江 姫たちの戦国

2011年12月11日

江 46話「希望」

回想で時間を稼ぎながら残りの話を流して終わるぜ、と言わぬばかりの流れっぷりで、オープニングではキャストの名前が今までにない速度で流れて行きます。半分くらいは「回想」の人たちです。

冒頭、草刈正雄が、理に「泰平の世を望むなら鬼となりなさい」「御台様に隠し事があるのでは、早く打ち明けておきなさい」と、思わせぶりなことを言いながら死にます。理は、隠し事を打ち明けるほうは先延ばしにしながら、鬼となって諸大名に力をつけさせない処断ばかりは進めていきます。

そんな理も娘・千姫とは仲直りできないでいますが、嫁に出して償ったつもりにはなろうと、実はけっこう具体的に嫁ぎ先まで考えていたりします。江戸にふらりと遊びに来た元・龍子も、「夫から得た傷は夫で癒すのがいちばん」などと相変わらずの調子です。ある意味この人がいちばん、タイトルロールののだめよりも思うがまま存分に生きています。千は「父上は許せませんが、これから嫁ぐ方が父上のような方だと良いと思います」と言いながら嫁いでいきます。えー。意味不明すぎて、この台詞、私には理解できませんでした。理は「私よりよい男がいるわけあるまい」、千は「そうですね」などと、寒い会話がつづきます。なんですか、千、ファザコンの裏返しだったんですか。

そんなこんなのうちに、理の隠し子がまたもや発覚して、のだめと理はまたもや冷戦状態になります。そんなところに、誰もが忘れていた、のだめの最初の夫が現れて、何故かのだめを励ましてくれちゃったりします。励まされちゃったのだめは隠し子と面会。もっと昔から仲良くしておけばよかったなどと言い出し、正室の子も側室の子も同じ徳川の子として一緒に仲良くできる場所として大奥をつくりたいという話になります。ふーん、そういうことなの? 何にせよ、戦国時代にタイムスリップしてきた近代人・のだめが、封建時代の武家の女として都合のいい思想に順応したもようです。そういう話でよかったんですか、このドラマ。

えーと。たぶんここまでが、本来1回分にしようとしていた内容で、ここからあとは、ここまでの話の繰り返しのような話と回想が急速に多くなっていきます。竹千代と国松は元服(いきなり育ち過ぎ)。理は力のある大名や一族や功臣を改易したり流罪にしたり。家光は将軍になったり。妹は天皇に嫁いだり、逆に家光にだれやらが嫁に来たり。福はのだめから大奥を任されて目をぎらぎらさせて走り回り、大竹しのぶは元・龍子をからかいながら亡くなって、秀吉よりも偉大だったと持ち上げられ、まるで叙勲のお祝い。理(大御所になったわけね)とのだめはまったりと酒を酌み交わしながら昔話を始めたりします。この二人、結婚して30年になったという話なのですが、老けメイクが足りなくないですか。理は40代半ばとか、のだめは50近くとかいってないとダメなのでは?

一緒に遠乗りに出かけたりしながら、のだめは「泰平の世が来てようやく思うがままに生きられます」だの、理は「そなたは私の希望だ」だの言ったり、引退してすっかり青春ふたたびモードですが、ほんとはこの人たちアラ・フィフで、このあと10年も生きないで死んでますよ。ドラマとはいえ、いいのかこんな終わり方で。しかも、馬で駆けるのだめと一緒に、なぜか保奈美の幽霊が馬で駆けちゃったりします。なんですか、カメラには写っていなかったけど、ほんとはいつもこうやって娘のそばを幽霊がつき従ってましたよって話ですか。

来年の『平清盛』の予告を見るにつけても、去年の『龍馬伝』を思い出すにつけても、なんで今年に限っては「大河ドラマ」がこんなに薄くて金がかかっていなかったのだか、という感慨を残しつつ『江』終幕です。

