NHK短歌

2017年08月20日

NHK短歌テキスト 2017年9月号の「ジセダイタンカ」に出てます!

今日は告知のみで失礼します。

























d37e4a18.jpg










































































































ジセダイタンカ、出たかった欄で、ようやく出られたという感じです。うれしいとかよりは、安心しました。

よかったら見てください。














▼▼▼



#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました





2017年7月に発表した/掲載されたオレの短歌まとめ|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n3dc9e6680faa

2017年6月に発表した/掲載された短歌まとめ【25首】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n6a0753b5ac49

短歌パトロール日誌【最終回】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n41c835707189

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌以外編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n68525cac4bfd

工藤の有料マガジン【500円】やってます。よろしくお願いいたします。


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2016年07月21日

{短歌の本読む 83} NHK短歌テキスト 2016年7月号  ~枯葉の音を今も忘れず、ほか

NHK短歌テキスト 2016年7月号

これも一ヶ月遅れですがやっていきます。



せともののひびわれのごとくほそえだはさびしく白きそらをわかちぬ。/宮沢賢治
→さし絵のおかげもあって、とてもイメージしやすいです。
空も枝も、言ってしまえば世界が、こわれやすく傷ついたものに変わります。


わが帰省待ちわぶる母の居るごとくふる里へのバスに瞑(めつむ)りてゐる/開道彰
→「ごとく」で母の不在があきらかになります。バスのなかで目を閉じて、「母」のことを思っているのでしょう。



一度だけ行きしあなたのふるさとの枯れ葉の音を今も忘れず/熊谷純
→なんでもないものが、特別なシチュエーションにより特別なものに変わります。枯葉の音の聞こえるところで、なにか特別なことがあったのだろうと想像します。



木曜の午後の一限幾何学は春夏秋冬いつでも眠い/川崎和明
→時間、時期をあらわす言葉がとても多い歌です。それでいてわずらわしくないのはひとつの技だと思います。
「木曜の午後の一限」でせばまってゆき、「春夏秋冬いつでも」でひろがっていきます。



ひとり泣き暮れて ロボット掃除機がゆっくり帰ってくる夕まぐれ/雀來豆「夏の生活」
→ジセダイタンカから。
ルンバが家出したというのでしょう。しかし帰ってきます。泣いていますが、いったい何があったのでしょう。そこにドラマがあります。









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谷じゃこさんの、短歌で遊ぶフリーペーパー「バッテラ 05号」に、わたくし工藤吉生がゲストとして参加させていただいています。

テーマは「ゲーム」です。二人のいろいろなゲームの短歌が載っています。
また、ゲームと関係なしに連作もあります。


7/23の札幌文フリ(文学フリマ)、めためたドロップス(う-18)で配布するとのことです!
ほかにもいくつかのお店などで手に入ります。
どうぞよろしくお願いします。





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2016年06月29日

{短歌の本読む 81} NHK短歌テキスト2016年6月号  ~私の初恋はいま、ほか

「NHK短歌テキスト」2016年6月号。
だいぶ遅くなった。



わが生(せい)はかくのごとけむおのがため納豆(なつとう)買ひて帰るゆふぐれ/斎藤茂吉『つきかげ』

ファンファーレ響け深紅の緞帳(どんちょう)よ開け私の初恋はいま/玉川萌

→なんだか全然ちがう雰囲気の歌をつづけて引いた。ファンファーレの歌は「初恋」の二席。
いかにも輝かしい。引き込まれる。初恋っていいな。なんかうらやましい。


頑張りたいかなと思ひますなどと言ふなよ頑張ると言へよ卵よ/阿部功
→「卵」はいまの若い人の意味ととったが、ほんとの卵だったらそれはそれでおもしろい。「頑張る」っ臭い言葉で、思っててもなかなかストレートには言いづらい。


ゆで卵ふたつくらゐの寂しさを残して君はしづかに去りぬ/熊谷純
→つまりどれくらいさみしいのだろう、と思わせる。が、さみしさなんてそもそも計量できるものではないのだ。
真っ白いゆで卵は、そう思って見るとなんとなくさびしい。よく真っ二つになって切断面を見せて置かれていたりもする。


