2019年05月28日

『塔』2019年4月号の座談会で、一瞬オレの名前が出たこと

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びっくりすることがありました。画像を見てください(無断転載すみません)



なにかって言いますと、
『塔』2019年4月号の、創刊65周年記念座談会「百葉集を読む」
で、栗木京子さんと坂井修一さんと花山周子さんが出席しています。その最後のページでオレの名前が出ていたんです。
2018年7月13日ってことは、新人賞の結果がまだ出てないときです。

オレは2015年末に塔短歌会を退会してるんで、けっこう時間がたっているんですけど、こうして塔の座談会に名前が出てくるってことは、塔にいたころのオレを覚えててもらえてるわけです。「意欲的だった」会員として覚えていただいているということなので、うれしいですね。

熟読はできないけど、今でもオレは塔を読んでいるんです。塔が好きなので。みんなやってるなーっていうのが見れるのがうれしいんです。
霊みたいだなと思いますよ。とっくに出ていったはずなのに、窓の外からたまに顔が出ている。


「意欲的」っていうのは、
欠詠がないとか、
題詠四季とか特別作品とか方舟とか自由投稿の記念エッセイ的なのとか塔新人賞とかによく出してたのとか、
あるいは選歌欄評とか歌集探訪とか一首評とかの依頼を受けたらそれに取り組んでいたこととか、
そういったことのうちのいずれかを見てくださったのだと思います。


そしてその一方で意欲的ではなかったことがあって、それは歌会なんです。

座談会で、オレは「異分子」とも(間接的に)言われています。それはどこからきてるのか。オレは塔に合ってなかったのか。ちがってたのか。まあ、そうかもしれない。自分ではよくわからない。

塔の歌会に出るたびに「なんか違う」って感じが深まった。違っててもいいとも思ってるから、それが退会の決定打だったわけではないんだけど、そのへんをあんまり書くと長くなって迷路に入ってしまうので、あんまり書きません。



坂井修一さんに「そこでいきなり『かばん』とか『未来』に行くのもちょっと違うかな。」
って言われてて、びっくりした。ちょっと気にしている。オレは「ちょっと違う」方へきてしまったのか?

坂井さんとはべつに接点がないので、オレのことをよく知ったうえでの「違うかな」ではないんだよ。だから、ちょっとしか気にしていない。



そのあと座談会は選者の制度の話になる。オレが結社を移ったのはたしかに、選の制度のこともある。

坂井さんの言う、未来短歌会の「弟子の取り合い」は、何のことを言ってるのかさっぱりわからない。いつ誰が誰から誰をなんのために取ろうとしたのか???



関係ないけどこれより前のところで坂井さんが語っていた「かりん」の歌会のきびしさが、読んでいてこわかった。自分が言われたわけでもないのにズキッてする。



さらに関係ないけど、オレはこれくらいの言及でもけっこうドキドキするし反応しちゃうんだけど、もっとあちこちからいろいろ言われる人もいるわけだよなと、何人かのもっと若い歌人を思い出していた。



とりとめないですが、そんな感じです。



んじゃまた。



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2018年11月22日

〈結社誌読む 139〉 「塔」2018年6月号  ~憧れし大学である、ほか

「塔」。2018年6月号。



チャングンソクの話ばかりする人といてチャングンソクの話ばかり聞く/田宮智美
→「推し」を「推す」っていうのはこういうことなのか。
上の句に対して、まっすぐ落ちてくる下の句だ。ずれない。ずれないことで「チャングンソク」だけが浮き上がる。オレはチャングンソクをほぼ知らないので、響きが印象にのこる。



駄目なんだよなあといふ吾がひとりごと年初のまろき月に聞かるる/篠野京
→「駄目なんだ」が初句と見たが「駄目なんだよ」までを初句と考えたほうが二句が落ち着くかな。
いずれにしても初句で強く入って二句でやわらかくなる。「年初のまろき月」までくるとかなりやわらかくなっていて「駄目なんだ」感がほぐれている。月は聞いてくれてるし。ほぐれを楽しんだ。



憧れし大学であると父は言ひわが手を固く握りくれたり/安永明
→親っていうのはこういう気持ちをもつものなのか。つまり、子に自分の成し得なかったことを期待するものなのか。
「である」が固いし、そのあとの動作もかたい。ありふれた動作のようだけど、考えてみたらオレは親にこんなことされたことないなあ。



ヨットの帆白く滲んでいつかとは悔しいほどにきれいな言葉/大森静佳
→「ヨットの帆白く滲んで」を「いつかとは」「きれいな言葉」が受けている。映像と言葉。「悔しいほどに」が変化をつけていて、淡くうつくしいだけの歌ではないものにしている。



受話器より長き苦情を聞くあいだヤマモモの樹は風に揺れおり/紺屋四郎
→前半と後半でまったくちがうことを言って変化をだしている。閉塞感から自由、聴覚から視覚。「ヤマモモ」を出したところ、いいと思った。漢字が多いところへのカタカナ。