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2011年11月20日

江 45話「息子よ」

今回は演歌みたいなタイトルです。冒頭から、竹千代がお化粧ごっこの理由を大人3人(理、のだめ、元・初)に囲まれて問いただされています。誰に迷惑をかけたでもなし、ええやんけ。しかし、悪魔のような女・福は、「お世継ぎ問題に響きましょうか」と気にしています。今回を最後まで見てからこの場面を思い出すと、なぜこのときに何か話すなら福は話さなかったのか、謎です。

さて、そんな話をしていると、駿府の欣也が病に倒れたとの知らせ。のだめは(自分と息子のディスコミュニケーションのことは棚に上げて)、欣也が死んでからでは遅いから、生きているうちに親子でゆっくり話せと理を向かわせます。しかし、理が行ってみると、「何しに来た」だの「江じゃな(見舞いに行けと言ったのは)」だの欣也には言われます。そうこうしていると、自分も駿府に来てしまうのだめ。欣也が再び倒れると、なかば強引に理と欣也を二人きりにします(が、しっかり自分は部屋の外で話を聞いています)。
欣也は「自分は父を早く亡くし、織田と今川の人質として暮らし、妻と嫡男を殺させ、乱世の辛さを味わい、時がきたら世を泰平にするために必ず天下人になろうと思った」「そのために兄やお前を人質に出したり、将軍を継がせたり、避けて通れぬ辛い戦をさせた」的なことを滔々語ります。元気です。死にそうにないです。
「後継者としてはともかく、子としてはどう思っていたのか」と今更問う理。「そりゃ可愛い、可愛いから後を継がせるのも悩んだ」「死を前にやっと言えた」などと、今までおくびにも出していなかったことを涙目で言って笑う欣也。ついさっき「義父上は大嘘つきです」と欣也を責めていたはずののだめが、なぜか外で話を盗み聞きながら涙を落としたりしています。

さて、安直にも、これで今までのわだかまりがすべて解けたふうに、次のシーンでは仲良くしている欣也と理とのだめ。どっかで見たような光景だなあと思ったのですが、アレです、アレ。大地康雄が、勝手に遠乗りに出て人に迷惑をかけたのだめを叱り飛ばしたあと、急に仲の良い親子ふうになった、大地康雄と保奈美と娘3人です。で、けっこう元気に庭に薬草を取りに行ったかと思ったら腹痛を起こして、庭石に腰掛けたまま「日本の国を頼んだ」などと言いつつお亡くなりになる欣也です。

家康が亡くなればいろいろあったには違いないですが、わりとあっさり落ち着いたという感じの江戸に戻った理とのだめ。またしても「お前とゆっくり話がしたいと思って」竹千代を呼び出します。理に会話を主導させてもしょうがないということを学んだらしい竹千代は、自分から話を切り出します。「跡継ぎは国松がいい、自分は弱くて戦が嫌いです」「泰平の世は母上の望みだからいいことです」などと言い、理やのだめは心を動かされたふうですが、本人は部屋に帰ってくると福に「世継ぎのことは諦めろ」などと、面接に失敗した人のようなことを言います。

竹千代といったいどんな話があったのかと、夜になってのだめのところに聞きにくる福。「竹千代はどんな子なのだ」「化粧のことだけは解せぬ」と、逆に福に訊ねるのだめ。竹千代がお化粧ごっこを始めたときの様子を語り、「母となかなか会えない淋しさが化粧をさせるのだ」と言う福。母親になかなか会えないようにさせたのが自分だということにはきれいに口をぬぐっています。しかし、のだめには効いたようで、竹千代が寝ているところにやってきて「母を許せ」と泣いて謝ったりします。部屋の外では福が涙を流したりしていますが、目をぎらぎらさせて「これで竹千代が世継ぎになれる」と思っているようにも見えます。何にせよ、保奈美によると、これが親子の心が通じた時であったようです。

