木造建築家のヒトリゴト

木造専門の建築家が「これは!」と感じた情報をお伝えしています。 自然環境と共生するこれからの木の家づくりとは? 自然エネルギーの有効活用、森林保全、古民家再生、国産木材の活用などについて

尼崎で基礎工事が進行中です

兵庫県尼崎市内で新築住宅の基礎工事が進行中。
下の写真は、土間のベースコンクリートを打設した直後の写真です。

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このベースコンクリートを打設したときは、ちょうど最強寒波が来ていたときでした。

コンクリートが寒さで凍ったりしてしまっては大変なので、コンクリートに使うセメントを普通セメントから早強セメントにしたり、強度を2段階上げたり(←これを温度補正といいます)、コンクリート打設後は温度が下がりすぎないようにブルーシートで覆ったり、といろいろ手を尽くしました。

コンクリートという無機質な材料も
「ジャバジャバと流し込んでしまえば、あとはほったらかしでオッケー♪」
というような乱暴なものではなく、実はなかなかデリケートです。
( ↑ 今の時節柄だから・・・という事情もありますが)

また明日から寒くなるようなので、気をつけておかなければ、と思っているところです。

桧の足固め 雇いホゾ

1月末から淡路島で築100年の古民家再生工事が始まりました。
昨日はその現場監理に行ってきました。

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1月に内部間仕切や床組み材などの解体・撤去工事は完了済みです。
床組を撤去して柱脚部をむき出しにしてみると、シロアリの被害が予想以上に大きく、その蟻害部分の補修と耐震補強の判断に苦心しました。

古民家のような石場建て伝統構法の場合、大きな変形と共に耐力がじわじわ上がっていく性格の耐震要素を設置してあげて、建物全体の耐震バランスを崩さないように補強することが最も重要です。

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上の写真は主な柱の足元間をつなぐ足固め(あしがため)と呼ばれる部材を設置している状況です。

既存の建物にはほとんど足固めが残っていなかったので、今回の改修工事に際しては、全面的に柱脚部を補強していきます。
足固めに用いている木は桧。
断面寸法は4寸×6寸で、雇いホゾ+丸込栓で柱と柱の間に設置しています。

なかなか手間のかかる大変な作業ですが、これをきちんとやってあげないと構造体がフレームとして完結せず、上部構造の耐力もきちんと発揮されないのでとても重要な工程です。
 


この現場を施工して下さっているのは、地元・淡路島の総合建築 植田さんです。

現場担当の大工さんは佐藤さんという方で、個人的には親近感があります(笑)。
総合建築 植田 のみなさんは建物づくりに対する姿勢がとても素晴らしく、なかなか良い感じで現場が進んでいきそうです。



今月からは現場もあちこちで動き始めます。
上記の淡路市の他に、尼崎市で現在基礎工事が進行中、明日からは京都でまた別の新築物件が着工します。

昨日、ようやく新しいホームページも公開し終えたところですし、これから頑張って更新していきますのでまたちょこちょこ覗いてやって下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。

今日は立春、東風になって3年経ちました

今日は立春です。

立春とは冬至と春分のちょうど真ん中にあたるそうのだですね。
(知らなかった・・・)



2009年の立春に、木造建築 東風と現在の名称に変更してから、今日で丸3年。
これから4年目に入ります。

みなさまの暖かいご支援・応援のおかげで、何とか事務所が運営できていることは、本当にありがたいことです。
日頃のご愛顧に対し、心より御礼申し上げます。



さて実は、一昨年の秋よりのらりくらりと進めてきた東風ホームページのリニューアルが一段落し、公開しても概ね問題ないレベルになりましたので、今朝新旧ホームページの交代を行いました。

未完成な部分が少し残っているのですが、もしご興味があれば覗いてみて頂けると嬉しく思います。



新しいサイトのコンセプトは、
「パッと見てわかりやすく」
ということを軸に作ってみました。

○ 東風ってどんな特色があるの?
○ どこにこだわってるの?

というところも、直感的に伝わるのではないかと思います。

これまでのサイトに比べると、テキストの情報量はかなり減らして、画像を増やしています。
ご意見・ご感想などありましたら、送って頂けるととても嬉しく思います。



今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

木造建築 東風の新しいサイトはこちら(↓)
 http://www.mokuzo-architect.jp/

初釜 2012

本年の初投稿です。

旧年中はみなさまこのブログを見に来て下さり、本当にありがとうございました。
2004年12月から始めたこのブログも、ついに8年目に突入しました。

実は2年越しの課題・ホームページの全面モデルチェンジに取り組んでいることもあって 、このところすっかり更新ペースが落ちていますが、ボチボチいきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。



昨日は茶道の稽古場の初釜でした。
僕が習いに行っている稽古場では、毎年初年度1回目の稽古のときに、初釜として少し簡略化した茶事が催されます。

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↑ 床飾り


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↑ 長板を使った点前座の構え

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↑ 点心

この点心がと〜っても美味しかったです。

稽古場の先生と弟子のみなさんで作って下さったのですが、
「これ、料亭で出せるんじゃないですか?」
というほどおいしかったです。

写真を撮っていないのですが、この点心の後で濃茶・薄茶を頂きました。 
昨年は稽古も休みがちだったのですが、今年はもう少し頑張って行ける回数を増やしたいと思っています。 

あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2212年に言ってもらえる家

桧(ひのき)の丸太梁の加工

この秋から構造材の準備に取り掛かっている、尼崎市H様邸の墨付け・刻み作業が少しずつ進んでいます。

今日は2階の屋根を支える丸太梁の加工の様子をご紹介します。
 

 
まだ本格的に刻みの作業工程に入ったわけではなく、墨付け作業(※)の途中ですが、この丸太梁自身および、これに絡む梁の墨付けをするためには、丸太のフォルムを決めてしまう必要があり、削っています。
 
※【墨付け(すみつけ)】とは、木材を組み合わせるホゾや蟻(あり)などの位置・大きさなどを実際の部材にすべて記載していく作業のことです。
 全ての部材に対して、まずこの墨付け作業を施してから実際にノミなどを使ってホゾなどを刻んでいく【刻み】の工程に進みます 
 
 
 