どこまでも続く線路にどこまでも続いておりぬ春の枯草/宇梶晶子



目と鼻はきえかかりゐておとがひの笑みがのこれり 小雨の石仏/久岡貴子



わかき日の冒険譚をくりかえす桃太郎こそ鬱陶しけれ/松村正直




以上です。



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2018年11月15日

〈結社誌読む 138〉 「塔」2018年5月号  ~友だちがいなくてつらいと言う友、ほか

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「塔」2018年5月号。



時かけて空を降り来る雪だから何か思ひ出せさうで見てゐる/髙野岬



友だちがいなくてつらいと言う友の口元にのぼりゆく抹茶ラテ/加瀬はる

→最近、吉川宏志さんの「中心となる語句を消す」 https://t.co/bjy4ZFXwUx っていう文章を読んだけど、この歌もそうですね。ストローが消えている。

「言う友の」ってことは、主体っていうかこの人から見たら相手は「友」のわけです。でもその「友」は「友だちがいなくてつらい」と言っていて、こちらを友とは見ていない。ここにザラッとしたものがある。
抹茶ラテの色が、そんな気持ちをあらわしているのかな。
ストローが描かれてないけど抹茶ラテは飲まれていくわけで、この消えているストローが、友に友と見てもらえないこのひと自身なのかもしれない。




もぐら叩きのもぐらのような優しさの夫疎まし雨降る日には/数又みはる
→まあ比喩のおもしろさですよね。もぐら叩きのもぐらは決して攻撃してこないから、そういう意味では優しいけど、いいこともしないから、なんとも消極的な優しさだ。晴れるとどこか出かけて、雨だと家にいるという人なのか。



向ひ家の軒のつららに映り込む右へ左へ雪を掻くひと/武山千鶴
→つららに映っているものを見ている。「右へ左へ」が活きていて、その動きが分かるくらいつららでものが見えるのかと思うわけです。つららからの雪で、冬まっただなかだ。



雨のあとの明るい夕焼けわたしには理解できない笑いのような/上澄眠
→天気をお笑いで例えたんだと読んだ。怖がらせてからおちゃらけるっていう笑いのスタイルがある。



連結のガシヤといふ音ゆび差して車掌二人が別れゆきたり/清水良郎
→音を指さすというのが一点目、連結からの別れというのが二点目。そこがおもしろポイント。



喫茶店の席を立つとき目に入る壁の抽象画の赤き線/加茂直樹
→赤い線がある以外はどんな絵かわからないうえに、抽象画ときたら、もう全くこの線がなんなのかわからない。わからないけど、赤い線というのは注意を引くものだ。血の連想もできる。くつろいだ場所から、パッと意味不明で異質なものが出てくる。



待たさるる固定電話にイエスタディ流れ続けて二周目となる/紺屋四郎
→こういうことは普通にある。イエスタディは名曲だからこういうところに流れる。二周目ともなるとイライラしてくる。「イエスタディ」がやはりポイントだろう。時間の流れ的に。待ってる時間、昨日という時間、繰り返される昨日、さらに待ってる時間。



自殺は罪、罪か?自殺は。死にたいと思ふ一羽も飛びゐるや 空
さびしいと言つたら何がさびしいかと叱るがごとく言はれし夜のこと
/岩野伸子

→苦しみの深い歌だ。自殺と罪のあいだを行き来するこころ。死にたがっている鳥が空にいると思うと空が悲しいものに思えてくるし、そうでなくてもそんなことを考えながら空を見上げている人がいるのがつらい。



溶けてゆく蝋にみずからを映しつつ炎は立てり死とのさかいに/吉川宏志
※「蝋」は正字




以上「塔」5月号でした。
んじゃまた。




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2018年11月03日

〈結社誌読む 135〉 「塔」2018年4月号  ~1日は0.3円

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「塔」2018年4月号です。

2015年の年末に退会してからも、ずっと感想を書き続けているんです。毎月じゃなくて、思い出した時にまとめて読んでる感じです。

「塔」2018年3月号を読む  ~さびしいときのトラの鳴き声、ほか : ▼存在しない何かへの憧れ
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52220677.html
のつづき。




そう言えばおでん食べたと言ってたな君の好きな具を浮かべる冬空/太田愛葉



掌がなければすぐに落ちるだらうたぶん記憶も形なきみづ/石松佳

→この方の名前は、詩で知った。
三句で切れてると思えば普通に読める歌だけど、四句で切ってしばらく不思議な歌だと思いながら読んだ。
落ちる水を手に受けるようなイメージで、記憶を掌に受けているんですね。この場合の「掌」ってなんだろう。記憶をとどめようとする心の動きをとらえているのか。



