2008年3月発売文庫愛してるって言われても2008年3月発売文庫愛してるって言われても
バーバラ片桐/著 花丸文庫 

パッとしない男が、眼鏡を外し髪を整え身体に合った服を着ると・・・あら不思議、超美人〜!
攻めの気分は『マイフェアレディ』☆彡
こんな美人な素顔を知っているのは自分だけでいい。

BLではありがちな王道設定だと思いますが、世間知らずな受け君の突っ張り具合が可愛かったです(@⌒▽⌒@)



ストーリー:大手ディベロッパー勤務のエリートで、遊びもスマート。何事にもソツのない武井は、専務じきじきに社の裏金の調査を命じられ、同期の経理・篠崎に接近した。地味な身なりと仕事への厳しさから周囲に敬遠される篠崎が、実はダイヤの原石のような美貌とうぶな性格を隠し持っていると知り、興味を覚えて篠崎を「変身」させる武井。やがて本気で惹かれるようになるが、篠崎にはある秘密があった…。対照的な二人が手探りで進める恋の結末は? イラスト/山田ユギ

武井は次期社長候補と言われている滝沢専務から呼び出され、「うちの裏金のことを探ってくれないか」と内密に頼まれます。

武井が勤めるのは超大手ディベロッパーの興南地所。
悪しき慣習として裏で政治家に謝礼金を渡したり、裏金の裏金を隠しているのですが、タッチしているのは現社長やその側近たちです。

滝沢専務が接触の相手として武井に勧めたのは「経理の篠崎」。篠崎が非常に優秀でしかも美人と聞いた武井はウキウキとその話に乗り気になります。

滝沢専務が篠崎を呼び寄せたというレストランに早速でかけるのですが、それらしい美女は見当たりません。

そのかわり目に入ってきたのはビン底めがねで服のセンスが悪く、周りから完全に浮いている同期の経理課の男でした。社内でも愛想が悪くゲジゲジのように嫌われている男です。

「誰と待ち合わせているんだ?」
武井は興味を惹かれてしまいます。

挙動不審のその彼は突然席を立って洗面所に行ってしまうのですが、好奇心で武井も後を追って行くと、そこには個室で泣いている彼の姿が。

武井が覗き込むと彼の素顔はビックリするほど繊細で美しいものでした。ヒクヒクと泣きじゃくる彼を思わず抱きしめると、ビクッとした反応。
「面白い」
武井はますます彼が気になってしまいます。

「失恋の話なら聞いてやるよ」
「失恋なんて、してないよっ!」
あまりの分かりやすい反応に、思わず楽しくなって武井は彼を連れて店を出ます。

場所を替えた居酒屋でよくよく見ると、彼の素顔は天女のようにやたら綺麗な男でした。ホケッと見とれていた武井ですが、ふと気がつきます。
「おまえ、篠崎って言ったっけ」

そう、このメチャダサイ男、素顔は超美人の彼こそ、篠崎だったのです。

武井は篠崎から泣いていた理由を聞き出しますが、なんと篠崎は付き合っている(と本人は思い込んでいる)相手が女性と現れたのにショックを受けていたのです。
篠崎の恋の相手は男だったのです。

篠崎がいじらしいんですよね。
磨き上げていい男になればモテモテだと言う武井に、その男にだけもてればいいと言うのです。

「惚れ直させてやるっていうのは?」
「そんなことできるのか?」
武井は篠崎を磨き上げることにします。

磨き上げていい男になっても、篠崎は女性に声をかけることも出来ない奥手で、武井はその様子が初々しくて可愛いと思ってしまいます。

そしてお礼にという篠崎にキスしてしまうのですが、篠崎から思い切りひっぱたかれます

純情な篠崎にとって、恋人以外と遊びでもキスするなどとは考えられないんですね。まして、社内でもモテモテの武井のことは、遊びで自分をからかっているとしか思えないのです。

