『国民文学』2019年10月号で短歌をご紹介いただきました■このブログが10周年を迎えました

2019年10月05日

《歌集読む 215》原佳子『空ふたたび』  ~一文字に結んだ口もと、ほか

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歌集読む 215
原佳子『空ふたたび』。
ながらみ書房。2019年7月。第一歌集。



ちぐはぐな気持ちと一緒に抱え来し甘夏ひとつ転がりてゆく
/原佳子『空ふたたび』



看病が介護にかわり夫とわれ覚悟を決めて子を抱くなり
/原佳子『空ふたたび』

→小学生のお子さんが交通事故にあう。
詞書として「病院に泊まりこみして丸二年十か月たちわが家に戻る」とあるが、これも短歌になっている。形は短歌だが説明的なので詞書になっているのだろう。



蝋のいろに変わりてしまいたる吾子よ棺を閉ずるまでを抱きいて
/原佳子『空ふたたび』

{短歌の本読む 100} 「短歌生活」第8回角川全国短歌大賞作品集 https://t.co/CQSAnPEWfU

この歌は以前このブログで取り上げたことがある。『短歌生活』という、角川全国短歌大賞(新人賞ではない)の作品集で読んだのだった。
それから、2017年の上半期短歌大賞に選んだ。
#2017上半期短歌大賞 50首 - Togetter https://togetter.com/li/1126231



子は逝きぬ 部屋のベッドを片づけて虚ろというに呑みこまれゆく
/原佳子『空ふたたび』



一文字に結んだ口もと忘られず一年かけっこスタート前の
/原佳子『空ふたたび』

→お子さんは小学一年生で事故にあったとあとがきに書いてあるので、事故の直前のころか。走り出す前の集中した口もとだ。一年生ならば、人生だってスタートしたばかりでまだまだこれからというところだ。



ぬばたまの夜の川面がほの明し花びら揺れて君は笑まいて
/原佳子『空ふたたび』



庭先にバドミントンを打ち合いて娘(こ)との間合いを測りておりぬ
/原佳子『空ふたたび』

→実はこの歌もとりあつかったことがある。角川短歌2013年8月号の題詠「庭を詠う」に載っていた歌だ。
さっきは角川全国短歌大賞がでてきたけど、いろいろ投稿をしていた方なんですね。

「娘との間合い」というのが、バドミントンをうまく打つための間合いでありながら、親子関係の間合いのようでもある。



手に巻いた包帯やっと薄くなりペンをはさんで「ありがとう」と書く
/原佳子『空ふたたび』

→なんの怪我なのかは前後を読んでもわからなかった。
まだ完治しているわけではないけれども、ペンをなんとかとれる状態になって、お礼の手紙かなにかを書いている。人柄の良さがあらわれている。



朝採りの胡瓜のみどりみずみずし藤井四段の前傾姿勢
/原佳子『空ふたたび』

→藤井さん、一時はかなり短歌に詠まれていたような気がする。きゅうりがすごく新鮮そうなのがいいし、前傾姿勢をもってきたのもいい。




この歌集はここまでなんだけども、原さんの歌をオレはもう一首このブログで取り上げたことがある。この歌は歌集に収録されなかった。

ライン入りハイソックスの似合う脚 わが夢の野を駆けまわるなり
/原佳子『未来』2018年2月号

→この健康そうな足は亡くなった子の足なのだろうと、歌集を読んだ今は思う。




以上です。この本おわり。






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mk7911 at 08:12│Comments(0)歌集読む 

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