雑誌

2018年09月01日

[総合誌読む 124] 「短歌研究」2018年8月号  ~だんだんベローチェをスルーする、ほか

「短歌研究」2018年8月号



四階の窓から校庭の人に話しかけてる夕方ごろに/永井祐「思い出す」
→「平成じぶん歌」から。これは30首で平成の30年をふりかえるという企画だ。その年の社会の出来事とか、自分の身に起こった出来事を短歌にしている。そんななかで見ると、永井さんは独特だ。これは平成3年の歌。

オレも四階建ての学校に通っていたので、その感覚を思い出してみる。うーんよく思い出せない(四階から飛び降りたこともあるのに……)。
「校庭の人」は生徒か先生か用務員さんかもわからない。四階からだとどれでもない「人」って感じなのかな。「夕方ごろ」もおぼろげでいい。遠い記憶だ。



ガツン、とみかん途中で買って深夜までやってる本屋までずっといく/永井祐「思い出す」
→ただの商品名だとわかっても初句の「ガツン、」は印象が強くて、残っていく。この「、」は元々の商品名にある。
「ずっといく」とか出てくると、たまんないよね。うれしくなる。「ずっと」は本屋まで歩く時間と距離が長いってことだな。本屋の営業時間も長い。



だんだんとベローチェが近づいてくるだんだんベローチェをスルーする/永井祐「思い出す」
→さっきの本屋もだけど、こういう歌に「平成26年」といった詞書がついているからおもしろい。いやいやほかにこの年の出来事あるでしょと。
でも短歌を読んでる時って「いやいや、これがこの年のこの人の大切な何かにつながっているのかもしれない」あたりまでは迎えたくなる。

「だんだん」「スルーする」って、おもしろい言い方。これは歩いてますね、移動している速度を考えると。すれちがってる真っ最中なんですね。ベローチェの真ん前を歩いている。



昼の窓磨きてをればシャボン玉のなかなるごとしこの世のことは/佐藤モニカ「早春」
→四句まで読んで、窓の内側にいる自分がシャボン玉の中にいる感覚なのかなと思っていたら、結句でぐるんって逆転した。
べつに内側から磨いているとは言ってないから、オレが勝手に逆転されたってことも考えられるけども。



一つづつ手放し今は数隻のボートが胸をただよへるのみ/佐藤モニカ「早春」



君の手を小さく感じるよこんや月光フフッフフッ月光/雪舟えま「風もないのにラーブラブ」

→下の句に目がいく。フフッと笑っているのは月なのか自分なのか。二つの「フフッ」のあいだに鏡が置いてあるみたい。わりと落ち着いた上の句だから下の句がいきるんでしょうね。
月光が二人のどちらかの大きさを変えているの?



雨上がり 言葉を使って為し遂げるべきことを知る前に死ぬだろう/馬場めぐみ「ライラック」



ゆるやかにけれど確かに崩れゆく砂浜の城 すなはまのしろ/松村正直「富士の見えるあたり」

→漢字をひらがなにすることで崩れてゆくようすを表現している。ありそうで、でも無かったやり方なんじゃないか。オレはたぶんはじめて見るけど。
一字あけのあいだに波でもきたんだろうか。







この号は第8回中城ふみ子賞の発表号で、次席にオレの連作が掲載されています。選評もいただきました。
つい先日、賞状も届きました。





以上です。




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角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
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2018年7月のオレの短歌とその余談
https://note.mu/mk7911/n/nb3e7945830c7

「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
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2018年08月21日

【あらためてご報告】第61回 短歌研究新人賞をいただきました

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【あらためてご報告】
わたくし工藤吉生は、
このたび、第61回短歌研究新人賞をいただきました。川谷ふじのさんとの同時受賞です。


作品は8/21発売の「短歌研究」9月号に掲載されています。全国の書店などでお求めください。電子書籍にはなっていません。1080円。

連作30首のほかに「受賞のことば」や略歴を書きました。選考の様子も合わせてご覧ください。

表紙に名前が出ていて、目次に出ていて、編集後記などにも出ていました。オレの名前がいっぱい。うれしはずかし。



もう一度「短歌研究新人賞」を知らない方のために簡単にまとめれば、

短歌研究社の発行する月刊短歌総合誌「短歌研究」が毎年公募する未発表三十首の中から選ばれる。例年の締め切りは6月1日、受賞作および選考結果は「短歌研究」誌の9月号に掲載され、授賞式は同じく短歌研究社が主催する「短歌研究賞」「現代短歌評論賞」と一緒に9月下旬に行われる。

(Wikipedia 短歌研究新人賞)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E6%AD%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%96%B0%E4%BA%BA%E8%B3%9E

