中島みゆきを聴き直す

2018年10月21日

中島みゆきの「ローリング」の歌詞について考えた

しょうもないことでイライラして自己嫌悪におちいった。外で急に中島みゆきの「ローリング」を歌い上げたくなって、口ずさんだ。

90年代に中島みゆきのファンで、ファンクラブにも入っていたんですよ。歌詞は全曲覚えていた。
「ローリング」の歌詞を覚えてるか思い出してみたが、三番しか正確に思い出せなかった。三番はつながってるから覚えやすいと思う。



"初音ミクに中島みゆきのローリングを歌ってもらった.wmv"
https://t.co/3ghypvdMm5

中島みゆき ローリング 歌詞
https://t.co/4M4HzS0l4W




工事ランプの凍る路地をたどって
探しあぐねた たむろできる場所を

→考えたことなかったけど、あらためて読んでみる。「工事ランプ」って、工事現場の夜のピカピカ光るやつか。凍るっていうのは、実際に凍っちゃったっていうよりは、ランプの赤も寒々しく見えるよってことと読みたい。

二行目を見ると、このひとは居場所を探しているんだね。「たむろ」ってことは、一時的な居場所だ。夜のゴツゴツした街をあてもなくさまよっていますよという出だしだ。



昨夜騒いだ店は 客を忘れて
一見相手の洒落た挨拶を配る


→「昨夜」とあるけどここは「ゆうべ」と歌う。たしかに飲み屋って客引きのときに気のきいたことを言うね。それを「洒落た挨拶」と表現した。
盛り上がったって、店から出てしまえば他人になる。そのさびしさを言ってるんだね。



Rollin' Age 淋しさを
Rollin' Age 他人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ
Rollin' Age 笑いながら
Rollin' Age 荒野にいる
僕は僕は荒野にいる


→ここがサビ。「Rollin' Age」って例の「時代は回る」みたいな意味だと思ってきた。
そういう英語表現があるのかと思ってさくっと検索してみたが、上位10件ほとんど中島みゆきのこの歌のことがでてくる。

「淋しさを」「他人に言うな」「軽く軽く傷ついてゆけ」。ここにはなにか、毅然としていながら、うっとりするものがある。

「淋しさを他人に言うな」と歌うこの人だったら、自分の淋しさをわかってくれるんじゃないか、他人に言わずにいられない淋しさを知っているんじゃないか。ちょっとそう思えてくる。
「中島みゆき聞いていると逆に中島みゆきに話を聞いてもらっている気持ちになる」とどこかで読んだことがある。

「軽く軽く傷ついてゆけ」もいいなあ。たくましいよ。なにかで守ろうとか、逃げようとか、ぜんぜんしない。「軽く軽く」からは、たくさん傷ついてきたんだろうなって感じがする。

「笑いながら」「荒野にいる」「僕は僕は荒野にいる」。おもしろくて笑ってる笑いじゃないね、これは。傷ついて傷ついて、その果ての笑いだ。

「一人きり笑うことはできない」と同じくらいの時期のほかの歌「with」で歌っているけど、こっちはどう見ても一人きりで笑っている。「with」よりずっと進んだ心境だろう。



黒白フィルムは 燃えるスクラムの街
足並揃えた幻たちの場面
それを宝にするには あまり遅く生まれて
夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた


→これが二番。今見てもよくわからないところがある。見ていく。
「白黒」といわずに「黒白(こくびゃく)」と言っている。この歌詞以外で「こくびゃく」なんて聞いたことない。インパクトのある歌いだし。
「黒白フィルムは燃える スクラムの街」だと思ってたけど「黒白フィルムは 燃えるスクラムの街」だったんだ。この差は大きい。

「スクラムの街」っていうのは、なにか敵に対して団結していて、許さないものは絶対許さないってことなのか。「アンテナの街」っていう歌もあったけど、窮屈な街っていうのが中島みゆきの歌には出てくる。

「黒白フィルムは燃える/スクラムの街」だと、街がスクラムをくんでいるから有害な内容と判断されたフィルムは燃やされてしまう、という意味になる。そういう意味だと思った。でもよく見ると別の場所で切れているので、意味がかわってくる。

「黒白フィルムは/燃えるスクラムの街」だと、白黒のフィルムに映っているのが、燃える街なんだということになる。完全に意味が変わる。

その次の「足並揃えた幻たちの場面」というのは、軍隊の行進している映像と考えられる。
「幻たち」っていうのは、彼らは亡くなっていったってことなのか。

戦争で街が燃えているんだとすれば「スクラム」の意味も変わってくる。敵国に対する「スクラム」になる。

「それを宝にするにはあまり遅く生まれて」。たしかに中島みゆきは戦後生まれだけど、そこを言いたいわけじゃないのでしょう。うーん。
それより、早く生まれればそれが宝になるのか。戦争に行ったらその記憶や記録が宝になるってこと??

「夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた」。戦争を知らないくらい遅く生まれたから夢が叶わないよってこと? 意味を追う読み方をすると苦しいなあ。この箇所はいまだによくわからない。

三行目までをあまり考えずにこの部分だけ見ると、挫折と陶酔があるし、ずっとそういうふうにとらえていた。

二番の歌詞をさっきみたいに戦争読みすると、一番で酒をかっくらってさまよっている男と、いまいち脈絡がつかなくなる。サビの部分ともよくつながらない。

一番と同じサビがあって、三番にいきます。



9桁の数字を 組み替えて並べ直す
淋しさの数と同じ イタズラ電話
ボックスを叩く街の風が冷たい
どうしても1つだけ押せない組がある

→三番。このときは電話番号といったら9桁なんだね。
さみしさのあまりイタズラ電話をせずにいられない「僕」なのかと思ったけど、そうじゃない読みもあるね。逆に、イタズラ電話がかかってきて、そこに相手の淋しさを感じたのかもしれない。

三行目を見ると、主人公は電話ボックスにいるみたいだし、イタズラ電話をかける側にいると考えるのも自然だ。

「淋しさを他人に言うな」とかっこいいことを言いながらイタズラ電話してるというのは、どうなのか。いや、こういうかっこわるい自分を踏まえてそれを言ったのか。

「どうしても1つだけ押せない組がある」ではじめて浮かび上がってくる人影がある。
三番の歌詞の、サビ直前ではじめて「僕」と深い関係がありそうな他人がでてくる。電話できなくなってしまった理由があるはずで、ここにドラマが圧縮されている。他人に言わずにいた「僕」の「淋しさ」の輪郭が、最後になって浮き上がる仕組みになっている。


最後のサビは「僕は僕は荒野にいる」がくりかえされて終わる。「荒野」というのは、居場所がない人間、誰にも関わることができない人間のたどり着く場所なんでしょう。飲み屋にも、過去の栄光や挫折にも、大切な誰かにも、すがることのできない「僕」の場所なのでしょう。

以上、中島みゆきの「ローリング」という歌の歌詞について突発的に考えて書いてみました。



"中島みゆき - ローリング(1993年) cover XXkurage"
https://t.co/4HUuZwggU7
カバーなんだけど、本人みたいな声だ。中島みゆき本人の歌う動画はないし、あってもYAMAHAが削除するので、こういう動画がたよりになる。

「スクラムの街~」のところで、大学紛争の画像がでてきた。あー、そういう意味なのか。そうなると、腑に落ちるところがある。



▼▼▼


【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
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「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
https://t.co/9LDZrsWmr0

【2】
https://t.co/lcoeLM1kt6

【3】
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【4】選考座談会・前編
https://note.mu/mk7911/n/ncbc826b3e18a

【5】選考座談会・後編

https://note.mu/mk7911/n/n44d84c9e74f6
2018年の短歌研究新人賞の自分のことについて、思うぞんぶんに書き尽くしました。また、選考座談会で言われたことへの応答。




