電子書籍化

告知屋が電子書籍化されました。 ライトなラノベコンテスト。 最終選考に残った中、15人の有志が切磋琢磨し一丸となってお送りする作品集。 プロの校正を経て生まれ代わり、イラストレーターさんに色付けられた作品。 是非ともこの機会に、各々の作品をお試しあれ。 http://www.amazon.co.jp/gp/B00K1E1YVY/ all2

【 告知屋 】編集後記




文字制限三万文字終了。

初めての投稿に戸惑いながらも良い経験でした。
ここまで読んで頂いた方々には心からの感謝を。


続編は別アカにてアップ致します。m(_ _)m








【 告知屋Ⅱ 】はこちらから http://blog.livedoor.jp/mokunosuke_west-0220/

【 告知屋 】 プロローグ



「御免なさい!母が!母が危篤なんです!お願いします、譲って下さい!」

僕達は、やっと捕まえたタクシーに慌てて乗り込もうとするサラリーマンを押し退けて、その車を強奪するかの如く代わりに乗り込んでいた。

「び、病院は何処だね?急いで行かなきゃ!」

タクシーを急発進させた運転手さんが慌てて僕らに行き先を聞いて来た。

「取り敢えず真っ直ぐに行って、適当な所で降ろして下さい」

「な、・・・!?」

呆れる運転手さんを尻目に、僕達はワンメーターも行かずにタクシーを降りていた。

「何て奴等だ!ふざけるんじゃないよ!」

運転手さんが怒るのも無理は無い。

僕達は御互いに顔を見合せると、寂しそうに手を繋いだんだ。

「しょうがないよ・・・。珈琲でも飲みに行こうか」
「うん・・・」

リサが寂しそうに頷いていた。




 先程のサラリーマン、井上聡志は大手家電メーカーの社員である。
彼等はこの後に数社による大事なプレゼン大会を控えていた。
そこでのプレゼンを行った井上聡志の会社は、海外での工場建設の権利を勝ち取る事になる。しかしその計画は直ぐに頓挫してしまうのだった。
慌てて現地に飛び立った責任者の彼を待っていたのは、暴動に巻き込まれた末の非業の死であった。
そう、全ては今夜あのタクシーに乗っていれば、のお話である。

 彼の会社の危機を回避し、彼の命をも救った事は半年後を待たなければ誰も知り得ない。
半年後の彼等は、プレゼンに遅れ権利を勝ち取る事が出来なかった偶然に感謝をする事だろう。
だが今の僕達は何処から見ても只の迷惑な頭のおかしい若者だった。

 こんな事は自己満足でしか無いのかも知れない。
誰にも解って貰えない辛さ。リサの過ごして来た哀しみ。これ迄の彼女の苦悩を考えると僕は気が狂いそうになる。
でもこれからは二人なんだ。二人でこの運命を背負って行くんだ。
 僕は繋いだ手をきつく握り締めると、喫茶店へと続く道程をゆっくりと歩き出した。




 最近になってリサはある告白を僕にしていた。
彼女が分かるのは、何も人の死に繋がる事ばかりでは無いと言う。
そう。直感ってやつだ。本来なら僕達の内にもある筈の直感。
昔から危機を回避する為の直感は、皆が持ち合わせている物だ。
しかし情報過多の現代人は、この機能が著しく低下している。
「虫の知らせ」「第六感」を現代の人は歪めて捉えている。
これは我が儘から来る違和感とは断じて同じ物では無い。

「あんな場所、行かなきゃ良かった・・・」
「あの時好きだって抱き締めてやれば・・・」

人の志向の源は言い訳だ。そう語る心理学者もいる。そう、言い訳を無理矢理に肯定し納得をしているのだ。僕もリサと出会って居なければ、勘違いをしたままの言い訳を続ける人生であったのだろう。
 無数の選択肢の中に置いて、僕達は気の遠くなる程の「幸運」によって生かされ続けている。「一歩間違えれば」を、ぎりぎりで回避し続けているのだ。
そんな他人の「必然」を操作し「偶然」に変える作業は、果たして善と言えるのだろうか?
死ぬ筈の運命を変えてまでその人物を生かすと言う事は、本当にその人の為となり得るのだろうか?
 だがリサには見えてしまう。知ってしまうんだ。
知ってしまった物に目を瞑る事は彼女には到底出来はしない。
 だから僕が代わりに言う。僕は未々これからもっと修行しなくてはいけないんだ。
僕は彼女の安堵した可愛らしい笑顔を見る為に今日も戦い続ける。

 僕の「告知屋」としての人生が始まる。





 


 


 

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