ということなんですが、締め切りは最近は5月20日になっています。




総合誌「短歌研究」を発行する日本短歌社により、昭和29年に「五十首詠」として創設され、昭和33年に改称。現在は、短歌研究社主催。未発表短歌30首を公募、選考委員は予め公表されず(第58回応募時)。

(短歌研究新人賞の記録 | 短歌ポータル tankaful(タンカフル))
http://tankaful.net/awards/a2


という説明もあります。第61回になってもやはり選考委員はあらかじめ公開されていません。


それ以上のこと、つまり心境ですとかにつきましては、有料noteに書いています。500円です。よろしければどうぞ。


!!!!|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2fa11bcef1d0




引き続きこのブログでは、自分の好きな短歌を紹介しながら感想を書くようにしていきます。



ツイッター
工藤吉生 @mk7911
工藤吉生の短歌bot @mk7911_bot
工藤吉生@お知らせ @mk791122

こちらでも発信しています。




今後ともよろしくお願いいたします。


んじゃまた。


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2018年6月のオレの短歌とその余談
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2018年7月のオレの短歌とその余談
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もっと賞の話がしたい!/オレの企み
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「新人賞 連絡」
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第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」全30首
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2018年07月11日

[総合誌読む 123] 角川「短歌」2018年6月号  ~引き算のうちはよくても、ほか

角川「短歌」2018年6月号。

久しぶりに総合誌をやります。ちょっと古いですけども。



干しぶだう口に含みて目をつむる子に味はひの時が流れる/澤村斉美「水菰刈る」

ああさうか私がナイフだつたのか果肉に深く入りて気づく/澤村斉美「水菰刈る」



同級生チノ・タケシ君イカダから運河に落ちて溺死せし夏
母子寮の三畳の部屋オカアサン泣きて棺(ひつぎ)のチノ君の死顔
ラジオから聞こえる歌に声合わせ「黒いはなびら、静かに散った」
/藤原龍一郎「昭和三十四年」

→ところどころカタカナで、チノタケシ君の正確な漢字のわからないところには、幼い思い出らしさがある。
「黒いはなびら」はこの頃か。水原弘の太い低い声に、少年が声を合わせて歌ったのだ。チノ君が「黒いはなびら」に重なる。



銀歯奥までみせて愛想わらひする包丁研ぎに包丁わたす/小池光「いまこそ厨歌」
→包丁研ぎに包丁をわたすのは普通のことなのに、なぜかちょっと不安になる。大きめの愛想笑いのせいだろうか。



わが捨てし檸檬の皮ののこりゐる夜の部屋に来てその香をかぎぬ/横山未来子「気泡」



おのずから胸に浮かびてとどまればしばし秘密のごとく母恋う/三枝浩樹



会った人が死んでしまうということをなんか思ったコンビニのレジ/永井祐「七首ある」

引き算のうちはよくてもかけ算とわり算でまずしくなっていく/永井祐「七首ある」

→格言とか予言とか、そういった雰囲気のある歌。行きすぎた知や技術が人をダメにすることってあるかもしれないけども。かけ算やわり算は扱える数字を簡単に大きくするからってことかなあ。
かけ算って小学2年とかで習うけど、もうそのあたりから人のまずしさが始まっている。



わかりやすい人と言われるルービックキューブ一面だけを揃えて/飯坂友紀子



丸つけた歌はそんな感じです。

なぜこの号を紙で買ったかというと、時評にオレのことが書かれていたからだけど、それについては有料記事で書きました。
note(ノート)
https://t.co/8GGzfoLUMG
この本おわり。






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もうひとりの中城  ~世にも奇妙な歌壇批判
https://note.mu/mk7911/n/n7bb586d45075

短歌連作とジェンガ
https://t.co/vssnyy5mrn

速報です
https://t.co/nbzpaCZ3OP

2018年5月のオレの短歌とその余談
https://note.mu/mk7911/n/n75bf05a79de6

未来賞をいただいて、いま書きたいこと
https://note.mu/mk7911/n/n0b1f389aea2f

第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」全30首
https://note.mu/mk7911/n/n58e5f4337568




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2017年12月25日

2018年に向けて、これまでの短歌投稿を振り返ってみた

4df77891.jpg














今までに短歌を出してきた場所とその期間をまとめた。手書きで。 https://t.co/g7PwQnDuj5
まあ汚い表なんだが、なんだか振り返ってみたくなり、まとめた。