今回H様のお宅で使うことになっている丸太梁は全部で9本あり、全て桧でご用意しています。

一般的に、丸太梁には松を使うことが多いのですが、今回のお宅では化粧梁として見えてくるので、仕上がった表面の光沢や艶など、後年の梁の美しさも考え合わせて桧を使うことにしました。

なお今回の桧の丸太梁も、東風では全て原木の状態で購入しています。

 
 
以下に現在行っている丸太の仕上手順をご紹介します。
 
 最初はこんな状態(↓)です。
 
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原木で購入した桧を、2面のみ帯鋸(おびのこ)で製材して面(つら)をつけます。
この写真ではわかりにくいのですが、製材の際にも2面を平行に挽くのではなく、木の元(もと:根に近い方)は厚く、末(すえ:天を向く方)は少しだけ薄く挽いて自然なテーパーがつくように挽いています。

上の写真は平積みしている状態なので丸太が横を向いていますが、実際には右に90度回転させた向きで梁として組み上げます。 

 丸太の製材はこんな要領(↓)でテーパーをつけて行いました。
 
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今回は丸太の断面を円形→八角形に削って仕上げます。
 
皮をむいた丸太のままの表面もおだやかできれいですが、8角形に削り落として仕上げると、ぐっと締まった表情になり、同じ材料とは思えないほど格が上がった雰囲気になります。
 
まずは丸太の木口に仕上がり位置の墨をつけ、鋸でざっと荒削りしてから電気鉋で少しずつ削っていきます。
(昔はこの作業を斧とチョウナで行っていました)
 
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 ↓ 電気鉋で削っている様子
 
 maruta04
 

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上の写真が、全ての梁を電気鉋で仕上げ終えた状態です。
部材の断面形状としてはこのような8角形になりますが、表面はこの後、墨付け作業+刻み作業を終えてから、手鉋で削って仕上げます。
 
ダイナミックでいて、なおかつ上品さも持ち合わせるような雰囲気にするため、今回は材料選定の際、丸太の曲がりが緩やかなもの(=直線に近いもの)を意図的に選んでいます。
 
 
 
東風でつくる建物では丸太梁を見せることが多いのですが、こういう仕上を施すのも機械で刻むプレカットの際には行っていません。
手刻みならではの仕上げ方です。



よく、
「手刻みとプレカットとでは、どこがどう違うのですか?」
という質問を受けて、説明に困ることがよくあります。
( ↑ 一言では説明しにくいのです・・・)

手刻みには手刻みにしかできないことがあります。

建物の強度・仕組み・特性も、プレカットか手刻みかで変わるのですが 、こういった細やかな仕上作業に要する手間の違いもデザインに大きく関ってきますし、このように削って仕上げる場合にはそれだけ大きな材料が必要になってくるので、材料単価も上がります。

そういった小さなことを積み重ねていくと
「やっぱりプレカットではこういう風にはできないよね〜」
という形になっていくので、当然費用も変わってくるのですが、やはりそれだけの意味や価値はあります。

手刻みとプレカットの違いを分かりやすく説明できる資料、作らないといけないなぁ・・・。

よし、この正月にはなんとか作って公開することに、今決めました。
どうぞお楽しみに。 

大阪駅前 通院でがん治療 青木診療所

大阪駅前で今年の春にリフォーム工事を行った、青木診療所様の外装工事がほぼ完成しました。
完成まで大変長らくお待たせしてしまったのですが、診療所スタッフの皆様にも大変喜んで頂けたようなので、ほっと一安心しています。

改装前はこんな様子でした(↓)。 

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春に済ませた改装工事では、内装がこんな感じ(↓)に仕上がりましたので、内装の雰囲気に合わせて外装も統一したいとのご要望から、今回の外装リフォームに至ったわけです。

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温熱療法によるがん治療機/ハイパーサーミア



春に行った青木診療所様の内装全面改装工事は、このハイパーサーミアを導入することが大きな目的の一つでした。
この機械は大変すばらしいがん治療機で、がん細胞に放射線をあてるようなこれまでの治療とは違って、がん細胞がある患部を温めることでがん細胞を減らすのだそうです。
簡単に言うと温めるだけなので、副作用がないどころか、とても気持ちよいのだそうです

青木先生は大学在学中にずっとこの研究をされていた(※)そうで、積年の夢の実現に際して僕も微力ながらお役に立てて嬉しく感じています。
(※)ハイパーサーミアのがん治療について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧下さい。

ハイパーサーミアの治療には40-50分を要し、患者さんは長い時間この機械に横たわっていることになります。
そこで少しでも気持ちがほぐれるように、落ち着いた雰囲気にしてみました。
病院というよりもなんだかホテルのような感じに仕上がって、僕もちょっと嬉しいです。



と、話がそれてしまいましたが、外装改修工事の話題に戻ります。

まずは、外装のガラス面に2種類の木目調シートを張ります。
本当は無垢の木材を貼りたいところなのですが、高層ビルの避難経路に面した部分なので、内装制限という防火上の規制を受けることもあり、今回はシート貼りにしました。

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これでがらっと雰囲気が変わりました。
診療所というよりも、
「ここは何のお店ですか?」
と聞かれそうな雰囲気です(笑)。



そして、この木目調の柔らかな外観を壊さないような看板を当方でデザインし、設置しました。

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看板の素材には、半透明のアクリル板を使用しています。
文字の色も、木の雰囲気に合うようにと濃い茶色を選択しているため、良く馴染んでくれたようです。 

出入口ドア(←実は引き戸です)は春の内装工事で新しくつくったものですが、奈良県吉野産の赤杉を使っています。
ドアのハンドルは手触りが良いようにと考えて、杉ではなく桧を使いました。