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2014年11月17日

中島みゆきを聴いたことのない人に勧める最初の1枚、ほか

中島みゆきを聴いたことのない人に勧める、最初の1枚を教えて下さい  



という質問をいただいた。これに答えるとともに中島みゆきのファンになったころの話をしてみる。


お勧めの一枚は「生きていてもいいですか」 http://t.co/fo5iqKba7D



でもねえ、中島みゆきっていってもねえ。いろいろありますからねえ。オレが一番ショックを受けたのがこれだったからこれにした。「愛していると云ってくれ」もいいよ。

だってここで普通に「大吟醸」とかシングルスのどれかを選んだって、面白くもなんともないでしょうよ。正解はそのへんなんだろうけれども。

実際にオレが一番最初に聴いたアルバムは「EAST ASIA」だった。これには「糸」とか「誕生」とか名曲が入ってるんで、これもいいアルバムです。



でもオレが中島みゆきにのめりこんだのはアルバムが発端ではなかったんです。
NHK-FMに「ミュージックスクエア」っていう番組があって、金曜日の担当がみゆきさんだった。その個性的なおしゃべりで興味を持った。

月曜が藤井フミヤで、火曜が谷村有美で、水曜が森高千里で、木曜がは辛島美登里だった。
それが1994年ごろの話ね。

中島みゆきの話を始めるとオレは止まらないよ。

谷村有美とか、今の人は知らないだろう。ブックオフのCDアルバム100円コーナーでしか見かけない。

ちょうど「家なき子」が流行ってた頃で、「空と君のあいだに」を特別な感じで聴いていたなあ。

CDなんか無かったんだよ。持ってる人は持ってたけど、オレはラジカセだった。ラジカセで、ラジオ番組の音楽を録音して聴いたんだよ。
「次にお送りするナンバーは~」とか言い始めたらすかさず録音ボタン押してた、そういう頃だよ。

だから、ラジオで聴こえる音楽がすなわち自分の出会う音楽だった。もっと違うラジオパーソナリティー(この言い方は今もあるのか?)を好きになってたら、別のアーティストを好きだったかもしれない。
ラジオ番組と聴く音楽が連動していた。

そういう意味で中島みゆきの「此処じゃない何処かへ」の冒頭の「拾ってきたラジカセだけがたった一つの窓だった」という歌詞にいたく共感する。

中島みゆきのトークがおもしろいなと思っていたところに、「中島みゆきのお時間拝借」っていうラジオ番組が始まったのよ。これは民放のFMの番組で、土曜の22時からやってた。
この番組は中島みゆきの歌しか流さないの。それでますますオレの出会う音楽が中島みゆきに偏っていった。

ラジカセでいろいろ録音してた時期もあったけど、中島みゆきを知ってからは他のを聞かなくなっていったな。次第に排他的になっていって、この頃のオレは極端でけっこう嫌われた。

ラジカセでラジオから曲を録音すると、人のしゃべりが入ったり、途中で終わったりする。それで何度もおなじ曲を録音してた。

CDプレーヤー買ってCD聴いて、一番いいなと思ったのは「おしゃべりにも不意に入ってくるCMにも何にも邪魔されずに全部聴ける」ってことだった。

話があっちこっちにいくなあ。
中島みゆきのアルバムを少しずつ買って、全部揃ったのが高校三年だったのを覚えている。中二から集め始めたんだった。

とにかくCDは中学生高校生には高いし、一枚一枚を何百回と聴いたなあ。もうそんな聴き方はしなくなってしまったが。

「お時間拝借」が終わったのが98年ごろだ。みゆきさんの声が聴けなくなって、あれはさみしかった。つらかった。
そのころファンクラブに入った。でも半年でやめた。

そのあたりからみゆきさんから離れていったんだった。関心なくなったわけではないけど、距離をおくようになった。
クラシックを聴き始めた。

だから、オレが熱かったのが94-98年で、99年以降のはそんなに熱心に聴いてないのです。

みゆきさんが主題歌の番組は欠かさず見た。「はみだし刑事情熱系」は欠かさず見たけど、「プロジェクトX」は二、三回しか見ていない。その頃にそれくらい温度が変わった。

だから振り返ってみると、ラジオからみゆきさんに入って、ラジオで聴けなくなったら離れていったんだ。ラジオの存在、影響力は大きかった。

今でもみゆきさん、時々ラジオやってるよね。でもあれ、動画サイトに上がってるのを見かけたんで、あっそういうことか、生じゃなくてもいいやと思って動画で聴いてる。
寒い夜中に凍えながらみゆきさんの声を一言も聴き逃すまいと一心に聴くことはなくなったけど、それがまあ、豊かさってことよね。

きかれたことじゃないことを長々としゃべった。またみゆきさんに関する質問がきたら昔話をするかと思います。


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mk7911 at 06:01|PermalinkComments(2)

2014年11月16日

中島みゆきのアルバムを聴く★44「DRAMA!」

中島みゆきのアルバムを聴いて何か書くシリーズ。順番が前後するが今回は「DRAMA!」。

ジャケットは真っ赤だ。赤い光に赤い衣装のみゆきさん。

前半はミュージカルに使用された楽曲、後半は夜会の楽曲。

アマゾンのレビューではかなり評価が分かれていて、おっかなびっくり聴いた。




1.翼をあげて

一曲目からとばしているというか、感動的な歌をもってきている。本気だ。

閉塞感のあるところから、それに立ち向かう様子が歌われる。
空を覆う者、風を投げる者、明日を閉ざす者……そうしたものへの恐れがある。だがそこにとどまってはいない。「翼をあげて 今ゆくべき空へ向かえ」と力強くうったえかける。



2.こどもの宝

時間を遥か越えてきた「少年」があらわれる。過去と現在が交錯する。『萩野原』みたいな世界観かな。
「少年」は「私」を見上げるが「私」は目を逸らす。二人の願いはすれちがう。



3.夜の色

夜は闇ですなわち恐ろしいなどと人は単純に考えるが、それは騙されている。「白夜」というものもある。鳥たちは騙されずに故郷に向かう。


ひそやかに始まるが、ひろがりのあるサウンドになっていく。回想するオルゴールのような音で閉じられる。



4.

てのひらから水がこぼれ、砂がこぼれる。そこから、人間の無力さへの嘆きになってゆく。

終始、空気を多く含む歌い方をされる。息も絶え絶えといった様子だ。

深い迷いと嘆きの世界に誘われる。何度聴いても感銘を受ける。



5.愛が私に命ずること

前の曲と同じ歌い方だが、こちらは一転して、迷いから解かれて確信をつかんでいる。音楽にも、救われたような安堵感がある。

愛が命ずることならば従う、そうでないものには従わない。

「王冠は日暮れには転がる」とは、権力の虚しさを言っているのだろうが、独特な比喩だと思った。



6.NOW

コーラスから始まる。始まってしばらくは主旋律をコーラスが歌い、みゆきさんはそれにハモっている。


元になる物語を知らないのでこの歌詞だけで判断すると、どうやら、序盤は乱れて希望のない世の中とそれに翻弄される人々を歌っている。

音楽的には力強く明るくなっていくし、いい感じだ。歌詞だけ見ると、なにも見えてこなくて曖昧模糊としてはいるのだが。「NOW」という言葉が希望をもたらしているかのようだ。オレはツイッターの「なう」を思い出してしまうけど。
やはりこれは、大きな物語の流れのなかでこそ生きるのかもしれない。




ここからは夜会の楽曲。恥ずかしながら、オレはまだ見ていない。いつか見ます。いやあ、DVDが高くてなかなか……。



7.十二天

滅多にないことだが、歌詞の意味が全くわからない。いろんな「天」がでてきて、空を自在に飛んでいるみたいだ。

でも音楽としてすごくいい。「和」を感じる。
はるか彼方から声が聴こえてくる始まり方だが、二番ではみゆきさんの「がなり」が聴ける。たまりません。




8.らいしょらいしょ

わらべ唄か数え唄か、毬でもつきながら歌うような、調子のよい曲調だ。楽しい。

意味はやはりよくわからないんだが、豆を借りたら利子がついたというようなことと、前世と来世と今の世を行ったり来たりすることの二つがある。

「借り持って跳んだ」は夜逃げみたいだな。
歌詞がどんどん飛躍する、軽妙な曲。新しい面白さかもしれない。



9.暦売りの歌

和のテイストは後退し、普通にノリがいい。チェンバロの音も聴こえる。

一日をうまくいかない思いで過ごしている。暦を買うというのは、過去を変えるということだろうか。何やら大きなテーマを背負っているようだ。なんか夜会を見たくなってくるなあ。