そんなこんなで、なんとも地味にこのドラマも次回は最終回となるもようです。

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2011年11月15日

江 44話「江戸城騒乱」

大阪の陣の顛末をヨシから聞き、涙するのだめ。なんだか泣きの芝居のレベルが落ちて来ている気がします。というか、あんまりわあわあ泣くのは得意じゃないのか? のだめ。

一方、竹千代と悪魔のような女・福は嬉しそうに宴を開いています。やっぱお子様にはビールでなくオレンジジュースかしら。さりげなく、悪魔のような女は乳母のくせに場を仕切って偉そうにしています。で、そんなところに通りかかるのだめ。くどいようですが、なんだか健康そうでさほど悲痛にも見えない人です。が、ともかく、そんな竹千代や福の様子が気に入るわけもなく、竹千代を諭したり、福を思わず平手で打って、我に返って「すまぬ」と言ったりします。福の口から「淀の方と秀頼に止めをさしたのは秀忠」と聞き(ああ、言っちゃったという顔をするヨシ)、「ぎゃぼー」と叫びそうな顔になるのだめですが、その後、ヨシと話し合ったりして案外静かに納得した様子になります。

一方、千(『BECK』ではギャルっぽくしていたのに、おでこ出した髪型だと小学生のよう)は、助命嘆願を聞き入れてくれなかったヒゲ理に「許しません」宣言。深く傷ついたまま、元・初とともに、ピンクの駕籠に乗って江戸に帰ってきます。元・初が持ってきてくれた、りえからの手紙には「私の死で世が泰平になってくれることが今の私の願い、徳川を恨むな江」と書かれています。今更殊勝にされてもなあ。
次いで、ヒゲ理が帰ってきます。「恨んでいるだろうが私には悔いはない」「だれも傷つけずに泰平が得られるなどとは絵空事だ」などと、1週間前の自分をすっぱり否定してしまう理。それはそれでどうよ。「必ず天下は泰平にしてみせる、血を流すのはこれが最後だ」と言いながら泣く理ですが、今までが今までだっただけに、とっても空手形っぽく聞こえます。「私の子や孫たちが血を流すことはない」と誓いますが、まあ…少なくとも竹千代と国松は長ずるに及んでひどいことになるようですが…。

そんなこんなで、前回の予想に反してあっさりとのだめと理の気持ちは切り替わった様子になり、のだめはむしろ千に、父の気持ちも察するように諭し始めちゃったりしています。で、明るく優しくお姉様に接して点数を稼ぐ国松と、物陰からじっと見ている竹千代。元・初がそんな竹千代に目をとめ、のだめ夫婦に、竹千代とももっと打ち解けるようにと言います。理は竹千代と仲良くなるべく、でもなぜか国松も一緒に呼んで月見だんごを食べながら「えーっと…戦国武将とか誰が好き?」みたいな、どうしようもない話題を振ったりします。竹千代と仲良くなるための月見だったと思うのですが、ほぼ竹千代無視で国松とばかり会話する始末。失礼ながら、将軍様はアホでいらっしゃいますか?

竹千代の立場が危ういと感じた悪魔のような女は、またしても欣也のところに直訴に行ったり、おかかえ学者の林羅山をたらしこもうとしたりと暗躍。竹千代と「ゆっくり話でも」しようとやってきたのだめは、竹千代がお化粧ごっこをしているところに出くわして、見てはならないモノを見てしまった風の大仰なBGMを背負って「た、た、竹千代が…」と衝撃を受けます。この時代、子どものお化粧ごっこが何だったというのでしょう。なんだかつくづくどうでもいい騒乱です。

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2011年11月06日

江 43話「淀、散る」

アバンタイトルから、のだめは母・保奈美が去り、姉・宮沢りえが去っていく不吉な幻を見ています。で、理は、前回のびたヒゲを全部剃るのが面倒だったのか、今回からヒゲ男になっています。

さて、京都で起こった浪人による放火事件をきっかけに、秀頼の国替えか大阪城の浪人の放逐かを欣也から要求される豊臣方。前回、徳川への敵意をめらめら燃やしてしまった秀頼はすっかり戦闘的になっており、りえが怪訝な顔をするほどです。戦をするにも準備が必要な大阪方は、元・初を駿府に派遣しますが、元・初はどちらの要求にも答えるのは無理だと言うだけです。あまり交渉にも時間稼ぎにもなっていません。欣也に「あなた自身はどう思われるのか」と、もっともな突っ込みを入れられます。

