枡野浩一

2015年12月25日

枡野浩一さんの「神様がくれたインポ」を読みました

人はみな心変わりを語らずに断捨離めいたサヨナラをする - messy|メッシー https://t.co/fwtEPUuOPj

これは枡野浩一さんの連載。


エゴサーチにかかったので読んでみたら、つづきものだったので最初から一気に読んだ。枡野さんが連載をしてるのは知っていたけど、オレは実は小説が苦手で、今まで読んでいなかった。小説っぽくなくて読みやすい。

コメント欄に書かれたことに反応していくのとか、描写が電子レンジであたためたものやコーヒーのことばかりなのとか、いろいろ面白い。
印象に残ったのは、たまに自分のが立つと記念撮影すること。

小説というよりは「小説」ってカッコに入れたくなる。

「小説」にオレの名前が出てくるのは珍しいことだ。
「工藤よしお」という中年男性の主人公が女子高生とエッチする書きかけの小説ならネットで見たけど。
「赤い糸の伝説」 http://mbbook.jp/akaiitondensetu/?in=ok


小説のタイトル書いてなかった。「神様がくれたインポ」、略して「神ンポ」。
なんとなく、オレは神様からそれをもらいたくないから読まなかったんだよね。小説だし。でも読んでよかったしこれからもチェックします。


切り売りというよりむしろ人生のまるごと売りをしているつもり |枡野浩一 https://t.co/DYm7tGmcjZ #tanka @utayomin https://t.co/qReIVs5vOG



枡野さんの、「人生のまるごと売り」にあらためて驚いた「小説」。そこまで書いちゃうのって思う。結婚離婚の話にしても、性の話にしても。
ある歌人の離婚歴の話は初めて聞いたかもしれない。秘密でないとしても、ご本人が自発的には言わないことだ。


これが小説ということは小説ってなんだろうとか、少数派で生きる大変さを思ったりしました。



んじゃまた。


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2014年07月26日

~歌書読む 30~ 枡野浩一『かんたん短歌の作り方』(文庫版)  ~本をハタッと閉じた気がする、ほか

枡野浩一『かんたん短歌の作り方』の文庫版を読んでの感想を、作品集を中心に書いていきます。

オレはこれの単行本を読んでブログ記事にした。それが2011年11月のことだった。 http://t.co/mvM8s8SIdp
だから、14年ぶりというブランクをオレは経験していなくて、二年ちょいぶりに読んだ。

五通りの言い方を考えるというのは、短歌を作るときにはいつも思い出している。一方、リズムを外すとダサいっていうのはあんまり守れていないなあ。などなどと、あれはできる、これはできない、と振り返りながら読んだ。

今回読んでいて気がついたのは34ページの注に「意味がわからない場合は、辞書をひいてみてください。」とあったこと。注に意味が書いてある本も多いが、この本には辞書をひくように書いてある。ほかの部分、たとえば243ページにも辞書のことが書いてある。辞書のことは書くけど、そこにどう書いてあるかは書かない。自分で調べるのが大事ということかな。


『とにかく短歌をつくりつづけていけば、そのうち自分の表現パターンに飽きてきて苦しむことになるはずです。そこで行き詰まったら、そこまでの才能です。』56ページ。


『本来なら「表現技術はあって当然。それ以上のものが歌から伝わってくるか」というのを見なくてはならないのでしょう。難しい。でも、難しいからこそ面白いのです。』88ページ。



作品集が面白かった。二年ちょいぶりに読んだと書いたけど、その二年ちょいでオレの短歌の読み方が変わったんだと思う。面白く感じた歌が違う。こんな歌あったのかという発見があった。

西尾綾さんとか梅本直志さんはとんと見なくなっちゃったなあ。活動もそうだけど、誰かが歌を引用してツイートしてるのもここ二年見たことがない。今回読んで、とても良かった。


欄干の青い空き缶 この街が海に沈めば流れてゆける/西尾綾
→街まるごと全てが犠牲になってはじめて得られる一本の空き缶の自由。
青は欄干の赤と対照的で、ビジュアル的にはあざやか。いつかこの街を沈めるかもしれない海の色だ。


きょうが最低できのうが最悪であした前進するしかない/梅本直志


ローソンでならべられてるものだけで作った原爆あんたにあげる/梅本直志

→オレの家のすぐ近くにローソンがある。
簡単に手に入るようなものだけで恐ろしい武器が作れてしまうようなことが、ないとも限らない。それが身近な人物から「あんたにあげる」と手渡されるようなことも。
なんでも便利に入手できるとはそういうことなんだなあ。


好きでもない人を傷つけてしまった スキップで近づいてごめんね/佐藤真由美
→スキップって、うれしい時にすることが多い。幸せをついつい表に出してしまったせいで、思いもよらない誰かが傷つく。触らなくても話さなくても、傷つけてしまうことがある。
好きでもないから簡単に謝れるけど、そんなに傷つきやすい人のことは、いつまでも好きにはなれなそう。


降らせてるみたいな雨に濡れながらどこか行きたくないところまで/佐藤真由美
→落ちたくなさそうに、やる気なさそうに降ってる雨なんだろうね。それは行きたくないところまで行こうとしているからそう見えるのかもしれない。
「どこか」がオレは気になっていて、これは仕事や学校や会いたくない人のところに行こうとしているんではないね。どこかってどこだろう。雨宿り?
雨もそうなんだろうね。落ちたくない「どこか」に落ちている。



脇川飛鳥が今回むちゃくちゃ面白かった。何度も読み返しちゃった。

自分のことを言われてるような気がしてつい本をハタッと閉じた気がする/脇川飛鳥
→本を読んでいたら自分のことらしい話が聞こえてきた。たぶん悪いことじゃないかな。それで本を閉じた。
「ハタッ」は本が閉じる音でもあり、「はたと気がつく」という言い回しからとられたようでもある。

でもこれ、最後に「気がする」って言ってるの。なんだよ「気がする」って。「ハタッ」はすごくはっきりした動作で、本の中の世界から外の世界に移ったはずなのに、それがなぜか確かなことではない。

連作のタイトルが「気がする私」で、この「気がする」はきっと大事なやつだという、気がする。
どこまでが気のせいなのかわからないのが面白い。すべて気のせいかもしれない。噂も本も。
時間がたつと記憶が混線してくるものだ。本をハタッと閉じたには閉じたが、それがこの時だったか定かではないと。