7~9曲目のあたりはほんとに聴いていて気持ちいい。



10.百九番目の除夜の鐘

悪そうなギラギラしたサウンドだ。

百九番目の除夜の鐘が鳴りやまなかったら一体どうなってしまうのか。悪い冗談のようだ。メロディーも、だんだん永遠に続くようなしつこいものになっていく。よく聴いたら主部のメロディーは二音だけでできている。

「垣衣(しのぶぐさ)から萱草(わすれぐさ)」など、よくわからない言葉がでてくるんだが、それがいい雰囲気を出している。




10.幽霊交差点

「ミラージュ・ホテル」みたいな歌。
もやもやとしていて妖しい。「御存じですか」から「お忘れですか」に移るのがまた、あやしくていいね。

「気を付けなされ」で何かのギャグを思い出してしまう。そこだけ口調が変なんだよ。「気を付けなさい」でいいのに……。



11.海に絵を描く

弦が決然としている。もやもやとした前の曲と対照的な、切り刻むような音楽だ。

耳に残るメロディーで、カラオケで歌ったら気持ちいいだろうなと思う。


海辺で悲しむ様子を、絵を描くことに例えている。海の水の泡と、消される記憶や事実を重ねている。



12.天鏡

「その鏡」で何度も歌いだされる。
よくわからないが、とにかくその鏡は心などいろんなものが何でも映って、人が欲しがるもので、でも手に入らないらしい。


「NOW」もそうだけど、歌詞の内容はたいして変わらないんだけど曲はどんどん力強く明るくなって盛り上がっていくパターンだ。

とても感動的になってこのアルバムを閉じる。




▽おわりに

オレは好きですよこのアルバム。傑作だと思ってます。感動的な曲もあるし、悲しい曲はしっかり悲しいし、中盤の「和」のテイストが楽しい。

久しぶりに聴き直してみたけど、夜会を合わせて見たくなってくる。これらの楽曲の本来の位置付けを知りたくなってきた。
オレは、みゆきファンのなかでは夜会に消極的な方なんだよね。でも、アルバム「転生」を聴いてから夜会のDVD「24時着0時発」を見たら面白かったという経験があってから、夜会もいいなという感触を持った。


今回はこんな感じで終わります。「荒野より」「常夜灯」がまだなので、近いうちにやります。


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2014年11月14日

中島みゆきのアルバムを聴く★43「問題集」 ― 『麦の唄』ほか

6cbf92d5.png中島みゆきのアルバム「問題集」を買った。発売日に買った。オレが熱心なファンだからというよりは、ツイッターの「中島みゆきbot」@bot_miyuki をやっている関係で、早めに歌詞をbotに入れてしまいたかったからだ。こんな動機でアルバムを発売日に買う人なんて、滅多にいないだろう。


で、タワーレコードで買ったんだけど、そしたらでかいポスターがついてきた。ピンクの衣装を着たみゆきさんが渋い顔をしている。
魔除けになりそうだ、などと思いながら飾った。


オリジナルアルバムしか買わないから久しぶりにみゆきさんのCDを買ったんだけど、まあずいぶん宣伝するようになったね。
何点か関連商品を買うと目覚まし時計がついてくる売り方とかね。
「心に響く 届けたい歌がある! 全10曲」なんて書いてある。オレの心に届くかどうかはオレにしかわからないことだ。届くと思って買ってはいるんだけどさ。



ジャケットはパソコンで作ったのがわかる感じのデザインで、ピンクでひらひらしている。表面がキラキラしていて、ビックリマンの「ヘッド」を思い出した。

数字や数式が並んでるのは「問題集」のイメージなのだろう。


どの曲が何に使われたかが書いてある。「夜会工場」って初めて聞いた。



各曲の感想。



1.愛詞(あいことば)

今回のアルバムには造語が目立つ。「病院童」も「一夜草」もそうだし、歌詞では「都合良く」と書いて「たやすく」とルビをふるのもその一種と言っていいだろう。新しい言葉は新しいものを表現するためのものかもしれない。
この「愛詞」は「合い言葉」と愛のことばを掛けた造語だ。


三拍子で気持ちよく流れてゆく。せつなく苦しい、愛を伝えたい気持ちを歌にした、まっとうなラブソングだ。
苦しみと安らかさの間をいったりきたりする。




2.麦の唄

ドラマ「マッサン」のほうはちょっとだけ見たことあるけど、外国人の女性が日本のなかで苦労したりする話だね。

民族音楽を思わせる始まり方。バグパイプっていうんだっけ。
世界の広さ、愛の強さが歌われる。

「麦」に思いをたくしている。
「はだしのゲン」もそうだったなあと思い出す。聖書にもそういう例えがあった。




3.ジョークにしないか

「風にならないか」みたいな曲調だ。愛へのあきらめを歌っているのだが、どこかしみじみとした温かみがある。ハーモニカの音色。

「伝える言葉から伝えない言葉へ」というのがいいなと思った。



4.病院童(びょういんわらし)

病院を正面から歌ったのは珍しいな。
「病院」をみゆきさんの辞書で引いたような内容で、当たり前のことを言ってるような部分も多い。
「せつない」「うれしい」「切実な願い」など、感情がかなりそのまま歌詞になっている。

病院童というのは、病める人に寄り添うやさしい存在だ。その願いはとてもいいと思う。ただ、切実な願いというのはこんなに楽しく歌われるものなのかどうか。切実って自分で言うのも変だし。



5.産声

ピアノのひとつの音が繰り返されて始まる。医療機器の音のようでもあるし、彼方にある一筋の光のようでもある。

産まれる前の世界から、産まれた後の世界へとゆく、その間を歌っているようだ。産まれる前の記憶というのがあって、それは消えないらしい。「生」をめぐる壮大なドラマ、だと思う。意味がちょっととりにくくて理解しきれないところがある。



6.問題集

みゆきさんはどんな問題を投げかけてくるのだろうと身構えていたが、そういうことではない。問題を共有できないことを歌っている。
問題がなんなのかは語られない。それが簡単には片付かない、思い通りにならないことが語られる。




7.身体の中を流れる涙

これはいい歌だと思った。ちょっと演歌っぽくはあるけど。堀内孝雄とかが歌いそうな。

からだ中に冷たい凍るような悲しみ、涙がある。それは理由も時間も越えている。




8.ペルシャ

くねくねとしたあやしい魅力、異国情緒がある。「なつかない」というと、ペルシャ猫か。「なつかない猫」を思い出させる。ここではその夢の中までが歌われる。

「雨の夜にだけ開く 幻の踏切り」も神秘的。この踏切りはパラダイス・カフェやミラージュ・ホテルのような、ふつうには見つからない場所の系譜に連なるか。



9.一夜草(いちやそう)

なんだか橋幸夫の「潮来笠」みたいだと思った。氷川きよしの「箱根八里の半次郎」もこういう世界観だ。演歌っぽい。歌詞が五音七音でできているのもその感じを抱かせる。
さすらいの身で、恋が長くはもたない。



10.India Goose

「ツンドラ・バード」の歌詞に「愛よりも」のメロディーをのせたような歌だ。
それがうまくいってるかというと、すごくうまくいっている。既視感はあるが、結局は感動させられる。
まだまだみゆきさんの歌唱力は健在だ。
強い風のなかを小さな鳥が山を越えてゆく様子が力強く歌われる。




▽おわりに

最初に聴いたときは中の下くらいの微妙なアルバムだとおもったが、繰り返していると気持ちよくなって中の上くらいになってきた。
オレが言葉に厳しくなってしまったせいなのか、歌詞は甘いように思う。自己模倣もあると思う。新鮮さに乏しい。
が、歌唱力やサウンドなんかを合わせてトータルで見るならば、決して悪くはないものなんじゃないかなあと。特に、歌唱については全く衰えてないんじゃないか? これはすごいことだ。


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2013年02月27日

【Twitter】中島みゆきbotをつくった

中島みゆきの歌詞をつぶやくbotはいくつかあるけど、どれも微妙に不満なんだよなあ。切り取り方が変だったり、誤字があったり。オレが作ろうかと思うんだけどどうなんだろう。

