いやでなければ
乗せて行ってよ 今夜は雨だよ

「トラックに乗せて」 
さあママ 町を出ようよ
激しい雨の夜だけど
仕度は 何もないから
はだしでドアをあけるだけ

「流浪(さすらい)の詩(うた)」 
形身になるようなものを
拾うのは およし
次の町では そんなものは
ただ邪魔になるだけ

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
いつか東風の夜は
あたしの歌を聴くだろう
死んでも 旅をつづける
女の歌を聴くだろう

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
風は東風 心のままに
いつか
飛んで飛ばされて
砕け散るまで

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
真直な線を 引いてごらん
真直な線なんて 引けやしないよ
真直な定規を たどらなきゃ…ね

「真直(まっすぐ)な線」
あんたの胸の扉から
あたしの胸の扉まで
只の真直な線を引いてみて
それが只ひとつの願い

「真直(まっすぐ)な線」
思い出してごらん 五才の頃を
涙流していた 五才の頃を

「五才(いつつ)の頃」  
宝物はいつも 掌のなか
居眠りをしながら 掌のなか

「五才(いつつ)の頃」
おまえが いなくなった後も
春は くり返してる
花はおまえが 咲かせたわけじゃ
ないと 言いたがってる

「冬を待つ季節」
おまえの姿 埋もれさせて
秋は 降りつもってる
すべて私が 隠せるわと
自慢げに 降りしきる

「冬を待つ季節」
もう 知らん顔して
歩きだす時なのに
春夏秋は 冬を待つ季節
春夏秋は 冬を待つ季節

「冬を待つ季節」
浮気でやくざな 女が今夜どこで
どうしていようと 知った事じゃないが
けれどそこいらは おいらが遠い昔
住んでた路地だと おまえは知らぬ

「夜風の中から」
うらぶれ通りで お前が雨に
ふるえているから 眠れない
そこから曲がって 歩いた右に
朝までやってる 店があるぜ

「夜風の中から」
そのまま切るなと 話は続く
あたいは 受話器の 手を離す

「03時」
あんたの涙と あたいの涙
夜汽車は 03時に すれ違う

「03時」
裏切られた 思い出も
口に出せば わらいごと

「うそつきが好きよ」
自慢話は嫌い 約束事は恐い
嘘を抱えた両手 そっと開けて口説いてよ

「うそつきが好きよ」
叶えられない願いを抱いて
ある日 男は夢になる
好きよ 好きよ 嘘つきは
牙の折れた 手負い熊

「うそつきが好きよ」
あたしを乗せない船が
今日も 港出るところ
誰かあたしを おさえていてよ
少しのあいだ

「妬(や)いてる訳じゃないけれど」
追いかけても追いかけても
とどかなかった 鳥の名が

「忘れられるものならば」
眠り込んで しまうために
あおる酒も 空になり
酔いきれない 胸を抱いて
疲れた靴を履きなおす

「忘れられるものならば」
忘れられるものならば
もう旅になど出ない
忘れられるものならば
もう古い夢など見ない

「忘れられるものならば」
はじめて私に スミレの花束くれた人は
サナトリウムに消えて
それきり戻っては来なかった

「遍路」
はじめて私に 永遠の愛の誓いくれた人は
ふたりで暮らす家の 屋根を染めに登り
それっきり

「遍路」
もう幾つ目の 遠回り道 行き止まり道
手にさげた鈴の音は
帰ろうと言う 急ごうと言う
うなづく私は 帰り道も
とうになくしたのを知っている

「遍路」
店の名はライフ 自転車屋のとなり
どんなに酔っても たどりつける

「店の名はライフ」
店の名はライフ 三階は屋根裏
あやしげな運命論の 行きどまり
二階では徹夜でつづく恋愛論
抜け道は左 安梯子

「店の名はライフ」
あとで思えば あの時の 赤い山車は
私の すべてのまつりの後ろ姿だった

「まつりばやし」
眠りはじめた おまえの窓の外
まつりばやしは 静かに
あでやかに通り過ぎる

「まつりばやし」
人は誰でも まつりの終わりを知る
まつりばやしに 入れなくなくなる時を知る

「まつりばやし」
もう 紅い花が 揺れても

「まつりばやし」
女なんてものに 本当の心はないと
そんなふうに言うようになった
あなたが哀しい

「女なんてものに」
泣いてもどうにも ならないけれど
笑ってもあなたは 帰らないじゃないの

「女なんてものに」 
かもめたちが 目を覚ます
霧の中 もうすぐ
ああ あの人は いま頃は
例の ひとと 二人

「朝焼け」
眠れない夜が明ける頃
心もすさんで
もうあの人など ふしあわせになれと思う

「朝焼け」
ふるさとへ 向かう最終に
乗れる人は 急ぎなさいと
やさしい やさしい声の 駅長が
街なかに 叫ぶ

「ホームにて」
ふるさとは 走り続けた ホームの果て
叩き続けた 窓ガラスの果て

「ホームにて」
たそがれには 彷徨う街に
心は今夜も ホームにたたずんでいる
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券

「ホームにて」
部屋を出て行くなら
明かり消して行ってよ
後ろ姿を見たくない

「勝手にしやがれ」
心はなれて はじめて気づく
あんたの わがままが ほしい

「勝手にしやがれ」
あたしがあんまりブルースを
歌いすぎたから
町では このところ
天気予報は「明日も夜です」

「サーチライト」
あたしの悲しみは
昇る朝日も落としちまうほど

「サーチライト」
ふられた女の気持ちを
甘くみくびるものじゃないわ
たかが太陽のひとつくらい
あの人に比べたなら

「サーチライト」
明かりを貸してよ 町じゅうのろうそくを
あたしを照らすのよ
きっと暗くて探せないだけよ

「サーチライト」
明日などないと 酒をあおれば
なお褪めて 今日も まだ生きていた
人生は そんなもの

「時は流れて」
あんたには もう 逢えないと思ったから
あたしはすっかり やけを起こして
いくつもの恋を 渡り歩いた
その度に 心は 惨めになったけれど

「時は流れて」
流れの中で 今はただ祈るほかはない
あんたが あたしを
こんなに変わった あたしを
二度と みつけや しないように

「時は流れて」
わかっているのに わかっているのに
遠回しに 探りをいれてる私
皮肉のつもり 嫌がらせのつもり
いやな私……
あいつに 嫌われるの 当り前

「元気ですか」
……何を望んでるの あたし
あの女もいつか
飽きられることを!?

「元気ですか」
わかってるのよ あたし
わかってるのよ あたし
ほんとは
「そこにいる あいつを電話に出して」
って言いたいのよ

「元気ですか」 
やっぱり
うらやましくて
うらやましくて
うらやましくて
今夜は 泣くと
……思います

「元気ですか」
ひとの不幸を祈るようにだけは
なりたくないと願ってきたが
今夜 おまえの幸せぶりが
風に追われる 私の胸に痛すぎる

「怜子」
途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか

「わかれうた」
わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る

「わかれうた」
あなたは愁いを身につけて
うかれ街あたりで 名をあげる
眠れない私は つれづれに
わかれうた 今夜も口ずさむ

「わかれうた」
恋の終わりは いつもいつも
立ち去る者だけが 美しい
残されて 戸惑う者たちは
追いかけて焦がれて 泣き狂う

「わかれうた」
海鳴りよ 海鳴りよ
今日も また お前と私が 残ったね

「海鳴り」
忘れないで 忘れないで
叫ぶ声は 今も 聞こえてる
忘れないよ 忘れないよ
時計だけが約束を守る

「海鳴り」
流れるな涙 心で止まれ
流れるな涙 バスが出るまで

「化粧」
バカだね バカだね バカだねあたし
愛してほしいと 思ってたなんて
バカだね バカだね バカのくせに
愛してもらえるつもりでいたなんて

「化粧」
こんなことならあいつを捨てなきゃよかったと
最後の最後に あんたに思われたい

「化粧」
なんで あんなにあたしたち二人とも
意地を張りあったのかしらね
ミルク もう 32
あたしたち ずっと このままね

「ミルク32」
ねえ ミルク またふられたわ
忙しそうね そのまま聞いて

「ミルク32」
忘れます 忘れます
あんたが好きだったって こともね
忘れます 忘れます
あたしが生きていたって こともね

「あほう鳥」
悪い夢を見て 泣くなんて
いい年をして することじゃない
いつもどおり あたしどおり
つづけるさ ばか笑い

「あほう鳥」
言いだせないことを 聞きだせもせずに 二人とも黙って
お湯の沸く 青い火をみている

「おまえの家」
ギターはやめたんだ 食っていけないもんなと
それきり 火を見ている

「おまえの家」
そうか いつでも 来てくれよと
そのとき おまえは 昔の顔だった

「おまえの家」
世の中はいつも 変わっているから
頑固者だけが 悲しい思いをする

「世情」
包帯のような嘘を 見破ることで
学者は世間を 見たような気になる

「世情」
シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を 流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと 戦うため

