2006年10月09日

どうしようかな

 ここしばらく、どうもイランの時事ものを書くのに飽きが出てきたので、更新していません。イランにいるならともかく、日本でイランのことばっか書いているのも、リアリティがないしな。

今、日本で話題になっているイランの話というのは、そんなに騒ぐことかと感じることばかりです。アーザーデガーンの話も、米国の圧力ではというより、日本・イラン関係固有のもの(あるいは日本の石油業界事情)として、いずれは破綻するものであったことは、関係していた人なら分かるのでしょう。

 ま、ブログのやり方もそのうち変えるかもしれません。
  
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2006年09月23日

南米のアジテーター

 日本のテレビはほとんど政治ニュースではなく、「海外面白話」みたいに報じていましたが、ヴェネズエラのチャベス大統領による国連演説は確かに面白かったですね。悪魔がいたとか、まだ悪魔の匂いがするだとか。

 アフマディーネジャードは、ニューヨーク入りする前にヴェネズエラやキューバに立ち寄っていて、それぞれチャベスやカストロと面会しています。最近のイラン体制要人の南米訪問は、だいたいこの二カ国にボリビアなど他国を加えるパターンで定式化しているようです。しかしこれら南米諸国とイランは、実質的な(経済)関係強化というよりも、政治的に共闘するだけの戦術同盟に過ぎません。

 結局のところ、「反米陣営」とはいっても、何らかの有効策を打ち出せるだけの総力はなく、戦術を実行しても米国に切り崩しを受けるだけですから、最初から中味のある結束を諦めているのでしょう。そういう意味からすれば、チャベスやアフマディーネジャードが何を言っても、本質的に「海外面白話」に過ぎず、マスメディアが煽って作り上げられる政治の話を我々が消費しているだけの気がします。
  
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2006年09月18日

効果あるのか?

 ブログの更新をサボっていた間、米国がサーデラート銀行との取引した銀行に対し強い制裁を課すと発表したのに呼応して、日本の大手三行が同銀行との取引を止めるとしました。理由は、サーデラートがレバノン・ヒズブッラーへの資金供給窓口になっているということですが、日本はヒズブッラーをテロ組織に指定しているわけではないので、ホントの理由は、米国内での活動継続と天秤にかけて即決しただけのビジネス話なのでしょう。

 当面焦点となるのは、日本財務省の動き。16日の日米財務相会談では、谷垣さんが米側に応える形で、在日イラン銀行等への監視強化を匂わせる発言をしていましたが、口だけ応じて実際は実効性の薄い制裁をやってきたのが今までの日本政府の姿勢。しかしここのところの動きをみると、対イラン強硬姿勢へどんどん傾倒していくのではないかと思ってしまいます。たぶんこれは、次の自民党総裁選から組閣への動きにも連なっていくでしょうね。そのとき、これまで対中東関係で目だってこなかった財務省が、どういう「外交色」を見せるのか、私見では極めて強い親米色を見せるだろうと思っていますが、さてどうでしょうか。
  
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2006年09月02日

米国主導の制裁加速?

 8月31日にIAEA事務局長が安保理に提出するレポートにイランがウラン濃縮関連活動を停止している事実がなければ制裁について議論する、というのが7月31日安保理決議の主旨でした。そしてイランはまったく予測されていたように、活動をやめないばかりか、重水製造施設の開所式を大々的に行うなど、逆に活動は進んでいるんだぞとプロパガンダを打ってきています。

 米国は、安保理で制裁決議を出すために安保理メンバー国に働きかけていく一方で、イランと取引した企業への制裁措置を日欧などと連携強化する「有志連合」制裁へも歩を進めています。おそらくは、マスメディアで安保理での議論が騒がれる一方で、静かに少しずつ、イランと取引をやめる企業が増えていくのではないでしょうか。最近、制裁を食らったロシアのスホーイやインドの化学薬品企業が不快感を露にしていますが、世界中のグローバル企業で米国に逆らえる企業がたくさんあるとは考えられず、安保理制裁よりも効果的な米国主導制裁が進んでいく気がします。その際、イランに拠点があったり取引したりする日系企業はどうしていくのでしょうね。
  