年内になんとか格好がついてよかったです。
青木診療所のみなさま、大変長らくお待たせしてしまい、申訳ありませんでした。<(_ _)>  

神戸市 I 様邸 竣工目前です

すっかり更新が滞りがちです。
すみません。

神戸市 I 様邸がほぼ竣工しました。
養生もとれて、洗いも完了したので、試しにリビングの内装写真を撮ってみました。

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京都の北山杉、奈良の吉野杉

9月の末のことですが、日本民家再生協会の主催で日本建築研鑽会/京都奈良講座2011を行いました。
 
企画は僕が担当し、京都の北山杉(磨き丸太)と奈良の吉野杉(樹齢100〜300年の大径木)の両方の林産地を訪ね、双方のつくり方を1泊2日で観て廻るというものです。



まず1日目は北山杉を観に、京都市の中川という場所へ行きました。
案内して下さったのは、中儀銘木店の中川さんです。 

京都・北山杉編では3ヶ所の山と中儀銘木店様の倉庫・店舗を見学しました。

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上の写真は樹齢700年と言われている台杉の株です。

台杉というのは、上に真っ直ぐ生えている部分だけを伐って商品として出荷するもので、茶席の垂木や小径丸太などとして使うための磨き丸太を育てる木です。

この木は昭和天皇も見学に来られたことがあるそうです。



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次に、主に磨き丸太の柱を作っている山へ行きました。

1坪(畳2帖分の広さ)に3本の苗木を植えて密植し、若いうちから頻繁に枝打ちを施して木が太らないような環境を作って、細く長く育てます。
磨き丸太は末落ちが小さい(=根元と末の太さの差が少ない)ものが喜ばれるので、このような育て方になります。

この後、中儀銘木店様の倉庫と店舗を見学させて頂き、素晴らしい材料の数々を拝見して京都から奈良へ向かいました。



翌日、奈良県吉野では福本林業の福本様にご案内をお願いし、樹齢60年、120年、270年の吉野杉を見せていただきました。

下の写真は270年生と言われる吉野杉の木です。
デカイ!

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参加者のKさんが写真を撮っていらっしゃるところを後ろから撮らせて頂きました。
(Kさんごめんなさい)

胴回りは約4.5M、ということで直径は約1.5Mあるようです。

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最後にこのような250-300年生の超大径木だけをふんだんに使って作った、川上村森林組合のお座敷を拝見。
ここにはもんのすごい材料が贅沢に使われていました。

圧巻はやはり天井板でしたが、柱も赤杉の四方柾4寸角柱だらけで、しかも全ての木の色を合わせるために同じ山の木だけを集めて作ったという、森林組合のみなさんの意気込みがビシビシ伝わる座敷でした。

各所に細やかな配慮が行き届いた丁寧な職人の仕事が見られ、デザインも大変控え目で品のある美しい作りになっています。

よその木材関係者がこの座敷を見学に来たときに、あまりにも材料が美しいものですから
「なあ〜んだ、この部屋は集成材で作った部屋ですか」
 と言ったそうです(笑)。

確かにそんな風にも見えるかもしれませんが、使われているものはもちろん全て無垢材。
たったの2部屋で数千万円かかったというのもうなずけます。 



2日間にわたって京都・奈良の全く性格の違う林産地を廻ったのには訳があります。
実は京都の数奇屋建築では、この両者を一つの部屋に取り合わせて使うことが多いのです。
それをみなさんにご理解いただきたくて企画しました。

来年の2012年講座は、今年の内容を踏まえて建物を拝観させて頂くプランを計画しようと思っています。
どこへ行こうかな ♪

塗り壁と富士山と三日月

神戸市内で工事が進んでいる I 様宅。
施主の I 様ご夫妻が夏から塗り始めた内装壁もついにほとんどの壁が仕上り、左官工事も完成間近です。

この週末に現場へ行ったら、キッチンとリビングを隔てる垂れ壁の裏側(キッチン側)に富士山と三日月が描かれていました。

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ご主人が余った材料で埋め込まれたそうですが、施した場所も間合いもセンスが良くて感心しました。
左下垂れ壁下端に見える黒い点のようなものは、昇らんとしている朝陽だそうです。
(実際は茶色と赤のタイルが使われています。)



調理師免許を持つご主人。

新居でのお料理がこれでさらに楽しくなりそうですね。

尼崎市H様邸 構造材の選木・出荷作業を行いました

来月から尼崎市内でH様邸新築工事に取り掛かります。
久しぶりに構造材を全て手刻みにて行う現場です。

11月に既存建物の解体に着手し、年内には基礎工事を終え、
年明け早々に建て方の予定です。

来週からはついに大工さんによる墨付けを開始するのですが、
それに先立って9月末から10月初旬にかけて静岡のストックヤードへ行き、
一週間にわたって構造材を選別・出荷する作業を行ってきました。
 

 
山のように積まれた構造材の中から、必要な太さ・長さの物を選び出し、
一本ずつ木の目を見ながら、
 
 ○ どの場所に使うか
 ○ どの向き(天/地の方向や東西南北の向き)で使うか
 
などを決めていきます。

木材には元末(根元=元)という下から上への向きの他に、
山の斜面に応じて谷側が曲がるというクセが出ます。

その曲がりや元末の向き、そして節や割れの有無などを確認しながら
木材の配置と向きを決めていきます。

木が活きるように使ってあげること、美しく見えるように配置してあげること
お住まいになるご家族に幸せが集まってくるように材を組んでいくこと
などがこの作業の肝です。 

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これらの木材は3年前に伐採し、4ヶ月の葉枯らし乾燥後、2年以上かけて
ゆっくり天然乾燥させたものです。

北向き斜面の標高900mで育った樹齢130年生の杉・桧で、年輪がとても
詰まっている良材です。
東風自慢の木材です。



使う位置や向きを決めた材料には、下の写真のように一枚ずつ個別のラベルを貼りつけ、
曲がりやねじれなどを取るための修正製材作業時の加工寸法を書いていきます。
 
黒字は1階の構造材として使うもの、赤字は2階の構造材として使うもので、
黄色のラベルは鉋などで化粧仕上げを施すもの、水色のラベルは天井裏や
壁の中に隠れてしまうための化粧仕上を施さないもの、という風に分けています。

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一週間、早朝から日が落ちるまで、毎日毎日大工さんと2人で
ひたすら作業を続けたのですが、結局きっちり1週間かかりました。
 
10/4(火)の午前中から運送屋さんの15トントラックに積み込み、
吉野の製材所へ出荷しました。
 
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毎度毎度のことですが、15トントラックはデカイです。
荷台の長さ9.5m×巾2.3mが構造材だけで山積み一杯になりました。

