桃の楽園

お気に入りのBL(ボーイズラブ)本の感想です。 大好きなBLの世界は桃にとってまさに楽園。 BL大好きな方!大歓迎です。 BLが分からない方、苦手な方は引き返されることをお薦めします。

心霊探偵八雲『魂の素数』営繕かるかや怪異譚-その参

2026年、あけましておめでとうございます。

ほとんど更新が止まっているのに訪問してくれる方もいらっしゃるようでありがとうございます。
本好きなのでちゃんと本は読んでいます。
そして読んでいる本はガチBLからは少し離れつつあります。
もちろん大好きなBL作家さんの本は出されるたびにゲットなので完全にBL卒業というわけではありませんが、今年はBL本だけではなく他のジャンル…例えば大好きなSFやミステリー、海外翻訳ものにもまた手を伸ばしていきたいです。
(因みにBLコミックからは完全に撤退しています)


『心霊探偵八雲』

初めて読むシリーズものですがめちゃ面白かったです。
特にこの主人公大学生の八雲と八雲が霊を視れるのではないかと疑う大学の准教授・御子柴のバディが強烈でした。
八雲は人間不信の人間嫌い。そして左目は赤く染まり死者が見えるのです。

あることからそのことに気が付き疑いを持った准教授の御子柴の個性がこれまた強烈。
唯我独尊、傍若無人だけど頭脳は超一流で解析力がずば抜けています。


『心霊探偵八雲 魂の素数』は、
神永学による「心霊探偵八雲」シリーズのスピンオフ作品で、八雲と「確率捜査官」の主人公・御子柴岳人が共演する心霊×数学の最強バディミステリー小説です。八雲がまだ晴香と出会う前の、大学時代を描いた初期設定の物語で、心霊現象と数学を駆使して事件を解決していく、両作品のファンが楽しめる作品です。 

今回は八雲のお話を読みましたが、御子柴にも強く興味を惹かれたのでそちらのシリーズにも手を伸ばしてみようと思います。


『営繕かるかや怪異譚』



これはもう怖かった!
日本人のDNAに組み込まれている土着のじっとりした昏くおどろおどろしい恐怖。
ふと気が付くと足元から何か見えないものが這い上がってくるような気味悪さがあります。
それを解決するのが若き営繕屋・尾端。
祟る霊を追い払うのではなく成仏するように手を差し伸べることで解決していきます。

漆原友紀が装画、小野不由美「営繕かるかや怪異譚」5年ぶりの新作 ...
小野不由美原作の「営繕かるかや怪異譚」シリーズは、建物にまつわる怪異を修繕屋が解決する人気ホラー小説で、アニメ化はまだされていません、『青の祓魔師』の加藤和恵氏が漫画化しており、怖さと優しさのバランスが魅力で、アニメ化を期待する声も大きい作品**です。主な登場人物は「営繕屋」の尾端で、彼は霊媒師ではなく、物理的な修繕を通して怪異の「居場所」を整えるという独特の方法で事件を解決します。 


引き続きミステリー短編集を読んでいます。
今年はBLだけではなく色んなジャンルのお話の感想をアップしていこうと思いますのでよろしくお付き合いください。







「無能な皇子と呼ばれてますが中身は敵国の宰相です(6)」「言ノ葉便り 文庫版(上)」「お夜食には謎解きを 5品の美味しいアンソロジー 」


夜光花 (著), サマミヤアカザ (著) 


今回、遂に遂に!どうしてアンティブル国の宰相リドリーが敵国サーレント帝国ベルナール皇子の身体と入れ替わってしまっていたのかという謎が明かされます。

魔女ユーレイアのかけた呪いの魔法の真実にもびっくり!
なんかもう前提からして間違えてたね。
もう、のけ反ってそのまま椅子から転がり落ちそうになりました。

リドリー、いやベルナール皇子、そうだったのか!
そして、そしてニックス、あんたって初めから全てを知って転生したリドリーの側にいたのね!

この回はネタバレのオンパレードなので私の絶叫で終わらせて頂きます。

こうなったら次は遂に皇帝と正面切っての対決ですね。


あらすじ

皇帝の座を奪うなら、正規ルートで蹴落としたい!! リドリー暗殺の嫌疑が掛かった側室の裁判で、皇帝が黒幕だと暴くつもりだったリドリー。けれど証人を皇帝に操られ計画が頓挫!! 入れ替わりの秘密を握る死の山の魔女を訪ねることに!! ところが旅の護衛となる頼りの騎士シュルツとマッドとの対立は激化する一方。ついに帝国一のソードマスターと土魔法の使い手の壮絶な一騎討ちが勃発し!?  






砂原 糖子 (著), 三池 ろむこ (イラスト)

大好きなシリーズでした。
改めて小冊子やペーパー収録のお話を一気読みすると当時の切ない気持ちが蘇ります。

私が一番欲しくない超能力は読心術。
人の心が読めて幸せになれるとはとても思えません。
人間社会は本音と建て前と優しい嘘が上手く絡み合って成り立っていると思うからです。

そして、人の心が読めると知った相手と付き合っていく自信もありません。
そんな相手との恋もまた…。

迷い悩み傷つきながらも二人が幸せになって本当に良かったです。

内容

大人気小説「言ノ葉ノ花」後日談集、待望の文庫化! 余村と長谷部の関係を、妹・果奈に知られる「言ノ葉便り」ほか、同人誌、ペーパー、小冊子など入手困難なSSを一挙収録。書き下ろしあり。  




5品の美味しいアンソロジー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
歌田 年 (著), 岡崎 琢磨 (著), 友井 羊 (著), 猫森 夏希 (著), 柳瀬 みちる (著)


新幹線での旅のお供に買った一冊(非BL)です。
文章がとても心地よかったです。
極上のお夜食と共にどうぞ。

内容

日常に潜む様々な謎を名探偵たちが華麗に解決! 月明りのご褒美タイムにぴったりな、とっておきの美味しいミステリーアンソロジー全5品。 <収録作品>※著者名五十音順 ・歌田年「詐欺」(『BARゴーストの地縛霊探偵』より) ・岡崎琢磨「狐の化かんす」(『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』より) ・友井羊「野鳥の記憶は水の底に」(『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん まだ見ぬ場所のブイヤベース』より) ・猫森夏希「ノーマスク殺人事件」(『ピザ宅配探偵の事件簿 謎と推理をあなたのもとに』より) ・柳瀬みちる「刻んで炒めて放浪記」(『神保町・喫茶ソウセキ 真実は黒カレーのスパイスに』より)  



『元カレが教育係だったんですが 』『絵画の王子と真夜中のメルヘン』『勇者になりたかった側妃、本物の勇者に下賜される』

元カレが教育係だったんですが (キャラ文庫)
麻々原絵里依
徳間書店(Chara)
2025-10-10

海野 幸 (著), 麻々原絵里依 (イラスト)