明け方の雪はひかりをかさねつつ樹々のねむりをくづしゆくらむ/濱松哲朗
→雪って積もるものなので、「くづしゆく」は世界が反転しているみたい。ねむりがくずれていくという感覚はあんまり馴染みがないんだけど、木の眠りは人の眠りとはちがうだろうから、こういうものかもしれない。雪のなかで起きる感覚、どんなだろうな。明け方のひかる雪に。



上下線不通と聞けばなにがしかの公平感あり運転を待つ/北島邦夫



日に三度同じ男と便所にて会う月曜である今日はまだ/八鍬友広

→これこそ切る場所に迷う歌だ。
便所にいくと曜日や日付を確認したり思い出そうとしたりするオレにはわりと「月曜である今日はまだ」はすんなり入ってくる。前半みたいなことにふさわしい曜日があるかのようだ。



みんながみんな死にたいわけじゃないんだと言われた今日の湯船の深さ/田村穂隆
→一日にあった嫌なことを、お風呂で思いだしちゃったりする。一体なんでこんなことを言われたのか……。
なにやら自分中心なことを言ってしまい、しかも他の人は人生を楽しんでいる。できることなら湯船にどんどん沈んでいきたい気持ちだろう。



おやゆびがこのごろおいしくないねんと小さな声に六歳が言う/ぱいんぐりん
→六歳ならばもう指しゃぶりをやめていてもいい頃だけど、この子は今その時がきたんだろう、と読んだ。「小さな声に」に実感がある。実感、っていうと借りてきた言葉みたいかねえ。マジで言ってるぞって思うの。「ないねん」の「ねん」も。

ぱいんぐりんさん。名前がPで始まる歌人、しかも結社にいる歌人なのにPから始まるのは珍しい。その意味でオレのなかでは「未来」の「ぴーたーぱん子」さんと双璧だったんだけど、ぱん子さんは改名した。



100均のカレンダーだと1年で割って1日は0.3円/真間梅子
→0.3のところだけ半角にしたのは、誌面でそういうふうに見えたから。
一見それっぽいことを言ってるけど、騙されないぞという気持ちになる。たしかに本の価格をページ数で割って考えることはあるけども。見たことないものを見た驚きがあった。
それに、このチマチマした計算だけで一首を成立させて、余計なものをなんにも入れないところは実にちゃんとしている。



わたしだけのためにある鍵 長いこと欲しかったものを今は持ってる/紫野春
→子供って不思議なもので、鍵にあこがれたりもする。鍵ってちょっと神秘的だ。固く閉まってるものが魔法みたいに開く。自分だけのそれを持ちたかったんだろう。
それが叶ってもなんだか楽しくなさそうな感じだが、この感じは歌のどこからきてるのだろう。部屋の鍵、防犯の鍵。もう欲しいきもちはない。



入口は出口になりてぞろぞろとゾンビ映画の観客の出づ/千名民時
→たしかに入ったところから出るわけだけど、これによって観客の生死が逆転したみたいだ。
「ぞろぞろと」はありふれているようで、動かない。意志のないゾンビが歩いている様子にぴったりだし、ゾンビの「ゾ」をみちびいている。



プラットホームに目陰をすれば手袋の甲あたたかし朝の陽ざしに/花山多佳子
→きれいなものを見たとか何か心が動いたときに、おっ短歌になるぞ、って思ったりする。だけどこれはかなり微弱なやつで、これをよく捕まえたなと思うよ。
「塔」の人たちはそういうのうまいよ。生活のなんでもないところから捕まえてきて、さらりと過不足なく表現する力。



歌集のつくり方の特集がある。いろいろ書いてあるけど、山上秋恵さんの文章が印象に残る。



以上です。




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角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
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2018年08月19日

〈結社誌読む 133〉 「塔」2018年3月号  ~さびしいときのトラの鳴き声、ほか

「塔」。2018年3月号。
ひさしぶりに塔をやります。



まひるまのボタンを押せば繰り返すさびしいときのトラの鳴き声/吉田恭大
→動物園とかそういう施設かなあ。ボタンを押すと音声がでる仕組みになっている。さびしいときのトラはどんなふうに鳴くのか、すぐには思いつかないので頭のなかで鳴らすのにひと工夫要る。繰り返しボタンを押してるとすれば、その行為こそさびしい。
「まひるま」は平日の空いている場面を想像した。休日はにぎわうだろうけども。
ひとりでそっと押していてほしい。室内にさびしい獣の声が響きわたる。



日替わりを頼んだ店の背後から入った大量の追加点/吉田恭大
→これも似たような受け取り方をした。いつも行ってるような平凡な店で、テレビの音かラジオか、野球かサッカーかわかんないけど、すごい盛り上がりで「入ったー!」とか「決まったー!」とか言っていて、でも店はいつもの感じで、こちらはあまり試合に関心がない。試合は一方的な展開となり、受け手のこちらがさらに否応なく受け手になる。