さて、理はのだめに、また出陣の命が下ったことを告げます。出陣すると言っているのに「戦になるのですか?」とアホな聞き返し方をするのだめ。次いで、「私が大阪へ行って皆を城から出させます」と言いますが、「ここは私に任せてくれ」という理。ここでは視聴者も正直、任せないほうがいいと内心思ったはずです。理はのだめに「文を書いてくれ」と頼みます。

理は京都で元・初にのだめの手紙を託し、また、大竹しのぶにも助力を願います。しかし大竹しのぶ、(1) りえは保奈美に似て意地っ張りだから無理、(2) 泰平をもたらすために避けられない戦がある、と匙投げモード。りえは元・初からのだめの手紙(いわく、「なぜ戦嫌いのあなたが戦を引き寄せるのか、一緒に江戸で暮らそう」)を受け取り、「いかにも江らしい」と笑みを浮かべますが、「今更あとには引けぬ」と言います。さて、このとき、りえはどのくらいに勝算を見積もっていたのでしょうか。

戦が始まってしまい、理はあくまで豊臣氏を攻め滅ぼそうとする欣也に対して、またしても恨みがましいことを言いますが、「泰平を欲するなら戦って取れ、たわけ」と一喝。戦況が進むと理は、今度は敵の主力に当たる総大将を買って出、「避けられぬ戦なら本分を果たす」と言いますが、「この戦の総大将はわしじゃ」と、退けられます。そのあと、徳川本隊は真田幸村の特攻を受けて危ない目にあうので、退けられて正解です。

さて、真田隊も壊滅し、いよいよ大阪城も落城が迫ります。りえは「母上のように誇り高く死にたい」と告げ、元・初に、欣也宛の秀頼の命乞いの手紙と、のだめへの手紙を託し、千とともに城から出します。が、元・初と千の姿が消えるや、「誇りではなく意地だった」と冷静に自分に突っ込みます。

さて、徳川方の陣では、元・初と千を受け入れ、欣也がりえの手紙を手にします。そこで、何と欣也は「この沙汰、そなたに任せる。この瞬間からそなたが総大将、生かすも殺すもそなた次第」と、手紙を理に渡してしまいます。自分の引き際をあらかじめ定めていたのか、はたまた、孫娘の恨みがましい視線が痛かったのか。理は悩みますが、結局なぜか本意に反して、大阪城に火を放ち、りえと秀頼の籠る蔵への攻撃を命じます。欣也が、徳川が本当にあとには引けない局面で、理に手を下させるよう仕組んだともいえます。

江戸では写経するのだめの手がすべって「滅」の字のほうに線を引いてしまったり、お約束通りろうそくの火が突然消えたりします。蔵の中に、秀吉の兜まで大事に持って来て御所らしくつくって、助命嘆願の返事を待っていた秀頼とりえは、攻撃を受けて本当の最期を悟り、炎の中で自刃。「琵琶の海が見えるようじゃ」「母上、殿下、茶々も参ります」がりえの最後の台詞。みんなそれなりに本望らしく死んでいきます。巻き添えでなく自ら選ぶ死ならまあ幸せです。誇りだか意地だかで迷走した豊臣家でしたが、どれだけ勝算があり、どれだけ自ら死を選んでいる自覚があったのかは謎です。

次回は、理が江戸に帰って、まる1話かけて、豊臣家滅亡をめぐる反省会が行われる感じの予告です。

mnumasaki at 23:44|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2011年10月30日

江 42話「大坂冬の陣」

江戸に残されたのだめは暇です。福(春日局)とケンカするくらいしかすることがありません。

一方、大阪では真田幸村が頑張っちゃったり、りえは鎧を着ちゃったり、欣也は豊臣に和睦を持ちかけたり、断られて城に大砲を打ち込んだり。りえは結局、厭戦ムードの秀頼にも懇願されて、和議に応じます。「もはや私はだれを信じてよいか分からぬ」と言って、元・初に和睦交渉をさせるりえ。二日間交渉をして、わざとらしく帰り道にふらつく元・初。戦はいったん終わります。