なかなか身につまされる話でした。
私もこの年で(いくつか聞かないように!)職歴も長くなると新人教育を任されたりすることもあるわけで、まあ忍耐なわけですよ。
こちらが当然と思うことでも新人さんにとっては未知の世界だし、自分がやった方が早いし正確だから時間がない時は手も口も出したくなるけどそれじゃあ新人さんはいつまで経っても育たないわけだし。

一番苦労したのが、慣れてくるとマイルールを作ってこちらのやり方を今はそんな時代ではないと否定してくる人への対応。

BLとしてより、新人教育マニュアルとしておススメしたいお話でした。

…ホント、ジェネレーションギャップはもうあって当然だとして理解して受け入れなきゃね。
それといつの時代も素直な気持ちが一番よ
そして広い視野

あらすじ

デート中も仕事の資料を手放さず、つき合って半年経っても敬語のまま――マッチングアプリで出会った年上彼氏の態度に失望し、別れを告げた大学生の直人(なおと)。ところが就職先の教育係として現れたのは、その元カレ・瀧川(たきがわ)だった!! 砕けた口調に、優しくも熱心な指導――あの頃は笑顔すら見せてくれなかったのに…。なんでつき合ってくれてたんだ!? 別人のような瀧川に、疑念は募るばかりで!?  




絵画の王子と真夜中のメルヘン (キャラ文庫)
夏乃あゆみ
徳間書店(Chara)
2023-08-11

華藤えれな (著), 夏乃あゆみ (イラスト)

絵の中の美形王子が醜く変形してしまう。
『ドリアングレイの肖像』を思い出した人も多いのではないでしょうか。
ちょっとオスカーワイルドにもドキドキした若き日の文学少女だった自分もついでに思い出しましたね(笑)
このお話では『真実の愛』が呪いに勝ち無事にハッピーエンドとなりました
これはクリスマスに読みたいキラキラした奇跡のお話だなあと思いました。

あらすじ

夜ごと絵から抜け出し美術館を彷徨う呪われた王子の幽霊――そんな噂の肖像画がある、悪名高い美術館で働く清掃員の玲。修復しても顔が醜く歪む不吉な絵だと言われても、天涯孤独な玲には少しも怖く感じない。真夜中、いつものように絵を眺めていたら、目の前に絵とそっくりのアルベール王子が現れた!! 驚く玲に王子は不遜な態度で「私を絵に封じた魔女の呪いを解いてくれ」と命じてきて!?  





滝沢 晴 (著), 奈良千春 (イラスト)

痛快の一言に尽きます
国王側妃リヒトはオメガだけど性格が男らしくてカッコいいんですよね。
そしてアルファで勇者ヴィクトールが見かけは男らしく優しく品格のある勇者なんだけどこちら中身は拗らせ愛の重い男でした。
ヴィクトールは爽やかなイケメンの外側と違って中身はリヒト以外は心底どうでもいいと思っています。
だから言い寄ってくる女はバッサリと退けリヒトに害をなすならサクッと排除してしまうんですよね。
「あの日」以来、ずっと一筋にリヒトを手に入れることだけを目的に生きて来た執着男ヴィクトール。
リヒト以外はゴミ以下と本気で思っているところが、私としてはドツボでした。

お話はスピード感もあり最初から最後まで楽しくて痛快でした。

あらすじ

幼い頃、魔族に親を殺された少女との出会いをきっかけに、魔王を倒す勇者を夢見ているリヒト。だが見目のいいオメガだったため没落寸前の実家から国王の側妃として売られてしまう。生来の勇者気質は抜けず、汚職と肉欲にまみれた暴君の夜伽を断固拒否し何度も王宮からの脱走を試みては失敗、折檻をうける日々。 そんなとき、魔王を討伐した伝説の勇者ヴィクトールが恩賞としてリヒトの下賜を望んだ。 王宮の厄介者、側妃失格の自分をなぜ……? もの好きな「伝説の勇者」は実は「さわやか執着系初恋絶対叶えるマン」だった!  



『隠しごとナシの親友』『虐げられた青年が大精霊に寵愛されて幸せになった話』

隠しごとナシの親友 (キャラ文庫)
まつだいお
徳間書店(Chara)
2025-09-05

沙野風結子 (著), まつだいお (イラスト)

がっつり重めな異能力者攻めとがっつり執着系だけど見た目可憐な受けのお話。
かなり凄惨なシーンや暴力を受けるシーンがあるので苦手な方は要注意です

律朗には分岐移動の能力があります。
その能力とは『過去を改変する能力』。
つまり起きたことをなかったこととしてそこから分岐した世界を新しく確定させる能力。

律朗はその能力を母親から受け継ぎ、そして母親は律朗を護るため自ら死ぬことを選んでいます。

律朗を誰から護るため?
夫から?自分から?それとも自分に執着するあの男から護るため?

そして天使のように可憐でいつも律朗の側で微笑んでいた親友で同級生の斉季。
その天使の裏の顔とは?

そもそも律朗と斉季が出会ったのは中学校入学式のはずだったけど…実は違う?

この斉季もなかなかの曲者でした。
見かけ通りのか弱い庇護欲そそるカワイ子ちゃんではありません。

そんな斉季への思いが一途で超ヘビー級な律朗と律朗に執着して手に入れるためには手段を選ばなかった強い斉季。

それぞれの想いが交錯して、更にそこにそれぞれの身勝手で昏い思いを隠し持った人たちが絡んできます。

みんな裏があり過ぎ

よくこのストーリーでハッピーエンドに落ち着いたなと思います。
重めでがっつりしたお話を読みたい方におススメ。


あらすじ
部活の仲間がバイクに撥ねられ死んでしまった!! けれど目の前の悪夢に絶望した瞬間、なぜか彼が何事もなかったように笑っている!? 頻発するリアルな白昼夢に悩む律朗(りつろう)。今見ている世界すら、俺には現実か幻覚かわからない――不安に陥る律朗に寄り添ってくれるのは、親友の斉季(いつき)で…!? 頭の中で蝶が羽ばたく時、友人の死さえ書き換えられる――異能力に翻弄される青年が掴んだ、真実の恋。

 





天野 かづき (著), 蓮川 愛 (イラスト)

これはもうタイトルがネタバレとなっています(笑)

シンデレラストーリーですね。
不憫な受けのウィルバートと契約したのはまさかの大精霊、実は精霊王だったのですから。

冒頭こそ不憫なウィルバートですが、精霊王の甘々溺愛のせいでどんどん幸せになって行きます。

ひたすら甘いお話を読みたい方におススメです。

あらすじ

父に虐げられ田舎の領地に押し込められているウィルバートは、精霊と契約ができると噂のある泉を訪れる。衰退していく領地に祝福をもたらしてくれる精霊を望み祈りを捧げていると、突然泉から美貌の男が現れる。それは自分の少ない魔力では呼び出すことが不可能な大精霊だった。レイと名乗る精霊に、自分の魔力では満足させることができないと正直に伝えるウィルバート。だけどレイは「せっかくだ。もらっておこうか」とウィルバートを押し倒して…? 精霊との魔力譲渡はエッチが必要!?