そんなことやんなくっても成り立つことをやっとこの秋信じれている/脇川飛鳥
→今回読んでて、指示代名詞が多いと思った。この歌では「そんな」「この」がそれにあたる。なんのことかをハッキリさせる気がない。わかってるのは本人だけ。完全に置き去りにされる。
「この秋」は今年の秋だろうとわかるが、「そんなこと」がわからないので、何が成り立つのかもわからない。「やっと」というから、本人的には紆余曲折あったんだろう。
具体的なのが「秋」という季節だけで、しかしこれだけではわかんないし、ただ漠然と秋がある。

「やんなくっても」「信じれて」といった、くだけにくだけた言葉が気持ちいい。口調で読ませる。「成り立つ」みたいな硬めの言葉がときどきはさまるから余計くだけたところが際立つ。
話し言葉を文字にするから変わった感じになるけれども、それがオレには新鮮だった。

日常の言葉の断片だなあと思う。なんのことを言ってるのかわからないしゃべり方の人って、いる。そういう人なりの率直な心情なのだろう。この言いまわしじゃないと借り物の言葉になってしまうんだろうね。「正しい」「美しい」「標準的な」 日本語でみんなが生きてるわけじゃないからね。「ら抜き言葉はよくない」としたときに失われるものだってある。
生きているなかでそういう言葉になって、そこに忠実なのであって、意外に真顔の歌ばかりなんじゃないか。


その例外がたまったのが好きとかいう感覚になりえるから困った/脇川飛鳥


歩いても気持ちだけいつも道端にうずくまりそうになるから走った/柳澤真実


好きすぎて割れてしまった風船のしぼんだ残骸ひろげて見ている/柳澤真実

→手で広げても、膨らんだ状態そのものには及ばないから余計に喪失感がありそう。


ぴくるすはさびしくないか スパイスは自分に満足してるだろうか/佐藤真由美
→作品集二○一四のなかで丸つけたのはこの一首だった。

さびしさとか満足とか、人間らしい感情だ。だから、そういう役回りの人間(いつも厳しい人とか)のことを言っているように読める。



最後に教祖の歌を二首やって終わる。

「このネコをさがして」という貼り紙がノッポの俺の腰の高さに/枡野浩一
→つまり低い位置に貼られていた。ノッポの人の腰なら、子供の目の高さくらいか。「さがして」がひらがなになっているのも、子供の作った貼り紙なんだと思わせる。
貼り紙を作ったのも子供で、貼り付けたのも子供。大人に相談しなかったのかなあ。何らかの事情で。

大人に相談できないような子供(と決まったわけでもないが)が、ネコを失った。さびしいなあ。この子なりに精一杯のSOSを発している。
なんだかネコの見つかる可能性が低そうでかなしくなる。よく見えるところに貼らないと……。


書くことは呼吸だだからいつだってただただ呼吸困難だった/枡野浩一
→読んでいてそれこそ呼吸困難みたいに息苦しくなる。「た」「だ」が多いのがそうさせているらしい。

たとえば
「あなた方は浅はかな馬鹿な方々だ」赤坂まさか傘がバラバラ/松木秀
というA音の連続する短歌があるが、これもとても読むのがきつい。

音を操作するときって気持ちのよい方向に行きがちなんだけれども、そうでない方向もあるんだな。



ということでこの本を終わろうと思うんだけど、最後に、この本で一番好きなグミさんのイラストは、教祖がプリンをつついているイラストですと言っておきます。


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2012年10月09日

枡野浩一「日本ゴロン」内容と感想

枡野さんの「日本ゴロン」買った。ジュンク堂書店1500円



日常使われる言葉への違和感や提言、短歌についてのあれこれ、書評などコラムがたっぷり250ページ。猫の写真集つき。2002年。




「カキコ」という言葉に関する違和感が書かれている。古いネットスラングだな。この頃はまだ「ワロスwww」とかなかったのかな。
説得力ある異論を読みたいから56ページのURLを打ち込んでみたがダメだった。インターネットは彗星のように過ぎ去る。




「四月の魚」って四月馬鹿の別名なの?! 知らなかった。正岡さんが初めて使った詩的な言葉だと思っていた。





2001年に「かんたん短歌コンテスト」なんてあったのか。入選作品は知らない人の知らない短歌ばかりだ。宇都宮さんは知ってる。

青空と同サイズの紙飛行機は飛ばせないから笑い飛ばして/宇都宮敦



ちょっとだけうそつかないとそのままじゃ私がやさしくないのがばれる/脇川飛鳥

すごくいいです。共感。




図書券2万円もらえるってすごくいいコンテストだと思う。




好きなものについては言葉少なに「好きだ」と言うだけで原稿は成立するが、嫌いなものについては自分の全人格を賭け、あらゆる言葉を尽くして「嫌いだ」と言わなければ面白い原稿にはならないと、常々考えている。
枡野浩一「日本ゴロン」漫画のけなし方






枡野さんが言葉を尽くして「とっとこハム太郎」を嫌いだと言っている。オレは大好きなんだけどなあ。感動して泣いたことあるもんね。
その嫌う理由っていうのが、ハムスターの名前が見た目そのまんまだから、みんな「くん」「ちゃん」づけだからだという。

確かにトラハムくんとトラハムちゃんは馴染めなかったなあ。トラハムくんが兄でトラハムちゃんは妹なんだよね。兄はチャラい性格で、区別のためかマラカスを持っている。

ハム太郎で、飼い主のロコちゃんっていう女の子が出てくるんだけど、本名はひろこだ。一文字削って「ロコちゃん」で、なぜかこの名前はひねってある。

アンパンマンの名前のストレートさもたいしたものだが、ジャムおじさんやバタコさんなんかを見ると、こだわってる感じがする。ハム太郎はこだわってないよね。その場の思いつきみたいな命名だ。





相田みつをについて詳しく書いてある。相田みつをって偉いんだな。馬鹿にする対象として間接的にしか知らなかった。なんかダメだと「○○だもの」って言い訳する、っていうイメージ、イメージだけ。「みつを」という語に「ヘナチョコ」みたいなレッテルが、かなりきつくへばりついてる。まるで読んだことないのに。






道端にツバ吐くような射精して「ごちそうさま」のある筈もなし/川上史津子『恋する肉体(karada)』





金子兜太の名前って「とうた」って読むのか。いつか調べるつもりで後回しになっていた。





「日本ゴロン」読み終わった。
引用されている短歌が面白いから、手紙魔まみを買う気になった。




 