直球の応援だったガンバレと昆布で書いた母の弁当/姉野もね
→母の心を読み取ってしみじみすればよい歌なのかもしれないが、昆布の文字でありながら直球だというのを面白く読んだ。

オムライスふわとろのやつ作るから死にそうなんて言わず踏ん張れ/あんず
→これに感じたおもしろさも、たぶん昆布の歌と同じ種類のもの。



外塚喬さんが「結社誌・同人誌の現在」で結社誌の若手について書いている。
自分の所属以外の結社誌をいくつも熱心に読んでいて、すごいと思った。



会いたさはやがて遠退く人知れず森で朽ちゆく着物のような/立花開「三月の無題」
ジセダイタンカから。会いたい気持ちが森のなかの着物に例えられている。
森の中になぜ着物が放置されているのだろう。何があったのか。そこにドラマを感じた。



さびしさを忘れむためにくりかへしおむすび百円セールを叫ぶ/熊谷純
→また同じ人の歌だ。さっきはゆで卵ふたつくらいの寂しさだったが、こんどは忘れるためにおむすび百円セールを叫んでいる。
さびしさが身近な食べ物とつながっている。うるさい店員も、さびしさのあまりそうしていると思えば許す気になるが……。







オレの歌は一首載った。「短歌de胸キュン」の「もう少しで入選de賞」だった。

題「はげます」 栗木京子選
励ましのつもりで書いた便箋の二枚目の3分の2は愚痴/工藤吉生




んじゃまた。






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あやまちのbot|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n149e3d9ee772
noteの有料記事を更新しました。おかした過ちについてです。


noteで「工藤の有料マガジン」やってます。こちらは500円でさまざまな記事が読めます。例えばこんな内容です。

【第一回石井僚一短歌賞】に落選した連作 20首
https://t.co/jVQrn5C2Ln

第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」全30首
https://t.co/2qhYBXq6hv

2ちゃんねるに書かれているオレに関する疑惑について答える
https://t.co/7bl0976ewb

どうしたら短歌の絵を描いてもらえるんですか問題について
https://t.co/x7uF5emd7k

「いいね」されない短歌/一人称のこと
https://t.co/VnGb7jdktI

オレに関する恥ずかしいツイートを見つけてしまった
https://t.co/mApcvnOrZ8

「文学じゃない」と言われたこと
https://t.co/4Vx9ROeMQ5

工藤、投稿サイトで短歌に厳しいコメントを書かれる
https://t.co/r1E65Zcwqr

16のサイト・アプリに短歌を投稿した結果を比較する
https://t.co/3tMyRK4lDP

歌合 大学短歌バトル2016のこと
https://t.co/WUnEo646fZ

ブログにきたひどいコメントシリーズ 
https://t.co/dMNri2dI2Y



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2016年05月16日

{短歌の本読む 79} 「NHK短歌テキスト」2016年5月号  ~一枚の刃となりたり坂は、ほか

「NHK短歌テキスト」2016年5月号。


あめんぼの足つんつんと蹴る光ふるさと捨てたかちちはは捨てたか/川野里子『五月の王』


金曜といふ語うつくし蜂蜜の壜提(さ)げて金曜の橋わたりきぬ/雨宮雅子『昼顔の譜』

→金、蜂蜜、金、と歌全体が金色に輝いているみたいだ。そのなかに橋がある。


緋の色の自動車(くるま)がくだりゆきしより一枚の刃となりたり坂は/真鍋美恵子『彩秋』
→緋の色が血だというのか。車が流れおちる血の一滴となる。血が出てから刃物が生まれるという順序もおもしろい。


転がるは心地よからむ風の坂吹かるる紙にうらおもてあり/栗木京子『綺羅』
→紙は吹かれて転がっている。「心地よからむ」や「うらおもてあり」でその吹かれぶり、転がりぶりが生き生きと描きだされる。


過ぎゆきてふたたびかえらざるものを なのはなばたけのなのはなの はな/村木道彦『天唇』
→字の形に特徴があったり、視覚にうったえる効果を持つ歌は、本来の縦書きでこそぞんぶんに持ち味を発揮できるのだろうけれども。
ひらがなにくらくらとする。なのはなに取り囲まれるようだ。