「BLゲームに転生したらサイコパス攻めに溺愛された」「妖精画家の祝祭」「冥府の王の神隠し」


夜光花 (著), 奈良千春 (イラスト)

ゲームの世界への転生もの、好きですねえ←わたしのことです。
主人公の守は事故死して妹のやっていたゲームの世界に転生してしまうのですが、そこはBLの世界
全くその気のない守はなんとか男とのlove回避に動くのですが、そこはBLゲームの世界なのでどんなルートを辿ろうとイケメンにロックされてしまいます。

守をロックオンした相手はなんとゲームの黒幕でサイコパスな三輪。

男同士なんて絶対に嫌だ!と言いながらも、サイコパス三輪の殺人阻止のためは抱かれる選択肢しかないと自己犠牲を覚悟した守がずるずると快楽に流されていくのはもう立派なBLルート

さて、このお話は続くのでしょうか?

意外と世話焼きタイプの守と人の話は聞いてない、自分に都合のいいように捻じ曲げる三輪とのまるで噛み合わない会話がめちゃ面白かったので、続編希望です


あらすじ

BLゲームの主人公に転生した守は、 ある日突然、前世の記憶を思い出す。 ーーここは、童貞だけが使える刀で魔物と闘い、 男と恋に落ちると秘密の特殊能力が 芽生えるという、恋愛至上主義の世界だ。 迫りくるイケメンたちの誘惑を回避しながら、 最強の相手、ラスボスを倒そうとする守だが、 なぜか、恋してないのに、ラスボスの前で 特殊能力が開花してしまう。 「君はS級のレアものだ。逃がさないよ」 誰より美しく、危険な男に捕まってしまった守に、 とうとう貞操の危機が訪れた!?  




妖精画家の祝祭 悪食番外編 (キャラ文庫)
みずかねりょう
徳間書店(Chara)
2025-08-08

宮緒 葵 (著), みずかねりょう (イラスト)

悪食シリーズ番外編です。
本編は完結したのですが、こちらではあのシーンの裏側が書かれていて伏線回収されています。
そして泉里が水琴にめちゃ甘い。
人はここまで愛する人を溺愛できるのかと引いてしまうくらい甘い

一番気がかりだったあの人のことが読めた「観想」と「餞」。
人が人を想う優しさが切なかったです。
哀しみや寂しさが浄化されていくようなお話です。
読めて良かったです。


あらすじ

画家デビューの記念にお祝いをしよう──。画商で恋人の泉里(せんり)に誘われ、遊園地に出かけた水琴(みこと)。ところがそこで、迷子の子供の霊と遭遇して…!? 孤独に生きてきた水琴が、泉里からの無償の愛を知る「密会遊園地」。家出した水琴を保護した槇怜一(まきれいいち)の至福の日々や、大切な人たちと過ごす、ハロウィンのコスプレの一夜──二人の十年後を描く書き下ろし「餞」(はなむけ)など、彩り鮮やかな番外編15作を収録!!  





冥府の王の神隠し (キャラ文庫)
円陣闇丸
徳間書店(Chara)
2023-07-07

うっかり二度買いしました
好きな本の傾向は変わらないということですね。
過去の感想はです。


転生した社畜ですが見た目は極上なエルフです


櫛野ゆい (著), 笠井あゆみ (イラスト)



大好きな異世界転生ものが続いています。
このジャンルの王道ストーリーは「転生」した先でどう生きて行くか、人生リセット&再スタート物語になるわけです。

今回の主人公はブラック企業で社畜となって休みも取れず働き続けるプログラマーの労(33才)。

案の定、過労死して死んでしまった労が転生したのがハマっていた「アナザーゲート」というRPGです。

異世界で超美形エルフとして目覚め、しかも転生先はプレイ中は敵としていたそのエルフの王レンドールの元という皮肉。頭を抱える労ですが、やがてレンドールが思っていたような傲慢で思いやりのない王でないと分かってきます。

異世界転生ものでのあるあるですが、主人公が前世で持っていたスキルを転生先でどう生かしていくか。
それが見どころとなります。

労の前世のスキル、それは「社畜プログラマー」…。

労は転生先で今までの自分の働き方を顧みてこの世界での働き方改革はできるのか(笑)

この世界を知り尽くしている労がリードしていく形でお話が進んでいくのが面白かったです。


ストーリー

深夜残業中に過労死し、目覚めると大人気ゲームの世界だった!! しかも、33歳の平凡なSEから、繊細な美貌のモブエルフに転生!? 敵方のエルフの王レンドールに助けられ、呆然とする青木労(あおきろう)。けれど、このまま勇者の敵側にいて、負け確定なんて絶対嫌だ!! 労は王の闇落ちルートを変えようと、一族が恐れ敬う孤高の王に、真っ向から対峙!! ところが、意見を言えば言うほどなぜか気に入られて!?



愛を知らないヒューマノイドの恋愛奮闘記


片岡 (著), yoco (イラスト)



本当に人間ってない物ねだりよねえ。
「心が欲しい」とか「愛が欲しい」とか、目に見えないものを欲しがる。
でも、最初に形だけでいいと言い出すのはいつも人間側。

それに振り回されるヒューマノイドの凌人。
ヒューマノイドとして凌人はちゃんと最高の恋人の「ふり」を演じます。
だって凌人をそう設計したのは人間の遙佳だから。

でも、遙佳は誰にも恋人として愛されない寂しさからヒューマノイドの恋人を作ったわけだから、本当に欲しいのは「完璧に恋人を演じる機械」でなく「自分だけに愛をくれる恋人」だったわけなんですよね。

だから凌人が自分にも感情や気持ちというものがあるらしいと気が付いて、そのことを遙佳に伝えようとしても遙佳は端から疑って受け入れません。

受け入れないどころか、プログラミングされた脳が凌人をそう動かしていると決めつけて距離を置こうとするんですよね。

結局、遙佳のズルい弱さが際立ってみえたお話でした。
まあ、人間って本来ズルくて弱い生き物なのかもしれません。
だから理屈で武装する。
そして勝手に傷つく。

いやいや、人のことは言えません。


いつもセフレ扱いしかされない遥佳は恋愛を諦め、ヒューマノイドの恋人を発注した。完璧な顔と身体、かっこよくて可愛くて遙佳だけを愛している“ふり”をしてくれる恋人の名は凌人。同棲生活が幸せすぎて、遙佳はヒューマノイドには愛憎がないという大原則を忘れ本気で好きになってしまう。そして偽物の愛に耐え切れず別れを告げた。とはいえ遙佳は凌人の所有者。存在意義を奪われてご不満な凌人との気まずい同居は続き――  