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2012年03月21日

[歌集読む4] 枡野浩一/杉田協士『歌 ロングロングショートソングロング』日記をからめて

枡野浩一/杉田協士「歌 ロングロングショートソングロング」




はじめに

1680円。何ページあるんだろう。ページ数は書いてない。

枡野浩一さんの短歌と、杉田協士さんの写真による本。歌集であると同時に写真集でもある。
帯には
さよならをあなたの声で聞きたくてあなたと出会う必要がある
という短歌がある。

本屋の写真集のコーナーにあったというツイートも見たが、オレが見つけたのは丸善の短歌のコーナーだった。新刊のコーナーにはなかった。


どんと積まれてる感じではなく、ひっそりと並んでいた。発売日なのに、背表紙を向けて他の本と同じように片隅に並んでいた。それも一冊だけ。サイズが他の本と違うから飛び出していた。
俵万智さんの震災短歌の本は表紙を見せて堂々と置かれてるのに。不遇だ。世の中間違っとるよ。

そのただ一冊の「歌」を買った。10時11分くらい。開店直後だ。オレが最初の客かというくらいレジまわりは空いてた。

デートのついでで買った。いや、デートの方がついでか。いやどっちも大事です。(おろおろ)



彼女がわかってくれない編


彼女と雑貨屋に並びながら二人で見た。
オレは彼女に枡野さんや短歌の話をすることがあるけど、何回言っても俳句と川柳と短歌を区別できるようになってくれないし、短歌の良さも通じないようだ。

初めて枡野さんの話をした時、「その人はどんな短歌つくるの? きかせて」と言うからオレが一番好きな
「気づくとは傷つくことだ 刺青のごとく言葉を胸に刻んで」
を彼女(英文科卒)に教えたが、全然わからないようだった。
何回もゆっくり言ったけどダメで、結局説明してしまった。
「気づくっていう言葉と傷つくっていう言葉は響きが似てるでしょ? そんで何かに気づくってことで傷つくこともあるわけで、それがイレズミみたいに刻みこまれたのよ、胸に。イレズミってあれだよヤクザの」
「くどうくんは難しいの読んでるんだねすごいね」
がっくし。

この歌は「歌」には入ってない。ただエピソードを紹介したかっただけです。



雑貨屋の開店を待ちながら二人で「歌」を見たり見なかったりした。

「歌」の最初にはこんな短歌が入っている。
さようなら さよなら さらば そうならば そうしなければならないならば
面白い響きとせつない意味が合わさって見事だ。
あんまり面白いから思わず朗読したが、彼女はちんぷんかんぷんだった。わからない人にはわからないんだなあ。

同じく「我々とあなたが言った~」もちんぷんかんぷんだった。


そんな彼女に捧げるのにピッタリな短歌がこの本には収録されている。

川柳と俳句と短歌の区別などつかない人がモテる人です
これを見せたらウケてた。モテると言われて喜んでるわけだ。

でもその次と、さらにその次の短歌は見せなかった。怒られそうだったから。


彼女はリラックマが好きだから、リラックマの写ったページを見せたら喜んでた。でもその上の短歌見たらギョッとしていた。


彼女関連はこれで終わりにする。この人は短歌に選ばれた人ではないんだろう。それでも「わたしへの気持ちを短歌にして」と言うからオレはベタベタな恋の短歌を作って奉仕している。




内容と感想

こっからはいつも通りにやります。ここぞという時以外は短歌全文は書きません。




消しゴムでこすったせいで~
オレの好きな短歌。
やったこと、あったことを消そうとしても消せるものではない、という内容の短歌がいくつかある。消しても消えない上、消したという行為が重なっていく。やったことはやったこととして引き受けていかなければいけない。





本のタイトルが書かれたページに、まぶしい光の中の道路の写真がある。標識はまだいいが、右上の「ザ・リーヴ リーヴライフ21」はひどく景観を損ねる。しかも検索を促している。何の会社か宣伝かわからないのに検索するかよ。

きれいな写真を撮ろうとすると、こういうのが無い場所を撮りたくなりそうだが、この本の杉田さんの写真はこれら広告や看板から目を背けない。
このような看板に取り囲まれた街でみんな生きてるわけだ。
清濁合わせ飲む、みたいな写真が目立つ。




かなしみにひたるのはまだ~
の写真なんか、隅に指が入っちゃってる。
くつろいでる人々はバラバラで、狙ってる感がない。自然でありのままな今・ここを撮ってる印象。
この前「もう頬づえをついてもいいですか?」で八二一さんの写真を見たけど、一番違うのは人を撮るか撮らないか、だ。



家を出て稼いだことのない人は~
の写真の少年がオレの弟に似ている。服もこんなのを着てる。アゴのあたりが違うしサッカーしないけど、あとはそっくりだ。なんでお前がここに写ってんだ、と一瞬思った。

その次のページでは、おしゃれなポーズなのに膝を擦りむいてる足を前に出しちゃってる女の子より、右の人がカラーコーンを持って歩いてるみたいに見えるのが面白い。


宛先も差出人もわかる言葉で
ビニール袋に書かれた文字が印象的だ。果物や飲み物をテーブルに配置するセザンヌの静物画みたい。




~えらいのかしら
何かの打ち合わせだろうか。みんな集中している。いすとテーブルがないからこうなるんだな。




~愛したこともない者だろう
そういえばジュリエットの短歌もあったなあ。

このおじいさんの背中が孤独だ。オレの父もこういうハゲ方だ。父は浮気で家を捨て、別れてから失業し生活に困りウチの近所に住んでる。オレや妹は父に軽蔑の気持ちがあるし、もう話す気も会う気もない。父は孤独なのか、今でも憎んだり愛したりするのか、考えてもわからないし深くは考えない。





忘れてた自分の歌を遠くからそっと歌って教えてくれた
オレは自分がすっかり忘れてる短歌を突然ツイートされてびっくりしたことがある。タイムラインに自分の名前が流れてくるのに慣れない。でも悪くはないものだ。


オレは枡野浩一さんのツイートを全て読んだ。ツイログは便利だ。その中で見た短歌をツイートしたら枡野さんが忘れてた歌だった、ってことがあった。
2万ツイート読むのって大変なんだな。2ヶ月くらいかかった。
全部読んで一番驚いたのは、「くじけな」の全ての文章がツイートでできてるのを知ったことだ。
詩がTwitterからなのはわかるが、途中の文章や著者プロフィール、おすすめの書籍紹介に至るまでツイートから取られていたなんてびっくり。すごい徹底度だ。