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2006年08月15日

噂の本

 既に原書の出版時に話題になったので買っていましたが、最近邦訳が出た「ザ・パージャン・パズル」の上下巻を高いカネを出して購入しました。米国の対イラン政策の発想を読むには参照すべきテキストですが、分析・研究書という観点から言うとひどい本ですね。どうしてこんなひどい本が早く翻訳されて、ヒラ積みされているのか理解に苦しみます。

 圧巻は下巻中盤の、ハータミー政権の内政状況の記述。こういうものが日本で読まれていって、CIAやNSCはやっぱり素晴らしいんだとの信仰がまた広まるのでしょうか。頭痛がしてきますね。
  
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2006年08月09日

ガソリン価格と中東

 最近,日本国内ではガソリン価格が1リットル140円を突破したことを受け,ニュースなどで街の悲鳴が大きく報じられました。油価がバーレルあたり20ドルから70ドルまで上がれば,この程度の値上げはしようがないという諦めの声ばかりでしたが,なぜ油価が上がらざるを得ないのか,そこに触れた報道は少なかったように思えます。

 油価上昇の最たる原因は,世界情勢をネタに不投機筋が不安を煽って儲けるから。原油供給の変動が誠実に油価に反映されているかはともかくとして,供給自体に大きな障害が生じていないのに,不安が煽られてここまで価格が上がっているというのも不思議です。

 自国に油田がなく,油田を有する経済植民地もない日本が,先進諸国では一番油価上昇の煽りをくらっています。特に最終消費者が。不安を作り上げているのは誰で,どうしたら不安は収まるか,考えていくと中東における米国の存在に突き当たってしまいますが皆さんは如何でしょう。
  
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2006年08月01日

虐殺への下準備

840461a3.jpg 今度のライス米国務長官のイスラエル訪問の「成果」がイスラエルの48時間空爆停止が有名無実の約束に過ぎないことは明らかですが、ヒズブッラー壊滅という大目標の中で、作戦遂行の上で空爆を一時停止して大攻勢の口実を作るといった意図がすけすけです。

 こんなふざけた「戦争」を容認していいのか、まともな国家ならイスラエルと国交断絶してもいい気がしますが、もうこの世にまともな国家など存在しないのでしょう。米国の悪口ばかり言っている場合ではないかも(写真はオルメルト「将軍代理」)。
  
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2006年07月31日

8月22日とその後

 ヴァズィーリー=ハーマーネ石油相が,アーザーデガーン油田の開発開始に向けて国際石油開発と合意がみられたと発表しました。9月22日までに合意できなければ契約を見直すとイラン側に再三言われ続けただけに,久々の「朗報」となりそうです。これで地雷除去や整地の段階が終わって,本格的な施設建設が開始される予定です。こうなれば簡単に引くわけにはいきませんね,日本も。

8月22日と言えば,核開発問題をめぐる包括的見返り案に対し,イランが回答する期日とされてきましたが,ちょうど今日,安保理が対イラン警告決議を採択すれば,期日を待たずにイランが見返り案を拒否する可能性が非常に高くなりました。そうなれば,9月には安保理で制裁決議採択なんてこともありえます。

 アーザーデガーン油田と核開発が日本・イラン関係のトップ・アジェンダになって数年が経ちましたが,今秋にそろそろ大きな山に差し掛かるような気配です。
  
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2006年07月30日

警告決議採択へ

 国連はレバノン情勢への対応で注目を浴びていますが、その陰に隠れがちだったイランの核開発問題で一つの山を迎えました。この問題で初めての安保理決議が明日にも採択される予定で、イランの反応が興味深いところです。たぶん全面拒否するのは確実でしょうが、そこからNPT脱退議論が活性化し、次の制裁決議までに脱退してしまう可能性も否定できません。

 急場になると一旦軟化するというように、イランはプラグマティックな一面も有していると言われる時もありますが、問題は何をもってプラグマティックな選択をする基準が設けられているかでしょうね。制裁決議というムチと包括的見返りというアメが、イランにとって妥協する材料となり得るのか、どうも疑問ではあります。
  
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2006年07月27日

おじいさん退場か?