「世情」
黙っているのは 卑怯なことだと
おしゃべり男の 声がする

「裸足で走れ」
上着を着たまま 話をするのは
正気の沙汰では ないらしい
脱がせた上着を 拾って着るのは
賢いことらしい

「裸足で走れ」
一人になるのが 恐いなら
裸足で 裸足で ガラスの荒れ地を
裸足で 突っ走れ

「裸足で走れ」
笑っているけど みんな本当に幸せで
笑いながら 町の中歩いてゆくんだろうかね
忘れてしまいたい望みを かくすために
バカ騒ぎするのは あたしだけなんだろうかね

「タクシードライバー」
ゆき先なんて どこにもないわ
ひと晩じゅう 町の中 走り回っておくれよ
ばかやろうと あいつをけなす声が途切れて
眠ったら そこいらに捨てていっていいよ

「タクシードライバー」
タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も くり返す

「タクシードライバー」
おまえが殺した 名もない鳥の亡骸は
おまえを明日へ 連れて飛び続けるだろう

「泥海の中から」
ふり返れ 歩き出せ 悔やむだけでは変わらない
果てのない 昨日より 明日は少し ましになれ

「泥海の中から」
約束はいつも 成りゆきと知りながら
何故あいつだけを べつだと言えるの

「信じ難いもの」
嘘つきはどちら 逃げること戻ること
嘘つきはどちら 泣き虫忘れん坊

「信じ難いもの」
信じ難いもの:愛の言葉 はやり言葉
信じ難いもの:寂しい夜の あたしの耳

「信じ難いもの」
いつか時が経てば
忘れられる あんたなんか

「根雪」
町は ひとりぼっち
白い雪に かくれて泣いてる
足跡も 車も
そうよ あんたもかくして 降りしきる

「根雪」
目をさませ 早く 甘い夢から
うかれているのはおまえだけ

「片想」
「一度やそこらのやさしさで
つけあがられるのは とても迷惑なんだ」

「片想」
張りつめすぎた ギターの糸が
夜更けに ひとりで そっと切れる

「ダイヤル117」
ねえ 切らないで
なにか 答えて

「ダイヤル117」
石は砂に砂はよどみに
いつか青い海原に

「小石のように」
砂は海に海は大空に
そしていつかあの山へ

「小石のように」
おまえ おまえ 耳をふさいで
さよならを聞いてもくれない
とめどもなく転がりだして
石ははじめて ふりむく

「小石のように」
夜明け間際の吉野屋では 化粧のはげかけたシティ・ガールと
ベイビィ・フェイスの狼たち 肘をついて眠る

「狼になりたい」
人形みたいでもいいよな 笑えるやつはいいよな
みんな、いいことしてやがんのにな いいことしてやがんのにな
ビールはまだか

「狼になりたい」
狼になりたい 狼になりたい ただ一度

「狼になりたい」
風は北向き 心の中じゃ
朝も夜中も いつだって吹雪
だけど死ぬまで 春の服を着るよ
そうさ寒いとみんな逃げてしまうものね、みんなそうさ

「断崖 -親愛なる者へ-」
生きてゆけよと 扉の外で
手を振りながら 呼んでる声が聞こえる
死んでしまえと ののしっておくれ
窓の中 笑いだす声を聞かすくらいなら、ねぇ、おまえだけは

「断崖 -親愛なる者へ-」
さよなら さよなら
今は なにも 言わないわ
さよなら さよなら
今は なにも 言えないわ

「さよならさよなら」
どこにいるの
翼をおって 悲しい想いをさせたのね
飛んでいてねあなたの空で 私きっとすぐにゆくわ

「傷ついた翼」
愛は一人一人になって やっとこの手に届いたの
飛んでいてねあなたの空で私きっとすぐにゆくわ

「傷ついた翼」
忘れていたのよ あんたのことなんて
いつまでも 忘れてるつもりだったのに

「こんばんわ」
あれから 何をやってもうまくはいかず
あの町この町 渡ったよ
こんばんわ 久しぶりね
あたしにも 飲ませてよ

「こんばんわ」
強い日ざしはいつも ボクらの上に
ひとつの長い影を 残してゆくのか
強い愛はいつも ボクらの胸に
ひとつの悲しみを 残してゆくのか

「強い風はいつも」
涙の国から 吹く風は
ひとつ覚えのサヨナラを 繰り返す

「おもいで河」
おもいで河へと 身を投げて
もう 私は どこへも流れない

「おもいで河」
悲しいですね 人は誰にも
明日 流す涙が見えません

「ほうせんか」
ほうせんか 私の心
砕けて 砕けて 紅くなれ
ほうせんか 空まであがれ
あの人に しがみつけ

「ほうせんか」
なにもことばに残る 誓いはなく
なにも形に残る 思い出もない

「りばいばる」
忘れられない歌を 突然聞く
誰も知る人のない 遠い町の角で

「りばいばる」
思い出の部屋に 住んでちゃいけない
古くなるほど 酒は甘くなる

「ピエロ」
飲んでりゃ おまえも うそだと思うか
指から鍵を奪って
海に放り投げても

「ピエロ」
なにもあの人だけが世界じゅうで一番
やさしい人だと限るわけじゃあるまいし
たとえばとなりの町ならばとなりなりに
やさしい男はいくらでもいるもんさ

「あばよ」
泣かないで泣かないであたしの恋心
あの人はあの人はおまえに似合わない

「あばよ」
長い髪が好きだと
あなた昔誰かに話したでしょう
だから私こんなに長く
もうすぐ腰までとどくわ

「髪」
おしまいの手紙はあずかってこない
たのまれたものはあふれる花束
今ならわかる恋の花言葉
黄色いローズマリー 伝えてサヨウナラ

「サヨナラを伝えて」
私みんな気づいてしまった
しあわせ芝居の舞台裏
電話してるのは私だけ
あの人から来ることはない

「しあわせ芝居」
恋人がいます 恋人がいます 心の頁につづりたい
恋人がいます 恋人がいます けれどつづれないわけがある

「しあわせ芝居」
冷たい雨、雨、雨、雨、私を
あの頃に連れて戻って

「雨…」
空を飛ぼうなんて 悲しい話を
いつまで考えているのさ
あの人が突然 戻ったらなんて
いつまで考えているのさ

「この空を飛べたら」
ああ 人は 昔々 鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい

「この空を飛べたら」
口をきくのがうまくなりました
ルージュひくたびにわかります

「ルージュ」
生まれた時から渡り鳥も渡る気で
翼をつくろうことも知るまいに

「ルージュ」
追いかけてヨコハマ あの人が逃げる
残した捨てゼリフに誰か見覚えはありませんか

「追いかけてヨコハマ」
いつからこんなふうになったのか
子供のようには戻れない
強がりはよせヨと笑われて
淋しいと答えて 泣きたいの

「強がりはよせヨ」
あんた誰と賭けていたのあたしの心はいくらだったの

「うらみ・ます」
うらみます うらみます
あんたのこと死ぬまで

「うらみ・ます」
雨が降る雨が降る
笑う声のかなたから
雨が降る雨が降る
あんたの顔が見えない

「うらみ・ます」
泣きたい夜に一人はいけない あたしのそばにおいで

「泣きたい夜に」
子供の頃に好きだった歌の名前を言ってごらん
腕の中できかせてあげよう心が眠るまで

「泣きたい夜に」
キツネ狩りにゆくなら気をつけておゆきよ
キツネ狩りは素敵さただ生きて戻れたら、ね

「キツネ狩りの歌」
そいつの顔を見てみろ
妙に耳が長くないか
妙にひげは長くないか

「キツネ狩りの歌」
世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて
まるで自分ひとりだけがいらないような気がする時