いつもRTしてる黒いアイコンの「中島みゆきの歌詞ぼっと」さんが一番まともなんだ。次にみゆきさんの顔がアイコンになってるやつはフォロワーが4000人以上いるけど誤字あるしパターンが少ない。つぶやきの種類の数はbotの命だと思っている。




【中島みゆき神歌詞bot 】@miyuki_bot1
浅い夢にさすらいながら 街はほんとには愛を呼んでいる【浅い眠り】 #中島みゆき[amazon 収録CD、DVD]http://t.co/oeSaeTjp

浅い「眠り」だよ。眠りにさすらってんだよ。名曲をけがしおって。しかも歌詞のあとにずるずるリンクをくっつけている。非公式が写真は勝手に使っていいのか? こういうのは全然だめだ。
「街はほんとには」になってるけど「街はほんとは」が正しいんだよ。ひとつのつぶやきで二度も間違えるかよ。それも、みゆき様の歌詞を。
神歌詞って言うなよ安っぽいなあ。「中島みゆき神・歌詞bot」ならまだいいかなあ。どうかなあ。


黒いアイコンの「中島みゆきの歌詞ぼっと」はフォロワー3300か。っていうことは、さっきの「中島みゆき神歌詞bot 」が一番支持されてる中島みゆきのbotなのか。これは良いことではない。オレが作ろう。

でも今いらっしゃる「中島みゆきの歌詞ぼっと」さんで8割は満足なんだよなあ。残り2割のために膨大な量の作業するってどうなのという問題はある。


(そんなこんなで、結局つくった)



【中島みゆきbot】 @bot_miyuki
遠いふるさとは おちぶれた男の名を/呼んでなどいないのが ここからは見える   「あぶな坂」

こんな感じのbot。中島みゆきのbotで改行を反映させてるのは今までなかったんじゃないか。一字あけも改行も作品のうちだと考える。本当に改行させたかったけど機能的にきびしかったので斜線をひいた。

とりあえずファーストアルバムの歌詞カードとにらめっこしてツイートを入力した。27個のツイートになった。アルバムは40枚以上あるから、ええと、たくさんになるんだ。



中学の卒業文集に中島みゆきの歌詞書いたのを思い出してうわあああってなった。その頃から変わってねえ。



一応、ひとつの歌から最低1ヶ所は切り取る、最高でも5ヶ所までにする、と決めた。全体としてはいいのにどこをどう切ってもそれ単独で意味が通らない歌もあれば、5ヶ所に絞るのが残酷なくらいすごい言葉が満載な歌もあるのが面白い。



スマホで歌詞を入力すると予測変換があるわけだけど、そこからみゆきさんのよく使う言葉が見えてくるのが面白い。10枚目のアルバムまで入れたけど、「町」「歩く」「忘れる」なんかが今のところ目立っている。これは変化していくだろうから楽しみ。



そんなわけで、私のつくった【中島みゆきbot】@bot_miyuki 、正確で良さがより伝わるつぶやきを目指していますので、よろしければフォローおねがいします。


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2012年09月02日

中島みゆきのアルバムを聴く★42「真夜中の動物園」

中島みゆき「真夜中の動物園」





2010年のアルバム。ボーナストラック2曲を含めて全12曲。





歌詞カード、ジャケット

走っているみゆきさんのモノクロ写真のジャケット。何か追いかけているのだろうか。

歌詞カードに写真は多い。
ギターケースを持った写真、「歌旅」を思わせる青いギターを持った写真、動物。
タバコを吸ってる男性がスペシャルサンクスに名のある倉本聰さんだろう。





楽曲



1.今日以来

中庸なテンポのあっさりした楽曲。
うまくいかない人生の中で、愛を求める側から愛を与える側になりたいと歌う。





2.真夜中の動物園

7分あり最も長い。また、アルバムタイトルにもなっている。


動物園では真夜中になると逢いたい相手がやってくるという。

動物園にいる動物はどこか遠くから連れてこられて閉じ込められているわけだ。家族とも恋人(人じゃないが)とも友からも引き裂かれて。そんな相手が夜中に会いにくる。
群れだったり、地平線を飛んだり、流氷があったりと、まるで国ごと世界ごと動物がやってくるかのような迫力だ。動物達の逢いたいという想いがそうさせているのだろう。


その中にヒトがいる。人間というより、動物としてのヒトだ。
「誰だいヒトなんか呼んだのは」と動物の一匹が疎んじて言う。それに答えて別の動物が、このヒトはシロクマの親代わりだったんだという。

動物を動物園に閉じ込める人間を憎むのが動物の自然な感情だろう。(それとて人間の想像だが)
そこにあえてヒトを登場させたところに、人間を憎みきれない、見捨てきれない中島みゆきの想いを見る。

動物の住む広大な世界に比べ、人間の作った動物園はあまりに狭い。しかしその動物に正面から向き合った人間もまたいる。




3.まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う


タイトル通りの言葉は出てこない。電車を思わせる言葉もほぼない。「走る」「停まる」くらいだ。では何が電車なのかというと、このリズムが電車っぽいんだと思う。

「私たちは春の中で」とか「過ぎゆく夏」みたいな内容だ。

その場限りの生き方をする「あたしたち」。時間はどんどん過ぎていき、はかない。若いようだが、しかし自由という名前に疑いを持っている。どこか危うい若者。

中島みゆきの歌う若者は実際の若者とは違う想像上の若者という感じもするが、でもその漠然とした危うさにはリアリティがある。





4.ハリネズミだって恋をする

ラテンっぽい曲調。研ナオコっぽいとも感じた。

傷つけてしまう、傷ついてしまう、うまく人と付き合えないハリネズミの嘆きをリズミカルに歌う。

「傷つけちまった悲しみに」っていいな。中原中也か何かが元なんだろうけど。





5.小さき負傷者たちの為に

6分50秒あり、長い。
これ苦手なんだよなあ。

小さき者とそれを騙す卑怯な者がいて、小さき者に味方したいという内容。
「言葉しかない命ども」を攻撃してるが、一歩間違えればみゆきさん自身に跳ね返ってきそうな批判だ。
第一、これは誰と誰を歌ってるんだろうか。


何に味方して何と戦っているんだろう。これを聴いて「みゆきさんが私に味方してくれてうれしい」とか「痛いところを突かれた」と感じるのはどんな人たちなんだろう。同志となるっていうけど、同志として何をするんだろう。






6.夢だもの

すぐに「夢だったんだね」と比較したくなってしまっていけない。

夢見るような曲だ。
夢だ夢だといいながら見る夢は苦いような気がする。どこまでいっても「こんなのは夢だ」という否定から逃れられないのは、現実であってほしいと強く望んでいるからか。





7.サメの歌

このアルバムの中で好きな曲だ。

この歌も人生が過ぎていくことを歌っているが、力強さがある。その力にはどこか盲目的なものがある。
自ら選んだ力というよりは、後ろを向いている余裕がないところから生まれる前向きさだ。
良い過去も悪い過去も終わったことだ。いつまでも振り返ってはいられない。
サメは泳ぎ続けていなければ死ぬ、と何かで聞いたが、そういうことかな。

「なまもの」というのが魚っぽくて面白い。




8.ごまめの歯ぎしり

うらぶれたようなあやしげな雰囲気だ。

「なつかない猫」がしゃべっているような印象だ。

冷たい性格になってしまった歌の主人公が、そうなってしまった自分を語る。失敗の記憶がそうさせているようだ。






9.鷹の歌

今までないタイプの歌じゃないか。

おそらくこれは倉本聰さんをイメージした歌なんだと思う。
老いてはいるが気高い。そんな人物を鷹になぞらえている。



「怖れるなかれ」というけど、文語で正確にいうなら「怖るるなかれ」になるんじゃないか。最近文語文法をちょろっとやっているので、そういうのが気になってしまう。「小さき負傷者たちの為に」もそうだ。