「偏食家のためのレストラン」「ラスト・メッセージ」


海野幸 (著), 蓮川愛 (イラスト) 

偏食家と聞いてドキッとした桃です
実は私、小学校の通信簿に「栄養失調気味」と書かれたくらい神経質で食が細くて好き嫌いの激しい子供でした。

食べない→怒られる→食事が苦痛→食べない→以下同文

まあね、偏食は性格もあるでしょうけどどこかでその理由があるはずなのです。

このお話では受けの千秋は子供時代の過多で一方的な愛情が引き金で「正しい食事」に拘ることになったわけです。
そこが解決しないことには単に食の好き嫌いの問題ではありませんでしたね。

食を通して友光から注がれる胃にも気持ちにも寄り添った優しい「千秋のための限定レストラン」。

料理とは相手のことを考えて差し出される「思いやり」。

美味しいかな…喜んでくれるかな…残さず食べてくれるかな…

料理とは究極のコミュニケーションですね。


偏食家のためのレストラン

自らに厳しい食事ルールを課し決まったものしか口にしない千秋。不動産営業として顧客受けも対応も抜かりなく、すべて正しいはずだった。しかし高校の同級生だった友光に再会。料理人になったきっかけはお前だと言われ、千秋は「偏食家のためのレストラン」というコンセプトの練習台になることに。質問形ゲームさながらに誘導されメニューを考えていくうち、千秋は厳格な食事の動機、友光の厚意を拒絶した過去を振り返ることになってしまい……。 







小中大豆 (著), 二駒レイム (イラスト) 



ラスト・メッセージ

結婚当初の君に二度目の恋をした。すれ違い夫夫のやり直し結婚生活
伴侶である自分に手を触れることもなく、ある日突然、夫が事故で亡くなった。政略結婚のような夫夫生活。それでも、スバルにとっては夫・エイダンは特別で――平民から侯爵家の養子となった偏見を抜群の成績で蹴散らし、いじめから助けてくれた、唯一無二のヒーローだった。ところが彼の遺品の中に「愛する妻へ」というメッセージと指輪を見つけ、スバルは混乱する。今になって何故――。錯乱の中、スバルは命を落とすが、気づいた時には結婚式当日に時が遡っていて――!? 


お話の舞台は近未来。
貴族たちは天空都市に住み、同性同士で結婚し子供は人工胚から生まれる世界。
雌雄が交尾して子孫を増やすのは動物と同じ野蛮な行動と蔑まれている世界です。
スバルはそんな貴族の子供。
でも心臓に疾患があったスバルは両親にとって期待外れの愛情をかける価値のない子供だったのです。


そんなスバルが恋したのが平民出身のエイダン。
何も望まない期待しないスバルが本当に初めて心から欲しいと願った相手。

そんな相手と結婚して見たら…エイダンには愛する相手が既にいた。

究極の両片思い失恋生活が始まります。

そして心が通じないまま3年後、エイダンが事故で死亡。

残されたのは赤いダイヤモンドの指輪と「スバル・レッドフォード 愛する妻へ」というエイダンのメッセージ。

え?!エイダンは妻のスバルを愛していなかったのでは?
だから結婚しても家に帰ってくることなく愛人宅に入り浸りだったのでは?
だったら何故こんなメッセージを残して?

結局、スバルも死ぬことになるのですが、なんというかタイムリープしてしまうんですよね。
3年前のエイダンとの結婚式のその場面に
またエイダンとのあの悪夢のような3年間を繰り返す?!
冗談じゃない

ということでスバルは今までの感情を出さない性格をかなぐり捨てて言いたいことを言う、やりたいことをすることに。

そうすると、なんということでしょう
それはエイダンも同じことだったんですよね。

つまり感情を出さないスバルと不器用で言葉足らずのエイダンという究極の両片思いすれ違いカップルになってしまっていたことが判明。

しかも二人とも相手の気持ちをめちゃ誤解して曲解して逃げてしまっていたんですね。

そして、スバルとエイダンは何故死ぬことになってしまったのか?
犯人探しも始まります。

あのツンデレ嫌味な人が味方だったり、ずっと友達だと思っていた人物がある目的のためにすり寄ってきていただけだったり。


言葉に出すことで初めて回り出す真実。

前半の鬱々とした雰囲気とはガラッと変わった後半からがめちゃスリリングで面白かったです。





「召喚された気象予報士と溺愛王太子の謎解き空もよう」「黎明 悪食5」


召喚された気象予報士と溺愛王太子の謎解き空もよう 
高月紅葉 (著), 木村タケトキ (イラスト)

取り合えず簡単に。
異世界召喚ものです。
最近、この手のお話、大好き。
主人公の海斗は民間会社の気象予報士。
ある日、雷に打たれた海斗は見知らぬ異世界へと召喚されてしまうのです。
そこは黒髪黒目が忌み嫌われる世界。

それが何故なのか。

海斗が悲惨な運命に翻弄されながらも意外と強気だし信念曲げないし前向きなのが心地よかったです。

そして攻めの王太子ハロルド。
笑ってしまうほどの執着系溺愛攻め。
周りの反対も忠告もさっくり無視してひたすら海斗を溺愛。

さて、気象予報士という元の世界での知識を活かし、カイトはこの世界で自分が飛ばされてきた理由を知りそして悪の集団にどう立ち向かっていくか、ハラハラドキドキです。

「召喚された気象予報士と溺愛王太子の謎解き空もよう 」

気象予報士の海斗は突然『異世界』へと召喚された。そこは魔導士が存在し、黒髪と黒い瞳が邪悪の象徴とされる世界。 だが召喚した邪教集団から捨てられてしまい放浪生活を送る羽目に。 そんなある日、海斗はメイプルストームと呼ばれる恐ろしい突風の危機からひとりの貴族、ハロルドを救う。彼は一帯を治める領主でこの国の王太子だった。 偏見をもたないハロルドは海斗を屋敷に住まわせ、異常気象の解明を依頼してくれて……。 




黎明 悪食5 (キャラ文庫)
みずかねりょう
徳間書店(Chara)
2025-07-04

宮緒 葵 (著), みずかねりょう (イラスト)


すごかった!
最後まで一気読み。
数々の謎が一気に解明されていきます。
最後のページの最後の1行まで気を緩めることはできません。
本当にお見事!
これはネタバレなしで読んで頂きたいです。
最後のページの最後の文章を読み終えた時、宮緒葵先生…と放心状態になります。
あ、ハッピーエンドです。
大団円。
でもその裏では運命が手を延ばして…ですよ。


黎明 悪食5 

 生きた人間を描くと、筆を置いた瞬間その命を奪ってしまう──画家として、忌まわしい異能に目覚めてしまった水琴(みこと)。その謎を解く手がかりを求めて、水琴は恋人の泉里(せんり)と故郷の桐ヶ島(きりがしま)を訪れる。ところがそこで、ひとり神隠しにあってしまい…!? 百年の時を遡り、飛ばされた明治時代──高祖母・琴音(ことね)が生き、泉里と瓜二つの若き当主が治める村で、全ての謎が明かされる、シリーズ衝撃の最終巻!!