※この方の「吉田」の吉は土に口と書くほう。



右左分かれて逃げた雀らがたちまち一緒になりぬ空にて/八鍬友広



決着をつけにあなたに会いに行く街中の音すべて爆発音/王生令子

→決着をつけようとする心が音の感じ方にまで影響しているというのか。爆発しているところを歩いていくようで迫力がある。「すべて爆発音」という字余り、爆発している感があっていいんじゃないでしょうか。



全国で一番乗りと言われれば何やらうれし歌会記なれど/松塚みぎわ
→結句で急に小さい話題になるので、意表をつかれた。結社にはよくありますね、歌会記。誌面づくりの様子がちょこっと垣間見える。



白線をこえれば真冬 嘘をつくこどもの影がまたうすくなる/田村龍平
→言ってることはわかんないけど、イメージは湧いてくる。「白線」、なんの白線? 電車? ということに手がかりはなく「真冬」がくる。白線が降り積もる雪のイメージにかわる。手がかりがないのでこどもも白いイメージで、影がうすくなるのは雪の影響なのか、嘘をついたせいで消されたのか、嘘ってなんなのか、嘘もいっしょに薄くなっていくみたいで、「また」ってことはこれ以前の時間の嘘や子供や影やそのうすさがあったわけで。
……って書いてもなにもかもモヤモヤしてはいるんだが、それぞれ言葉が響きあっているように思える。



ぶれぶれの写真に残るよろこびが削除の指を遠ざけてゐる/濱松哲朗



始祖鳥のごとき声にて子が叫ぶ手を打てば音生まるると知り/益田克行

→始祖鳥のたとえがすごい。下の句がしっかりそれを支える。子にはなにもかもが大発見なのだな。



桃というさびしき回文 階段を下りても夜空、まだ明るくて/白水ま衣



できそうな仕事を探す(できそうな仕事など無い)仕事を探す/田村穂隆

→こういうことあるよなと思う。こんなにスッキリした形で言えることなんだなあ。



なぜ人は学ぶのですか この道を銀杏の黄色が埋め尽くすから/紫野春
→いま見えているものがいっせいに覆われて見えなくなる時がくる。そんな危機も思うけど、でもなんて素敵な答えだろう。
危機とかは無しで、童謡「ぞうさん」の「そうよ母さんもながいのよ」みたいな優しい(けどよくわからないところもある)ものとしてふわっと読んでもいいかもしれませんね。



朝日さす 一方通行標識の矢印に力ありありと見ゆ/干田智子




3月号は以上です。
塔、上手い人たちがなんてたくさんいるんだろうと思う。読んでるだけでなんかちょっと自分まで上手くなる気がしてきました。

この本おわり。



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2018年05月06日

〈結社誌読む 127〉 一年ぶんの「塔」を2週間で読む【最終回】2018年2月号

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「塔」2018年2月号。


4/17~4/30の2週間で「塔」を12冊読めるかなっていうことでやってました。
実際に読めたのは11冊で、2018年2月号まで読みました。なので、この記事がこの企画の最終回です。

「塔」を読むための時間を確保するためにかなりハードスケジュールな2週間になりました。たまにはいいんじゃないでしょうか。3月号以降はまた、折々に読んでいきたいと思います。



今回は2月号の感想をまとめています。



一人来しダリヤ園には妻はなしダリヤに頬よせ笑まひし妻が/矢野正二郎
→「妻は」で妻があらわれ、「なし」で消える。下の句でまたぼんやりあらわれて、読みおわるとまた消える。



換気機械室(2)のノブを回してた小学生が地下道を去る/吉岡昌俊



ベランダでタオルが揺れる秋の午後セブンイレブンの屋根の向こうの/吉岡昌俊

→自分の家のベランダなのか、ごく近く見えるベランダかなと読み始めたら、思ったより遠かった。あいだに一件はさむとだいぶ遠く感じられる。



追憶ということば長くをともに住みし叔母から聞いた映画のタイトル/福西直美



どうせならディズニーランドになりたかった 過呼吸で滲んでいく夜景/田村穂隆



たばこ屋の角を曲がればその先の角にもやっぱりたばこ屋がある/かがみゆみ

→2月号で「やぱり」になっていて、4月号に訂正があった。
ありうることだけど、どこまでいっても同じ場所をぐるぐるしているみたいでちょっと不思議だ。



死にたいと君が一言漏らすので、そこではい、楽さん早かった/吉田恭大
→答えるのがむずかしいことにうまく答えようと考えると、大喜利の頭の使い方になる。
「楽さん」こと楽太郎って、もう名前が変わったんだっけ。圓楽に。そういうのに慣れないなあ。木久蔵が木久扇になってるのも馴染めないし。



