ウディ・アレン監督『カフェ・ソサエティ』最近のゼルダ(ではない)生活 (2)

2017年06月12日

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ』

世界各地、12か所に突如現れたUFOで世界は大混乱(ちなみに、日本の北海道にもこのUFOは現れます)。その意図を探るため、彼らの言語を解読してコミュニケーションを確立するというミッションを担った言語学者の物語。言語学者ってそういう便利な通訳みたいなものかといったら違うのでは? という疑問はともかく、想像力を刺激する抑制的で美しい映像で、新たな思考・新たな観念に目を開かせてくれる映画。原作は、名作の誉れ高いテッド・チャンの短編『あなたの人生の物語』である。

しかし、宇宙人といったら、やっぱり某海洋生物のような形と相場が決まっているわけなんですねえ。彼らの記述言語の書き方がまた、某海洋生物っぽいので、笑ってしまう。笑ってしまうといえば、主人公たちのチームが、コンタクトをとる2人の宇宙人につけるニックネームが「アボットとコステロ」。この人たち。どんな人類的危機の最中にもアメリカ人はユーモアを忘れません。 
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主人公のバンクス博士(エイミー・アダムス)は、アボットたちの言語をだんだん知るにつれ、ある超然とした感覚に目覚めていき、最終的にはその感覚を駆使して、人類とUFOの間に発生しそうになる危機を回避させる(ちなみに、このスリラー的展開は、娯楽映画として起伏をつけるためとはいえ、やや安っぽい)。その回避手段が、タイムパラドックスなのでは? と思わせるわけだが、逆にこれこそが、新たな言語を理解することによって得られる(それを知らない者には、ただあり得ないこととしか思えないような)新たな感覚なのだ…とも思わせる。SFにあらまほしいセンス・オヴ・ワンダー。映画のタイトル “Arrival” が、映画の最初でなく最後に現れるのも、仕掛けである。

比較的冒頭で、「サンスクリットで『戦争』を表す語は何で、その語源は何か?」という意味ありげな問いがバンクス博士の口から出され、「牛の要求」だという答えが示されるのが、意味がよくわからない。日本語字幕で情報が脱落しているのかと思ったのだが、ネットでその場面の意味を議論している英語話者の人がいるので、映画そのものがやはり説明不足らしい。すっきりと意味がわかる人がいたら教えてください。

『メッセージ』(オリジナル・サウンドトラック)
ヨハン・ヨハンソン
ユニバーサル ミュージック
2017-04-26


あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
テッド・チャン
早川書房
2003-09-30


mnumasaki at 07:12│Comments(0)TrackBack(0) 映画 

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