最後の愛犬

最後の愛犬 (ショコラ文庫)
宮緒葵
心交社
2025-06-10

宮緒葵 (著), 石田惠美 (イラスト)

シリーズ、大団円のエンディング
伏線を見事に回収しつつ怒涛のラストへ。

いやいや、一番怒らせてはいけないのは存在自体が凶器の烈でもなければ、カオスウェブで息子を護るクラウドAIのパパでもなければ、ドイツの貴族で博士号を持つ世界屈指の富豪のバルタザールでもありませんでしたね。

烈の最愛のご主人であり、虫をも殺せないほど優しく可憐で誰もが庇護欲を掻き立てられる日秋ですよ。
プチンとキレるとストッパーが利かない
しかも自覚なし
普段は温厚だから本気で怒らせたら最後、突き抜けてしまうのよね。

はい、最愛の犬の危機に本気で日秋を怒らせた時点で勝負は決まってたと思います



天才ハッカー日秋と彼の忠実なイヌ、烈。かつて警官だった日秋は凶悪犯である烈を〈奴隷(スレイブ)〉として使役することを強いられ、烈の一途な愛に救われた。だが自由の身となり、烈を狙う宿敵アウグスティンとの決戦を前にして、初めて二人の間に綻びが生じる。烈に平穏な未来を与えたい日秋と、それを拒む烈。愛されていることはわかるのに、溝は埋まらず――!? 近未来サイバーBL、至福のエンディングへ! 



「舞姫は暁に黄金の恋を紡ぐ」「エンドロールは100年後」


舞姫は暁に黄金の恋を紡ぐ
尾上与一 (著), もちゃろ (イラスト)

『黄金の谷』ミルドヴァの里の一族の生き残り『黄金の踊り子』レネ。
汗や血が金になるという権力者には喉から手が出るほど手に入れたい伝説の一族。

その黄金の踊り子とシダール王国第二王子ラジャンとの運命の出会いがお互いの家族や家臣や果ては世界も巻き込む壮大な展開に動いていきます。

仮の恋人の関係から思わぬ出来事のせいでとんとん拍子に話が進み結婚することになった二人。
お互い兄が跡を継ぐので自分たちは相手を嫁としてもらう許可を取るだけ…

そう、ややこしいことに二人とも当然のように相手を『嫁』として娶り自分の身内として迎えるつもりだったのです。

しかもしかも!
レネの兄もラジャンの兄も頭が切れるし策士だし弟想いだし転んでもただでは起きない性格。

やっぱりね、恋は二人で出来ても結婚となれば、それも身分の高く背負っているものが大きな二人では、お互いの好きという気持ちだけでは先に進めないのは当然ですね。
愛する人より優先しなきゃいけないと辛い決断も必要となってくるわけだし。

二人だけだと動けなかったでしょうけど、愛する者と幸せになれと背中を押してくれたレネの兄や里との交渉のために出て来たラジャンの兄国王太子が頑張ってくれました。

ラジャンとレネなら自分たちの幸せを自分たちでちゃんと築いていくと思います。

ラジャンもレネも強くて困難に立ち向かう勇気のある性格なので読んでいてドキドキハラハラはしましたが、この2人なら乗り越えていくと信じてましたよ

【ストーリー】

一族の者とともに、ある目的のために各地を踊って回るレネ。シダール王国の第二王子ラジャンに頼まれて恋人のふりを引き受けたことが、二人の運命の思わぬ幕開けとなり……? 







エンドロールは100年後
月村奎 (著), ミギノ ヤギ (イラスト)

仕事のスランプから逃げるように相続した田舎の家に引っ越してきた怜久。
かなりセンシティブで内向的な性格です。
虫は怖いし田舎の人の距離の近さにも慣れない。

そんな怜久の頼りは便利屋の蔵乃介。
イケメンで田舎暮らしに慣れない怜久にも優しく頼りになることこの上なし!

そんな二人がお互いに田舎での人付き合いや暮らしの中で仲良くなり恋心を抱くようになりそしてお互いに背負っていた過去も乗り越えていくというとても前向きなお話です。

田舎の人のお節介だけど親身になって気に掛けてくれる優しさは都会人の怜久には最初はどうしていいか分からない距離の近さでしたね。

スローライフと優しい恋人が心を癒してくれる優しいお話でした。

【ストーリー】

現在絶賛スランプ中の怜久は相続した田舎の家に逃げてきた。空き家の庭で見つけたあるものに困り、藁にも縋る気持ちで頼ったのは……? 便利屋×脚本家、大人のスライス・オブ・ライフ!


「狐がひとりじめ -眷愛隷属-」「学院の帝王」



夜光花 (著), 笠井あゆみ (イラスト)

大好きなシリーズ。
今回は混ぜるな危険キャラたちと旅行に出かけることとなった有生と慶次。
そしていつも通りアクロバット焼きもち全開の有生。

その有生がアップデートして少し先の未来が読めるようになった結果、見えたのが慶次の浮気……えっ?!

回を追うごとに慶次の有生の扱いが上達してきているような気がします。
過去の事件から自分の甘さが厄介ごと引き付け体質なことも自覚したでしょうし。

夜光花先生のあとがきでも一緒にいるとお互い影響を受け合って良い傾向と書かれているので破れ鍋綴蓋カップルなのだと思います。

今回は陽キャの瑞人が全部持って行きましたよねえ。
実は一番話が通じなくて(話聞いてないし)一番ヤバイヤツでした(笑)


狐がひとりじめ -眷愛隷属-

「俺はそんな慶ちゃんが可愛いし、好きだけどね」魔を祓う力を持つ討魔師の慶次と恋人・有生の同棲生活に早くも波乱が!?対立する井伊家から本家への直接攻撃が強まる中、慶次と有生は旅行にでかけることになる。陽キャな瑞人の付き添いで行く慶次たちと一緒に、陰キャな勝利も嫌々同行するハメに。その旅先で出会ったのは、井伊家の人間で...。そんな危機迫る中なぜか瑞人や勝利からハートの矢印を向けられるモテ期到来の慶次に、次々と襲い掛かる恋の嵐の結末は!? 