レジ袋ごはごは畳みおそろしく昔のことで君を責めゐる/穂積みづほ
→「ごわごわ」よりもこの仮名遣いのほうが雰囲気でるなあ。昔のことで責めるのは、たたんだものを広げてるイメージのほうに近いかな。
レジ袋をすごく小さくして持ってくる人がいるよね。小さくて店のどっかに落としちゃうの。



悲しいと書いたらなにか変わるかな異動希望の備考の欄に/紫野春



ねむたさについて書こうと開いたらねむたさについて書いてある手帳/紫野春

→ねむたさについて手帳に書くっていう行為からしてほんとはよくわからない。でもこの人は二回やっている。一回目のことを忘れていたようだ。眠たかったから? 
傾眠、過眠などの症状で心療内科や服用の薬の副作用などの相談を医師に伝えようとする場合の、手帳に記録しておこうとされた歌かとおもいました。
という月下  桜さんからのリプライをいただいた。

お名前が誌面で「柴野」になっていたが、「紫野」が正しいと確認した。毎日歌壇でも見かける方なので、結社がちがっても知ってる方がおられるだろう。



つややかなる紅きおのれを夢見つつ腐りゆくなり林檎がひとつ/丸山順司



特養の媼らかしまし翁らはさぼてんの如たそがれおりぬ/林龍三

→ライブドアブログに「俳句・川柳・短歌」っていうカテゴリがあるんだけど、最近はこの方の「万葉歳時記」というブログが二位で、オレの「存在しない何かへの憧れ」が三位になってることが多い。つまり、ライバル意識がある。
ちなみに一位は有名な詩をコピペしてるブログ。
この歌は「さぼてんの如」がうまい。



今月もまた緊張感なき『塔』誌読み短歌(うた)誉める術ひたすら学ぶ/黒田英雄
→短歌のブログを熱心にやってる人が二人続いた。
皮肉にしてはよくできている。でも、ひたすらでもないし学んでもいないことを考えると、 賛成はできないや。

「誰がなんと言おうとぼくの選ぶ歌だけが名歌なのだ」って本気で言うようになっちゃったらだめなんですよ。ほんとに誉める術でも学んだほうがまだいい。ほかの考えを取り入れてすこしでも変化できるほうがまだ救いがある。

前にほかの人に対して書いたけど、歌会でもしたらいいのにと思うよ。自分とちがう歌の読み方、評価の仕方を目の当たりにしたときに受ける刺激っていうのは大きいよ。

生きているものは変化する、変化しないものは死んでいる。

誉め方を学ぶのに賛成なんじゃなくて、動くことに賛成なんだよ。皮肉に一瞬感心しかけたけど、そうやって今の場所から一歩もうごかないより、なにか学びとろうとする姿勢のほうを支持したい。

つまらないものをおだててるように見えても、自分の気づかなかった歌の良さを発見するってこともある。
「誉める価値のないものを誉めてる」ってきめつけたらだめなんだよ。自分のほうが理解できなかったのかもしれない。自分を疑えなくなったらダメ。

長いこと楽しませてもらってたブログけど、そういうふうに思ったから、読むのやめました。



かじかんだゆびで絵筆をあらうときシンクに消えてゆく秋の川/田村龍平



「はい。それは日本國です」美しき物のみ映す鏡が答ふ/益田克行



冷蔵庫の扉あければ既に灯(ひ)はともりゐて嘘を平気な顔で/佐藤陽介

→冷蔵庫って、あけると照明がついてるけど、閉めてるときはが消えている。ずーっと照明がついているかのようにしているのが、平気で嘘ついているように見える。



学校の話をすれば目を伏せる未来の話をすればどこかへ行く/宇梶晶子



地獄絵図をどうして人は見るのかを循環バスに乗りつつおもう

どっちでもいいとあなたが答えしをさびしむわれにわれはおどろく
/白水ま衣

→「循環バス」が輪廻転生を思わせる。



夫のうたふ得体の知れぬ鼻唄が苦手聞かせるやうにうたふから/小林真代



夜、きみはもう戻れないやり方でポテトチップスの袋をあけた/上澄眠

→あのやり方だろうな、と想像できた。つぎの歌で「開腹手術のように」とあり、想像が当たっていたことがわかった。
「夜、」とか「もう戻れない」が、ただのお菓子のこととは思えない、ただごとじゃないものを感じさせる。



ゆふばえの川土手のうへ自撮り棒持った女は暗くなるまで/真中朋久



以上で「塔」2018年2月号おわり。
んじゃまた。


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2018年3月のオレの短歌とその余談【前編】ネットプリント、恋のうた、ほか
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未来賞をいただいて、いま書きたいこと
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2018年05月05日