 専門家会議選挙というのが,今年の11月17日に実施されます。革命以降4度目の選挙で任期は8年,役割としては最高指導者を選出することになっています。といっても,今のハーメネイー最高指導者が二代目なので,まだ一回しかその役割を果たしていませんが。

 専門家会議は,地方ごとのブロックに数議席が割り当てられ,国民の直接選挙によって選出されるため,最高指導者は間接的に民選されているとの体制側の根拠になっています。しかし,専門家会議議員は中位以上のウラマーでなければならず,それに加え立候補には資格審査を通過する必要があるので,立候補する段階で既に出来レースに近い状態になっています。

 最近のイラン国内メディアでは,専門家会議選挙に誰が出るかの憶測記事が増え始め,これまで同会議議員を務めてきたベテランの政治化ウラマーの去就が注目されています。近年,同会議では革命以来ホメイニーに近かった議員が軒並み高齢化し,若返りの必要が言われていますが,この若返りがどのくらい年齢を遡っていくかという意味で,11月の選挙は興味深いと思われます。巷では,メスバーフ=ヤズディーの息のかかった若手ウラマーが大量に立候補するかもと噂されていますが,その通りになれば,近い将来(?)の新最高指導者選出を左右する出来事として,今次選挙が位置づけられるかもしれません。
  
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2006年07月25日

イランから加勢

 最近のイラン政界では,レバノンが悲惨なことになっているので,イランから加勢に行かないかということが話題になっているようです。2003年にイラクで米軍に拘束されたアブーターレブ議員は,私用で行くのに国会議長が妨害したと文句を言ったり,エルハーム政府報道官は政府は兵を派遣しないと言っているなど,公的な実質関与は存在しないのだとの懸命な姿勢が伺えます。もっとも,これらの言動を裏返せば,イランからは多くの共鳴者がイランへ行きたがっている(しかし体制側はそれを抑えているのだ)という主張に聞こえます。なので,イランから勝手にレバノンへ行く「民間人」には関知しないとの意味にも取られ,戦局次第ではイランからシリア経由でレバノンへ渡る人々が現れ,イラクと同じで米国(及びイスラエル)から非難されるやもしれません。

 ただ,イランとしては,今回の抗戦でヒズブッラーを支援している事実が確定してしまうと,攻撃を受ける(あるいは核開発問題とリンクさせられ制裁を受ける)可能性が飛躍的に高まるので,先の通りに関与を否定したがっているわけです。しかしイラクの時と違って,今度は「キチガイ」のイスラエルがそのまんま相手なので,同じ手が通用するか疑問ではあります。
  
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2006年07月24日

世界化するレバノン情勢

 イスラエルによる攻撃範囲は,レバノン全土まで広がり,シリアやキプロスへの脱出が日本のテレビでも報じられています。ヒズブッラーもイスラエル北部への攻撃を止めず,ハイファなどへミサイルを撃ち込み続けています。しかし2003年のイラク侵攻ほどではないですが,基本的な戦力がかけ離れていて「戦局」の行方がほぼイスラエル軍の出方次第というのをみると,「暴力の応酬」などという形容は全く正しくなく,これは「侵攻」あるいは「ヤキ入れ」としか形容できないと思います。

 イスラエルの侵攻開始から時間が経ち,各国の対応が目に見えて現れてきました。そこでは国連とEUが目立っていますが,興味深いのはシリアを除く周辺アラブ諸国が,ヒズブッラーが悪いけど戦闘は早く終わってほしいという態度を取っていることですね。アフマディーネジャードはこれに対し,「イスラムの皮をかぶってイスラエルを支援している国家がおる!」という具合に非難しています。どうも対立まで発展しなくても,強硬派の「シリア・イラン・ヒズブッラー・(ハマース)」と軟弱派の「サウジアラビア・ヨルダン・エジプト・(あとトルコ?)」という緩やかな二つの軸が形成されているようです。こんな軸は誰しも予想することではありますけど,ポイントはレバノン情勢の陰に隠れてハマースがどういうアクションを起こしていくかでしょうね。たぶんハマースは,今のヒズブッラーと同じレベルの戦闘レベルでイスラエルと対峙したくないのでしょうが,これもイスラエルの出方次第では「二匹の窮鼠が小熊をかむ」状態でハマースとヒズブッラーが偶然にも「共闘」するかもしれません。