見づらいのと思うので文章でも説明する。

▽短歌と写真のフリーペーパー「うたらば」へは、2012年はじめから投稿していて、現在までつづいている。
短歌なzine「うたつかい」へは2012年春から出詠していて、現在までつづいている。
雑誌「短歌研究」の「うたう☆クラブ」へは2012年春から投稿しはじめて、2017年はじめに止めた。
雑誌「短歌研究」の「短歌研究詠草」へも同じ時期に投稿しはじめた。2017年後半までつづいた。
▽雑誌「ダ・ヴィンチ」の「短歌ください」へは2012年後半から投稿しはじめて、2016年後半にやめた。
雑誌がひらいている新人賞へは2012年から応募しはじめて、現在までつづいている。
雑誌「角川 短歌」の「公募短歌館」現在の「角川歌壇」へは2012年後半から投稿しはじめて、2017年なかばまでつづいた。
▽YouTubeの番組「歌会たかまがはら」への投稿は2012年後半からはじめて、2016年前半にやめた。

結社「塔」には2013年はじめから2015年末まで在籍した。
▽角川短歌大会、NHK短歌大会などの各種大会へは、2013年はじめから投稿しはじめて、現在までつづいている。
「NHK短歌」へは2013年後半から投稿しはじめて、現在までつづいている。

毎日新聞の「毎日歌壇」へは、2014年はじめから現在までつづいている。途中、2016年のなかばから2017年のなかばまで休止していた。
日経新聞の「日経歌壇」へは、2014年なかばから投稿しはじめて、現在までつづいている。途中で一年ほどの休止期間がある。
雑誌「現代短歌」の「読者歌壇」へは、2014年の後半から投稿しはじめて、2017年なかばまでつづいた。
▽不定期の雑誌「短歌雑誌ネガティヴ」へは2014年から投稿しはじめて、現在までつづいている。
読売新聞の「読売歌壇」へは、2014年の後半から投稿しはじめて、現在までつづいている。途中で休止期間がある。

河北新報の「河北歌壇」へは、2015年春から投稿しはじめて、2017年春までつづいた。
雑誌「歌壇」の「読者歌壇」へは、2015年なかばから投稿しはじめて、2017年なかばまでつづいた。

結社誌「未来」へは、2016年はじめから在籍している。
文芸誌「We」へは2016年なかばから出詠して、2017年なかばまでつづいた。
▽タウン誌「仙台っこ」へは、2016年なかばから投稿しはじめて、現在までつづいている。
▽ネットプリント毎月歌壇へは、2016年なかばから投稿しはじめて、現在までつづいている。

▽雑誌「公募ガイド」の「短歌の時間」へは、2017年春から投稿しはじめた。
▽雑誌「野性時代」の「野性歌壇」へは2017年なかばから投稿しはじめた。



ということが、上の画像一枚に記録されている。







2011年に短歌をはじめて、2012年にいきなり九箇所に短歌を投稿しはじめる。

2015年までは出詠箇所を増やしつづけた。

2016年になるとぼちぼち止めはじめる。ダ・ヴィンチ、たかまがはら、塔に出さなくなる。ダ・ヴィンチはボツつづきで、たかまがはらは、出したいゲストがこなくなって。

2017年になると7箇所に歌を出さなくなり、投稿からゆっくり身を引きはじめる。
2017年に出すのをやめた7箇所のうち、5箇所は総合誌。厳密には、角川の題詠もあるので、8箇所に出すのをやめてそのうち6箇所が総合誌。

急に総合誌離れが起きている。






「うたうクラブ」は、自分の電話に活躍してる歌人の方からアドバイスのメールが届くことにはじめはドキドキした。あれは良かった。
でも数年経つとドキドキしなくなったし「自分の歌は自分で直しますわ」ってなったからやめた。

「角川短歌」に出さなくなったのは、電子版を買うようにしたら応募ハガキがついてこなくなったから。

「現代短歌」に出さなくなったのは、ダブル特選も達成したし、短歌手帳と書込歌集がこれ以上増えると困るから。

「歌壇」に出さなくなったのは、添削されるのが、嫌だとは言わないが、ありがたく感じられなかったから。

「短歌研究詠草」に出さなくなったのは、四人の選者全員から準特選をもらって、おおむね満足したから。


そんなふうにやめた理由を言っていくと「もっと強い意志で止めたのかと思った」って言われそう。いや、意志がある程度固まってきたから、そういうことが中止の要因になるんだ。






これ以外に
「うたのわ」
「ちどり」
「うたよみん」

といった投稿サイトが入ってくる。この三つはいまだにやってる。

歌会ができるサイト「うたの日」は今年一度だけ出して「どんまい」だったので、はずかしくなって足が遠のいた。気にしないから「Don't mind」なのだが。



うたの日に関しては、膝蹴りの歌が出せたから満足しています。

膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番素晴らしい俺/工藤吉生
http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=470c&id=27