これに積みきれなかった垂木などの細い材料を、東風の1.5tトラックに積んで
持ち帰ってきました。
来月にはもう一度静岡へ行き、野地板などの板類を東風トラック満載にして
持ち帰ってくる予定ですが、積みきれるかなぁ。
1.5トントラックではちょっと無理な気がしますが・・・(汗)。



これらの材料は先週末から修正挽き(製材)と表面の第1回目の
仕上げ作業(モルダー加工)に取り掛かっており、再来週の初めには
吉野の加工場へ搬入される予定です。

いよいよ来週からは墨付けが始まります。
今から楽しみです。

雨水の途

数年前より兵庫県の丹波市で古民家再生のご相談を受けていて、現在間取りの計画中です。
現在、3件の古民家再生物件のご相談を頂いていて、来年は古民家再生物件が多くなりそうです。

築後約100年ほどを経ていると思われる建物ですが、台風の日に打合せで伺った折、玄関先の軒先でふと足元に目をやると、樋の排水がこんな風になっていました。

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 原始的でとてもいいなぁ・・・と思い、撮った写真です。

今でこそ下水が道路の下に埋設されていますから、樋は雨水専用の宅内埋設配管を経て放流されますが、昔は下水など整備されていませんでしたから、どこの家もだいたいこんな形で流して処理していることが多いのです。

なんだかちょっとほっとしませんか?

神戸市 I 様邸 仕上工事が進んでいます

長らく更新が滞ってしまいました。
前回の更新からもう1ヶ月経ってしまうところでした。

いつも覗きに来てくださる皆様、申訳ありません。
また頑張って更新していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。



台風の被害、みなさまのまわりでは大丈夫ですか?
各所で対応に追われて大変な思いをされていらっしゃる方々が多いと思います。
御見舞い申し上げます。



神戸市の I 様宅では仕上工事が進んでいます。
2階はもうすでに壁も仕上がり、I 様による壁塗り工事も1階の半分を残すのみとなりました。

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上の写真は階段の壁の状況です
2階から塗り始めて、階段を降りてこられました。
もうすでに1階の壁に取り掛かっています。

kobeliving











この写真はリビングの壁下地パテ処理の状態です。
今週末にはまた I 様が壁塗りをされる予定です。

木造の小学校

最近観に行っていませんが、全国各地にはまだいくつか木造校舎をもつ
小学校があります。
(僕は調べていないので知りませんが、中学校もきっとあるのでしょうね)

僕は大阪・京都・奈良・北海道にある木造校舎や体育館を観に行ったことが
あるのですが、それらのどれもに共通していたことがあります。

その木造校舎を建てるための費用を負担したのは、自治体ではなく村の
人々の寄付だった、ということです。



今では少なくなった木造小学校の校舎は、統廃合で廃校になってしまった
ものもありますし、まだ現役で使われているものももちろんあります。

最近読んだ本にそれに関係する事が書かれていて、そうだそうだと
思い出しました。

上述の本の内容はとてもよかったので、また日を改めてご紹介したい
と思っていますが、その本の中にこんなことが書かれていました。



   +   +   +   +   +

地域社会で生活している人たちは、地域の小学校を自分たちのもの
と感じていた。

だから地域の人たちにとっては、
小学校=地域の中心
という特別の思いを抱いていて、小学校の運動会や学芸会などの
イベントは、地域を挙げての行事だという雰囲気があった。

こういう空気だったから、小学校の子供は地域社会の子供として
とらえる気風もあった。

よその子が悪さをしていると、自分の子供と同じように怒ったり、
貧しい家の子が、勉強ができるのに経済的な事情で上の学校に
行けない場合など、地域の篤志家が援助して学校に行かせる
ということがあった。

   +   +   +   +   +



これを読んで、確かにそれはそうだろうなぁ・・・と感じました。

僕たちの世代では、ほとんどの小学校はもうすでに市立になっており
実際僕が通っていた小学校も、まだ一部に木造校舎が残っていた
とはいえ、80%は鉄筋コンクリート造の校舎でした。

市が建設費を出してくれて、しかも鉄筋コンクリート造で、という小学校に対する愛着と
自分も含めた地域のみんなでお金を寄付して、木造で建てた小学校に対する愛着とでは
それはそれは大きな違いがあるでしょうね。



また木造校舎を観に行きたくなりました。
今、どのくらい残っているのかな? 

外出先で仕事をする時の場所

仕事中に外出先で時間をつぶさなくてはならないことがよくありますよね。

そういった時は喫茶店などに入って、ノートパソコンで仕事をしたり、資料に目を通したり、本を読んだり、構想を練る時間に充てたりされることが多いと思うのですが、往々にして喫茶店というのはやかましいですよね?

昨日の朝は大阪市内でビルの地下にあるサンマルクカフェに入ったのですが、スターバックスなどとは違ってとても静かでビックリしました。

店内に流れるBGMは静かなJAZZだったし、なぜかみなさんお一人で過ごされているお客様ばかりでした。

 

ひょっとしてそういうお客様に来てほしい、というサンマルクカフェの指向のせいなのかもしれませんが、かなり快適に仕事ができたので、今後もサンマルクカフェを使うようにしようかな・・・などと思ってしまいました。

ひょっとすると、たまたま僕が行った時間帯・店舗がそうだっただけなのかもしれませんが、外出先で快適に仕事ができる店というのは少ないので、いいところを見つけたなぁと、何だかちょっと得した気分です。

煙出し

塩尻に行ったときの続きです。

古材の実験の後、塩尻市内にある国指定の重要文化財「堀内家」を見学させて頂くことができました。

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いわゆる「本棟(ほんむね)造り」の特徴をよく残した立派な姿です。
現在、このお宅は使われてはいません。



今回の見学に当たっては、ご当主の奥様でいらっしゃる堀内様が立ち会って下さり、往時のいろんなお話をして下さいました。

お風呂は五右衛門風呂のように浴槽の下に釜がある形ではなく、別の場所にある大きな釜で湯だけを沸かし、そこから男衆が湯を運んで浴槽に入れて使っていたこと。

今は「本棟造り」という名前が大変通っているが、もともとこの地方ではこの手の建物は本棟造りという名前で呼ばれていたわけではなく、「ホンミネの家」と呼ばれていたこと。 
(本棟造りという言葉は、後年、大学の先生が名付けられたものではないか?と奥様は仰っていました)