入選歌・佳作歌。

ベレー帽かぶりし佐佐木幸綱を想像しては一人笑いす/松木秀
→これを佐佐木幸綱さん本人が 「帽子」の佳作に選んでいるのがおもしろい。
こういうことってたまにある。選者が選者本人を詠んだ投稿歌を選んでいる光景。

つい、右のページの幸綱さんの写真に想像でベレー帽をかぶせてしまう。



フラレてもつながっている空の下なんぞと言ってまた嫌われる/本田純子


お前だよ赤い歩行者信号のランプのなかに立ち尽くすのは/西村曜

→オレじゃねえよと言いたくなる。でも、決まってしまったのだ。
永遠に赤一色の空間で停止していなければならない。なんの罰だというのか。






オレの短歌は二首載った。

年間大賞発表のページに例の

生命を恥じるとりわけ火に触れた指を即座に引っ込めるとき/工藤吉生

が載った。選評は以前テキストに載ったときと同じ。
このことについてはこちらの記事にも書いた。
http://blog.livedoor.jp/mk7911-akogare/archives/51950615.html


また、短歌de胸キュンの佳作に一首載った。

カッコーが鳴ったら渡る青信号このカッコーは嘘をつかない/工藤吉生


んじゃまた。


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mk7911 at 10:43|PermalinkComments(0)

2016年03月06日

「NHK短歌」で佐佐木幸綱さんから年間大賞をいただきました【テレビ文字起こし】

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NHK短歌の年間大賞を佐佐木幸綱さんからいただきました。ありがとうございました。


こんな感じでした。動画に撮ったものを聞き書きしてみました。司会の剣幸さんと選者の佐佐木幸綱さんのやりとりです。







剣さん「年間大賞を発表いたします。佐佐木さん、ではお願いいたします」

佐佐木さん「題「いのち」の回の工藤吉生さんの作品です」

剣さん「佐佐木幸綱さんの年間大賞。宮城県仙台市、工藤吉生さん


生命を
恥じるとりわけ
火に触れた
指を即座に
引っ込めるとき」


佐佐木さん「あのー、「いのち」っていうのは自分個人のものだというふうに我々は思いがちですけども、この作品はそうじゃないんですね。そういうふうに見ていたんだけれども実はもっと大きなものに、えー、支配されている、あるいは大きなものにつかさどられている感じがするということに気づいたという。日常生活の中で普段はなかなか気づけないことをきちっと表現し留めさせた(※ここがよく聞こえない)一首だと思いました」

剣さん「工藤さんおめでとうございます。これからも素晴らしい短歌をお待ちしております」





http://o.x0.com/m/198155
ここでも見れるみたいです。

さて今日はこの一年の佐佐木さんの一席の作品から年間大賞を発表致します。
佐佐木さんではよろしくお願い致します。
題「いのち」の回の工藤吉生さんの作品です。
命っていうのは自分個人のものだというふうに我々は思いがちですけれどもこの作品はそうじゃないんですね。
そういうふうに思っていたんだけれども実は何かもっと大きなものに支配されている。
あるいはもっと大きなものにつかさどられている。
そういう感じがするという事に気付いたというね日常生活の中ではふだんはなかなか気づけない事をきちっと表現されていてとても優れた一首だと思いました。
工藤さんおめでとうございます。
これからもすばらしい短歌をお待ちしております。




感動の一分間でした。大変ありがたいことです。
再放送はあさって火曜日の15時からです。






もっと工藤の短歌を読みたいと思ってくださる方がいましたらこちらからどうぞ。

工藤吉生の短歌総まとめ
http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52127051.html



んじゃまた。


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mk7911 at 19:52|PermalinkComments(6)