〈結社誌読む 126〉 一年ぶんの「塔」を2週間で読む【10/12】2018年1月号

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「塔」2018年1月号。


4/17~4/30の2週間で「塔」を12冊読めるかなっていうことでやってました。
実際に読めたのは11冊で、2018年2月号まで読みました。

ここでは1月号の感想をまとめています。


工藤吉生はもう「塔」の会員じゃないしなんの関係もないではないか、ということになりそうですが、1月号に関しては「歌会報告」に名前も出てますし「方舟」に顔写真もでています。



研ぎたての包丁の刃に吸ひ付きつつ切られてゆけり柿の果肉は/髙野岬



灯り消し眼つむりて聞くラジオ山深き地の濃霧伝へる/加茂直樹

→これはいいなあ。山に霧がかかるイメージで気持ちよく眠れそう。



校門も校舎も位置をかへたれど歩く金次郎は毫も動かず/北島邦夫
→歩いてるのに動いてないっていうのがおもしろい。古くからある学校なのだろう。



ドン・ドン・ドン・ドン・キホーテはなくなって向かいの通りにメガドンキ立つ/山口蓮
→テーマ曲から入って、なくなって、なくなったと思うとまたでてくる。なんて強いしぶといドンキホーテだろう。



缶を指二本で持てり浮く指のあわいに秋の深まりてあり/神山倶生



降る雨に降る雨の追いついてたぶん文章題のきょうだいだった/加瀬はる

→移動する速さのちがう兄弟が追いかけて追いつくような数学の問題がある。雨が雨に追いつくという、そのうえ「たぶん」もあり、輪郭が薄くなっている。
天気図で見るみたいな雨を想像したけど、もっと小さくて雨粒と雨粒なのかもしれないな。



仄暗き中ほほづゑをつくが見ゆ葉月のすゑに廃(や)めしといふカフェ/篠野京



「金銭のことで口論となり」まではうちと一緒だ ニュースは続く/垣野俊一郎



ふと箸の軽くなるときすくひたる麺にまつはる麺ははなれつ/佐藤陽介

→うどんかなにかが箸からずるっと落ちるところだろう。
さっきの柿を切る歌もだけど、すごくこまかいことが言葉にしてあらわされるの、なんでこうおもしろいんだろな。



夜の色に画面変りて鴨川の左岸に跳ね続けるコイキング/芦田美香
→ポケモンGOかな。オレやってないんだよ。やってればもっと面白かったかもしれない。ゲームの歌はなるべく拾うようにしている。
流行りものだから、ポケモンGOをやってる人を見てる歌は多い。でも中身の歌は多くない。



閉ぢてゐる幕のときどき凸、凸と学芸会の準備はじまる/清水良郎
→始まる前の閉じている幕のむこうで、なにやら準備をしていて、誰かあたって幕がふくらむ。学芸会ってことは小学生かな。「凸」の字をうまく使っている。



白き布はずせば叔父となる遺体 板橋警察内安置室/千名民時



口開けて職場に笑うこと減りぬ数字が四方よりやってきて/山内頌子

→ジセダイタンカでご一緒してから作品を読むようになった。
仕事のきびしさを詠んだ一連。



福島へゆく今日のバスの運転手常田富士男のやうな語りす/小林真代
→常田富士男は「まんが日本昔ばなし」でおなじみの人。これこそ「むがすこ」だなあ。



やりたいことやつてきましたといふひとをわたくしの友とつひに思はず/真中朋久



フルートとホルンばかりが蜒蜒とからみ合ひ鳴る午後の校舎に/岡部史

→「蜒蜒と」は「えんえんと」。虫がつくからそういうイメージになる。この二人ばっかり仲がいいのか、とか考える。





以上です。
んじゃまた。



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2018年05月04日

〈結社誌読む 125〉 一年ぶんの「塔」を2週間で読む【9/12】2017年12月号

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「塔」2017年12月号。
4/17~4/30の2週間で「塔」を12冊読めるかなっていうことでやってます。
実際に読めたのは11冊で、2018年2月号まで読みました。

ここでは12月号の感想をまとめています。



つぶやきシローが出ているから1チャンネルを見よという母こっちは4だよ/加瀬はる
→この方も塔なんですね。おかたんで塔という方が何人かいらっしゃいますね。
チャンネルがちがうということは、ちがう地域にいると考えられます。つぶやきシローさんはすこし古い芸人というイメージで、こうした場面に名前がでるのは意外性があります。つぶやきシローで家族がつながっています。
地域によっては人気ある芸人さんなのかもしれませんね。



紙芝居を生き生き読んでるわれがいる特に聞いてよ鬼用の声/真田菜摘
→吉川さんが毎月20首を選ぶ欄「百葉集」とかぶりました。
下の句がほんとに「生き生き」しています。鬼になりきっているんでしょうね。



千二百八十円はある筈の財布片手に勇ましく往く/千葉優作
→「千二百八十円はある筈」がなんともいい。そこまでこまかく金額を覚えていながら、でも完全に記憶してはいない。
この金額が心強くて「勇ましく」なっているんでしょうか。500円あるととりあえず大丈夫、1000円あれば安心というような感覚ならわかります。