「蕎麦屋」
べつに今さらおまえの顔見てそばなど食っても仕方がないんだけれど
居留守使うのもなんだかみたいでなんのかんのと割り箸を折っている

「蕎麦屋」
風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

「蕎麦屋」
船を出すのなら九月 誰も皆 海を見飽きた頃の九月

「船を出すのなら九月」
人を捨てるなら九月 誰も皆 冬を見ている夜の九月

「船を出すのなら九月」
流れてくる噂はどれもみんな本当のことかもしれない
おまえは たちの悪い女で
死んでいって良かった奴かもしれない
けれどどんな噂より
けれどおまえのどんなつくり笑いより、私は
笑わずにいられない淋しさだけは真実だったと思う

「エレーン」
今夜雨は冷たい
行く先もなしにおまえがいつまでも
灯りの暖かに点ったにぎやかな窓を
ひとつずつ のぞいてる

「エレーン」
エレーン 生きていてもいいですかと誰も問いたい
エレーン その答えを誰もが知ってるから誰も問えない

「エレーン」
しがみつくにも足さえみせない
うらみつくにも袖さえみせない
泣かれるいわれもないと云うなら
あの世も地獄もあたしには 異国だ

「異国」
百年してもあたしは死ねない
あたしを埋める場所などないから
百億粒の灰になってもあたし
帰り支度をしつづける

「異国」
何ンにつけ 一応は
絶望的観測をするのが癖です

「あした天気になれ」
宝くじを買うときは
当たるはずなどないと言いながら買います
そのくせ誰かがかって
一等賞をもらった店で 買うんです

「あした天気になれ」
愛が好きです 愛が好きです
あした孤独になれ

「あした天気になれ」
あなたが海を見ているうちに
私 少しずつ遠くへゆくわ

「あなたが海を見ているうちに」
持ったサンダル わざと落として
もう一度だけ ふり返りたいけど
きっとあなたは もういないから
ふり返れない 国道 海づたい

「あなたが海を見ているうちに」
グラスの中に自分の背中がふいに見える夜は
あわせ鏡を両手で砕く 夢が血を流す

「あわせ鏡」
放っておいてと口に出すのは本当はこわいのよ
でもそう言えば誰か来るのをあたい知ってるの

「あわせ鏡」
明るい顔ができるまでには クスリたくさん必要よ
大丈夫よって言えるまでには お酒 必要よ

「あわせ鏡」
ひとり上手とよばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ

「ひとり上手」
手紙なんてよしてね
なんども くり返し泣くから
電話だけで捨ててね
僕もひとりだよと騙してね

「ひとり上手」
雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました

「雪」
昔の女を だれかと噂するのなら
辺りの景色に気をつけてからするものよ

「バス通り」
バスは雨で遅れてる
店は歌が 止まってる
ふっと聞こえる口ぐせも
かわらないみたいね それがつらいわ

「バス通り」
悲しみばかり見えるから
この目をつぶすナイフがほしい

「友情」
言葉を忘れた魚たち
笑えよ 私の言葉を

「友情」
救われない魂は
傷ついた自分のことじゃなく
救われない魂は
傷つけ返そうとしている自分だ

「友情」
時代という名の諦めが
心という名の橋を呑み込んでゆくよ
道の彼方にみかけるものは
すべて獲物か 泥棒ですか

「友情」
自由に歩いてゆくのならひとりがいい
そのくせ今夜も ひとの戸口で眠る

「友情」
テレビの歌はいかにもそこに
いかにもありそうな お伽ばなしをうたう

「成人世代」
隣りを歩いてゆく奴は
だれもが幸せ のぼり坂
ころんでいるのは自分だけ
だれもが心で そう思う

「成人世代」
夢やぶれ いずこへ還る
夢やぶれ いずこへ還る

「成人世代」
あなたにあてて 私はいつも
歌っているのよ いつまでも
悲しい歌も 愛しい歌も
みんなあなたのことを歌っているのよ

「夜曲」
月の光が 肩に冷たい夜には
祈りながら歌うのよ
深夜ラジオのかすかな歌が
あなたの肩を包みこんでくれるように

「夜曲」
マリコの部屋へ電話をかけて
男と遊んでる芝居 続けてきたけれど
あの娘も わりと忙しいようで
そうそう つき合わせてもいられない

「悪女」
悪女になるなら月夜はおよしよ
素直になりすぎる

「悪女」
女のつけぬ コロンを買って
深夜のサ店の鏡でうなじにつけたなら
夜明けを待って 一番電車
凍えて帰れば わざと捨てゼリフ

「悪女」
悪女になるなら
裸足で夜明けの電車で泣いてから
涙 ぽろぽろぽろぽろ
流れて 涸れてから

「悪女」
のぼれども のぼれども
どこへも着きはしない そんな気がしてくるようだ

「傾斜」
冬から春へと坂を降り 夏から夜へと坂を降り
愛から冬へと人づたい
のぼりの傾斜は けわしくなるばかり

「傾斜」
としをとるのはステキなことです そうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか

「傾斜」
悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか

「傾斜」
愛した人の数だけ 愛される人はいない
落ち葉の積もる窓辺はいつも
同じ場所と限るもの

「鳥になって」
眠り薬をください 私にも
子供の国へ 帰れるくらい
あなたのことも 私のことも
思い出せなくなりたい

「鳥になって」
わたしは早く ここを去りたい
できるなら 鳥になって

「鳥になって」
夢でもいいから 嘘でもいいから
どうぞふりむいて どうぞ

「捨てるほどの愛でいいから」
誰にでも やさしくし過ぎるのは
あなたの 軽い癖でも
わたしみたいな者には心にしみる

「捨てるほどの愛でいいから」 
カナリアみたいな声が受話器をひろう
あの人の名前 呼び捨てにこの賭けも 負けね

「B.G.M.」
B.G.M.は 二人だけのとっておきのメロディー
知らずにいたのは私だけ
いじわるね みんな

「B.G.M.」
夜は浅く
逃げる者には
足跡だらけの 月あかり

「家出」
ねえ もう一度
言葉にしてよ
汽笛に消えぬように
ねえ もう一度 耳を貸してよ
あなたを 愛している

「家出」
街頭インタヴューに答えて 私やさしい人が好きよと
やさしくなれない女たちは答える

「時刻表」
街角にたたずむ ポルノショーの看板持ちは爪を見る

「時刻表」
たずね人の写真のポスターが 雨に打たれてゆれている

「時刻表」
誰が悪いのかを言いあてて どうすればいいかを書きたてて
評論家やカウンセラーは米を買う
迷える子羊は彼らほど賢い者はいないと思う
あとをついてさえ行けば なんとかなると思う
見えることとそれができることは 別ものだよと米を買う