2016年02月08日

{短歌の本読む 73} 「NHK短歌テキスト」2016年2月号  ~弱る心に人など恋ふな、ほか

NHK短歌テキスト2016年2月号



吾(あ)ゆ耳の離れてぞあるそのなかにこほろぎの鳴く必死のみゆる/渡辺松男『蝶』


身を震う月に木椅子もととのいぬ声低くして物語せよ/佐伯裕子『春の旋律』




「近代歌人の面影」が岡麓だ。以前、『雪間草』という晩年の歌集をぬらっと読んだけどそれ以外ほとんど知らないので気になっていた人の一人。

十四日お昼すぎより歌をよみにわたくし内においでくだされ/正岡子規『竹乃里歌』
→ハガキに書いた歌だというが、それが歌集に収録されている。


レントゲンにわが子の耳をうつしたり廊下に出ればなほもふる雪/岡麓『小笹生』



花は根に鳥はふる巣にかへるなり春のとまりを知る人ぞなき/崇徳院『千載和歌集』

「私の好きな古典」「手さぐり古典和歌」がどちらも崇徳院を扱っていた。いいね。

古典は入門書をちびちび読んでたんだけど、離れたらあっという間にほとんど忘れたなあ。なかなか知識を身に付けるのがむずかしい。



秋の陽がそこに体を広げをりジャージの人らしやがめる土手に/澤村斉美『galley』
→「探索うたことば」から。秋の陽に体があって、ジャージの人にも体があるのがおもしろいのかも。書かれているように、体をのばす陽としゃがむ人の対比なんだろう。
ジャージの人らはなんでしゃがんでるのかが気になった。体操のひとこまが切り取られているのか。



顔映る鏡のおもて騒然と波だちながらわが夜は来る/岡部桂一郎『木星』



寒の日の鋭き鏡みがきをり弱る心に人など恋ふな/富小路禎子『白暁』

「現代うたのアンソロジー」から。
「生涯、独身を貫いた作者の気丈なひとりごと。」とある。下の句は自分に言っているんだろう。
きびしい歌の裏の弱い心のほうを見たくなる。


学校の裏手をゆけばからりんと金属バットがたまを打つおと/小池光『思川の岸辺』
→栗木京子さんの「教えて栗木さん 短歌上達のテクニック オノマトペを使う」から。
オレは新人賞の選考座談会で、栗木さんにオノマトペを短所として指摘されてから栗木さんのオノマトペについては注意している。

この「からりん」は栗木さんの言う「より独創的で、しかも自然体の擬音語」だという。納得。ボールが「高く上がったのではないでしょうか」の指摘もなるほどと思う。音でボールの飛び方まで感じさせる。
気持ちがよくて、すこしのどかな感じがする音だ。



ここから入選歌・佳作歌

佐佐木幸綱さんの一席のところにオレの名前が載ったが、だからどうという感じにまではならなかった。一席と知らずに見たら感激したかもしれない。



体験を語り終へれば手を挙げて命からがらの意味問ふ子あり/及川三治
→岩手県とあるから震災体験だろうか。命からがら逃げてきたという話をし終わったら「命からがらってなんですか」ときかれた。がっかりしそう。



活躍をお祈りしますという文字を積み重ねていく高速コピー機/高野裕和

健闘を祈ると言って荻窪で別れた友はどうしているか/萩原慎一郎

→地名がでるとおもしろくなる。その後の友の消息がわからなければ、記憶のなかの友はいつまでも荻窪にいるし、いつまでも健闘を祈ってくれている。
この「健闘を祈る」はその上の歌の「活躍をお祈りします」とくらべて、ずっと心がこもっている。好一対。



トラックがわが家の前でとまるのにお届けものはいつも隣へ/村田一広
→うちも全くそう。向かいの家にばかり届く。
関係ないけどうちの向かいの家の名字が「向田」だ。


チョココロネしっぽから食べる派の君は犬派でもあり猫派でもある/前田沙耶子
→「チョココロネしっぽからたべる派」って、ぎこちない言い回しだ。それが下の句で安定する。
人にはやり方というものがあり、それを「派」で分けるならば、同時にいくつもの派に属していることになる。
でも「犬派でもあり猫派」はちょっとずるいなあ。どっちかでしょ。



ジセダイタンカ、意外と丸つかないんだよねえ。期待が大きいのかしら。






「いのち」で一席になった

生命を恥じるとりわけ火に触れた指を即座に引っ込めるとき/工藤吉生

というオレの歌に幸綱さんの評がついていた。
評●突然、自身の内部のむき出しの本能に向き合った気がしたのでしょう。「恥じる」としか言いようのない感覚。的確な表現力に感心しました。