あの木村比呂さんに激賞されて、食器と食パンとペンさんにイラストに描いていただいた。
http://syokupantopen.jugem.jp/?eid=2217
身にあまることだと思ってます。






そんなふうに次々といろんな場所から撤退しているんだけど、2018年にどこに力をいれるのかは、だいたい見通しがある。

2018年の目標を立てた  ~ずるずるずるずるの話|mk7911|note(ノート)
https://t.co/jejGAs6u5Y

以上です。
んじゃまた。


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2017年10月07日

[総合誌読む 120] 「短歌研究」2017年9月号 ●短歌研究新人賞発表

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「短歌研究」2017年9月号。8/21に出た本なので、およそ一ヶ月半が過ぎている。



白詰草の群れ咲くなかにころがりて小一時間を死者となりたり/藤島秀憲「ミステリー4 選」
→作品連載の四回目。四回目で「4」ということは、作品連載全体を通してひとつの作品になるような構想か。
詞書に「土曜日 四首」とある。金曜日三首、土曜日四首、日曜日五首とつづく。毎日つくっているのがわかる。



異なれるわれにならむとするごとく手首に繊(ほそ)き鎖まはしつ/横山未来子「なきごゑ」
→「繊き」で「ほそき」と読ませるが、「細」よりもよほどほそいものをあらわしているような気がする。
「つける」になりそうなところを「まはし」と工夫している。動きがでる。



原罪の重みに肩をゆがませてピアノを運ぶ男二人は/八木博信「夜」
→「世の中の苦しみをすべて背負ったような顔」という表現を聞いたことがあるが、とっても重そうに運んでいたんだろう。黒くて大きなピアノが原罪そのものに見えてくる。
原罪といえばアダムとイブだが、男二人であるところにも注目した。



嘘でいい 夢でいいから泣いてほしい それを宝石だと思いたい/馬場めぐみ「幻覚」



世のなべて少女とならばおそろしき少女のむかで、少女のみみず/水原紫苑「極光」



笛吹けば石投げらるる帝國の地下大いなる劇場ありき/水原紫苑「夏鳥」

→こわいなーと思った。「笛」「石」の小ささからの「大いなる劇場」。おもてでは禁止しながら、裏では自分達のために大いにやる。権力のもつ暗い一面だ。







それでここから短歌研究新人賞であります。ネプリやら何やらのときは期限があったのでかなり早くにやったんだけど、期限がないとこれくらいの遅れにもなる。


ほんたうの差別について語らへば徐々に湿つてゆく白いシャツ/小佐野彈「無垢な日本で」
→受賞作から。選考のなかで評価が上がっていったという。オレもそうで、選考会の様子を読んではじめて気づくことが多かった。色が多いこととか。
日本のどこなのか土地が分かるのは、なんとなく良いことのような気がする。



弁髪というのを初めて見ましたと宛先のないメールを打った/戸田響子「拾いながらゆく」
→メールって宛先を入れないと送れないものだ。送ったとは書かれていない。「打った」のだ。
ツイッターとかそういうのって、宛先のない言葉の受け皿なんだろうな。オレも別に「この歌がよかったんです」と特定の誰かに言いたい感じではない。ただ発したいのだ。
「弁髪」ってキン肉マンのモンゴルマンのイメージがものすごく強いなあ。本物は見たことない。



偽物のわたしは入れてもらえずに毎晩ドアの裏側にいる/木村友「木の根空の根」



人類を超えた知能は人類を超えてないふりしているだろう/井上閏日「無力力」

→納得。
人類を超えた知能は人類を滅ぼそうとしているような気がするけど、それも人類の考えることなんで、超えていてほしいな。



病もつ口のなかへとさっくりと入ってゆきぬ裸のりんご/詩穂「春の夜のプール」
→「裸のりんご」がよくて丸つけたが、「病もつ口」ってなんだろう。風邪とかの病人の口と読んだが、よく見たら口に関する病があるように見える。「さっくり」って噛んだときの音みたいだが、ここでは入ってゆくときの様子を示していて、そこも不思議な歌だ。表現の不備とも読めるが。



あきらめない人が私を追い抜いて満員列車に飛び乗ってゆく/目白しずか「解約」
→いいタイトルだな。
「追い抜いて」「飛び乗って」には追う、抜く、飛ぶ、乗るの四つの動きが含まれていて、あきらめない人は元気だ。自分のなかのあきらめが浮き彫りになっている。



好きじゃないひととつきあうともだちの千切りキャベツは端でつながる/道券はな
→人間関係もキャベツもよく切れてませんよということだ。「端でつながる」は言い得ている。



夕飯をビスケットにする山小屋の朝食べたのと同じビスケット/山本まとも
→「山小屋の朝」のさわやかなイメージが、夕飯を適当なもので済ます生活と、ビスケットでつながっている。