 ま,現時点で考えるに最も可能性のあるのは,何とか調停によって形だけの停戦が実現するのでしょうが,レバノンが再び悲惨な状況になりヒズブッラーがますます追い込まれていく中で,イスラエルと米国に対する地域住民の恨みが増大し,中長期的にはますます混迷を深めるのでしょう。そこで合法的に政治力を高めてきたハマースとヒズブッラーが,いつしか未来に絶望して再び武装路線へ戻る日が,「最終中東戦争」の幕開けかもしれません。そこまで追い込まれた状況になれば,結局は搾取する側にいる日本は,彼らの標的になってしまうのかもしれません。
  
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2006年07月15日

過熱するイスラエル・レバノン「紛争」

92cb08ae.jpg ヒズブッラーのイスラエル兵拉致をきっかけに、イスラエル軍が大規模にレバノンを侵攻、ベイルート空港の滑走路や燃料庫、ベイルート南部のシーア派居住区が爆撃され、ヒズブッラーもロケットをハイファまで打ち込んだりで、急速に戦闘が深刻化してきました。

 イスラエルはヒズブッラーとそれを合法化するレバノン政体を非難していますが、シリアとレバノンに言及することも忘れていません。ダマスカス〜ベイルート・ハイウェイを爆撃したのも、ある意味当然の流れでしょう。しかし現状、ヒズブッラーはほぼ自力でイスラエルと交戦しているようですが、これが「紛争」レベルではなく、「戦争」レベルの総力戦にまでなれば、シリアを中継地にするなり、あるいは直接空輸でイランが支援する可能性は十分あります。

 まだまだ予断は許せませんが、新しい中東戦争にまで発展する可能性が十分にある事件だと思います。日本外交は全然届いていないミサイルへの怒りが収まらず、安保理決議がどうのこうので大騒ぎですが、世界的な危機のレベルでいえば、このイスラエル・レバノン「紛争」が最優先される解決事項ではないでしょうか(写真は爆撃されるベイルート空港)。
  
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2006年07月14日

ジダンへの書簡

 編集責任者が生業に忙しく,書くネタはいっぱいあったのに更新を長らくさぼっていました。こうして人の寄らないブログになっていくのかな。とほほ。

 ところで,12日付の新聞を見て驚いてしまったのですが,ボルージェルディー国会安保外交委員長が,ワールドカップ決勝戦で頭突き退場したサッカー仏代表のジダンに対し,ムスリムの名誉を守ったとして賞賛の書簡を送付したとのことでした。この報道の後に,ジダンは記者会見の中で「母と姉が侮辱を受けた」と釈明していますが,どうも前後関係が分かりません。

 というか,ジダンがアルジェリア系なのは有名でしょうが,彼はムスリムなんですかね?知っている人は知っているのでしょうけど。まあ,サッカーする上でそこは重要なのではないでしょうね。くだんの報道には,ジダンの名がペルシア語で「ゼイノッディーン」となっていたのも気になります。

 しかし真相が分かっていないのに,こんな書簡送付を公表するという神経がすごいよな。
  
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2006年06月24日

日本から中国へ

21334ecd.jpg 編集責任者の世事の雑務が忙しく、なかなか更新できませんでしたが、この間にイラン情勢は刻々と動いていました。大きなところでは、核開発問題で安保理常任理事国などが示した「包括的見返り案」に対し、イランが二ヶ月後に返答するとしたことが挙げられますが、中長期的に見る時にかなり意味のある話としては、アフマディーネジャード大統領の中国訪問にあると思います。

 数年前からイランが積極的にアプローチをかけていた上海協力機構は、最近までさして注目されることのない地域連合体でしたが、米国一極支配の横暴振りが顕著になってきたことで、米国世界へのオルタナティブな対抗軸になり得るかと見られ始めています。今回の首脳会議には、プーチンや胡錦涛も参加して、イランも体制指導部からやる気満々で、アフマディーネジャードを参加させたようで、イラン国内メディアもそんな感じで扱っていました。