ありがとうございました。



以上NHK短歌テキスト二月号でした。





オレの歌を少し紹介しましたが、もっと読んでもいいという方は
https://note.mu/mk7911
noteに作品をまとめていますのでご覧ください。投げ銭方式なので無料ですべて読めます。

んじゃまた。


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2016年01月19日

{短歌の本読む 72} NHK短歌テキスト 2016年1月号  ~はじめて1コ笑いを取った、ほか

NHK短歌テキスト 2016年1月号。



栗木京子さんの「変わりゆくゲーム」はコンピューターゲームをテーマにしている。
こういうのは年代がでるなあと思う。ゲームに関わる子どもを見つめる親や大人の立場からの歌が多い。
親から見るとゲームというのはこどもを夢中にさせるが、またダメにする道具なんでしょうね。そんなような歌が引かれている。
オレなんかはファミコンの時代を子供として過ごしてきたし、ゲームにはとてもお世話になった。悪いこともあるが楽しいことのほうが多かった。



今日ありし事をその夜の夢にぞ見る現実(うつつ)より哀しくまた美しく/若山喜志子



一車線にくるまが収斂(しうれん)されてゆく道路の律をホテルより見つ/篠弘『至福の旅びと』



はじめて1コ笑いを取った、アルバイトはじめてちょうど一月目の日/永井祐『日本の中でたのしく暮らす』

→「現代うたのアンソロジー」から。
「1コ」という数え方。笑いを「コ」で数えている。バイト先での人間関係のための笑いだ。
「はじめて」が二回でてくる。「初めて」と「始めて」だろうけど、ひらかれている。
「一月目の日」は不自然でちょっとひっかかる言い方だ。

「1コ」、「はじめて」、「一月目の日」、二句のあとの読点。そういうひっかかりポイントがあって、立ち止まらされる。

「一月目の日」って見てると、漢字パズルみたいに見えてくる。一と日を足すと「目」だな、一を月に足しても「目」だな、とか。関係ないかな。
「はじめて」にしても「1」「一」にしても、表記にこだわった作りになっている。

いや、「1コ」で数えられる笑いは道具としての笑いなんだなと思うね。とろうとしてとった笑いだし、仲間とうまくやるための笑いだ。
「ちょうど一月目」って、覚えているものなのか。一月の間笑いをとれなかったのを気にしていたんじゃないか? ピリピリと過ごしているなあ。



山沼に葉がびっしりと浮くように妻は笑えり顔でわらえり/吉川宏志『西行の肺』
→表面は葉でも、その下はぬめぬめとした沼だ。笑いの向こうに他のものがありそうで怖い。
顔で笑うのは当然だが、当然のことを言うことでそれは当然じゃなくなる。顔以外は笑っていないのではないか? と不安になる。

「笑えり」は二度目に「わらえり」とひらがなになる。
笑という文字自体が明るい印象をもたらす字だが、ひらがなにひらかれてしまう。



銀縁の眼鏡をクローズアップしてガン患者ドキュメント終われり/しばっち
→ドキュメント番組って半端な感じのまま終わることがある。ドラマや映画やバラエティーならばオチや結末をつけられるが、ドキュメントは無理にハッピーエンドにも死なせることもできない。
結果、物を大きく映して「終 NHK」なんてことになる。

そうすると「銀縁の眼鏡」が今後の患者の象徴のようになる。この眼鏡でも明日は見えないのだ、とでも言うように。


途中より引き返し来て玄関を確かめみれば施錠してあり/藤本雅子
→鍵かけたっけと思って家に戻ること、あるある。何でもないんだけどこうして短歌として読むと、自分が忘れ去ったもう一人の自分とドアをつうじてふれあったような感触がある。


バスの窓すっかり曇りだいだいの色の過ぎしはパン屋でありしか/中津昌子『むかれなかった林檎のために』








オレの歌が佳作で二つ載りました。

労働をしない日じゃなく、もっと、そう、全身全霊休みたいんだ/工藤吉生
(「休む」染野太朗選)

友達とむかし野球をした空き地こんなものかと小さくまわる/工藤吉生
(「友人」栗木京子選)


