中島みゆき

2019年09月02日

中島みゆきbotを終了します

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bot作成サービス「makebot」のサービス終了にともない、中島みゆきbot @bot_miyuki をひとまず終了といたします。ありがとうございました。

千数百パターンのツイートを収録できる無料のbot作成サービスがあれば再開する可能性もありますが、いまのところ再開は予定していません。
有料サービスを使えば続けられますが、利益のあがらないものに対してそこまでできないという判断です。(利益があるならそのほうが問題ですが)

新曲の歌詞を入れられなかったり、至らないところもあったかと思います。

botであるにもかかわらず、たくさんのリプライをいただきました。みゆきさんがどんなに愛された歌手か、どんなにすぐれた歌詞であるかをあらためて感じました。ひとつひとつがみゆきさんへの想いにあふれていました。

2013年2月に作成したので、六年半つづけてきました。やりきったので満足です。
ずっと著作権的にみゆきさんに対して後ろめたい気持ちがあったので、その点は気が楽になりました。

アカウントがダメになって急に終わることが多いんですが、今回は感謝して終われるのでよかったです。

ほかにもみゆきさんのbotはあるようなので、あとはそちらにお任せしたいと思います。さようなら。









以下はbotに入力したデータです。一部しか拾えませんでした。もし全体を復元するのであれば、ツイログか過去のツイートからひとつひとつコピペしていくという、とても面倒なことになります。
サービスが終了したことよりも、バックアップをとっていなかったデータが消失したことのほうが決定的です。
520ツイートぶんのデータが残っていました。これは全体の4割くらいに相当します。



遠いふるさとは おちぶれた男の名を
呼んでなどいないのが ここからは見える

「あぶな坂」
今日も坂は だれかの痛みで
紅く染まっている
紅い花に魅かれて だれかが
今日も ころげ落ちる

「あぶな坂」
遠いかなたから あたしの黒い喪服を
目印にしてたのが ここからは見える

「あぶな坂」
あたしの やさしい人
あんたは やさしすぎる

「あたしのやさしい人」
あたしは あんたの
胸の中じゃ
夢も 見られないわ

「あたしのやさしい人」
何も悪くは ないの
そんな頃だった だけなのよ

「信じられない頃に」
なんて不幸なあなた
そして不幸な私
裏切り続けるのは
言うほど楽じゃない ことなのよ

「信じられない頃に」
忘れられない 悲しみなんて
すぐに覚えて しまうものなのよ

「信じられない頃に」
捨てただろう 捨てただろう
枯れてしまったから
ボギーボビーは砂時計
いつかこぼれて 影もなし

「ボギーボビーの赤いバラ」
海よ おまえが 泣いてる夜は
遠い 故郷の 歌を歌おう

「海よ」
海よ わたしが 泣いてる夜は
遠い 故郷へ 舟を運べよ

「海よ」
海よ おまえは 覚えているか
若い 船乗りの 夢の行方を
海よ おまえは 覚えているか
そして 帰らない 小舟の数を

「海よ」   
海よ わたしを 愛するならば
今宵 故郷へ 舟を運べよ

「海よ」
ララバイ ひとりで 泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜は どこからかけてるの

「アザミ嬢のララバイ」    
春は菜の花 秋には桔梗
そしてあたしは いつも夜咲く アザミ

「アザミ嬢のララバイ」
さあ 踊り明かせ 今夜は
気の狂うまで 死ねるまで
賭けてもいいよ あの人は
二度と迎えになんか来ない

「踊り明かそう」
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ
鬼さんこちら 手の鳴るほうへ

「ひとり遊び」
もう長い影 果てないひとり遊び
声は自分の 泣き声ばかり
日も暮れ果てて あたしは追いかけるよ
影踏み鬼は 悲しい遊び

「ひとり遊び」
願いごとが 叶わなかったり
願いごとが 叶いすぎたり
だれも悪くは ないのに
悲しい事は いつもある

「悲しいことはいつもある」
歌おう 謳おう 心の限り
愛をこめて あなたのために

「歌をあなたに」
何ンにも言わないで この手を握ってよ
声にならない歌声が 伝わってゆくでしょう

「歌をあなたに」
あんまり淋しくて 死にたくなるような日は
この手の中の歌声を 受け取って歩くのよ

「歌をあなたに」
サヨナラは 砂の色
私の手を はなれ
キラキラキラと光の中で 
輝いているわ

「渚便り」   
風に吹かれて 渚にいれば
みんな きれいに 見えてくる
悲しいはずの 思い出も
やさしい出来事に 見えてくる

「渚便り」
そんな時代も あったねと
いつか話せる 日が来るわ
あんな時代も あったねと
きっと笑って 話せるわ

「時代」   
まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた  恋人たちも
生まれ変わって めぐり逢うよ

「時代」 
めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出逢いを くり返し
今日は倒れた 旅人たちも
生まれ変わって歩きだすよ

「時代」  
空は風色 ため息模
様人待ち顔の 店じまい

「雨が空を捨てる日は」
雨が空を捨てる日は
直しあきらめる 首飾り

「雨が空を捨てる日は」
酒とくすりで 体はズタズタ
忘れたいことが 多すぎる

「彼女の生き方」
思い通りには 動かない
世の中なんて 何もかも
だけど あたしだって 世の中の
思い通りなんか 動かない

「彼女の生き方」
そうさあたしは タンポポの花
風に吹かれて 飛んでゆく
行きたい町へ 行きたい空へ
落ちると思えば 飛びあがる

「彼女の生き方」
どこか 曲がる所を探して
はやく 角を曲がってしまおうよ
だって バックミラーがちらちら揺れて
街の灯りがついて来るのよ だから

「トラックに乗せて」  
おじさん トラックに乗せて
おじさん トラックに乗せて
次の町まで いやでなければ
乗せて行ってよ 今夜は雨だよ

「トラックに乗せて」 
さあママ 町を出ようよ
激しい雨の夜だけど
仕度は 何もないから
はだしでドアをあけるだけ

「流浪(さすらい)の詩(うた)」 
形身になるようなものを
拾うのは およし
次の町では そんなものは
ただ邪魔になるだけ

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
いつか東風の夜は
あたしの歌を聴くだろう
死んでも 旅をつづける
女の歌を聴くだろう

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
風は東風 心のままに
いつか
飛んで飛ばされて
砕け散るまで

「流浪(さすらい)の詩(うた)」
真直な線を 引いてごらん
真直な線なんて 引けやしないよ
真直な定規を たどらなきゃ…ね

「真直(まっすぐ)な線」
あんたの胸の扉から
あたしの胸の扉まで
只の真直な線を引いてみて
それが只ひとつの願い

「真直(まっすぐ)な線」
思い出してごらん 五才の頃を
涙流していた 五才の頃を

「五才(いつつ)の頃」  
宝物はいつも 掌のなか
居眠りをしながら 掌のなか

「五才(いつつ)の頃」
おまえが いなくなった後も
春は くり返してる
花はおまえが 咲かせたわけじゃ
ないと 言いたがってる

「冬を待つ季節」
おまえの姿 埋もれさせて
秋は 降りつもってる
すべて私が 隠せるわと
自慢げに 降りしきる

「冬を待つ季節」
もう 知らん顔して
歩きだす時なのに
春夏秋は 冬を待つ季節
春夏秋は 冬を待つ季節

「冬を待つ季節」
浮気でやくざな 女が今夜どこで
どうしていようと 知った事じゃないが
けれどそこいらは おいらが遠い昔
住んでた路地だと おまえは知らぬ

「夜風の中から」
うらぶれ通りで お前が雨に
ふるえているから 眠れない
そこから曲がって 歩いた右に
朝までやってる 店があるぜ

「夜風の中から」
そのまま切るなと 話は続く
あたいは 受話器の 手を離す

「03時」
あんたの涙と あたいの涙
夜汽車は 03時に すれ違う

「03時」
裏切られた 思い出も
口に出せば わらいごと

「うそつきが好きよ」
自慢話は嫌い 約束事は恐い
嘘を抱えた両手 そっと開けて口説いてよ

「うそつきが好きよ」
叶えられない願いを抱いて
ある日 男は夢になる
好きよ 好きよ 嘘つきは
牙の折れた 手負い熊

「うそつきが好きよ」
あたしを乗せない船が
今日も 港出るところ
誰かあたしを おさえていてよ
少しのあいだ

「妬(や)いてる訳じゃないけれど」
追いかけても追いかけても
とどかなかった 鳥の名が

「忘れられるものならば」
眠り込んで しまうために
あおる酒も 空になり
酔いきれない 胸を抱いて
疲れた靴を履きなおす

「忘れられるものならば」
忘れられるものならば
もう旅になど出ない
忘れられるものならば
もう古い夢など見ない

「忘れられるものならば」
はじめて私に スミレの花束くれた人は
サナトリウムに消えて
それきり戻っては来なかった

「遍路」
はじめて私に 永遠の愛の誓いくれた人は
ふたりで暮らす家の 屋根を染めに登り
それっきり

「遍路」
もう幾つ目の 遠回り道 行き止まり道
手にさげた鈴の音は
帰ろうと言う 急ごうと言う
うなづく私は 帰り道も
とうになくしたのを知っている

「遍路」
店の名はライフ 自転車屋のとなり
どんなに酔っても たどりつける

「店の名はライフ」
店の名はライフ 三階は屋根裏
あやしげな運命論の 行きどまり
二階では徹夜でつづく恋愛論
抜け道は左 安梯子

「店の名はライフ」
あとで思えば あの時の 赤い山車は
私の すべてのまつりの後ろ姿だった

「まつりばやし」
眠りはじめた おまえの窓の外
まつりばやしは 静かに
あでやかに通り過ぎる

「まつりばやし」
人は誰でも まつりの終わりを知る
まつりばやしに 入れなくなくなる時を知る

「まつりばやし」
もう 紅い花が 揺れても

「まつりばやし」
女なんてものに 本当の心はないと
そんなふうに言うようになった
あなたが哀しい

「女なんてものに」
泣いてもどうにも ならないけれど
笑ってもあなたは 帰らないじゃないの

「女なんてものに」 
かもめたちが 目を覚ます
霧の中 もうすぐ
ああ あの人は いま頃は
例の ひとと 二人

「朝焼け」
眠れない夜が明ける頃
心もすさんで
もうあの人など ふしあわせになれと思う

「朝焼け」
ふるさとへ 向かう最終に
乗れる人は 急ぎなさいと
やさしい やさしい声の 駅長が
街なかに 叫ぶ

「ホームにて」
ふるさとは 走り続けた ホームの果て
叩き続けた 窓ガラスの果て

「ホームにて」
たそがれには 彷徨う街に
心は今夜も ホームにたたずんでいる
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券

「ホームにて」
部屋を出て行くなら
明かり消して行ってよ
後ろ姿を見たくない

「勝手にしやがれ」
心はなれて はじめて気づく
あんたの わがままが ほしい

「勝手にしやがれ」
あたしがあんまりブルースを
歌いすぎたから
町では このところ
天気予報は「明日も夜です」

「サーチライト」
あたしの悲しみは
昇る朝日も落としちまうほど

「サーチライト」
ふられた女の気持ちを
甘くみくびるものじゃないわ
たかが太陽のひとつくらい
あの人に比べたなら

「サーチライト」
明かりを貸してよ 町じゅうのろうそくを
あたしを照らすのよ
きっと暗くて探せないだけよ

「サーチライト」
明日などないと 酒をあおれば
なお褪めて 今日も まだ生きていた
人生は そんなもの

「時は流れて」
あんたには もう 逢えないと思ったから
あたしはすっかり やけを起こして
いくつもの恋を 渡り歩いた
その度に 心は 惨めになったけれど

「時は流れて」
流れの中で 今はただ祈るほかはない
あんたが あたしを
こんなに変わった あたしを
二度と みつけや しないように

「時は流れて」
わかっているのに わかっているのに
遠回しに 探りをいれてる私
皮肉のつもり 嫌がらせのつもり
いやな私……
あいつに 嫌われるの 当り前

「元気ですか」
……何を望んでるの あたし
あの女もいつか
飽きられることを!?

「元気ですか」
わかってるのよ あたし
わかってるのよ あたし
ほんとは
「そこにいる あいつを電話に出して」
って言いたいのよ

「元気ですか」 
やっぱり
うらやましくて
うらやましくて
うらやましくて
今夜は 泣くと
……思います

「元気ですか」
ひとの不幸を祈るようにだけは
なりたくないと願ってきたが
今夜 おまえの幸せぶりが
風に追われる 私の胸に痛すぎる

「怜子」
途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか

「わかれうた」
わかれはいつもついて来る 幸せの後ろをついて来る

「わかれうた」
あなたは愁いを身につけて
うかれ街あたりで 名をあげる
眠れない私は つれづれに
わかれうた 今夜も口ずさむ

「わかれうた」
恋の終わりは いつもいつも
立ち去る者だけが 美しい
残されて 戸惑う者たちは
追いかけて焦がれて 泣き狂う

「わかれうた」
海鳴りよ 海鳴りよ
今日も また お前と私が 残ったね

「海鳴り」
忘れないで 忘れないで
叫ぶ声は 今も 聞こえてる
忘れないよ 忘れないよ
時計だけが約束を守る

「海鳴り」
流れるな涙 心で止まれ
流れるな涙 バスが出るまで

「化粧」
バカだね バカだね バカだねあたし
愛してほしいと 思ってたなんて
バカだね バカだね バカのくせに
愛してもらえるつもりでいたなんて

「化粧」
こんなことならあいつを捨てなきゃよかったと
最後の最後に あんたに思われたい

「化粧」
なんで あんなにあたしたち二人とも
意地を張りあったのかしらね
ミルク もう 32
あたしたち ずっと このままね

「ミルク32」
ねえ ミルク またふられたわ
忙しそうね そのまま聞いて

「ミルク32」
忘れます 忘れます
あんたが好きだったって こともね
忘れます 忘れます
あたしが生きていたって こともね

「あほう鳥」
悪い夢を見て 泣くなんて
いい年をして することじゃない
いつもどおり あたしどおり
つづけるさ ばか笑い

「あほう鳥」
言いだせないことを 聞きだせもせずに 二人とも黙って
お湯の沸く 青い火をみている

「おまえの家」
ギターはやめたんだ 食っていけないもんなと
それきり 火を見ている

「おまえの家」
そうか いつでも 来てくれよと
そのとき おまえは 昔の顔だった

「おまえの家」
世の中はいつも 変わっているから
頑固者だけが 悲しい思いをする

「世情」
包帯のような嘘を 見破ることで
学者は世間を 見たような気になる

「世情」
シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を 流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと 戦うため

「世情」
黙っているのは 卑怯なことだと
おしゃべり男の 声がする

「裸足で走れ」
上着を着たまま 話をするのは
正気の沙汰では ないらしい
脱がせた上着を 拾って着るのは
賢いことらしい

「裸足で走れ」
一人になるのが 恐いなら
裸足で 裸足で ガラスの荒れ地を
裸足で 突っ走れ

「裸足で走れ」
笑っているけど みんな本当に幸せで
笑いながら 町の中歩いてゆくんだろうかね
忘れてしまいたい望みを かくすために
バカ騒ぎするのは あたしだけなんだろうかね

「タクシードライバー」
ゆき先なんて どこにもないわ
ひと晩じゅう 町の中 走り回っておくれよ
ばかやろうと あいつをけなす声が途切れて
眠ったら そこいらに捨てていっていいよ