ゆめというゆめの密輸をみてしまう鍵のかかったテニスコートで/伊波慧
→「ゆめ」の繰り返しや「ゆめ」と「みつゆ」の音でのつながりだとかを味わいたい。
鍵のかかったテニスコートは無人じゃないか? でもそこに目撃者がいる。主体が人間なのかもあやしい。ゆめの密輸を見たのも、夢の中だったのか。



父という逃げ場なき身に豆浴びて淋しき鬼の面を取りけり/大野靖史


新人賞はそんな感じ。

そのあとに短歌年表がある。こういうのを見ると、オレは短歌史に残るほどのことを何一つやってねえなと思う。



以上です。



オレは佳作5首でした。そのときの思いはすでにこのブログに書いています。
2017年の短歌研究新人賞の「佳作」という結果をオレが自分のなかでどう受け止めたかを書く
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52198060.html




んじゃまた。


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■工藤吉生(くどうよしお)の短歌・自選50首 +プロフィール
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52107166.html

2017年7-9月の歌まとめ・20首
https://matome.naver.jp/m/odai/2150685074540729601




第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」全30首
https://t.co/2qhYBXq6hv

2017年9月のオレの短歌とその余談【前編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/nd4b539b8b11c

短歌パトロール日誌【最終回】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n41c835707189

最近読んだ戦争関連本11冊を5段階評価する|mk7911|note(ノート)https://t.co/mymQd04Grj


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2017年08月29日

[総合誌読む 118] 角川「短歌」2017年7月号  ~観念して続けましょう、ほか

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今ごろですが、角川「短歌」2017年7月号やります。



特集「短歌再入門」があって、その時はちょっと悩んでいたから、読んではげましにした。
小島ゆかりさんが「やめたいと思うのは、いい歌が作りたいのにできないという気持ちがあるからこそ。やめたいと思う方、観念して続けましょう」と書いていた。



暗殺の利点を妻に説きゐたり掃除機を手の忙しなき背に/佐古良男「この星」
→「せわしない」を「忙しない」と書くんだね。下の句、特に助詞に注目した。



息あさく眠れる父のかたわらに死は総身に蜜あびて立つ/服部真里子「絶対青度」
→蜜をあびている死の姿が印象的だ。ちょっとこわい。ドラクエの「ドロヌーバ」をイメージしたが、もっと抽象的なことだろう。蜜の甘さは、苦しみからの解放か。



眠る子のひたいの眉をなぞりつつしずかな夜のひたいは広し/花山周子




「たずねびと」ラジオ聴き終へ畑にゆく父の寡黙は長くつづけり/陶久要

→角川歌壇から。
オレはラジオでたずねびとは聞いたことないんだけど、たぶんNHKあたりでやってるんだろう。絵や写真がないとなかなかきびしいだろうな。
ラジオの声からイメージされた「たずねびと」の姿が寡黙な父の脳裡をさまよっていたのだろう。



モナリザは美人ではないと姑言ひき遺影の真顔はその時の顔/石上令








オレの歌も角川歌壇に載った。次の歌が、安田純生さんの秀逸で香川ヒサさんの特選にえらばれた。

体重が身長を超えないかぎり大丈夫だよと君を励ます/工藤吉生





んじゃまた。




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#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました





2017年7月に発表した/掲載されたオレの短歌まとめ|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n3dc9e6680faa

2017年6月に発表した/掲載された短歌まとめ【25首】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n6a0753b5ac49

短歌パトロール日誌【最終回】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n41c835707189

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌以外編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n68525cac4bfd

工藤の有料マガジン【500円】やってます。よろしくお願いいたします。


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2017年06月11日

[総合誌読む 117] 「短歌研究」2017年5月号  ~笑うと倍!!!!!!!!!!、ほか

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短歌研究 2017年5月号。

四月に出た雑誌について感想を書く。だいぶ遅い。
そういえば、6月号の総合誌はどれも買わなかった。「現代短歌」を中心に読んでいこうかと思ったが風向きが変わってしまった。



ケアセンターここは老人ボケ集団まとももゐるぞおい舐めんなよ/岩田正「魔」
→「特集 現代の103人」の最初が岩田正さんだ。少し前までは清水房雄さんだった。こうして入れ替わっていくんだな。
「ボケ集団」も「おい舐めんなよ」も元気なものだ。



夢のなかこちらへお出で、寝る母を引っぱりたれば手のとれにけり/野田光介「菜の花」
→オレは夢のなかで猫の足がとれてしまったことがあるが、オレだけじゃなかったんだな。
高齢の歌人が並ぶページなので、亡くなった母だと思われる。夢のなかで会えた母と、一緒に行こうとしたら手がとれてしまうというのは、悲しい。



