2018年05月01日

光の配分

光の配分


芸に生きると言うことは
他人に光を与える分だけ自分に闇を抱えなければならない
常にその覚悟が問われるのだ
面白いことを愉快にやるには限りがある
その道で生き
そこに集う人を導く
というのはその限りを必ず越える
抱えきれなくなった闇の重さに押し潰されそうでもなお
微かな僅かな光を与えなければならない
闇を光に変える力を業というのか

ぼくは確信している
芸術作品は身銭を切って触れるべきであると。
それが作り手への敬意だ。
無料で触れようなんて
魂を削り落として立ち向かう人たちに失礼だ。
鑑賞とは真剣勝負なんだ

陳腐な博物館でも
未熟な舞台でも
一枚のリビングを飾る絵画でも
書店で手にした一冊の本でさえ
侮るかなれ
あなたは挑まれている
笑おうが泣こうが
道化師の覚悟を見抜かなければならない
それが知るを愉しむということ
与えられた光は何かと知ること



2018年04月16日

ぽとり

ぽとり


涙がぽとり
どうして悲しみしか綴れないのか
どうして悔しみしか綴れないのか

涙がぽとり
楽しい詩が書きたかった
心踊らせるような詩が書きたかった

涙がぽとり
書いていたのは悲しみや悔しみ
書きたいものが書けない悲しみと悔しみ

地上にぽとり落とされて
命は儚く
時間も短い

涙がぽとり
限られた人生で出来ることなんて
ほんのわずかでしかなかった

涙がぽとり
限られた人生で出会える人なんて
ほんのわずかでしかなかった

涙がぽとり
不甲斐ない人生の中で
悲しみと悔しみが溢れ出していた

涙がぽとり
涙じゃとても足りなくて
やむを得ず詩の中に逃げてしまうのだ



無い物ねだり

無い物ねだり


無ければ無いで恋しくなるし
有れば有るでうんざりする
人とはなんて我が儘なんだ
これまで何度
失って始めて知る行為を繰り返し
隣の芝生の青さが幻影だと幾度となく思い知らされて
浅い幻想の深みに嵌まる滑稽さよ
気付いた時には自らを馬鹿にしているばかりだ

半蔵門線の狭いホームを行き交って
電車が引き摺ってきた埃を巻いた風を浴びた
何をしているのか
何をしたいのか
さながら血管を流れる赤血球か
残念なのは
人間はまだまだ欠陥だらけ
何を得て何を失い
何が欲しかったのか
まだ何もわかっちゃいないようだ
それを人生と呼ぶ綺麗事じゃないとしたら




明るい言葉

明るい言葉


明るい言葉を口にしなさい
あなたの心が腐敗する前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの心が破裂する前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの涙が血で滲む前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの目の前が荒れ果ててしまう前に

たった一言でいい
あなたの声で「ありがとう」と言えば
それだけで世界はほんの少し変わるから

あなたの口から聞きたい「ありがとう」
あなたの声で聞きたい「ありがとう」
あなたの想いで聞きたい「ありがとう」
それだけで世界はほんの少し潤うから

明るい言葉を口にしなさい
あなたの心が腐敗する前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの心が破裂する前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの涙が血で滲む前に

明るい言葉を口にしなさい
あなたの目の前が荒れ果ててしまう前に

明るい言葉を口にしなさい
この世界の未来のために



思い出だらけ

思い出だらけ


足りないものを足そうにも
前に進めない時もある
未来がないなら過去にすがるしかないのだが
栄光も挫折も平等に見詰めていたらうんざりした

いつか海の見える丘に登って
夕陽が海岸線の半分まで沈んだ瞬間を見てみたい
それをヘミングウェイと呼ぶことにしようと思ったが
日はまた昇ると言うのに
パパの哀しみもそれでしか言えなかった

今から高台に夕日を見に行こうか
茜色の儚い光に染まる街並みを
外に出て空気を吸えば
一歩踏み出せるかもしれないから



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