いろんなお話を伺いながら幾重にも重なった小屋組みの構造材を見上げていると、暗い小屋裏の向こうにふっと小さな明りが見えました。

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煙出しを通じて入ってきた外光が、煙り出しの中の壁を照らしています。

写真下半分が真っ暗なのは、吹抜け部分に全く照明などがないためです。
これは夕方5時ごろにストロボ無しで撮った写真ですが、 現場でもこんな感じで見えました。
 (露光時間が長かったので、手ブレしています)
暗い中にふっと浮かんだほのかな明りに、なんとなく心が安らぎました。

昔この家で生活されていた皆さんも、同じ明りを見ていたのでしょうね。

長野県木祖村 水木沢天然林

先週塩尻へ行ったことを前回の記事で書きましたが、せっかく塩尻まで行くのだから・・・と思い、少し足を伸ばして木祖村にある水木沢天然林へ寄ってきました。

2008年に大阪府四條畷市でT様宅の工事をさせてもらった際に何度か木祖村へは足を運んでいます。
その際にT様から水木沢天然林に連れて行って頂き、その存在を知りました。
水木沢天然林へ入るのは2回目です。

仕事柄、人工林に入ることは多いのですが、天然林にはなかなか入る機会がありません。

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林業家である僕の従兄弟は、

「天然林に入ると、人工林とはエネルギーが違う」

と言います。

そんな言葉を思い返しながら、天然林の中の遊歩道をゆっくり歩いて登ったのですが、まさにその通りで、植物の発する存在感というか生命感に満ち溢れた空間です。



人の手で整備される人工林は、木と木の間隔もほぼ等間隔で、樹種もほとんどが真っ直ぐな針葉樹に統一されています。

一方、天然林は人の手が入っていないため、
木と木の間隔はバラバラ、樹種も真っ直ぐな針葉樹よりはむしろ広葉樹が多くて木は曲がっているし、天然更新が絶えず行われているため、風倒木もそこかしこに残っています。
 


と、言葉でいくら説明しようとしても、やっぱり伝えきれません。
それならば写真で・・・とも考えたのですが、写真でもやはりあの生命感は伝えられません。

もし興味のある方は、頭の片隅にでも憶えておいて頂いて、木曽に行かれたら足を伸ばしてみて下さい。

昨今よく言われる【パワースポット】という言葉が陳腐に思えるほどのエネルギーです。

古材の曲げ強度試験@塩尻

一昨日、強行軍で長野県塩尻市に日帰りで行ってきました。

長野県林業総合センターというところで行われた、古材の曲げ強度試験を見学するためです。


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こんな大きな機械に古材の梁(赤松)を載せ、上から荷重をかけていき、たわみ量と変形量の相関関係を調べるというのが試験の目的です。

赤矢印は僕が写真に描き入れたものですが、両端に支持支点があって、中央付近の2点で徐々に荷重をかけていきます。

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上から荷重をかけている最中に撮った写真です。
最初は見た目変化がないのですが・・・

kozaibendingtest02

そのうちにパキパキ音を立て始めたかと思うと「ベキッ」と大きな音がして裂けました。

kozaibendingtest03

昨日の試験では、裂けてもさらに載荷を続け、完全に折れるまで圧し続けました。

試験終了後、反対側から見るとこんな感じ(↓)になっていました。
中央付近で真っ二つです。

kozaibendingtest04

この折れた箇所には小屋束を差し込むための断面欠損があり、見事にそこで折れていました。

 

木材は新材の時でも、個体差があって強度にばらつきが出ます。

それが古材になると経年変化も出てくるので、曲げ破壊試験をやる前にヤング率(※)を測定し、断面積(材料の太さ)とヤング率から実際の曲げ強度を比較する、という試験を行っているそうです。

(※)ヤング率とは/出典:wikipedia
ヤング率は、弾性範囲で単位ひずみあたり、どれだけ応力が必要かの値を決める定数である。
単位は応力と同じPa、tf/m2 など。
一方向の引張りまたは圧縮応力の方向に対するひずみ量の関係から求める。
ヤング率は、縦軸に応力、横軸にひずみをとった応力ひずみ曲線の直線部の傾きに相当する。



曲げ破壊試験自体はさほど目新しいものではありませんでしたが、その後の担当教授から非破壊測定機器を使った木材のヤング係数の測りかた、最近の研究動向などについて 様々なお話を伺うことができ、とても参考になりました。

イエヅクリノオモイデ

神戸市 I 様宅では、毎週末に I 様ご夫妻が現場にいらして、少しずつ内壁の左官仕上げを行っていらっしゃいます。

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材料として使っているのは、あいもり株式会社(北海道)の製品でほたて漆喰ライトというものです。

主原料はホタテの貝殻。
身をとった後の貝殻は利用価値が無いものとして長らく廃棄処分されていたものですが、粉砕し壁装材として利用しているものです。

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上の写真は、下地のパテ処理が完了したところです。
手前右側の壁はすでに仕上げ塗りが施されています。

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この部屋はすでに仕上げ塗りが完成しています。
きなり色を選んでいるので、漆喰のようにパリッとした真っ白ではなく、すこしやさしい自然な風合いの色です。


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I 様宅は4人家族で、2人いらっしゃるお子様は共に女の子。
上の写真は子供部屋の壁ですが、ご両親が塗られた壁に色とりどりの小さなビーズやガラスを埋め込まれたようです。

上の写真はおそらく妹さんの部屋、下の写真はちょっと手が込んでいるのでおねえちゃんの部屋かな。
なんとも女の子らしいなぁ・・・と思いながら眺めていました。

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今はまだ二人とも小学校に上がる前の年頃なのですが、大きくなっても家づくりの思い出として憶えていてくれるといいですね。

通し柱効果とは?