10.負けんもんね

一種の応援歌だ。

「試すなら試せ試金石」っていいなあ。開き直った感じだ。過酷な運命の胸ぐらをつかんで凄んでるみたいだ。


「失えばその分の何か恵みがあるのかとつい思う期待のあさましさ」も心に響いてくる。




「が」や「な」の一文字で一気に絶望から希望に転じるのがすごい。この一文字はでかい。絶望を一文字でぶっ壊すみたいなエネルギーだ。
これはすごいなあ。

仕事中に頭の中で流すこともある、好きな歌のひとつだ。





11.雪傘

一転して切ない歌だ。
冬のイメージと、恋人の不在と、曲を覆う(特に弦楽)のあたたかさが、交ざりあってなんとも胸に迫る。

以前オレはアルバム「パラダイス・カフェ」の「ALONE, PLEASE」を聴いて泣いたことがあるが、その系統の歌だ。





12.愛だけを残せ(Album Version )

恥ずかしながらシングルバージョンはまだ聴いてない。

しっとりとしている。

人生を「選ぶつもりで選ばされる手品だ」とするのは鋭い。

人生を歌っているんだが汗臭さがまるでなく、とても神秘的だ。それには古めかしい言い回しや命令形の効果もあるのだろう。
「弱き者」「汝」などの言葉は歌に重みを与えている。





おわりに

中島みゆきは文語に近づいているのだろうか。
「弱き」などの「き」で終わる形容詞、「知れず」「すべ」「己(おの)が身」「何ゆえ」「~なかれ」「汝」などにその傾向が見られる。そういう方向に行ってもらうのも悪くない。



「人生」という言葉が多いと思って数えてみたら、4曲に合計12回出てきた。

良いアルバムでした。まだ聴いてないアルバムもあるけど、もっと聴きたくなった。





 



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2011年06月18日

中島みゆきのアルバムを聴く★41「ララバイSINGER」 - 『宙船』ほか

ララバイSINGER



2006年のアルバム。12曲入り。



ジャケット、歌詞カード


ジャケットでは闇の中に雪が降っている。そこにみゆきさんが立っているが、表情はやすらかだ。
神話にでも出てきそうなあっさりとした衣装。片手には楽器が見えるが、この楽器も神話っぽい。

アルバムタイトルが赤く書かれている。みゆきさんの筆跡だろうか。



ジャケットの裏は、夜景と天の川だ。この夜景は灯りが少なく、節電でもしてるみたいだ。おとなしい夜景、キラキラ光る天の川。
みゆきさんは天の川を流れてきたのだろうか。いかにも合成っぽくて、見てるこちらがちょっと恥ずかしくなってくる。





歌詞カードの中は色があまりなく落ち着いている。みゆきさんは飾りっ気のないさびれた場所にいる。

天の川に座ってたかと思ったら、ソファーのヘリの部分に座ってたり、机に座ってたり、変わった場所にばかり座ってる印象を受けた。


翌年の「I love you,答えてくれ」のギラギラした明るさとは対照的だ。




楽曲について



1.桜らららら
1番だけの短い歌。

このCDを再生したその瞬間、嬉しい驚きを感じた。古くからのファンであるほど嬉しいのではないか。

このギターの音は初期、「あ・り・が・と・う」以前を思わせる。


片想いを歌う。
好きな人を遠くから見ていて、しかし自分からは積極的にはなれずに、気づいて欲しいと思ってる。春なんだろう。


ああ。わかるなあ。その妬ましさ。

この歌はこれで完成していると思う。


サビがサイモン&ガーファンクルの「THE・BOXER」に似てるような気がしたが、聴き比べたらそうでもなかった。




2.ただ・愛のためにだけ

1曲目から続いている。

岩崎宏美への提供曲。オレは岩崎宏美さんのバージョンを先に聴いてた。「谷村新司の歌かな?」などと思って聴いてた。みゆきさんの作品だったとは。


妬ましく見てるだけだった状態から、愛のためにだけ生きてると言うまでになった。

つらい時でも愛する人がいれば乗り越えられる。
心の中の磁石とは、愛する人の方向を指し示すものなのか。




3.宙船

TOKIOに提供されたのは有名だ。このアルバムの提供曲の中では一番知名度があるのでは?


「歌旅」のイメージが強いので、宮下文一さんの声がないと寂しい。


この歌の意味なんて考えたことなかったけど、この記事を書くにあたり丁寧に読んでみた。そしたらなんとなく見えてきた。

船というのは、要するに人生とか生きざまなんだと思う。傷んでいたりボロボロだったりするが、それは他人ではなく自分で動かすしかない。
ただの船ではなく「宙」船なのは、つまり自分というのは宇宙でただ一人であるとか、何か羽ばたくような可能性を秘めているとか、そういうことかと思う。

3番で言ってるのは、余計なことを考えてるんじゃねえ、ってことかな。試したり裁いたり企んでる場合じゃない。それらでは船を動かせないぞ、と。



忘れてるかもしれないが、お前には可能性がある。お前はただ一人なんだ。たとえボロボロになっても、他の誰でもなく、お前がやるしかない。
そんな叱咤激励の歌だとオレは受け取った。




4.あのさよならにさよならを

華原朋美に提供した曲。小室哲哉から離れてから迷走してる感があった。
華原朋美がこの歌を歌ってる動画を見たが、ずいぶん小さい会場で少ないお客さん相手に歌ってたな。歌唱力には衰えは感じなかった。


この歌も迷いに迷っている。
「あなた」を失いそうで不安になっている。見えない明日への不安、過去からくる不安。そこから脱しようとする。

「あのさよなら」とは、別れの思い出だろうか。そのつらい過去に別れを告げる。




5.Clavis-鍵-

工藤静香への提供曲。タイトルからして覚えづらく、ヒットしなさそう。サビの性格も弱い。


工藤静香もすっかりヒット曲がなくなったが、この歌には工藤静香らしさがまだ残っている。独特の妖しさや危うさがある。

ちょっと民族音楽っぽい。タンゴとかそっち方面?


生きるための鍵を君と探したい、と歌う。実は鍵は君だった、なんてことになりそうな予感。
落としたってことは、過去には鍵を持ってたのか? だとすれば確かになくしたのは謎だ。世の中に揉まれるうちに生きる目的を失う。ありそうな話だ。



6.

前の曲から引き続き演奏される。
共通してるのは、鍵も水も人生の中心にあるものとして求められていることだ。

なめらかなメロディーラインだ。


この「水」とは癒やしとか愛とか、そういうものなんだろう。
1番では、水を探し求めた末にたどり着いたのがあなただったと歌う。
2番では、あなたは多くの人に水のように求められるが、あなたのための水はない、と歌う。

どうも引っかかる。
「あなたの為の水を誰か恵んでください」が乞食みたいでいやだ。

「あなたの為の水」は「私」が分けてあげたらよいと思う。
「あなたが私の水」で「自分の心は飲めません」というならば、私があなたの水になるのがいい。





7.あなたでなければ

この歌だけ歌詞カードが赤い。

「歌旅」のバージョンとあまり変わらない印象。

編曲に中村哲さんの名前があるところから想像できるが、サックスが充実している。


まっすぐなラブソングだ。
「あなた」の変化に戸惑いつつも、やはりあなたでなければダメだと歌う。

シンプルだが頭に残るメロディーだ。

終わり方がパッとしない。これならフェードアウトの方がいいなあ。


2.5.6.7.と、愛する人が人生の中心であるかのように歌う楽曲が目立つ。「転生」にも次のアルバムにもそんな内容の歌は全くないから余計目立つ。




8.五月の陽ざし

「萩野原」みたいな、遠い思い出をしみじみ思いかえす歌。

遠い日にもらった贈り物。意味を図りかねて開けるのをためらっていたが、開けてみたらドングリだった。


オレだったらすぐ開けるけどなあ。そんで「なんだよドングリって」と思うだろう。そこが詩的な人と散文的な野郎の違いだな。





9.とろ

個性的な歌。雰囲気はコミカルで、笑いながら泣いてるような歌い方。

内容がまた変わっていて、要領の悪い自分を歌っている。金魚すくいをやってもシャツの袖を水びたしにするのだろう。


「とろ」は動作が遅いという意味の「とろい」からきてるのだろう。
英訳だと「Too Slow!」になっている。発音が「とろ」に近い。これはナイスな訳だ。




10.お月さまほしい

「君」がひどいことにあい、おそらくひとりで泣いている。そんな君のために何もできず、渡してあげるものを探す。お月様を贈ってあげたくて夜中に屋根を見る。



「君」に何があったのか気になってしまう。次のアルバムの「アイス・フィッシュ」で歌われるのも同じ人なんだろうか。

こういう暗いエネルギーのある歌はみゆきさんならではだなあ。君にどうしても何かをあげたい、張り裂けんばかりの気持ちが見えるようだ。

代わりにドングリをあげたら、なんて言ったら怒られるだろうか。

なぜお月さまなのか。その晩に見えたものの中で最も光っていたからか。




11.重き荷を負いて

余裕なく苦しみながら生きる者を歌う。

苦しんでる人には応援歌なんだろうけど、オレは自分の頑張りのなさを責められてるように聞こえる。「がんばってから死にたいな」が特にそう感じさせる。

人気あるみたいだけど、オレは別に好きじゃない。




12.ララバイSINGER

ピアノ中心のしっとりした曲。

「アザミ嬢のララバイ」とのつながりが指摘されるんだろう。この歌ではより抽象的に表現される。


翼というのがいろいろに歌われる。
翼は人を眠りへ連れて行くものなのだろう。
そして眠る人を抱き守るのも翼だ。
忘れさせるのも翼で、思い出させるのも翼。思い出は翼か、つらさや悲しさも翼か。
翼が何かを考えていればこんがらがってオレなら眠ってしまうだろうね。

