サンドリヨンはフランス語読みでシンデレラのことなんですね。
そう思うとなかなか深いタイトルです。
そして櫛野ゆいさんの新書は出版社様のアンケートにて当選して頂いたものです。これがもう面白くてですね、俄然この作家さんに興味がわきました。
サンドリヨンの指輪 綾 ちはる (著),‎ yoco (イラスト)
大学生の大倉千尋は愛に飢えていた。母に捨てられ父に疎まれ、友人も恋人もいない。愛されることは、千尋にとって夢物 語だ。諦めから他人を拒絶する千尋に、准教授の赤枝壮介は折に触れ声をかけてくる。一見無愛想だが優しく聡明な赤枝は 学生たちに人気で、己とは正反対な彼のことが千尋は苦手だった。ある夜、奇妙な老婆に「これは愛を得る魔法の指輪だ」 と古びた指輪を押し付けられる。はじめは馬鹿にしていた千尋だが――。
これはもうですね、寂しくて不幸で愛に飢えている人間に愛を与えたら最後、溺れる人間藁をもつかむ勢いでしがみ付かれるに決まってます。

千尋は頭が良くて奨学金で大学に通っているものの、酒浸りでその奨学金でさえむしり取って行く父親との二人暮らし。
とうに人生を諦めているんですよね。
そこに優しい言葉をかけてきたのが国文学部准教授の赤枝(28才)です。
その優しさが色んなことを諦めていた千尋に棘のように突き刺さります。
華やかで人気者の赤枝はあまりにも自分の境遇とかけ離れていて苦手・・・。
ある日、父親が家に女を連れ込んでいたので家を飛び出し外をうろついていた千尋は人懐っこい青年に誘われるままあるバーに入ります。
そこはゲイバー!
そしてなんとそこにはすっかりリラックスした様子の赤枝が!!

動揺した千尋はバーを飛び出し高架下で一人の老婆とぶつかってしまいます。
その老婆の寒そうな様子に千尋は自分の着ていたリネンのシャツを差し出すのですが、その優しさに感動した老婆は指輪を交換にと差し出します。

老婆は自分は悪魔だと名乗り、その指輪は愛を獲得する魔法の指輪で望んだ相手から望んだように愛されると言うんですよね。

ただし、注意点があります。
・それは相手の欲望や願望も引き出してしまう。
・指輪を外すと好かれた相手に利子付で嫌われる。

だから注意して良く考えて付けるなり外すなりすること。

さて、千尋はこの指輪を使うでしょうか?

ええ、結局赤枝に愛されたくて使うのですが、それが赤枝の抑えてきた欲望を引き出してしまい苦しめることになるのです。

更に赤枝の別れた恋人が赤枝との復縁を迫って現れて千尋はその存在に打ちのめされます。
彼はちゃんと赤枝と恋愛した過去がある。
自分と赤枝との愛は指輪の魔法で、それは恋愛ではない。

ついに指輪を外す決意をする千尋。
みるみる千尋を見る目が憎しみと蔑みに変わる赤枝。

千尋は再び老婆に出会います。
老婆は千尋にこう言います。
「優しい人はあれを長く付けてはいられない。あれは捨ててからが本番だ」

千尋は作り物の愛を捨てて本物の愛を得ることが出来るのでしょうか。

愛されたい千尋の哀しい気持ちにこちらもうるうるしましたが、最後はちゃんと愛を掴みました。
今度は本物の愛で愛されてね!