しかし、欣也は、和睦の条件である大阪城の外堀をさっさと埋めてしまい、さらには、内堀・二の丸・三の丸を崩しにかかります。「見たか秀頼、これが徳川のやり方じゃ」と怒るりえ。りえや秀頼を殺す気まんまんの欣也に理も「約束が違う」と怒りますが、挫折のポーズ orz です。

理はついに、のだめに感化されて身につけたお忍び作戦を使って、りえと秀頼の前に現れます。命惜しくば大阪城を出たほうが良いと二人を諭す理。「豊臣の世はとうに終わっていたのか」とつぶやきながらも、「今更無理、江によろしく伝えてくれ」と、りえ。いやー、人がいいなあ。本当の本当に秀忠がお忍びでのこのこ来たら、絶対に人質にとっちゃうなあ。しかしそれじゃあ歴史の筋書き変わっちゃうか。何にせよ、理の説得は及びません。秀頼は、城を壊されて、今更プライドが傷ついており、理の前で「徳川が憎い、次会うときは敵です」と言い放ちます。うーん。天下を泰平にとか昔は言っていたのに、結局、自分のおうちが大事だったか。りえはりえで、「私は間違っていたのか…」と逡巡し、「秀頼だけは守りたい」ともらしますが、だったら自分が江戸に行ってはどうかと思わなくもありません。

のだめのところに帰って来た理は、無精髭で、「すまぬ…」と、またまた挫折のポーズ。「すまぬ」とか言うくらいならもっと一生懸命説得してくればよかったのに。

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2011年10月25日

江 41話「姉妹激突!」

冒頭から、竹千代がだれかと激突して、周りに当たり散らしたりしています。で、例によって例のごとく、のだめが悪魔のような女を呼び出して押し問答。「そなたも乳母なら竹千代を誰からも愛される心広き男子に育てよ」「竹千代がまだ世継ぎと決まったわけではない」と言っていると、例によって例のごとく竹千代が立ち聞きしていたりします。いじけた竹千代は、のだめから愛されている弟・国松にも当たります。兄弟激突です。いやしかし、のだめがあれじゃあ竹千代は絶対に味方してくれる悪魔のほうになつくと思いますよ、そりゃあ。鬼こと加賀まりこの遺言がちっとも生きてません。

理はというと、欣也に実権を握られて、こちらもふてぎみに、ゴロ寝していたりします。が、「そうだ、文を書こう」と、秀頼に、「父には内緒だが、自分は将軍として関白・秀頼を支える政治体制を構想している」という手紙を徹夜で書きます。のだめも「姉上、夫の書いたことを信じてください」という手紙を書いて添えます。しかし、何の役に立つんでしょうか、この手紙。自分の後ろめたさを軽くする申し訳ていどの行動にしかなっていません。

そんなことをしているうちに、日本史上に名高い、言いがかりの中の言いがかり・方広寺鐘銘事件が欣也によって起こされます。豊臣の家老・飾り職人の秀は「ここは弁明して事を丸くおさめるべき」と駿府に向かいますが、欣也は会ってくれません。飾り職人は「いつまで待たせる気じゃ」と、わかりやすい台詞で説明してくれます。いっぽう、大阪ではしびれをきらした宮沢りえが、「私が家康に直談判して参る」と青筋を立てます。いやいやそれでは大事になりすぎるから私が、と名乗りをあげる元・初と伊佐山ひろ子(この人の声を聞くと、オタマジャクシのころ見ていた『人形劇三国志』を思い出します)。結局、ひろ子が欣也に会いにいくことになります。が、欣也は、ひろ子には直接会っていい返事、飾り職人には会わずに使者を通して厳しい返事を返します。結果として飾り職人はりえ・秀頼親子とうまくいかなくなり、追放されることになります。

