娘から、「いい映画やから観て!」とlineが来て、
感想も寄こせ!との事。
早速、借りてきて観たのですが。。



映画で、こんなに泣いたのは本当に久しぶり。
2007年に観た、「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」以来か…

以下、ネタバレあり。 R15指定映画。
2014年キネマ旬報主演女優賞等、受賞。





主人公の一子は32才独身ニート。
ぶよぶよに太った体にボッサボッサの髪の毛。
タバコをプカプカ吸いながら、ゲーム三昧の日々。

夜になると、よれよれのTシャツを着替えるわけでもなく、
近所の100円コンビニに行き、お菓子をカゴに放り込む。
淀んだ眼。
何言ってんだか解らないボソボソ言葉。
人と会話するのもカッタルイと言う感じ。


もう映画の始まりからして、
この女、32才にして人生終了してる感、満載。

そんな人生終了してるニート女だっだが、
離婚して実家に出戻ってきた妹と、殴り合いの喧嘩になり、
とうとう家を追い出される。

毎日、買いに行っていた100円コンビニショップのアルバイト店員になり、
一人暮らしが始まる。


厭世観、漂う映像に、観る側もドヨーンとなるのだけど…
中年ボクサー、狩野と知り合った事から一子も少しずつ変化していく。

と言っても、この狩野も相当のクズ男。
美しい恋愛話には展開しない。


遊ばれて、捨てられて、負け犬が負け犬に戻っただけ。
自分は「100円の価値さえない女」と自覚して初めて、
錆びついていた心にスイッチが入る。

何気なく始めたボクシングが、結果、彼女を変えて行くことになる。


後半からラストの展開は、もう壮絶というか、
息を飲み、前のめりになり、涙ボロボロ流しながら観た。

女性のプロボクサーデビューの年齢制限は32才だそうで、一子はギリギリ。
ジムの会長から、
「あんた、人生、熱くなってるでしょ、迷惑なんだよな~」なんて言われながらも、
デビューを諦めようとしない。

何かに憑りつかれたように、
限界を超えて超えてのトレーニングに励み、
彼女のブヨブヨの身体は、みるみる引き締まってくる。
淀んでいた眼が、トラのような鋭い眼光を放っている。


主演の安藤サクラが凄すぎて、怖いくらいだった。
後で調べたら、この映画、
2週間くらいで、撮影を終えたらしく、
彼女は、その2週間で脂肪をこそげ落とし、
プロボクサーと見紛う、技術を身に付けている。
本当にカッコよかった!!
演技も熱演なんて言葉が薄っぺらく感じる位の怪演だった!!


ラスト、
プロデビューするも、ボコボコにやられ、
腫れ上がった顔をクシャクシャにして、
「勝ちたかったんだよ、勝ちたかったんだよ~」
と子供のように泣きじゃくる姿に、
「あなたはもう、充分勝っているよ」と嗚咽が出るくらいに泣いてしまった。


エンディングの若手ロックバンド、クリープハイプの
「108円の恋」が、もう。。。
映画にどハマリすぎて、また涙、涙。

クリープハイプって、ボーカルの甲高い声が苦手で、
ハッキリ言って、嫌いだった。 けど、
去年、フラカンのトリビュートアルバムで、
彼らが、「吐きたくなるほど愛されたい」をカバーしているのを聴いて、
その気持ちは変わった。

楽曲に対しての魂の入れ方が半端じゃない。
作詞・作曲・ヴォーカルの尾崎世界観にしか出来ない表現、
まさしく世界観。

ユーチューブのコメントで、
「若者が聴く音楽。いい年した大人が聴く音楽じゃない」って書いている人がいた。

なんで年齢で、聴く音楽を制限しなくちゃいけないの。
それは感性の違いでしょ。
良い年した大人が、アイドル、追っかけたっていいじゃない。
若い子が、演歌に嵌ったっていいじゃない。


「痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、、、、、、」と叫び唄う尾崎君。

一子も狩野も、その他いろいろ、
この映画にはどうしようもないクズの、痛い人間がいっぱい登場する。
痛いままで終わっても、一発でもストレート、相手に入れる事が出来たら、
それで上等やん。

私は、痛いおばさんと言われたら、
それは褒め言葉と思う事にしよう。










涙なんて邪魔になるだけで
大事な物が見えなくなるから
要らないのに出てくるから
余計に悲しくなる