2005年07月15日

活性酸素が老化に関与しない?〜その2〜

先ほどのBlogを書いた後、時々ご紹介しております我々医療関係者向けのメルマガで、Yahooで紹介されていた記事の続きがあることが分かりました。
以下にご紹介いたします。

 
チームは、「ミトコンドリアDNA」と呼ばれる、細胞核のDNAとは別にミトコンドリアが独自に持つDNAに着目。このDNAの損傷修復機能を失わせたマウスを遺伝子組み換えで作った。
 すると、組み換えマウスのグループは、正常マウスのグループに比べてDNA損傷が加速的に蓄積。脱毛や白髪化、背骨の湾曲などの老化症状が見られ、老年性難聴の発症も確認された。
 グループ内の最高寿命も、正常なマウスの約28カ月に対し約15カ月と短かった。また、ミトコンドリアDNAの損傷が蓄積するとアポトーシスと呼ばれる細胞死が増え、老化が進行することも分かった。
 一方、ミトコンドリアの活性酸素のレベルなどを両グループで比べたところ差はなく、活性酸素や酸化ストレスの増加が、老化に関与していないことが分かったという。


全く医学的な知識のない方には分かりにくいかもしれません。
要するに、「ミトコンドリアの老化自体が生物の老化に直接関与しているのであり、活性酸素が老化に関与しているわけではないらしい」という報告です。

この報告は、ある程度活性酸素に関して知識のある者には特に騒ぎ立てるものでもないことは分かりますが、問題はYahooなどの誰でもが見ることの出来る媒体に中途半端に紹介されたということでしょう。
一時、「週刊朝日」にCoQ10は逆効果?というような記事が掲載されたときと同じような印象を受けました。
いつの時代もそのときの常識に反する意見というものはあるもので、それはそれでいいと思います。
「天動説」が「地動説」に変わってしまうこともあるわけですから、常に常識を疑ってかかるということは大切なことです。
さて、そうは言っても、この報告だけで活性酸素が老化に関与しないと結論付けてしまうのは非常に危険なことでしょう。
今後、いくつもの追試が行われてこの結果が正しいかどうかが明らかになっていくでしょう。

この報告にはいくつかの問題点があります。

まず、マウスでの実験であること。
ヒトに当てはまるものではないということです。
ヒトでは、他の動物に比べて、群を抜いて抗酸化力が強いという特徴があります。
一般的に生物では活性酸素の発生量に反比例して寿命が短かくなることが分かっています。
ところがヒトはその関係から飛びぬけて長生きなのです。
それは、ヒトは他の生物に比べて群を抜いて抗酸化酵素の量が多いためだといわれています。
したがって、マウスでの実験はヒトにはそのままでは当てはまらないと言えます。

それぞれのマウスでの活性酸素レベルや酸化ストレスの程度をどういう方法で評価したのかも分かりません。
実は活性酸素レベルや酸化ストレスを測定するのは容易ではありません。
いくつかの方法がありますがどの方法も決定的ではないのです。

その上、仮に活性酸素レベルや酸化ストレスが正しく測れたとしても、その生物や細胞の老化の程度、ミトコンドリアの障害の程度によって発生する活性酸素の量はかえって減ってしまうことも考えられます。

つまり、測定された活性酸素の量は老化の原因なのか、結果なのかがわからないということなのです。

また難しい話になってしまいました。

まあ、この報告に関しては今後の検討の結果を待つこととして、現時点ではやはり抗酸化力を持ったものを積極的に摂取することは「からだにいい」ことだと思っておいていただいて結構だと思います。

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