 上海協力機構が、実態として意味のある政治的協同体になり得るのはまだまだ先の話でしょうが、イランとしては味方を増やすとっかかりとして、十分に利用したいところでしょう。その点で、中国の政治的役割にもイランは期待するわけで、今回の首脳(級)会談は、従来のイラン・中国関係がさらに一段強まった転機となったかと思われます。ここからも伺えるように、イランは日本との関係を相変わらず重視しつつも、東アジア諸国それぞれに対するイランの力の入れようでいえば、日本の相対的重要性は下がるばかりのようです(写真はアフマディーネジャードと胡錦涛)。
  
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2006年06月11日

そして悪化へ

 国連安保理常任理事国とドイツの6ヶ国による、イランの核開発活動の停止と引き換えに様々な特典を与えるという所謂「包括的見返り案」が提示され、イランはしばらく考えるということになったようです。今回の目玉としては、実験用ウラン濃縮の容認や航空機部品の提供などがありますが、イランの領土不可侵保障が一番の「アメ」のように見受けられます。しかしこれでイランが受け入れるとは到底思えないのですけどね。

 イランが「期限(サミット直前?)」までに拒否するか、対案を出して欧米を逆にキレさせてしまうか、短期的な展開はまだ読めませんが、いずれ安保理で初歩的な警告決議を採択する動きになるのは、どうも間違いないような気がします。しかしどうせ実効性のない警告決議だし、イランは遠心分離機の組み立てや設置・整備などを加速させ、重水炉関連設備や粗鉱加工設備の建設を進めて、さらに欧米の神経を逆撫でさせていくのではないでしょうか。既に米国は取引と制裁の両アプローチを実施するべく、こないだの日米財務相会談のように、銀行取引規制など金融制裁の具体策を詰めようとしています。おそらくこれから数ヶ月くらいのスパンで、日本・イラン関係は政治レベルで悪化し、しばらくしてそれが経済関係に波及していくのではないでしょうか。
  
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2006年06月03日

権力はどっちだ?

 先月号の『現代思想』がイスラム関連特集だったので、買って読んだりしていましたが、なかなか面白い論考が多くて、久々にお買い得の本だったなあと記憶しています。イラン関連では、ファクレジャハニ氏のジェンダーものが良かったですが、フーコー晩年のイラン革命論考を扱った「フーコーのテヘラン」は、在米イラン人歴史学者ジャネット・アーファリーが共著で『フーコーとイスラム革命』を最近出したこともあって、まさに時機を得た論考と思いました。

 で、このブログで言及したかったことは、栗田氏による池内氏批判です。両陣営の論争(?)にコメントする気力はここではないのですが、立ち位置がお互い違うのに、果たして「論争」は可能なのかなあというのが曖昧な読後感でした。本ブログの趣旨から一言言えば、権力側を批判すればするほど距離は遠くなり、権力システムに自らの影響を及ぼすことが不可能となるのではないでしょうか。だからといって批判をやめろということには当然なりませんが、中東研究者が日本の対中東外交に影響を与えるためには、真正面で対峙する以外の方法もあると思います。

 真っ向批判する研究者に特徴されるのは、だいたい1950-60年代生まれで、東大院でとある権威に学んで、安定した教育・研究職についていることです。彼らは批判する側で安定を確保できているので、相手の考えを変える(あるいは一緒に考える)という必要を有しません。それが批判の論理にどう関係するかはまた考えてみるとして、片やイスラムや日本の思想状況を懸念して本質主義を批判する中東学界の安定権力、そして片やイスラム本質主義を手に日本の右翼的論壇で活躍する者、どっちにつくのもくだらないなあと思ったりします。  
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2006年05月24日

湾岸諸国間のビミョーな違い

 最近,GCCがイランの核開発問題に関し,オマーン外相を団長とする合同訪問団のテヘラン派遣を検討しているとの報道が出てきています。表向きは原子力開発に伴う環境への懸念ということですが,本音はイランが核技術を取得することによる湾岸地域への脅威増大というところでしょう。

 基本的にGCCのイラン対策は,盟主のサウジアラビアがUAE,クウェート,オマーン,バーレーン,カタルの意見を汲み取りながら全体を纏めていくという構図でしょうが,各国の対イラン関係をみると,そうそう簡単に纏まるのかなと思われます。シーア派問題にしろ,サウジアラビア,バーレーン,クウェートはイランとの関係を気にしていますが,UAEにはほとんど関係のない主題ですし,三島問題にしても,一応GCCとしては三島はUAE固有の領土だとの立場を堅持していますが,イランとの領土係争問題がないに等しいオマーンなんかは,成り行きを傍観しているだけという気がします。