「タクシードライバー」
タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も くり返す

「タクシードライバー」
おまえが殺した 名もない鳥の亡骸は
おまえを明日へ 連れて飛び続けるだろう

「泥海の中から」
ふり返れ 歩き出せ 悔やむだけでは変わらない
果てのない 昨日より 明日は少し ましになれ

「泥海の中から」
約束はいつも 成りゆきと知りながら
何故あいつだけを べつだと言えるの

「信じ難いもの」
嘘つきはどちら 逃げること戻ること
嘘つきはどちら 泣き虫忘れん坊

「信じ難いもの」
信じ難いもの:愛の言葉 はやり言葉
信じ難いもの:寂しい夜の あたしの耳

「信じ難いもの」
いつか時が経てば
忘れられる あんたなんか

「根雪」
町は ひとりぼっち
白い雪に かくれて泣いてる
足跡も 車も
そうよ あんたもかくして 降りしきる

「根雪」
目をさませ 早く 甘い夢から
うかれているのはおまえだけ

「片想」
「一度やそこらのやさしさで
つけあがられるのは とても迷惑なんだ」

「片想」
張りつめすぎた ギターの糸が
夜更けに ひとりで そっと切れる

「ダイヤル117」
ねえ 切らないで
なにか 答えて

「ダイヤル117」
石は砂に砂はよどみに
いつか青い海原に

「小石のように」
砂は海に海は大空に
そしていつかあの山へ

「小石のように」
おまえ おまえ 耳をふさいで
さよならを聞いてもくれない
とめどもなく転がりだして
石ははじめて ふりむく

「小石のように」
夜明け間際の吉野屋では 化粧のはげかけたシティ・ガールと
ベイビィ・フェイスの狼たち 肘をついて眠る

「狼になりたい」
人形みたいでもいいよな 笑えるやつはいいよな
みんな、いいことしてやがんのにな いいことしてやがんのにな
ビールはまだか

「狼になりたい」
狼になりたい 狼になりたい ただ一度

「狼になりたい」
風は北向き 心の中じゃ
朝も夜中も いつだって吹雪
だけど死ぬまで 春の服を着るよ
そうさ寒いとみんな逃げてしまうものね、みんなそうさ

「断崖 -親愛なる者へ-」
生きてゆけよと 扉の外で
手を振りながら 呼んでる声が聞こえる
死んでしまえと ののしっておくれ
窓の中 笑いだす声を聞かすくらいなら、ねぇ、おまえだけは

「断崖 -親愛なる者へ-」
さよなら さよなら
今は なにも 言わないわ
さよなら さよなら
今は なにも 言えないわ

「さよならさよなら」
どこにいるの
翼をおって 悲しい想いをさせたのね
飛んでいてねあなたの空で 私きっとすぐにゆくわ

「傷ついた翼」
愛は一人一人になって やっとこの手に届いたの
飛んでいてねあなたの空で私きっとすぐにゆくわ

「傷ついた翼」
忘れていたのよ あんたのことなんて
いつまでも 忘れてるつもりだったのに

「こんばんわ」
あれから 何をやってもうまくはいかず
あの町この町 渡ったよ
こんばんわ 久しぶりね
あたしにも 飲ませてよ

「こんばんわ」
強い日ざしはいつも ボクらの上に
ひとつの長い影を 残してゆくのか
強い愛はいつも ボクらの胸に
ひとつの悲しみを 残してゆくのか

「強い風はいつも」
涙の国から 吹く風は
ひとつ覚えのサヨナラを 繰り返す

「おもいで河」
おもいで河へと 身を投げて
もう 私は どこへも流れない

「おもいで河」
悲しいですね 人は誰にも
明日 流す涙が見えません

「ほうせんか」
ほうせんか 私の心
砕けて 砕けて 紅くなれ
ほうせんか 空まであがれ
あの人に しがみつけ

「ほうせんか」
なにもことばに残る 誓いはなく
なにも形に残る 思い出もない

「りばいばる」
忘れられない歌を 突然聞く
誰も知る人のない 遠い町の角で

「りばいばる」
思い出の部屋に 住んでちゃいけない
古くなるほど 酒は甘くなる

「ピエロ」
飲んでりゃ おまえも うそだと思うか
指から鍵を奪って
海に放り投げても

「ピエロ」
なにもあの人だけが世界じゅうで一番
やさしい人だと限るわけじゃあるまいし
たとえばとなりの町ならばとなりなりに
やさしい男はいくらでもいるもんさ

「あばよ」
泣かないで泣かないであたしの恋心
あの人はあの人はおまえに似合わない

「あばよ」
長い髪が好きだと
あなた昔誰かに話したでしょう
だから私こんなに長く
もうすぐ腰までとどくわ

「髪」
おしまいの手紙はあずかってこない
たのまれたものはあふれる花束
今ならわかる恋の花言葉
黄色いローズマリー 伝えてサヨウナラ

「サヨナラを伝えて」
私みんな気づいてしまった
しあわせ芝居の舞台裏
電話してるのは私だけ
あの人から来ることはない

「しあわせ芝居」
恋人がいます 恋人がいます 心の頁につづりたい
恋人がいます 恋人がいます けれどつづれないわけがある

「しあわせ芝居」
冷たい雨、雨、雨、雨、私を
あの頃に連れて戻って

「雨…」
空を飛ぼうなんて 悲しい話を
いつまで考えているのさ
あの人が突然 戻ったらなんて
いつまで考えているのさ

「この空を飛べたら」
ああ 人は 昔々 鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも 空が恋しい

「この空を飛べたら」
口をきくのがうまくなりました
ルージュひくたびにわかります

「ルージュ」
生まれた時から渡り鳥も渡る気で
翼をつくろうことも知るまいに

「ルージュ」
追いかけてヨコハマ あの人が逃げる
残した捨てゼリフに誰か見覚えはありませんか

「追いかけてヨコハマ」
いつからこんなふうになったのか
子供のようには戻れない
強がりはよせヨと笑われて
淋しいと答えて 泣きたいの

「強がりはよせヨ」
あんた誰と賭けていたのあたしの心はいくらだったの

「うらみ・ます」
うらみます うらみます
あんたのこと死ぬまで

「うらみ・ます」
雨が降る雨が降る
笑う声のかなたから
雨が降る雨が降る
あんたの顔が見えない

「うらみ・ます」
泣きたい夜に一人はいけない あたしのそばにおいで

「泣きたい夜に」
子供の頃に好きだった歌の名前を言ってごらん
腕の中できかせてあげよう心が眠るまで

「泣きたい夜に」
キツネ狩りにゆくなら気をつけておゆきよ
キツネ狩りは素敵さただ生きて戻れたら、ね

「キツネ狩りの歌」
そいつの顔を見てみろ
妙に耳が長くないか
妙にひげは長くないか

「キツネ狩りの歌」
世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて
まるで自分ひとりだけがいらないような気がする時

「蕎麦屋」
べつに今さらおまえの顔見てそばなど食っても仕方がないんだけれど
居留守使うのもなんだかみたいでなんのかんのと割り箸を折っている

「蕎麦屋」
風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

「蕎麦屋」
船を出すのなら九月 誰も皆 海を見飽きた頃の九月

「船を出すのなら九月」
人を捨てるなら九月 誰も皆 冬を見ている夜の九月

「船を出すのなら九月」
流れてくる噂はどれもみんな本当のことかもしれない
おまえは たちの悪い女で
死んでいって良かった奴かもしれない
けれどどんな噂より
けれどおまえのどんなつくり笑いより、私は
笑わずにいられない淋しさだけは真実だったと思う

「エレーン」
今夜雨は冷たい
行く先もなしにおまえがいつまでも
灯りの暖かに点ったにぎやかな窓を
ひとつずつ のぞいてる

「エレーン」
エレーン 生きていてもいいですかと誰も問いたい
エレーン その答えを誰もが知ってるから誰も問えない

「エレーン」
しがみつくにも足さえみせない
うらみつくにも袖さえみせない
泣かれるいわれもないと云うなら
あの世も地獄もあたしには 異国だ

「異国」
百年してもあたしは死ねない
あたしを埋める場所などないから
百億粒の灰になってもあたし
帰り支度をしつづける

「異国」
何ンにつけ 一応は
絶望的観測をするのが癖です

「あした天気になれ」
宝くじを買うときは
当たるはずなどないと言いながら買います
そのくせ誰かがかって
一等賞をもらった店で 買うんです

「あした天気になれ」
愛が好きです 愛が好きです
あした孤独になれ

「あした天気になれ」
あなたが海を見ているうちに
私 少しずつ遠くへゆくわ

「あなたが海を見ているうちに」
持ったサンダル わざと落として
もう一度だけ ふり返りたいけど
きっとあなたは もういないから
ふり返れない 国道 海づたい

「あなたが海を見ているうちに」
グラスの中に自分の背中がふいに見える夜は
あわせ鏡を両手で砕く 夢が血を流す

「あわせ鏡」
放っておいてと口に出すのは本当はこわいのよ
でもそう言えば誰か来るのをあたい知ってるの

「あわせ鏡」
明るい顔ができるまでには クスリたくさん必要よ
大丈夫よって言えるまでには お酒 必要よ

「あわせ鏡」
ひとり上手とよばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ

「ひとり上手」
手紙なんてよしてね
なんども くり返し泣くから
電話だけで捨ててね
僕もひとりだよと騙してね

「ひとり上手」
雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました

「雪」
昔の女を だれかと噂するのなら
辺りの景色に気をつけてからするものよ

「バス通り」
バスは雨で遅れてる
店は歌が 止まってる
ふっと聞こえる口ぐせも
かわらないみたいね それがつらいわ

「バス通り」
悲しみばかり見えるから
この目をつぶすナイフがほしい

「友情」
言葉を忘れた魚たち
笑えよ 私の言葉を

「友情」
救われない魂は
傷ついた自分のことじゃなく
救われない魂は
傷つけ返そうとしている自分だ

「友情」
時代という名の諦めが
心という名の橋を呑み込んでゆくよ
道の彼方にみかけるものは
すべて獲物か 泥棒ですか

「友情」
自由に歩いてゆくのならひとりがいい
そのくせ今夜も ひとの戸口で眠る

「友情」
テレビの歌はいかにもそこに
いかにもありそうな お伽ばなしをうたう

「成人世代」
隣りを歩いてゆく奴は
だれもが幸せ のぼり坂
ころんでいるのは自分だけ
だれもが心で そう思う

「成人世代」
夢やぶれ いずこへ還る
夢やぶれ いずこへ還る

「成人世代」
あなたにあてて 私はいつも
歌っているのよ いつまでも
悲しい歌も 愛しい歌も
みんなあなたのことを歌っているのよ

「夜曲」
月の光が 肩に冷たい夜には
祈りながら歌うのよ
深夜ラジオのかすかな歌が
あなたの肩を包みこんでくれるように

「夜曲」
マリコの部屋へ電話をかけて
男と遊んでる芝居 続けてきたけれど
あの娘も わりと忙しいようで
そうそう つき合わせてもいられない

「悪女」
悪女になるなら月夜はおよしよ
素直になりすぎる

「悪女」
女のつけぬ コロンを買って
深夜のサ店の鏡でうなじにつけたなら
夜明けを待って 一番電車
凍えて帰れば わざと捨てゼリフ

「悪女」
悪女になるなら
裸足で夜明けの電車で泣いてから
涙 ぽろぽろぽろぽろ
流れて 涸れてから

「悪女」
のぼれども のぼれども
どこへも着きはしない そんな気がしてくるようだ

「傾斜」
冬から春へと坂を降り 夏から夜へと坂を降り
愛から冬へと人づたい
のぼりの傾斜は けわしくなるばかり

「傾斜」
としをとるのはステキなことです そうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか

「傾斜」
悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか

「傾斜」
愛した人の数だけ 愛される人はいない
落ち葉の積もる窓辺はいつも
同じ場所と限るもの

「鳥になって」
眠り薬をください 私にも
子供の国へ 帰れるくらい
あなたのことも 私のことも
思い出せなくなりたい

「鳥になって」
わたしは早く ここを去りたい
できるなら 鳥になって

「鳥になって」
夢でもいいから 嘘でもいいから
どうぞふりむいて どうぞ

「捨てるほどの愛でいいから」
誰にでも やさしくし過ぎるのは
あなたの 軽い癖でも
わたしみたいな者には心にしみる

「捨てるほどの愛でいいから」 
カナリアみたいな声が受話器をひろう
あの人の名前 呼び捨てにこの賭けも 負けね

「B.G.M.」
B.G.M.は 二人だけのとっておきのメロディー
知らずにいたのは私だけ
いじわるね みんな

「B.G.M.」
夜は浅く
逃げる者には
足跡だらけの 月あかり

「家出」
ねえ もう一度
言葉にしてよ
汽笛に消えぬように
ねえ もう一度 耳を貸してよ
あなたを 愛している

「家出」
街頭インタヴューに答えて 私やさしい人が好きよと
やさしくなれない女たちは答える

「時刻表」
街角にたたずむ ポルノショーの看板持ちは爪を見る

「時刻表」
たずね人の写真のポスターが 雨に打たれてゆれている

「時刻表」
誰が悪いのかを言いあてて どうすればいいかを書きたてて
評論家やカウンセラーは米を買う
迷える子羊は彼らほど賢い者はいないと思う
あとをついてさえ行けば なんとかなると思う
見えることとそれができることは 別ものだよと米を買う

「時刻表」
海を見たといっても テレビの中でだけ
今夜じゅうに行ってこれる海はどこだろう
人の流れの中で そっと時刻表を見上げる

「時刻表」
望むものは何ひとつない
さがす人も 誰ひとりない
望むほどに 消える夢です
さがすほどに 逃げる愛です

「砂の船」
月は波に揺れて 幾百 幾千
古い熱い夢の数だけ
いま 誰もいない夜の海を
砂の船がゆく

「砂の船」
淋しいなんて口に出したら
誰もみんな うとましくて逃げ出してゆく
淋しくなんかないと笑えば
淋しい荷物 肩の上でなお重くなる

「歌姫」
砂にまみれた錆びた玩具に
やせた蝶々 蜜をさがし舞いおりている

「歌姫」
せめておまえの歌を 安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに 立つ自分が見える

「歌姫」
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も 哀しみも 欲望も 歌い流してくれ

「歌姫」
二人だけ この世に残し
死に絶えてしまえばいいと
心ならずも願ってしまうけど
それでもあなたは 私を選ばない

「この世に二人だけ」
夏が終わって とどけられる
夏土産 とどけられる
あなたと同じ場所からの貝殻と
恋人たちの写真

「夏土産」
煙草の煙を流すため
お酒の香りを流すため
あいつの全てを流すため
いつまでいつまで 飽きもせず
女が髪を洗います

「髪を洗う女」
煙草の煙が流れない
お酒の香りが流れない
あいつの全てが流れない

「髪を洗う女」
おいらの左手 もうダメなんだってさ どくおぶざべい
イカれちまったんだってさ どくおぶざべい

「ばいばいどくおぶざべい」
幕を引かないでくれ 明かりを消さないでくれ
みんなわかってるから 誰も何も言わないでくれ

「ばいばいどくおぶざべい」
ギターが重いぜめちゃくちゃ重いぜ ロックシンガー
放りだしちまいたくなって 丁度いいや どくおぶざべい

「ばいばいどくおぶざべい」
みんな変わってしまう みんな忘れてしまうだろう
だから最後の歌は 空より明るいばいばいどくおぶざべい
ばいばい

「ばいばいどくおぶざべい」
黒い枝の先ぽつりぽつり血のように
りんごが自分の重さで落ちてゆく

「誰のせいでもない雨が」
怒りもて石を握った指先は
眠れる赤子をあやし抱き
怒りもて罪を穿った唇は
時の褥に愛を呼ぶ

「誰のせいでもない雨が」
船は港を出る前に沈んだと
早すぎる伝令が火を止めにくる
私たちの船は 永く火の海を
沈みきれずに燃えている

「誰のせいでもない雨が」
もう誰一人 気にしてないよね
早く 月日すべての悲しみを癒せ
月日すべての悲しみを癒せ

「誰のせいでもない雨が」
縁ある人
万里の道を越えて 引き合うもの
縁なき人
顔をあわせ すべもなくすれ違う

「縁」
河よ 教えて 泣く前に
この縁は ありやなしや

「縁」
6年目ね 待てと言われもせず
今夜聞く風の噂
身を固めるんだってね

「テキーラを飲みほして」
テキーラを飲みほしてテキーラを飲みほして
短かった幻の日々に
こちらから Say Good Bye

「テキーラを飲みほして」
ふたりで同じ ひとつ穴のむじな
腐れ縁と呼ばれたかったわ 地獄まで落ちてでも

「テキーラを飲みほして」
きらりひらりきらりひらり
人生が身をかわす
きらりひらり
幸せが逃げる

「金魚」
でも嬉しいみたい
すくえなかったことが
どうせ飼えないものね
旅暮らし

「金魚」
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている

「ファイト!」
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

「ファイト!」
あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ

「ファイト!」
ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

「ファイト!」
ファイト!  闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!  冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ

「ファイト!」
だから笑い続けるだけよ 愛の傷が癒えるまで
喜びも 悲しみも 忘れ去るまで

「かなしみ笑い」
恨んでいられるうちは いいわ
忘れられたら 生きてはゆけない

「かなしみ笑い」
酒と踊りと歌を 覚えて
暗く輝く街へ 出かけよう
そこで覚えた暮らしが いつか
生まれながらに 思えてくるまで

「かなしみ笑い」
ああ 外はなんて 深い霧 車の中にまで
いっそ こんな車 こわれてしまえばいいのに

「霧に走る」
とりとめもない 冗談になら
あなたはいつでも うなづくのに
やっと言葉を 愛にかえれば
あなたの心は 急に霧もよう

「霧に走る」
悲しみは 白い舟
沖をゆく 一隻の舟
今夜は風に流されそうだ

「悲しみに」
ふられふられて 溜息つけば
町は夕暮れ 人波模様
子守唄など うたわれたくて
とぎれとぎれの ひとり唄をうたう

「杏村から」
眠りさめれば 別れは遠く
忘れ忘れの 夕野原が浮かぶ

「杏村から」
明日は案外 うまく行くだろう
慣れてしまえば 慣れたなら
杏村から 便りがとどく
きのう おまえの 誕生日だったよと

「杏村から」
笑わせるじゃないか あの人とあたし
相性が合うなんて 占いを切り抜いて
笑わせるじゃないか あの人からも
見えそうなテーブルに 忘れるなんて

「笑わせるじゃないか」
笑わせるじゃないか あたしときたら
泣きついて じゃれついて ままごと気分

「笑わせるじゃないか」
やさしそうな表情は 女たちの流行
崩れそうな強がりは 男たちの流行

「誘惑」
ガラスの靴を女は 隠して持っています
紙飛行機を男は 隠して持っています

「誘惑」
悲しみを ひとひら
かじるごとに 子供は
悲しいと言えない 大人に育つ

「誘惑」
あなた 鍵を 置いて
私 髪を 解いて
さみしかった さみしかった
夢のつづきを 始めましょう

「誘惑」
あたしにだって嫌いな奴はいっぱいいる
だけどだれにも嫌いだと言えない
ひとりぽっちが恐くって
こんなに笑って 生きてる

「やさしい女」
夜更けでごめんね 泣いててごめんね
みじかい話よ すぐにすむわ
さよなら あなた

「横恋慕」
終わった恋なら なかったようなもの
止め金のとれた ブローチひとつ
捨てるしかない

「横恋慕」
忘れな草 もう一度 ふるえてよ
あの人の思い出を 抱きしめて
忘れな草 もう一度 ふるえてよ
あの人の 夢にとどけ

「忘れな草をもう一度」
ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ
似たような名前はいくらもあるのに 私じゃ駄目ネ

「あの娘」
あのこの名前を真似たなら
私を愛してくれますか
あのこの口癖真似たなら
私を愛してくれますか
あのこの化粧を真似たなら
私を愛してくれますか
あのこをたとえば殺しても
あなたは私を 愛さない

「あの娘」
昨日の酒を 今日の酒で
流してみても
砂漠の雨のように
おまえに乾いてる

「波の上」
遠いエデン行きの貨物船が出る
帰りそこねたカモメが堕ちる
手も届かない 波の上

「波の上」
幸せを追いかけて 人は変わってゆく
幸せを追いかけて 狩人に変わってく
青い鳥 青い鳥 今夜も迷子

「僕は青い鳥」
今夜泣いてる人は 僕一人ではないはずだ
悲しいことの記憶は この星の裏表 溢れるはずだ

「幸福論」
他人の笑顔が悔しい 他人の笑顔が悔しい
そんなことばが心を飛び出して飛び出して走り出しそうだ

「幸福論」
孤独が恐けりゃ誰にも会わないことね
いい人に見えるのは 他人だからよね
生まれたばかりの子供は欲の塊 叱られそうな説ね

「幸福論」
プラスマイナス幸せの在庫はいくつ
誰が泣いて暮らせば僕は笑うだろう
プラスマイナス他人の悲しみをそっと喜んでいないか

「幸福論」
時計の針なら戻る 枯れた花でさえも
季節が巡れば戻る
でも私たちの愛は

「ひとり」
Good bye Good bye 明日からひとり
どんな寂しい時でも 頼れないのね
Good bye Good bye 慣れてるわひとり
心配なんかしないで 幸せになって

「ひとり」
飲んででもいなければ 悲しみは眠らない
あの娘の魅力のおこぼれで 夢を見た

「生まれた時から」
時計は二度と回らない
God bless you  彼女によろしく

「彼女によろしく」
裸で夜の海に浮けば 間違いだった数が解ける
1たす1は今夜も1にはなれないね

「不良」
遠くて男 寒くて女
抱きしめているのにさ 腕の中の他人

「不良」
わけなど何もなくても不良 女はすぐに転がる不良

「不良」
好きだと言えば不安になる 言われていなきゃ不安になる
言えないことから伝わってしまう
皮肉なものだね

「シニカル・ムーン」
いらない鳥を逃がしてあげた
逃がしてすぐに 野良猫喰べた
自由の歌が親切顔で
そういうふうに誰かを喰べる

「春までなんぼ」
春までなんぼ 春までなんぼ
私の身体であとまだいくつ

「春までなんぼ」
あたしたち多分 大丈夫よね
フォークにスパゲティを巻きつけながら彼女は訊く
大丈夫じゃない訳って何さ
ナイフに急に力を入れて彼は言葉を切る

「僕たちの将来」
青の濃すぎるTVの中では
まことしやかに暑い国の戦争が語られる
僕は 見知らぬ海の向こうの話よりも
この切れないステーキに腹を立てる

「僕たちの将来」
僕たちの将来はめくるめく閃光の中
僕たちの将来は良くなってゆく筈だね

「僕たちの将来」
シカタナイ シカタナイ そんなことばを
覚えるために 生まれて来たの
少しだけ 少しだけ 私のことを
愛せる人もいると思いたい

「はじめまして」
はじめまして 明日
はじめまして 明日
あんたと一度 つきあわせてよ

「はじめまして」
心の一つ位 女だって持ってる
あの人には見えないらしいわ
からっぽに映るだけらしいわ

「ひとりぽっちで踊らせて」
だからひとり 今はひとり
踊りたいの あの人を恨みながら
だからひとり かまわないで
優しくしないでよ 涙がでるから

「ひとりぽっちで踊らせて」
別れの話は 陽のあたる
テラスで紅茶を 飲みながら
あなたと私の 一日の
一頁(ページ)を 読むように

「すずめ」
雀 雀 私の心
あなたのそばを 離れくない
なのに なのに ふざけるばかり
雀のように はしゃいでるばかり

「すずめ」
「ワタシハ他ニ好キナ相手ガ
沢山イマス
ダカラソノ方ヲ
幸セニシテアゲテクダサイ」

「最愛」
二番目に好きな人 三番目好きな人
その人なりに愛せるでしょう
でも 一番に好きだったのは
わたし誰にも言わないけど
死ぬまで貴方

「最愛」
行かないで 行かないで
行かないで 私の全て

「さよならの鐘」
生きる夢も 愛の意味も
あなたがくれたもの
生きる夢も 愛の意味も
あなたが全て

「さよならの鐘」
だから 愛してくれますか
私の頬が 染まるまで
だから 愛してくれますか
季節を染める風よりも 甘やかに

「海と宝石」
でも もしもあなたが 困るなら
海にでも 聴かせる話だけど

「海と宝石」
芝居してるふりで 急に言いましょうか
「本気よ」

「カム・フラージュ」
だれか 私の目を閉じて
何も見ないことにして

「煙草」
振り向いてみれば
人はみな 泣き笑顔

「美貌の都」
この国は 美貌の都
芝居ばかりが 明るい
この国は 美貌の都
言葉ばかりが 明るい

「美貌の都」
かもめはかもめ 孔雀や鳩や
ましてや 女には なれない
あなたの望む 素直な女には
はじめから なれない

「かもめはかもめ」
この海を 失くしてでも
ほしい愛は あるけれど
かもめはかもめ
ひとりで海を ゆくのがお似合い

「かもめはかもめ」
今日は何回頭下げたの 人からバカだって言われたの
殴り返したい気持ちを貯めて あたしを笑いにきたんでしょ

「極楽通りへいらっしゃい」
うつむく首すじ手をかけて 幸せ不幸せ混ぜてあげる
今夜はようこそ ここは極楽通り

「極楽通りへいらっしゃい」
あしたバーボンハウスで幻と待ち合わせ
ひどい雨ですねひとつどうですかどこかで会いましたね

「あしたバーボンハウスで」
誰に会いたいですか手品使いが訊く
可哀想ね目くばせひとつ 踊り娘生き写し

「あしたバーボンハウスで」
僕たちは熱病だった 知恵が身につく寸前だった
熱の中でみんな白紙のテスト用紙で空を飛んでいた

「熱病」
教えて教えて 秘密を教えて  いっそ熱病

「熱病」
自分でなんか言えないことを 貴方自分で知ってたくせに
なにか言わなきゃならないような しずかな海になぜ来たの

「それ以上言わないで」
君は強い人だからいいね1人でも
だけど僕のあの娘は
… それ以上 言わないで

「それ以上言わないで」
みんなひとりぽっち海の底にいるみたい
だからだれかどうぞ上手な嘘をついて
いつも僕が側にいると夢のように囁いて
それで私たぶん少しだけ眠れる

「孤独の肖像」
隠して心の中うずめて心の中
もう二度と悲しむのはこりごりよ暗闇の中へ

「孤独の肖像」
消えないわ心の中消せないわ心の中
手さぐりで歩きだしてもう一度愛をはじめから

「孤独の肖像」
大人になんか僕はなりたくないと
だれかを責めた時から
子供はきっとひとつ覚えてしまう
大人のやりくち

「月の赤ん坊」
だれが歌っているのだれが叫んでいるの
なんでもないよと答えた日からひとりになったの

「月の赤ん坊」
許せないと叫ぶ野良犬の声を
踏み砕いて走る車輪の音がする
認めないと叫ぶ少女の声は細い
いなかったも同じ少女の声は細い

「忘れてはいけない」
泥だらけのクエッションマーク心の中にひとつ
なまぬるい指でなだめられて消える

「忘れてはいけない」
忘れてはいけないことが必ずある
口に出すことができない人生でも

「忘れてはいけない」
日本中望みをあからさまにして
日本中傷つき挫けた日がある
だから話したがらないだれも話したがらない
たまに虚像の世界を飛びたいだけ

「ショウ・タイム」
人が増えすぎて区別がつきません
みんなモンゴリアン区別がつきません

「ショウ・タイム」
いまやニュースはショウ・タイム
乗っ取り犯もスーパースター
カメラ回ればショウ・タイム
私なりたいスーパースター

「ショウ・タイム」
いい人にだけめぐり会ったわ 騙されたことがない
いい男いい別れそしてついにこのザマね

「ノスタルジア」
傷ついてもつまずいても過ぎ去れば物語
人は誰も過ぎた日々に弁護士をつけたがる
裁かないでね叱らないでね思い出は物語
私どんな人のことも天使だったと言うわ

「ノスタルジア」
肩に降る雨の冷たさも気づかぬまま歩き続けてた
肩に降る雨の冷たさにまだ生きてた自分を見つけた

「肩に降る雨」
幾日歩いた線路沿いは行方を捨てた闇の道
なのに夜深く夢の底で耳に入る雨を厭うのは何故

「肩に降る雨」
肩に降る雨の冷たさは生きろと叫ぶ誰かの声
肩に降る雨の冷たさは生きたいと迷う自分の声

「肩に降る雨」
新聞に載るほど悪いこともなく
賞状を貰うほど偉いこともなく
そしてゆっくりと1年は過ぎてゆく
やっと3日貰えるのが夏休み

「あたいの夏休み」
悲しいのはドレスが古くなること
悲しいのはカレーばかり続くこと
だけどもっと悲しいことは1人泣き
だからあたい きっと勝ってる夏休み

「あたいの夏休み」
Summer vacation あたいのために
Summer vacation 夏 翻れ

「あたいの夏休み」
それは星の中を歩き回って 帰りついた夜でなくてはならない
けっして雨がコートの中にまで 降っていたりしてはならない

「最悪」
なにもかも失くしてもこいつだけはと 昨日のようにギターを抱き寄せれば
ジョークの陰にうずめた歌ばかり 指より先に歌いだすんだ

「最悪」
Brandy night 踊るあいつのヒールは無邪気
Brandy night 今夜僕の酔った顔は最悪だ

「最悪」
男はロマンチスト 憧れを追いかける生き物
女は夢のないことばかり無理に言わせる魔物

「F.O.」
未明の埠頭を歩いたよね 手も握らずに歩いたよね
あの日のあたしはいなくなった たぶん死んでしまった

「毒をんな」
ここから出ようと誘いをありがとう
男の親切は とっくに手遅れ
目を醒ませよと殴るよりも 金を払って帰っておくれ

「毒をんな」
助けてくださいと
レースペーパーに 1000回血で書いた手紙

「毒をんな」
この人間たちの吹きだまりには
蓮の花も咲きはせぬ
この人間たちの吹きだまりには
毒のをんなが咲くばかり

「毒をんな」
シーサイド・コーポラス 小ねずみ駆け抜ける
港はいつも魚の脂の匂い

「シーサイド・コーポラス」
女に生まれて 喜んでくれたのは
菓子屋とドレス屋と女衒と女たらし

「やまねこ」
ああ 誰を探して さまよってきたの
ああ めぐり逢えても
傷つけずに愛せなくて 愛したくて
怯えている夜

「やまねこ」
傷つけるための爪だけが
抜けない棘のように光る
天(そら)からもらった贈り物が
この爪だけなんて この爪だけなんて

「やまねこ」
次に生まれて来る時は めぐり会おうと誓ったね
次に生まれて来る時は 離れないよと誓ったね

「HALF」
なんで遠回りばかりしてきたの
私 誓いを忘れて今日の日まで
私たちはこうしてさすらいながら
この人生もすれ違ってしまうのですか

「HALF」
とめてくれるかと背中待ってたわ
靴を拾いながら少し待ったわ
自由 自由 ひどい言葉ね
冷めた女に 男が恵む

「見返り美人」
ひと晩泣いたら 女は美人
生まれ変わって 薄情美人

「見返り美人」
アヴェ・マリアでも 呟きながら
私 別人 変わってあげる
見まごうばかり変わってあげる

「見返り美人」
やさしさだけしかあげられるものがない
こんな最後の夜というのに
長く伸ばした髪の毛は冷たい
凍る男をあたためきらぬ

「白鳥の歌が聴こえる」
言い残す言葉をくちびるにください
かもめづたいに運んであげる
いとおしい者へ から元気ひとつ
小さい者へ 笑い話ひとつ

「白鳥の歌が聴こえる」
クリスマスソング唄うように 今だけ愛してよ
雪に浮かれる街のように

「クリスマスソングを唄うように」
あなたには初めてで 私には100人目
だから私に手をひけと 言うのは甘いわね

「100人目の恋人」
汚ない手 使うのはやめてって どういう意味
私は何も惜しまずに 愛しているだけよ
続かないたちだから 100人もとり替えて
もう飽きたでしょうとは 言ってくれるじゃない