昨日(8/8)、京都大学で行われた振動実験に行ってきました。

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上のような2階建ての木造フレームを大きな振動台に載せ、実際にフレーム全体を地震波で揺らし、その挙動(傾きや破損状況など)を観察するという実験が行われました。

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普段、木造建築を手がけている全国各地の設計士や工務店さんが見学のために集まっており、みなさんの関心の高さも伺えました。



昨日の実験の目的は

「通し柱の太い/細いによって、地震時の建物の挙動にどのくらい変化が見られるのか」

という、【通し柱効果】を確かめることです。



現在、もっとも一般的な木構造として使われている在来工法の場合は、どちらかと言うとこの通し柱効果は少ないと思います。

しかし、昔からの伝統的な古民家などで用いられている伝統構法の場合は、この通し柱効果がかなり効いていることが昨日の実験でよくわかりました。

昨日の実験を詳しく解説すると、とても難しい話になってしまうのでここでは割愛しますが、イメージとして理解して頂くために図を描いてみました。
もしよろしければご覧になってみてください。

通し柱効果とは?


建築には全く関係ないのですが、夢のある話

タイトルどおり、建築には全く関係ない話なのでさらりといきます。

読む人にとっては

「?」

かもしれませんが、僕は宇宙の話が大好きなんです。
興味のある方は読んでみてください。

→ 地球の「100兆倍」の水、120億光年のかなたに発見

テーブルの天板

今週の初めに、三田の西本製材所さんへ行き、テーブルの天板用の幅広板を製材してもらいました。

このテーブルは、うちのスタッフが友人から依頼を受けたものですが、一般市場で買うと1枚板はちょっと無理!という価格だったのでした。

そこでいつも頼りになる西本専務が
「よっしゃ、何とかしたろ!」
と一肌脱いで下さって、何年も前からストックしてカラカラに乾いている大きな板を出してくれました。

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長さは2mですが、幅は86〜90cmある大きな板です。
皮付きの板をクライアントが希望されたので、板幅は場所によって異なります。

樹種は米松で、木目もおとなしく、節も小さなものが4つしかないきれいな板でした。



東風では建築を作るときに、極力外国産材を使わないようにしています(※)が、それは外国産材が悪くて国産材が良いから、という理由ではありません。

外国産材にも、質の良い木材はいっぱいあります。

10年以上前までは、僕もよく外国産の木材を使っていたので、それは身に染みてよく知っています。
むしろ外国産材を探して使った方が、安くて良いものが手に入る、と言っても過言ではありません。
( ↑ 最近は国産材の価格が下落しているので、そうとも言い切れませんが・・・)



以前もこのことは何度か書いているのですが、東風で国産材を使う理由としては下記のとおりです。

1. 外国産材は伐採時期や葉枯らし期間などを自分でコントロールできない
  ( ↑ 納得のいく木材をつくることができない)
2. 国産材を使うことで、日本の林業家を応援し、林産地の活性化に寄与したい
3. 日本の林業を応援すれば、山が保全され、間接的に治水に貢献できる
4. そして何よりも、日本の木でつくる日本の建築が好きだから

東風は決して国粋主義的な考え方に基づいているわけではありませんし、盲目的に国産材だけを使っている訳でもありません。

外国産材の良さも充分に認めた上で、それでも国産材を使う意味があると考えて行動しています。

外国産材を毛嫌いする方を見かけることもありますが、外国産材も良いものがあるんだよということも広くみなさまに知って頂きたいなと思います。



(※) 東風では構造材や造作材には決して外国産材を使いません。
   下地材には一部外国産材を使うこともありますが、下地材も極力国産材を使うようにしています。

伝統的な木造建築物における床構面の変形実験

8/2(火)に大阪大学で【伝統工法 床構面の面内せん断試験】が行われ、見学に行ってきました。

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上の写真は試験中の状態で、四角いフレームの上から厚み約3cmの杉板を釘で打ちつけたものをタテに起こし、横から力を加えて変形させたものです。

緑色の点線と黄色の矢印は僕が書き加えた線です。
杉板を張ったフレーム(緑点線枠内)が頭頂部で黄色→方向に引っ張られているため、平行四辺形に変形しています。



杉板は2階床板として床梁に直接とめられているものを想定して作られています。

この実験では、建物の床の部分が水平地震力を受けた時に、
【どのくらいの力で−どのくらい変形するのか】
という変形度合いと力の関係を調べることが目的です。

床を調べる実験なのに、試験体が垂直に起きているから、ちょっとピンと来ないですね。

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フレーム変形後の杉板端部の拡大写真です。
各杉板は長さ90mmの鉄釘で打ち付けられています。
水平方向に加力されているので、フレーム全体が平行四辺形のように変形し、杉板が1枚ずつずれている様子がわかります。

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変形後に板を横からみたところです。
所々、釘の頭が抜けてきて浮いています。



これは3ヵ年計画で進められている、「伝統的工法を用いた木造建築物の設計法確立」のために、木造軸組みの物理的データを集める目的の一環で行われた実験です。

実際にこういう実験を見ると、いろんなことが判ったり、感じられたりして、とても興味深いです


8/8には京都大学でまた別の実験が行われることになっており、それも見学してきます。
次は通し柱の効果を調べる変形実験です。

美味しかった!

このところ、週末はほとんど打合せが重なっています。

例年、ここまで週末に打ち合わせが集中することはあまりなくて、平日のお客様が4割、週末のお客様が6割、といった具合で適度に分散していたのですが、今年はなぜかみなさま週末の打合せを希望されています。

土曜日も尼崎と京都で打合せがあったのですが、京都のU様宅へ伺った際、ご主人がお作りになったという、自家製のジンジャーエールをご馳走になりました。

ジンジャーエールって作れるんですね!
そんな発想、全くありませんでした。
そしてこれがまたすごく美味しかったんです。

写真、撮っとけば良かった・・・と思ったのですが後の祭りでした。
U様、ごちそうさまでした。



東風でもオリジナルドリンク(もちろん非売品)の製作構想を練ってみようか・・・などと思ってみたりしましたが、さてどうなることやら。

壁塗り下地が始まりました

久しぶりの更新です。
先週は業務に追いまくられて一杯一杯だったもので・・・すみません。
週末から神戸市の I 様邸では、クライアントの I 様による壁塗りの下地作業が始まりました。

まずは、チリぎわの養生とパテ処理です。
下の写真は、ご主人が高い脚立に登って、棟付近の養生テープを貼っているところです。

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これからは週末ごとに現場に通って、少しずつ作業を進められるとのこと。

