木原音瀬/著  ZAKK/画

BL上級者におススメです。
なんといっても木原音瀬さんですからね。
甘くてラブラブでイケメンのスパダリをBLに夢見ている初心者の乙女のお嬢さんはあと数年人生に揉まれてから戻ってきて手に取ることをお勧めします。

主人公は白髪の方が多くなった中年も後半のオジサンです。
仕事も出来ず気迫もなく影も薄く周りに埋もれてしまっている人生負け組オジサン。

しかし、そんな冴えないオジサンになんと海外からやってきた重役外人2人が執着して夢中に!

40代後半のオジサンにまさかのモテキ到来!!

本当の人でなしは誰か、読んでむずむずしてください。

大手食品会社の物品管理課で働いている鶴谷は40代後半にも関わらず、白髪が目立つ冴えな いサラリーマン。だがある日社長・兎河から呼び出され、業務提携のために海外の会社の重役の 接待を命じられた。そんな大役は務まらないと固辞する鶴谷だったが、それがSEXでの接待で あると告げられる。「あなたは彼らの前で服を脱ぎ、興奮させて好きなように体を弄らせていれ ば、それでいいんですよ」会社への恩もあり、その接待を引き受けた鶴谷が向かった場所には二 人のアメリカ人がいて…。


『鈍色の華』(小説アンソロジー掲載)
『鈍色の果実』(続編)
鶴谷は大手の食品会社に在籍しているものの、いわゆる窓際族。
仕事は誰でも出来るような物品管理課での雑用です。

これといった趣味もなく仕事に対する熱意もなく、ただこの条件のいい会社を首にならず定年まで勤め上げることが希望。見た目も生き方も冴えない白髪まじりの初老と言った方がぴったりの枯れた男です。


そんな鶴谷がひょんなことから来社していた提携先の重役外人ダンとヒューイの目に留まります。

社長の兎河は外人二人がゲイだとは知っていたものの、まさか白髪交じりの貧相なオジサンが気に入るとはと驚き戸惑います(当然です)。

しかし、社運がかかっているとなっては取る道は一つ。

社長命令で鶴谷は外人重役に身体を差し出す接待をすることとなります。

もうね、これが美中年なら40代後半とはいえ絵になるしエロでしょうが、鶴谷は貧相なただのオジサンなのです。

しかし、外人2人はそんな鶴谷に大興奮
どうやら日本人特有の滑らかな肌がお気に召したようなのです。

特にダンは辛辣な言葉で鶴谷をいたぶり、鶴谷が怒りと屈辱にぷるぷるする様子にハマってしまいます。

そんな3人の様子を冷めた目で見ている社長の兎河には金髪碧眼の立派な外人2人が貧相な白髪のオジサンにがっつく気持ちが理解不能です。

・・・私も理解不能です・・・はい

しかも、一度接待して気が済んだかと思いきや、ダンは鶴谷に執着してアメリカの本社まで定期的に鶴谷を呼び寄せるようになります。

次第に執着が本気に変わってくるダンに対して鶴谷はダンとの関係はあくまでも会社命令のビジネスとしか思っていません。

ダンは酷薄そうな見かけと違い、心は熱い男で、鶴谷を人生のパートナーとして望むのですが、傍から見れば玉の輿のその話を鶴谷はビジネスでないなら終わりたいとあっさり蹴ります。

この温度差。

いつのまにか枯れたオジサンの方が立派な金髪碧眼の重役の気持ちを手玉に取っていたということですよね〜!!

兎河としても仕事はダンのご機嫌取りだけの鶴谷を切りたいので、ダンから逃げるために会社を辞めるという鶴谷の願いをこれ幸いと聞き入れます。

しかし、鶴谷が最後のお願いとして出してきた希望が「社長の兎河と寝たい」。

鶴谷の好みのタイプはまさかの社長の兎河でした!!

ゲイでもないし、もしその気があっても貧相なオジサンに爪の先ほどの欲望も沸いてこない兎河(むしろ悪寒)ですが、今までの功績を考え餞別がわりに鶴谷の希望を聞き入れることにします。

さて、そこで兎河が見たものは・・・!!

ダンほどの男が骨抜きになるんですから、鶴谷はただの白髪オジサンのはずはなかったですね。

たっぷりの毒を含んだ鶴谷の棘は人の心の醜い欲望を引きずりだし底なしの沼へと引きずり込んでいくのです。

すっかり鶴谷の身体にハマった兎河が仕事と居場所を与えると言うと、自分に好意を持っているはずの鶴谷は「一度寝てみたかっただけなので満足しました。一度で十分です」とすっきりさばさばと兎河の申し出を蹴ったのです。

しかも「これからはもっと色んなを味わってみたいウットリ

兎河、愕然

はあああ〜、お前何言ってんの!?その年で!!その容姿で!!!
この男は、なんだぁぁぁぁ!!!