「100人目の恋人」
あなたかもしれないし 私かもしれない
身のほど知らずだけど私 あの人はゆずれない

「100人目の恋人」
あなたが探していたのは 私の今夜の愛じゃなく
だれかを愛していた頃の キラキラ光るあなた

「つめたい別れ」
私が探していたのは 私の愛する人じゃなく
私を愛してくれる人 そうよ おあいこなの

「つめたい別れ」
何も 言わないでただ抱きしめて
何も 言わないでただ見つめて
それで それで 思い出にできる
それで それで 泣かずにすむ

「つめたい別れ」
私たちの歌を酒場は歌う 気の毒な男と 猫かぶり女
目撃者は増える 1時間ごと あなたは気にしだす半時間ごと

「噂」
外は5月の雨 噂の季節 枝のように少し あなたが揺れる

「噂」
追いかけるだとか 告げるだとか
伝えなければ 伝わらない
わかるけれど わかるけれど
迷惑と言われたら 終わりだもの

「どこにいても」
どこにいても あなたが急に通りかかる偶然を
それは気にかけているの

「どこにいても」
もう一度戻るなら 時の流れを停めて
こんな筈じゃない時の流れに変えて

「湾岸24時」
そうよ日々の暮らしは心とは別にゆく
泣きすぎて血を吐いて 喉でそれでも水を飲む

「御機嫌如何」
氷の女発の 手紙をしたためます
あなたも私を もう気づかわないでいいわ

「御機嫌如何」
昔の歌を聴きたくはない
あの日が二度と戻らないかぎり

「土用波」
愛の重さを疑いながら
愛に全てをさらわれてゆく

「土用波」
流れゆけ流れしまえ立ち停まる者たちよ
流れゆけ流れてしまえ根こそぎの土用波

「土用波」
なんだァ そういうことかァ
言ってくれないんだもの
期待してしまった 仕度してしまった
あたしだけバカみたい

「泥は降りしきる」
いいよォ ごめんだとか
べつにィ 平気だから
好きだとか 嘘だから
あれ みんな冗談だから
ほら 笑っているでしょう

「泥は降りしきる」
愛する者に与えてやれるものが欲しいんだ
身勝手すぎる憧れを
抑え込むのが闘いさ

「ミュージシャン」
膝を抱え泣くのはもうたくさんだけど
ふたりで泣いてるのはなおさら辛いじゃないか

「ミュージシャン」
「ミュージシャン かなしいことを言わないで」
「ミュージシャン 何処でもついてゆけるものよ女は」

「ミュージシャン」
つれない素振りにそそられて 女の値段はつり上がる
あたしの昔を許すなら あたしの明日も許すかしら ねぇBoy

「黄色い犬」
男のことだと思うでしょう 女の話に見えるでしょう
言えない危い話なら 騙りと譬えは紙一重よ

「黄色い犬」
Yes, I'm Yellow 綺麗でしょ
Yes, I'm Yellow 月の色

「黄色い犬」
捨てゼリフ無しじゃ町を出られやしない
そして誰でも内緒で戻るよ
下りの坂なら 落ちる先は海

「仮面」
ねぇ 覚えてやしないでしょう
あたし あんたが文無しだった頃から
近くにいたのにさ 近くで見とれていたのにさ

「仮面」
クレンジングクリームひと塗り いやな女現われる
クレンジングクリームひと塗り ずるい女現われる
クレンジングクリームひと塗り 嘘つき女現われる

「クレンジングクリーム」
クレンジングクリームひと塗り 淋しい女現われる
クレンジングクリームひと塗り 捨てられた女現われる
クレンジングクリームひと塗り いらない女現われる

「クレンジングクリーム」
9桁の数字を 組み替えて並べ直す
淋しさの数と同じ イタズラ電話
ボックスを叩く 街の風が冷たい
どうしても1つだけ押せない組がある

「ローリング」
Rollin' Age 淋しさを
Rollin' Age 他人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ

「ローリング」
あたしの言うことは 男次第
ほらね 昨日と今とで もう違う
悪気のない人は みんな好きよ
“好き”と“嫌い”の間がないのよ

「野ウサギのように」
野ウサギのように 髪の色まで変わり
みんな あんたのせいだからね

「野ウサギのように」
難しいこたァ 抜きにして ま、一杯どうです
それであいつは 何処なのさ ま、一杯どうです

「ふらふら」
ふらふら ふらふら あたいはふらふら のんだくれ

「ふらふら」
おいでよ
MEGAMI 受け入れる性
MEGAMI 暖める性
みかえり無用の笑みをあげよう

「MEGAMI 」
少し似てる髪の形 少し似てるネックレス
そして少しも似てはいない みつめあった淋しさ

「気にしないで」
気にしないで あたしは初めから
この世にいなかったようなもの
あの人に訊いてみるといいわ
そのとおりだと きっと言うから

「気にしないで」
何万人の女たちが あたしはちがうと思いながら
何万人の女たちと 同じと気がついてしまう月

「十二月」
人の叫びも 鴃(もず)の叫びも
風の叫びも 警笛(ふえ)の叫びも
みんな似ている みんな似ている
人恋しと泣け 十二月

「十二月」
たとえ世界が空から落ちても
あたしは あの人をかばう
やさしくしてくれるなら

「たとえ世界が空から落ちても」
愛よりも夢よりも 人恋しさに誘われて
愛さえも夢さえも 粉々になるよ

「愛よりも」
忘れようと心を決めたのは
ひと足の途絶えだした 公園通り
メッキだらけの けばい茶店の隅っこは
雨やどりの女のための席ね

「涙‐Made in tears ‐」
今ごろ どうしておいでだろうか
今夜は 煙草が目にしみる

「涙‐Made in tears‐」
男運は 悪くなかった
あんないい人 いやしないもの

「涙‐Made in tears‐」
どこから来たかと訊くのは 年老いた者たち
どこにも残らぬ島なら 名前は言えない

「吹雪」
恐ろしいものの形を ノートに描いてみなさい
そこに描けないものが 君たちを殺すだろう

「吹雪」
疑うブームが過ぎて 楯突くブームが過ぎて
静かになる日が来たら 予定どおりに雪が降る

「吹雪」
微笑(ほほえみ)ずくで終わらせた恋が
夢の中 悲鳴あげる

「黄砂に吹かれて」
あなたに似てる人もいるのに
あなたよりやさしい男も
砂の数よりいるのにね
旅人

「黄砂に吹かれて」
肩幅の未来 いちずにあなたの背中しか
肩幅の未来 見ない自分が怖かった
1人になって見る夢は なおさら昔の背中だけ
……らちもない

「肩幅の未来」
罠にかかったそぶりをして奴の喉を軽く掻き切り
こともなげに戻ってきておまえシャワーを浴びてる

「あり、か」
てめえもグルかと Trap Beat
夜が回る
とぼけたふりかと Trap Beat
夜が回る
こんなことって あり、か

「あり、か」
憐れんでも はかなんでも
束の間
争っても うらやんでも
100年も続かないドラマですか

「群衆」
はかない時代だね
せめて君だけは 私をみつけて
叫び声紛れ 群衆

「群衆」
サヨナラを何処で言うか 出会った時に考える
そんな恋じゃないわ あなたはそうでも
私 明日を数えていない

「ロンリーカナリア」
苦い蜜 かじってみた小鳥みたい
震えてる Lonely canary

「ロンリーカナリア」
世の中なんてやきもちやきばかり
あきらめさせて喜ぶ そうでしょう

「くらやみ乙女」
そんなはずないと思うことばかり
目の前にあるドアからこぼれる

「くらやみ乙女」
血のように紅い服で あなたに会いにゆくよ
どんな遠い夜でも 見失うことなんてありえない

「くらやみ乙女」
ひきずられてゆく波の中で光る
ガラスたちの折れる寒い音がする

「儀式(セレモニー)」
幻を崖まで追いつめたあの日々
耳を打つ潮風はたわごとだけを運んだ

「儀式(セレモニー)」
セレモニー 単車の背中から
見つめた夕陽に さよなら

「儀式(セレモニー)」
恋しがられて行きたいですか
ひきとめられて泣かれたいですか

「未完成」
歌い方を教えてくださらないから
最後の小節が いつまでもなぞれない

「未完成」
貴方の目のなかで 誰かが踊る
私の捜せないカケラを持っている
貴方の目の中で 私が消える
私はいつまでもカケラを捜してる

「未完成」
記念にください ボタンをひとつ
青い空に捨てます

「春なのに」
春なのに お別れですか
春なのに 涙がこぼれます
春なのに 春なのに
ため息 またひとつ

「春なのに」
形のないものに 誰が愛なんてつけたのだろう 教えてよ

「あした」
ガラスならあなたの手の中で壊れたい
ナイフならあなたを傷つけながら折れてしまいたい

「あした」
何もかも愛を追い越してく
どしゃ降りの1車線の人生
凍えながら2人共が
2人分傷ついている 教えてよ

「あした」
もしも明日 私たちが何もかもを失くして
ただの心しか持たないやせた猫になっても
もしも明日 あなたのため何の得もなくても
言えるならその時 愛を聞かせて

「あした」
二文字 砕けた 呼び込みのネオンは
おかげで 故郷のつづりと似てしまった

「シュガー」
A.M.3時までには向かえに行かなきゃね
あの児の夜泣きする声が 聞こえて来る
あずけっぱなしで なつかない瞳が
あいつとそっくりに あたしをさげすむわ

「シュガー」
人生は 2番目の夢だけが叶うものなのよ
ほら だって あの人はあたしに残らない

「シュガー」
スポンジのようなパンを 水で喉に押し込んで
今夜も 極楽へ 踊り出してゆく

「シュガー」
夢は57セント 1度足を上げる値段
ここから どこへ まだゆける
SUGAR SUGAR 砂糖菓子

「シュガー」
「今夜の乗客は9人
乳飲み児が1人 女性が2人 あとは常連客
尋ねられた名前は ありません」

「空港日誌」
羽田へと向かう道にさえ乗っていない
そんなこと 百もわかりきってるけど、でも

「空港日誌」
あの人は恋 私には恋
いつでも 忘れがたい だけど
あの人は言う 街角で言う
別れやすい奴だってさ

「グッバイガール」
汚れてゆく雪のようです 女たちの心は
汚れながら春になります 不埒でしょうか

「グッバイガール」
あぶな坂を越えたところに
あたしは住んでいる
坂を越えてくる人たちはみんな けがをしてくる

「あぶな坂」
さあ指笛を 吹きならし
陽気な歌を 思い出せ
心の憂さを 吹き飛ばす
笑い声を 聞かせておくれ

「踊り明かそう」
夜風の中から お前の声が
おいらの部屋まで 飛んでくる
忘れてしまった 証拠のように
笑っているわと 見せつける

「夜風の中から」
怜子 いい女になったね
惚れられると 女は
本当に変わるんだね
怜子 ひとりで街も歩けない
自信のない女だった
おまえが 嘘のよう

「怜子」
化粧なんて どうでもいいと思ってきたけれど
せめて今夜だけでもきれいになりたい

「化粧」
あたしはとても おつむが軽い
あんたはとても 心が軽い
二人並べて よくよく見れば
どちらも泣かない あほう鳥

「あほう鳥」
雨もあがったことだし おまえの家でも
ふっとたずねて みたくなった
けれど おまえの家は なんだかどこかが
しばらく 見ないまに 変わったみたい

「おまえの家」
酔っぱらいを乗せるのは 誰だって嫌だよね
こんなふうに道の真ン中で泣いてるのも 迷惑だよね
だけどあたしは もう行くところがない
何をしても 叱ってくれる人も もう いない

「タクシードライバー」
俺のナナハンで行けるのは 町でも海でもどこでも
ねえ あんた 乗せてやろうか
どこまでもどこまでもどこまでもどこまでも

「狼になりたい」
走り続けていなけりゃ倒れちまう
自転車みたいな この命転がして
息はきれぎれ それでも走れ
走りやめたら ガラクタと呼ぶだけだ、この世では

「断崖 -親愛なる者へ-」
飲んで すべてを忘れられるものならば
今夜も ひとり飲み明かしてみるけれど
飲めば飲むほどに 想い出は深くなる
忘れきれない この想い 深くなる

「おもいで河」
明日も今日も留守なんて
みえすく手口使われるほど
嫌われたならしょうがない
笑ってあばよと気取ってみるさ

「あばよ」
裏切られた思い出にいつか覚えた氷芝居
さみしがり屋の貴方にはそれが一番の仕打ちだった

「雨…」
旅の仕度をした人ばかり どうしてこんなに通るのでしょう
ヨコハマヨコハマこの船は 街ごと運んで旅ですか

「追いかけてヨコハマ」
強がりはよせヨと笑ってよ
移り気な性質(たち)よと答えたら
それならば唇かみしめて
なぜ目をそらすかと 問いつめて

「強がりはよせヨ」
どうでもいいけどとんがらし どうでもいいけどとんがらし
そんなにかけちゃよくないよ、ってね

「蕎麦屋」
雨が好きです 雨が好きです
あした天気になれ

「あした天気になれ」
私の帰る家は
あなたの声のする街角
冬の雨に打たれて
あなたの足音をさがすのよ

「ひとり上手」
手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる雪のようです

「雪」
街に流れる歌を聴いたら
気づいて 私の声に気づいて
夜にさざめく 灯りの中で
遥かにみつめつづける瞳に気づいて

「夜曲」
あなたの彼女が描いた絵の
載った本をみつけた
やわらかなパステルの色は
そのままにあなたの好みの色

「この世に二人だけ」
今年は友だちと一緒に 海へ行く約束だから
おまえも好きなところへ 友だちと行きなよ、って
嘘、ついてる目つきぐらいわかるけど
でもそれを言っても時はとまらない

「夏土産」
何から何まで 昨日を
忘れてみても
胸の中に残る
おまえの熱い声

「波の上」
僕は青い鳥
今夜もだれか捕まえに来るよ 銀の籠を持ち
僕は青い鳥
だれかの窓辺に歌うよ 銀の籠の中で

「僕は青い鳥」
もううらみごとなら言うのはやめましょう
あの日出会った思い出も間違いに思えてしまうわ
ねえ出会いのことばを忘れないでいてね
だれかにほめてもらったこと あれきりのことだもの