「時刻表」
海を見たといっても テレビの中でだけ
今夜じゅうに行ってこれる海はどこだろう
人の流れの中で そっと時刻表を見上げる

「時刻表」
望むものは何ひとつない
さがす人も 誰ひとりない
望むほどに 消える夢です
さがすほどに 逃げる愛です

「砂の船」
月は波に揺れて 幾百 幾千
古い熱い夢の数だけ
いま 誰もいない夜の海を
砂の船がゆく

「砂の船」
淋しいなんて口に出したら
誰もみんな うとましくて逃げ出してゆく
淋しくなんかないと笑えば
淋しい荷物 肩の上でなお重くなる

「歌姫」
砂にまみれた錆びた玩具に
やせた蝶々 蜜をさがし舞いおりている

「歌姫」
せめておまえの歌を 安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに 立つ自分が見える

「歌姫」
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も 哀しみも 欲望も 歌い流してくれ

「歌姫」
二人だけ この世に残し
死に絶えてしまえばいいと
心ならずも願ってしまうけど
それでもあなたは 私を選ばない

「この世に二人だけ」
夏が終わって とどけられる
夏土産 とどけられる
あなたと同じ場所からの貝殻と
恋人たちの写真

「夏土産」
煙草の煙を流すため
お酒の香りを流すため
あいつの全てを流すため
いつまでいつまで 飽きもせず
女が髪を洗います

「髪を洗う女」
煙草の煙が流れない
お酒の香りが流れない
あいつの全てが流れない

「髪を洗う女」
おいらの左手 もうダメなんだってさ どくおぶざべい
イカれちまったんだってさ どくおぶざべい

「ばいばいどくおぶざべい」
幕を引かないでくれ 明かりを消さないでくれ
みんなわかってるから 誰も何も言わないでくれ

「ばいばいどくおぶざべい」
ギターが重いぜめちゃくちゃ重いぜ ロックシンガー
放りだしちまいたくなって 丁度いいや どくおぶざべい

「ばいばいどくおぶざべい」
みんな変わってしまう みんな忘れてしまうだろう
だから最後の歌は 空より明るいばいばいどくおぶざべい
ばいばい

「ばいばいどくおぶざべい」
黒い枝の先ぽつりぽつり血のように
りんごが自分の重さで落ちてゆく

「誰のせいでもない雨が」
怒りもて石を握った指先は
眠れる赤子をあやし抱き
怒りもて罪を穿った唇は
時の褥に愛を呼ぶ

「誰のせいでもない雨が」
船は港を出る前に沈んだと
早すぎる伝令が火を止めにくる
私たちの船は 永く火の海を
沈みきれずに燃えている

「誰のせいでもない雨が」
もう誰一人 気にしてないよね
早く 月日すべての悲しみを癒せ
月日すべての悲しみを癒せ

「誰のせいでもない雨が」
縁ある人
万里の道を越えて 引き合うもの
縁なき人
顔をあわせ すべもなくすれ違う

「縁」
河よ 教えて 泣く前に
この縁は ありやなしや

「縁」
6年目ね 待てと言われもせず
今夜聞く風の噂
身を固めるんだってね

「テキーラを飲みほして」
テキーラを飲みほしてテキーラを飲みほして
短かった幻の日々に
こちらから Say Good Bye

「テキーラを飲みほして」
ふたりで同じ ひとつ穴のむじな
腐れ縁と呼ばれたかったわ 地獄まで落ちてでも

「テキーラを飲みほして」
きらりひらりきらりひらり
人生が身をかわす
きらりひらり
幸せが逃げる

「金魚」
でも嬉しいみたい
すくえなかったことが
どうせ飼えないものね
旅暮らし

「金魚」
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている

「ファイト!」
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

「ファイト!」
あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ

「ファイト!」
ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

「ファイト!」
ファイト!  闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!  冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ

「ファイト!」
だから笑い続けるだけよ 愛の傷が癒えるまで
喜びも 悲しみも 忘れ去るまで

「かなしみ笑い」
恨んでいられるうちは いいわ
忘れられたら 生きてはゆけない

「かなしみ笑い」
酒と踊りと歌を 覚えて
暗く輝く街へ 出かけよう
そこで覚えた暮らしが いつか
生まれながらに 思えてくるまで

「かなしみ笑い」
ああ 外はなんて 深い霧 車の中にまで
いっそ こんな車 こわれてしまえばいいのに

「霧に走る」
とりとめもない 冗談になら
あなたはいつでも うなづくのに
やっと言葉を 愛にかえれば
あなたの心は 急に霧もよう

「霧に走る」
悲しみは 白い舟
沖をゆく 一隻の舟
今夜は風に流されそうだ

「悲しみに」
ふられふられて 溜息つけば
町は夕暮れ 人波模様
子守唄など うたわれたくて
とぎれとぎれの ひとり唄をうたう

「杏村から」
眠りさめれば 別れは遠く
忘れ忘れの 夕野原が浮かぶ

「杏村から」
明日は案外 うまく行くだろう
慣れてしまえば 慣れたなら
杏村から 便りがとどく
きのう おまえの 誕生日だったよと

「杏村から」
笑わせるじゃないか あの人とあたし
相性が合うなんて 占いを切り抜いて
笑わせるじゃないか あの人からも
見えそうなテーブルに 忘れるなんて

「笑わせるじゃないか」
笑わせるじゃないか あたしときたら
泣きついて じゃれついて ままごと気分

「笑わせるじゃないか」
やさしそうな表情は 女たちの流行
崩れそうな強がりは 男たちの流行

「誘惑」
ガラスの靴を女は 隠して持っています
紙飛行機を男は 隠して持っています

「誘惑」
悲しみを ひとひら
かじるごとに 子供は
悲しいと言えない 大人に育つ

「誘惑」
あなた 鍵を 置いて
私 髪を 解いて
さみしかった さみしかった
夢のつづきを 始めましょう

「誘惑」
あたしにだって嫌いな奴はいっぱいいる
だけどだれにも嫌いだと言えない
ひとりぽっちが恐くって
こんなに笑って 生きてる

「やさしい女」
夜更けでごめんね 泣いててごめんね
みじかい話よ すぐにすむわ
さよなら あなた

「横恋慕」
終わった恋なら なかったようなもの
止め金のとれた ブローチひとつ
捨てるしかない

「横恋慕」
忘れな草 もう一度 ふるえてよ
あの人の思い出を 抱きしめて
忘れな草 もう一度 ふるえてよ
あの人の 夢にとどけ

「忘れな草をもう一度」
ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ
似たような名前はいくらもあるのに 私じゃ駄目ネ

「あの娘」
あのこの名前を真似たなら
私を愛してくれますか
あのこの口癖真似たなら
私を愛してくれますか
あのこの化粧を真似たなら
私を愛してくれますか
あのこをたとえば殺しても
あなたは私を 愛さない

「あの娘」
昨日の酒を 今日の酒で
流してみても
砂漠の雨のように
おまえに乾いてる

「波の上」
遠いエデン行きの貨物船が出る
帰りそこねたカモメが堕ちる
手も届かない 波の上

「波の上」
幸せを追いかけて 人は変わってゆく
幸せを追いかけて 狩人に変わってく
青い鳥 青い鳥 今夜も迷子

「僕は青い鳥」
今夜泣いてる人は 僕一人ではないはずだ
悲しいことの記憶は この星の裏表 溢れるはずだ

「幸福論」
他人の笑顔が悔しい 他人の笑顔が悔しい
そんなことばが心を飛び出して飛び出して走り出しそうだ

「幸福論」
孤独が恐けりゃ誰にも会わないことね
いい人に見えるのは 他人だからよね
生まれたばかりの子供は欲の塊 叱られそうな説ね

「幸福論」
プラスマイナス幸せの在庫はいくつ
誰が泣いて暮らせば僕は笑うだろう
プラスマイナス他人の悲しみをそっと喜んでいないか

「幸福論」
時計の針なら戻る 枯れた花でさえも
季節が巡れば戻る
でも私たちの愛は

「ひとり」
Good bye Good bye 明日からひとり
どんな寂しい時でも 頼れないのね
Good bye Good bye 慣れてるわひとり
心配なんかしないで 幸せになって