文字が薄くなっていかなくて良かった。
メールの文字が薄くなっていくサービスがあったな。今あるのかは知らない。




ものすごいGがかかると聞いている どこでもドアをくぐる瞬間
伝聞になってるけど、ほんとに伝聞かな

原作にもアニメにもドラえもんやのび太にGがかかってる描写はないが、それは問題じゃない。
どんな重力がかかるのか想像することで、ほんとうはないはずのどこでもドアを疑似体験できる。



ファンである君にがっかりしましたとプロは言わないようにしている

ファンに言われてもプロは言い返さない、という不文律はネットが出てきて覆りつつある。
オレは中島みゆきのファン始めて長いけど、一言だって反応が返ってくるとは考えない。でももうそういう有名人ばっかりじゃない。

がっかりされてもオレはついてく。


ついこの間松尾スズキ監督の「恋の門」を見た。その中にサガラという女が出てくる。同人誌の作者に「あんたの信者やめるや!」「萎え~萎え~!」などと上から目線で思いっきり罵倒する。
ウザいファンを具現化した人物なのだろう。あまりに強烈だった。知らない間に自分がこうなっていはしなかったか? とドキッとした。
だが名前も顔も出して作者の目の前であれだけ言えたらたいしたもんだ。ネットだけならよくいるよな。特にお笑いを論じる人はどういう立場でしゃべってるんだと思う。はてなの人に限らず。





私など生きていたって世界には利益もないし弊害もない
こういうことを言ったら、利益になってると否定してくれる人もいるだろう。利益になるために頑張れと言う人もいるだろう。

利益も弊害もない、それは生を否定することにはならない。プラスとかマイナスのために生きているわけじゃない。




短歌の後には枡野さんと杉田さんの文章がある。

杉田さんの文章を読んでると撮影風景が浮かび上がってくるようだ。一番印象に残るのは「枡野さんが演じてくれたその役は、駅のホームに荷物も持たずに佇む男でした」というところ。荷物のおかげで見送れる通過電車もある。荷物なしで駅のホームにいる、というのが妙に胸にせまってきた。

そんな場面のある映画「ひとつの歌」は夏に公開されるそうだ。







枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」
「かんたん短歌の作り方」
「すれちがうとき聴いた歌」
もう頬づえをついてもいいですか? 映画と短歌とAtoZ
57577 Go city,go city,city!
枡野浩一 河井克夫「金紙&銀紙の似ているだけじゃダメかしら?」
くじけな
淋しいのはお前だけじゃな
あるきかたがただしくない
ぼくは運動おんち



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2012年03月17日

[歌書読む6] 枡野浩一『もう頬づえをついてもいいですか? 映画と短歌とAtoZ』

枡野浩一「もう頬づえをついてもいいですか? 映画と短歌とAtoZ」




▼はじめに

購入に迷ってる人が情報を探しに来て読んでいると仮定して書くと、この本は短歌と映画に関する文章と写真で構成されている。

実業之日本社文庫って初めて買った。社名もあまり馴染みがない。

280ページくらいで650円。枡野さんの本にしては厚い印象。割安に感じたけど、その考え方は逆の考えも生み出しうる。
割安に感じたなら喜んで買い、割高に感じたら値段相当の喜びを得るべく集中して繰り返し読むまでだ。



この本の魅力はいくつかある。
1.短歌
2.文章
3.八二一さんの写真
4.渋谷展子さんのシネマ文字

短歌と文章はあとで触れるとして、先に写真と文字について書く。




写真の魅力

この本は割と厚いと書いたけど、真っ白なページや真っ黒なページが多いし写真も多い。サクサク進めるし、立ち止まってゆっくりしていくのもいい。

オレは写真については詳しくもないし特別に愛好してるわけでもない。
ここにある写真は特別なものを撮ったものではなさそうだ。風景が多い。自然もあれば建物もある。猫もいる。人はほとんどいない。日常的な被写体だが、写真にインパクトある。


これらを見ながら、写真って面白いなあー! って考えてた。
写真ってニュアンスがあるんだね。四角い建物があるとして、それをどう写すかで悲しく見えたり、味があって見えたり、無機質だったり、威圧的だったり、美しかったりするわけだ。
その違いは角度であったり距離であったり光の加減だったりブレだったりするんだろう。

比較的多いのは、打ち捨てられた人工物だろう。造られて放置された人工物に、哀愁みたいなものをカメラはとらえる。
何もかも古くて懐かしいように見える。

一方で自然は大写しにされる。花に迫力が宿り、木は精密な葉をつけている。これが生命力か。

写真はありのままを写しているようで、しかし人間の目が見ているものと違う「モノの表情」が写る。そこが面白い。





シネマ文字

短歌がシネマ文字で書かれているのもこの本の魅力だ。

洋画の昔ながらの字幕を見るように短歌を読むのも面白い。
まるで短歌が映画の名ゼリフのようだ。

この本の短歌は例外はあるが、愛をテーマにしている。

映画を意識した「――」という記号が使われている。セリフの途中で間をおくような、特別なニュアンスがこめられる。
「、」とも「……」とも違う独特な間がうまれる。




映画では内容を把握するのに夢中でシネマ文字そのものをじっくりとは見なかったが、このように本に印刷されるとじっくりと見ることができる。
見るほどに面白い文字だ。
丸くは囲まれるが四角く囲まれることはない。そういう仕組みになっている。ちょこっと検索してみたが、「シネマ文字」で検索したら八二一さんのサイトが一番上にヒットした。

オレは通信講座でボールペン字を習っている。楷書というのは普段目にする活字とは微妙に異なり、面白い。文字にはいろいろあるものだ。

それに最近オレはTwitterで #手描き短歌 というのに参加している。短歌をペンで書いて画像をアップするタグだ。文字に人柄が出たり、相乗効果で短歌作品にさらなる味わいが出たりして面白いタグになっている。
字体により短歌の印象が変わるのは面白い。






短歌と文章

ここでようやく短歌と文章になる。以前のオレならばひとつひとつ細かく書きそうだが、今回は読んでて特に書きたくなった数点に絞って書く。
アルファベットごとに短歌と文章がある。扱われる映画のタイトルがアルファベットに関係し、なんと短歌の頭文字もアルファベットに関係している。凝ってる。