「ひとり」
あと幾日生きられるか 生命線に尋ねてみても
昨日死んだ若い人の掌は長生き示してた

「彼女によろしく」
ふたり歩くのが似合いそうな春の夜は四月
すこし肌寒いくらいの風が寄り添いやすい

「シニカル・ムーン」
新しい服を着る 季節のように
今来た道を 忘れてしまう
枯れた枝 落とすように
悲しい人を 他人のように忘れてしまう

「はじめまして」
短パンを穿いた付け焼き刃レディたちが
腕を組んでチンピラにぶらさがって歩く
ここは別荘地 盛り場じゃないのよと
レースのカーテンの陰 囁く声

「あたいの夏休み」
どちらから別れるって こじれるのはごめんだな避けたいな いい子じゃないか
忙しくて用があって会えないから 愛情は変わらないが疎遠になる
自然に消えてゆく恋が 二人のためにはいいんじゃないか

「F.O.」
僕の望みは フェイド アウト
君の望みは カット アウト
ますます冷める 恋心

「F.O.」
寄り添いたくて寄り添いたくて 魂の半分が足りなかった
人違いばかりくり返すうちに 見失うばかりの大切な人

「HALF」
いじめっ小僧はいつも 一人きりで遊ぶのが嫌い
昼寝犬に石をぶつけて 吠えたてられても

「シーサイド・コーポラス」
聞こえない筈など ありはしないのに
妬いてくれる値打ちさえ ないというの
気にかけてほしいわ 何処へ行ってたかと
問いつめてほしかった 愛のように

「湾岸24時」
もしも離れ離れになっても変わらないと
あれほど誓った言葉が風に融けてゆく
なさけないものですね あなたを忘れました
女は意外と 立ち直れるものなのでしょう

「御機嫌如何」
ぼろぼろになって獣がむせぶ
失うものはもう何もない
ぼろぼろになって獣が眠る
あたしは邪険に抱きしめる

「仮面」
Rollin' Age 笑いながら
Rollin' Age 荒野にいる
僕は僕は荒野にいる

「ローリング」
野に棲む者は 一人に弱い
蜃気楼(きつねのもり)へ 駈け寄りたがる

「野ウサギのように」
どのみち短い 眠りなら
夢かと紛う 夢をみようよ

「MEGAMI 」
自殺する若い女が この月だけ急に増える
それぞれに男たち 急に正気に返るシーズン
大都会の薬屋では 睡眠薬が売り切れる
なけなしのテレビでは 家族たちが笑っている

「十二月」
人よ信じるな けして信じるな
見えないものを
人よ欲しがるな けして欲しがるな
見果てぬものを
形あるものさえも あやういのに

「愛よりも」
日に日に強まる吹雪は なお強まるかもしれない
日に日に深まる暗闇 なお深まるかもしれない
日に日に打ち寄せる波が 岸辺を崩すように

「吹雪」
黄砂に吹かれて聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
つらい恋の歌

「黄砂に吹かれて」
卒業だけが理由でしょうか
会えなくなるねと 右手を出して
さみしくなるよ それだけですか
むこうで友だち 呼んでますね

「春なのに」
望みは何かと訊かれたら 君がこの星に居てくれることだ
力は何かと訊かれたら 君を想えば立ち直れることだ

「荒野より」
荒野より君に告ぐ 僕の為に立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ 後悔など何もない

「荒野より」
僕は走っているだろう 君と走っているだろう
あいだにどんな距離があっても
僕は笑っているだろう 君と笑っているだろう
あいだにどんな時が流れても

「荒野より」
バクです バクです 今の今からバクになる
バクです バクです バクになることにしたんです

「バクです」
バクは1人で喰い続けてる バクは1人で喰い続けてる
笑ってるあんたの夢を見るまで

「バクです」
私には何が有る 他と比べずに何が有る
私には何が無い 他と比べずに何が無い

「BA-NA-NA」
アジアの国に生まれ来て アジアの水を飲みながら
アジアの土を這い 風を吸い
強い国の民を 真似ては及ばず

「BA-NA- NA」
なんだか窮屈で 町を出てみたんです
知らない路線の電車に身をまかせ
なんだか悲しくて やけを起こしたんです
見知らぬ乗客と同じ行く先まで

「あばうとに行きます」
先案じばかりで 固まってしまったね
批判を気にやんで 固まってしまったね
思いが空回り 悲しくなったなら
ほつれたシャツのまま 地球をひと回り

「あばうとに行きます」
あばうとに行きます そんな時もあるでしょう
あばうとに行きます そんな旅もあるでしょう

「あばうとに行きます」
心許無く見るものは 野の花僅か草の花
それでも何も無いならば
絵描きの描く花よ咲け 絵描きの描く花よ咲け

「鶺鴒(せきれい)」
永遠に在れ山よ 永遠に在れ河よ
人は永遠に在らねど 咲き遺れよ心

「鶺鴒(せきれい)」
心許無く鶺鴒の 呼ぶ声返す声を聴く
それでも泣けてくるならば
子を呼ぶ人の声を聴く 呼ぶ声返す声を聴く

「鶺鴒(せきれい)」
私たちは逢う 他には何も無い
私たちは暮らす そののち気がつく
彼と私と、 どこかにもう1人
彼と私と、 確かにもう1人

「彼と私と、もう1人」
私たちは呼ぶ 心と心で
私たちは誓う そののち気がつく
彼と私と、 どこかにもう1人
彼と私と、 確かにもう1人

「彼と私と、もう1人」
甘く見てた我と我が身 こんな奴か我と我が身

「ばりほれとんぜ」
どうしようもない勝手な奴だ
どうしようもない不埒な奴だ

「ばりほれとんぜ」
Give & Take 与えられることは
Give & Take 心苦しくて
困ってはいない 望んでもいない そんなふうに言うのは
返せない借りだと恐れてしまうから

「ギヴ・アンド・テイク」
Give & Take 高いところから
Give & Take 放られた物を
柳のように首うなだれて
拾い集めるつらさは誰にもわからないでしょう

「ギヴ・アンド・テイク」
Give & Take それは違うよ
僕は君から貰える
君が受け取って呉れる ほら僕は貰えている

「ギヴ・アンド・テイク」
僕が貴女を識らない様に 貴女も貴女を識らない
古い記憶は 語り継がれて 捩じ曲げられることもある

「旅人よ我に帰れ」
優しすぎる弱虫は 孤独だけを選びとる
真実の灯をかざして 帰り道を照らそう

「旅人よ我に帰れ」
我に帰れ 旅人よ帰れ
我に帰れ この胸に帰れ

「旅人よ我に帰れ」
ひと粒の心 ひと粒の心
ひと粒の心 つながりだす

「帰郷群」
運んでゆく縁 運ばれてゆく縁
身の内の羅針盤が道を指す

「帰郷群」
誰かが私を憎んでいる
誰かが私を憎んでいる
帰るべき郷に背を向けた者も
眠りの中では戸口を出る

「帰郷群」
Yes, My Road, Yes, My Road, 愛だけで走ってゆく
Yes, My Road, Yes, My Road, 愛だけで走ってゆく

「走(そう)」
辿り着けたら誰が居るだろう
力尽きたら誰が知るだろう
報われたなら その時泣こう
それまでは笑ってゆこう

「走(そう)」
応援はとうに終わっている 表彰はとうに終わっている
ちぎれ去ったテープも ゆき交った盃も 伝説に変わっている

「走(そう)」
僕は迷っているのだろうか
僕は走っているのだろうか
約束の船は風の中 はるかな吹雪の中
どこまでもどこまでも荒野は続いている

「走(そう)」


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2018年10月21日

中島みゆきの「ローリング」の歌詞について考えた

しょうもないことでイライラして自己嫌悪におちいった。外で急に中島みゆきの「ローリング」を歌い上げたくなって、口ずさんだ。

90年代に中島みゆきのファンで、ファンクラブにも入っていたんですよ。歌詞は全曲覚えていた。
「ローリング」の歌詞を覚えてるか思い出してみたが、三番しか正確に思い出せなかった。三番はつながってるから覚えやすいと思う。



"初音ミクに中島みゆきのローリングを歌ってもらった.wmv"
https://t.co/3ghypvdMm5

中島みゆき ローリング 歌詞
https://t.co/4M4HzS0l4W




工事ランプの凍る路地をたどって
探しあぐねた たむろできる場所を

→考えたことなかったけど、あらためて読んでみる。「工事ランプ」って、工事現場の夜のピカピカ光るやつか。凍るっていうのは、実際に凍っちゃったっていうよりは、ランプの赤も寒々しく見えるよってことと読みたい。

二行目を見ると、このひとは居場所を探しているんだね。「たむろ」ってことは、一時的な居場所だ。夜のゴツゴツした街をあてもなくさまよっていますよという出だしだ。



昨夜騒いだ店は 客を忘れて
一見相手の洒落た挨拶を配る


→「昨夜」とあるけどここは「ゆうべ」と歌う。たしかに飲み屋って客引きのときに気のきいたことを言うね。それを「洒落た挨拶」と表現した。
盛り上がったって、店から出てしまえば他人になる。そのさびしさを言ってるんだね。



Rollin' Age 淋しさを
Rollin' Age 他人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ
Rollin' Age 笑いながら
Rollin' Age 荒野にいる
僕は僕は荒野にいる


→ここがサビ。「Rollin' Age」って例の「時代は回る」みたいな意味だと思ってきた。
そういう英語表現があるのかと思ってさくっと検索してみたが、上位10件ほとんど中島みゆきのこの歌のことがでてくる。

「淋しさを」「他人に言うな」「軽く軽く傷ついてゆけ」。ここにはなにか、毅然としていながら、うっとりするものがある。

「淋しさを他人に言うな」と歌うこの人だったら、自分の淋しさをわかってくれるんじゃないか、他人に言わずにいられない淋しさを知っているんじゃないか。ちょっとそう思えてくる。
「中島みゆき聞いていると逆に中島みゆきに話を聞いてもらっている気持ちになる」とどこかで読んだことがある。

「軽く軽く傷ついてゆけ」もいいなあ。たくましいよ。なにかで守ろうとか、逃げようとか、ぜんぜんしない。「軽く軽く」からは、たくさん傷ついてきたんだろうなって感じがする。

「笑いながら」「荒野にいる」「僕は僕は荒野にいる」。おもしろくて笑ってる笑いじゃないね、これは。傷ついて傷ついて、その果ての笑いだ。

「一人きり笑うことはできない」と同じくらいの時期のほかの歌「with」で歌っているけど、こっちはどう見ても一人きりで笑っている。「with」よりずっと進んだ心境だろう。



黒白フィルムは 燃えるスクラムの街
足並揃えた幻たちの場面
それを宝にするには あまり遅く生まれて
夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた


→これが二番。今見てもよくわからないところがある。見ていく。
「白黒」といわずに「黒白(こくびゃく)」と言っている。この歌詞以外で「こくびゃく」なんて聞いたことない。インパクトのある歌いだし。
「黒白フィルムは燃える スクラムの街」だと思ってたけど「黒白フィルムは 燃えるスクラムの街」だったんだ。この差は大きい。

「スクラムの街」っていうのは、なにか敵に対して団結していて、許さないものは絶対許さないってことなのか。「アンテナの街」っていう歌もあったけど、窮屈な街っていうのが中島みゆきの歌には出てくる。

「黒白フィルムは燃える/スクラムの街」だと、街がスクラムをくんでいるから有害な内容と判断されたフィルムは燃やされてしまう、という意味になる。そういう意味だと思った。でもよく見ると別の場所で切れているので、意味がかわってくる。

「黒白フィルムは/燃えるスクラムの街」だと、白黒のフィルムに映っているのが、燃える街なんだということになる。完全に意味が変わる。

その次の「足並揃えた幻たちの場面」というのは、軍隊の行進している映像と考えられる。
「幻たち」っていうのは、彼らは亡くなっていったってことなのか。

戦争で街が燃えているんだとすれば「スクラム」の意味も変わってくる。敵国に対する「スクラム」になる。

「それを宝にするにはあまり遅く生まれて」。たしかに中島みゆきは戦後生まれだけど、そこを言いたいわけじゃないのでしょう。うーん。
それより、早く生まれればそれが宝になるのか。戦争に行ったらその記憶や記録が宝になるってこと??

「夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた」。戦争を知らないくらい遅く生まれたから夢が叶わないよってこと? 意味を追う読み方をすると苦しいなあ。この箇所はいまだによくわからない。

三行目までをあまり考えずにこの部分だけ見ると、挫折と陶酔があるし、ずっとそういうふうにとらえていた。

二番の歌詞をさっきみたいに戦争読みすると、一番で酒をかっくらってさまよっている男と、いまいち脈絡がつかなくなる。サビの部分ともよくつながらない。

一番と同じサビがあって、三番にいきます。



9桁の数字を 組み替えて並べ直す
淋しさの数と同じ イタズラ電話
ボックスを叩く街の風が冷たい
どうしても1つだけ押せない組がある

→三番。このときは電話番号といったら9桁なんだね。
さみしさのあまりイタズラ電話をせずにいられない「僕」なのかと思ったけど、そうじゃない読みもあるね。逆に、イタズラ電話がかかってきて、そこに相手の淋しさを感じたのかもしれない。

三行目を見ると、主人公は電話ボックスにいるみたいだし、イタズラ電話をかける側にいると考えるのも自然だ。

「淋しさを他人に言うな」とかっこいいことを言いながらイタズラ電話してるというのは、どうなのか。いや、こういうかっこわるい自分を踏まえてそれを言ったのか。

「どうしても1つだけ押せない組がある」ではじめて浮かび上がってくる人影がある。
三番の歌詞の、サビ直前ではじめて「僕」と深い関係がありそうな他人がでてくる。電話できなくなってしまった理由があるはずで、ここにドラマが圧縮されている。他人に言わずにいた「僕」の「淋しさ」の輪郭が、最後になって浮き上がる仕組みになっている。


最後のサビは「僕は僕は荒野にいる」がくりかえされて終わる。「荒野」というのは、居場所がない人間、誰にも関わることができない人間のたどり着く場所なんでしょう。飲み屋にも、過去の栄光や挫折にも、大切な誰かにも、すがることのできない「僕」の場所なのでしょう。

以上、中島みゆきの「ローリング」という歌の歌詞について突発的に考えて書いてみました。



"中島みゆき - ローリング(1993年) cover XXkurage"
https://t.co/4HUuZwggU7
カバーなんだけど、本人みたいな声だ。中島みゆき本人の歌う動画はないし、あってもYAMAHAが削除するので、こういう動画がたよりになる。

「スクラムの街~」のところで、大学紛争の画像がでてきた。あー、そういう意味なのか。そうなると、腑に落ちるところがある。



▼▼▼


【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
https://t.co/CzRqDYixti



「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
https://t.co/9LDZrsWmr0

【2】
https://t.co/lcoeLM1kt6

【3】
https://t.co/f993MV2JHS

【4】選考座談会・前編
https://note.mu/mk7911/n/ncbc826b3e18a

【5】選考座談会・後編

https://note.mu/mk7911/n/n44d84c9e74f6
2018年の短歌研究新人賞の自分のことについて、思うぞんぶんに書き尽くしました。また、選考座談会で言われたことへの応答。




などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。







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mk7911 at 23:59|PermalinkComments(0)

2014年11月17日

中島みゆきを聴いたことのない人に勧める最初の1枚、ほか

中島みゆきを聴いたことのない人に勧める、最初の1枚を教えて下さい  



という質問をいただいた。これに答えるとともに中島みゆきのファンになったころの話をしてみる。


お勧めの一枚は「生きていてもいいですか」 http://t.co/fo5iqKba7D



でもねえ、中島みゆきっていってもねえ。いろいろありますからねえ。オレが一番ショックを受けたのがこれだったからこれにした。「愛していると云ってくれ」もいいよ。

だってここで普通に「大吟醸」とかシングルスのどれかを選んだって、面白くもなんともないでしょうよ。正解はそのへんなんだろうけれども。

実際にオレが一番最初に聴いたアルバムは「EAST ASIA」だった。これには「糸」とか「誕生」とか名曲が入ってるんで、これもいいアルバムです。



でもオレが中島みゆきにのめりこんだのはアルバムが発端ではなかったんです。
NHK-FMに「ミュージックスクエア」っていう番組があって、金曜日の担当がみゆきさんだった。その個性的なおしゃべりで興味を持った。