兎河はゲイではないし、そもそも面倒な女性を相手にするより仕事の方が楽しいという性に対して非常にドライな男です。そんな兎河の嗜虐心を目覚めさせざわつかせた魔性の男・鶴谷。

私には最後まで鶴谷の良さは分かりませんでしたが怖さは十分に分かりました。
多分、肌を合わせて初めてその魔性が分かるタイプなんでしょうね。

『漆喰の華』(本編サイドストーリー)
さて、まさかの鶴谷にフラれたダンのお話になります。
ダンのお相手となるのは本当にゲスでクズな男・佐川です。

外資系の会社に勤める佐川。
外資系とはいえ、佐川が務めるのは同じビル内でも日本支社にあたる部署です。

それを外資系勤務と見栄を張って合コンに出た佐川は、あっさり女性に見抜かれ屈辱的な言葉を吐かれます。

怒りと屈辱に頭が真っ白になった佐川は本社勤務になってやると固く心に決めます。

しかし、まあまあの容姿にそこそこのスキル。
本社勤務候補はもっと仕事の出来る同僚の天王寺が有力視されています。

ゲスな佐川には天王寺が女性上司に気に入られたから本社に引き抜かれるんだとしか思えません。

そこで佐川が耳に入れた噂話。

支社社長のダン・カーターはゲイで60才間近のオッサンを追いかけて日本に来て振られたらしい。

ああ、鶴谷のことですね。
いつの間にか60才設定・・・(

ゲスな佐川はそれならチョロイと思います。
20代のハンサムな俺ならどうにかなるんじゃない?
男と寝る代わりに本社に行けるならそれくらい我慢できるし。


こうしてゲス佐川はダンの行動を調べ上げ、身体を餌に取り入ることに成功します。

望み通り優秀な同僚をすっ飛ばして本社勤務となった佐川ですが、悲しいかな能力が平凡なので能力主義の本社では周りのやり方についていけません。

それでもプライドだけはエベレスト級の佐川。
本社勤務というブランドにしがみつきます。

そしてプライベートでは合コンにも参加。
中小企業社長の令嬢でしっかりした彼女もちゃっかり作ります。
佐川にとって彼女は優良物件。
でも、この先もっといい相手が出てくるかもしれないのであと数年このままキープというクズな考えで付き合ってます。

片手に何でも買ってくれる支社長ダン、片手に将来を保証してくれる社長令嬢。

会社が嫌になって辞めても彼女のお父さんに雇ってもらって将来は社長というのが佐川の人生設計です。

しかし、天はちゃんとゲス野郎に天罰を下します。

なんと彼女とイザというとき、勃たない!!
ダンに何度も抱かれてその手管を教え込まれた身体は彼女の柔らかな身体では興奮しなくなっていたのです。

彼女を逃すわけにはいかない。
でも頑張れない下半身。
しかも本気になってきているダンが重い。

佐川にとって悪いことが重なります。
天王寺が優秀なことが本社のヒューイの目に留まり、佐川と同じ部署に引き抜かれてくることが決まったのです。
佐川に能力のないことがあからさまになります。

もう自業自得なんですよね。
自分のことしか考えない行動が自分に返ってきただけなのです。

しかし、ゲスな佐川は全てダンが悪いと責任転嫁します。
本社なんかに引き抜かれなきゃよかった。
寝なきゃよかった。


八方塞がりで自暴自棄になった佐川は思い切ってダンに女性と結婚するからと告げて無理やり別れます。
が、時すでに遅し。
佐川の身体は女性では興奮出来なくなってました。
必死な佐川は彼女との夜にある手段を取るのですがそれが原因で彼女にドン引きされて逃げられます。

ええ、私も無理です
気持ち悪いです。
ホント、最低男。

自分のことは棚に上げる佐川の怒りはダンに向かいます。
しかし、ダンと別れた今、佐川はただの平社員でなんの後ろ盾もありません。

自分だけが損をしてるとふて腐れる佐川には自分が悪いのかもという考えはこれっぼっちもないんですよね。

もし、佐川が少しでも自分を客観的に見ることが出来たらここまで事態は悪化しなかったでしょう。

そんな時、佐川は社命でダンの出張に同行することになり。

さて、佐川の運命はですね。

一度は佐川に逃げられたダンは(鶴谷にも逃げられてます)、苛烈な性格に更に拍車がかかり凄まじいことになってます。

自分の物には誰も手を出さないように名前を書く!

ダンはどこに自分のサインをしたでしょうか?
ぞわっとしますが、佐川、ダンを怒らせた自業自得でしょう。

なんか色々ありましたがこのカップルは破鍋綴蓋カップルになったような気がします。

佐川は絵にかいたようなゲスでクズな男で、ダンは相手を虐げて興奮するけど愛情もたっぷり注ぐというなかなか分かりにくいツンデレ男です。

ダンは性格が激情型で愛が非常に重く独占欲も強くギチギチに相手を縛り上げます。

まあ、ダンがそうなったのも佐川と鶴谷の裏切りのせいだと思いますから、ダンは被害者だったかもと思います。

鈍色カップルも普通の人には理解しがたい形で収まったし、こちらのカップルも大喧嘩の末に元さやに収まったし、BLの玄人に受けそうな悪食も美食と思えるお話だと思いました。

次はヒューイと天王寺のカップリングってあるのでしょうか。
期待してます。

私は面白かったです。
BL玄人なので(笑)