世の中には歌がたくさんあるが、その多くが恋する男女を歌う。世の中は恋する若者ばかりではないから、歌に歌われない人もきっといるのだろう。みゆきさんはそんな人達にも素敵な歌をたくさん作って歌ってるように思う。
このアルバムだと特に9.10.11は、歌ってもらえない人達が対象になってるように思う。

みゆきさん自身が、歌いながら自分の声を聞く、そんな歌びとなのだろうか。




おわりに

提供曲の関係もあってか、恋愛の歌が多い印象。
前半は提供曲中心で後半はみゆきさんらしい楽曲がならぶ。

中盤が少し弱いが、はじめの2曲の素朴さは今ではなかなか聴けないものだし、終盤には苦しみ悲しむ者への歌がならぶ、素晴らしい内容になっている。

ジャケットは暗いけど、けっこうカラッとした歌もある。







中島みゆきを聴き直す

★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」

★夜会vol.13「24時着0時発」

★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[前編]★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[後編]



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2011年05月22日

中島みゆきのアルバムを聴く★40「I Love You,答えてくれ」

I Love You,答えてくれ



2007年のアルバム。
オレは「ララバイSINGER」やLAライヴを聴いていないから、順番を飛ばしていることになる。

オレがこれを買ったのは「歌旅」のライヴDVDを買ったのがきっかけだった。
歌旅というコンサートが大変素晴らしいものだった。そのコンサートの収録曲の多くがこのアルバムに入っているという理由でこのアルバムを手にした。



ジャケット、歌詞カード

ジャケットは「歌旅」のトラックのデザインと同じだ。つまり金色の背景に白い衣装、かっこいいみゆきさん。そして迫力ある毛筆で書かれたアルバムタイトル。

裏は赤い衣装だ。靴が気になる。女子プロレスラーが履きそうな靴だ。


歌詞カードを見る。
金色は屏風の色だとわかる。
畳やふすまなどが「和」を感じさせる。白いページに光をあてると和風な模様が浮きでる。

白い衣装は暴走族みたいだと思った。
「美雪組」「美雪会」とでも言えばよいだろうか。

和の中の上品さと、それに包まれた力強さを感じる。




収録楽曲の感想



1.本日、未熟者

TOKIOに提供した曲なので、TOKIOのバージョンもYouTubeで聴いた。全く動きのない舞妓さんが印象に残った。

コンサート「歌旅」で強い印象を残した曲だ。
金管の「パパラパパ~」から「ジャージャジャ・ジャージャジャ」が入ってくるところからしてインパクト抜群だ。

編曲のところに中村哲さんの名前がある。サックスの人だ。
このアルバムでは瀬尾さんの他に誰かもう一名がアレンジに加わってる曲がいくつかある。
最後のサックスと金管のユニゾンは今まで聴かれなかった手法だ。



詞の内容は、不器用な男の生きざま、といったところか。
この男は苦しんで生きている。そこに甘い誘いがかけられるが、男はそれを蹴る。要領よりも筋を通したまっすぐな生き方だ。
おろおろとしてはいるが、ある意味強い男だ。

「野望」「義」といった言葉は女性が使うような言葉じゃないな。このへんに男臭さがあり、和風な何かを思わせる。
「あるか」と問うている。野望、義、情、恥、そういったものが彼にこの生き方をさせていると考えられる。





2.顔のない街の中で

サクサク流れるサウンドだが、みゆきさんは何かを訴えかけるように歌う。

この歌はアルバム「短篇集」の中の「帰省」につながってるように思う。8月と1月以外の都会を歌っているのだ。
人同士が日々の中で物のようになってゆくことを歌う。

「ならば見知れ」とみゆきさんは言う。
「見知らぬ」「人見知り」という言葉はあるが、「見知る」という言葉はあまり聞かない。その命令形「見知れ」となると、さらに聞かない。
「思い知るまで見知れ」となると難解だ。何をどうしろというのだろう。

「顔のない国」と聞いてすぐに菅総理のことを思い出した。あまり政治的なことは書きたくないが、菅総理にはリーダーシップがない、方向性がないと言われている。「顔のない」というのはそういうことを言うのかな?と思った。




3.惜しみなく愛の言葉を

「歌旅」のエンディングに流れるのはこの曲だったのか。


今日ありったけの愛を語ったら明日は言うことがなくなるのか。いつかのために今日は黙っているのがいいのか。
いいや、私は今日も明日も惜しみなく愛の言葉を君に捧げる。
…という内容だと理解した。


今日という日を精一杯生きて、愛せる限り愛する。いいなあ、そういう生き方。恋愛に限らず、オレは怖くて全力でやらないことがあるなあ。




4.一期一会

世界ウルルン滞在記の曲になったらしい。そう思って読むと、なるほどしっくりくる歌詞だ。

「見たこともない」の連発や「遠く離れて」が海外を思わせるし「短い日々」もポイントだな。

あなた自身の笑顔を忘れないでほしい、というのがいいね。

中島みゆきの歌に出てくる旅人は孤独な人が多いけど、これは人とのつながりを感じさせてくれる歌だ。




5.サバイバル・ロード

なかなか激しく、迫力のある楽曲だ。

「裸足で走れ」の21世紀版だな。裏切りに満ちた世を歌う。

「身ぐるみ剥がれて」
「食いちぎられて」
「喰らいあって闇の中」
などエグい言葉に強い表現を感じる。かっこいいぜ。




6.Nobody Is Right

コーラスが充実している。手拍子が加わったあたりで「おだやかな時代」を思い出した。

はじめは良さがわからなかった。ラッパが軽薄に聞こえるし、同じ英語の繰り返しは変化に乏しい。しかし、じっくり聞いたら深い内容だと感じた。

何もかも正しい人なんていないんじゃないかと歌う。その上で、正しさを手段にして争いを起こしたり快楽を貪る行為を批判する内容だ。

何のことを歌ってるんだろう?