月曜が藤井フミヤで、火曜が谷村有美で、水曜が森高千里で、木曜がは辛島美登里だった。
それが1994年ごろの話ね。

中島みゆきの話を始めるとオレは止まらないよ。

谷村有美とか、今の人は知らないだろう。ブックオフのCDアルバム100円コーナーでしか見かけない。

ちょうど「家なき子」が流行ってた頃で、「空と君のあいだに」を特別な感じで聴いていたなあ。

CDなんか無かったんだよ。持ってる人は持ってたけど、オレはラジカセだった。ラジカセで、ラジオ番組の音楽を録音して聴いたんだよ。
「次にお送りするナンバーは~」とか言い始めたらすかさず録音ボタン押してた、そういう頃だよ。

だから、ラジオで聴こえる音楽がすなわち自分の出会う音楽だった。もっと違うラジオパーソナリティー(この言い方は今もあるのか?)を好きになってたら、別のアーティストを好きだったかもしれない。
ラジオ番組と聴く音楽が連動していた。

そういう意味で中島みゆきの「此処じゃない何処かへ」の冒頭の「拾ってきたラジカセだけがたった一つの窓だった」という歌詞にいたく共感する。

中島みゆきのトークがおもしろいなと思っていたところに、「中島みゆきのお時間拝借」っていうラジオ番組が始まったのよ。これは民放のFMの番組で、土曜の22時からやってた。
この番組は中島みゆきの歌しか流さないの。それでますますオレの出会う音楽が中島みゆきに偏っていった。

ラジカセでいろいろ録音してた時期もあったけど、中島みゆきを知ってからは他のを聞かなくなっていったな。次第に排他的になっていって、この頃のオレは極端でけっこう嫌われた。

ラジカセでラジオから曲を録音すると、人のしゃべりが入ったり、途中で終わったりする。それで何度もおなじ曲を録音してた。

CDプレーヤー買ってCD聴いて、一番いいなと思ったのは「おしゃべりにも不意に入ってくるCMにも何にも邪魔されずに全部聴ける」ってことだった。

話があっちこっちにいくなあ。
中島みゆきのアルバムを少しずつ買って、全部揃ったのが高校三年だったのを覚えている。中二から集め始めたんだった。

とにかくCDは中学生高校生には高いし、一枚一枚を何百回と聴いたなあ。もうそんな聴き方はしなくなってしまったが。

「お時間拝借」が終わったのが98年ごろだ。みゆきさんの声が聴けなくなって、あれはさみしかった。つらかった。
そのころファンクラブに入った。でも半年でやめた。

そのあたりからみゆきさんから離れていったんだった。関心なくなったわけではないけど、距離をおくようになった。
クラシックを聴き始めた。

だから、オレが熱かったのが94-98年で、99年以降のはそんなに熱心に聴いてないのです。

みゆきさんが主題歌の番組は欠かさず見た。「はみだし刑事情熱系」は欠かさず見たけど、「プロジェクトX」は二、三回しか見ていない。その頃にそれくらい温度が変わった。

だから振り返ってみると、ラジオからみゆきさんに入って、ラジオで聴けなくなったら離れていったんだ。ラジオの存在、影響力は大きかった。

今でもみゆきさん、時々ラジオやってるよね。でもあれ、動画サイトに上がってるのを見かけたんで、あっそういうことか、生じゃなくてもいいやと思って動画で聴いてる。
寒い夜中に凍えながらみゆきさんの声を一言も聴き逃すまいと一心に聴くことはなくなったけど、それがまあ、豊かさってことよね。

きかれたことじゃないことを長々としゃべった。またみゆきさんに関する質問がきたら昔話をするかと思います。


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2014年11月16日

中島みゆきのアルバムを聴く★44「DRAMA!」

中島みゆきのアルバムを聴いて何か書くシリーズ。順番が前後するが今回は「DRAMA!」。

ジャケットは真っ赤だ。赤い光に赤い衣装のみゆきさん。

前半はミュージカルに使用された楽曲、後半は夜会の楽曲。

アマゾンのレビューではかなり評価が分かれていて、おっかなびっくり聴いた。




1.翼をあげて

一曲目からとばしているというか、感動的な歌をもってきている。本気だ。

閉塞感のあるところから、それに立ち向かう様子が歌われる。
空を覆う者、風を投げる者、明日を閉ざす者……そうしたものへの恐れがある。だがそこにとどまってはいない。「翼をあげて 今ゆくべき空へ向かえ」と力強くうったえかける。



2.こどもの宝

時間を遥か越えてきた「少年」があらわれる。過去と現在が交錯する。『萩野原』みたいな世界観かな。
「少年」は「私」を見上げるが「私」は目を逸らす。二人の願いはすれちがう。



3.夜の色

夜は闇ですなわち恐ろしいなどと人は単純に考えるが、それは騙されている。「白夜」というものもある。鳥たちは騙されずに故郷に向かう。


ひそやかに始まるが、ひろがりのあるサウンドになっていく。回想するオルゴールのような音で閉じられる。



4.

てのひらから水がこぼれ、砂がこぼれる。そこから、人間の無力さへの嘆きになってゆく。

終始、空気を多く含む歌い方をされる。息も絶え絶えといった様子だ。

深い迷いと嘆きの世界に誘われる。何度聴いても感銘を受ける。



5.愛が私に命ずること

前の曲と同じ歌い方だが、こちらは一転して、迷いから解かれて確信をつかんでいる。音楽にも、救われたような安堵感がある。

愛が命ずることならば従う、そうでないものには従わない。

「王冠は日暮れには転がる」とは、権力の虚しさを言っているのだろうが、独特な比喩だと思った。



6.NOW

コーラスから始まる。始まってしばらくは主旋律をコーラスが歌い、みゆきさんはそれにハモっている。


元になる物語を知らないのでこの歌詞だけで判断すると、どうやら、序盤は乱れて希望のない世の中とそれに翻弄される人々を歌っている。

音楽的には力強く明るくなっていくし、いい感じだ。歌詞だけ見ると、なにも見えてこなくて曖昧模糊としてはいるのだが。「NOW」という言葉が希望をもたらしているかのようだ。オレはツイッターの「なう」を思い出してしまうけど。
やはりこれは、大きな物語の流れのなかでこそ生きるのかもしれない。




ここからは夜会の楽曲。恥ずかしながら、オレはまだ見ていない。いつか見ます。いやあ、DVDが高くてなかなか……。



7.十二天

滅多にないことだが、歌詞の意味が全くわからない。いろんな「天」がでてきて、空を自在に飛んでいるみたいだ。

でも音楽としてすごくいい。「和」を感じる。
はるか彼方から声が聴こえてくる始まり方だが、二番ではみゆきさんの「がなり」が聴ける。たまりません。




8.らいしょらいしょ

わらべ唄か数え唄か、毬でもつきながら歌うような、調子のよい曲調だ。楽しい。

意味はやはりよくわからないんだが、豆を借りたら利子がついたというようなことと、前世と来世と今の世を行ったり来たりすることの二つがある。

「借り持って跳んだ」は夜逃げみたいだな。
歌詞がどんどん飛躍する、軽妙な曲。新しい面白さかもしれない。



9.暦売りの歌

和のテイストは後退し、普通にノリがいい。チェンバロの音も聴こえる。

一日をうまくいかない思いで過ごしている。暦を買うというのは、過去を変えるということだろうか。何やら大きなテーマを背負っているようだ。なんか夜会を見たくなってくるなあ。

7~9曲目のあたりはほんとに聴いていて気持ちいい。



10.百九番目の除夜の鐘

悪そうなギラギラしたサウンドだ。

百九番目の除夜の鐘が鳴りやまなかったら一体どうなってしまうのか。悪い冗談のようだ。メロディーも、だんだん永遠に続くようなしつこいものになっていく。よく聴いたら主部のメロディーは二音だけでできている。

「垣衣(しのぶぐさ)から萱草(わすれぐさ)」など、よくわからない言葉がでてくるんだが、それがいい雰囲気を出している。




10.幽霊交差点

「ミラージュ・ホテル」みたいな歌。
もやもやとしていて妖しい。「御存じですか」から「お忘れですか」に移るのがまた、あやしくていいね。

「気を付けなされ」で何かのギャグを思い出してしまう。そこだけ口調が変なんだよ。「気を付けなさい」でいいのに……。



11.海に絵を描く

弦が決然としている。もやもやとした前の曲と対照的な、切り刻むような音楽だ。

耳に残るメロディーで、カラオケで歌ったら気持ちいいだろうなと思う。


海辺で悲しむ様子を、絵を描くことに例えている。海の水の泡と、消される記憶や事実を重ねている。



12.天鏡

「その鏡」で何度も歌いだされる。
よくわからないが、とにかくその鏡は心などいろんなものが何でも映って、人が欲しがるもので、でも手に入らないらしい。


「NOW」もそうだけど、歌詞の内容はたいして変わらないんだけど曲はどんどん力強く明るくなって盛り上がっていくパターンだ。

とても感動的になってこのアルバムを閉じる。




▽おわりに

オレは好きですよこのアルバム。傑作だと思ってます。感動的な曲もあるし、悲しい曲はしっかり悲しいし、中盤の「和」のテイストが楽しい。

久しぶりに聴き直してみたけど、夜会を合わせて見たくなってくる。これらの楽曲の本来の位置付けを知りたくなってきた。
オレは、みゆきファンのなかでは夜会に消極的な方なんだよね。でも、アルバム「転生」を聴いてから夜会のDVD「24時着0時発」を見たら面白かったという経験があってから、夜会もいいなという感触を持った。


今回はこんな感じで終わります。「荒野より」「常夜灯」がまだなので、近いうちにやります。


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2014年11月14日

中島みゆきのアルバムを聴く★43「問題集」 ― 『麦の唄』ほか

6cbf92d5.png中島みゆきのアルバム「問題集」を買った。発売日に買った。オレが熱心なファンだからというよりは、ツイッターの「中島みゆきbot」@bot_miyuki をやっている関係で、早めに歌詞をbotに入れてしまいたかったからだ。こんな動機でアルバムを発売日に買う人なんて、滅多にいないだろう。


で、タワーレコードで買ったんだけど、そしたらでかいポスターがついてきた。ピンクの衣装を着たみゆきさんが渋い顔をしている。
魔除けになりそうだ、などと思いながら飾った。


オリジナルアルバムしか買わないから久しぶりにみゆきさんのCDを買ったんだけど、まあずいぶん宣伝するようになったね。
何点か関連商品を買うと目覚まし時計がついてくる売り方とかね。
「心に響く 届けたい歌がある! 全10曲」なんて書いてある。オレの心に届くかどうかはオレにしかわからないことだ。届くと思って買ってはいるんだけどさ。



ジャケットはパソコンで作ったのがわかる感じのデザインで、ピンクでひらひらしている。表面がキラキラしていて、ビックリマンの「ヘッド」を思い出した。

数字や数式が並んでるのは「問題集」のイメージなのだろう。


どの曲が何に使われたかが書いてある。「夜会工場」って初めて聞いた。



各曲の感想。



1.愛詞(あいことば)

今回のアルバムには造語が目立つ。「病院童」も「一夜草」もそうだし、歌詞では「都合良く」と書いて「たやすく」とルビをふるのもその一種と言っていいだろう。新しい言葉は新しいものを表現するためのものかもしれない。
この「愛詞」は「合い言葉」と愛のことばを掛けた造語だ。


三拍子で気持ちよく流れてゆく。せつなく苦しい、愛を伝えたい気持ちを歌にした、まっとうなラブソングだ。
苦しみと安らかさの間をいったりきたりする。




2.麦の唄

ドラマ「マッサン」のほうはちょっとだけ見たことあるけど、外国人の女性が日本のなかで苦労したりする話だね。

民族音楽を思わせる始まり方。バグパイプっていうんだっけ。
世界の広さ、愛の強さが歌われる。

「麦」に思いをたくしている。
「はだしのゲン」もそうだったなあと思い出す。聖書にもそういう例えがあった。




3.ジョークにしないか

「風にならないか」みたいな曲調だ。愛へのあきらめを歌っているのだが、どこかしみじみとした温かみがある。ハーモニカの音色。

「伝える言葉から伝えない言葉へ」というのがいいなと思った。



4.病院童(びょういんわらし)

病院を正面から歌ったのは珍しいな。
「病院」をみゆきさんの辞書で引いたような内容で、当たり前のことを言ってるような部分も多い。
「せつない」「うれしい」「切実な願い」など、感情がかなりそのまま歌詞になっている。

病院童というのは、病める人に寄り添うやさしい存在だ。その願いはとてもいいと思う。ただ、切実な願いというのはこんなに楽しく歌われるものなのかどうか。切実って自分で言うのも変だし。



5.産声

ピアノのひとつの音が繰り返されて始まる。医療機器の音のようでもあるし、彼方にある一筋の光のようでもある。

産まれる前の世界から、産まれた後の世界へとゆく、その間を歌っているようだ。産まれる前の記憶というのがあって、それは消えないらしい。「生」をめぐる壮大なドラマ、だと思う。意味がちょっととりにくくて理解しきれないところがある。



6.問題集

みゆきさんはどんな問題を投げかけてくるのだろうと身構えていたが、そういうことではない。問題を共有できないことを歌っている。
問題がなんなのかは語られない。それが簡単には片付かない、思い通りにならないことが語られる。




7.身体の中を流れる涙

これはいい歌だと思った。ちょっと演歌っぽくはあるけど。堀内孝雄とかが歌いそうな。

からだ中に冷たい凍るような悲しみ、涙がある。それは理由も時間も越えている。




8.ペルシャ

くねくねとしたあやしい魅力、異国情緒がある。「なつかない」というと、ペルシャ猫か。「なつかない猫」を思い出させる。ここではその夢の中までが歌われる。

「雨の夜にだけ開く 幻の踏切り」も神秘的。この踏切りはパラダイス・カフェやミラージュ・ホテルのような、ふつうには見つからない場所の系譜に連なるか。



9.一夜草(いちやそう)

なんだか橋幸夫の「潮来笠」みたいだと思った。氷川きよしの「箱根八里の半次郎」もこういう世界観だ。演歌っぽい。歌詞が五音七音でできているのもその感じを抱かせる。
さすらいの身で、恋が長くはもたない。



10.India Goose

「ツンドラ・バード」の歌詞に「愛よりも」のメロディーをのせたような歌だ。
それがうまくいってるかというと、すごくうまくいっている。既視感はあるが、結局は感動させられる。
まだまだみゆきさんの歌唱力は健在だ。
強い風のなかを小さな鳥が山を越えてゆく様子が力強く歌われる。




▽おわりに

最初に聴いたときは中の下くらいの微妙なアルバムだとおもったが、繰り返していると気持ちよくなって中の上くらいになってきた。
オレが言葉に厳しくなってしまったせいなのか、歌詞は甘いように思う。自己模倣もあると思う。新鮮さに乏しい。
が、歌唱力やサウンドなんかを合わせてトータルで見るならば、決して悪くはないものなんじゃないかなあと。特に、歌唱については全く衰えてないんじゃないか? これはすごいことだ。