暑いので体調管理に気をつけて、無理なさらないように作業をして下さい。
秋には完成?・・・の予定(未定)です。

平安前期時代の建築/室生寺

7/17(日)に、奈良県の室生寺へ行ってきました。

学芸出版社が主催している連続セミナー
【 ここが見どころ!古建築/第4回 平安前期時代の建築〜室生寺 】
に参加するためです。

講師は古建築の解説においては大変定評のある、妻木靖延先生です。

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当日は真夏の日照りがジリジリ・・・と大変な暑さでしたが、木々が生い茂る室生寺は木陰に入るといくぶん過ごしやすかったです。

もみじの葉の緑がきれいでした。



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石段を登っていってまず説明を受けたのが、金堂。
平安前期の建立(859〜876)で、国宝です。

写真手前に映っている、屋根が一段下がっている
(縋る/すがるといいます)部分は江戸時代に増築されたものだそうです。
江戸時代とは言え、当時でも約1000年前の国宝級の建物を

「増築しちゃおう ♪」 ← こんなに軽い雰囲気ではなかっただろうと思いますが

と踏み切ったことに、僕はとってもビックリしました。



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金堂の後、弥勒堂
(重文)や灌頂(かんちょう)堂(国宝)を見学し、さらに登ると五重塔が見えてきます。

五重塔は平安前期(8世紀末)の建立とされているそうですが、正確な記録はないのだそうです。

しかし、細部のデザインや構法などから推測すると、どうみても平安前期の建物だろうということになっているのだと妻木先生が説明して下さいました。



この五重塔はとても小ぶりです。

京都の東寺・奈良の法隆寺・浅草の浅草寺などにある五重塔と比べると、と〜っても小さいです。
外部にある五重塔としては日本で一番小さいものだとか。

当日、参加者のみなさんが口を揃えて仰っていましたが、軒先の裏甲(うらご)と軒付(のきづけ)の部分を白く塗っているのが、デザイン的にとても効いていました。

今は観られませんが、妻木先生が初めて室生寺を観に行った昭和28年には、夜中でも自由に境内に入れたそうで、ちょうど月がとても明るい夜だったので、軒先の白い部分が鈍く光り輝いてなんとも言えず美しかったとのこと。

一度観てみたいなぁ。



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室生寺の一番高いところにあるのが御影堂です。
鎌倉時代後期の建立で、重要文化財に指定されています。

この建物、屋根がとても珍しいものです。
どこが珍しいのかわかりますか?
(画像をクリックすると拡大表示できますが、それでもわからないかもしれません)

正解は ↓




 
















それでは正解です。

なんとこの屋根、瓦葺のように見えますが、実は屋根葺き材が木なのだそうです。
使われているのは槙(まき←おそらく高野槙)の木で、厚みは7cmあるとのこと。

伊勢神宮にも厚板葺きの建物がありましたが、ここの御影堂のように瓦の形をした厚板葺きを観たのは初めてです。

槙は木製の浴槽に使われる材としては最高のもので、桧よりも香りが柔らかくて上品で、濡れたり乾いたりする環境においては抜群の耐久性を持った木です。 

今は大きな槙の木が大変少なくなり、入手が大変難しくなっています。



妻木先生の講義は大変素晴らしく、また次回もぜひ参加したいと思っています。

やはり古典に学ぶということは原点ですね。
関西に暮らしていると、このように貴重な古建築をすぐに観に行けるというのは大変恵まれたことですね。

いつかこうなってほしいなぁ

きょうは珍しく、ちょっと批判めいたことを書いてみます。



先月、所用で京都府庁へ行った時のことです。

用事を済ませて帰ろうとしたところ、エレベーターホールから京都市街が見渡せるようになっていました。

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日本を代表する観光都市・京都の景観がこれではちょっとなぁ・・・と悲しくなりました。
第2次世界大戦の時、アメリカ空軍が京都・奈良への空爆を避けたということなのに、その景観を壊してしまったのは日本人だったなんて、お粗末な話ですね。

下はイタリア・ヴェニスの市街地を見下ろした写真です。

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まぁ上の写真はヨーロッパですから、日本と景観は全く異なりますが、同じアジアでも中国の麗江ではこんな素晴らしい景観が遺されています。

たとえ数百年かかっても良いから、京都もこうなってほしいなぁ。

都市の住みやすさとは

今朝、インターネットのニュースを見て、ちょっと意外で驚いたことがありました。

世界で最も住みやすい都市ランキングで、カナダのバンクーバーが5年連続で1位
(中略)アジアの最高位は大阪の12位で、東京は18位。

僕はバンクーバーへは行ったことが無いし、上位を占めた都市の中で行ったことがあるのは唯一トロント(カナダ)くらいなのでコメントするに値する資格を持っているとは思いません。
トロントは緑が豊かで静かな街だったという印象があります。



何よりも驚いたのは、大阪が12位だったこと。
僕も大阪は大好きですが、【住みやすい都市】として挙げるのならばもっと他にあるんじゃないの?という気がしました。
僕が個人的に日本の中で挙げるのならば、札幌です。
水が美味しくて、自然が豊かで、物価が安く、気候も割と穏やかです。
でもきっと札幌は世界140都市の中に含まれていないんだろうなぁ・・・。



関連でこのページの一番下の方を見ていたら、またまたビックリ!
レストラン格付けだと、世界第5位のニューヨークや4位のパリを抑え込んで、なんと世界1位が東京、2位が京都、3位が大阪と日本がトップ3を独占しちゃってるんですね!

ミシュラン格付けによるものとはいえ、やはり日本の食文化は世界トップレベルだと言うことでしょうか。



あなたにとって都市の住みやすさとは何ですか?