トランペットの音ふはふはとただよへり二死満塁の好機逸して/千葉優作
→野球の応援のトランペットですね。攻撃がいいところまでいきながら失敗に終わった瞬間をとらえています。がっかりしたのが音にあらわれているのでしょうか。これは見事なところをとらえた。



たいおんが私にはある 脱ぎをへてシャツを木製の肩にかへしぬ/小田桐夕
→「ハンガー」が省略されています。そういう省略の効いた歌を今回は多く引いているような気がします。
「かへしぬ」は、シャツが元々ハンガーのものであるかのようです。シャツをかけるときに、自分にあってハンガーにない体温が意識されたのでしょう。「体温」をひらがなにひらいているのが珍しい。
いや、シャツがハンガーのものっていうより、シャツは自分ではないって言ったほうがいいかもしれません。シャツは自分じゃないが、体温は自分にあります。



いい感じのバッグないかと問いたればいい感じのバッグ出てくる実家/逢坂みずき
→「いい感じ」でばっちり伝わっているのがいいですね。バッグだけで、家族関係が良さそうなところまで垣間見える。打てば響く。



いい写真だけど両眼をつむってるあなたの写真 海辺の写真/安田茜
→省略って言ったばかりですが、これは「写真」が三度でてくる歌。
写真の歌でなおかつ結句で背景があらわれるのが、さっきの紗都子さんの歌と共通しています。「いい写真」と最初に言ってから「だけど」と揺らしています。
「写真」の三度のくりかえしから、「あなた」がもう写真のなかにしかいないかのような、それゆえにこの写真を大切にしているかのような印象を受けました。



きみに水を飲ませてあげたいだけだから水しか置いてない給水所/多田なの
→給水所って、マラソンのあれですかねえ。「きみ」がランナーだと読むこともできるんですが、「給水所」に自分をたとえていると読めます。きみにしてあげたいことがあり、自分にはそれしかできないと。



書き始め書き終わりとがつながらぬコンパスの軸ぶれて思春期/王生令子
→思春期の心のゆれ、いびつさが図形で表現されています。軸がしっかりしてない時期なんですね。



一分は百秒じゃないのと八歳は身体ぐねぐねさせ尋ねくる/矢澤麻子



平行に電車が走るたまゆらに吾を見ていた緑の女/関野裕之

→世にも奇妙な歌です。気になる状況に気になる視線です。「緑の女」は、着ているものが緑色だったのでしょうけど、そうであるともはっきり分からないくらいの短い間だったのでしょう。姿がはっきりしないものに見つめられています。



サーズデイ軽い感じで言ってみる木曜きみが町を出てゆく/芦田美香



金にかかはるなげきは言はず暗算をしつつしづかにしりぞかむとす/真中朋久




鈴木晴香さんの「フランスだより」の「物語の自動販売機」の話がおもしろかったな。ランダムにみじかい文学作品の書かれた紙がでてくる、無料の自動販売機。



年間回顧座談会がある。座談会って、選び抜かれた意識の高いしゃべれる人がやるようなイメージがあったけど、塔のは必ずしもそうでないのがいい。あれは無理、これはできないという慎重な意見もある。同じように慎重な人に共感されそう。

この座談会で、「歌が読めると思われる人に評を依頼している」という旨の発言があった。以前オレにまわってきたときに、いいけどなんでオレなんだろと思っていた。たまたま当たったんじゃなくて、話し合って決めてたんですね。


以上です。
んじゃまた。




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2018年05月03日

〈結社誌読む 124〉 一年ぶんの「塔」を2週間で読む【8/12】2017年11月号

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「塔」2017年11月号



「塔」をつづけざまに12冊読む企画の8冊目です。


水鳥の形を模した舟に乗り水鳥の近くまで見に行く/吉田恭大
→形を似せて近づいてはいても、お互いすこしも仲間とは思ってないんだろう、と思うとちょっとおもしろい。
「吉」は土に口。



このひとも嵐のあとの海岸に打ち上げられたかたちで眠る/吉田恭大



あそこまではまだ空ぢやない朝靄のなかに小さく船が見えるから/ 野岬



西向きに犯されながら溶けきらない排水口の泡をみている/森永理恵



一人ではクライマックスシリーズも他人事(ひとごと)みたい飯食って寝る/森永理恵

→スポーツはだれかと一緒に見ると盛り上がるっていうことはあるなあ。結句の素っ気なさよ。



指二本でひろげる君の表情が笑顔とわかる向日葵畑/高松紗都子
→直接言わなくても、スワイプして画像を見ているのがわかる。結句に向日葵畑をもってきたのがいいな。笑顔がワーッと広がる。