以上です。



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んじゃまた。


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2015年12月14日

{短歌の本読む 71} NHK短歌テキスト 2015年12月号  ~母がベッドよりびえーと唏(な)きぬ、ほか

NHK短歌テキスト 2015年12月号。


年の夜(ヨル) あたひ乏しきもの買ひて、銀座の街をおされつゝ来る/釈迢空『海やまのあひだ』
→言ってることはわかるけど、どれもこれもオレが絶対できないような言い回しだ。
都市に生きる苦しさというかわびしさというか、そうしたものを感じた。


あしびきの山(やま)こがらしの行(ゆ)く寒(さむ)さ鴉(からす)のこゑはいよよ遠(とほ)しも/斎藤茂吉『あらたま』


この家(や)ぬちわれがうごくも夫(つま)がうごくも何かさやさやうたへる如し/若山喜志子『筑摩野(つくまの)』

→「近代歌人の面影」は若山喜志子。この連載はいいなあ。 生涯をばっちり追えて、歌もたっぷり読める。



吉川宏志さんの「手さぐり古典和歌」は、本歌取りには心の交流や深い敬意があるというのが印象的だった。

いまオレは新古今和歌集の入門書をちびちび毎日読んでるんだけど、ほんとに本歌取りが多い。重要な技法だったのがわかる。




現代詞華集「ベッド」

にがき夢二人みるため来た部屋のベッドのわきのシャガールの馬/谷岡亜紀『アジア・バザール』
→シャガールってけっこう馬を描いてるんですね。
「にがき夢」がとても気になる。シャガールの馬も謎めいていて、二つは不思議に響きあっている。


ベッドより斜めに仰ぐ中空に雲ふえてゆく一日をかけて/香川ヒサ『テクネー』
→一日中ベッドに寝てたってことだな。
斜めであることや、雲が増えてゆく一方なのがどうにも不安だ。


おかあさんまたねといへばものいはぬ母がベッドよりびえーと唏(な)きぬ/日高堯子『睡蓮記』
→この「びえー」は強い印象を残した。一瞬コミカルに見えてしまうからか。この子供じみた声は、しかし痛切な感情の噴出だ。それまでものを言わなかったこと、ベッドから出ないことも小さな子供を思わせる。ああ。



入選歌・佳作歌から。

滲みゆく飛行機雲の心地かな投薬断り帰り来たれば/原田浩生
→飛行機雲って、はじめはスッとした線なんだけど、だんだんボワーッて広がってくる。
そんなふうに不安がにじみ出てきたんだろうなあ。


絶好調テレビのクイズで正解を重ねて募る人恋しさよ/井下航大
→「絶好調」という初句からここまで連れてこられるとは。
これはわかるなあ。たまに難問がわかると、それを共有したくなる。


香水と貼り薬とに挟まれてB席という名の指定席/毘舎利道弘
→匂いと臭いにはさまれてさんざんな目にあっています。指定席だから席を移ることもできない。B席という名前がうらめしいものとして意味を持ちはじめている、といったところでしょうか。


君のため流しし涙の道すぢをこよひ静かにたどる目薬/熊谷純


バスツアー集合時間に遅れしを許さざる目と許す目とあり/佐藤順子


右足の紺の靴下左足の黒の靴下許し合うかな/長谷川和司


肉まんと思つて割れば餡まんでありし怒りを活力とせむ/村田一広

→怒りが湧くところまではわかりますが、それを活力にしようとするところが前向きです。「怒り」や「活力」とはどうもそぐわない肉まんあんまんが楽しいです。

オレは最近、チーズ入りのメンチカツを買ったつもりが普通のメンチカツだったことがあって、そのときはひたすらだるかった。

それにしても胸キュンはほんとにカタカナの歌ばっかりだ。それが悪さにつながるわけではないけど、選んだのはカタカナのない歌だった。



ジセダイタンカ

あなたからもらったチョコの銀紙がたたまれてまだポケットにあり/逢坂みずき「初冬のチョコレート」
→オレが銀紙をどう扱うかを思い出してみると、たたんでポケットに入れるという行為がとてもつつましく見える。相手を大切に思っているのがあらわれていて、いいなと思いました。