オレは映画はあまり見ないけど、これらの文章は楽しく読めた。
「映画の本だからなあ……映画見ないから買ってもしょうがないかなあ……」と購入をためらってる人は、そこは心配しなくていいです。


ここから感想。




C

茶を愛(め)でて生きてるような――透明っぽい名前を名のる人が嫌いだ

これは枡野さんが時々言ってる、「月」という字を名前に使うなら室井佑月くらいでないと、という話なんだろう。

オレもそのテの名前の人が苦手だからよくわかる。
「流」「水」「氷」「聖」「雫」
もっとあるかな。漢字とは限らないか。

その類の名前が「透明っぽい」という発見に膝をポンと叩きたくなるし、「茶を愛でて生きてる」、っていう表現の選択がいいじゃないですか。茶なんかグイグイ飲めばいいのに、愛でてる。それで生きてる。





E

「土にかえりたいって、自然な願望だと思う」っていう話。
どうなんだろ。考えたことないや。年とると考えるようになるんだろか。

弟がまだ小さい時に「人はなにからできてる?」ときいたら「土」と答えたのを思い出す。

人は何からできてるんだろ。海からきたって話もきくけど。

すごく家庭が不安定で失恋も重なって悩んでた頃、オレはカウンセラーに「お母さんのおなかにかえりたい」って言ったことある。弱ってるなあ。参ってるなあ。お母さんにかえれないなら、どこへかえるんだろう。地面かなあ。土に触らないし(手が汚れるからイヤ)、土に愛着ないんだよなあ。




F

松尾スズキさんのギリギリデイズ、オレも読んだ。つい最近読んだ。感想は書かなかったけど、面白かった。松尾さんはエネルギッシュですごい。酒の勢いで適当に書いてるようだけど、どこ読んでも(よくわからないなりに)面白い。松尾さんの本に枡野さんが出てくることがあるから、そっちもチェックしなきゃな。「ニャ夢ウェイ」も読みました。


腕力が欲しいと書いてある。おやじの胸を小突くための腕力なのかなと思うとかわいい。息子を抱える腕力とも読める。





J

ジュリエット、はんぱな愛の夢をみて――片方の目がさめないみたい

ロミオとジュリエットのストーリーを考えて読んだら面白く感じた。
ジュリエットはロミオのために仮死状態になったんだよね確か。はんぱな愛の夢はきっと他の男の夢なんだろうね。目覚めればロミオがいるのに、半分は覚めたくないわけだ。

この読みでいいのかしら。関係ないところに面白がってたら恥ずかしい。短歌は作るときも読むときもそういう誤解と隣り合わせだ。





O

「オー・ブラザー!」っていう映画が紹介されてるけど面白そう。
予言はほとんど抽象的だ。唯一具体的なのが小屋の上にいる乳牛を見ることだ。そこはどうでもいいだろ……。予言というより激励みたいだ。「いい人生を過ごした」と感じられるなんて、すごく幸福な映画体験な気がする。タイトル覚えとこ。



Z
ザジという映画の紹介。「おすすめできない」「この映画を好きな自分はちょっと駄目」というのは逆に見たい気分にさせる。
この短い文章でもザジの輪郭は浮かぶ。カリスマ性はあるのに何か足りないんだろうな。いや、なんだこの感じは……。これも覚えとこ。





おわりに

オレは映画を見る習慣がない。TSUTAYAのカードも持ってないし作る気力もない。遠いんだもん。

たまにブックオフでホラー映画のDVD買ったりする。見たことないのを2000円とかで。変わってるかもなあ。

この本にある映画は金曜ロードショーとかテレビでやらなそうなやつばかりだ。やりそうなのは「ジュラシックパーク」くらいか。でもこの書かれ方だと見たくないわ。

話が収集つかなくなった。

ともかく、いろんな映画の話(離婚と子供に会えない話つき)、短歌、写真、それぞれ良い本でありました。




枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」 「かんたん短歌の作り方」
「すれちがうとき聴いた歌」



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2012年01月24日

[歌集読む3] 枡野浩一『57577 Go city,go city,city!』

枡野浩一「57577 Go city,go city,city!」




紀伊國屋書店で購入。820円。









タイトルがうまいこと言っている。中学生の頃に国語の授業で

「fool I care, car was to become means note.」松尾芭蕉

というのを教わったのを思い出した。


行け町へ、行け町へ町へ。みたいな意味か。そして実際に内容も都会的だ。
「町」「街」より「都市」か。「CITY」は響きがかっこいい。未来っぽい。




目次はなく、4コマ漫画と組み合わされた短歌が最後まで続いている。歌集……ってことでいいのかな。

漫画をつけてるメンバーは多彩だが、絵のないものが多いのがさびしい。絵が浮かんできそうな短歌もあれば、空白が意味を補っているかのような短歌もある。短歌だけでも元々成立している。






たくさん引用しそうだから、短歌は上の句だけ抜き出すことにする。

Twitterなどで読んだものが多いが、知らないのもけっこうある。





階段にすわって朝を待ちながらゆうべの夢をうちあけ合った
最初だから全文。


最初はこんな短歌で始まる。叙情がある。




「あさがおは夏の花っていうよりか

初めて絵が出てくるわけだが、起承転結のある、いわゆる「4コマ漫画」からは遠い。2コマ目で朝顔が咲いたのに次のコマでまた閉じている。
パジャマを着て寝てるようだが、寝床に鉢なんか置くかなあ。この人の顔から何かを読みとることはできない。

コマの外には小学生らしきものがいる。この寝てる人にとって、朝顔は自分の花ではなく彼らのものなのだ。だから関心がなさげなんだろう。


あさがおをバカにしてるみたいだが、言ってる言葉遣いの方がバカっぽい。「」で囲むことによって、作者の言葉ではない感じになる。





好きだった雨、雨だったあのころの
だんだんと草に埋もれてゆくようだ。遠くなってゆく。雨も、あのころも、君も、なにもかも遠くなってゆくみたいだ。

何度も読みたくなる作品。最後の「君」から最初の「好き」につながりそうに見えて、そんなに単純じゃない。

記憶というのは真っ直ぐ順序だてて思い出されるものではない。途切れていて、重なっていて、あちこちへ飛ぶ。
そんな回想のありようを感じた。





耐性ができてしまってもう君を

「裏返しても」がいい。

風俗の用語で、同じ女性に2度サービスを受けるのを「裏返す」という。「このあいだ写真指名したコを裏返して(指名して)みるか」みたいにいう。
でもそれではないんでしょう。