寂光院の帰りの道のわかれ道かならず道はわかれてをりぬ/福田栄一『きさらぎやよひ』



いくたびか見し夢にして濁流のしぶきつめたくゐさらひを打つ/真中朋久「みとさぎ」

→これも夢の歌だけど、下の句に濁流のほんものっぽさを感じた。しかし自分と濁流はどういう位置関係なんだろう。そばで背を向けて立っているのか。
起きたらおねしょしてたっていうオチを考えついたけど、まあ余計な想像だ。



ずるいぞと囁く声にさうだねと答へて黒き塀に沿ひ行く/内藤明「メトロノーム」



〈さいてん〉でなくてパピペンだつたなら採点したくなるのだらうか/大松達知「むらグリ」

→パ行にするといろんなものが楽しくなるということが、ありそうだけどほんとにあるのかなあ。たまにそういうハッシュタグあるね。
採点したくないというのが透けて見える、ややくたびれた歌だ。PPAPの流行が関係しているか。




生きているだけで三万五千ポイント!!!!!!!!!笑うと倍!!!!!!!!!!/石井僚一「瞬間最大風速!!!!!!!!!!!!!」
→ネットでは、記号がつづくと勝手な改行をされてしまうことがある。なんなのよ。

この歌はほかのひとも引いてたけど、自分で打ち込んでみたかった。「!」がまず9個あって、次に10個あって、タイトルに13個ある。
三万五千ポイントとかその倍の七万ポイントになにか意味があるわけじゃなくて、とにかくたくさんなんだという、そういう数字なんだと思う。かぞえてはみたけど「!」の数もそうで、これはテンションの高さであって、数に意味はないし、もし考え抜かれていたらオレのなかでポイントが減る。

生きているというそのまんまのことですでにたくさんのポイントがついてて、笑っただけでそのたくさんあるポイントがさらにたくさん増えるというのが、素晴らしい。肯定されてる。
今は知らないけど昔のクイズ番組って終盤にポイントが倍になるんだよ。ポイント倍っていうのは負けかけていた勝負をひっくりかえす可能性を秘めていて、わくわくすることだ。

記号があると、あるいは一字空けでもそうだけど、そこから意味を読み取ろうとするんだよな。「解読」を試みる。
でも石井さんのこの歌に関しては、数字や「!」の数に意味があってほしくない、勢いだけであってほしいという願望をもった。そういうことってなかなかない。






短歌研究詠草で準特選になった。どうでもいいっちゃいいけど、短歌研究詠草で準特選になると目次に小さく名前が載るのね。そういうところをうれしがったりもした。

しばらく前から作品季評に星マークをつけなくなったけど、角川「短歌」では若手の連作を二人が星の数で評価するコーナーが始まっていて、関係ないけどなんかおもしろいかもと思った。



「短歌研究」5月号おわり。
さっきも書いたように、6月号の総合誌は買ってないのでこのブログではやらない。
んじゃまた。



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2017年04月25日

[総合誌読む 116] 「現代短歌」2017年4月号  ~永遠にのぼりのエスカレーター、ほか

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「現代短歌」2017年4月号。


本題に入る前に一言。
本屋に行ったら、「歌壇」はあるんだけど「現代短歌」の五月号が売っていない。何件まわっても売っていない。でも出てないわけではなくて、届いている人には届いている。
ホームページを見たら、現代短歌社は解体して法人になったと書いてある。それがたぶん関係している。

読者としては、本が本屋に出るのかどうか、出るならいつ出るのかだけが知りたい。

「弱冠の時間を要します」とのことなのでとりあえず待つつもりでいたが、早い解決はあまり期待できないので注文することにする。

一言おわり。








あらためて四月号。特集は「震災二〇〇〇日」。

これがはじめは「二〇〇日」に見えて、そうか熊本地震からそれくらいの時間がたったかーと思ったら、東日本大震災の特集だった。



人がいるかぎり電気があるかぎり永遠にのぼりのエスカレーター/工藤玲音「休符」
→後戻りできない、降りられないエスカレーターに我々は乗っているというわけだな。「我々」とかあんまり言いたくないんだけど、そういうことになる。



わたしだけだろうか避難訓練で虹を見たのを覚えているのは/寺門玲子「残雪」
→震災の特集のなかで読むと、避難訓練の虹は別のものに重なってくる。震災の日の雪とか。
空にかかった虹を一人しか覚えていないみたいに、多くのことを多くの人が忘れてゆく。



