与一とツグモ (Canna Comics)
琥狗 ハヤテ
プランタン出版
2018-03-28

ブクマしているブロガーさんのレビュー記事を見て買ってきました。

いや〜、良かった。
そして泣きました。
ツグモの幼さが、純粋さが、真っ直ぐな哀しみが抱きしめたいほど愛しい。

そんなツグモを教え育てていく与一がまた頼りがいがあって優しい。
でもその優しさはただべたべたと甘やかすのではなく自然の摂理を説きあるがままに受け止めることを教える厳しさもあります。。
その裏にある与一の覚悟が哀しい。

もう二人の産土神の優しさと愛にすーっと涙が流れました。
私も逝ってしまった人たちが恋しい。

狸と狐の産土神が織りなす、もふもふスローライフ

狸の与一が産土神として守る森に生まれた、新たな産土神・ツグモ。
彼は子狐のうちに死んで神として生まれ変わったため、まだまだ幼い。
命の理や神通力の使い方を教える与一に、ツグモは懸命に学びつつも懐く。
「与一だいすき。ずっとずっとそばにいて」
無垢で一途なツグモに、遥か昔に忘れてしまった感情を蘇らせる与一だったが……。

与一を殺して…神サマに…なるの…?
一人前の産土神になるための試練とは──

巻末には、恒例の二頭身キャラ漫画「よいちとちゅぐも。」描き下ろし!

狸の与一は森を守る産土神。
2千年の時を一人で森を守ってきてその孤独に疲れ切っていました。

そこで新しい産土神をと森に願って生まれてきたのが幼いまま亡くなった狐の子供の産土神です。

与一はこの狐の子供にツグモという名前を付けて守り神として育てていくことになります。

与一はツグモに対して時に厳しく、時に優しく産土神として生きるとはと説いて聞かせます。

他に登場人物はいません。
二人だけでお話は進んでいきます。
だからでしょうか、二人の気持ちが何にも邪魔されずストレートに伝わってきました。

与一もツグモも頭は獣ですが、身体は人の形です。
ツグモは表紙イラストから分かるようにまだ子供なのでほっそりした肢体です。
狸の与一は筋骨たくましいマッチョ。

お話を通して二人が全身人間の形をとることはありません。
二人きりで生活しているので特に人間に化ける必要もありませんからね。

ツグモは餌を探しに出かけた母親が戻らないまま餓死して亡くなった幼い子狐です。
自分が白い狐だから母親に捨てられたんだろうか・・・。
『おかあさんはぼくがきらいだったのかな』と生前を思い出して手放しでボロボロ泣くツグモに与一はお前の白い毛は美しいと慰めます。

この瞬間からツグモにとって与一は全てになります。
与一が好き。
与一とずっと一緒に居たい。
与一の側がいい。
与一に触っていたい。

母に捨てられ幼いまま死んだ子供の一途さです。
もう、このツグモのひたむきさが可愛い。

与一がツグモのやんちゃに手を焼きながらツグモの独り立ちを目指して育てている姿も子育て奮闘記のようで微笑ましいです。

ある日ツグモが生前住んでいた巣の近くまでやって来た二人。
そこで与一は白骨化した獣の亡骸を見つけます。

『あれはぼくのおかあさん?』

ツグモの母親は巣に帰ろうとして崖下に転落して死んでいたのです。

『ぼくをすてたんじゃなかった・・・』

ツグモの慟哭が突き刺さるように痛いです。
与一が花を生き返らせるのを見ていたツグモは母親も生き返らせてし懇願するのですが、与一はきっぱりとダメだと諭します。

ツグモの母親の死は自然の摂理。その理を曲げることはできない。

そう諭されてもまだ子供のツグモには恋しい母親を諦めることなどできません。
泣きじゃくるツグモを抱き締め与一は産土神として生きることの意味を説くのです。

ああ、哀しいな〜。
ツグモの母を想う哀しみが、もう、泣けて泣けて。

でもツグモには与一がいます。
悲しくて胸が張り裂けそうな時も舐めて癒してくれる優しい与一が。

『ずっとずっとそばにいてな・・・』

幼くして死んだツグモはまだ性を知りません。
眠っている大好きな与一の顔を舐めているうちになにやら大きくなって変になったとびーびー泣いて与一を起こします。
もう、どこまでもツグモがピュアで可愛い〜(>_<)

与一からこれは好きな人に対して起こる自然現象だと教えてもらったツグモ。
ツグモは自分の与一に対する好きが『恋愛感情』だと知って嬉しくなります。

しかし大好きな与一の手でしてもらうことの気持ちよさを知ったツグモに与一はこれからは一人ですることを覚えろと言います。

そこで初めてツグモは自分が生まれてきた意味を知るのです。

与一の中の全ての神通力を自分が与えられこの山の新しい神となる。
そして、与一は姿を保てず消えてしまう。
自分は与一の代わりとして生まれてきた。

「いやだ!!」
総毛だって絶叫するツグモ。
泣いて泣いて泣き疲れるまで泣いて、ツグモは与一を孤独の苦しみから解放してあげようと決心するのです。

さて、本当に与一は消えてしまうのでしょうか。
まだまだ幼いツグモを残したまま・・・。
もう私も悲しくてこの場面は胸が痛かったです。


狸と狐の守り神様。
ツグモは与一が大好きで大好きでずっと側にいたくて、与一はツグモが可愛くて仕方なくて。
ただそれだけなのに。

二人のHシーンは頭が狸と狐のままで、身体が人の形なので妙にえろかったです。
口吻が獣なのでキスも噛み合うようなキスだし。
特にツグモはほっそりした人の形の肢体なので妙にえろかったです。

描き下ろしの二頭身マンガ『よいちとちゅぐも。』もめちゃ可愛いです。
ただただお互いに相手が愛しくて側に居たくてちゅっちゅっ。
こんな神様に守ってもらう森は幸せにちがいありません。

やはりもふもふと言えば琥狗ハヤテさんです。
圧倒的なもふもふの質感。
表情豊かな獣のリアルさ。
そして郷愁を誘う物悲しくて温かいストーリー。

このお話にはこの二人しか出てこないのでお邪魔虫とか大事件とかはありません。
厳しくも深い獣ならではのひたむきさな愛に満ちています。

もうっ、なんかねっ、ツグモを見ていると子犬が飼いたくて仕方ありません。
そしてきゅんきゅん泣く子犬をしっかり抱きしめて全力の愛情を注いでやりたいと思ってしまうのです。

現実として今のマンションはペット不可(預かりも禁止)なので、以前戸建に住んでいた時に飼っていたポメラニアンを懐かしく思い出しました。

このお話はホントにおススメです。
きっと一緒に生きる愛する人が欲しくなるでしょう。