君のいつも通りじゃない部分を知っても、という意味だろうけど、つい風俗っぽく読んだ。




強姦をする側にいて立っている
絵にびっくり。ギャップがすごい。強姦とは男性の凶暴なさまを想像するが、ここでは全く逆だ。





それならばイブにはダウンジャケットと

オレの周りはクリスチャンが多い。しかしオレにはそのケがない。


クリスチャンはイブ以外でも祈るものだ。鳥を殺したり食べるのが禁忌かというと、宗派によるが、禁じてる人は知らない。
宗教はなくても、儀式だけが残っている。「それならば」の「それ」とは形式ばった嘘っぽいものだろう。で、この祈りは何を祈ってるというのか、あやしいものだ。





それを見る僕のたましいの形は
「それ」と「たましい」が出てくる。

ここにも宗教のない現代を見る。

信仰心などなくても何か見えないものに訴えかけずにいられないことはある。それは祈りなのか。
「どうせ」とある。
その一方で、祈ろうなんて思えないわけだ。





百人の男がいれば二百個の

有名な歌のもじりだ。
オレはあの歌に違和感があった。メロディーからすると童謡みたいなのに、内容が下品だからだ。タヌキだったらいいのか? と思う。
だからタヌキを人間にして数を増やしてしまうのはわかる気がする。





少女らにウケるバンドのライブでは

リリー・フランキーさんの絵だ。「おでんくん」なら知ってる。

少女らがことごとくブサイクだ。「ついてー!」「イクー!」なんて言ってるの? マジで? オ、オレは信じないぞっ。





話し手をまぬけに見せる手法①
オレは「オレ」をカタカナで書いてる。まぬけかしら。
「俺」だと竜とか庵みたいでかっこよすぎる。「おれ」は意味ありげにみえる。





「ライターになる方法をおしえて」と
絵がいい。この女の帽子はいかにも頭の中がお花畑というか、勘違いしてる感じだ。

口のアップが卑しさをうまく描写してる。






カッコして笑いと書いてマルを打つ

オレは町野変丸さん大好きだ。ゆみこちゃんかわいくて大好き。そして奇想天外なんだよな。
ここでも、いきなりの急展開を見せている。



(笑)つけてても全然面白くないものっていっぱいある。多すぎるよな。






なおせとは言わないまでもその顔は

歌が顔に似合ってないんじゃなくて、顔が歌に似合ってない、と言ってる。顔をなおせと言われたら困る。

こういうのって、美しい歌に対して顔が美しくないパターンだよね。逆のパターンもあるのかな。




差別とは言わないまでもドラマでは
名前が決まってるのって、差別に近いんだなと思った。少なくとも、理解がないしする気もないということの表れだよな。




人名シリーズはよく知らない人が多い。有名人というのは、見るメディアや年代がちょっと違うだけで知名度が大きく変わるものだ。





叶っても叶わなくても消えていく
格言みたいな、心に留めておきたい一首。夢がないけど、でも実際こうだよな。わかっててもまた夢見る。


辛酸なめ子さんの絵が強烈だ。ゴキブリでかい。




つり革の輪がでかければ首つりの

同じこと考えたことある。
この一首が光るポイントは「夕焼け小焼け」だと思う。

つり革は大人が使うものだ。この絵でもわかるように子供では届かない。
おそらくは夕方、帰りの電車でつり革で死のうと思う大人が夕焼けを見て歌を思い出す。そして童心にかえる。そんな物語が浮かんでくる。この絵はそれをありありと伝えてくれる。




無駄だからやらないんだね 無駄のない

無駄だとか無駄じゃないとか、そう考える判断能力ってあてにならないよなあ。




どちらかといえばくだりの坂だった

絵がいい。レモンのセリフが「おわわ」なのもいいし、オチに気付きがあるし、相手がどうやら人間じゃないのもいい。素晴らしい。





タバスコを振りかけすぎて咳きこんで

関係ないことで風邪ひくことってあるよね。オレだけじゃなくてよかった。

オレは、鼻毛を抜いてくしゃみしてたら風邪ひいた。





満月をつい何べんも確かめる
センスある絵だなあ。
この短歌に絵をつけろと言われたら、満月描いちゃうよね? ところが描いてないんですよ。




こんじきの髪なびかせて「ぐれるにも
オレの短歌「『シャツのボタン片手で外すとかっこいい』ゴリラみたいなタカシが言った」はこれが意識下にあったんだと気付いた。

「金色」と書いて「きんいろ」と読まれたくなかったんだな。「こんじき」の表記だと色をイメージさせる力が弱くなってないかしら。ルビは嫌いだそうだし、悩ましい。




街じゅうが朝なのだった 店を出て

朝早い街のイメージ。きっと通勤通学の人々が増えて騒がしくなってきたんだろうな。
最初の短歌とつながっている。




枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」
「かんたん短歌の作り方」
「すれちがうとき聴いた歌」



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2011年11月15日

枡野浩一 河井克夫「金紙&銀紙の似ているだけじゃダメかしら?」内容と感想

枡野浩一 河井克夫「金紙&銀紙の似ているだけじゃダメかしら?」




はじめに
金紙こと歌人の枡野浩一さんと銀紙こと漫画家の河井克夫さんの対談が中心となっている本。




内容と感想

前半は「金銀パールプレゼント!」という9回の対談。二人がオネエ言葉でしゃべっている。世間話とか近況が中心。
最初はちょっと気持ち悪いんだけど、これが気持ちよくなってくる。3回あたりになったら慣れてきた。
最後にキメ台詞があるのはいい。きちんと終わった感じがする。



当時は人気があった鉄拳への嫉妬がすごい。「いつもここから」とか一青窈も激しく攻撃している。
今見るとこれらの人達は、消えてはいないまでも「過去の人」って感じがする。枡野さんは過去にはなっていないんだし、今の視点で見ると怒ってるのがおかしく見える。ともあれ、こういう嫉妬や怒りが何かのエネルギーになってるのかな。怒ってないふり、うらやましくないふりをする「酸っぱいぶどう」のキツネみたいな人(オレとか)と比べたらずっと正直に見える。彼らのファンを敵に回すのが怖いとか思わないのか、それを上回る情念があるのか。
オネエ言葉って毒舌に向いてるように思う。

