陶芸家イフも益子の「もえぎ」で10/25から作品を扱ってもらう事が出来た。イフは以前から「扱って貰うなら「もえぎ」か「ジープラ(G+OO)」がいい」と言い続けて来て今回その一番の心願が成就された。
春の陶器市の時に、もえぎさんの担当者の方が見に来られて、その後オファーを受け10/25を迎える事が出来た。
それには応援してくれた人の力もある事は当然だが作家としてブレの無い精神で自分に合った感覚を選び、磨いて来たからだと思う。
イフが器を作りはじめたきっかけは
「こんな器で飲んだり食べたりがしたい」
と言ったシンプルな思いからだ。また「こんな器」をあまり見かけないなら“自分で作ろう“が具体的に陶芸を始めた理由なのだ。
それがやがて
「もしも、こんな器で…」と不可能でも「もしも叶うなら」の強い希望形へと変化した事からコンセプト・イフが誕生した。
イフは美術系の教育も受けてなければ専門学校にも通った事がない。
しかしイフの日常生活の中で選ぶもの、組み合わせる物、そしてイフの視点の置き所等を見た時に…私は確信した、イフには「芸術的センスがある」と。
センスとは何か?例えるならば
音を聴いた時に形や色をイメージとして変換出来たり
同じく…香りも、味覚も万物全てに於て別の媒体で表現出来るイメージ力だと思う。
詩を読んだら、それを音に…
香りを嗅いだらそれをオブジェに…
色を見たら、それを曲に…
と言った具合に、それぞれの特徴に合ったイメージに変換できる事を「センスがある」と言うのだと思う。
イフにはそのセンスがあり、作品発表に当たっては「たぐい稀な自分を信じる先天的な勇気と度胸」がある。専門的教育を受けずとも、またそのような環境にいなくても、「それが出来る」ところに私は着目した…「こいつは伸びる」と。
イフに未知の音を聴かせ、絵画を見せ、文章を読ませ、香りを嗅がせ…感想を訊くと具体的なイメージを“言葉に出来る“天性“を持っている。
て事は技術を身にまとえばイメージを具現化出来るだけの力を持っていると言う事になる。
下記に記す事はけしてお世辞ではなく客観的視野に立っての私の考えだ。
もしもイフが絵画を描くテクニックを持っていたなら私より叙情的な作品を生み出す事は間違いない。イフには絵を描くテクニックが無いだけで修得したならば幾つかの傑作を作れると確信している。
生み出すには発想、発想を操り具現化するには“技“は必要不可欠だ。だから私はその流れを説明した上で“技は心を支える“とイフにいい続けて来た。
センスある人が技を持っていれば具現化出来る。自ら具現化した物から新たなイメージが生まれ再度、技によって具現化出来る。このように幾つか具現化を繰り返し経験する事で作品の良し悪しを判断出来る鋭い目をもつ事が出来る。そう言う目を持てば自信がつく。つまりは自らの心を支えるのだ。
人に慰めてもらわなくてもスランプに陥った時は自分の心で打開できるのだ。
やがては、その方法論を教育や後進の指導に役に立つのだ。
9月に私は個展を開いた。まず私の作品の自慢話しをしていると誤解されたくないので簡単に説明したい。
版画は部数を多く刷れる。従って1点モノの絵画より版画は安いのだ。例えば…葉書サイズなら額に入れないシート価格でオリジナルサインとエディションナンバー(限定番号)を入れて¥3000〜¥5000程度だ。
さて本題に入る。イフの物を“見抜く目“について。…34点の版画作品を一挙イフに見せて、
1、自分の好みの物
2、売れると思う物
3、客が長くその作品の前で足を止める物
以上3点の質問とまた、そう思う理由を述べて貰った。創作上、作品と寝食を共にしている私の感性は1点1点の創作始めには役に立つが長く見続けるとその機能が鈍るためにイフの意見を訊いてみた。
結果、かなりの確立で的中した。
しかも彼女好みの作品を中心に。部数があるぶん、彼女好みの作品を中心に売れ筋が数点に集中した。
そんなわけでイフのセンスを私は高く評価している。彼女の美術品を観る目は余計な不純物を取り除いた原石のようなものだ。
・これを持っていれば自慢になる。話しのネタになる。
・みんなが買うから私も買った。
と言った余計な考えを浄化、削ぎ落とされたピュアな心目線での所謂、「パッと観判断」が出来る所を私は信用し高く評価している。
イフのブログを読むと彼女のスタート、再スタートは既に数年前の事らしい。
そこが素敵だ。あくまでも原点を忘れず「今」を評価してくれた“もえぎ“さんに感謝する意味で「今まで通り」と言える所がイフらしく、また確固たる心意を伺い知る事が出来た。
多彩は純粋を薄め
過剰は原点をぼかし
雄弁は核心を打ち消すから
今のままの自分と自問自答して欲しい
以上。私からの祝いの言葉だ。感動を演出するのはどうも好きになれん。
私の考えとして…
今までは創作して来たわけだが、これからは仕事になるのだから作る姿勢は基より体調管理をしっかりしてプロ意識を口には出さず内に秘めて頑張って行って欲しい。「骨を埋めるまで」…日本には「覚悟」を意味する良い言葉があるではないか!
良きライバル…陶芸家イフへ。
そして、ある目的の為にこのブログを立ち上げたわけだが
イフが一つの目標に到達した事もあり
またココロの強さに勝負有り
そう判断したと同時にこの手のブログの役目も済んだので今日で終わりにする。
〜鉛筆と消しゴムのバラッド〜