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2013年04月18日

『中島みゆき 難民チャンプ』を読む

大阪でいただいたものの、最後は中島みゆきの歌を漫画化した同人誌『難民チャンプ』です。漫画の同人誌なんて初めて見ました。50ページで6篇。発行日は平成18年12月とあります。

短歌ならば引用できるんですが、漫画というのはそうはいかず、そのへんが難しいところであります。簡単にあらすじや印象を書くにとどめます。



最初は前田歩さんという方の「ファイト&スウェット」という作品であります。「浅い眠り」と「ファイト!」がでてきます。
人生に疲れて公園で中島みゆきを弾き語りしてるおじさんと、不登校の中学生が出会います。

そしてその二人が中島みゆきの歌によりつながり、交流を通して立ち直ってゆく、みたいなストーリーです。ちょっといい話です。



ふたつめは、タイ嫁長谷川という人の「夏土産~あたいの夏休み~」という漫画であります。あだち充さんの「タッチ」そっくりの絵柄で驚きます。後半はホラー漫画かという絵柄にかわり、そのギャップが面白いです。
内容のほうは、歌詞を引用しながらそれを絵にしていった感じです。ちょっと面白いです。

写メ撮って上げたりしないほうがいいんだろうな。やめときます。



三つ目は今井夜汽車という方の「最後の女神」でありますが、これはかなり自由な創作です。
報道カメラマンの男性が紛争地帯で瀕死の女性と知り合います。男性がちょっとその場を離れた瞬間、爆撃に合い片足を失います。
片足を失った男性に先程の女性が近づいてきますが、そこで女性の下半身が機械に改造されたグロテスクなものであることがあきらかになり終わります。



四つ目の伊藤静「成人時代」というのは一枚のイラストであります。この方はモーニングで連載をもっているそうです。
でもこれ、「成人世代」の間違いですね。全部「成人時代」と誤った表記になっています。私はこういうところは無駄に厳しいのです。

イラストそのものは、男性三人が一つの部屋で楽しく暮らしている様子です。一人はテレビゲームしてて、ひとりは電話してて、ひとりはお茶をいれてます。
「成人世代」の歌詞と関連あるんでしょうかね。ないでしょうね。



五つ目は矢村ユウジという方の「遺失物預り所」です。
雨宿りしようとした男性が謎の「遺失物預り所」に迷い込みます。仮面をかぶった預り所の謎の女性に建物内を案内されるうちに、若いころの自分と会うのです。
遺失物と輝いていた自分の過去であった、というお話。



最後はうめという方の「おまえの家」です。これはかなり歌詞に忠実な、歌の「漫画化」です。設定こそ男同士になっていたりしますが、かなり好感をもって見ました。

久しぶりに会った二人の気まずい感じ、黒猫、ギター、やかんの火。みんな漫画で表現できています。絵柄も雰囲気があり、とても良かったです。



読み終わって思うのは、漫画には漫画の表現があるんだなあってことです。当然ながら活字や音楽とは違った時間や空間の動きかたをしていて、それがみゆきさんの歌を違った角度から見せています。

みゆきさんが見たら喜ぶんじゃないかなあ、とみゆきさんじゃないオレが思います。


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2013年02月27日

【Twitter】中島みゆきbotをつくった

中島みゆきの歌詞をつぶやくbotはいくつかあるけど、どれも微妙に不満なんだよなあ。切り取り方が変だったり、誤字があったり。オレが作ろうかと思うんだけどどうなんだろう。

いつもRTしてる黒いアイコンの「中島みゆきの歌詞ぼっと」さんが一番まともなんだ。次にみゆきさんの顔がアイコンになってるやつはフォロワーが4000人以上いるけど誤字あるしパターンが少ない。つぶやきの種類の数はbotの命だと思っている。




【中島みゆき神歌詞bot 】@miyuki_bot1
浅い夢にさすらいながら 街はほんとには愛を呼んでいる【浅い眠り】 #中島みゆき[amazon 収録CD、DVD]http://t.co/oeSaeTjp

浅い「眠り」だよ。眠りにさすらってんだよ。名曲をけがしおって。しかも歌詞のあとにずるずるリンクをくっつけている。非公式が写真は勝手に使っていいのか? こういうのは全然だめだ。
「街はほんとには」になってるけど「街はほんとは」が正しいんだよ。ひとつのつぶやきで二度も間違えるかよ。それも、みゆき様の歌詞を。
神歌詞って言うなよ安っぽいなあ。「中島みゆき神・歌詞bot」ならまだいいかなあ。どうかなあ。


黒いアイコンの「中島みゆきの歌詞ぼっと」はフォロワー3300か。っていうことは、さっきの「中島みゆき神歌詞bot 」が一番支持されてる中島みゆきのbotなのか。これは良いことではない。オレが作ろう。

でも今いらっしゃる「中島みゆきの歌詞ぼっと」さんで8割は満足なんだよなあ。残り2割のために膨大な量の作業するってどうなのという問題はある。


(そんなこんなで、結局つくった)



【中島みゆきbot】 @bot_miyuki
遠いふるさとは おちぶれた男の名を/呼んでなどいないのが ここからは見える   「あぶな坂」

こんな感じのbot。中島みゆきのbotで改行を反映させてるのは今までなかったんじゃないか。一字あけも改行も作品のうちだと考える。本当に改行させたかったけど機能的にきびしかったので斜線をひいた。

とりあえずファーストアルバムの歌詞カードとにらめっこしてツイートを入力した。27個のツイートになった。アルバムは40枚以上あるから、ええと、たくさんになるんだ。



中学の卒業文集に中島みゆきの歌詞書いたのを思い出してうわあああってなった。その頃から変わってねえ。



一応、ひとつの歌から最低1ヶ所は切り取る、最高でも5ヶ所までにする、と決めた。全体としてはいいのにどこをどう切ってもそれ単独で意味が通らない歌もあれば、5ヶ所に絞るのが残酷なくらいすごい言葉が満載な歌もあるのが面白い。



スマホで歌詞を入力すると予測変換があるわけだけど、そこからみゆきさんのよく使う言葉が見えてくるのが面白い。10枚目のアルバムまで入れたけど、「町」「歩く」「忘れる」なんかが今のところ目立っている。これは変化していくだろうから楽しみ。



そんなわけで、私のつくった【中島みゆきbot】@bot_miyuki 、正確で良さがより伝わるつぶやきを目指していますので、よろしければフォローおねがいします。


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2012年09月02日

中島みゆきのアルバムを聴く★42「真夜中の動物園」

中島みゆき「真夜中の動物園」





2010年のアルバム。ボーナストラック2曲を含めて全12曲。





歌詞カード、ジャケット

走っているみゆきさんのモノクロ写真のジャケット。何か追いかけているのだろうか。

歌詞カードに写真は多い。
ギターケースを持った写真、「歌旅」を思わせる青いギターを持った写真、動物。
タバコを吸ってる男性がスペシャルサンクスに名のある倉本聰さんだろう。





楽曲



1.今日以来

中庸なテンポのあっさりした楽曲。
うまくいかない人生の中で、愛を求める側から愛を与える側になりたいと歌う。





2.真夜中の動物園

7分あり最も長い。また、アルバムタイトルにもなっている。


動物園では真夜中になると逢いたい相手がやってくるという。

動物園にいる動物はどこか遠くから連れてこられて閉じ込められているわけだ。家族とも恋人(人じゃないが)とも友からも引き裂かれて。そんな相手が夜中に会いにくる。
群れだったり、地平線を飛んだり、流氷があったりと、まるで国ごと世界ごと動物がやってくるかのような迫力だ。動物達の逢いたいという想いがそうさせているのだろう。


その中にヒトがいる。人間というより、動物としてのヒトだ。
「誰だいヒトなんか呼んだのは」と動物の一匹が疎んじて言う。それに答えて別の動物が、このヒトはシロクマの親代わりだったんだという。

動物を動物園に閉じ込める人間を憎むのが動物の自然な感情だろう。(それとて人間の想像だが)
そこにあえてヒトを登場させたところに、人間を憎みきれない、見捨てきれない中島みゆきの想いを見る。

動物の住む広大な世界に比べ、人間の作った動物園はあまりに狭い。しかしその動物に正面から向き合った人間もまたいる。




3.まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う


タイトル通りの言葉は出てこない。電車を思わせる言葉もほぼない。「走る」「停まる」くらいだ。では何が電車なのかというと、このリズムが電車っぽいんだと思う。

「私たちは春の中で」とか「過ぎゆく夏」みたいな内容だ。

その場限りの生き方をする「あたしたち」。時間はどんどん過ぎていき、はかない。若いようだが、しかし自由という名前に疑いを持っている。どこか危うい若者。

中島みゆきの歌う若者は実際の若者とは違う想像上の若者という感じもするが、でもその漠然とした危うさにはリアリティがある。





4.ハリネズミだって恋をする

ラテンっぽい曲調。研ナオコっぽいとも感じた。

傷つけてしまう、傷ついてしまう、うまく人と付き合えないハリネズミの嘆きをリズミカルに歌う。

「傷つけちまった悲しみに」っていいな。中原中也か何かが元なんだろうけど。





5.小さき負傷者たちの為に

6分50秒あり、長い。
これ苦手なんだよなあ。

小さき者とそれを騙す卑怯な者がいて、小さき者に味方したいという内容。
「言葉しかない命ども」を攻撃してるが、一歩間違えればみゆきさん自身に跳ね返ってきそうな批判だ。
第一、これは誰と誰を歌ってるんだろうか。


何に味方して何と戦っているんだろう。これを聴いて「みゆきさんが私に味方してくれてうれしい」とか「痛いところを突かれた」と感じるのはどんな人たちなんだろう。同志となるっていうけど、同志として何をするんだろう。






6.夢だもの

すぐに「夢だったんだね」と比較したくなってしまっていけない。

夢見るような曲だ。
夢だ夢だといいながら見る夢は苦いような気がする。どこまでいっても「こんなのは夢だ」という否定から逃れられないのは、現実であってほしいと強く望んでいるからか。





7.サメの歌

このアルバムの中で好きな曲だ。

この歌も人生が過ぎていくことを歌っているが、力強さがある。その力にはどこか盲目的なものがある。
自ら選んだ力というよりは、後ろを向いている余裕がないところから生まれる前向きさだ。
良い過去も悪い過去も終わったことだ。いつまでも振り返ってはいられない。
サメは泳ぎ続けていなければ死ぬ、と何かで聞いたが、そういうことかな。

「なまもの」というのが魚っぽくて面白い。




8.ごまめの歯ぎしり

うらぶれたようなあやしげな雰囲気だ。

「なつかない猫」がしゃべっているような印象だ。

冷たい性格になってしまった歌の主人公が、そうなってしまった自分を語る。失敗の記憶がそうさせているようだ。






9.鷹の歌

今までないタイプの歌じゃないか。

おそらくこれは倉本聰さんをイメージした歌なんだと思う。
老いてはいるが気高い。そんな人物を鷹になぞらえている。



「怖れるなかれ」というけど、文語で正確にいうなら「怖るるなかれ」になるんじゃないか。最近文語文法をちょろっとやっているので、そういうのが気になってしまう。「小さき負傷者たちの為に」もそうだ。






10.負けんもんね

一種の応援歌だ。

「試すなら試せ試金石」っていいなあ。開き直った感じだ。過酷な運命の胸ぐらをつかんで凄んでるみたいだ。


「失えばその分の何か恵みがあるのかとつい思う期待のあさましさ」も心に響いてくる。




「が」や「な」の一文字で一気に絶望から希望に転じるのがすごい。この一文字はでかい。絶望を一文字でぶっ壊すみたいなエネルギーだ。
これはすごいなあ。

仕事中に頭の中で流すこともある、好きな歌のひとつだ。





11.雪傘

一転して切ない歌だ。
冬のイメージと、恋人の不在と、曲を覆う(特に弦楽)のあたたかさが、交ざりあってなんとも胸に迫る。

以前オレはアルバム「パラダイス・カフェ」の「ALONE, PLEASE」を聴いて泣いたことがあるが、その系統の歌だ。





12.愛だけを残せ(Album Version )

恥ずかしながらシングルバージョンはまだ聴いてない。

しっとりとしている。

人生を「選ぶつもりで選ばされる手品だ」とするのは鋭い。

人生を歌っているんだが汗臭さがまるでなく、とても神秘的だ。それには古めかしい言い回しや命令形の効果もあるのだろう。
「弱き者」「汝」などの言葉は歌に重みを与えている。





おわりに

中島みゆきは文語に近づいているのだろうか。
「弱き」などの「き」で終わる形容詞、「知れず」「すべ」「己(おの)が身」「何ゆえ」「~なかれ」「汝」などにその傾向が見られる。そういう方向に行ってもらうのも悪くない。



「人生」という言葉が多いと思って数えてみたら、4曲に合計12回出てきた。

良いアルバムでした。まだ聴いてないアルバムもあるけど、もっと聴きたくなった。





 



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2011年06月18日

中島みゆきのアルバムを聴く★41「ララバイSINGER」 - 『宙船』ほか

ララバイSINGER



2006年のアルバム。12曲入り。



ジャケット、歌詞カード


ジャケットでは闇の中に雪が降っている。そこにみゆきさんが立っているが、表情はやすらかだ。
神話にでも出てきそうなあっさりとした衣装。片手には楽器が見えるが、この楽器も神話っぽい。

アルバムタイトルが赤く書かれている。みゆきさんの筆跡だろうか。



ジャケットの裏は、夜景と天の川だ。この夜景は灯りが少なく、節電でもしてるみたいだ。おとなしい夜景、キラキラ光る天の川。
みゆきさんは天の川を流れてきたのだろうか。いかにも合成っぽくて、見てるこちらがちょっと恥ずかしくなってくる。





歌詞カードの中は色があまりなく落ち着いている。みゆきさんは飾りっ気のないさびれた場所にいる。

天の川に座ってたかと思ったら、ソファーのヘリの部分に座ってたり、机に座ってたり、変わった場所にばかり座ってる印象を受けた。


翌年の「I love you,答えてくれ」のギラギラした明るさとは対照的だ。




楽曲について



1.桜らららら
1番だけの短い歌。

このCDを再生したその瞬間、嬉しい驚きを感じた。古くからのファンであるほど嬉しいのではないか。

このギターの音は初期、「あ・り・が・と・う」以前を思わせる。


片想いを歌う。
好きな人を遠くから見ていて、しかし自分からは積極的にはなれずに、気づいて欲しいと思ってる。春なんだろう。


ああ。わかるなあ。その妬ましさ。

この歌はこれで完成していると思う。


サビがサイモン&ガーファンクルの「THE・BOXER」に似てるような気がしたが、聴き比べたらそうでもなかった。




2.ただ・愛のためにだけ

1曲目から続いている。

岩崎宏美への提供曲。オレは岩崎宏美さんのバージョンを先に聴いてた。「谷村新司の歌かな?」などと思って聴いてた。みゆきさんの作品だったとは。


妬ましく見てるだけだった状態から、愛のためにだけ生きてると言うまでになった。

つらい時でも愛する人がいれば乗り越えられる。
心の中の磁石とは、愛する人の方向を指し示すものなのか。




3.宙船

TOKIOに提供されたのは有名だ。このアルバムの提供曲の中では一番知名度があるのでは?