金紙は裁判やら会えない子供の話を繰り返してる。恒例になってきている。このしつこい感じは悪くない。「ああ、またやってるな」って思う。





後半の12時間対談は普通にしゃべってる。
河井さんは枡野さんをよく見て分析している。

はみ出してる手書きのコメントがいい味出してる。


印象に残ったところを抜粋する。

94ページにジューズハープについて書いてある。モンゴルの民族音楽のことが書いてあるが、オレは「中世・ルネサンスの楽器」というクラシックのCDで聴いた。歴史ある楽器のようだ。まだ実物を見たことがない。






100ページ
たまたま、駄目になったり、うまくいったりするのが世界だよね。という言葉が目立つ囲み方されてる。





104ページ、新沼健治の奥さんの話が出てくる。バドミントン選手で、美人ではないとある。
オレの父はその昔新沼健治の奥さんとバドミントンをしたことがあるのをおおいに自慢していた。誰だよそれと思っていたが、この本により美人じゃないプロ選手だとわかった。





109ページ
「他人への想像力のなさ」が、物書きには必要なんじゃないか
とある。なるほどね。
オレは変にバランス取ろうとしてお茶を濁したりすることがある。怒られたらいやだから逃げ道作って書いてしまう。怒られずにちやほやだけされたい。そういうところがあるから向上しないんだろうな。






111ページ。ネットでバトンが流行るのはインタビューされたいからだ、とある。
そうなんだ。さっぱり理解できなかった。面倒なだけじゃんと思ってた。





134ページ。河井さん「書いたものを印刷して読みなさい。」
オレは最近自分の短歌を縦書きにして読み直したりするんだけど、それをずーーっと延長させた考えだと思った。
作った時の形と見られる時の形は違う。形を変えることで見える客観性があるんだな。






おわりに

読んでると、この二人っていい関係だなと思う。
芸術論みたいなところもあるけど基本的には雑談の本。おしゃべりの内容は多岐にわたる。彼らを知りたい人が読むファンブック、なんだと思う。





枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「くじけな」
「淋しいのはお前だけじゃな」
「あるきかたがただしくない」
「ぼくは運動おんち」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」
「かんたん短歌の作り方」
「すれちがうとき聴いた歌」



 



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2011年11月06日

枡野浩一「すれちがうとき聴いた歌」内容と感想

はじめに
150ページ程度。掌編小説が7つ入っている。それぞれに関連がある。1ページあたりの文字は少ない。




内容と感想

絵がいいなあ。日常と幻想のはざまって感じ。

この字の少なさもいい。長いものを読むのが年々苦手になるオレには優しく見える文字数。





1.
冷えかけた夫婦の話を妻の視点からかく。それでもまだ誕生日にプレゼントはする程度。妻は冷めてて、夫は愛情があるっぽい。
壊れた携帯に触るとビリッとするものかな。本当にそうなるだろうかと考える。




2.
出会い系にはまるイケメンの話。イケメンモデルが出会い系やってるのが不思議だ。そんなことが本当にあるのかと考える。
オレも少しやったことあるからそれを思い出しながら読む。演じてるサクラならいいほうだ。一定時間ごとに決まった文面を送るサクラ以前の出会い系もある




3.
老人でもないのに携帯で文字が変換できないなんて、そんなことがあるんだ。
ここの主人公・井上はイレズミがあり銭湯を追われる。やっぱりそうなるのか。暴力団がいるかもと思ったら安心して風呂に入れないから当然のルールだよな。

ドクターフィッシュって知らなかった。本当に健康になるのかな。10分500円はいい商売だな。エサをもらって金までもらうんだから。




4.
テレフォンショッキングみたいに主人公はうつりかわる。

こんどはイレズミを注意した人が主人公だ。半陰陽ということだ。つまり性別がはっきりしない。そういう人に会ったことないし、なんだか怖いような心の壁があって素直に読めない。

でも、言葉を使わないボールでのコミュニケーションならそんな部分は関係ない。主人公が少年と心を通わせた様子が伝わってきた。





5.
扶養手当てのことが書いてある。うちは母子家庭だからもらってる。出ていった父を思うとあわれでぶざまで、とても長く深くは考えられない。意識して考えないようにしてる感じだ。

堕胎承諾書ってあるんだ。……ってことは、本人の意思だけではそういうことはできない仕組みなんだろうか。さっきのドクターフィッシュといい、半陰陽といい、世の中には知らないことがたくさんある。




6.
ピアニストの知り合いの男が目当てでコンサートに行く女性の話。長嶋有「三十歳」を思い出していた。男が女に何もかも偽ってたみたいな話だ。ピアノを弾くのは女の方だった。



今日(11月5日)はホロヴィッツの命日なんだそうだ





7.
ゲイの出会い系ってあるんだ。いろんな人達のそういうのがあるとは聞いていたけど、これだけ具体的に書いてあると、ああ、ほんとなんだ、と思う。ほんとに世の中は広い。 


そして、7章の途中からうすうす気づいていた。これは最初の章に循環してゆくのではないかと。

シュニッツラーの「輪舞」を思い出させる。最初の章ではAがBとセックスし、その次の章ではBがCとセックスし……最初に戻ってひとまわりする戯曲。シュニッツラーは性交の前後を徹底して書いたが、こちらの連作掌編の主人公たちは性から少し距離のある場所にいるようだ。
性行為とのすれ違いにも読める。





おわりに

各章のタイトルの文字がなんか不思議に感じていたが、わかった。漢字とカタカナは明朝体なのにひらがなはゴシック体だからだ。こうして字体を混ぜると脅迫文みたいな味がでる。いや、脅迫のつもりなわけがない。文字同士がすれちがってる感じか。




構成の仕方が面白い。前へ前へとは行かず、横歩きをしてるみたいだ。断片的なような、それで完結しているような。はじめも終わりもないそれはまさに、誰か・何かとすれちがうときに聴こえる歌のようである。





枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「くじけな」
「淋しいのはお前だけじゃな」
「あるきかたがただしくない」
「ぼくは運動おんち」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」
「かんたん短歌の作り方」

 



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[歌書読む3] 枡野浩一『かんたん短歌の作り方』

枡野浩一 かんたん短歌の作り方(マスノ短歌教を信じますの?) 