オレの歌が佐佐木幸綱さんの佳作に入りました。

ただ立っている白い犬そのままに時をやりすごそうとしている/工藤吉生

幸綱さんには佳作二回に入選一回をいただいています。(染野さんは佳作一回、栗木さんはなにもなし)








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noteに短歌作品をまとめています。
投げ銭も受付中。応援よろしくお願いします。

んじゃまた。


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2015年12月06日

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんからフォローされました/NHK短歌で一席になりました

いろんなことがあった。

オレの書いたツイートをまとめていく。






歌広場淳さんにフォローされました。 https://t.co/bKrXEcZZ9y



フォロワー42.2万人ってすごい。オレ0.1万。 https://t.co/eTENpCBkcn



ゴールデンボンバーは知ってるんだけど、この方のお名前は存じ上げなかった。カラオケ屋のアカウントかと思った。
まあ間違いだろうだからすぐ外れるでしょう。今のうちと思ってスクショした。



気になりすぎるからフォロー返しちゃった。



(歌広場淳さんからリプライがきた)



Screenshot_2015-12-06-21-56-36






@mk7911 はじめまして。主な50首で「おおお!」と思い、気付けばおかわり100首を経て第十七期まで一気に読んでしまいました。気になってツイッターで検索したらすぐ出てきて、嬉しくて何も考えずに右上の青い人のボタンを押しておりました。混乱させてすいませんm(_ _)m



(オレの返答。調子にのって、ここぞとばかりに宣伝してしまった)

@junjunmjgirly とてもうれしくて舞い上がっております。
宣伝ですが、明日の朝六時からEテレで放送される「NHK短歌」で私の短歌が紹介される予定ですのでご覧いただけますと幸いです。
また、恐れ入りますが気に入った短歌をどこかで紹介いただけますと大変ありがたいです。




■工藤吉生の短歌【主な50首】
https://t.co/YDqEwCZcwx

■工藤吉生の短歌【おかわり100首】
https://t.co/qt1kCifC6b



歌広場淳さんが一気に読んだ、工藤吉生の第一期から十七期の短歌はここから読めるよ!
https://t.co/WMVrW3H1Sp
おもしろい短歌があったらみんなに教えてあげてね。このアカウントではオレが見つけたおもしろい短歌をたくさんツイートしています。よろしく!







ツイートまとめは以上。

要するに、
有名人にフォローされる→疑う→話しかけられる→宣伝する→反響が起こる→気持ちいい
、という流れだ。







歌広場淳さんの影響で、次々にオレの上記のツイートがリツイートされ、「いいね」がついた。通知音がとんでもないことになった。
ツイッターのフォロワーが一晩で50人増えた。リンクを貼ったブログへのアクセスが増え、普段はそれほど読まれないオレの短歌をまとめたページに1200アクセスきた。つまり、1200人のゴールデンボンバー・歌広場淳さんのファン、あまり短歌になじみのない人達がオレの短歌を読んだのだ。どーんと読者が増えた。


自分の名前で検索してみるとオレの歌をほめてる方、楽しんでくれた方が何人もいた。知らない方からリプライであたたかい言葉をいただいた。ブログにコメントをくださった方もいらっしゃった。読者が数字として増えただけでなく、反響もあった。
テンションが上がって、最高に気持ちよくなった。








枡野浩一さんのメールマガジンでそのことが触れられていた。有料メルマガなので詳しくは書けないけど、ありがたかった。
枡野さんが浜崎あゆみさんに短歌集を愛読されたことを言うみたいに、オレはこのことを言っていけるなあ。









e8ed8b9f.png









今朝Eテレで放送された「NHK短歌」でオレの歌が放送され、なんと佐佐木幸綱さんから一席をいただいた。うれしかった。それでまたちょっとツイッターがしずかに湧いていた。

いいことが続いて、もうどうなっちゃうんだという感じだ。麻痺してきてしまって、他人事みたいな感覚にもなった。まあ自然に収まってゆくんだろうけど……。河北歌壇と日経歌壇とダ・ヴィンチの「短歌ください」に落ちてるのをみて気分が平常にもどってきた。