そんなわけで、ついに戦になる豊臣と徳川。豊臣の味方になったのは大名ではなく、関ヶ原で失職した浪人たちですが、大阪城に入城したその数は10万。潜在的にそれだけの不満分子がいたわけですから、起こるべくして起こった戦争ということになります。りえは「まさか江と敵味方に分かれる日がくるとは」などと言いますが、劇中でものだめが江戸に下ったときから予感されていた事態だったことをすっかり忘れています。理は、「親父は淀殿と秀頼に大阪城を明け渡させれば命まで取る気はないはず」「泰平のために働いてくると信じて待て」と家族に言い残して出陣します(でも、次回予告では、すでに「すまぬ」と言ってます。挫折、早っ!)。

陣中でも、豊臣氏と共存したい理と、徳川と豊臣が並び立つことはあり得ないと考える欣也はぶつかります。いや、ぶつかるというか、理が不満そうな目で欣也をじっと見るだけ。どれだけ理が恨みがましそうにしたところで、公平に見れば、自分の構想を実現するための実質的な手だてを何一つ講じられなかった理やのだめのほうがダメだったと言わざるをえないでしょう。

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2011年10月16日

江 40話「親の心」

冒頭から、のだめは福を、竹千代が病気のときに会わせなかった、病気だということも知らせなかったと詰問しています。国松は「母上は優しすぎ、気を遣いすぎるのです」などと大人びたことを言います。いっぽう竹千代は、柱の陰や福の陰に隠れてばかりで、理やのだめに甘えたいのだかそうでないのだかはっきりしません。そして、そんな竹千代・のだめ・福の様子が気がかりらしい加賀まりこ。

大阪では大阪で、秀頼とりえが秀頼の(妾腹の)子を可愛がっていたりして、千姫が寂しそうにしたりしています。元・初の常高院が、得意の菓子攻撃で千から話を聞いてやり、千も子どもを欲しがっていることを聞き出したりします。そういえば初の夫は急死でしたが、初につきあって、体に合わないお菓子を食べ過ぎたのがたたった、なんてことはないでしょうか。今更ながら気になります。

さて、江戸では福が、竹千代の健康を祈願するための伊勢参りに行くと称して、駿府の欣也に、のだめが国松ばかり可愛がりすぎると直訴。欣也は欣也で、福が竹千代を囲いすぎるのではと苦言を言います。福は、竹千代を母に甘えさせず、大御所様のように強い男にしたいのだとかなんだとか、欣也をほめ殺し。竹千代は母の代わりに福に甘えてるだけになっていますが、まあ福がそんなことを口に出すはずもありません。

やがて欣也が江戸にやってきて、それを出迎えた一同の前で、わざわざ「世継ぎは竹千代だ」と宣言します。なぜか納得いかなそうな様子ののだめ。いっぽうで、何かを察した鬼・加賀まりこは、悪魔のような女・福を呼び寄せて、その出過ぎた行動を戒めます。さらに「親と子をつなぐが乳母の務め」などと諭しますが、その途中でわざとらしく「うっ…」と言いながら病に倒れます。

病床をおとずれた欣也と理に、それぞれ、わざとらしい芝居まで打ちながら、親子で腹を割って話せと加賀まりこは告げます。そして、のだめとは急に仲良しモードになって、「母として子・竹千代を諦めてはならない」と説教を垂れます。かつては「のだめの子はのだめの子である以前に徳川家の跡取りだ」とか言っていたことを都合よく忘れています。さて、私が第32話で賭けた100エグザイルは、まあまあ当たりってことで、払い戻していただいても大丈夫でしょうか。

のだめは「竹千代は可愛いが、徳川家は国松に継がせたい」と言っています。欣也が「世継ぎは竹千代」と言ったときに納得いかなげだったのは、そういう意味だったようです。しかし、この回の場面場面でも、のだめは竹千代が可愛いのか可愛くないのか、どうもはっきりしない芝居です。普通に、竹千代に対しては冷たい母という風に見えます。