はじめに

250ページ程度。
雑誌の読者コーナーから生まれたとのことで、ノリは軽い。しかし短歌に関してはきっちりしてる。
テンションが高い。若いからなのか、掲載誌のこともあるのか。教祖っていいなあ。入信したくなっちゃう。してるようなものかな。





内容と感想

今までに読んだことも多いが発見も多い。





「暗記できないような駄作を人に読ませるな」が印象に残った最初の教えだ。
確かになあ。気に入った短歌は何度も喜びをもって口ずさみたくなるものだ。そういうのばっかり作りたいなあ。





文語の短歌への批判に共感する。その通り。溜飲が下がる。
「サラダ記念日」で「吾(あ)」という一人称が出てきた時に、これ便利そうだなと思った。それはいけないささやき。




十四
「ちんちん」「まんまん」という挨拶、使ってみたいけど使いどころが難しそうだなあ





十六
「同じ内容の歌を五通りの言いまわしで考えて、その中で一番しっくりくる歌を選んで送ること」
数字が出てくると実践できそうな感じがしてくる。






二十
「自分の顔に似合わない短歌は、つくらないようにしましょう」
オレはルックスや生き方はアレなんだよなあ。ネガティブな内容が似合いそうな。




二十一
教祖はランドセル忘れて学校に行ったとある。オレもこれやったことある。傘さして、プールの用意の袋だけ持って学校に行った。先生あきれてた。4年生だったかな。





作品集を見る。加藤千恵の
「そうやって自分の傷や痛みだけ見せびらかして生きればいいよ」
にドキッとする。オレのことだな。なんか言いたくなるんだけど、返す言葉がない。その生き方でいいと言ってくれたんだと思うことにする……が動揺しっぱなしである




作品集をみんな読んだ。知ってる名前が見られるけれど、その人達は単純に考えて10年は短歌と付き合ってるわけだ。すごいなあ。たいしたものだなあ。オレも10年、いやずっと短歌と付き合っていきたいものだ。





枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「くじけな」
「淋しいのはお前だけじゃな」
「あるきかたがただしくない」
「ぼくは運動おんち」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)
(続)「一人で始める短歌入門」




 



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2011年10月27日

[歌書読む1-4] (続)枡野浩一「一人で始める短歌入門」内容と感想

はじめに

以前枡野浩一さんの「一人で始める短歌入門」を読んで記事を書いた。その時は100ある短歌の感想を書いた。
今になって前書きやコラムを読んでいたら得るものがあったし、コラムはまとめていないことに気がついたので記事にする。




内容と感想

短歌に関心が強く高まっている今、もう一度復習しておきたい。「一人で始める短歌入門」を持ってきて最初のところを読む。穂村さんの後で読むと非常に優しくて安心する。「易しい」というのと同時に「優しい」。


マスノ流短歌のルール
「ありゃしない」という言葉に釘をさしている。
オレは今日ちょうど「見りゃわかる」っていう短歌作ったところだ。でもこれは字数の都合ではなく自然に出た言葉だ。


一目見りゃわかること検査10日後に書面で受け取る 要医療:肥満




Q&Aコラム

章の間のQ&Aに書いてあったことを確認しておきたい。




「どうぞよろしくお願いします」って好きみたいだなあ。77でリズムがいい。

新人賞選考会の短歌はどう違うのか考える。
新人賞選考会の議事録の話し言葉が美しくない

新人賞選考会の議事録の話し言葉の美しくなさ



前者は自分の感覚で、後者だと周知の事実っぽいな。
そして、後者のように「美しくなさ」とすると、さらに続いていきそうな感覚がある。「美しくなさ…について語ろう」みたいに。
前者のように言い切ると、力はあるけどそこで話が終わる。「美しくない」。はいそうですかわかりました、みたいに。 
って考えた。「○○さ」で終わる短歌かぁ。それもいいな。



書けない言葉は使わない、響きや朗読した時の感覚に留意する、か。あまり考えてなかったかも。
ペンネーム云々は自分で考えてクリアしたつもり。
一マス開けもちゃんとしてるつもり。



「十年かけろ」と簡単に言うけど、何かを十年続けるってすごいと思う。オレがやってることの中で十年続いてるものって何があるんだ。食事睡眠風呂オナニー。CD収集、読書があるな。テレビゲームはほとんどやめたし…短歌は丸3ヶ月だ




コンテストに100作品応募しろとある。オレは今のところ今回の「ひとつの歌」「すれちがうとき聴いた歌」のコンテストに70くらい短歌を出してる。たいして多くないんだね。良かった!まだいっぱい送れる。


つまりここで言ってるのは「ずっとやれ、いっぱいやれ」ということだ。
10年、週に10作、という数字がある。計算したら10年で5200首だ!
10年もやったら、ダメでもあきらめきれなくなりそう。「オレ10年頑張ったのに」ってなりそう。


他の人の作品を知れとある。
「ショートソング」でいろんな人が出てくるから色々知った気になってしまっていたが、まだまだ広いな。
穂村さんの「短歌という爆弾」読んだら知らないすごい歌人が何人もいてビビったけど、まだまだ歌人がいっぱいいるんだろう。



短歌について考えよ、とある。オレは考えてる。そして答えはまだない。
「好きだからやる」と言い切って開き直れればいいけど、そこにもわり算でいう「あまり」を感じる。割り切れない。



「自己満足できるなら上等」っていいな。喧嘩上等みたい。自己満足のために承認が必要という。確かに。オレの場合はTwitterで書いてるからRTやふぁぼの星がそうだな。



結社っていうと怪しい組織みたい。歌壇っていうとひな人形みたい。実際に知らないからだ。



短歌のこれからを変えるいきごみがないと短歌をつくる意味はない、とある。

「生活のそばに短歌があればいい」オレはそんなに謙虚ではない

オレは先人のマネッコしてることがあるし、自分の下手さ(つきぬけなさ)がわかるから言いづらいけど、本当は1ツイートで大反響を巻き起こしてみたい。言っちゃった。うわっ恥ずかしい。おおっぴらには言えない。




つ た え ら れ る
伝えようとして全体重をかける。それが主旨だ。
オレは必ずしもその気持ちを常に持ってはいなかったなあ。ここで一番大事なことを再確認した。




枡野浩一さんの本の感想の記事
「枡野浩一選 ドラえもん短歌」
「ショートソング」
「結婚失格」(上)
「結婚失格」(下)
「ハッピーロンリーウォーリーソング」
「石川くん」
「くじけな」
「淋しいのはお前だけじゃな」
「あるきかたがただしくない」
「ぼくは運動おんち」
「一人で始める短歌入門」内容と感想(上)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(中)
「一人で始める短歌入門」内容と感想(下)



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