ある日、武井は飲み会の帰りに海沿いの公園にポツンと座っている篠崎を見かけます。篠崎は恋人との思い出の場所で、来るはずもない恋人を待っていたのです。
「来ない相手をいつまで待っているつもりなんだ?」
「分かってるよ!でもひとりでいたくなかったんだ゛」

篠崎の人恋しさ、寂しさが痛いですね。篠崎にとってその恋人が全てだったのです。捨てられたと分かっていても、どうしても心が受け入れられないのです。

それから武井は篠崎と会社帰りに会うようになります。篠崎は経理ですが、バリアフリー開発に夢を持っていました。自分の夢をちゃんと聞いてくれる武井との時間が楽しくなってくる篠崎。

そして、綺麗になった篠崎に元カレが接触してきます。篠崎の元カレとは上司の経理部長・小野だったのです。

「明日は空いてる?」
小野から誘われると、忘れるつもりでいてもやはり小野への未練にすがり付いてしまう篠崎。

武井にも好きな相手が小野だとバレてしまいます。
「キスの仕方、レクチャーしてやろうか」
「いらない、彼に直接教えてもらうから」

ひた向きな篠塚が、ホント可愛くてvv

そして小野が絶対にワルだというのは、みえみえですよね。やはり、小野が篠崎を呼び出したのは、ある策略からでした。
「私のためだったら、何でもできる?」
「はい、何でも」
わずかな小野とのやり直しの可能性にかけてしまう篠崎をバカとは言い切れません。

そして、小野が篠崎に預けた「ある物」とは小野からの手切れ金代わりでした。こんな男にいつまでも未練を抱かずに、目が覚めればいいのにと思ってしまいました。

傷心の篠崎は思い出の公園に行き、降りしきる雪の中一人ベンチに座り続けます。篠崎はただ、愛されたかっただけなのですね。誰かの大切な存在になりたかったのです。それを小野は利用して切って捨てたのです。

風雪の中、凍り付いて動けない篠崎の前に現れたのは武井でした。
「邪魔だ。とっとと消えろ」

篠崎にとって、哀れみで掛けられる同情などもう耐えられなかったのですね。
そんな篠崎に武井は「おまえのことが好きだ」と告げますが、傷ついた篠崎にはその言葉はとても信じられません。

寒さに震える篠崎を自分のコートで包み込む武井の優しさに怒りすらこみ上げ、篠崎は思わず嘘をついてしまいます。
「おれはお前なんていらない!小田とうまくいってるんだから!」

俺に近づくな!まるで手負いの獣ですね。
そんな篠崎に武井の一言。

「おまえさ。誰よりも自分を好きになりなよ」

その言葉に、ついに突っ張っていた篠崎の心の決壊が切れてしまいます。
「俺のこと好きだって言うのなら抱けるのかよ?出来ないくせに」

もちろんも武井はそんな可愛い篠崎をほっておくはずないですよね。即、お持ち帰りして思う存分篠崎を抱きます。

篠崎が可愛くて愛しくて仕方のない武井ですが、篠崎の鞄の中に小田からの「手切れ金」を見つけてしまいます。それは、武井が探していたものでした。

翌朝、武井は篠崎に言います。
「おまえ、俺と付き合わない?」

しかし、小田の「手切れ金」が二人の間に微妙な影を落とします。武井は篠崎を疑い、篠崎は武井を信じられず。

でも裏で、ちゃんと武井は篠崎を救うべく動いていたのですね。悪者小田やその上司もズルズルと捕まっていきます。
いや、ホント、武井は白馬の王子様のようでしたねえ。

最後、ちゃんと武井と肩を並べて歩く篠崎の姿がありました。篠崎も長年の夢を生かした仕事につけることになりそうですね。ちゃんと見ている人は見ていてくれたのです。

自分に自信を持ち、人を愛し愛されることを知った篠崎は武井の立派なパートナーですね。眩しいぜ〜vv

人恋しくて必死に目の前の壊れた恋にしがみ付いていた篠崎が、武井との恋でさなぎが孵化するように綺麗に花開いていく様が可愛かったです。山田ユギさんの描かれる篠崎が、また超美人さんです。