斉藤斎藤さんの「完璧な格納容器は存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」はちょっと参ってしまった。
二回目でしょう、これ。そのたびに太字と傍点を抜き出さなきゃいけないのか。最初は驚いたり戸惑ったりしたが、二回目はただの作業になる。ナンプレとか子供の学習絵本と同じだ。
初めて見たときの驚きが大きかったぶんだけ、二度目に見たときに減るものも大きくなってしまう。「またか」というがっかり感に変わってしまう。解けばおもしろいんだけども。

自動改札を眺める駅員のくちびるうごく みんな よいこ/斉藤斎藤

これをまた解いてあげるような、これが何回出てきてもそのたび別紙に抜き書きするような、そこまで親切な読者でいなきゃいけない理由があるとしたらそれはなんだろうって考えてしまった。
問題用紙を渡されたから、公式を使って問題を解く。駅員に「みんな よいこ」と言われるのはそういう姿勢だろう。



音楽のけして流れることのない法廷に泣く男のありて/竹内亮「裁判長のヨーグルト」
→泣き声が音楽になって聞こえるようだ。








読者歌壇に投稿した短歌二首が特選になった。


浜名理香選
このオレが死んでしまった後に吹く春の風、ああ、あったかそうだ/工藤吉生

奥村晃作選
百十円ならば買わないおにぎりの百円セールに二点を選ぶ/工藤吉生


ありがとうございました。


この本おわり。
んじゃまた。






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2017年03月28日

[総合誌読む 115] 角川「短歌」2017年3月号  ~諦めてからが本番、ほか

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角川「短歌」2017年3月号。



時といふ見えざる幕を押し分けてゆく力あるうちが命ぞ/蒔田さくら子「鳥瞰」



地球にそそぐひかりをぜんぶあつめても生きかへらざるたつたひとりが/渡辺松男「夕枯野」

→なんというまばゆさだろう。そしてなんと死とは重い暗いものだろう。



諦めてからが本番みたいなところあるよねと言う ないかなと言う/辻聡之
→特集「青春と短歌」から。
大胆なことを言いたいけど、相手の同意がほしいし否定されたくもないんだな。わかる。「本番」についての考えを突き詰めきれてない感じが青春かと思った。

寺井龍哉さんの「それにも心いたまむとしき」の話がよかった。
そういうのを聞くと得した気分になる。みんなどうやって乗り越えてるんだろうと思うもん。




目つぶしにあふがごとくに父母の思ひ出多しせまきこの世に/大橋智恵子「記念日」
→考えさせる比喩だ。思い出は目の前を見えなくするという意味で「目つぶし」なのかな。


枝豆の豆みっしりと太りいてその夜(よ)怒りのごとき一皿/加藤英彦「母の昭和」

免罪符買った粉屋のおかみさんのように募金の領収書もらう/松村由利子「中世の闇」

ごとくに、ごとき、ように。気がつけば比喩の歌に多く丸をつけていた。
枝豆の歌。枝豆がなにを怒るのか、そう思える人間のうちに怒りがあるのか。
免罪符の歌。「粉屋のおかみさん」が見事だ。



カーディガンのまるい背中に射していた薄日も消えて授業は終わる/千葉聡「キットカット」



飛行機より星の光の強ければ星の後ろを飛行機がゆく/花山周子

→連載から。他の星より高くまで飛行機は飛ばないが、光の強さが距離の近さに見える。
夜空を見ている気分になる。



不発弾と同い年なり爆弾のとびかふ時にわれら生まれて/中野昭子『窓に寄る』



「全国結社・歌誌動向」に、オレがここで紹介したことのある「群山」がでていた。
「少しでも新たな歌材や歌境に挑戦して若々しい作品を投稿し、分かりやすく若い人にも受け入れやすい作歌に力を入れています」におどろいた。そういうことを拒否しているからああなるんだとばかり思っていた。



どうせまたいっとき流行るはかなさに「PPAP」使い回さる/天野美奈子
→題詠「林檎」を詠う、より。たしかにPPAPのAはりんごだ。こういう題の使い方があるのかと感心した。
内容はあれだけども。流行を使い回してるのはこの歌も同じことだ。「どうせまた」って言うけど、いつまでも流行っていてほしいのかなあ。いっときでたくさんだけどな。



というわけでこの本はおわり。
オレは角川歌壇に佳作2首と秀逸1首、題詠で1首、角川全国短歌大会の佳作に1首載った。
久々湊盈子さんの選による「題詠・林檎を詠う」は一番前に載ったのでよかった。

りんごの上にリンゴを置いてそのうえに林檎を乗せたぐらい不安だ/工藤吉生


んじゃまた。




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2017年03月21日

[総合誌読む 114] 「現代短歌」2017年3月号  ~おほほいひひひぽけぽけぽ、ほか

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現代短歌 2017年3月号。一ヶ月遅れでやっていきます。