オレはなんとなくアメリカのことを考えた。あまり世界情勢に詳しくないから自信を持って書けないんだけど、アメリカが中東に対してやったことがなんとなくこれに当てはまってる気がする。違ってたらすみません。

戦争に正義も悪もないよな。

必ずしも「争い」が戦争を意味するとは限らないな。

オレは2ちゃんねるのいわゆる「祭」に加わって、悪い誰かが晒しあげられる様子を見て楽しく感じることがある。晒したり叩いてる人は、名目上は正義のためにやってると言うが、実際は勝利の美酒に酔いたいわけだ。
これはあくまで例えだけど、つまりそういう偽りの正義を戒める内容の歌ともとれる。


自分が絶対正しいという思い込みを捨て、多様な価値観を受け入れ理解し認めること。ありふれてるようで、難しい。




7.アイス・フィッシュ

編曲のところにみゆきさんの名前がある。神秘的な曲。「六花」「白菊」「伝説」あたりに近い。


さっきの歌とは対照的に比喩表現が多い。
解釈が分かれるかもしれないが、オレが想像したのはいじめ問題だ。

クラスにいじめられっこがいたとする。その子を助けたいと思いながらも保身からそれができず、そんな自分に悔しくなる。そんな状況が見えた。
自由に水の中を泳ぐことができず、怖じ気で凍りついて動けない、そんな魚。





8.ボディ・トーク

これもライブで印象的だった。かっこいい曲。

自分の気持ちを言葉を使って伝えることができないもどかしさを歌う。

命さえもさしだせる、そんな強い愛を伝えたい。海の様子だとか、爪に体温があるとか、そんなことを伝えたいわけじゃないのだ。思いを伝えられないんだから言葉なんて弱いものだ。言葉がダメならせめて身体から伝わってほしい。


みゆきさんほどすごみのある言葉を使って詞をかける人が「言葉なんて迫力がない、言葉は弱い」と言ってるのが不思議な感じだ。



9.背広の下のロックンロール

これは「歌旅」のトリを飾った曲だ。オレはDVD見てこの歌のところで泣いた。それぐらい感動した。

この歌に関しては「歌旅」の記事でさんざん書いたから繰り返さない。そちらを参照。

CDは映像がないぶん感動は少ないが、それでも堂々たる名曲には違いない。




10.昔から雨が降ってくる

これも「歌旅」の感想で既に書いた。DVDと大差ない内容だ。そちらを参照。

みゆきさんの歌には「時代」をはじめとして、生まれ変わりが出てくる歌はいくつかある。でも人間以外が絡んでくる例は少ない。「この空を飛べたら」くらいしか思いつかない。


盛り上がるからなんとなくいい曲みたいに聞こえるが、好きかと言われたら別に好きじゃないな。
降ってくる雨を見て大昔のことをしみじみ考えた体験なんてないし、いまいち共感できない。




11.I Love You,答えてくれ

いきなりみゆきさんの迫力のヴォーカルが入ってくるから開始早々でぶったまげてしまう。

損得も何もない真っ直ぐな愛の歌だ。しかしこの彼女、相当疑い深いようだ。

この告白にしても、伝えたいから伝える、それだけの純粋な告白だ。小細工も何もない純度100パーセントのラブソングだ。
愛は他の何かを得るための手段ではない。愛そのものが目的なのだ。

見返りを求めない愛というと女性的な感じがするが、この歌は男性的だ。



おわりに


中身の濃い11曲。つい感想も長くなる。感想が長いということは、色々考えさせられた、感じるものがあったということですね。
3.7.10.あたりがちょこっと物足りなかったけど、これは名盤と言っておきたい。いろんな感情のうねりやエネルギーがビシビシと伝わってくる一枚。








中島みゆきを聴き直す
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」



DVD
★夜会vol.13「24時着0時発」
★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[前編]
★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[後編]


 



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2011年04月15日

歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007【DVD】内容と感想 [後編]

歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007
[前編]からの続き




2枚目のDVD





◇オフショットから始まる。
船に乗ってるみゆきさんご一行。楽しそう。

みゆきさん「後ろの水しぶき見た? すごいよー」
なるほどすごいしぶきをあげて進んでいるのがわかる。

潜水艦のそばを通過し、皆さん歓声をあげる。




1.唇をかみしめて

白いあっさりした衣装になってる。
白黒のオフショット映像はだいたい着替えのタイミングで出てくるようだ。


方言のきつい歌。あまりみゆきさんっぽくないかも、と思ってたら吉田拓郎のカバーなのか。
意味がわかりにくく感じる。達観した感じがして、独特な味を出している。三味線っぽい音もいい。よくわからないなりに好きだ。

オレは東北の人間だが、こっちの方言じゃないのはわかる。他の方言にしても歌えそう。

みゆきさんは特に身ぶりなどはしないが、泣きそうな真剣な表情をする。




2.ファイト!

ベースだけで始まる。CDではドラムだけで始まるし、この前YouTubeで見た95年大阪ライブではピアノから始まってた。


歌い出しではじめてわかり拍手が起こる。そういえばこの歌も方言が出てくるな。

はじめは真っ暗に近いが、参加する楽器が増えると明かりが点いてゆく。

2番まではおとなしい。「うっかり燃やしたことにして」で笑い。これは自嘲気味な笑いか。

「男に生まれれば~」でコーラスの女声。オレはこれを聴いてピンときた。この部分は強姦されたこを歌ってるのかと。長くファンをやってるが、初めてそんな考えが浮かんだ。

力強くなっていき、応援歌らしくなり終わる。





3.誕生

92年にCDで出た時のアレンジにかなり近い。間奏のエレキもそのまんまだ。

「祈りながら」で両手を合わせ祈りのジェスチャー。こういうちょっとした仕草も歌の表現力をより強める。


「私いつでもあなたに言う 生まれてくれてWelcome」で泣いた。これにはかなわない。力強さと優しい笑顔。そんなに丸ごと肯定されたら泣くしかないだろ。うっうっ。






◇オフショット

ヴァイオリンの入念なチェック。
控え室を覗くみゆきさん。

ホールは4階席まであり、そこに誰か立ってもものすごく小さくしか見えない。




4.I Love You,答えてくれ

損得で恋をするわけじゃない、「受け取った」と答えてほしいだけ。これはわかる。あっけらかんとした感じがいい。
この歌もAメロが字余りなパターンだな。




5.ボディ・トーク

「体づたいにこの心」では自分の肩を抱く仕草。
「言葉なんて迫力がない」と拳を握りしめて迫力たっぷりに歌うみゆきさん。

恋愛においてはそうかもしれない。
言葉の意味を伝えているのは言葉以外の要素が大きいのかもしれないな、なんて考えた。




トーク「おみやげ言葉」の一言。このDVDではステージ上でのトークはここしか入ってない。





6.重き荷を負いて

1番はあっさり歌い、2番は重々しく歌う。繰り返しでは力がこもる。

「がんばってから死にたいな」に頑張ってない自分を感じ恥ずかしくなった。この歌の主人公はすごく頑張っている。





◇オフショット

音の鳴るパンダのおもちゃで盛り上がるみゆきさんと女性陣。
パンダは「心の底からI love you」と言ってる。軽い感じで言ってるように聞こえる。お前の「心の底」はずいぶん浅い場所にあるんだな、と。腹から声出せ腹から!
…と思ったのはオレだけのようだ。


「ホームにて」の弦が聞こえる。「ホームにて」はDVDには入ってないんだよなあ。

ミュージシャンの皆さんの様子。メールしたり写メ撮ったり。




7.本日、未熟者

みゆきさんは青いギターを持つ。

手拍子で始まる。コーラスが手拍子の催促。
悪そうなスキンヘッドの富倉さんが悪そうなリズムを刻む。いいねえ。

この歌いいなあ。メロディーが頭に残る。コーラスの皆さんのうねるような動きもいい。





8.地上の星

2000年頃に出たCDで聴くものよりずっと力があり、みゆきさんが「がなって」いる。激しさのある地上の星であり、アレンジも違う。

文さんとハモってる。


後半になると「がなり」が消え素直な歌唱になる。
「つばめよ高い空から」で高く手を上げる。これだ、DVDのジャケットの写真はこの場面だ!