学院の帝王【特別版】 (シャレード文庫)
花川戸 菖蒲
二見書房
2021-12-01

花川戸菖蒲 (著), 高峰顕 (イラスト)

今まで本棚の隅に置いていて手に取らなかったのは花川戸先生の訃報に動揺して読めなかったからでした。
先生が亡くなられてから4年経ちましたね。
ぼちぼち先生の他の本も手に取ろうと思います。

お話はオメガバースのお話。

じれったい両片思いですが、お互い大事に思い合っているのは痛いほど伝わってきます。
お互いに言葉が足らず相手を不安にさせてしまい、結果すれ違ってまたまた相手を不安にさせるという展開が続きますが、それでもお互い相手しか見えてないラブラブなのは終始変わらないんですけどね。

お互い相手が好き過ぎて辛いという甘々カップルでした。

もう先生のお話が読めないのは寂しいです。

尤書堂シリーズやビスクドールシリーズが大好きでした。
この本のあとがきのシャレード編集部さんの優しさに涙しました。

先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます

学院の帝王

薫を守るために、俺は王になったんだ
幼馴染の直紀を頼り超エリート校に編入したオメガの薫。 だが、優しく優秀な彼は学院生の畏怖の対象で…!?
オメガの薫は、授業中にヒートを起こしたことで居場所のない中学生活を送っていた。 救いの手を差し伸べたのは中高一貫の名門校に進学した幼馴染の直紀だった。 「薫、慧総に来い」力強い言葉を頼りに編入を決めた薫。 隔絶された学園コミュニティの中、片時も離れない直紀をくすぐったく思う一方、薫は他の生徒が直紀を王と呼び畏怖の念を抱いていると知る。 その違和感を正せないまま、恐れていたヒートが再び起こり…。溺愛学園オメガバース!


別れさせ屋魔術師は勇者様と恋なんてしない


村崎 樹 (著), れの子 (イラスト)

面白かった!
何より受けの魔術師エリアスの性格が私の好みど真ん中でした
エリアスは別れさせ屋を請け負っている手前、特大な猫を被っています。
自分の美貌を武器にターゲットに取り入って振り向かせ恋仲の相手と別れさせるのがお得意の手口。

今回の依頼主は王女。
どうしても結婚したくない訳を隠し持っている王女からの依頼は勇者との婚約阻止。
見返りは望むだけの多額の報酬

実はエリアスには大金が必要な切迫した理由があるんですよね。

さて、一方の勇者ジークハルトは精悍で正義感が強く親しみやすい美丈夫。
悪を憎み弱きものに手を差し伸べるいかにもな勇者なわけです。


ところが!

この勇者も特大な猫を被っていたわけで
まあこちらも猫を被っていたのには理由があったんですけどね。

早々にお互いが猫を被っていることに気が付いた二人と、ジークハルトの幼馴染二人による(剣闘士ランドルと白魔術を操る修道士のテオフィル)魔王の再封印の旅が始まります。

この四人はどこか世間からアウトドロップしてコンプレックスを持っているんですよね。
それが旅をしていくことでお互いを知り成長していきます。

特にジークハルトたちはエリアスから状況を俯瞰して闘うことをしてないと指摘されたことが大きな成長のきっかけになりましたね。
自分だけ頑張ればいいのではなく、誰がどう動けばいいのか、誰にどこを任せればいいのか、自分は何をすべきなのか…

そりゃ、個人個人がいくら優秀でもそれを活かしきれなければ闘いには勝てません。

エリアスが勇者ジークハルトが背中を預けられるほど賢くて強いとこが、それでいて自分の弱みは見せたくないツンデレなとことか、とにかく私の好きなタイプの受け君でした。

私は攻めに溺愛されるだけの弱っちいカワイ子ちゃんタイプの受け君はどうもイライラしてしまうんですよね
これは好みの問題なので、自ら飛んで火にいるホイホイ受け君が庇護欲そそって好きというお嬢さんもそれはそれでよきと思います、はい。



ストーリー

魔法と共存するマギシュタイラ王国で、優秀な魔術師であることを示す〈紫水晶〉の称号を持つエリアスは、優れた魔法技術と自分の身体を生かして“別れさせ屋”という、特に貴族間の婚約や恋人関係を依頼主の希望通りに解消・破棄させる依頼を密かに請け負っていた。 貴族の裏切りや没落に加担し、使用制限のある魔法を取り扱うため危険もつきまとうが、大金が必要なエリアスにとっては高額な報酬を得られるその仕事を辞めることもできないでいたある日、国の王女から“別れさせ屋”としてある依頼を受ける。 これから魔王討伐に出る勇者・ジークハルトの旅に同行して心を射止め、自分と婚約を結ばないようにしてほしい――言い値の報酬と、“別れさせ屋”での罪を不問にする条件で引き受けたエリアスだが、当の勇者は魔法を使っても魅了できない難攻不落の軽薄な男で……!? 


薔薇色じゃない 【新装版】

薔薇色じゃない 

薔薇色じゃない (キャラ文庫)
円陣闇丸
徳間書店(Chara)
2025-04-11

凪良ゆう (著), 円陣闇丸 (著)  

約9年前に元版が刊行されています。

今回発行されたのはカバーデザイン、口絵・イラストを一新した新装版となります。

以前の私の感想は↓です。



2017年にレビュー記事をアップしてますね。
あれから再度新装版を読み返して私の感想は変わるのか?と言われれば、それほど大きくは変わらないです

攻めの阿久津は悪い人ではないけど、相手の気持ちを汲み取ることが下手。
時代錯誤も甚だしい亭主関白で、男は外で働き女は家を守るという考えが意識下に染みついてます。
それが同性の水野に対しても結婚した相手女性に対しても変わらないんですよね。
でもそこに悪意はないんです。
無邪気に自分をそういう男という立場に置いていて、相手の役割も家庭を守るという立場に置いていることは阿久津にとってごく自然な成り行き。

悪意がないから相手を傷つけたとは思わないし、それに気が付いた時はもう手遅れ

そんな阿久津にイライラっとしたのは前回と同じでした(笑)

水野は誰とでも幸せになれると思います。
料理家ということは、相手の気持ちや状態を察することに長けていると思うんですよね。

阿久津、よりを戻せてよかったねえとしみじみ思いました

最近は異世界ものファンタジーを読むことが多いのでこういう市井の人物たちのお話、新鮮に感じました。
よくあるような身近なお話。
エピソードも「あー、それあるあるだよ」と共感できるし。
なんならお話の中に入って行って近所のお節介なおばさんみたいに阿久津に一言物申したくなって困りました(笑)