「歌旅」のイメージが強いので、宮下文一さんの声がないと寂しい。


この歌の意味なんて考えたことなかったけど、この記事を書くにあたり丁寧に読んでみた。そしたらなんとなく見えてきた。

船というのは、要するに人生とか生きざまなんだと思う。傷んでいたりボロボロだったりするが、それは他人ではなく自分で動かすしかない。
ただの船ではなく「宙」船なのは、つまり自分というのは宇宙でただ一人であるとか、何か羽ばたくような可能性を秘めているとか、そういうことかと思う。

3番で言ってるのは、余計なことを考えてるんじゃねえ、ってことかな。試したり裁いたり企んでる場合じゃない。それらでは船を動かせないぞ、と。



忘れてるかもしれないが、お前には可能性がある。お前はただ一人なんだ。たとえボロボロになっても、他の誰でもなく、お前がやるしかない。
そんな叱咤激励の歌だとオレは受け取った。




4.あのさよならにさよならを

華原朋美に提供した曲。小室哲哉から離れてから迷走してる感があった。
華原朋美がこの歌を歌ってる動画を見たが、ずいぶん小さい会場で少ないお客さん相手に歌ってたな。歌唱力には衰えは感じなかった。


この歌も迷いに迷っている。
「あなた」を失いそうで不安になっている。見えない明日への不安、過去からくる不安。そこから脱しようとする。

「あのさよなら」とは、別れの思い出だろうか。そのつらい過去に別れを告げる。




5.Clavis-鍵-

工藤静香への提供曲。タイトルからして覚えづらく、ヒットしなさそう。サビの性格も弱い。


工藤静香もすっかりヒット曲がなくなったが、この歌には工藤静香らしさがまだ残っている。独特の妖しさや危うさがある。

ちょっと民族音楽っぽい。タンゴとかそっち方面?


生きるための鍵を君と探したい、と歌う。実は鍵は君だった、なんてことになりそうな予感。
落としたってことは、過去には鍵を持ってたのか? だとすれば確かになくしたのは謎だ。世の中に揉まれるうちに生きる目的を失う。ありそうな話だ。



6.

前の曲から引き続き演奏される。
共通してるのは、鍵も水も人生の中心にあるものとして求められていることだ。

なめらかなメロディーラインだ。


この「水」とは癒やしとか愛とか、そういうものなんだろう。
1番では、水を探し求めた末にたどり着いたのがあなただったと歌う。
2番では、あなたは多くの人に水のように求められるが、あなたのための水はない、と歌う。

どうも引っかかる。
「あなたの為の水を誰か恵んでください」が乞食みたいでいやだ。

「あなたの為の水」は「私」が分けてあげたらよいと思う。
「あなたが私の水」で「自分の心は飲めません」というならば、私があなたの水になるのがいい。





7.あなたでなければ

この歌だけ歌詞カードが赤い。

「歌旅」のバージョンとあまり変わらない印象。

編曲に中村哲さんの名前があるところから想像できるが、サックスが充実している。


まっすぐなラブソングだ。
「あなた」の変化に戸惑いつつも、やはりあなたでなければダメだと歌う。

シンプルだが頭に残るメロディーだ。

終わり方がパッとしない。これならフェードアウトの方がいいなあ。


2.5.6.7.と、愛する人が人生の中心であるかのように歌う楽曲が目立つ。「転生」にも次のアルバムにもそんな内容の歌は全くないから余計目立つ。




8.五月の陽ざし

「萩野原」みたいな、遠い思い出をしみじみ思いかえす歌。

遠い日にもらった贈り物。意味を図りかねて開けるのをためらっていたが、開けてみたらドングリだった。


オレだったらすぐ開けるけどなあ。そんで「なんだよドングリって」と思うだろう。そこが詩的な人と散文的な野郎の違いだな。





9.とろ

個性的な歌。雰囲気はコミカルで、笑いながら泣いてるような歌い方。

内容がまた変わっていて、要領の悪い自分を歌っている。金魚すくいをやってもシャツの袖を水びたしにするのだろう。


「とろ」は動作が遅いという意味の「とろい」からきてるのだろう。
英訳だと「Too Slow!」になっている。発音が「とろ」に近い。これはナイスな訳だ。




10.お月さまほしい

「君」がひどいことにあい、おそらくひとりで泣いている。そんな君のために何もできず、渡してあげるものを探す。お月様を贈ってあげたくて夜中に屋根を見る。



「君」に何があったのか気になってしまう。次のアルバムの「アイス・フィッシュ」で歌われるのも同じ人なんだろうか。

こういう暗いエネルギーのある歌はみゆきさんならではだなあ。君にどうしても何かをあげたい、張り裂けんばかりの気持ちが見えるようだ。

代わりにドングリをあげたら、なんて言ったら怒られるだろうか。

なぜお月さまなのか。その晩に見えたものの中で最も光っていたからか。




11.重き荷を負いて

余裕なく苦しみながら生きる者を歌う。

苦しんでる人には応援歌なんだろうけど、オレは自分の頑張りのなさを責められてるように聞こえる。「がんばってから死にたいな」が特にそう感じさせる。

人気あるみたいだけど、オレは別に好きじゃない。




12.ララバイSINGER

ピアノ中心のしっとりした曲。

「アザミ嬢のララバイ」とのつながりが指摘されるんだろう。この歌ではより抽象的に表現される。


翼というのがいろいろに歌われる。
翼は人を眠りへ連れて行くものなのだろう。
そして眠る人を抱き守るのも翼だ。
忘れさせるのも翼で、思い出させるのも翼。思い出は翼か、つらさや悲しさも翼か。
翼が何かを考えていればこんがらがってオレなら眠ってしまうだろうね。

世の中には歌がたくさんあるが、その多くが恋する男女を歌う。世の中は恋する若者ばかりではないから、歌に歌われない人もきっといるのだろう。みゆきさんはそんな人達にも素敵な歌をたくさん作って歌ってるように思う。
このアルバムだと特に9.10.11は、歌ってもらえない人達が対象になってるように思う。

みゆきさん自身が、歌いながら自分の声を聞く、そんな歌びとなのだろうか。




おわりに

提供曲の関係もあってか、恋愛の歌が多い印象。
前半は提供曲中心で後半はみゆきさんらしい楽曲がならぶ。

中盤が少し弱いが、はじめの2曲の素朴さは今ではなかなか聴けないものだし、終盤には苦しみ悲しむ者への歌がならぶ、素晴らしい内容になっている。

ジャケットは暗いけど、けっこうカラッとした歌もある。







中島みゆきを聴き直す

★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」

★夜会vol.13「24時着0時発」

★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[前編]★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[後編]



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2011年05月22日

中島みゆきのアルバムを聴く★40「I Love You,答えてくれ」

I Love You,答えてくれ



2007年のアルバム。
オレは「ララバイSINGER」やLAライヴを聴いていないから、順番を飛ばしていることになる。

オレがこれを買ったのは「歌旅」のライヴDVDを買ったのがきっかけだった。
歌旅というコンサートが大変素晴らしいものだった。そのコンサートの収録曲の多くがこのアルバムに入っているという理由でこのアルバムを手にした。



ジャケット、歌詞カード

ジャケットは「歌旅」のトラックのデザインと同じだ。つまり金色の背景に白い衣装、かっこいいみゆきさん。そして迫力ある毛筆で書かれたアルバムタイトル。

裏は赤い衣装だ。靴が気になる。女子プロレスラーが履きそうな靴だ。


歌詞カードを見る。
金色は屏風の色だとわかる。
畳やふすまなどが「和」を感じさせる。白いページに光をあてると和風な模様が浮きでる。

白い衣装は暴走族みたいだと思った。
「美雪組」「美雪会」とでも言えばよいだろうか。

和の中の上品さと、それに包まれた力強さを感じる。




収録楽曲の感想



1.本日、未熟者

TOKIOに提供した曲なので、TOKIOのバージョンもYouTubeで聴いた。全く動きのない舞妓さんが印象に残った。

コンサート「歌旅」で強い印象を残した曲だ。
金管の「パパラパパ~」から「ジャージャジャ・ジャージャジャ」が入ってくるところからしてインパクト抜群だ。

編曲のところに中村哲さんの名前がある。サックスの人だ。
このアルバムでは瀬尾さんの他に誰かもう一名がアレンジに加わってる曲がいくつかある。
最後のサックスと金管のユニゾンは今まで聴かれなかった手法だ。



詞の内容は、不器用な男の生きざま、といったところか。
この男は苦しんで生きている。そこに甘い誘いがかけられるが、男はそれを蹴る。要領よりも筋を通したまっすぐな生き方だ。
おろおろとしてはいるが、ある意味強い男だ。

「野望」「義」といった言葉は女性が使うような言葉じゃないな。このへんに男臭さがあり、和風な何かを思わせる。
「あるか」と問うている。野望、義、情、恥、そういったものが彼にこの生き方をさせていると考えられる。





2.顔のない街の中で

サクサク流れるサウンドだが、みゆきさんは何かを訴えかけるように歌う。

この歌はアルバム「短篇集」の中の「帰省」につながってるように思う。8月と1月以外の都会を歌っているのだ。
人同士が日々の中で物のようになってゆくことを歌う。

「ならば見知れ」とみゆきさんは言う。
「見知らぬ」「人見知り」という言葉はあるが、「見知る」という言葉はあまり聞かない。その命令形「見知れ」となると、さらに聞かない。
「思い知るまで見知れ」となると難解だ。何をどうしろというのだろう。

「顔のない国」と聞いてすぐに菅総理のことを思い出した。あまり政治的なことは書きたくないが、菅総理にはリーダーシップがない、方向性がないと言われている。「顔のない」というのはそういうことを言うのかな?と思った。




3.惜しみなく愛の言葉を

「歌旅」のエンディングに流れるのはこの曲だったのか。


今日ありったけの愛を語ったら明日は言うことがなくなるのか。いつかのために今日は黙っているのがいいのか。
いいや、私は今日も明日も惜しみなく愛の言葉を君に捧げる。
…という内容だと理解した。


今日という日を精一杯生きて、愛せる限り愛する。いいなあ、そういう生き方。恋愛に限らず、オレは怖くて全力でやらないことがあるなあ。




4.一期一会

世界ウルルン滞在記の曲になったらしい。そう思って読むと、なるほどしっくりくる歌詞だ。

「見たこともない」の連発や「遠く離れて」が海外を思わせるし「短い日々」もポイントだな。

あなた自身の笑顔を忘れないでほしい、というのがいいね。

中島みゆきの歌に出てくる旅人は孤独な人が多いけど、これは人とのつながりを感じさせてくれる歌だ。




5.サバイバル・ロード

なかなか激しく、迫力のある楽曲だ。

「裸足で走れ」の21世紀版だな。裏切りに満ちた世を歌う。

「身ぐるみ剥がれて」
「食いちぎられて」
「喰らいあって闇の中」
などエグい言葉に強い表現を感じる。かっこいいぜ。




6.Nobody Is Right

コーラスが充実している。手拍子が加わったあたりで「おだやかな時代」を思い出した。

はじめは良さがわからなかった。ラッパが軽薄に聞こえるし、同じ英語の繰り返しは変化に乏しい。しかし、じっくり聞いたら深い内容だと感じた。

何もかも正しい人なんていないんじゃないかと歌う。その上で、正しさを手段にして争いを起こしたり快楽を貪る行為を批判する内容だ。

何のことを歌ってるんだろう?

オレはなんとなくアメリカのことを考えた。あまり世界情勢に詳しくないから自信を持って書けないんだけど、アメリカが中東に対してやったことがなんとなくこれに当てはまってる気がする。違ってたらすみません。

戦争に正義も悪もないよな。

必ずしも「争い」が戦争を意味するとは限らないな。

オレは2ちゃんねるのいわゆる「祭」に加わって、悪い誰かが晒しあげられる様子を見て楽しく感じることがある。晒したり叩いてる人は、名目上は正義のためにやってると言うが、実際は勝利の美酒に酔いたいわけだ。
これはあくまで例えだけど、つまりそういう偽りの正義を戒める内容の歌ともとれる。


自分が絶対正しいという思い込みを捨て、多様な価値観を受け入れ理解し認めること。ありふれてるようで、難しい。




7.アイス・フィッシュ

編曲のところにみゆきさんの名前がある。神秘的な曲。「六花」「白菊」「伝説」あたりに近い。


さっきの歌とは対照的に比喩表現が多い。
解釈が分かれるかもしれないが、オレが想像したのはいじめ問題だ。

クラスにいじめられっこがいたとする。その子を助けたいと思いながらも保身からそれができず、そんな自分に悔しくなる。そんな状況が見えた。
自由に水の中を泳ぐことができず、怖じ気で凍りついて動けない、そんな魚。





8.ボディ・トーク

これもライブで印象的だった。かっこいい曲。

自分の気持ちを言葉を使って伝えることができないもどかしさを歌う。

命さえもさしだせる、そんな強い愛を伝えたい。海の様子だとか、爪に体温があるとか、そんなことを伝えたいわけじゃないのだ。思いを伝えられないんだから言葉なんて弱いものだ。言葉がダメならせめて身体から伝わってほしい。


みゆきさんほどすごみのある言葉を使って詞をかける人が「言葉なんて迫力がない、言葉は弱い」と言ってるのが不思議な感じだ。



9.背広の下のロックンロール

これは「歌旅」のトリを飾った曲だ。オレはDVD見てこの歌のところで泣いた。それぐらい感動した。

この歌に関しては「歌旅」の記事でさんざん書いたから繰り返さない。そちらを参照。

CDは映像がないぶん感動は少ないが、それでも堂々たる名曲には違いない。




10.昔から雨が降ってくる

これも「歌旅」の感想で既に書いた。DVDと大差ない内容だ。そちらを参照。

みゆきさんの歌には「時代」をはじめとして、生まれ変わりが出てくる歌はいくつかある。でも人間以外が絡んでくる例は少ない。「この空を飛べたら」くらいしか思いつかない。


盛り上がるからなんとなくいい曲みたいに聞こえるが、好きかと言われたら別に好きじゃないな。
降ってくる雨を見て大昔のことをしみじみ考えた体験なんてないし、いまいち共感できない。




11.I Love You,答えてくれ

いきなりみゆきさんの迫力のヴォーカルが入ってくるから開始早々でぶったまげてしまう。

損得も何もない真っ直ぐな愛の歌だ。しかしこの彼女、相当疑い深いようだ。

この告白にしても、伝えたいから伝える、それだけの純粋な告白だ。小細工も何もない純度100パーセントのラブソングだ。
愛は他の何かを得るための手段ではない。愛そのものが目的なのだ。

見返りを求めない愛というと女性的な感じがするが、この歌は男性的だ。



おわりに


中身の濃い11曲。つい感想も長くなる。感想が長いということは、色々考えさせられた、感じるものがあったということですね。
3.7.10.あたりがちょこっと物足りなかったけど、これは名盤と言っておきたい。いろんな感情のうねりやエネルギーがビシビシと伝わってくる一枚。








中島みゆきを聴き直す
★18「歌暦」
★19「中島みゆき」
★20「グッバイガール」
★21「回帰熱」
★22「夜を往け」
★23「singlesII」(2枚組・2枚目)
★24「歌でしか言えない」
★25「EAST ASIA」
★26「時代-time goes around-」
★27「singlesII」(2枚組・1枚目)
★28「LOVE OR NOTHING」
★29「10WINGS」
★30「パラダイス・カフェ」
★31「わたしの子供になりなさい」
★番外編
★32「日-WINGS」
★33「月-WINGS」
★34「短篇集」
★35「心守歌」
★36「おとぎばなし-Fairy Ring-」
★37「恋文」
★38「転生」
★39「いまのきもち」



DVD
★夜会vol.13「24時着0時発」
★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[前編]
★歌旅 中島みゆきコンサートツアー2007[後編]


 



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mk7911 at 23:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)