文字だけで会話しているこの夜のキーボードが製氷皿のよう/鈴木晴香
→吉川さんの選ぶ「百葉集」とかぶった。オレはうしろから読んでいるから、選んだ時点では百葉集は見てないんですよ。
製氷皿のたとえが新鮮だ。指先の冷たさを想像する。伸ばす音がずいぶん多い。



「生きてて良かった」呟く男性客がいた福島いわきのライブハウスに/佐藤涼子



鬼太郎のような前髪の向こうの目を見た午前零時すぎのレジで/吉岡昌俊

→怪談みたい。見てはいけないものを見てしまったようだ。「零時」も。
夜中のコンビニにはこういう店員がいそう。自分の身にもおこりそう、というのが怖さをプラスしている。



差してない人と三人すれちがい四人目が来て我はたたみぬ/相原かろ
→これも百葉集とかぶった。
傘を差してない人とすれちがうたびに「いまは傘をさすほどじゃないんじゃないか」という気持ちが強くなっていったのだろう。



歯磨きをしながらおしゃべりもできる恋人の仕組みがわからない/多田なの
→たしかに分からない。「仕組み」は恋人を機械みたいにとらえていて、ここがいい。自分とはちがうもの、自分には理解できないものを恋人に感じている。
「しながらおしゃべ/りもできる」や「恋人の仕組/みがわからない」。こういうのを一首のなかで二回やると、不安定な印象になる。



樹のつくる三角形の影のなかわが夕暮れの指定席はあり/なみの亜子



今さつきひまはりの首切りしゆゑ吸ひ上げし水ゆき止まりならむ/亀谷たま江



みづうみをめくりつつゆく漕ぐたびに水のなかより水あらはれて/梶原さい子

→ほんとに漕いでるって感じがすごくする。漕いでる気分になる。

この歌おもいだした。
冬の日の眼に満つる海あるときは一つの波に海はかくるる/佐藤佐太郎



特集は全国大会の報告。
玄侑宗久さんの話、おもしろかった。「あはれ」からの「あっぱれ」、「邪馬台国」と「ヤマト」、「卑弥呼」と「日の御子」、みたいな言葉の由来や変化の話に興味もった。
日本には逆の意味のことわざがある。「善は急げ」と「急がば回れ」みたいに。ことわざは行動規範ではなく直観を肯定するものという考え方。


以上です。んじゃまた。


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2018年05月02日

〈結社誌読む 123〉 一年ぶんの「塔」を2週間で読む【7/12】2017年10月号

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「塔」2017年10月号。

「塔」をつづけざまに12冊読む企画の7冊目です。ようやく後半かー。自分で考えたけど、なかなか無茶なことするなあ。



これはオムライスの肌と知りたればざっくりといく深々といく/神山倶生
→「肌」の一語がオムライスを人間の一部にする。「といく」の繰り返しが効果的。切り開かれたオムライスが想像できる。



弱さを夜のラジオのように聞きながら許しながら越えながら進むよ/吉岡昌俊
→弱さを語っている人がそばにいる夜なのだと想像した。夜のラジオはどのように聴かれるものだろう。オレの経験だと、寝る前のひとときのささやかな楽しみなんだけど。「ながら」が三回もでてくる。「よ」がやわらかくて、弱さとともに生きる前向きさを感じた。



死ぬのかと思う職場を出た後の透明さにて街を歩けば/田宮智美
→その前には何度も謝罪する歌がある。「死ぬのか」があまりにも過酷だ。自分が透明になったように感じているのかと読んだ。



電気屋が怖いと笑う恋人も、明るくて白くて音が鳴る/吉田恭大



Amazonに売り値比べて申し込む〈お写経セット〉をお急ぎ便で/安永明

→なにかがおかしくなっている、あちこち歪みはじめていると、感じずにいられない。
より安いほうを? 写経に「お」がつくのか? セット? 急いで買うものなのか?



弱くて狡い私は同時に触れた札を私が取ったと言ってしまえり/荒井直子
→かるたを題材にした一連。9月号の「班」の一連にも暗い魅力があった。注目している。



思い出すまで忘れてた十五歳頃まで人魚になりたかったこと/上澄眠



悪口がどこまでも流れてゆくところ日付が変わるまで見続けた/上澄眠

→インターネットだろう。ツイッターでだれか炎上して叩かれてるのか、匿名掲示板でも見ているのか。悪口をどこまでも目で見続けられるようになった。ネットの闇の部分に引き込まれている。



我が洞(うろ)が風の楽器となるまでを立ち尽くしたり なにも届かぬ/小川和恵
→弦楽器、管楽器、打楽器、と楽器を想像すると、多くが空洞をもつことに気づく。徐々に「我」がからっぽになって楽器になるのか。結句は、良さそうだが読みきれない。



大方は眠れば治る次男なりいろんな向きに前髪立ちて/山下裕美



消しゴムを長く使わず消しゴムが転がることも忘れていたり/永田紅



以上です。んじゃまた。



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