二十歳で出会い、同棲から始まった平凡で満ち足りた関係は、社会に出てもずっと続くと思っていた──25歳になり、念願のフードスタイリストのアシスタントとして修業の日々を送っていた水野(みずの)。恋人の阿久津(あくつ)の誕生日を手料理で祝うはずが、すれ違いから喧嘩になり、一方的に別れを告げられてしまう。「二度とあんな恋はしたくない」──ところが一年後、偶然の再会をきっかけに、再び友人同士として恋愛とも友情ともつかない関係をつづけることに…!? 人生の分岐点で一度は別れを選んだ男たちが、15年の時を重ねて辿り着いた愛の最終形!! 番外編「16年目」「17年目」の2本を初収録。 


海底1000mで、はじめまして





海底1000mで、はじめまして 
中原一也 (著) 兼守美行 (イラスト)

異種間ラブです。

なかなか考えさせられることが多いお話でした。
環境と開発、地元産業と新しい時代の産業。
過疎化対策や地元が潤うことを優先して、耳触りの言い言葉を並べて現状を時代遅れと切り捨てていくエライ人も多い昨今。
てもね、環境は一度失うと戻らないもののTOPなんですよ。

お話はいきなり海洋学者を目指す主人公の速人が何者かに重りを付けられて海に投げこまれるという衝撃的なシーンから始まります。

絶体絶命の速人を救ったのは神獣の渦目でした。

「お前、死にたくないんだろう?」
そう言われた速人は「俺を殺そうとした奴を捜したい」と神獣の取引に乗ることとなります。

契約の内容は、速人が目的を遂げた時には、魂も肉体も神獣・渦目に渡すこと。

そうして神獣との契約の印を身体に刻んだ速人は人間の姿となった渦目と一緒に暮らしながら犯人を捜していくこととなります。

お話の中で描かれていく港での純朴でお節介なくらい温かな漁師仲間や、魚を頭から生で食べ野良猫と本気でやり合う渦目や、華奢で中性的な見かけからは想像もつかないくらい気が短く喧嘩っ早いけどなにより海を愛する正義感の強い速人のテンポのいいやり取りは読んでいて楽しかったです。

しかし、犯人ですよ。
その犯人は速人の父や姉もその手に掛けているのかもしれないのです。
手掛かりは?
どうすればその犯人をあぶり出せる?
何故、父や姉は殺されたのか?

証拠もないまま速人と渦目の調査は進みます。

そして、犯人は思いもかけない人物でしたね。
いや、途中からなんか不自然な動きをするので「?」とは思って引っかかってたんですけど、やはりその人物でした。

謎解きは本編を読んでもらうとして、美しい海の世界に速人と一緒に感動し、そこにぽとんと黒い滲みのように落とされる人間の自分勝手な行いに渦目と一緒に怒りを覚えました。

さて、渦目と速人ですが、神様も認めてくれた恋人同士になれたのでずっと一緒に美しい海を守りながら暮らしていくんだろうなと思います。

私は今は海なし県に住んでいますが、子供時代は家から水着で海に行けるくらい海が身近だったので海を見に行きたくなってしまいました。
海で波間に沈んでいく夕日が観たいです。

手足を縛られ、身体に巻かれた重りがどんなに足掻いても外せない――ところが海底で溺れ死ぬ寸前、もがく速人の前に竜によく似た神獣が現れた!? しかも「助けてほしいなら、おまえの魂をよこせ」と傲岸不遜に取引を持ちかけてきて…!? 犯人を捕まえるためなら自分の命くらいくれてやる――海を愛する負けん気の強い海洋学者の卵と、無慈悲で美しい神獣の、種族を超えた数奇な運命の邂逅!!    


獣はかくして愛に啼く


警視庁組対部の刑事である鹿倉と無戸籍集団・エンウを率いるゼロは、恋人であり互いを飼う協力者として固い絆を結んでいる。それぞれの立場から半グレグループ・東界連合とリーダーである遠野の動きを追うなか、シンガポールの不可侵城でディーラーをしている男から「Xデイには不可侵城には近づくな」という忠告がもたらされる。そのXデイについて探っていたある日、不可侵城の一部の会員たちにパーティの招待状が届いていることが発覚する。さらに例のパーティのことで話があると、東京地検特捜部長でゼロの異母兄でもある桐山から、鹿倉はゼロとともに呼び出され……? 男たちのスペシャル・リレーション、完結!!    


このシリーズ、最初からは読んでいなくて読まなきゃと思っているうちに完結編が出てしまいました
我慢できなくてここから手に取って読んでしまいましたが、一応今までの経緯が説明されたり語られたりしているので完結編からというイレギュラーでもなんとか大丈夫。
(もちろん良い子のお嬢さんはちゃんと初回から読んだほうが絶対いいです。二人の積み重ねて来た愛と傷と怒りをちゃんと下敷きに読んだ方がお話の説得力が違いますからね)

さし絵の小山田あみ先生も本当に素敵でかなりハードで痛い展開が続くんですが、この表紙イラストの二人を思い浮かべにながら読むと、グロさより映画のワンシーンのようなクールな画像が脳内に浮かびます。

ネタバレ避けますが、それぞれ食えない何考えてるか分からないと思えた男たちにもそれぞれ心の中に留めおきたいお相手はいたようですね。
獣たちそれぞれのオチの付け方にも萌えました。

読み終えるのが本当に惜しかったお話です。
読み終わった後、伏線回収にもう一度読み直しましたが、色々としびれましたね。


『愛に啼く』という意味が読後に胸に迫ります。





月蝕 悪食4

月蝕 悪食4 (キャラ文庫)
みずかねりょう
徳間書店(Chara)
2025-03-07

宮緒葵(著) みずかねりょう (イラスト) 
実はこのシリーズ、この4から読み始めました。
ここからでも問題ありませんが、やはり泉里と水琴のここまでの生死を掛けた軌跡を知るにはちゃんと初めから読んだ方がいいです。

今回は【純愛】でしたね。
相手のためなら死んでもいい、命を捨ててもいい、それを誰にも知られなくて構わない、ただ愛しているという事実だけを抱いて逝く

そんな純愛を見せていただきました(T_T)

そして水琴の異能の謎もこの巻で解けてきましたね。

一番の謎は雪輪です。
謎が解けたと思った途端、次の謎に突き当たる。
そこにいるのは雪輪。
最後の282ページだけは間違っても先に読まないでくださいね。
もの凄いネタバレが埋まっています。

雪輪の正体…それが解き明かされるとき、生者を描けない『妖精画家』水琴の異能の謎も明かされるのでしょうが、それはとんでもない地雷だったりするような気がします。

愛が超ド級重い攻め泉里のその愛の重さが水琴を守ってくれることと信じています。


「妖精画家」として開催した個展は大成功!! 鮮烈なデビューを飾り、プロの道を歩き始めた水琴(みこと)。そんな彼に、人気俳優の黒江七生(くろえななお)から肖像画の依頼が舞い込んだ!! 面識もない駆け出しの画家をなぜ指名したのか? 何より、水琴には生きた人間が描けない──。不審に思う恋人兼画商の泉里(せんり)は大反対するけれど…!? 目を逸らしてきた異能と向き合い、天才画家はついにパンドラの匣を開ける!!   