「ひとり」
飲んででもいなければ 悲しみは眠らない
あの娘の魅力のおこぼれで 夢を見た

「生まれた時から」
時計は二度と回らない
God bless you  彼女によろしく

「彼女によろしく」
裸で夜の海に浮けば 間違いだった数が解ける
1たす1は今夜も1にはなれないね

「不良」
遠くて男 寒くて女
抱きしめているのにさ 腕の中の他人

「不良」
わけなど何もなくても不良 女はすぐに転がる不良

「不良」
好きだと言えば不安になる 言われていなきゃ不安になる
言えないことから伝わってしまう
皮肉なものだね

「シニカル・ムーン」
いらない鳥を逃がしてあげた
逃がしてすぐに 野良猫喰べた
自由の歌が親切顔で
そういうふうに誰かを喰べる

「春までなんぼ」
春までなんぼ 春までなんぼ
私の身体であとまだいくつ

「春までなんぼ」
あたしたち多分 大丈夫よね
フォークにスパゲティを巻きつけながら彼女は訊く
大丈夫じゃない訳って何さ
ナイフに急に力を入れて彼は言葉を切る

「僕たちの将来」
青の濃すぎるTVの中では
まことしやかに暑い国の戦争が語られる
僕は 見知らぬ海の向こうの話よりも
この切れないステーキに腹を立てる

「僕たちの将来」
僕たちの将来はめくるめく閃光の中
僕たちの将来は良くなってゆく筈だね

「僕たちの将来」
シカタナイ シカタナイ そんなことばを
覚えるために 生まれて来たの
少しだけ 少しだけ 私のことを
愛せる人もいると思いたい

「はじめまして」
はじめまして 明日
はじめまして 明日
あんたと一度 つきあわせてよ

「はじめまして」
心の一つ位 女だって持ってる
あの人には見えないらしいわ
からっぽに映るだけらしいわ

「ひとりぽっちで踊らせて」
だからひとり 今はひとり
踊りたいの あの人を恨みながら
だからひとり かまわないで
優しくしないでよ 涙がでるから

「ひとりぽっちで踊らせて」
別れの話は 陽のあたる
テラスで紅茶を 飲みながら
あなたと私の 一日の
一頁(ページ)を 読むように

「すずめ」
雀 雀 私の心
あなたのそばを 離れくない
なのに なのに ふざけるばかり
雀のように はしゃいでるばかり

「すずめ」
「ワタシハ他ニ好キナ相手ガ
沢山イマス
ダカラソノ方ヲ
幸セニシテアゲテクダサイ」

「最愛」
二番目に好きな人 三番目好きな人
その人なりに愛せるでしょう
でも 一番に好きだったのは
わたし誰にも言わないけど
死ぬまで貴方

「最愛」
行かないで 行かないで
行かないで 私の全て

「さよならの鐘」
生きる夢も 愛の意味も
あなたがくれたもの
生きる夢も 愛の意味も
あなたが全て

「さよならの鐘」
だから 愛してくれますか
私の頬が 染まるまで
だから 愛してくれますか
季節を染める風よりも 甘やかに

「海と宝石」
でも もしもあなたが 困るなら
海にでも 聴かせる話だけど

「海と宝石」
芝居してるふりで 急に言いましょうか
「本気よ」

「カム・フラージュ」
だれか 私の目を閉じて
何も見ないことにして

「煙草」
振り向いてみれば
人はみな 泣き笑顔

「美貌の都」
この国は 美貌の都
芝居ばかりが 明るい
この国は 美貌の都
言葉ばかりが 明るい

「美貌の都」
かもめはかもめ 孔雀や鳩や
ましてや 女には なれない
あなたの望む 素直な女には
はじめから なれない

「かもめはかもめ」
この海を 失くしてでも
ほしい愛は あるけれど
かもめはかもめ
ひとりで海を ゆくのがお似合い

「かもめはかもめ」
今日は何回頭下げたの 人からバカだって言われたの
殴り返したい気持ちを貯めて あたしを笑いにきたんでしょ

「極楽通りへいらっしゃい」
うつむく首すじ手をかけて 幸せ不幸せ混ぜてあげる
今夜はようこそ ここは極楽通り

「極楽通りへいらっしゃい」
あしたバーボンハウスで幻と待ち合わせ
ひどい雨ですねひとつどうですかどこかで会いましたね

「あしたバーボンハウスで」
誰に会いたいですか手品使いが訊く
可哀想ね目くばせひとつ 踊り娘生き写し

「あしたバーボンハウスで」
僕たちは熱病だった 知恵が身につく寸前だった
熱の中でみんな白紙のテスト用紙で空を飛んでいた

「熱病」
教えて教えて 秘密を教えて  いっそ熱病

「熱病」
自分でなんか言えないことを 貴方自分で知ってたくせに
なにか言わなきゃならないような しずかな海になぜ来たの

「それ以上言わないで」
君は強い人だからいいね1人でも
だけど僕のあの娘は
… それ以上 言わないで

「それ以上言わないで」
みんなひとりぽっち海の底にいるみたい
だからだれかどうぞ上手な嘘をついて
いつも僕が側にいると夢のように囁いて
それで私たぶん少しだけ眠れる

「孤独の肖像」
隠して心の中うずめて心の中
もう二度と悲しむのはこりごりよ暗闇の中へ

「孤独の肖像」
消えないわ心の中消せないわ心の中
手さぐりで歩きだしてもう一度愛をはじめから

「孤独の肖像」
大人になんか僕はなりたくないと
だれかを責めた時から
子供はきっとひとつ覚えてしまう
大人のやりくち

「月の赤ん坊」
だれが歌っているのだれが叫んでいるの
なんでもないよと答えた日からひとりになったの

「月の赤ん坊」
許せないと叫ぶ野良犬の声を
踏み砕いて走る車輪の音がする
認めないと叫ぶ少女の声は細い
いなかったも同じ少女の声は細い

「忘れてはいけない」
泥だらけのクエッションマーク心の中にひとつ
なまぬるい指でなだめられて消える

「忘れてはいけない」
忘れてはいけないことが必ずある
口に出すことができない人生でも

「忘れてはいけない」
日本中望みをあからさまにして
日本中傷つき挫けた日がある
だから話したがらないだれも話したがらない
たまに虚像の世界を飛びたいだけ

「ショウ・タイム」
人が増えすぎて区別がつきません
みんなモンゴリアン区別がつきません

「ショウ・タイム」
いまやニュースはショウ・タイム
乗っ取り犯もスーパースター
カメラ回ればショウ・タイム
私なりたいスーパースター

「ショウ・タイム」
いい人にだけめぐり会ったわ 騙されたことがない
いい男いい別れそしてついにこのザマね

「ノスタルジア」
傷ついてもつまずいても過ぎ去れば物語
人は誰も過ぎた日々に弁護士をつけたがる
裁かないでね叱らないでね思い出は物語
私どんな人のことも天使だったと言うわ