江戸からかみに学ぶ

週末に東京へ行っていました。
土日の2日間にわたり、 江戸からかみについて学ぶセミナー
「復興! 江戸からかみに学ぶ」
に参加してきたのです。

日本民家再生協会の若手メンバー(U-50)が企画・主催し、東京松屋様をはじめとする江戸からかみを今に伝える職方のみなさまにご協力いただいて実現したものです。

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第1部は東京松屋の伴社長様による、江戸からかみの総論とも言うべき解説でした。

まずは江戸からかみの歴史を紐解く話から始まりました。
関東大震災の後の火災と東京大空襲で、江戸に伝わっていた江戸時代の版木(はんぎ)はそのほとんどが消失してしまったそうです。

江戸からかみと京唐紙の違いや、なぜその違いが生まれたのか?など、大変興味深い貴重なお話を伺うことができました。

会場には、実物大の襖の下地工程(全10工程)を説明するための見本を展示してくださっていたのが素晴らしかった。
その10工程にわたる紙貼りにおいては、各工程ごとに異なる紙質・糊のつけ方・紙の切り方など、職方の繊細な心配りがなければ成り立たないことがよく判りました。

僕ら建築家にとっては、今回教えていただいたことをきちんとクライアントのみなさまにわかりやすく伝えることも大切な仕事の一つです。
そうすることで、クライアントのみなさまがからかみの本当の価値を評価し、からかみの仕事を依頼して下されば、職人さんが腕を振るう機会が増えて伝統も継承されていくからです。


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上の写真は、実際に型を捺すための版木です。
この版木の場合は、彫り残してある笹の葉や茎の部分にキラ(雲母)などをつけて、鳥の子(とりのこ)紙に捺します。

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その版木にキラを付けて鳥の子紙に型捺しする作業を、実際に職人さんが実演して見せてくださいました。
写真中央で実演して下さっているのが、からかみ師である唐源(からげん)の小泉幸雄さんです。


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この時使ってくださった小版の版木(↑)は天保年間のもの。

この作業、ビデオに納めたかったです。
(写真はたくさん撮りましたが・・・)



 このお二方へ取材をした記事がこちらのサイトで公開されています。
僕のつたない文章よりも臨場感に溢れていてずっとわかりやすいので、興味のある方はぜひご覧あれ。

長さ6m、幅8寸 桧の床板張り〜後編

週末に東京で研鑽会に参加していたので続編を書くのが遅くなってしまいました。
前回の続きです。

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 ↑ このように、床板の裏に蟻を切ったところまで前回お話しました。


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蟻を切った溝に合わせて、横から蟻桟を打ち込んでいきます。

この桟には糊はつけません。
差し込むだけです。
糊をつけてしまうと、木が湿度と共に収縮した時に割れてしまう恐れがあるためです。

 

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肝心なところがピンボケしてしまっていますが、これで蟻桟が入りました。
 
木が反ろうとしたら、この桟を曲げるほどの力で反るか、
または蟻を割ってしまわないと反れません。

 


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この蟻桟は、今回間隔1mおきに1本ずつの割合で入れていきますので、
床板1枚あたり、合計7本入れることになります。
 
そしてこれを張っているリビングの床板は全部で総幅21枚にわたる予定なので、
大工さんは蟻桟を
7本×21枚=147本
入れないといけないことになります。


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蟻桟が無事入ったら、大引と根太の上に少しだけ糊をつけて床板を張ります。



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床板を止める金物はスクリュー釘です。
床板を止める時にはビスはあまり使いません。
 
一旦ねじ込んでしまえれば、確かにビスの方が引き抜きに対する力は強いのですが、
ビスはねじ込んでいく時に軸部にかなり力がかかるため、途中で回転力に耐え切れず
切れてしまうことがあります。
 
ビスがねじ込み途中で切れてしまうとえらいことになるため、普段はスクリュー釘を使う
というわけです。
 


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 上の写真がそのスクリュー釘です。
 
板が反ろう(=釘を抜こう)とする力に抵抗するために
軸部表面にスクリュー上の凹凸加工を施してあります。



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 で、こんな風にようやく床板が1枚張れました。
長さ6m、幅240mm、赤身の張ったほぼ無節のきれいな床板です。

現場では床板を張りながら養生を進めているので、張り上がった後の状態を写真でお見せすることはできないのが残念です。

秋に竣工したらお見せしますのでどうぞお楽しみに。

長さ6m、幅8寸 桧の床板張り〜前編

昨日から、神戸市 I 様邸の現場では、リビングの床板張り作業が始まりました。

床板と言っても、普通の床板ではありません。
長さ6m × 幅8寸もある、桧の無垢の床板です。
(もちろん、どこにも継ぎ目がない1枚板です)

2010年秋に和歌山で伐採し
2011年1月に兵庫県三田市で製材した木を自然乾燥させ
床板に仕上げたものです。

この現場の一番の目玉作業とも言える山場です。
こんな床板を使うことはなかなか無いので、写真をパチパチ撮ってきました。

なかなか技術を公開してくれないような細かい納まりも一杯あるのですが、こういうことは秘密にせずにどんどん公開していくべきだと思うので、事細かにご報告します。

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床板の板幅は約8割が24cm幅のものですが、20cm〜25cmにわたって多少ばらつきがあります。
上の写真は22.5cm幅の板を裏面から撮ったもの。
3本の溝は板の反り止め用に入れた鋸目です
 


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 長さを写真で実感して頂くのが一番難しいのですが、一枚撮ってみました。
全長6mです。
写真右上で作業している大工さんの身長と床板の長さを比べてみて頂くと、何となくわかると思います。




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冒頭の写真で見ていただいたように、床板の裏面には反り止めの溝を3本入れていますが、それだけでは反り止めとして不十分なため、蟻桟(ありざん)を入れるための加工をしていきます。
 
まずはルーターという道具で、板と直交方向に蟻(アリ)型の溝を切ります。



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これで蟻型の溝が切れました。

後編へ続きます。
どうぞお楽しみに。
お知らせ
僕がこのブログを書き続けられるのも、あなたが読んで下さっているおかげです。どうもありがとう!
Profile
佐藤仁
この似顔絵は、僕が神戸で設計させてもらったお宅の奥さんが描いてくれました。
どうもありがとう!

1970年生まれ、オトコ
関西大学建築学科卒業
一級建築士事務所、
木造建築 東風(こち)代表

大学での成績が悪かったため(?)、他人とは一味違う木造専門の建築家として生きることを決め、はや15年。

地球環境保全のために、
●国産木材の利用
●古材・古民家の活用
●建物の長寿命化
などを考えて設計活動をしている。
現在、日本民家再生リサイクル協会(NPO法人)の近畿地区運営委員としても奮闘中。

ホームページもご覧下さい。

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