「僕の知らなかった原子力発電その22」からの続き

  改正事業法により2016年4月から電力の小売りが全面的に自由化される事が昨年6月に
  決定されました。さらに、先日6月17日、大手電力会社に送配電部門の分社化を義務付け
  る『発送電分離』が柱である改正事業法が、参院本会議で可決され、2020年4月から実施
  されます。いわゆる電力自由化が、これで完全実施される事となりそうです。

  今回の法改正で、2020年から大手電力会社の送配電網を別会社化することが決まり、新
  規参入した新電力会社(PPS)などが、中立的な条件で送配電網を使えるようになる。
  これにより、大手電力による地域独占が終焉し、消費者が電力の購入先を自由に選ぶよ
  うになる一方で、様々な企業が自由に電力を作り、売ることができる時代へとなっていく事
  が見えてきました。

  電力自由化は、長年議論されながら、なかなか実現に至りませんでした。地域独占を謳歌
  してきた大手電力会社が強く反対してきたためでした。安定供給が損なわれるといった自由
  化の負の側面が強調され続けられ、抗しきれずに来たという一面も大きかったと言えます。

  そんな中、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生しました。電力業界の雄だった
  東京電力が破綻の危機に瀕し、実質的な国有化となった事が電力自由化の実現の一因に
  なった事は否めません。

  家庭用小売電気料金の規制の問題など、今後様々な問題は出てくると思いますが、電力
  自由化が真の意味での自由化となることを望みます。その為には消費者からの声が重要
  になってきます。まだまだ緒についたばかりです。これからが大事だと思います。

  

  ここで、電気料金に絡み合うのが、原発の廃炉の問題です。
  経産省の試算によると、一基平均で約900億円。30年以上の原発は21基あるが、これを
  全て廃炉にすると、少なくとも1兆円はかかります。この費用は誰が負担するのか。
  通常の民間企業であれば、倒産の危機になる。だが電力会社を倒産させるわけにはいか
  ないとなると、公的資金の投入が考えられる。原発は野ざらしにはできない。原発は国策
  でもあった。原発を買い取る機構を作って公的資金を入れる事がありえるかもしれません。
  ただし、国民の反発は避けられないし、原発政策の誤りを認めなければならず、政府にとっ
  ても難しい決断となります。

  そこで浮上しそうなのが、電気料金で手当をしていくという方法。廃炉に伴う損失が出ても一
  度に処理することはせず、電力会社の経費の中に織り込んで、例えば10年かけて分割処理
  することなどが想定されます。
  廃炉のために公的資金を使うと、『原発は安い』という神話が崩れる。電気料金で少しずつ
  廃炉費用を集める一方で、『原発は安い』と言いながら再稼働を進めようとしているという構図。
  バブル崩壊後の不良債権問題処理の銀行と大蔵省(当時)の関係が頭をかすめます。

                         「僕の知らなかった原子力発電その24」へ続く     

    

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