「ノスタルジア」
肩に降る雨の冷たさも気づかぬまま歩き続けてた
肩に降る雨の冷たさにまだ生きてた自分を見つけた

「肩に降る雨」
幾日歩いた線路沿いは行方を捨てた闇の道
なのに夜深く夢の底で耳に入る雨を厭うのは何故

「肩に降る雨」
肩に降る雨の冷たさは生きろと叫ぶ誰かの声
肩に降る雨の冷たさは生きたいと迷う自分の声

「肩に降る雨」
新聞に載るほど悪いこともなく
賞状を貰うほど偉いこともなく
そしてゆっくりと1年は過ぎてゆく
やっと3日貰えるのが夏休み

「あたいの夏休み」
悲しいのはドレスが古くなること
悲しいのはカレーばかり続くこと
だけどもっと悲しいことは1人泣き
だからあたい きっと勝ってる夏休み

「あたいの夏休み」
Summer vacation あたいのために
Summer vacation 夏 翻れ

「あたいの夏休み」
それは星の中を歩き回って 帰りついた夜でなくてはならない
けっして雨がコートの中にまで 降っていたりしてはならない

「最悪」
なにもかも失くしてもこいつだけはと 昨日のようにギターを抱き寄せれば
ジョークの陰にうずめた歌ばかり 指より先に歌いだすんだ

「最悪」
Brandy night 踊るあいつのヒールは無邪気
Brandy night 今夜僕の酔った顔は最悪だ

「最悪」
男はロマンチスト 憧れを追いかける生き物
女は夢のないことばかり無理に言わせる魔物

「F.O.」
未明の埠頭を歩いたよね 手も握らずに歩いたよね
あの日のあたしはいなくなった たぶん死んでしまった

「毒をんな」
ここから出ようと誘いをありがとう
男の親切は とっくに手遅れ
目を醒ませよと殴るよりも 金を払って帰っておくれ

「毒をんな」
助けてくださいと
レースペーパーに 1000回血で書いた手紙

「毒をんな」
この人間たちの吹きだまりには
蓮の花も咲きはせぬ
この人間たちの吹きだまりには
毒のをんなが咲くばかり

「毒をんな」
シーサイド・コーポラス 小ねずみ駆け抜ける
港はいつも魚の脂の匂い

「シーサイド・コーポラス」
女に生まれて 喜んでくれたのは
菓子屋とドレス屋と女衒と女たらし

「やまねこ」
ああ 誰を探して さまよってきたの
ああ めぐり逢えても
傷つけずに愛せなくて 愛したくて
怯えている夜

「やまねこ」
傷つけるための爪だけが
抜けない棘のように光る
天(そら)からもらった贈り物が
この爪だけなんて この爪だけなんて

「やまねこ」
次に生まれて来る時は めぐり会おうと誓ったね
次に生まれて来る時は 離れないよと誓ったね

「HALF」
なんで遠回りばかりしてきたの
私 誓いを忘れて今日の日まで
私たちはこうしてさすらいながら
この人生もすれ違ってしまうのですか

「HALF」
とめてくれるかと背中待ってたわ
靴を拾いながら少し待ったわ
自由 自由 ひどい言葉ね
冷めた女に 男が恵む

「見返り美人」
ひと晩泣いたら 女は美人
生まれ変わって 薄情美人

「見返り美人」
アヴェ・マリアでも 呟きながら
私 別人 変わってあげる
見まごうばかり変わってあげる

「見返り美人」
やさしさだけしかあげられるものがない
こんな最後の夜というのに
長く伸ばした髪の毛は冷たい
凍る男をあたためきらぬ

「白鳥の歌が聴こえる」
言い残す言葉をくちびるにください
かもめづたいに運んであげる
いとおしい者へ から元気ひとつ
小さい者へ 笑い話ひとつ

「白鳥の歌が聴こえる」
クリスマスソング唄うように 今だけ愛してよ
雪に浮かれる街のように

「クリスマスソングを唄うように」
あなたには初めてで 私には100人目
だから私に手をひけと 言うのは甘いわね

「100人目の恋人」
汚ない手 使うのはやめてって どういう意味
私は何も惜しまずに 愛しているだけよ
続かないたちだから 100人もとり替えて
もう飽きたでしょうとは 言ってくれるじゃない

「100人目の恋人」
あなたかもしれないし 私かもしれない
身のほど知らずだけど私 あの人はゆずれない

「100人目の恋人」
あなたが探していたのは 私の今夜の愛じゃなく
だれかを愛していた頃の キラキラ光るあなた

「つめたい別れ」
私が探していたのは 私の愛する人じゃなく
私を愛してくれる人 そうよ おあいこなの

「つめたい別れ」
何も 言わないでただ抱きしめて
何も 言わないでただ見つめて
それで それで 思い出にできる
それで それで 泣かずにすむ

「つめたい別れ」
私たちの歌を酒場は歌う 気の毒な男と 猫かぶり女
目撃者は増える 1時間ごと あなたは気にしだす半時間ごと

「噂」
外は5月の雨 噂の季節 枝のように少し あなたが揺れる

「噂」
追いかけるだとか 告げるだとか
伝えなければ 伝わらない
わかるけれど わかるけれど
迷惑と言われたら 終わりだもの

「どこにいても」
どこにいても あなたが急に通りかかる偶然を
それは気にかけているの

「どこにいても」
もう一度戻るなら 時の流れを停めて
こんな筈じゃない時の流れに変えて

「湾岸24時」
そうよ日々の暮らしは心とは別にゆく
泣きすぎて血を吐いて 喉でそれでも水を飲む

「御機嫌如何」
氷の女発の 手紙をしたためます
あなたも私を もう気づかわないでいいわ

「御機嫌如何」
昔の歌を聴きたくはない
あの日が二度と戻らないかぎり

「土用波」
愛の重さを疑いながら
愛に全てをさらわれてゆく

「土用波」
流れゆけ流れしまえ立ち停まる者たちよ
流れゆけ流れてしまえ根こそぎの土用波

「土用波」
なんだァ そういうことかァ
言ってくれないんだもの
期待してしまった 仕度してしまった
あたしだけバカみたい

「泥は降りしきる」
いいよォ ごめんだとか
べつにィ 平気だから
好きだとか 嘘だから
あれ みんな冗談だから
ほら 笑っているでしょう

「泥は降りしきる」
愛する者に与えてやれるものが欲しいんだ
身勝手すぎる憧れを
抑え込むのが闘いさ

「ミュージシャン」
膝を抱え泣くのはもうたくさんだけど
ふたりで泣いてるのはなおさら辛いじゃないか

「ミュージシャン」
「ミュージシャン かなしいことを言わないで」
「ミュージシャン 何処でもついてゆけるものよ女は」

「ミュージシャン」
つれない素振りにそそられて 女の値段はつり上がる
あたしの昔を許すなら あたしの明日も許すかしら ねぇBoy

「黄色い犬」
男のことだと思うでしょう 女の話に見えるでしょう
言えない危い話なら 騙りと譬えは紙一重よ

「黄色い犬」
Yes, I'm Yellow 綺麗でしょ
Yes, I'm Yellow 月の色

「黄色い犬」
捨てゼリフ無しじゃ町を出られやしない
そして誰でも内緒で戻るよ
下りの坂なら 落ちる先は海

「仮面」
ねぇ 覚えてやしないでしょう
あたし あんたが文無しだった頃から
近くにいたのにさ 近くで見とれていたのにさ

「仮面」
クレンジングクリームひと塗り いやな女現われる
クレンジングクリームひと塗り ずるい女現われる
クレンジングクリームひと塗り 嘘つき女現われる

「クレンジングクリーム」
クレンジングクリームひと塗り 淋しい女現われる
クレンジングクリームひと塗り 捨てられた女現われる
クレンジングクリームひと塗り いらない女現われる

「クレンジングクリーム」
9桁の数字を 組み替えて並べ直す
淋しさの数と同じ イタズラ電話
ボックスを叩く 街の風が冷たい
どうしても1つだけ押せない組がある

「ローリング」
Rollin' Age 淋しさを
Rollin' Age 他人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ

「ローリング」
あたしの言うことは 男次第
ほらね 昨日と今とで もう違う
悪気のない人は みんな好きよ
“好き”と“嫌い”の間がないのよ

「野ウサギのように」
野ウサギのように 髪の色まで変わり
みんな あんたのせいだからね

「野ウサギのように」
難しいこたァ 抜きにして ま、一杯どうです
それであいつは 何処なのさ ま、一杯どうです

「ふらふら」
ふらふら ふらふら あたいはふらふら のんだくれ

「ふらふら」
おいでよ
MEGAMI 受け入れる性
MEGAMI 暖める性
みかえり無用の笑みをあげよう

「MEGAMI 」
少し似てる髪の形 少し似てるネックレス
そして少しも似てはいない みつめあった淋しさ

「気にしないで」
気にしないで あたしは初めから
この世にいなかったようなもの
あの人に訊いてみるといいわ
そのとおりだと きっと言うから

「気にしないで」
何万人の女たちが あたしはちがうと思いながら
何万人の女たちと 同じと気がついてしまう月

「十二月」
人の叫びも 鴃(もず)の叫びも
風の叫びも 警笛(ふえ)の叫びも
みんな似ている みんな似ている
人恋しと泣け 十二月

「十二月」
たとえ世界が空から落ちても
あたしは あの人をかばう
やさしくしてくれるなら

「たとえ世界が空から落ちても」
愛よりも夢よりも 人恋しさに誘われて
愛さえも夢さえも 粉々になるよ

「愛よりも」
忘れようと心を決めたのは
ひと足の途絶えだした 公園通り
メッキだらけの けばい茶店の隅っこは
雨やどりの女のための席ね

「涙‐Made in tears ‐」
今ごろ どうしておいでだろうか
今夜は 煙草が目にしみる

「涙‐Made in tears‐」
男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの

「涙‐Made in tears‐」
どこから来たかと訊くのは 年老いた者たち
どこにも残らぬ島なら 名前は言えない

「吹雪」
恐ろしいものの形を ノートに描いてみなさい
そこに描けないものが 君たちを殺すだろう

「吹雪」
疑うブームが過ぎて 楯突くブームが過ぎて
静かになる日が来たら 予定どおりに雪が降る

「吹雪」
微笑(ほほえみ)ずくで終わらせた恋が
夢の中 悲鳴あげる

「黄砂に吹かれて」
あなたに似てる人もいるのに
あなたよりやさしい男も
砂の数よりいるのにね
旅人

「黄砂に吹かれて」
肩幅の未来 いちずにあなたの背中しか
肩幅の未来 見ない自分が怖かった
1人になって見る夢は なおさら昔の背中だけ
……らちもない

「肩幅の未来」
罠にかかったそぶりをして奴の喉を軽く掻き切り
こともなげに戻ってきておまえシャワーを浴びてる

「あり、か」
てめえもグルかと Trap Beat
夜が回る
とぼけたふりかと Trap Beat
夜が回る
こんなことって あり、か

「あり、か」
憐れんでも はかなんでも
束の間
争っても うらやんでも
100年も続かないドラマですか

「群衆」
はかない時代だね
せめて君だけは 私をみつけて
叫び声紛れ 群衆

「群衆」
サヨナラを何処で言うか 出会った時に考える
そんな恋じゃないわ あなたはそうでも
私 明日を数えていない

「ロンリーカナリア」
苦い蜜 かじってみた小鳥みたい
震えてる Lonely canary

「ロンリーカナリア」
世の中なんてやきもちやきばかり
あきらめさせて喜ぶ そうでしょう

「くらやみ乙女」
そんなはずないと思うことばかり
目の前にあるドアからこぼれる

「くらやみ乙女」
血のように紅い服で あなたに会いにゆくよ
どんな遠い夜でも 見失うことなんてありえない

「くらやみ乙女」
ひきずられてゆく波の中で光る
ガラスたちの折れる寒い音がする

「儀式(セレモニー)」
幻を崖まで追いつめたあの日々
耳を打つ潮風はたわごとだけを運んだ

「儀式(セレモニー)」
セレモニー 単車の背中から
見つめた夕陽に さよなら

「儀式(セレモニー)」
恋しがられて行きたいですか
ひきとめられて泣かれたいですか

「未完成」
歌い方を教えてくださらないから
最後の小節が いつまでもなぞれない

「未完成」
貴方の目のなかで 誰かが踊る
私の捜せないカケラを持っている
貴方の目の中で 私が消える
私はいつまでもカケラを捜してる

「未完成」
記念にください ボタンをひとつ
青い空に捨てます

「春なのに」
春なのに お別れですか
春なのに 涙がこぼれます
春なのに 春なのに
ため息 またひとつ

「春なのに」
形のないものに 誰が愛なんてつけたのだろう 教えてよ

「あした」
ガラスならあなたの手の中で壊れたい
ナイフならあなたを傷つけながら折れてしまいたい

「あした」
何もかも愛を追い越してく
どしゃ降りの1車線の人生
凍えながら2人共が
2人分傷ついている 教えてよ

「あした」
もしも明日 私たちが何もかもを失くして
ただの心しか持たないやせた猫になっても
もしも明日 あなたのため何の得もなくても
言えるならその時 愛を聞かせて

「あした」
二文字 砕けた 呼び込みのネオンは
おかげで 故郷のつづりと似てしまった

「シュガー」
A.M.3時までには向かえに行かなきゃね
あの児の夜泣きする声が 聞こえて来る
あずけっぱなしで なつかない瞳が
あいつとそっくりに あたしをさげすむわ

「シュガー」
人生は 2番目の夢だけが叶うものなのよ
ほら だって あの人はあたしに残らない

「シュガー」
スポンジのようなパンを 水で喉に押し込んで
今夜も 極楽へ 踊り出してゆく

「シュガー」
夢は57セント 1度足を上げる値段
ここから どこへ まだゆける
SUGAR SUGAR 砂糖菓子

「シュガー」
「今夜の乗客は9人
乳飲み児が1人 女性が2人 あとは常連客
尋ねられた名前は ありません」

「空港日誌」
羽田へと向かう道にさえ乗っていない
そんなこと 百もわかりきってるけど、でも

「空港日誌」
あの人は恋 私には恋
いつでも 忘れがたい だけど
あの人は言う 街角で言う
別れやすい奴だってさ

「グッバイガール」
汚れてゆく雪のようです 女たちの心は
汚れながら春になります 不埒でしょうか

「グッバイガール」
あぶな坂を越えたところに
あたしは住んでいる
坂を越えてくる人たちはみんな けがをしてくる

「あぶな坂」
さあ指笛を 吹きならし
陽気な歌を 思い出せ
心の憂さを 吹き飛ばす
笑い声を 聞かせておくれ

「踊り明かそう」
夜風の中から お前の声が
おいらの部屋まで 飛んでくる
忘れてしまった 証拠のように
笑っているわと 見せつける

「夜風の中から」
怜子 いい女になったね
惚れられると 女は
本当に変わるんだね
怜子 ひとりで街も歩けない
自信のない女だった
おまえが 嘘のよう

「怜子」
化粧なんて どうでもいいと思ってきたけれど
せめて今夜だけでもきれいになりたい

「化粧」
あたしはとても おつむが軽い
あんたはとても 心が軽い
二人並べて よくよく見れば
どちらも泣かない あほう鳥

「あほう鳥」
雨もあがったことだし おまえの家でも
ふっとたずねて みたくなった
けれど おまえの家は なんだかどこかが
しばらく 見ないまに 変わったみたい

「おまえの家」
酔っぱらいを乗せるのは 誰だって嫌だよね
こんなふうに道の真ン中で泣いてるのも 迷惑だよね
だけどあたしは もう行くところがない
何をしても 叱ってくれる人も もう いない

「タクシードライバー」
俺のナナハンで行けるのは 町でも海でもどこでも
ねえ あんた 乗せてやろうか
どこまでもどこまでもどこまでもどこまでも

「狼になりたい」
走り続けていなけりゃ倒れちまう
自転車みたいな この命転がして
息はきれぎれ それでも走れ
走りやめたら ガラクタと呼ぶだけだ、この世では

「断崖 -親愛なる者へ-」
飲んで すべてを忘れられるものならば
今夜も ひとり飲み明かしてみるけれど
飲めば飲むほどに 想い出は深くなる
忘れきれない この想い 深くなる

「おもいで河」
明日も今日も留守なんて
みえすく手口使われるほど
嫌われたならしょうがない
笑ってあばよと気取ってみるさ

「あばよ」
裏切られた思い出にいつか覚えた氷芝居
さみしがり屋の貴方にはそれが一番の仕打ちだった

「雨…」
旅の仕度をした人ばかり どうしてこんなに通るのでしょう
ヨコハマヨコハマこの船は 街ごと運んで旅ですか

「追いかけてヨコハマ」
強がりはよせヨと笑ってよ
移り気な性質(たち)よと答えたら
それならば唇かみしめて
なぜ目をそらすかと 問いつめて

「強がりはよせヨ」
どうでもいいけどとんがらし どうでもいいけどとんがらし
そんなにかけちゃよくないよ、ってね

「蕎麦屋」
雨が好きです 雨が好きです
あした天気になれ

「あした天気になれ」
私の帰る家は
あなたの声のする街角
冬の雨に打たれて
あなたの足音をさがすのよ

「ひとり上手」
手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる雪のようです

「雪」
街に流れる歌を聴いたら
気づいて 私の声に気づいて
夜にさざめく 灯りの中で
遥かにみつめつづける瞳に気づいて

「夜曲」
あなたの彼女が描いた絵の
載った本をみつけた
やわらかなパステルの色は
そのままにあなたの好みの色

「この世に二人だけ」
今年は友だちと一緒に 海へ行く約束だから
おまえも好きなところへ 友だちと行きなよ、って
嘘、ついてる目つきぐらいわかるけど
でもそれを言っても時はとまらない

「夏土産」
何から何まで 昨日を
忘れてみても
胸の中に残る
おまえの熱い声

「波の上」
僕は青い鳥
今夜もだれか捕まえに来るよ 銀の籠を持ち
僕は青い鳥
だれかの窓辺に歌うよ 銀の籠の中で

「僕は青い鳥」
もううらみごとなら言うのはやめましょう
あの日出会った思い出も間違いに思えてしまうわ
ねえ出会いのことばを忘れないでいてね
だれかにほめてもらったこと あれきりのことだもの