同名短歌ユニット「太朗」の二人五十首というのがあるけど、正直どう受け止めていいのかわからない。新しいことをやってるわけだけど、オレは古い読み方しかできなかった。

まず「Desserts 染野太朗」とあるので、染野さんの連作だと思って連作を読むわけです。職探ししたり仕事したりする連作で、おもしろく読んで印つけたりするわけです。読み終わると6ページから11ページまでとばされる。
字がさかさまなので本もさかさまにして読んだ。自分は今さかさまの本を読んでるぞと思うとすこし楽しい。

「Stressed 吉岡太朗」とある。今度は吉岡さんだなと思って読みはじめると、染野さんの連作と同じ歌が順序を逆にして置かれている。

おもしろかったけど二回も読まなくていいやと思って二度目は軽く流して終わりにした。
おそらくどれかが染野さんの歌で他のどれかが吉岡さんの歌なんだけど、ひとつの歌の作者がはっきりしないのはなんか居心地悪いな。だって、署名と歌が一致しないでしょう。偶然同じ歌からなる連作を二人が同時につくるわけないんだから、染野さんのつくった歌が吉岡さんの名前で出てたり、その逆になってるわけでしょ。
連作はそれぞれ別のタイトルで別の署名になっていて、それもややこしい。合作であると同時にそれぞれの作品でもある。かなり入り組んだことになっている。考えるほどこんがらかる。

作者と作品の関係を揺るがすということで「洞田」につながってるんだろう。
音楽なら逆再生で別の曲になるかもしれない、絵画を逆さにすれば別の絵かもしれない。短歌の連作はどうだろう? ってことじゃないかな。
同じ50首連作を続けて読むのはしんどい。吉岡さんのが本の最後についてたらあるいは違ったかもしれないね。





「十首でわかる短歌史」
おもしろかった。恩田さんがとばした古今和歌集を、つぎの島内さんがしっかり大きく取り上げるところなど、スリリングだ。

吉田隼人さんの
「寺山は『月蝕機関説』で短歌と天皇制の関係に触れていますが、戦後短歌につきまとう人間像を彼が撃とうとしたのは、それが「人間宣言」をした天皇ヒロヒトの影法師だと見抜いていたからかも知れません」
っていう一文を、何度も何度も読み返した。



夜の卓にラ・フランスは自らの影の歪(いびつ)を見つめいるなり/三井修「芝浜」



着ぐるみの内側のよう起きたてのさまよいたての娘の皮膚は/東直子「金網とスカート」



朝がきて次期大統領映りをり この人を見ない権利がない/米川千嘉子



百五歳と記されてある投稿歌しばし眺めて最後には捨つ/道浦母都子

→渡辺つぎさんのことだろう。オレは投稿しはじめた2012年ごろからずっとこの人が自分の年齢を詠み込んだ歌で入選入賞するのを角川「短歌」で見てきている。最近も「百五年生きていること不思議なり預かりものの体のごとし」という歌で角川全国短歌大賞奨励賞をとっている。
長生きはすごいけど、自分の年齢のはいった歌ばかり発表してくる姿勢には疑問をもっている。だから、申し訳ないけども「捨つ」に愉快を感じてしまった。



「せんさうはなかつたことにしてください」おほほいひひひぽけぽけぽ/久保田登「月と金星」
→笑いすぎておかしくなってしまったのだろうか? 上の句のようなことを言う人間の愚かさを下の句で描写したのだと読んだ。



保険屋のセールスマンを家に上げしばし懇談す死亡一千万/小池光「赤い実」
→「懇談」というと親しげだ。辞書にも「うちとけて話し合うこと」とある。だが「死亡一千万」という要点がごろんと投げ出されている。いくらうちとけても、死と金の問題が目の前にある。



ドイツ語は気むづかしいから薔薇の名もペーターフランケンフェルトといへり/今野寿美「お祓ひ」



路に触れ消えゆく雪と見ていしが白き厚みをもちはじめたり/吉川宏志「雪とアレント」

→雪が積もりはじめる瞬間という、じつに細かい瞬間をとらえている。
作者の名前を見ると、これが政治的な問題のことのようにも見えてくる。



樹のごときひとのひとりを思ひをりけさ美しき鳥を見しゆゑ/大辻隆弘「デューレルの犬」
→美しい鳥がとまる樹ならば、きっとそれにふさわしい樹なのだろうと想像したくなる。

連作タイトルのデューレルとは、「未来」の表紙のデューラーだろう。








読者歌壇にはオレの歌が「秀作」で載っている。

アンケートの「わからない」にだけ丸つけてオレも日本国民である/工藤吉生



以上です。







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