そんなこんなで、次回はのだめとりえが激突!(←本当にびっくりマークがタイトルにつく)するもよう。がつーん。

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2011年10月15日

江 39話「運命の対面」

今日からあなたは御台所よと、いつになく説明的な加賀まりこに言われるのだめ。乳母のヨシも出世して偉そうな名前がつきます。福がやってきますが、すぐのだめとケンカになって追い返され、何か用事があってきたわけじゃなかったのかと突っ込みたくなります。

一方、大阪では、大竹しのぶが欣也に請われて使者となり、秀頼に上洛を促しますが、りえが怒りに震えながら猛反対。秀頼は別の人に替わっています。怒りに震える母を見てなにかを思う秀頼。

で、のだめに次男が誕生したり、欣也は隠居だといいつつ院政をしいたり、初夫がふらふらと初の部屋に現れて急に倒れたり、のだめが次男を可愛がりすぎちゃって竹千代が寂しがったり、秀頼が側室(ゴーオンシルバー)を迎えるのに、なぜかりえが深刻な顔をして大仰なBGMを背負ったりしているうちに、数年の歳月が飛ばされます。あんまり登場人物の老けづくりとかが変わらないから、なんだか時間の経過が分かりにくいんだよなあ、このドラマ。

夫を亡くした初は常高院となってのだめのところに現れ、次いで、りえのところに身をよせます。姉と妹との間をつなぐつもりです。しかし、りえは、徳川家のことが話に出るだけで異常な取り乱しぶり。やがて、秀頼に上洛を促す使者がまた訪れますが、今度は、何かを学んだらしい秀頼が自ら冷静に「行きます」と言い出します。どうでもいいですが秀頼、なんとなく猿っぽい人です。で、秀頼が来ると聞いた欣也がむしろ驚きます。

秀頼が欣也に謁見する前、暗殺を恐れる加藤清正は、「何かあったらこれを」と、仕事人のごとき太い針を渡しますが、秀頼はいらぬとばかり柱に突き立てます。突き立てっぱなしで行ってしまって、その様子は欣也につつぬけです。秀頼は欣也に会うと、「詫びに来ました」「秀吉のせいで国替えをされたりひどい目にあったのに、豊臣のために働いてくれてありがとう、これからも共に天下泰平のためにヨロシク」的なことを、気負った様子で申し述べます。欣也の家来がなんだか困った風にします。大阪に帰って来た秀頼は、「よく無事で…」と涙を流す情緒不安定なりえに、「しょうがないなあ、母さん」風にお兄さんっぽくしています。

江戸では理が、「秀頼様を関白にして、私が将軍としてお支えしよう」という構想をのだめに語ります。成長した秀頼に将軍を譲るプランは理の心の中でも消滅しています(笑)。そういう話をただ聞いているしかないのだめ。でも正直、のだめの登場時間が少ない・のだめが何もしない回のほうがドラマとしては面白い気がします。

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2011年10月02日

江 38話「最強の乳母」

「最強」という言葉はいつからこういう使われ方をするようになったんだろう、などと思いつつ、江38話を見ます。

さて、のだめは冒頭、後の家光となる竹千代を産みます。「そなたたちの諍いを見なくてすむようになるから安堵した」と、正直な感想を述べる理。そこへ、後の春日局、福があらわれます。加賀まりこは「鬼」よばわりされていますが、福(富田靖子)は、さしずめ、悪魔のような女という描かれ方です。全く目が笑っていない笑顔で、「では早速」と、産まれたばかりのちっこい竹千代を抱いて消えてしまいます。呆然とする理とのだめ。いやいやいや、いくら欣也が勝手な親父でも、理やのだめが知らない乳母がいきなりやってくるなんてこたあないでしょう。いや、あったのか?