「ひとり」
あと幾日生きられるか 生命線に尋ねてみても
昨日死んだ若い人の掌は長生き示してた

「彼女によろしく」
ふたり歩くのが似合いそうな春の夜は四月
すこし肌寒いくらいの風が寄り添いやすい

「シニカル・ムーン」
新しい服を着る 季節のように
今来た道を 忘れてしまう
枯れた枝 落とすように
悲しい人を 他人のように忘れてしまう

「はじめまして」
短パンを穿いた付け焼き刃レディたちが
腕を組んでチンピラにぶらさがって歩く
ここは別荘地 盛り場じゃないのよと
レースのカーテンの陰 囁く声

「あたいの夏休み」
どちらから別れるって こじれるのはごめんだな避けたいな いい子じゃないか
忙しくて用があって会えないから 愛情は変わらないが疎遠になる
自然に消えてゆく恋が 二人のためにはいいんじゃないか

「F.O.」
僕の望みは フェイド アウト
君の望みは カット アウト
ますます冷める 恋心

「F.O.」
寄り添いたくて寄り添いたくて 魂の半分が足りなかった
人違いばかりくり返すうちに 見失うばかりの大切な人

「HALF」
いじめっ小僧はいつも 一人きりで遊ぶのが嫌い
昼寝犬に石をぶつけて 吠えたてられても

「シーサイド・コーポラス」
聞こえない筈など ありはしないのに
妬いてくれる値打ちさえ ないというの
気にかけてほしいわ 何処へ行ってたかと
問いつめてほしかった 愛のように

「湾岸24時」
もしも離れ離れになっても変わらないと
あれほど誓った言葉が風に融けてゆく
なさけないものですね あなたを忘れました
女は意外と 立ち直れるものなのでしょう

「御機嫌如何」
ぼろぼろになって獣がむせぶ
失うものはもう何もない
ぼろぼろになって獣が眠る
あたしは邪険に抱きしめる

「仮面」
Rollin' Age 笑いながら
Rollin' Age 荒野にいる
僕は僕は荒野にいる

「ローリング」
野に棲む者は 一人に弱い
蜃気楼(きつねのもり)へ 駈け寄りたがる

「野ウサギのように」
どのみち短い 眠りなら
夢かと紛う 夢をみようよ

「MEGAMI 」
自殺する若い女が この月だけ急に増える
それぞれに男たち 急に正気に返るシーズン
大都会の薬屋では 睡眠薬が売り切れる
なけなしのテレビでは 家族たちが笑っている

「十二月」
人よ信じるな けして信じるな
見えないものを
人よ欲しがるな けして欲しがるな
見果てぬものを
形あるものさえも あやういのに

「愛よりも」
日に日に強まる吹雪は なお強まるかもしれない
日に日に深まる暗闇 なお深まるかもしれない
日に日に打ち寄せる波が 岸辺を崩すように

「吹雪」
黄砂に吹かれて聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
つらい恋の歌

「黄砂に吹かれて」
卒業だけが理由でしょうか
会えなくなるねと 右手を出して
さみしくなるよ それだけですか
むこうで友だち 呼んでますね

「春なのに」
望みは何かと訊かれたら 君がこの星に居てくれることだ
力は何かと訊かれたら 君を想えば立ち直れることだ

「荒野より」
荒野より君に告ぐ 僕の為に立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ 後悔など何もない

「荒野より」
僕は走っているだろう 君と走っているだろう
あいだにどんな距離があっても
僕は笑っているだろう 君と笑っているだろう
あいだにどんな時が流れても

「荒野より」
バクです バクです 今の今からバクになる
バクです バクです バクになることにしたんです

「バクです」
バクは1人で喰い続けてる バクは1人で喰い続けてる
笑ってるあんたの夢を見るまで

「バクです」
私には何が有る 他と比べずに何が有る
私には何が無い 他と比べずに何が無い

「BA-NA-NA」
アジアの国に生まれ来て アジアの水を飲みながら
アジアの土を這い 風を吸い
強い国の民を 真似ては及ばず

「BA-NA- NA」
なんだか窮屈で 町を出てみたんです
知らない路線の電車に身をまかせ
なんだか悲しくて やけを起こしたんです
見知らぬ乗客と同じ行く先まで

「あばうとに行きます」
先案じばかりで 固まってしまったね
批判を気にやんで 固まってしまったね
思いが空回り 悲しくなったなら
ほつれたシャツのまま 地球をひと回り

「あばうとに行きます」
あばうとに行きます そんな時もあるでしょう
あばうとに行きます そんな旅もあるでしょう

「あばうとに行きます」
心許無く見るものは 野の花僅か草の花
それでも何も無いならば
絵描きの描く花よ咲け 絵描きの描く花よ咲け

「鶺鴒(せきれい)」
永遠に在れ山よ 永遠に在れ河よ
人は永遠に在らねど 咲き遺れよ心

「鶺鴒(せきれい)」
心許無く鶺鴒の 呼ぶ声返す声を聴く
それでも泣けてくるならば
子を呼ぶ人の声を聴く 呼ぶ声返す声を聴く

「鶺鴒(せきれい)」
私たちは逢う 他には何も無い
私たちは暮らす そののち気がつく
彼と私と、 どこかにもう1人
彼と私と、 確かにもう1人

「彼と私と、もう1人」
私たちは呼ぶ 心と心で
私たちは誓う そののち気がつく
彼と私と、 どこかにもう1人
彼と私と、 確かにもう1人

「彼と私と、もう1人」
甘く見てた我と我が身 こんな奴か我と我が身

「ばりほれとんぜ」
どうしようもない勝手な奴だ
どうしようもない不埒な奴だ

「ばりほれとんぜ」
Give & Take 与えられることは
Give & Take 心苦しくて
困ってはいない 望んでもいない そんなふうに言うのは
返せない借りだと恐れてしまうから

「ギヴ・アンド・テイク」
Give & Take 高いところから
Give & Take 放られた物を
柳のように首うなだれて
拾い集めるつらさは誰にもわからないでしょう

「ギヴ・アンド・テイク」
Give & Take それは違うよ
僕は君から貰える
君が受け取って呉れる ほら僕は貰えている

「ギヴ・アンド・テイク」
僕が貴女を識らない様に 貴女も貴女を識らない
古い記憶は 語り継がれて 捩じ曲げられることもある

「旅人よ我に帰れ」
優しすぎる弱虫は 孤独だけを選びとる
真実の灯をかざして 帰り道を照らそう

「旅人よ我に帰れ」
我に帰れ 旅人よ帰れ
我に帰れ この胸に帰れ

「旅人よ我に帰れ」
ひと粒の心 ひと粒の心
ひと粒の心 つながりだす

「帰郷群」
運んでゆく縁 運ばれてゆく縁
身の内の羅針盤が道を指す

「帰郷群」
誰かが私を憎んでいる
誰かが私を憎んでいる
帰るべき郷に背を向けた者も
眠りの中では戸口を出る

「帰郷群」
Yes, My Road, Yes, My Road, 愛だけで走ってゆく
Yes, My Road, Yes, My Road, 愛だけで走ってゆく

「走(そう)」
辿り着けたら誰が居るだろう
力尽きたら誰が知るだろう
報われたなら その時泣こう
それまでは笑ってゆこう

「走(そう)」
応援はとうに終わっている 表彰はとうに終わっている
ちぎれ去ったテープも ゆき交った盃も 伝説に変わっている

「走(そう)」
僕は迷っているのだろうか
僕は走っているのだろうか
約束の船は風の中 はるかな吹雪の中
どこまでもどこまでも荒野は続いている

「走(そう)」


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mk7911 at 05:10│Comments(3)ツイートまとめ 

この記事へのコメント

1. Posted by 無題   2019年09月02日 06:27
5 TLに流れる、みゆきさんの曲に、励まされ助けられました。
今まで、ありがとうございました。
2. Posted by 匿名   2019年09月02日 10:54
5 これまで本当にありがとうございました。
みゆきさんbotはほかにもありましたが、
歌詞の抽出センスやテキスト配置など、
こちらのアカウントが一番好きでした。
どうもありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
3. Posted by s33   2019年09月02日 22:58
色々な突っ込みありがとうございました

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