しかし、赤枝の愛は重いし鬱陶しい(笑)
千尋くらい飢えた相手でないと受け止めきれないと思うのでこれは割れ鍋綴じ蓋カップルだなと思います。



竜人と運命の対 櫛野 ゆい (著),‎ 高世 ナオキ (イラスト)
◆俺たち竜人は……赤い満月の夜、恋した相手に発情するんだ◆
「陽翔…お前の感じている匂いはこんなにも甘いのか」 ある日突然、異世界に迷い込んでしまった陽翔。 訳も分からないまま奴隷として働かされるが、 逃げ出して砂漠で行き倒れているところを、 キャラバンの用心棒をしている竜人ジーンに救われる。 竜人は、知恵と力に溢れたこの世界最強の種族。 最初はジーンを怖がっていた陽翔だが、キャラバンと一緒に旅をし、 ジーンの不器用な優しさや意外に寒がりな面を知り、 湯たんぽ代わりになってあげるくらいに心を開いていく。 一方、自分を怖がらない陽翔をいつしか強く愛するようになるジーン。 そんな時、陽翔が大事に持っていた不思議な赤い石が、 世界の運命を握る「竜王の逆鱗」だと分かる。 おりしも、竜族が愛する相手に発情する<赤い満月がのぼる夜>。 唯一の相手として発情してしまうほど陽翔に恋したジーンは、 自分を犠牲にしても、陽翔を元の世界に戻す決意をし…! 「お前が笑うなら、どんなことでもしてやりたい。 ……たとえ二度と会えなくなるのだとしても」 赤い満月の夜、竜人族は、恋した相手に発情し、 その者を一生、愛し抜く。それが<運命の対>。 ドラマティック・ラブストーリー!

【登場人物】
ジーン:
キャラバンの用心棒的存在。 元は竜人族随一の武人だった。 陽翔いわく「こんな怖い顔なのに寒がりで可愛い」

陽翔:
日本から異世界に迷い込んでしまった青年。 不安や寂しさを歯を食いしばって我慢して、前向きに生きる。

密林さんで↑のあらすじが詳しくアップされていたので引用しました。
なのでここで特にお話のストーリーは書かなくていいかなと思います。

このお話で私にとって意外な嬉しさだったのが、ファンタジーの王道をいい具合に外してくれたことです。
こういうお話って異世界に転がって来た受けというのは何もできずに異人に捕獲され翻弄され、揚句は敵にまんまと拉致されるという足手まといな存在(物語を動かす役目とも言う^^;)で、でもその綺麗な顔と魂で異世界の王の愛を勝ち取り王妃の座に付くというのがテンプレだと思ってました。

しかし!
この陽翔は違います。
竜人のジーンの異様な姿に最初こそビビったものの、ジーンの優しさに気が付くとキャラバンから浮いているジーンと仲良くして仲間に引き入れて行きます。

常に陽翔がリードしてるんですよね。
竜人のジーンの方がヘタレ。

闘いとなった時に、作戦会議で竜人の王や周りの人たちを説得し鼓舞したのも陽翔でした。
「やれることを、やらなきゃ」
足手まといどころか戦いではジーンが背中を預けられる存在になっていた陽翔。
男前すぎます。

そして、ジーンの運命の対の相手になった陽翔が選んだ道もまた男前でした。
故郷に帰れない自分の哀しみはジーンにも背負ってもらう。
楽しいことだけでなく哀しいことも一緒に分かち合いたい。
それが陽翔が選んだジーンと生きて行くという覚悟でした。

しかし、私にはどうしても心配なことが一つ。
それは竜人ジーンの鱗に覆われた逞しく大きなガタイです。
人間の高校生の陽翔はごく普通の男の子の体格。
そんな体格差でですよ、コトに及ぶということはですよ
大参事にならないかと要らん心配してしまいました(笑)
まあそこはBLファンタジーなんで翌日足腰立たなくなるほど激しいHでも大丈夫だったようです

受けがお話しの足手まといではないというだけで、本当にストレスなく読めるものなんだなと改めて思いました。
拉致もされず横恋慕もされず、むしろ異世界の竜人や人間たちに目から鱗の新風を吹き込んでいく受け君。
懐も広いし、情にも篤いし、でも危機的状況にも冷静に情勢を判断できる。
こんな受け君が大活躍するファンタジーならどんどん読みたいです。