オレの短歌人生のクライマックスは、去年の夏に短歌研究新人賞候補になって「新進気鋭の歌人たち」に出たことであって、もうそれ以上のことはないかもしれないと思っていたんだが、まだあったわけだ。
いやあ、続けているといろんなことがあるね。なかば有名人のおかげだけど、もう半分は、短歌を作りつづけてあっちこっちに短歌のまとめを作りまくった自分の力だと言わせていただいてもいいだろう。



これから何があるのだろうね。希望を失わずに短歌をつづけていきたい。


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mk7911 at 21:52|PermalinkComments(2)

2015年11月06日

{短歌の本読む 68} NHK短歌テキスト 2015年11月号  ~なぜこのなかで僕なのだろうか、ほか

NHK短歌テキスト 2015年11月号。


「近代歌人の面影」から

雪をふみいでてゆきしが白骨となりて還れり春あさき家に/小泉苳三『くさふぢ以後』



「探索うたことば」から二首。

生きものの一生(ひとよ)は球乗りの道化よと地球儀廻しをれば身にしむ/富小路禎子『幻の花』


鳥はいやしき同情者たることなけれ人なぐさめてゐるわがあはれ/三井ゆき『空に水音』

「いやしき同情者」とまで言う自分へのまなざし。



入選歌・佳作歌

馬鈴薯(ばれいしょ)の花咲く実習農場に今朝は長靴花柄選ぶ/深町一夫
→この方は河北歌壇の常連の方で、よく紙面ではご一緒する。
長靴にもおしゃれがあるんだな。


先生が突然僕を指名するなぜこのなかで僕なのだろうか/星野正汰郎
→わかる。先生は適当かもしれないが、指された生徒は驚くし、考える。
よくあることだが、歌になってるのは初めて見た。高校生の歌だが、大人になってから学生時代を思い出して作れる歌とそうでない歌があるよなあ。
学校の日常であると同時に、哲学的な深い問いにも見える。


左から二番目のカード選びたるあいつの手もとへジョーカーゆけり/池田毅
→これも、内容だけなら人に言うようなことじゃない。ただのババ抜きだ。でも何か感じさせるのは、短歌にすることによる力なのだろう。
このババ抜きに続きはなく、このコマしかないわけだ。「あいつ」は歌のなかでジョーカーを選びつづける。その瞬間の感じだけが手渡される。


悪口は禁止と決めたルールしか思い出せない交換日記/澤美菜子
→入選歌だから、テレビで放送されたのだろう。オレはそこを見てなかった。
禁止事項のせいで遠慮して書きたいことが書けなかったりしたんではないか。


その日からひとりの少女があらわれてやがて苦しむ日記となれり/渡辺健一
→自分の過去の日記を客観的に読み返してるんだと読んだ。「ひとりの少女」がその後の日々を苦しみに変えるとは、「その日」の彼は知るよしもない。


授業中にノートの端を破ってみる自分にだけ聞こえる音で/菜の花
→ノートは言うまでもなく勉強の道具であるわけで、それを破ることはワルそうな行為だ。この授業、この日常からひそかに降りようとしている。


数学が苦手な僕のノートを借りて遠藤君はどうしてるだろう/けんちゃん
→なかなか自分に「ちゃん」はつけられないよ。そういう感覚の人も気軽に投稿できるのが胸キュンだ。
ノートを貸すのはいいが、それで遠藤君は助かってないらしい。遠藤君は借りる相手を間違えたようだが、けんちゃんは友達思いだ。



えりこ日記を見て、平岡直子さんの歌がおもしろそうだと思った。







ついでながら、オレの歌が佳作に入ったのでここに置いておく。

追いかけて追い付いて手を握りしめヘッドライトに照らされたのだ/工藤吉生
(佐佐木幸綱選 「手」佳作)

絶対に反撃しないモグラだけ選ばれたのだもぐら叩きに/工藤吉生
(染野太朗選「選ぶ」佳作)



佳作はひさしぶり。どっちも「のだ」が入っている。うーむ。表現の偏りは気になる。

これで五誌掲載になっている。
現在発売中の「短歌研究」、角川「短歌」、「歌壇」、「現代短歌」、「NHK短歌テキスト」にオレの歌が載っている。



NHK短歌テキスト11月号を終わります。


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