さて、その欣也は、ちょっと秀吉のお祭り(豊国祭)が盛り上がったくらいで意外にも動揺して、また家光誕生を聞いて、将軍職を理に譲ると言い出します。「え…今何と仰せになりました」と、さも意外そうに驚き、将軍就任を断る理。「姉上を追いつめ、義父上は天下を狙っておられるのですか」と、お約束のごとく問いただそうとするのだめ。対する欣也は「徳川の主であるこの家康に従え」「いいかげん徳川の嫁になれ」などと、理屈抜きです。普通、もっと話すことがあるでしょうよ。思えばこのドラマ、信長も、光秀も、秀吉も、家康も、何かのだめにとって理不尽に思われることをするときは常に理屈ぬきです。

悩んだ理は、のだめを熱海の温泉に誘います。二人が温泉に出かけたと聞くや、欣也は、のだめが理に将軍職を襲うことを決断させる何かを引き出すかも、そのためにのだめを嫁にしたのだ、などと、いかにも後付けっぽく草刈正雄に語ります。が、いくら重々しく言っても説得力なしです。

さて、温泉に浸かっていた理とのだめは、どういう風の吹き回しか、天下泰平のために理が将軍になったほうがよいと同時に考え始めます。自覚が出てきたといえば出てきたという話ですが、別に熱海に来なくても、のだめが嫁でなくてもできたに違いない決断です。

理の将軍就任後、唐突にのだめのところに福が現れます。「徳川様が父の仇である豊臣を必ずや滅ぼしてくれると信じて私は竹千代様の乳母になったのでございます」「そういえばお方様も秀吉の養女でございましたわね」と、禍々しい呪いの言葉だけを笑顔で告げて去っていく福。何をしに来たのだか。そして、そんな福にビビるばかりののだめ。そんなこといいのか Go! そんなことで己の信じる道を行くことができるのか Go!

別に春日局がどのようなドラマにおいても大原麗子のような春日局である必要はないのですが、これじゃあ家光が根性曲がって育ってしまいそうな春日局です。このドラマはいったいどういうところに落ち着いていくべく走っているのでしょうか。

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2011年09月25日

江 37話「千姫の婚礼」

のだめは冒頭から、いきなり、幼い娘が消えてしまう夢をみています。

大阪では、2月、欣也が秀頼のところに新年の挨拶に訪れます。りえや真治に口々に、新年の挨拶にしては遅いと言われ、秀頼にまで「そちの新年は今来たところかもしれぬが我らの新年はとっくに終わったわ」と言われる始末。さらに真治くんは、関ヶ原後に欣也が行った大名の知行について、今更のごとく文句をつけます(ところで真治くんは欣也を詰問できるほどの立場なんでしょうか。謎)。が、欣也にこたえるわけもありません。さらには欣也から、「あっ、そうそう、私、征夷大将軍になることになったんでヨロシク」的な発言が飛び出し、りえも色をなします。

江戸では、欣也の将軍任官の話と同時に、千姫と秀頼の婚礼を進めたいという話が伝えられます。「急な話…」とみんなが戸惑いますが、欣也とりえがケンカにならないようにするために、しないわけにいかない婚儀です。のだめは千姫の婚礼につきそって大阪へ行きたいと言い、許されます。理は、「娘を政略の道具になどしなくていい世の中にならないかなあ」と言い、草刈正雄に「そういう世の中をあなたが作りなさい」と言われます。もっともです。前回、成長したとも言われていた理ですが、まだ自覚が足りていない感じです。

のだめは大阪ではりえや初と久々に再会。初は、りえにものだめにも顔向けできないとゴネている場面がありましたが、結局大阪に来ていて、屈託なさそうにしています。のだめは男前に育った完にも会います。さらに、帰路伏見で、身ごもっていた子どもを出産することになります。千姫の予言通り女の子です。「もしこの子を養女にしたらどうするか」と問われた、自身には子のいない初が、「夫が側室に産ませた長男に嫁がせて手元におきたい」と答えると、のだめは養女に出すことを即決。「もう娘を政の道具にしたくないから」と言います。子どもは基本的に乳母に育てさせていた武家の女性が、そんなに自分の子どもに強いこだわりがあったかどうかは測りづらいものがありますが、この展開は、かなり前からの伏線を上手く使っています。

なお、史実では、千姫の輿入れは慶長8年、江の秀忠との四女・初の誕生は慶長7年ということになっており、実際には1年ずれています。また、京極家の養女になった初は夫と仲がよくなかったと言われ、しかも20代で亡くなっています。


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