無能な皇子と呼ばれていますが中身は帝国の宰相です5


あることから敵国の皇子ベルナールと身体から入れ替わった宰相リドリー。
その才能と頭の良さでいよいよ皇子から皇太子にまで上り詰めてきました。
敵国とはいえ、これだけ長くいて部下や知り合いが増えていくとそれなりに情も沸くというものですよね。

私がリドリーの好きなとこは清濁併せ呑む性格をしていること。
元々、頭の切れる宰相だったこともあって策を張り巡らせるのは得意。
目的のためには手段を選ばずあくどいことも平気でやってしまうとこもなんかおもしろくて痛快。
それでいて他人の意見に耳を傾けるという俯瞰的なこともできるんですよね。
カリスマ的な演出も得意。
本当にクールで頭がいい。

いい子ちゃんで健気な受けもいいけど、そういう悲劇のヒロインタイプが苦手な私としてはどちらかというと悪役令嬢タイプのリドリーがものすごく好きなのです(大事なことなので太字にしました)

でも本人も自覚しているように、頭に立つタイプではないかもですね。
どちらかというと手を汚してでも下で支えて頭を綺麗なまま上り詰めさせていく宰相タイプが似合ってます。

そんなちょい悪リドリーでもどうにもならないのが人の感情。
もはや術にかかってなくてもリドリーに惚れぬいているシュルツ。
何をやらかすか分からない危険なマッド。

手玉にとっているつもりでもそのうち大火傷をおいますよ。
というか、既に二人のリドリーへの想いはリドリーの手に負えなくなってきてますよね。

皇帝よりもある意味混ぜるな危険な二人をどうするリドリー。

先生のあとがきによるとそろそろゴールが見えて来たとか。

リドリーと入れ替わったベルナール皇子のその後は?
取り返しのつかないぶくぶくまるまるリドリーになる前になんとかしなきゃねえ



皇帝の策略を退け、ついに皇太子の座をゲット!! 次なる目標は、打倒皇帝──!? 本気でリドリーを狙う皇帝の妨害で、リドリーの周辺では不審な事件が頻発!! 婚約者候補の毒殺騒ぎに、暗殺を目論む季節外れの狩猟祭…リドリーは身の安全を図り、シュルツを専属護衛騎士に、マッドを近衛騎士に取り立てる。けれど二人は主を巡って殺気立つばかり。シュルツはマッドへの対抗心で独占欲が暴走し!?    


コールドスリープから目覚めたら

コールドスリープから目覚めたら (キャラ文庫)
麻々原絵里依
徳間書店(Chara)
2025-02-07

タイムスリープものです。
20年のタイムスリップ。

20年というのは目が覚めたら時代の流れはすっかり変わっているかもだけど、まるっきりついていけない訳でもない微妙な年数ですね。

今から20年前だとスマホじゃなくてガラケーだろうし、駅の改札だってまだ磁気キップの時代だったと思う。
でも知っている人たちが全員いなくなっているような年数でもない。

お話は特別変異株のウィルスに感染した高校教師の真人が治療法が見つかるまでということで医師に勧められて治療薬が開発されるまでコールドスリープに入ることになるというものです。

唯一の心残りは自分に恋心を抱く教え子の渡良瀬…。

最初は二年の予定が、真人の体質がコールドスリープの長期利用に耐えられる珍しい体質ということで20年の治験に参加することになります。
天涯孤独な真人はコールドスリープから目が覚めた時の完全補償を提案されて治験の話をのむことになります。
ただそれは倫理的に社会に受け入れられない長期コールドスリーブということで真人の治験は極秘事項なのです。なので20年後に目覚めた時、真人は戸籍も何もかも抹消されてないことになっているのです。

20年後の世界では真人は存在するはずのない人間。
でも、そんな真人の目覚めを待っていた人がいたのです。
それはあれから20才年取った教え子の渡良瀬!

君は眠り姫の王子かね?と突っ込みたくなりましたけど、渡良瀬の恋心は時間の壁さえ乗り越える深く強いものでしたねえ。
もっとも無事にコールドスリープから目が覚めた真人がすなんりと年の差逆転した元教え子の気持ちを受け止められるわけもなく、更に居場所のない新しい世界でどう生きて行くのか悩みも不安も尽きないし。

自分に置き換えて考えると治験でも20年後は嫌だなあ。
せめて1〜2年後なら。
知っている人が誰もいない未来に生き返りたいとは思いません。
真人には渡良瀬という愛を貫いて待っていた人がいてそれはもう奇跡だったなと思います。

元教え子のエリート会社員×元高校教師の、年の差逆転ラブv 未知のウイルスに感染し、治療薬の開発までコールドスリープに入るしかない!! 決死の覚悟で、20年の眠りについた高校教師の真人(まさと)。無事に目覚めた真人の前に現れたのは、元教え子の渡良瀬(わたらせ)――かつて何度も告白してきた相手だった!! しかも、半年前までは敬語も使えない子供だったのに――柔らかに微笑む8歳年上の美丈夫に、買い物の仕方や日常生活に慣れるまでサポートされることになり!?   


読んでます📚



転生ファンタジーが好きという理由だけで購入しましたが、予想外に(いい意味で)ハードな展開でキッチリした世界観のお話でした。
伝承は本当はどうだったのか、意図的に歪められたとしたらその意図は?
過去の出来事が時の権力によって都合よく歪められたままそれが真実となってしまった現代によみがえった魔王と禁じられても惹かれていく勇者の末裔の辿る苦難の道。
読み応えありました。







音喜多の愛の重いのはもう今更だけど(笑)、久嶋もちゃんと受け入れているとこが二人の関係の長さも無駄ではなかったと思えて、よかったです。
久嶋は頼りなさそうに見えて本当に天才で観察力と推理力と人を見抜く目が鋭い。
過去に付けられた心と身体の悲惨な傷痕が癒えることはないのだろうけど、音喜多は間違いなくその重く深すぎる愛で埋めていると思います。
某百階段、お友達と数年前に行ったことがあるのでお話に出てきて懐かしかった






子爵の悪役令息に転生したのは雄タヌキのジロー
しかも侯爵と結婚することになっていて、その侯爵からめちゃめちゃ嫌われている…
もうこの設定だけで抱腹絶倒です。
最後まで痛快で楽しいお話なので広く皆さんにおススメしたいです

さいきん読んだ三冊。
谷崎泉先生のアディショナルデザイアは『スクランブルメソッド』シリーズの第4弾です。
久嶋の重くて悲惨な過去も是非読んで欲しいなと思います。
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好きな作家さんは谷崎泉さん、英田サキさん、榎田尤利さん、一穂ミチさん、凪良ゆうさんなど。
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