9.背広の下のロックンロール

ラストの曲。みゆきさんのギターは赤っぽい透明なものになる。

これは盛り上がる。感動する。これで最後だ、みんなよく頑張った、今最高に盛り上がってる、と思ったらまた泣けた。今まであまり映してなかった客席も映る。


悔しさも何もかも隠して働く男を歌う。「本日、未熟者」が成熟したらこんな感じだろうか。
すごくいい応援歌だと思った。みゆきさんが味方になってくれた、みゆきさんはわかってくれる、と思えて心強くなる。オレの仕事は頭を下げてばかりの仕事だが、これで心折れずに頑張れそうな感じがしてくる。



みゆきさんは歌い終わると大きく手を振りステージを去る。舞台の袖で見ているみゆきさん。サックスやギターが頑張ってつないでいる。特にサックスは熱演している。

終わるとみゆきさんは満足そうな表情を見せる。






◇スタッフロール

みゆきさんやミュージシャンの皆さんも映るが、お客さんの様子が特に印象に残った。じっとステージを見つめたり、笑顔になったり、涙を拭いたり。

オレはライブはお客さんと作るものだと思う。拍手も歓声も客席の様子もあってはじめてライブなんだと思う。最後の曲からスタッフロールにかけてお客さんがクローズアップされ、欠けていたパズルの最後のピースがはまったような気がした。





▽感想

ミュージシャンの皆さんの中では、コーラスの3人が特に印象に残った。ステージ横で3人踊ってるだけでこんなに雰囲気が良くなるのかと驚いたし、自然にそちらに目が行った。
オレは杉本和世さんが好きになってしまって、ついそちらばかり見てしまう。



ファイト!から誕生への贅沢なコンボで泣いた。背広の下のロックンロールでまた泣いた。
2枚目のDVDは特にベスト盤みたいな濃い内容で素晴らしい。感動感動また感動だ。

大満足のDVDだった。CDも欲しくなった。

見どころ満載だけど、1枚目では「御機嫌如何」「WITH」「宙船」は何度も見そう。2枚目は全部すごいけど特に最後の3曲は何度でも見て力をもらえそう。






中島みゆきを聴き直す
★1「私の声が聞こえますか」
★2「みんな去ってしまった」
★3「あ・り・が・と・う」
★4「愛していると云ってくれ」
★5「親愛なる者へ」
★6「singles」(3枚組・3枚目)
★7「おかえりなさい」
★8「生きていてもいいですか」
★9「臨月」
★10「寒水魚」
★11「予感」
★12「singles」(3枚組・2枚目)
★13「はじめまして」
★14「御色なおし」
★15「miss M.」
★16「36.5℃」
★17「singles」(3枚組・1枚目)
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」

★夜会vol.13「24時着0時発」


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2011年04月14日

歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007【DVD】内容と感想 [前編]

歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007


7350円、DVD2枚組160分。19曲+舞台裏の様子も多く収められている。
ジャケットではみゆきさんが笑顔で片手を上げている。

オレは「転生」以後のアルバムは聴いてないので、初めて聴く楽曲が半分ほどある。



以下内容。


自然の風景がうつる。トンボ、鳥。ススキの野原。




廃墟を思わせる割れたガラスのようなデザインが描かれたステージ。

ミュージシャンの皆さん。ドラムベースギターキーボードはもちろんいる。サックスもいる。コーラスが男1女2、弦がヴァイオリン6人チェロ2人。







1.御機嫌如何

真っ暗な中からジャーンと始まる。
真っ赤なドレスのみゆきさん。両手を腰 にやるポーズが印象的。
間奏でのおじぎに拍手が湧く。

サビの「御機嫌如何ですか」に合わせて手をふるコーラスの3人。コーラスは踊りでステージを盛り上げる役目もあるみたい。





2.1人で生まれて来たのだから

前奏はアルバムCDに入ってるのと同じ感じで始まる。ファンなら始まった瞬間に曲名がわかるだろう。

間奏ではピアノが魅せる。

歌い方はどこか投げやりというか、あきらめのこもった感じ。自分の言ってることを嘘だと思っていいるかのようだ。




3.あなたでなければ

初めて聴く歌だ。字余りなAメロとストレートなサビを持つ。

力強いラブソングだ。



◇舞台裏の映像。
打ち合わせの様子。考えこむみゆきさん。なかなか納得のいかない様子。
スタッフに「ほんとにこれでいーのー?」と言う場面がある。




4.一期一会

サビの「忘れないで」で手をふる。
のどかな感じで何気なく始まるが、サビでは別れを歌う。せつない。本当は自分が別れを悲しんでいるのに、それを隠して相手の幸せを願う。いい歌だなあ。




5.with
90年にシングル・アルバムの一曲として出た時と同じ始まり方だ。

歌に力が無いようだが、静かな中に味わいがある。

2番の後、サビを繰り返す部分から、みゆきさんは手で形をつくる。手話だろうか。

みゆきさんは歌が終わると演奏中のメンバーを残してステージを降りる。衣装を変えるのだろう。

終わり方はCDとは違う。CDでは音が小さくなっていき、終わったような終わってないような曖昧さがあった。ここでは冒頭の音型を生かしながらきちんと終わっている。




◇舞台裏の映像

バスから降りるスタッフやみゆきさん。あちこちで挨拶するみゆきさん。
「派手なトラックだこと…」

ステージを確認し、狭いという話をする。
犬のぬいぐるみ(って言っていいのかな)との絡み。「なごむですー」

廊下に配膳台がある。

「ぶんさん」と言われてるのはコーラスの宮下文一さんか。ステージが狭いからお客さんがぶんさんに触れるとか、そういう話。

衣装の確認。ピタピタなシャツが伸びたら、洗えばまた縮む?という話。

弦やコーラスの練習の様子。

「一期一会」で間違えるみゆきさん。「あーおどろいた。誰が間違えてんのかしらと思ったら、あたし」

階段の降り方を何度もやっていた。挙動のひとつひとつがステージでのパフォーマンスなんだな。




6.糸

やっぱり衣装変わってる。みゆきさんは片手に紙を持ってるが、これが何なのかはわからない。「結婚に関する歌だから、これは婚約届?」なんて想像してしまった。
曲と曲の間のトークを聞いたらわかるのかもしれないが、このDVDにはほとんどステージでのトークは入っていない。


座って歌われる。すごく幸せそうに歌うみゆきさん。




7.命の別名

しんみりとピアノで始まる。シングルバージョンより、もっとしんみりしている。

歌詞の内容ほど暗い感じではなく笑顔が見られる。

サックスによる間奏の後では「灯」を高くかざす身振りなどが入り、激しさも見せる。




8.ララバイSINGER~アザミ嬢のララバイ

「ララバイSINGER」がピアノで始まる。しばらくはピアノと弦が中心となる。途中で「アザミ嬢のララバイ」に変わるが、タイミングが絶妙だ。面白い。こうしてみれば二つの曲の類似点がさらに浮き彫りになる。
このへんからベースとコーラスが加わる。
ベースの人はスキンヘッドでサングラスでコワモテな印象。

ステージは暗いが、これは夜を表現しているのか。

終盤では、腕に抱いた我が子を愛おしむような仕草が見られる。夜に悲しむ者へのみゆきさんの愛情を感じた。




◇舞台裏の映像

音響の打ち合わせ。TOKIOや吉田拓郎などから花が届いていた。

会場のにぎわい。チケットを処理する人やたくさんのお客さんを誘導する人もコンサートツアーを支えている。



みんなで手を合わせて「ファイト、オー!」の三唱。

「おいおいみんなちゃんとしてくれよ」。スピード感がないとかでダメ出しされてたのはドラムの人? ドラムはみゆきさんの真後ろにいてステージではあまり映らない。


広い更衣室。

タバコ吸ってかっこつける文さん。この人いい人そう。






9.宙船

その文さんが大活躍する歌。これはTOKIOに提供した楽曲だが、文さんは仮想TOKIOなのか。男性が歌ってもよく合うかっこいい歌だ。

後半ではみゆきさんと文さんの掛け合いも見られる。



10.昔から雨が降ってくる

DVDの1枚目の最後を飾る。
初めて聴く歌。生まれ変わりを扱う。

まるで谷川俊太郎みたいな詩だと思った。子供っぽくてシンプルでそれでいて深い、教科書に載ってそう、という意味で。

語りかけるように歌われる。様々な動植物、あらゆる時代をつなぐ「雨」。
どの動植物も叶わない何かに向かっている。みんな夢見たり挫折したりして生きていて、それはいつの時代でもそうだった、なんてことを考えた。





長くなった。後半、DVDの2枚目についてはまた今度。





中島みゆきを聴き直す
★1「私の声が聞こえますか」
★2「みんな去ってしまった」
★3「あ・り・が・と・う」
★4「愛していると云ってくれ」
★5「親愛なる者へ」
★6「singles」(3枚組・3枚目)
★7「おかえりなさい」
★8「生きていてもいいですか」
★9「臨月」
★10「寒水魚」
★11「予感」
★12「singles」(3枚組・2枚目)
★13「はじめまして」
★14「御色なおし」
★15「miss M.」
★16「36.5℃」
★17「singles」(3枚組・1枚目)
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」

★夜会vol.13「24時着0時発」



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mk7911 at 12:09|PermalinkComments(2)