 ま,それでも,湾岸アラブ各国の指導層は,建国の歴史をみても,イランの影響分子を極力排除して国を成立させてきたわけで,共通の最大脅威との評価はあながち外れてはいないでしょう。オマーンが交渉の先頭に立って激しいやりとりになるわけもありませんが,核開発問題でGCCが首をつっこんでどういう展開になるか,興味のあるところですが,たぶんすぐに立ち消えになる現象と予測されます。
  
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2006年05月13日

対話の不能

 対話というのは、互いが何らかの前提を共有認識した上で、意見を言い合うものだと思います。そしてその前提は、常識めいた「真理」である必要はなく、互いのその正当性を疑いつつも、対話して行くために不可欠な基盤として、仮使用していくものでしょう。

 アフマディーネジャード大統領が、ブッシュ米大統領へ書簡を発出し、米政府側は「国際社会の懸念に応えていない」として、ばっさり切り捨てました。書簡はかなり低姿勢にブッシュに語りかけています。もっとも、米国側が拒否の姿勢を示すことを読んで、こういう書き方にしたのでしょうが。

 イラン側は世界における米国の立ち振る舞いという、いわば現在の世界が抱える最大の問題について議論しようというのに対し、米国側は現存の「国際秩序」の脅威となっているイランの核開発問題を各論レベルで議論しようとしています。ここでもう、互いが対話の前提を意図的に異ならせる情況ができています。前提を共有しない限り、長期に安定する合意は成立しません。イランの核開発問題は、今度の安保理決議で何かが進展するわけもなく、まだまだ悪化していくのは間違いないと思われます。

 しかし、書簡の内容をよく読むと、イラン国家体制の国際観が簡潔に現れているだけではなく、米国を始めとする「国際社会」に不満を持つあらゆる人々、組織、国家の関心を引くものになっています。米国が威張って言う「国際社会」が、実は世界のマイノリティーであり、また力的にも張子の虎のような存在であることを、日本を含めて米国式「国際社会」に組みいられている者は認識する必要があるでしょう。米国側にしょうがなくついているとした上で、イランを非難することに変わりはありませんが、前提の妥当性を常に疑っていれば、米国に道連れにされずオルタナティブな行動ができると思います。しかし今の日本は、米軍基地についての「交渉」を見るとおり、間違いなく道連れにされることを望んでいるようです。
  
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2006年05月07日

脱線

 そういえば最近、あるイラン関係の某大学名誉教授が「今の時代は食料がたくさんあって若者は昔の苦労を知らん」と言い張って、今の若者は恵まれているとの類のことを学生に滔々と述べていたことを思い出しました。もう7-8年前くらいのことでしたが。編集責任者は「アホかこのおっさんは」と思いましたが、戦後50-60年代の大学・大学院という超エリート養成機関を出て大学教員を長くやっている稀に見る境遇を考えて、何言っても無駄だろうなと結論した次第です。現代に対する関心が著しく低いのか、自分も人並みの苦労をしたと吐露して自らを救いたいのか。

 この物価のご時世で、定職のある正社員でもだいたい平均年収300万、数多いる母子家庭の平均年収は200万強、さらに「平均」を吊り上げているのがなんとかステージとかの分譲マンションを買えちゃったりする大企業サラリーマンだったり高級取りのおじいさんたちとか考えると、ろくに食べていけない人は名誉教授の目に触れないところで生活しているだけ。しかしよく考えると、名誉教授のような感性を持つ研究者は私見では学界にとても多く、イラン関係の書籍を読んでもよく分かるところです。だいたいは観念論が大好きですね。「イラン人はプライドが高い」「イランには古くて高貴な伝統文化がある」「ペルシア語は東洋のフランス語」などと無自覚に明るい文化人顔して言っていますが、どの主張もインチキに過ぎないと断言させてもらいます。文化やプライドの主体は誰であるのか、全く詰めていないのにアカデミズムの衣を纏って「中立的」に語る善意溢れる知識人・・・なんか纏まらないのでこのへんで。
  
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